以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図12は、本発明の第1の実施の形態に係り、図1はその土砂用バケットの左方の側面図である。図2は図1の土砂用バケットの上面図、図3は図1の土砂用バケットを右側から見た正面図、図4は、図2中のA部及びB部の拡大図である。図5は、図3中のC部及びD部の拡大図である。図6〜図11は、本発明の土砂用バケットの左右アームと左右フックとその動作の説明図である。そして、各図中で部材を示す符号に丸括弧付きの符号は、左方側面に対称的に設けられている右方側面の部材を示す符号である。図12は、本発明の土砂用バケットを用いた工法を示す斜視図である。
図1〜図3に示すように、土砂用バケット20は、上面開口部21aを有する船形のバケット本体21と(バケット本体21は、樽形でも箱形でもその他の多角形で可能であるが、好適には船形とする)、前記バケット本体21の左右側部に設けられた左右アーム支持部37、(36)にて夫々下端部を頭付き軸39、(39)にて回動自在に枢支され、上端部を中央アーム96にて架設された左右アーム73、(43)とよりなるアーム本体42と、前記中央アーム96の上面側の左右の中央部にクレーン112のワイヤ114のフックを引掛ける連結金具(シャックル)を有し、
前記左右アーム73、(43)に夫々回動自在に枢支された左右フック75、(45)と、前記左右フック75、(45)が夫々掛止又は離脱し得る前記バケット本体21の左右側面の縦補強材32、(32)に設けられた左右のピン32a,(32a)とを含み、前記バケット本体21の重心の位置が、前記左右アーム支持部37、(36)の頭付き軸39、(39)の軸中心同士を結んだ線より前方であって、且つ、前記左右フック75、(45)と夫々掛止又は離脱し得る前記ピン32a,(32a)の軸中心同士を結んだ線より後方との間に位置するようになされている。
この構成を詳述すると、土砂用バケット20を構成する船形のバケット本体21は、上面は上面開口21aとなって開かれており、この上面開口21aにより船形のバケット本体21内の土砂の収容と放出が容易に出来る。更に、船形のバケット本体21は、水平の底板22とこれに連なって斜前方に延在している傾斜底板23と、これらを囲むように右側板24、左側板25、後側板26が配設され船形を形成し、
そして、補強部材として上端外側縁部に右補強材(上)27と、左補強材(上)28と、後補強材(上)29とが設けられ、これら上端に対応するように、下端外側縁部に右補強材(下)33と、左補強材(下)34とが設けられている。更に、傾斜底板23の前側先端上部の下面側には前補強材30が設けられ、そして、水平の底板22の略中央部の下側には、底補強材31が右側から左側に架設され固着されている。
この底補強材31の左右両端部において、後述するように底補強材31が外方に水平に延在して、先端部が上方に向けて右曲げ起し部31aと左曲げ起し部31bとして形成され、夫々右アーム支持部36と左アーム支持部37の一部を構成している。そして、右補強材(上)27と左補強材(上)28の前側先端部には上側と下側の隅に面取りが施されており、土砂用バケット20の使用時に角部が、引掛かったりせず動作が滑らかになるようになっている(図1〜図3参照)。
前記底補強材31の一方の右方端部において、右アーム支持部36が形成されている。即ち、この右アーム支持部36では、前記底補強材31の右端部を、前記右補強材(下)33の右方外側に水平に延在して、その右末端部を上方に向けて右曲げ起し部31aとして形成し、この右曲げ起し部31aの上端部近傍に軸穴31cを設けてある。そして、水平に延在する前記底補強材31の右曲げ起し部31aの内側の水平上面であって、前記右曲げ起し部31aと前記右補強材(下)33との間に、前記右曲げ起し部31aと対向するように内側支持部材38を溶接等で固着し、この内側支持部材38の上端部近傍に、前記右曲げ起し部31aの上端部近傍に設けられた右側の軸穴31cに対応した位置に右側の軸穴38aを設けてある。
ここで後述と一部重複するが、理解しやすいように一部分を概説すると、土砂用バケット20が、バケット本体21とアーム部41とで構成され、そして、このアーム部41が、アーム本体42と連結金具(シャックル)98とで構成され、そして、アーム本体42が、右アーム43と左アーム73と中央アーム96と筋交い部材103(2箇所)とで構成され、更に、右アーム43が右アーム本体44と右フック45と右フック保持部51とで構成され、同様に、左アーム73が左アーム本体74と左フック75と左フック保持部81とで構成されている。
この右曲げ起し部31aと内側支持部材38との間隔は、後述するアーム部41を構成するアーム本体42の一部である右アーム43の右アーム本体44の下方端部の厚さ寸法部分が挿入されて、軸穴31cと軸穴38aとに支承された頭付き軸39が、この右アーム本体44の下端近傍に設けられた軸穴44aにも(前記軸穴31cと前記軸穴38aとの間において)挿通され、右アーム43が軸穴44aに挿通された頭付き軸39を中心に支障なく回動自在となし得る距離でよい。更に、頭付き軸39は、この頭付き軸39の先端部に設けられているピン穴39aに割りピン40を挿通して、抜け防止が図られている(図1〜図3参照)。
前記右アーム支持部36と対称的に、前記底補強材31の他方の左方端では、左アーム支持部37が形成されている。この左アーム支持部37では、前記底補強材31の左端部を、前記左補強材(下)34の左方外側に水平に延在して、その左末端部を上方に向けて左曲げ起し部31bとして形成し、この左曲げ起し部31bの上端部近傍に軸穴31cを設けてある。そして、水平に延在する前記底補強材31の前記左曲げ起し部31bの内側の水平上面であって、前記左曲げ起し部31bと前記左補強材(下)34との間に、前記左曲げ起し部31bと対向するように内側支持部材38を溶接等で固着し、この内側支持部材38の上端部近傍に、前記左曲げ起し部31bの上端部近傍に設けられた左方の軸穴31cに対応した位置に左方の軸穴38aを設けてある。
