JP4050711B2 - 袋体用型枠、及び根固め工法用袋体への中詰め材投入方法 - Google Patents
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Description
この袋体は、例えば、合成繊維を使って形成した編地、織地、及び網地等よりなるもので、一般に可撓性を有する。
従って、袋体の形状が定まらず砕石等の細かい中詰め材を投入する場合、投入がしずらいものであった。
そのため、袋体を一定の形状をした型枠に取り付けて形状を安定化した上で、その袋体の中に中詰め材が投入される。
この型枠は浴槽に似た直方体状の容器であり底部が欠損されている。
そして、型枠の側壁はその底部側から開口部側へ向けて拡張してテーパ状となっており、そのため開口部から砕石等の中詰め材を投入し易い。
また、テーパ状にされていると、中詰め材投入後に袋体を型枠から引き上して離脱させるのが容易である。
例えば、型枠としては1m3〜2m3程度の容積を有するものでは、その鋼板材の厚さは、5〜8mm程度となり、かなり重量的に重いものとなる。
先ず、トラッククレーン等により型枠を所定の位置に配置しておく。
図12(A)に示すように、この型枠に根固め工法用袋体を取り付けて配置する。
根固め工法用袋体を型枠101に取り付ける際の留意点としては、該袋体の底部が型枠101の下方の地面に接する程度に配置することが好ましい。
なお、この根固め工法用袋体102として、ボトルユニットが使われており、これは強さ特性、耐磨耗性、及び耐候性等に優れる再生ポリエステル繊維を使用したラッセル網で製作された袋体である。
袋体102の取付時には、袋体に損傷がないことを確認し、また中詰め材103の投入時に袋体が型枠から外れないように注意する。
このように吸出し防止材を使うと、袋体102を型枠101から取り出す場合に、型枠の表面と中詰め材103とが接触して、その間に介在する袋体を損傷してしまう危険を極力防止できるからである。
この操作を複数回繰り返すと、袋体には所定量の中詰め材103が充填されることになる。
以上で中詰め材の投入は完了する。
特に、トラッククレーン等が入れない作業現場においては、型枠101を設置するのは極めて困難で限度があった。
また型枠自体を製作するコストも高くなり経済的ではない。
そのため、わざわざ確認のための他の作業員が余分に必要になる等の欠点があった。
一方、中詰め材の投入後に袋体102を引き上げる際に、中詰め材103が袋体を擦って損傷させてしまう危険があった。
もっとも先述した吸出し防止材を型枠101に取り付けることにより幾分効果があるが、損傷を完全に回避することは不可能である。
すなわち、本発明は、比較的軽量で設置が容易であり、中詰め材を投入の際も重機オペレーターが袋体内の中詰め材の内容量を確実に目視で確認でき、更に袋体と型枠との擦れによる損傷を回避できることが可能である袋体用型枠、及び根固め工法用袋体への中詰め材投入方法を提供することを目的とする。
また、袋体用型枠が従来のように鋼板ではなく細い杆により構成されるフレーム体1A,1Aよりなるために、大幅な軽量化を図ることができ、且つ製造コストも低減する。
また、袋体用型枠Aが軽量であると、作業現場への運送や砕石場等に設置するのに重機を用いる必要がなくなり、手間や時間、コスト等の面での低減化が図れる。
また、袋体用型枠Aがメッシュ状シート部材2やフレーム体よりなる支持枠1で構成されているため根固め工法用袋体3が視認でき、投入度合いを常に観察でき作業効率がよくなる。
またメッシュ状シート部材2に中詰め材4の投入量の目安となる目印ライン22を設けることで、投入量の確認が簡単にできる。
湾曲可能な矩形のメッシュ状シート部材と一対の半円筒状のフレーム体からなる支持枠とよりなり、湾曲させて円筒状となったメッシュ状シート部材と支持枠とを相互に取り付け固定し、該支持枠がメッシュ状シート部材の一部をヒンジ部として回動自在となっていることにより、湾曲可能な矩形のメッシュ状シート部材2は、半円筒状のフレーム体1A,1Aよりなる支持枠1に支えられて補強されるために変形が生じない。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る袋体用型枠Aを示している。
この袋体用型枠Aは、一対の半円筒状のフレーム体1A,1Aよりなる支持枠1と、湾曲可能な矩形のメッシュ状シート部材2とを備えている。
