JP4074354B2 - 内部発生ガス排出型チューブ容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスが発生しやすい内容物の収納に適した内部発生ガス排出型チューブ容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりポリエチレン、アルミ箔等を貼り合せてなる積層シートの両端を接着して筒状体を形成し、さらにその筒状体の一端に内容物吐出口と、該吐出口を開閉するためのキャップの取付け用ネジ部を具備する口頭部を形成したラミネートチューブと呼ばれるチューブ容器が、薬品、化粧品、食品、塗料、練り歯磨き等の分野で広く使用されている。
【0003】
このようなチューブ容器は胴体部に復元性があるので、使用時も美観を損うことがなく、押し出しや折り曲げによって容易に破れることもないので、衛生的で使用性に優れている。又、表面に美麗な印刷や着色を施すことも可能で、商品のディスプレイ効果にも優れ、上記各分野で需要を伸ばしてきた。
【0004】
しかしながら、未だにラミネートチューブが使用できない内容物がある。例えば、過酸化水素を含む染毛剤2剤やパーマ液、脱色剤、食品、染料、薬品等の一部をラミネートチューブに封入する場合には、内容物中に含まれる過酸化水素等が経時的に分解されて酸素等のガスが発生し、チューブの内圧が上昇して、ついには破裂してしまうという問題点があった。
【0005】
このような問題点を解決するために、従来ではいくつかの提案がなされている。例えば実開平1−154141号では、チューブ口部やエンドシール部に微細通気孔を設けて、ガス排出のルートを確保する試みがなされている。又、実開平1−170637号では、チューブのエンドシール部に編織布片又は不織布片を介挿し、これら布片の断面を通して、内部発生ガスを排出する試みがなされている。しかしながら、上記いずれの試みも、ガス排出経路に内容物が直接接触するため、目づまりを起こす等の問題が生じ、実用上十分な効果は認められていない。
【0006】
以上のような経過をふまえて、現在、ガス発生内容物を収納する容器としては、金属製の外チューブに合成樹脂製の内チューブを嵌合した2重チューブと呼ばれる複合チューブでの対応がなされている。この種のチューブの多くは、内チューブとしてポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレンを材質とした単層チューブが用いられ、外チューブをアルミ製チューブとし、口部に合成樹脂製のニップルを嵌合する際に、外チューブと内チューブを挾み込んで一体化している。そして、チューブ内部にて内容物が分解して発生したガスは、ガス透過性の優れたポリエチレン製の内チューブの壁面を透過して、外チューブと内チューブの間の空間に排出され、さらにその空間隙間を通って、裾折り返し部のかしめ隙間と、口部先端の嵌合隙間から外部に排出される仕組みとなっている。
【0007】
この場合、仮に金属製の外チューブのみとすると、発生ガスを効率よく排出することができないので、内圧が上昇してチューブが膨脹し、非常に見苦しくなるばかりでなく、内圧によって内容物が漏れ出る等の不具合を生じる。又、合成樹脂製チューブだけでは、ガス透過性を確保するために、壁厚を厚くすることができないので、押出しチューブ容器としての適度のコシと強度を得ることができない。
【0008】
したがって、ガスが発生しやすい内容物の収納用チューブとしては、前述の2重チューブのみが現在唯一実用に耐え得るチューブ容器として用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の2重チューブは、外チューブである金属チューブと、内チューブである合成樹脂製チューブとを全く別々の設備、方法で各々成形し、次にその両者を重ね合せ、さらにニップル等を用いて一体化するという非常に煩雑な工程を経て完成されるため、コストが頗る高いという欠点がある。又、外チューブ、内チューブそれぞれの製造装置や、両者の重合装置、一体化装置等の特別な専用装置が必要で、設備が大がかりとなり、広大な工場スペースが必要である。さらに、実質的な使用感や外観は、ごく一般的な金属チューブと同じであるので、消費者が使用する際に押出しや折り曲げによって破れ等を生じやすく、扱い難く、美観に欠けるという欠点もある。又、上記製造工程や内容物の充填工程において、僅かな外力の作用によって凹みが生じ不良品が発生しやすい。その上、外チューブが通常壁厚0.1ミリ以上の金属チューブで形成され、内チューブが通常壁厚0.2ミリ程度の合成樹脂製チューブで形成され、その両者が分割不可能なように重合一体化されているので、特に近年では使用済後の廃棄物処理が問題視されている。
【0010】
そこで本発明では成形が容易で、内部発生ガスの排出も十分に行うことができ、しかも扱いやすく、外観も良く仕上げることができ、廃棄物処理にもなんら問題のないチューブ容器を得るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂からなる外層と、同じく合成樹脂からなる内層と、その中間に位置する気体の流通の自由な気体流通層とから構成されるラミネート原反を用い、これを筒状体に成形し、さらにその筒状体の一端に、合成樹脂からなる口頭部を取付けてなることを特徴とする内部発生ガス排出型チューブ容器である。
【0012】
図1は本発明の構成を説明するための一部切断正面図であり、チューブ胴部を形成するラミネート原反は、外層1、内層2、気体流通層3よりなるもので、5は合成樹脂よりなる口頭部、6は対面する内層同士をヒートシールしてなるエンドシール部である。