この左曲げ起し部31bと左方の内側支持部材38との間隔は、後述するアーム部41を構成するアーム本体42の一部である左アーム73の左アーム本体74の下方端部の厚さ寸法部分が挿入されて、軸穴31cと軸穴38aとに支承された頭付き軸39が、この左アーム本体74の下端近傍に設けられた軸穴74aにも(前記軸穴31cと前記軸穴38aとの間において)挿通され、左アーム73が軸穴74aに挿通された頭付き軸39を中心に支障なく回動自在となし得る距離でよい。更に、頭付き軸39は、この頭付き軸39の先端部に設けられているピン穴39aに割りピン40を挿通して、抜け防止が図られている(図1〜図3参照)。
この他に図2、図3、図5のC部拡大図、を参照して、バケット本体21において、右側板24には、前記右アーム支持部36より前方で、前記右補強材(上)27と前記右補強材(下)33とを連結するように右の縦補強材32が固着して設けられている。そして、この右の縦補強材32の右方外側面のほぼ中央部に右のピン32aが固着されている。この右のピン32aには、後述するようにアーム本体42の回動位置により右フック45の右フック本体46の右のピン受け凹部46bが掛止したり又は離脱したりし、アーム本体42を介して右の前記頭付き軸39と、右フック45と掛止する右のピン32aとによりアーム部41にて土砂用バケット20を吊り上げる時に後述する左側板25の部材と共同して、役立つ。
そして、前記右補強材(上)27の上面にて、前記縦補強材32より前方寄りの位置に、右アーム止104を設け、アーム部41を前方に倒す時に、水平から略45度近傍の位置にてアーム部41を構成するアーム本体42の右アーム43の回転を止める働きをする(このことも後述する左側板25の部材と共同する。)。
更に、図2を参照して、バケット本体21の右後方下端部の右側板24と右補強材(下)33との右側面後方隅に右アーム受106を固着してあり、土砂用バケット20内に上面開口部21aより土砂を収容する場合に、アーム部41を後方に倒す必要があり、この場合に、アーム部41を構成するアーム本体42の右アーム43を受止める働きをする。また、土砂用バケット20内の土砂を放出する場合に、クレーン112にて土砂用バケット20を吊り上げて、土砂用バケット20を略垂直状態に引起すと、アーム部41を構成するアーム本体42の右アーム43に右アーム受106が当接してバケット本体21を略垂直方向に受止めて土砂を放出する。
同様に、図1〜図3を参照して、バケット本体21において、左側板25には、前記左アーム支持部37より前方で、前記左補強材(上)28と前記左補強材(下)34とを連結するように左の縦補強材32が固着して設けられている。そして、この左の縦補強材32の左方外側面のほぼ中央部に左のピン32aが固着されている。この左のピン32aには、後述するように左フック75の左フック本体76の左のピン受け凹部76bが掛止したり又は離脱したりし、アーム本体42を介して左の前記頭付き軸39と、左フック75と掛止する左のピン32aとによりアーム部41にて土砂用バケット20を吊り上げる時に前述した右側板24の部材と共同して役立つ。そして、左の前記左補強材(上)28の上面にて、前記縦補強材32より前方寄りに、左アーム止108を設け、アーム部41を前方に倒す時に、水平から略45度近傍の位置にてアーム部41を構成するアーム本体42の左アーム73の回転を止める働きをする(このことも前述した右側板24の部材と共同する。)。
更に、図1、図2を参照して、バケット本体21の左後方の下端部の左側板25と左補強材(下)34との左側面後方隅に左アーム受110を固着してあり、土砂用バケット20内に上面開口部21aより土砂を収容する場合に、アーム部41を後方に倒す必要があり、この場合に、アーム部41を構成するアーム本体42の左アーム73を受止める働きをする。また、土砂用バケット20内の土砂を放出する場合に、クレーン112にて土砂用バケット20を吊り上げて、土砂用バケット20を略垂直状態に引起すと、アーム部41を構成するアーム本体42の左アーム73に左アーム受110が当接してバケット本体21を略垂直方向に受止めて土砂を放出する。
次に、図1〜図3、図4のA部拡大図、図5のC部拡大図を参照して、前述と一部重複するがアーム部41を説明する。アーム部41は、アーム本体42と連結金具(シャックル)98とからなる。そして、アーム本体42は、右アーム43と、左アーム73と、これ等右アーム43と左アーム73との上端部に中央アーム96を架設し、夫々この左右の連結隅部には筋交い部材103が補強配置してなる。そして、前記右アーム43を構成する右アーム本体44の下端近傍に軸穴44aを有する下方端部が、前記右アーム支持部36の前記右曲げ起し部31aと前記内側支持部材38との間に配置され、
そして、右方側の前記軸穴31cと右方側の前記軸穴38aとに支えられている右方側の前記頭付き軸39が、前記軸穴44aに(前記軸穴31cと前記軸穴38aとの間において)挿通されて、右アーム本体44の下方端部が、回動自在に枢支されていて、この右方側の前記頭付き軸39は先端近傍に設けられているピン穴39aに割りピン40を挿通して止められている。