そして、メッシュ状シート部材2と一対の支持枠1とが相互に取り付け固定されている。
図2は、メッシュ状シート部材2を示す図であり、(A)平板状にした状態、(B)は円筒状に湾曲させた状態を示す。
メッシュ状シート部材2は、メッシュ(多穴)を有する湾曲性のある矩形のシート部材2であり、その両端(一端側端部21と他端側端部21)を相対させると円筒形となる。
すなわち、メッシュ状シート部材2の両側端部21,21を突き合わせ、又は重ね合わせ、連結部材を使って取り外し自在に結合させて、簡単に円筒形にすることができる。
具体的には、各側端部21,21に挿入口21A(例えばリング穴)を設けて、この挿入口21Aに連結部材である連結棒5(例えば、アイボルト溶接丸棒)を共通に挿入することで両側端部21,21は連結される。
このメッシュ状シート部材2を円筒形にすると、半径方向の耐力に強く中詰め材4を充分支えることができる。
なお、メッシュ状シート部材2は、湾曲可能であるため、通常、小さく丸めて巻き込むことができ、運搬や保管に便利である。
アデムとは、クリープ変形の小さいアラミド繊維(テクノーラ) を高密度ポリエチレン樹脂と複合させた網目構造の盛土補強材であり、多少の湾曲性を有する。
アデムは、伸びが小さく継続荷重に十分な効果を持ち、耐衝撃性、耐候性、耐薬品性、耐寒性及び耐熱性に優れている。
従って、寒冷地であると温暖な地域であるとを問わず、あらゆる地域で使用することができる上、後述するように袋体に中詰め材4を投入する際の衝撃にも十分耐えることができる。
このように目印ライン22を備えることで、後述するように、中詰め材4を投入する際に、投入量の目安とすることができる。
そのため常に安定した、中詰め材4の投入量が可能となり施工管理がし易い。
また、複数の目印ラインを設けることにより、標準投入量や限界投入量を明確に認識できるようにすることも可能である。
参考までに、図1に目印ライン22を示した。
図3は、フレーム体1A,1Aよりなる支持枠1を示し、まだメッシュ状シート部材2に取り付ける前の状態を示す。
支持枠1は、2つの分割された半円筒状のフレーム体1A,1A(すなわち、一対の半円筒状のフレーム体1A,1A)を有し、それぞれ剛体となっている。
支持枠1のフレーム体1A,1Aは、比較的細い杆である縦杆11Bと横杆11Aとの鋼材よりなるが、いわゆるラーメン構造を有するために剛体であるが軽量である。
また、従来のように鋼板で作られていないために、ブラインドにならず見通しが可能であり、後述するように袋体を視認できる。
通常、支持枠1の高を1m、円弧の曲率半径は1mとすると、砕石を2t〜4t程投入する容量を内方に形成できる。
この各々フレーム体1A,1Aが、前述した円筒状となったメッシュ状シート部材2に取り付け固定される。
図4は、支持枠1とメッシュ状シート部材2との取り付け状態を説明する図である。
湾曲させて筒状となったメッシュ状シート部材2に対して、支持枠1である2つの分割された半円筒状のフレーム体1A,1Aを相対向するように配置させて取り付け固定する。
この場合、支持枠1はメッシュ状シート部材2に線材6(ロープ、紐、針金等)を使って取り付けることが好ましいが、その固定手段は、例えはフック等の固定具を使うことも当然可能である。
支持枠1のフレーム体1A,1Aは、杆であるためにメッシュ状シート部材2に対して線材6を使って容易に固定できる。
支持枠1をメッシュ状シート部材2に取り付けた状態では、該支持枠1の2つの分割された半円筒状のフレーム体1A,1Aは、メッシュ状シート部材2の一部をヒンジ部Hとして回動自在となる〔(A)参照〕。
メッシュ状シート部材2は、一般に円筒状に形成した場合に、図5のように斜め方向に傾斜する性質がある。
しかし、本発明の袋体用型枠Aにおいては、メッシュ状シート部材2が支持枠1により補強されているために、このような傾斜現象は全く起こらない。
さて袋体用型枠Aは、メッシュ状シート部材2とそれより重いフレーム体1A,1Aとが一体となって全体の重量となるが、その全重量を人力で運搬できる範囲の重さ、例えば、30kg〜80kgとすることで扱い易さを大きく向上することができる。
袋体用型枠Aは、メッシュ状シート部材2の両側端部21,21の連結を解くことにより、外方に開くことができる。