【0013】
本発明の構成に用いる上記ラミネート原反は原則的に図2に示す層構成をもつ。図中1は外層で、2が内層、3が気体流通層である。又、チューブに適当なコシと機械強度、寸法安定性、遮光性等を得るために、必要に応じて基材層を設けることも可能であるが、その場合は、ガス排出効果を有効に保つために、図3に示すように、基材層4を気体流通層3より外層1側に配置する必要がある。
【0014】
上記内層2の材質としては、ポリオレフィン系樹脂、特には低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびエチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−カルボン酸共重合体、アイオノマー樹脂等のヒートシール可能な合成樹脂を1層又は複数層組み合せた材質から選択できるが、特に気体透過性に優れ、安価で、かつ耐水性、耐薬品性に優れる低密度ポリエチレンが好ましい。
【0015】
気体流通層3の材質としては、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、セルロースのような紙、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン等の繊維からなる不織布及び編織布、又、連続気泡の合成樹脂発泡体、スパンボンドあるいは微孔フィルム等を1層又は複数層組み合せた材質が挙げられるが、ヒートシールされても気体の流通隙間が確保できる材質であることが重要で、特に紙が好ましい。
【0016】
外層1の材質については特に制限はないが、多くの場合、チューブの胴体部を筒貼り成形する際に、図4に示すようなオーバーラップシールが必要であるので、内層2に対してヒートシール性の優れた材質を選択するのが好ましい。又、美しい外観や商業的なディスプレイ効果を得るために、外層1の中に着色剤や印刷層を設けても良い。適宜複数種類の層を組合せて用いてもよい。
【0017】
前述の基材層4の材質としては、アルミ箔、紙あるいはポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等の合成樹脂フィルム又はそれらの樹脂フィルムに無機酸化物薄膜層を蒸着したフィルムや、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を1層又は複数層組み合せた材質が挙げられるが、内容物の保護性の面から、代表的にはアルミ箔あるいは酸化珪素蒸着ポリエステルフィルムあるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いるのが好ましい。
【0018】
なお、内層2、気体流通層3、基材層4、外層1の各層間には適宜接着層を設けるのは言うまでもない。ただし、内層2と気体流通層3との間の接着は、ガス透過性を妨げないようにする必要がある。
【0019】
本発明のチューブ容器は、内容物を収納して時間が経過すると、内容物の種類によっては分解して酸素ガスなどのガスを発生する。発生したガスはガス透過性の優れた材料で作られている内層2を透過して気体流通層3に達する。気体流通層3は、紙、不織布等の気体の流通が自在な通気性材料であるので、当該層に達したガスは、徐々にではあるが、順次発生するガスによって、エンドシール部6の原反断面に追いやられ、やがてチューブの外部に排出される。このときエンドシール部6は、従来のラミネートチューブと同様に内層2同士が完全に熱溶着されているので、内容物が漏れ出すことがない。又、気体流通層3は内部で発生するガスを有効に排出できる程度の通気孔を有しているものであるが、その内側を耐水性、耐薬品性に優れる合成樹脂製の内層2によってカバーされているので、直接内容物と接触することはなく、発生した気体のみが有効に排出される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0021】
実施例1
チューブに成形した際に外側となる層から順に低密度ポリエチレン(LDPE)、白色低密度ポリチレン(wLDPE)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アルミ箔(Al)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、紙、低密度ポリエチレン(LDPE)を積層したラミネート原反を筒状に成形し、その一端に、同時成形法により、高密度ポリエチレンを材質とした口頭部を成形してラミネートチューブを得た。この原反の層構成を略号をもって示せば下記のとおりである。
【0022】
LDPE/wLDPE/EMAA/Al/EMAA/紙/LDPE
すなわち、この実施例は、気体流通層として紙を用い、同層の外層側に基材層としてアルミ箔を設けた例である。
【0023】
実施例2
チューブに成形した際に外側となる層から順に、wLDPE、ポリエチレン(PE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、PE、紙、LDPEを積層したラミネート原反を用いて実施例1と同様にラミネートチューブを得た。この原反の層構成を略号をもって示せば下記のとおりである。
【0024】
wLDPE/PE/EVOH/PE/紙/LDPE
実施例3
チューブに成形した際に外側となる層から順に、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、酸化珪素蒸着ポリエステル樹脂フィルム(SiOxPET)、不織布、LDPEを積層したラミネート原反を筒状に成形し、その一端にLDPEを射出成形して得た口頭部を熱溶着し、ラミネートチューブを得た。この原反の層構成を略号をもって示せば下記のとおりである。