同様に、図1〜図3、図4のB部拡大図、図5のD部拡大図を参照して、前述と一部重複するが、前記左アーム73を構成する左アーム本体74の下端近傍に軸穴74aを有する下方端部が、前記左アーム支持部37の前記左曲げ起し部31bと左方側の前記内側支持部材38との間に配置され、そして、左方側の前記軸穴31cと左方側の前記軸穴38aとに支えられている左方側の頭付き軸39が、前記軸穴74aに(前記軸穴31cと前記軸穴38aとの間において)挿通されて、左アーム本体74の下方端部が、回動自在に枢支されていて、左方側の頭付き軸39は先端近傍に設けられているピン穴39aに割りピン40を挿通して止められている。
この様にして、図2、図3を参照すると、前記アーム部41を構成する前記アーム本体42は、左右の下端部にて前記右アーム支持部36と前記左アーム支持部37とに夫々左右の前記頭付き軸39、(39)に枢支されて、前記バケット本体21の右側から左側に回動自在に跨設されている。そして、左右の前記頭付き軸39は、左右のピン穴39a、(39a)に挿通された左右の割ピン40、(40)により抜け止めされていることは既に述べられている通りである。尚、土砂用バケット20の重心の位置は、左右アーム支持部37,(36)の左右頭付き軸39、(39)の軸中心同士を結んだ線より前方の位置であって、且つ、左右フック75、(45)を掛止又は離脱し得る左右のピン32a,(32a)の中心同士を結んだ線より後方の位置に存在するようになされている。
これにより土砂バケット20が吊り上げられたり吊り下げられたりする場合にも、安定していて確実な運搬作業が可能であり、土砂を放出する場合に、左右フック75、(45)を左右のピン32a,(32a)から外して(離脱させて)、クレーン112のワイヤ114のフック115を連結金具(シャックル)98に引掛けてアーム部41を介して土砂用バケット20を吊り上げると、左右アーム支持部37、(36)より前方にバケット本体21の重心位置が存在するので、確実にバケット本体21は、前端部を下向きにして略垂直状態に吊り下げられ、傾斜底板23に案内されるようにして、バケット本体21内に収容されている土砂を容易に前端部から放出できる。
そして、前記中央アーム96の左右の中間部には連結金具(シャックル)98が設けられている。この連結金具(シャックル)98は、一対の金具99が前記中央アーム96の左右の中間部に対称的に平行に固着され、この金具99の上端部には軸穴99aが夫々設けられて、ここに頭付きピン100が挿通されており、この頭付きピン100の先端部にはC形止め輪用溝100aを有し、ここに座金101を介してC形止め輪102を挿入して頭付きピン100の抜け止めが図られている。そして、一対の前記金具99の間の頭付きピン100に、後述するクレーン112のワイヤ114のフック115を引掛けて、クレーン112の操作によりアーム部41を前後に倒したり、左右フック75、45と左右のピン32a,32aとの掛止又は離脱を行えるのである。
ところで、図8は、図1中のアーム部41がP3の位置を占めた場合の、土砂用バケット20のバケット本体21とアーム部41との要部を示す左側面図である。図8は、図1中のアーム部41(延いてはアーム本体42)がP3の位置を占めており、部材の位置関係が理解しやすい状態にあるために引出し線と符号を使って、その要部を説明する。同様に図6、図7、図9、図10、図11は夫々図1中のアーム部41がP1,P2,P4,P5,P6の位置を占めた場合の、土砂用バケット20のバケット本体21とアーム部41との要部を示す左側面図である。
そして、基本的に、図8中の引出線に関する部材を示す符号により左側面図の説明をするが、合わせて、丸括弧付きの部材を示す符号であって、本来、図8の左側面図と対称的に表れ、別の右側面図として図示されるべき筈の要部を、便宜上(右側面図を省略して、)、左側面図中の相当する部材の符号に併記して、丸括弧付きの部材の符号として示してある。
即ち、括弧付き部材の符号は図8と対称的に表れる右側面図(図示省略)の部材を示す符号として読み替えるものとする。(読替時に、図4のA部、B部拡大図及び図5のC部、D部拡大図を参照のこと)。同様に、図6、図7、図9〜図11も、括弧付き部材の符号は、右側面図(図示省略)の部材を示す符号として読み替えるものとする。(同様に、読替時に、図4のA部、B部拡大図及び図5のC部、D部拡大図を参照のこと)。
早速、図8を参照して、図示されない筈の右側面図に関係する、丸括弧付きの部材を示す符号を読み替えて説明する。(図4のA部拡大図及び図5のC部拡大図を参照のこと。)まず、前記右アーム(43)を構成する前記右アーム本体(44)の下端部近傍に設けられている前記軸穴(44a)のやや上方に軸穴(44b)が設けられている。この軸穴(44b)には右フック(45)を構成する右フック本体(46)の一端部に固着されているフック軸(47)が、この右アーム本体(44)の左側面から右側面に貫装されている。この右アーム本体(44)の右側面に突出したフック軸(47)の先端部にはC形止め輪用溝(47a)が設けてあり、座金(48)を宛がいその上にC形止め輪(49)を前記C形止め輪用溝(47a)に挿入して抜け止めされ、前記右フック(45)が前記右アーム本体(44)の左側面に沿って回動自在に枢支されている。
そして、右フック(45)は、右フック本体(46)と、この右フック本体(46)の一端部近傍の矩形部(46a)の右側面にフック軸(47)が溶接等で固着されている。右フック(45)は(延いては右フック本体46は)、先端にC形止め輪用溝(47a)を有する前記フック軸(47)が前記軸穴(44b)に貫装されて、前記右アーム(43)(延いては前記右アーム本体(44)の左側面に沿って回動自在に枢支されていることは前述した。そして、右フック本体(46)の他端部近傍にピン受け凹部(46b)が上あご部(46c)と下あご部(46h)に挟まれて凹設されている。
