JP4074769B2 - 電子楽器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、録音機能を有する電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
音源で生成される楽音波形を録音する装置の中にサンプラと呼ばれるものがある。このサンプラにシーケンサ(自動演奏装置)や外部音源などを接続して、所定の演奏データをシーケンサで再生し、その出力である発音指示を受けた外部音源の出力の楽音波形をサンプラに録音することがある。このときには複数の演奏データであるところのシーケンスパターンを再生した結果をそれぞれ個別に録音して、それらを併せてループ再生を行うこともある。このような場合にはそれぞれのシーケンスパターンの先頭に対応する楽音波形の位置をそれぞれ一致させてループ再生を行わなければならない。そのために録音を行うときにそれぞれのシーケンスパターンの先頭に対応する楽音波形の位置がすべてあうようにタイミングを見計らって録音操作を行い、停止するようなことを行わなければならない。
【0003】
また、このようなことを避けるために、サンプラの中にはそれぞれのシーケンスパターンがそれらの先頭位置と終了位置とで同期するように録音を行うときにスタートポジション/エンドポジションの設定を行なうものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、従来の録音機能を持つサンプラにシーケンスパターンにしたがって楽音波形を録音して、それらの録音された各シーケンスパターンにしたがって楽音波形を同期させて再生する場合に、複数のシーケンスパターンの、それぞれの先頭に対応する楽音波形の位置を一致させるためにタイミングを計って録音操作を行ったり、録音操作を行うときにスタートポジション/エンドポジションの設定を行ったりしなければならない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、シーケンスパターンの録音、再生を簡単な操作で可能にする電子楽器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1の電子楽器は、シーケンスパターンをループ再生して楽音波形を繰り返し生成する自動演奏手段と、
前記自動演奏手段により生成された楽音波形の録音および該録音した楽音波形の再生を行う波形録音再生手段と、
前記波形録音再生手段への録音の開始を指示する録音指示手段とを備え、
前記波形録音再生手段は、前記自動演奏手段による楽音波形の生成中に前記録音指示手段による録音の開始が指示されると、該自動演奏手段によりループ再生中のシーケンスパターンの先頭が到来したときに録音を開始し、該自動演奏手段により生成中の楽音波形を、該楽音波形の生成に同期してあらかじめ指定されたループ1周分もしくは複数周分、録音するものであることを特徴とする。
上記本発明の第1の電子楽器によれば、上記録音指示手段によって録音指示を行うだけで、シーケンスパターンの先頭から録音することができて、その録音された楽音波形を再生するときにはわざわざ操作を行わなくても各シーケンスパターンの先頭に対応する楽音波形の位置を一致させて同時に再生を行うことができる。
また上記目的を達成する本発明の第2の電子楽器は、シーケンスパターンをループ再生して楽音波形を繰り返し生成する自動演奏手段と、
前記自動演奏手段により生成された楽音波形の録音およびその録音した楽音波形の再生を行う波形録音再生手段と、
前記波形録音再生手段への録音の開始を指示する録音指示手段とを備え、
前記波形録音再生手段は、前記自動演奏手段による楽音波形の生成中に前記録音指示手段による録音の開始が指示されたときに、該自動演奏手段により生成中の楽音波形を、該楽音波形の生成に同期してあらかじめ指定されたループ1周分もしくは複数周分、該自動演奏手段によりループ再生中のシーケンスパターンの先頭に対応する楽音波形位置を表す記憶アドレス情報を含んで録音するものであることを特徴とする。
【0007】
上記発明の電子楽器によれば録音指示手段によって録音指示を行うだけで、シーケンスパターンの先頭位置に対応する楽音波形の位置を含んで録音することができて、その録音された楽音波形を再生するときにはわざわざ操作を行わなくても各シーケンスパターンの先頭に対応する楽音波形の位置を一致させて同時に再生を行うことができる。
【0008】
ここで前記波形録音再生手段は、前記自動演奏手段により生成中の楽音波形を、あらかじめ指定されたループ1周分もしくは複数周分録音した時点で録音を終了するものであることが好ましい。
【0009】
このように予め指定されたループ1周分もしくは複数周分録音したときに自動的に録音を終了するように構成した場合は録音終了の指示をわざわざ与えなくても済む。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の電子楽器の構成を示す図である。
