JP4076054B2 - 可撓性ホースの成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気掃除機用ホースなどの合成樹脂製可撓性ホース、殊に軟質樹脂製の条帯を螺旋状に捲回して形成したホース壁と、硬質樹脂製の螺旋補強体とからなる可撓性ホースの成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のようなホースを製造するには、一定の幅と肉厚を有する溶融状態の軟質樹脂条帯を押出成形機のダイから押し出してホース成形用回転軸上に、先に螺旋状に捲回した軟質樹脂条帯とオーバーラップさせながら螺旋状に捲回することによりホース壁を形成し、同時に溶融状態の硬質樹脂線材をホース壁に添着して螺旋補強体を形成している。
【0003】
そして、上記ホース壁を形成する軟質樹脂製の条帯としては、図17に示す押出機のストレートヘッド50のダイ51から押出された樹脂テープが使用されているが、成形するホースの用途や要求性能等に応じて樹脂テープの幅や肉厚を適宜変化させて使用したい場合がある。この場合、同じダイ51をそのまま使用して、例えば、樹脂テープの幅を変化させず一定のままその肉厚を薄くしようとして、樹脂の押出量を低下させたり、樹脂テープの引取速度を上昇させることが試みられたが、樹脂テープの幅も同時に変化して狭くなってしまい、その目的が達成されなかった。
【0004】
従って、この樹脂テープの幅や肉厚は、図18に示す選定した一つのダイ51の樹脂吐出口52の形状によりほぼ決定されてしまい、別のダイに取替えないと異なる幅や肉厚を有する樹脂テープを成形できない不都合がある。そこで、樹脂テープの幅や肉厚を変化させる場合には、その都度それらの寸法に適合した形状のダイに取替えて樹脂テープを押出してホースの成形を行わねばならず、数多くの形状のダイを揃えておくとともに、ダイの交換に煩雑な作業と長時間を要し、成形効率が悪い問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑み、押出機のダイを交換することなく1つのダイのままで条帯の幅や肉厚を自由に調整できるようにし、ホースの成形効率を高めることを課題とするものである。また、このようにして成形されたホースの屈曲時の亀裂発生を防止することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題解決のため、可撓性ホースの成形方法として、押出機のクロスヘッドから押出した軟質樹脂製のチューブを押出直後の溶融状態において押圧して偏平化しかつ前記チューブの内壁面同士を密着してなる条帯を螺旋状に捲回するとともに隣接する側縁同士を接合してホース壁を形成し、このホース壁に硬質樹脂製の螺旋補強体を添着する可撓性ホースの成形方法であって、前記クロスヘッドのダイとニップルの間隙を調整し、この間隙から押し出される溶融チューブの肉厚を調整することにより、条帯の肉厚を調整できるようにしてあることを特徴とするものである。(請求項1)
【0007】
好ましくは、請求項 1 において、溶融チューブを周方向において一部厚肉部分を有するように偏肉化し、条帯の幅方向において厚肉部を形成するようにしたり ( 請求項 2) 、請求項2において、条帯の厚肉部に螺旋補強体を添着することができる。 ( 請求項 3)
【0008】
本発明では、ホース壁を形成する条帯として、押出機のクロスヘッドから押出した円筒状のチューブを素材とし、このチューブを押出直後の溶融状態において押圧して偏平化したものを用いるとともに、この偏平化したチューブからなる条帯同士の接合を溶融状態にある硬質樹脂製の螺旋補強体との溶着により行うことにより、ダイを交換することなく、条帯の幅及び肉厚を自在に調整して容易に可撓性ホースを得ることができる。
【0009】
すなわち、押出機のクロスヘッドダイを使用の場合、連続して押し出すチューブの内部にエアを吹き込んでチューブの直径を拡大することが可能であり、この拡径されたチューブを偏平にすればより広幅の条帯となることから、チューブの拡径程度を加減することにより条帯の幅を自在に調整できる。他方、条帯の肉厚は、チューブの円周方向の肉厚を均一にする偏肉調整が調芯ボルトにより容易に行うことができ、かつ、ダイとニップルとの間隙で決定されるチューブ自体の肉厚はニップルの位置を移動させることにより容易に調整できて、チューブの肉厚調整が容易であることに基づき、自在に変化させることができるものである。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る基本的なホースの管壁の一部を断面で示した全体形状を示し、可撓性ホース1は、軟質合成樹脂からなるホース壁2の外周面に硬質合成樹脂からなる螺旋補強体3が添着されて形成されている。