そして、前記上あご部(46c)に滑らかに接続されて案内板部(46d)が右フック本体(46)の左側面に固着されており、この案内板部(46d)は前記フック軸(47)方向に延在していて、右フック本体(46)の板厚方向の補強と後述する右のピン(32a)と滑らかに摺動し得る役目とを兼ねている。その案内板部(46d)の先端部が前記右アーム本体(44)の前側面に固着されているフックストッパ(66)に当接して右フック本体(46)を90度に近い鋭角状態に姿勢を保持している。(図8参照)
更に、案内板部(46d)の先端部は、前記右フック本体(46)の一端部近傍の前記矩形部(46a)の下端部へと接続されている。そして、前記下あご部(46h)の外周縁に接続されて第1の前面傾斜部(46g)と、更に、これに接続されて第2の前面傾斜部(46f)と、そして、これに接続されて背面傾斜部(46e)とが形成されており、この背面傾斜部(46e)が前記矩形部(46a)の上端部に接続されて右フック本体(46)の全外形部が形作られている。
そして、前記右フック(45)の右フック本体(46)の左側面において、前記案内板部(46d)の上方で、且つ、前記背面傾斜部(46e)の下方の中間部に保持ピン(50)を固着して設けてある。この保持ピン(50)は、後述するように、前記アーム部41を後方位置や前方位置又は直立位置等に回動操作するにつれて、右フック保持部(51)の板ばね部(54)の板ばね本体(55)の保持凹部(55a)により掛止又は離脱され得るし、同時に前記右フック本体(46)のピン受け凹部(46b)と前記ピン(32a)との保持掛止と解放離脱とに関係する。
同様に、図1〜図3、図8、図4のA部拡大図及び図5のC部拡大図を参照して、右フック保持部(51)が前記右アーム本体(44)の右前面側の位置で、且つ、前記右フック(45)の直ぐ上方部の位置に固着してある。即ち、この右フック保持部(51)は、取付板(52)の長手方向の一端部を直角に曲げた面を溶接等で、前記右アーム本体(44)の右前面側の位置で、且つ、前記右フック(45)の直ぐ上方部の位置に固着してある。
そして、この右アーム本体(44)の右側面とこの取付板(52)の右側面とが面一になるように設けてある。この取付板(52)の右側面において、下端側から長手方向の略三分の一の位置に、先端にE形止め輪用溝(53a)を有するピン(53)が固着されている。このピン(53)に緩挿される円筒部(56)の周側面に保持凹部(55a)を有するクランク状に屈曲した板ばね本体(55)と、ばね取付板(57)とを有する板ばね部(54)がE形止め輪(65)により回動自在に設けられている。
そして、取付板(52)の下端近傍には前記板ばね本体(55)の一部を当接させて待機位置を調節するボルト(63)を螺入しロックナット(64)で固定可能なねじ取付座(62)が溶接等で固着されている。更に、長手方向上端部近傍にはばね掛け部(59a)とねじ部(59b)とからなるばね力調整ねじ(59)を螺入させ、ロックナット(61)で固定可能なねじ取付座(60)が溶接等で固着されている。
そして、前記板ばね部(54)の前記ばね取付板(57)と前記ばね掛け部(59a)との間にコイルばね(58)が掛けられている。板ばね本体(55)の保持凹部(55a)に前記右フック部(45)の保持ピン(50)を保持掛止する場合の保持力を調節するために、ボルト(63)とばね力調整ねじ(59)とを回して適正な位置でロックナット(64)及びロックナット(61)とにより固定する。
図8を参照して、今度は、土砂用バケット20のバケット本体21とアーム部41との要部を示す左側面図に基いて説明する。前記左アーム73を構成する前記左アーム本体74の下端部に設けられた前記軸穴74aのやや上方に位置する軸穴74bが設けられ、この軸穴74bには左フック75を構成する左フック本体76の一端部近傍に固着されているフック軸47が左アーム本体74の右側面から左側面に貫装され、この左アーム本体74の左側面に突出したフック軸47の先端部にはC形止め輪用溝47aが設けてあり、座金48を宛がいその上にC形止め輪49を前記C形止め輪用溝47aに挿入して抜け止めされ、前記左フック75が前記左アーム本体74の左側面に沿って回動自在に枢支されている。
そして、左フック75は、左フック本体76と、この左フック本体76の一方端近傍の矩形部76aの右側面にフック軸47が溶接等で固着されている。左フック75は(延いては左フック本体76は)、先端にC形止め輪用溝47aを有する前記フック軸47が前記左アーム本体74の前記軸穴74bに貫装されて、前記左アーム73(延いては前記左アーム本体74)の右側面に沿って回動自在に枢支されていることは前述した。そして、左フック本体76の他方端近傍にピン受け凹部76bが上あご部76cと下あご部76hに挟まれて凹設されている。
そして、前記上あご部76cに滑らかに接続されて案内板部76dが左フック本体76の右側面に固着されており、この案内板部76dは前記フック軸47方向に延在していて、左フック本体76の板厚方向の補強と、後述する右のピン32aとの滑らかな摺動をし得る役目とを兼ねている。その案内板部76dの先端部が前記左アーム本体74の前側面に固着されているフックストッパ66に当接して左フック本体76を90度に近い鋭角状態に姿勢を保持している。(図8参照)
更に、案内板部76dの先端部は、前記した左フック本体76の一方端近傍の前記矩形部76aの下端部へと接続されている。そして、前記下あご部76hの外周縁に接続されて第1の前面傾斜部76gと、更に、これに接続されて第2の前面傾斜部76fと、そして、これに接続されて背面傾斜部76eとが形成されており、この背面傾斜部76eが前記矩形部76aの上端部に接続されて左フック本体76の全外形が形成されている。