【0012】
この電子楽器10は、CPU11によって制御される。そのCPU11にバス12を介してROM13、RAM14、音源15がそれぞれ接続されている。
【0013】
ROM13には自動演奏装置が動作するためのプログラムおよびシーケンスパターンが格納されている。また、RAM14には動作が実行されるときに必要なシーケンスパターンなどが一時的に格納される。このときにはRAM14はワーキング用のメモリとして機能する。
【0014】
音源15では音源用RAM16に格納された各波形データを読み出し、この読み出された各波形データを楽音信号として図示しないアンプへ出力する。そしてアンプで増幅された楽音信号が図示しないスピーカを介して楽音として空間に放音される。このようにROM13などに格納したシーケンスパターンが順次、読み出される部分までをシーケンサと呼んでいる。ここではCPU11とROM13とRAM14とがシーケンサに相当する。
【0015】
また、本実施形態の電子楽器10が備える音源15には波形録音再生手段に該当するサンプラが配備されており、音源用RAM16を用いて楽音波形の再生や記録も行えるようになっている。サンプラが楽音波形を記録するときにはCPU11によって読み出されたシーケンスパターンに基づいて音源15が楽音波形を読み出しているときにその楽音波形を順次音源用RAM16に録音していく。このようにして楽音波形の録音を行うときには音源用RAM16内の4つの録音トラックに異なるシーケンスパターンに対応する楽音波形がそれぞれ録音可能となる。
【0016】
そしてこの電子楽器10にはユーザが電子楽器10に対してどのような動作をさせるかを指示する操作子群17が配備されている。この操作子群17は電子楽器10の一部に配設される操作パネル上に配列された操作子群で構成される。
【0017】
図2を参照して操作子群17が配設される操作パネルの構成を説明する。図2は操作子群17が配設される操作パネルの構成図である。
【0018】
図2の左上には音色を示すトーン(以下TONEという)を表わすデータ、演奏のテンポを示すBPMを表わすデータ、シーケンスパターン(以下PTNという)を表わすデータのいずれかを選択するための表示切替スイッチ171が配設されている。その表示切替スイッチ171に隣接して表示部172が設けられている。この表示部172にはTONE、BPM、PTNを表わすデータがその表示切替スイッチ171の押下回数によって切替えられて表示される。押下回数によってTONE、BPM、PTNのうち、いずれのデータの内容が表示部に表示されるかは表示部の端部に設けられた、3つのLEDの発光によって分かる。また、TONE、BPM、PTNのいずれかが表示切替スイッチ171で選択されて、この表示部172でTONE、BPM、PTNのいずれかのデータが切替えられて表示されているときに、その表示されたデータの内容の変更がその表示部172の脇に隣接して設けられた入力スイッチで行える。
【0019】
上向きの三角形で表わされる入力スイッチはインクリメントスイッチ173で、下向きの三角形で表わされる入力スイッチはデクリメントスイッチ174である。
【0020】
この電子楽器には4つのトラックがある。これらの4つのトラックのうち、いずれかのトラックを録音トラックとして指定するためのサンプラトラック選択スイッチ176がそれぞれのトラックに対応して設けられている。これらのトラックに録音された楽音波形が再生されるときの楽音の音量を調整するためのサンプラトラックレベルボリューム175も4つのトラックそれぞれに設けられている。
【0021】
さらにサンプラトラック選択スイッチ176の下側には録音スイッチ177、再生スイッチ178、停止スイッチ179がそれぞれ設けられている。これらのスイッチは4つの録音トラックのうち、いずれかの録音トラックをサンプラトラック選択スイッチ176で選択したときにその選択された録音トラックへの録音指示を行う録音スイッチ177、サンプラを含む自動演奏手段に対して再生を指示するための再生スイッチ178、再生中にその再生を停止させたり、録音中にその録音を停止させる停止スイッチ179に当たる。これらのスイッチの中の録音スイッチ177が録音指示手段に該当する。また、再生スイッチ178が押されたときにサンプラを含む自動演奏手段で再生される全体の音量の調整を行うためのボリューム178aも設けられている。再生スイッチ178が押されると、シーケンサが設定されているテンポ値(BPM)で自動演奏を開始すると同時に、4つのサンプラトラックのうち、すでに録音されているトラックがシーケンサに同期して読み出しを開始する。このとき、シーケンサが選択されているパターンの先頭に同期して各トラックの先頭アドレスから読み出しを開始し、パターンの終了時には、各トラックの終了位置まで読み出しを完了する。シーケンサでは、設定されているテンポ値に応じて時間の進行速度を変更することによりテンポが変更されるがサンプラではサンプリング周波数を変更することによりシーケンサによる自動演奏と同期をとる。