【0011】
ホース壁2は、軟質合成樹脂として例えばオレフィン系TPE,スチレン系TPE,ウレタン系TPE,水素添加スチレンブタジエンラバー(HSBR)などの熱可塑性エラストマー(TPE)やこれらの混合材料からなる条帯4を螺旋状に捲回して形成されるが、この条帯4は図2に示す押出機のクロスヘッド10から押し出されたチューブ5を偏平にして形成されている。
【0012】
すなわち、図2はクロスヘッド10の構成図で、押出チューブ5の直径形状に対応する固有の成形治具であるダイ11とニップル12の間隙から、押出機13で溶融された樹脂が注出される。なお、14はチューブ5の円周方向の肉厚を均一にするための調芯ボルト、15はニップル12に連結されたマンドレルでその内部はチューブ5内にエアーを吹き込み可能なエアー通路16が形成されている。
【0013】
クロスヘッド10から押し出されたチューブ5は、図3に示すように、押出直後に一対の押圧ローラ17,18間に挿通され押し潰されて偏平化したチューブ5aとなり、このチューブ5aを条帯4として図示しないホース成形回転軸上に螺旋状に捲回する一方、図示しない別の押出機より押し出された直後の溶融状態の硬質合成樹脂例えば条帯4と相溶性があり熱融着可能なポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂製の螺旋補強体3を条帯4の隣接側縁の接合部4aに捲回して融着することにより、既に冷却されてそれ自身では接着性のない条帯4同士が連結一体化されている。なお、本実施例では、チューブ5が偏平化された際にチューブ5aの内壁面A同士が密着された条帯4が用いられいる。また、隣接する条帯同士の接合は接着剤を用いて行ってもよいし、螺旋補強体3は条帯4の内周面に添着してもよいほか、好ましくは、条帯4を螺旋状に捲回する前に長手方向に延伸させておくことにより、捲回後自然状態に復帰した際にホース壁2をホース内方に湾曲させた状態に形成することができる。
【0014】
図4は、クロスヘッド10のダイ11を交換することなく、条帯4の幅を広くする場合を示し、マンドレル15のエアー通路16からチューブ5の内部にエアーを吹き出してその径を拡大しながらダイ11から押し出した後、一対の押圧ローラ17,18間に挟み込んで偏平化すると、図5のように、直径が拡大されたチューブ5bから幅広の条帯4bを形成することができる。なお、図2に示すマンドレル15の取付ボルト19の位置を矢印方向に移動させて調整して、ダイ11とニップル12の間隙を広げ若しくは狭くし、あるいは調芯ボルト14によりダイ11を矢印方向に移動させて偏肉を調整して、押し出しチューブ5の肉厚を変化させることにより、肉厚を自在に変化させた厚肉あるいは薄肉の肉厚が均一な条帯を形成できる。
【0015】
以下、本発明の他の実施例を示すもので、図6は、内層6と外層7とからなる多層構造の押し出しチューブ5cを偏平化した多層条帯4cを用いる例を示し、例えば図7に示すホース壁2を形成したホース、本例では内外層に異なる材質の合成樹脂を用いて、ホース壁2の内外表面を構成する外層7に耐摩耗性に優れた高価な材料を、内層6に安価な汎用材料を選定することにより、比較的低コストで高品質のホースを得ることができる。
【0016】
図8は、押し出しチューブを偏平化する際にチューブの内壁面同士が密着しない部分を設けた条帯4によりホース壁2を形成した例を示す斜視図であり、本例では図8のB−B線における断面を示す図9のように空隙部8をホースの周方向に沿って所定の間隔で断続的に形成し、意匠的効果とともに屈曲性の改良を図ったものである。なお、空隙部8は、例えばチューブを偏平化する一対の押圧ローラ17,18の当接面に凹凸を設けて(図示せず)、その凸部でのみチューブを密着させ凹部では密着しないようにして形成され、凹凸部をローラ表面の適宜の位置に設けることにより自在の位置に形成でき、空隙部6をホース全長に亘り螺旋状に連通させて形成してもよい。
【0017】
図10は、押出成形中のチューブの内部にクロスヘッド内から内挿物を内蔵さたまま偏平化した条帯4dからホース壁2を形成した例を示し、本例では条帯4d内部に導電線9を挿入してホースに電気回路を形成できるするようにしているが、内挿物としては導電線に限らずホースの強度向上等を目的として繊維や樹脂フィルム等の長尺物や粉状物を使用することができる。
【0018】