そして、前記左フック75の左フック本体76の左側面において、前記案内板部76dの上方位置で、且つ、前記背面傾斜部76eの下方の中間部位置に保持ピン50が固着されて設けられている。この保持ピン50は、後述するように前記アーム部41を後方位置や前方位置又は直立位置等に回動操作するにつれて、左フック保持部81の板ばね部54の板ばね本体55の保持凹部55aにより掛止又は離脱され得るし、同時に前記左フック本体76のピン受け凹部76bと前記ピン32aとの保持掛止と解放離脱とに関係する。
同様に、図1〜図3、図8、図4のB部拡大図及び図5のD部拡大図を参照して、左フック保持部81が前記左アーム本体74の左前面側位置で、且つ、前記左フック75の直ぐ上方部の位置に固着してある。即ち、この左フック保持部81は、取付板82を長手方向の一端部を直角に曲げた面を溶接等で、前記左アーム本体74の左前面側の位置で、且つ、前記左フック75の直ぐ上方部の位置に固着してある。そして、この左アーム本体74の左側面とこの取付板82の左側面とが面一になるように設けてある。この取付板82の左側面において、下端側から長手方向の略三分の一の位置に、先端にE形止め輪用溝53aを有するピン53が固着されている。このピン53に緩挿される円筒部56の周側面に保持凹部55aを有するクランク状に屈曲した板ばね本体55と、ばね取付板57とを有する板ばね部54がE形止め輪65により回動自在に設けられている。
そして、取付板82の下端近傍には前記板ばね本体55の一部分に頭部を当接させて待機位置を調節するボルト63を螺入しロックナット64で固定することが可能なねじ取付座62が溶接等で固着されている。そして取付板82の長手方向上端部近傍にはばね掛け部59aとねじ部59bとを有するばね力調整ねじ59を螺入させ、ロックナット61で固定することが可能なねじ取付座60が溶接等で固着されている。そして、前記板ばね部54の前記ばね取付板57と前記ばね掛け部59aとの間にコイルばね58が掛けられている。板ばね本体55の保持凹部55aに前記右フック部45の保持ピン50を保持掛止する場合の保持力を調節するために、ボルト63とばね力調整ねじ59とを回して適正な位置でロックナット64及びロックナット61とにより固定する。
上述のように、土砂用バケット20の説明において、右アーム支持部36に支持されている右アーム43と、右アーム43を構成する右アーム本体44と右フック45と右フック保持部51との右側面関係部材と、左アーム支持部37に支持されている左アーム73と、左アーム73を構成する左アーム本体74と左フック75と左フック保持部81との左側面関係部材とを、分解して説明したが、実際には右アーム43と左アーム73とは、上端部において中央アーム96で一体化されてアーム本体42を構成し、更に、アーム本体42はアーム部41を構成しているために、右側面関係部材と左側面関係部材とは一体となって、共同の動作をし、共同の機能を発揮する。
この様な構成の土砂用バケット20のアーム部41をクレーン112の上方に伸ばされたブーム113先端からワイヤ114に吊り下げられたフック115を連結金具(シャックル)98に引掛けて、操作される場合の土砂用バケット20の動作を説明する。
土砂用バケット20の正面図である図1において、アーム部41延いてはアーム本体42(以下同様であるのでアーム本体42の上位部材であるアーム部41に代表させる時がある。)が、P1の位置を占める場合の要部の拡大図として図6を示す。アーム部41が時計方向に回転してP1の位置を占める場合、左右のアーム73、(43)が夫々左右のアーム止め108、(104)に当接し停止すると共に、左右フック75、(45)は、左右の案内板部76d、(46d)と左右のピン32a、(32a)の周側面とを摺動させながら、左右のフック軸47、(47)を中心に矢印G方向に回転し、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a、(55a)に左右の保持ピン50、(50)を保持掛止させた状態となる。
即ち、アーム部41をP1の位置に回転させる場合、図1、図6を参照して、アーム部41が左右のアーム止め108、(104)に当接して停止すると共に、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a,(55a)により、左右フック75、(45)の左右の保持ピン50、(50)を掛止した状態、即ち、左右フック75、(45)の他端部近傍の左右のピン受け凹部76b、(46b)が、上方に持上げられて保持掛止されていて、アーム部41を回転させた時に、左右フック75、(45)と左右のピン32a,(32a)とは掛止させることは出来ない。
次に図6、図7を参照して、アーム部41をP1の位置からP2の位置に、反時計方向に回転させる場合、アーム部41が、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a(55a)に左右フック75、(45)の左右の保持ピン50、(50)を掛止させたまま反時計方向に回転されてP1の位置からP2の位置まで回転される途中において(P5,P6の状態を出現することなく通過し)、左右フック75、(45)と左右のピン32a、(32a)との掛止を阻止したままの状態を保持している。
そして、アーム部41をP2の位置まで回転させる場合、左右補強材(上)28、(27)において、下方の左右アーム支持部37、(36)の位置の上方に相当する位置に固着された左右フック固定解除用部材105、(105)の下端面と、左右フック75、(45)の左右の背面傾斜部76e、(46e)とが当接して、左右の保持凹部55a、(55a)から左右の保持ピン50、(50)が外れて(離脱し)、左右のフック軸47、(47)を中心にして左右フック75、(45)は時計方向に自重により回転して左右の案内板部76d,(46d)と左右のフックストッパ66、(66)とが当接して停止する。