【0022】
操作の一連の手順を図2を参照して詳細に説明する。
【0023】
まず、表示切替スイッチ171を1度押下するとBPM、TONE、PTNを表わすデータのいずれかが選択される。たとえば現在、表示部172に表示されているものがTONEを表わすデータだとすると1回、押下すればBPMを表わすデータへ、更に1回、押下すればPTNを表わすデータへと変わる。
【0024】
そしてTONE、BPM、PTNを表わすデータのうち、いずれかのデータが切替えられて表示されたら、インクリメントスイッチ173あるいはデクリメントスイッチ174を用いてTONE、BPM、PTNに対応するデータの内容をそれぞれ変更する。表示切替スイッチ171を操作し、表示部172をPTNにし、インクリメントスイッチ173とデクリメントスイッチ174を用いて、任意のシーケンスパターンを選択する。次に同じく、表示切替スイッチ171とインクリメントスイッチ173とデクリメントスイッチ174を操作して、任意の音色とBPM即ち、テンポの選択あるいは設定をする。
【0025】
そして次にサンプラの録音トラックを選択する。サンプラの録音トラックはサンプラトラック選択スイッチ176のうち、いずれかのサンプラトラック選択スイッチ176を押下して選択する。
【0026】
たとえば図2中、一番左側のサンプラトラック選択スイッチ176を選択したとすると第1トラックへの録音が可能になる。このときに録音スイッチ177が押下されると第1トラックへの録音が開始され、その時選択されているシーケンスパターンの再生が終了するとサンプラへの録音も終了する。また、本実施形態の電子楽器10では再生スイッチ178が押下されて繰り返し再生中に、録音スイッチ177が押下されると、繰り返し再生の先頭に戻ることに同期して第1トラックへの録音が開始される。そしてシーケンスパターンが一巡分再生されるとその録音も終了し、次に、録音されたサンプラの楽音波形の再生もサンプラを含む自動演奏手段で行われる再生に同期して先頭から開始されるようになっている。
【0027】
また、再生スイッチ178はサンプラを含む自動演奏手段で楽音の再生開始指示を行うもので、この再生開始指示が行われればサンプラを含む自動演奏手段でシーケンスパターンの再生が行われる。このときの全体の音量はボリューム178aによって変化する。
【0028】
ここで図1に示すCPU11で行われる処理を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
図3は、録音スイッチ177が押下されたときのCPUでの処理の手順を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS1ではサンプラを含む自動演奏手段がプレイ中であるかどうかが判定される。ここでシーケンスパターンが繰り返し再生されていてYと判定されたら、プログラム内のフラグがオンする。もし、再生されていなくて、ここでNと判定されたらステップS3でフラグがオフになる。そしてステップS4でサンプラを含む自動演奏手段に対して再生開始指示が行われる。このときには表示部172に表示されている表示内容に基づいてROM内のシーケンスパターンが読み出されてそのシーケンスパターンに基づいてループ再生が行われる。
【0031】
ステップS5でループ再生されているシーケンスパターンの始点の検出が行われる。録音スイッチ177が押下されたときに、繰り返し再生中であればシーケンスパターンの始点が検出されるまで繰り返しこのステップS5での処理を行い、繰り返し再生中でなければ直ちにシーケンスパターンの始点が検出され、ステップS5の処理が行われる。そしてシーケンスパターンの始点が検出されたら次のステップS6へ移行し、サンプラに対して録音指示が行われて録音が開始される。
【0032】
ステップS7ではサンプラを含む自動演奏手段により再生中のシーケンスパターンの終点の検出がCPUによって行われる。再生中のシーケンスパターンの終点が検出されるまでこのステップS7での処理が繰り返し行われ、シーケンスパターンの終点が検出されたらステップS8でサンプラに対して録音終了の指示が行われて、録音を終了する。
【0033】