【0025】
L−LDPE/SiOxPET/不織布/LDPE
実施例4
チューブに成形した際に外側となる層から順に、LDPE、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、Al、EAA、紙、L−LDPEを積層したラミネート原反を筒状に成形し、さらにその外側にw−LDPEを押出しコーティングしてチューブ容器胴体部を得た。この胴体部の層構成を略号をもって示せば下記のとおりである。
【0026】
wLDPE/LDPE/EAA/Al/EAA/紙/L−LDPE
次にこの筒状胴体部の一端にLDPEを射出成形して得た口頭部を熱接着してラミネートチューブを得た。
【0027】
比較例
下記層構成よりなる気体流通層に相当する層のない原反を用いて実施例1と同様にラミネートチューブを得た。
【0028】
LDPE/wLDPE/EMAA/Al/EMAA/LDPE
次に、前記実施例1と比較例で得られたチューブにキャップを嵌合し、染毛剤2剤を充填してエンドシール部をヒートシールし、恒温・恒湿槽50℃/DRY条件下で6ケ月保存した。その結果を表1に示す。なお、ブランク試験では実施例1、比較例共に外観、重量の変化はなかった。
【0029】
【表1】
Figure 0004074354
【0030】
上記結果から、実施例1で得られたチューブ容器は、分解ガスの排出によって若干の重量低下は認められるものの、外観上の膨脹や内容物の漏れだし、変質等の異常は見られなかった。一方、比較例で得られたチューブ容器は内部で発生したガスの蓄積によって膨脹し、5カ月目にはシール部の破裂が見られた。
【0031】
【発明の効果】
本発明によるチューブ容器は、胴体部の材料であるラミネート原反の構成を工夫しただけで、従来通りの一般的なラミネートチューブの製造工程を全く変えることなく、従来通りの一般的な製造設備を用いて、極めて有効なガス排出効果を有するチューブ容器を得ることができる。この場合、ラミネート原反の製造工程、製造設備においても、なんら従来の場合と変わるところはなく、特別な加工技術や、特別な装置を使用する必要はないので、チューブの製造コストも従来のごく一般的なラミネートチューブと変わりがない。
【0032】
外観や使用性は、実質的に従来のラミネートチューブと全く同一であるので扱いやすく、チューブの製造工程、内容物の充填工程における不良率も大幅に低減される上、使用時の押出しや折曲げによってチューブが破損したり、美観を損なったりすることはない。
【0033】
美麗な印刷を施したり、材料自身を着色することも可能で、商品としてのディスプレイ効果も優れている。
【0034】
内容物と直接接触する内層は、耐水性、耐薬品性に優れる合成樹脂から選択され、必要に応じて、アルミ箔等の基材層を設けることもできるので、内容物の保護も十分である。又、エンドシール部は内層同士が完全に熱溶着されているので、内容物が漏れ出すことはなく、発生したガスのみを有効に排出することができる。
【0035】
封入される内容物の種類やガス発生量に応じて、内層及び気体流通層の材質と厚み、あるいはエンドシールの方法やローレットパターンを選択することにより、ガス排出量を確実かつ容易にコントロールすることができる。この場合も設備、工程を特に変える必要はない。
【0036】
基材層として金属箔を含む場合でも、その箔厚さはせいぜい6〜40μmで十分あるので、従来のラミネートチューブ同様、可燃ゴミとして処方できる。又、基材層をポリエステル樹脂、ナイロン樹脂あるいはそれらの無機酸化物蒸着フィルムとしたり、エチレン−ビニルアルコール共重合体とした場合、その廃棄性はより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の一部切欠正面図である。
【図2】本発明の製造に用いるラミネート原反の層構成例を示す。
【図3】本発明の製造に用いるラミネート原反の層構成の他の例を示す。
【図4】オーバーラップシールの説明図である。
【符号の説明】
1 外層
2 内層
3 気体流通層
4 基材層
5 口頭部
6 エンドシール部

Claims (3)

  1. 合成樹脂からなる外層と、同じく合成樹脂からなる気体透過性を有した内層と、その間に位置する気体の流通の自由な気体流通層とから構成されるラミネート原反を用い、これを筒状体に成形し、さらにその筒状体の一端に、合成樹脂からなる口頭部を取付けて、該口頭部の反対側において対面する内層同士をエンドシールし、前記気体透過性を有した内層が低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−カルボン酸共重合体、アイオノマー樹脂より選択した1層又は複数層組み合せた合成樹脂層からなり、前記気体流通層がポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロンのような繊維からなる不織布および編織布、連続気泡の合成樹脂発泡体、スパンボンド、微孔フィルムのいずれかを1層又は複数層組み合せた層からなることを特徴とする内部発生ガス排出型チューブ容器。
  2. 気体流通層と外層との間に基材層を設けてなる請求項1記載の内部発生ガス排出型チューブ容器。
  3. 基材層は、アルミ箔、合成樹脂フィルム又は合成樹脂フィルムに無機酸化物薄膜層を蒸着したものを1層又は複数層組み合せた層である請求項2記載の内部発生ガス排出型チューブ容器。
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