そして、左右補強材(上)28、(27)に固着された左右のフック固定解除用部材105、(105)の突出位置は、図4のA部拡大図及びB部拡大図を参照すると、左右フック75、(45)の左右の背面傾斜部76e、(46e)とが当接可能であるが、左右アーム73、(43)には干渉しない位置になっている。
前述より、図1、図6、図7を参照して、アーム部41をP1の位置からP2の位置に回転させる場合、左右のフック固定解除用部材105、(105)の下端面と左右フック75、(45)の左右の背面傾斜部76e,(46e)とが当接し、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a,(55a)に掛止されていた左右フック75、(45)の左右の保持ピン50、(50)が解放離脱されて、左右フック75、(45)が左右のフック軸47、(47)を中心に時計方向に自重で回転して、左右の案内板部76d、(46d)とストッパ66、(66)とが当接して停止する状態となる。
そして、図7、図8を参照して、アーム部41をP2の位置から、更に、反時計方向のP3の位置に回転させる場合、アーム部41は、左右アーム73、(43)が左右アーム受110、(106)に当接して停止し、左右フック75、(45)は時計方向に回転して左右の案内板部76d,(46d)と左右のフックストッパ66、(66)とが当接した状態のままである。即ち、アーム部41が左方に倒された状態であり、土砂用バケット20の上面開口部21aが大きく開かれた状態となる。このアーム部41がP3の位置の場合に、土砂用バケット20内にバックホー117等により土砂を収容できる状態である。
或いは、土砂用バケット20内に土砂が収容されており、一度クレーン112のフック115により所望の土砂搬出場所に移動されて来た状態であるか、或いは空で運搬されて来て地上に下ろされた状態である。土砂用バケット内に土砂が既に収容されていれば、これから内の土砂を放出するため、土砂用バケット20を、前方を下にして略90度後方を上に引上げるように、クレーン112のフック115により吊り上げられるか、再度左右フック75、(45)を左右のピン32a,(32a)に掛止させて略水平状態で運搬されるための準備に入るかの何れかの状態である。
上述より、アーム部41をP2の位置からP3の位置に回転させる場合、アーム部41が左右アーム受110、(106)に当接し停止し、土砂用バケット20の上面開口部21aが大きく開かれた状態となっている。その時左右フック75、(45)は左右のフックストッパ66、(66)に当接した状態のままである。このP3の位置のままクレーン112のフック115で土砂用バケット20を吊り上げて内部の土砂を放出するか、更に、土砂用バケットを略水平状態で運搬するための準備に入るかの何れかになる。
さて、図8、図9、図10、図11を参照して、アーム部41をP3の位置からP4、P5、そしてP6の位置に、時計方向に回転させる場合、即ち、左右フック75、(45)は左右のフック軸47、(47)と左右の案内板部76d,(46d)と左右のフックストッパ66、(66)とが当接した状態であるP3の位置から、アーム部41がP4の位置になると、左右フック75、(45)の左右の第1の前面傾斜部76g、(46g)が、左右の縦補強材32、(32)に固着されている左右のピン32a,(32a)に当接し、
更に、アーム部41を略垂直状態のP4の位置からやや時計方向に回転させたP5の位置にさせると、左右フック75、(45)は、第1の前面傾斜部76g、(46g)から左右の下あご部76h、(46h)にかけて左右のピン32a,(32a)に接したまま、左右のフック軸47、(47)を中心に反時計方向に回転し続け、左右の下あご部76h、(46h)が左右のピン32a,(32a)を乗り越えると、その途端に左右フック75、(45)は、自重で時計方向に(図10の矢印Fの方向に)反回転して、左右の案内板部76d、(46d)が左右のピン32a,(32a)に当接(左右フック75、(45)は図10の二点鎖線の状態)となる。
この状態であるP5の位置から、アーム部41の連結金具(シャックル)98に引掛けられたクレーン112のフック115によりアーム41を少し吊り上げると、アーム部41がわずかに反時計方向に回転した図11のP6の位置となり、左右フック75、(45)の左右の上あご部76c、(46c)と左右の下あご部76h、(46h)とに挟まれて凹設されているピン受け凹部76b、(46b)に左右のピン32a、(32a)が掛止された状態となる。即ち、アーム部41のP6の位置は、連結金具(シャックル)98がクレーン112のフック115により土砂用バケット20が吊り上げられる状態である。これは又、土砂用バケット20が、左右アーム支持部37、(36)の左右の頭付きの軸39、(39)と左右のアーム軸47、(47)と左右フック75、(45)と左右のピン32a,(32a)を介してアーム部41により、クレーン112のフック115により土砂用バケット20が略水平状態に吊り下げられて移動中の状態でもある。
アーム部41をP3の位置からP4,P5,そしてP6の位置に回転させる場合、左右フック75、(45)を左右のピン32a,(32a)に掛止させ、左右アーム支持部37、(36)に支持されたアーム本体42と左右のピン32a,(32a)に掛止された左右フック75(45)との共同で、土砂用バケット20を略水平状態にしてアーム部41に掛けられたクレーン112のフック115に吊り下げられようとしているか、又は、既に吊り下げられていて所望の場所に運搬最中の状態である。
尚、図1においてアーム部41の回転する位置をP1,P2,〜P6まで示してあるが、P5とP6とは説明の都合上、間隔を開けて示してあるが実際にはもっと近くて、ほとんど同一の位置と考えてよい。そして、底板22に対して、P5,P6は垂直に近い位置であり、P1は、略45度であり、アーム部41をP5、P6の位置に回転させるのと、P1の位置に回転させるのとでは、明らかに、且つ、容易に区別できる。