図11は、可撓性ホース1を構成する条帯4内部の空隙部をホース全長に亘り螺旋状に連通した空隙部とした例を示す斜視図で、条帯4の長手方向に沿って点線で示すように蛇行状に連通した空隙部8aがホース壁2に設けられ、図12では条帯4の長手方向に沿って2条の空隙部8b,8bがホース壁2に設けられている。これらの実施例では、前記空隙部8a,8b内に空気を導入すればホース壁2がホース軸心方向に沿って伸長し、空気を排出すれば収縮することにより、ホース壁2を伸縮自在に構成できるものである。
【0019】
図13は、ホース壁2に添着する硬質樹脂製の螺旋補強体3を、その周囲に被着した軟質樹脂製の被覆層20とともに共押出により成形し、条帯4の隣接側縁の接合部4aおよび幅方向の中間部4bに捲回した例を示すもので、被覆層20として条帯4と強い溶着強度をもつ軟質樹脂材料を選択することで、ホース壁2と螺旋補強体3の接着強度を高めることができ、かつ螺旋補強体3の材料選択範囲を広くすることができる。なお、図14に示すように、被覆層20は、螺旋補強体3の全周に亘って被着する必要はなく、少なくとも条帯4との当接部分に被着するようにしてもよい。
【0020】
図15は、溶融チューブ5を周方向において一部厚肉部分21を有するように偏肉化して押出成形し、これを偏平化して幅方向の端部および中央部に厚肉部22が形成された条帯4の例を示すもので、図16に示すように、螺旋状に捲回された条帯4の厚肉部22に螺旋補強体3を添着するようにして、ホース屈曲時に応力が集中する螺旋補強体3と条帯4との接合部を補強し亀裂の発生を防止するものである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、押出機のヘッドから押出成形されるチューブを偏平化した条帯を用いることにより、ヘッドのダイを交換することなく、条帯の幅や肉厚を広範囲に亘って自在に調整でき、種々の用途や性能のホースの成形に対応できるので作業を能率的に行うことができる。また、ホースの屈曲時に応力が集中する螺旋補強体と条帯との接合部が厚肉化されており、接合部における亀裂発生を防止できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るホースの一部断面側面図である。
【図2】押出機のクロスヘッドの概略図である。
【図3】押し出しチューブを偏平にする状態を示す図である。
【図4】チューブを拡径してから偏平にする状態を示す図である。
【図5】径大チューブが偏平にされて幅広条帯になる説明図である。
【図6】多層チューブが偏平にされて多層条帯になる説明図である。
【図7】多層条帯からなるホース壁の拡大断面図である。
【図8】内部に空隙部を有する条帯からホース壁を形成したホースの部分斜視図である。
【図9】ホース壁の図8B−B線における断面図である。
【図10】内部に導電線を内蔵した条帯からなるホース壁の拡大断面図である。
【図11】空隙部が螺旋状に連通したホースの例を示す部分斜視図である。
【図12】空隙部が螺旋状に連通したホースの他の例を示す部分斜視図である。
【図13】他の実施例を示すホース壁の拡大断面図である。
【図14】他の実施例を示す螺旋補強体の拡大断面図である。
【図15】偏肉化されたチューブが偏平にされて厚肉部を有する条帯になる説明図である。
【図16】他の実施例を示すホース壁の拡大断面図である。
【図17】従来の押出機ストレートヘッドの概略図である。
【図18】図17のダイの形状を示す図である。
【符号の説明】
1 可撓性ホース
2 ホース壁
3 螺旋補強体
4 条帯
5 チューブ
6 内層
7 外層
8 空隙部
9 導電線
10 クロスヘッド
11 ダイ
12 ニップル
13 押出機
14 調芯ボルト
15 マンドレル
16 エアー通路
17,18 押圧ロール
19 取付ボルト
20 被覆層
21 厚肉部分
22 厚肉部
Claims (3)
- 押出機のクロスヘッドから押出した軟質樹脂製のチューブを押出直後の溶融状態において押圧して偏平化しかつ前記チューブの内壁面同士を密着してなる条帯を螺旋状に捲回するとともに隣接する側縁同士を接合してホース壁を形成し、このホース壁に硬質樹脂製の螺旋補強体を添着する可撓性ホースの成形方法であって、前記クロスヘッドのダイとニップルの間隙を調整し、この間隙から押し出される溶融チューブの肉厚を調整することにより、条帯の肉厚を調整できるようにしてあることを特徴とする可撓性ホースの成形方法。
- 溶融チューブを周方向において一部厚肉部分を有するように偏肉化し、条帯の幅方向において厚肉部を形成するようにした請求項1に記載の可撓性ホースの成形方法。
- 条帯の厚肉部に螺旋補強体を添着するようにした請求項2に記載の可撓性ホースの成形方。
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