ステップS9においてフラグオフの場合には録音スイッチ177が押下されたときにサンプラを含む自動演奏手段が非動作であったことが分かるので録音終了時にステップS11でサンプラを含む自動演奏手段が停止される。これに対し、フラグがオンであった場合にはそのままフローを終了し、サンプラを含む自動演奏手段は繰り返し再生を続ける。このときには始点が検出されているのでサンプラを含む自動演奏手段の再生に同期してサンプラで自動的に再生が行われる。そして表示部切替スイッチS172で切替が行われて、別のシーケンスパターンや音色、テンポ等が選択され、サンプラトラック選択スイッチ176によって録音を終了したトラックとは別のトラックが選択されて録音スイッチが押下されると、別のシーケンスパターンの録音がその選択されたトラックに対して行われる。
【0034】
以上説明したように録音指示手段(録音スイッチ)によって録音指示が行われると、生成されるシーケンスパターンの先頭に同期して、楽音波形の書き込みを開始している。このことは、書き込みを行う記憶エリアの先頭番地が、シーケンスパターンの先頭に一致していることに他ならない。したがって、再生を行う場合はシーケンスパターンの先頭に同期して、記憶エリアの先頭のアドレスから読み出せば、シーケンサと波形読み出しの同期が取れることになる。
【0035】
上記実施例では、録音指示があったとき、シーケンスパターンが先頭に来るのをまってメモリへの書き込みを開始したが、これに限らず、途中から書き込みを始めて、シーケンスパターンの先頭が来た時に、そのときのアドレスを記憶しても再生するときにその記憶したアドレスから読み出しを開始できるので同期をとって再生することができる。
【0036】
テンポを変更する場合には、サンプラが記憶した時のサンプリング周波数を記憶しておいて、変更されたテンポに応じてサンプリング周波数を変えれば同期して演奏を行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では1ループ分のシーケンスパターンに併せて録音を行う場合を示したが、本発明はこれに依らず、複数周分のシーケンスパターンの先頭を検出して、その複数周分のシーケンスパターンの終了を以って録音を終了させるような構成としても良い。
【0038】
また、本実施形態では録音トラックを選択する為の、サンプラトラック選択スイッチ176だけであったが、再生するトラックを選択する為の、再生トラック選択スイッチを各トラック毎に設けて、選択した再生トラックとシーケンスパターンの再生とを合せて、選択された録音トラックに録音を行えるようにしても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子楽器によれば、複数のシーケンスパターンの録音、再生を簡単な操作で可能にする電子楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子楽器の構成を示す図である。
【図2】図1に示す操作子の部分を構成する操作パネルを示す図である。
【図3】図2に示すCPUで行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 電子楽器
11 CPU
12 バス
13 ROM
14 RAM
15 音源
16 音源用RAM
17 操作子群
Claims (3)
- シーケンスパターンをループ再生して楽音波形を繰り返し生成する自動演奏手段と、
前記自動演奏手段により生成された楽音波形の録音および該録音した楽音波形の再生を行う波形録音再生手段と、
前記波形録音再生手段への録音の開始を指示する録音指示手段とを備え、
前記波形録音再生手段は、前記自動演奏手段による楽音波形の生成中に前記録音指示手段による録音の開始が指示されると、該自動演奏手段によりループ再生中のシーケンスパターンの先頭が到来したときに録音を開始し、該自動演奏手段により生成中の楽音波形を、該楽音波形の生成に同期してあらかじめ指定されたループ1周分もしくは複数周分、録音するものであることを特徴とする電子楽器。 - シーケンスパターンをループ再生して楽音波形を繰り返し生成する自動演奏手段と、
前記自動演奏手段により生成された楽音波形の録音および該録音した楽音波形の再生を行う波形録音再生手段と、
前記波形録音再生手段への録音の開始を指示する録音指示手段とを備え、
前記波形録音再生手段は、前記自動演奏手段による楽音波形の生成中に前記録音指示手段による録音の開始が指示されたときに、該自動演奏手段により生成中の楽音波形を、該楽音波形の生成に同期してあらかじめ指定されたループ1周分もしくは複数周分、該自動演奏手段によりループ再生中のシーケンスパターンの先頭に対応する楽音波形位置を表す記憶アドレス情報を含んで録音するものであることを特徴とする電子楽器。 - 前記波形録音再生手段は、前記自動演奏手段により生成中の楽音波形を、あらかじめ指定されたループ1周分もしくは複数周分録音した時点で、録音を終了するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子楽器。
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