次に、クレーン112のフック115により吊り下げられて所望の場所(例えば、工事場所のバックホー117の傍ら)に移動した土砂用バケット20が置かれた状態において、アーム部41がP6からP1の位置に回転される場合、左右のピン32a,(32a)に掛止されていた左右フック75、(45)が離脱して、アーム部41が時計方向に回転されてP6の位置からP1の位置になると、左右のアーム73、(43)が夫々左右のアーム止め108、(104)に当接し、左右フック75、(45)は、左右の案内板部76d(46d)と左右のピン32a(32a)の周側面とを摺動させながら、左右のフック軸47、(47)を中心に矢印G方向に回転し、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a(55a)に左右の保持ピン50、(50)を掛止させた状態となる。
この状態でアーム部41の連結金具(シャックル)98に引掛けられたクレーン112のフック115により土砂用バケット20は吊り上げられ、前補強材30が固着され補強された傾斜底板23の前端部が下方となって、土砂用バケット20が略90度回転して略縦方向(略垂直方向)となり、土砂用バケット20内に収容した土砂を放出させ得る。
上述より、アーム部41をP6の位置からP1の位置に回転させる場合、クレーン112のフック115に吊り下げられて所望の場所に運搬されて、所望の場所(例えば、工事場所のバックホー117の傍ら)に下ろされた土砂用バケット20は、クレーン112のフック115の操作によりアーム部41がP6からP1の位置に回転されると、左右フック75、(45)も移動され、その左右のピン受け凹部76b、(46b)が掛止していた左右のピン32a,(32a)を解放離脱させ、左右の案内板部76d、(76d)と左右のピン32a、(32a)の周側面とが摺動しながら、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a,(55a)により、左右フック75、(45)の左右の保持ピン50、(50)を掛止した状態、
即ち、左右フック75、(45)の他端部近傍の左右のピン受け凹部76b、(46b)が、上方に持上げられて保持掛止された状態となると共に、アーム部41が左右アーム止め108、(104)に当接し停止した状態となる。その後、クレーン112のフック115により土砂バケット20が略垂直状態に吊り上げられて、土砂を放出する。
そして、クレーン112のフック115により、空になった土砂用バケット20を平らな場所に置いて、一旦、アーム部41をP3の位置にしてから、P4、P5、P6の位置状態にする。そして、アーム部41の連結金具(シャックル)98に引掛けられたクレーン112のフック115により土砂用バケット20は再び吊り上げられ、バックホー117のそばに移動して、再度、アーム部41をP1、P2、P3の位置にして、土砂用バケット20の上面開口部21aを大きく開いた状態にして、バックホー117のバケット119により土砂を土砂用バケット内に収容して、簡単な操作で安全な搬送作業を確実に繰返すことが出来る。
図12は本発明の第1の実施形態に係る土砂用バケットを用いた工法を示す斜視図である。図12を参照して、急斜面122の工事場所123において、崖下の平地121付近に住宅地が存在する場合に、バックホー117で掘削した土砂を直接崖下に落下させると粉塵や土砂流出といった災害や公害を発生させる可能性があるために、バックホー117で掘削した土砂を、土砂用バケット20に土砂を収容して、クレーン112のワイヤ114のフック115により、この土砂の入っている土砂用バケット20を略水平に保って吊り下げて所望の場所に土砂搬出作業を行う工法である。
初めに、図1、図6を参照して、
START:土砂用バケット20は、安全上からアーム部41が、折畳まれてP1の位置になっていて平地121上に置かれている工程。アーム部41をP1の位置に回転させてある場合、アーム部41が左右のアーム止め108、(104)に当接して停止していると共に、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a,(55a)により、左右フック75、(45)の左右の保持ピン50、(50)を掛止した状態、即ち、左右フック75、(45)の他端部近傍の左右のピン受け凹部76b、(46b)が、上方に持上げられて保持掛止されている。この状態では、アーム部41を回転させた時に、左右フック75、(45)と左右のピン32a,(32a)とは掛止させることは出来ない。
STEP1(S1と略す):土砂用バケット20のアーム部41の連結金具(シャックル)98に、クレーン112のワイヤ114のフック115を引掛ける工程。
S2:クレーン112の操作により、アーム部41をP1の位置からP2の位置に、反時計方向に回転させる工程。アーム部41をP1の位置からP2の位置に回転させる時、アーム部41が、左右フック保持部81、(51)の保持凹部55a(55a)に左右フック75、(45)の保持ピン50、(50)を掛止させたまま反時計方向に回転されてP1の位置からP2の位置まで回転される途中において(P5,P6の状態を出現することなく)左右フック75、(45)とピン32a、(32a)との掛止を阻止したままの状態を保持している。
そして、アーム部41をP2の位置に回転させると、左右のフック固定解除用部材105、(105)の下端面と左右フック75、(45)の左右の背面傾斜部76e,(46e)とが当接し、左右フック保持部81、(51)の左右の保持凹部55a,(55a)に掛止されていた左右フック75、(45)の左右の保持ピン50、(50)が解放離脱されて、左右フック75、(45)が左右のフック軸47、(47)を中心に時計方向に自重で回転して、左右の案内板部76d、(46d)とストッパ66、(66)とが当接して停止する状態となる。
S3:アーム部41をP2の位置からP3の位置に回転する工程。アーム部41が左右アーム受110、(106)に当接し停止し、土砂用バケット20の上面開口部21aが大きく開かれた状態となっている。その時左右フック75、(45)は左右のフックストッパ66、(66)に当接した状態のままである。そして、次にクレーン112のフック115で土砂用バケット20を吊り上げて略水平状態で工事場まで運搬するための準備に入る。
S4:アーム部41をP3の位置から、P4の位置,更にP5の位置,そしてP6の位置へ回転させる工程。左右フック75、(45)を左右のピン32a,(32a)に掛止させ、左右アーム支持部37、(36)に支持されたアーム本体42と左右のピン32a,(32a)に掛止された左右フック75(45)との共同で、土砂用バケット20を略水平状態にしてアーム部41に掛けられたクレーン112のフック115に吊り下げ可能とする。
S5:アーム部41をP6の位置の状態で、土砂用バケット20を略水平状態にクレーン112のフック115により吊り下げて工事場所のバックホー117の傍らに移動して、土砂用バケット20を置く工程。
S6:アーム部41をP6の位置から、P1の位置、P2の位置、そしてP3の位置に回転させる工程。土砂用バケット20の上面開口部21aを大きく開いた状態にして、バックホー117のバケット119により、土砂を土砂用バケット内に収容し易くする工程である。
S7:バックホー117のバケット119により土砂を土砂用バケット内に収容する工程。アーム部41が左方に倒された状態であり、土砂用バケット20の上部の開口部が大きく開かれているので、バックホー117のアーム118を駆動してバケット119により、土砂用バケットの中に、容易に掘削した土砂を入れることが出来る。
S8:アーム部41をP3の位置から、P4の位置、P5の位置、そしてP6の位置に回転させる工程。アーム部41をP3の位置からP4,P5,そしてP6の位置に回転させて、左右フック75、(45)を左右のピン32a,(32a)に掛止させ、左右アーム支持部37、(36)に支持されたアーム本体42と左右のピン32a,(32a)に掛止された左右フック75(45)との共同で、土砂用バケット20を略水平状態にしてアーム部41に掛けられたクレーン112のフック115に吊り下げて運搬できるようにする工程である。
S9:アーム部41がP6の位置の時に、クレーン112のフック115により、土砂用バケット20を略水平状態に吊り下げて工事場所123から移動して、土砂の入っている土砂用バケット20を平地121上の所望の場所に(例えば、トラック125の荷台の上に)運搬する工程。
S10:クレーン112のフック115により土砂バケット20の前端部下にして、土砂バケットを平地121上の所望の場所にて略垂直状態に吊り上げられて、土砂を所望の場所に(例えば、トラック125の荷台の上に)放出する工程。ここで、左右アーム支持部37、(36)より前方にバケット本体21の重心位置が存在するので、確実にバケット本体21は、前端部を下向きにして略垂直状態に吊り下げられ、バケット本体21内に収容されている土砂を前端部から所望の位置に確実に放出できる。
S11:空になった土砂用バケット20を、クレーン112のフック115により、平らな場所に置いて、一旦、アーム部41をP3の位置にしてから、P4、P5、P6の位置状態にする。アーム部41をP3の位置から、P4の位置,更にP5の位置,そしてP6の位置へ回転させる工程。左右フック75、(45)を左右のピン32a,(32a)に掛止させ、左右アーム支持部37、(36)に支持されたアーム本体42と左右のピン32a,(32a)に掛止された左右フック75(45)との共同で、土砂用バケット20を略水平状態にしてアーム部41に掛けられたクレーン112のフック115に吊り下げて移動可能とする。
S12:アーム部41をP6の位置の状態で、土砂用バケット20を略水平状態にクレーン112のフック115により吊り下げて工事場所のバックホー117の傍らに移動させて、土砂用バケット20を置く工程。
以後S6に戻り、工程S6→工程S7→工程S8→工程S9→工程S10→工程S11→工程12→工程S6に戻り、以後これを繰返す。
土砂運搬作業の終了時には、工程S11から分岐して、
S13:アーム部41をP6の位置の状態で、土砂用バケット20を略水平状態にクレーン112のフック115により吊り下げて作業の障害にならない平地121上の場所に移動して、土砂用バケット20を置く工程。
S14:土砂用バケット20は、安全上からアーム部41が、折畳まれてP1の位置になって置かれている工程。
STOP:終了。
以上、STARTからSTOPまでの土砂搬出作業工程を特徴とする本発明の土砂用バケットを用いた工法である。
本発明の土砂用バケット20を用いた工法ではクレーン112の設置場所の平地121から工事場所123までの高さは約80mが可能であり、急斜面工事において、崖下付近に住宅地が存在する場合に、バックホーで掘削した土砂を、土砂用バケット内に土砂を収容して、クレーンのワイヤのフックにより、この土砂の入っている土砂用バケットを水平に保って吊り下げて土砂搬出作業を行う工法であるから、粉塵や土砂流出と言った公害や災害を防止することが出来る。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の土砂用バケットとこれを用いた工法は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。