具体的には、メッシュ状シート部材2の各側端部21,21に設けられた挿入口21A(例えばリング穴)に挿入されている連結棒5(例えば、アイボルト溶接丸棒)を抜き去ることで、メッシュ状シート部材2の両側端部21,21は分離する。
そして、袋体用型枠Aを後方のヒンジ部Hを中心に矢印方向に回動させると袋体用型枠Aは開いて、根固め工法用袋体を開放する。
次に、根固め工法用袋体に中詰め材4を投入する方法を、工程順に図6の模式図及びフローチャートを用いて説明する。
先ず、支持枠1とメッシュ状シート部材2とを相互に取り付け固定して袋体用型枠Aが組み付けられる。
この場合の支持枠1とメッシュ状シート部材2との取り付け方は前述した通りである。
袋体用型枠Aが作業現場の適宜位置に設置される。
この場合、袋体用型枠Aとしては円筒状となっているために、全体を横にして転がすことにより容易に移動して設置できる利点がある。
なお、袋体3は袋体用型枠Aの外側面に垂れ下がるように配置されることが好ましい〔配置工程]。
具体的には、型枠内で袋体3の底が地面に接地するようにし、袋体3の口部側が袋体用型枠Aの外側面に折り返されるように保持される。
上述のように中詰め材4を袋体3に投入した後、袋体3を吊上げた際の形状が紡錘型となり軸対象形状に近くなる。
これで袋体3に加わる荷重が安定し、すなわち円周方向に均一に近くなり、袋体の中詰め材4投入量に対する耐力も増す。
このとき、フレーム体1A,1Aは鋼鉄製であり支持枠1の機械的強度が大きいため、シート部材2を周囲から的確に保持することができる。
そのため、前述した図5のように、円筒状のシート部材2が斜め方向に傾斜するような現象は生じない。
また、中詰め材4を袋体3に搬入している最中に誤って、それを袋体用型枠Aの上に直接落としてもフレーム体1A,1Aにより袋体3は保護される。
従って、他の作業員が型枠内を覗き込んで確認する必要がなくなり、作業効率としては大きく向上する。
更に、図示しないが口絞りロープの傍に吊りロープを複数取り付ける。
なお、この具体的作業は、袋体用型枠Aの外側に覆い被された袋体3を上方へ持ち上げ、一人の作業員が袋体の開口側を束ねるよう把持した状態で、他の作業員が口絞りロープを取り付けるようにして行われる。
すなわち、各側端部の挿入口21A(例えばリング穴)から連結棒5(例えば、アイボルト溶接丸棒)を抜き去り、シート部材2の側端部同志の連結を解除する。
そして、次いで、図6(D)に示すように、この袋体用型枠Aの後方のヒンジ部Hを中心に、開く方向:すなわち矢印方向に回動させると、枠体は開く。
なお、通常メッシュ状シート部材2の一部がヒンジ部Hとなるが、袋体用型枠Aを構成する2つのフレーム体1A,1Aの後端同士を連結して回動自在にした場合は、メッシュ状シート部材2と支持枠1とがヒンジ部Hの役割を果たすこととなる。
袋体用型枠Aを開くことで、袋体3は袋体用型枠Aと接触しなくなり開放状態となる[開放工程]。
この時、既に袋体3は袋体用型枠Aによって拘束されてなくフリーとなっているため、袋体3を引き上げる際に、シート部材2と袋体3との間で擦れは全く生じない。
そのため従来のような擦れ現象を原因とする袋体の損傷を確実に防止することができる。
以上で、中詰め材の投入方法は完了する。
上述した一実施形態では、メッシュ状のシート部材2が円筒状の支持枠1の外側面に沿って取り付けられた例を示したが、ここでは円筒状の支持枠1の外側面及び内側面に沿って取り付けられる例を示す。
メッシュ状のシート部材2は、長方形のものを2つ折りにして二重にする。
その後、前述した例のように、メッシュ状シート部材2の一端側端部21(2つの自由端となっている)と他端側端部21(折り曲げられている)とを図示しない連結部材を介して連結又は取り外し自在にする。
また支持枠1とシート部材2との取り付け固定は、図9に示すように、二重になったメッシュ状シート部材2の間隙に、支持枠1を上方から押し込んで挿入し、最後に線材等を使ってシート部材2に取り付け固定するのである。
その後の取扱いは前述した例と同じである。
この実施の形態においては、シート部材2が二重となっているために、型枠自体の強度が増す上、支持枠1とシート部材2との一体化がより確実となる。
重量的には、支持枠1に比べシート体自体が軽いために、シート部材2が二重となっても袋体用型枠全体として重くならない。
上述した一実施形態では、メッシュ状シート部材として湾曲させて円筒状となったメッシュ状シート部材の例を示したが、ここでは、湾曲させて半円筒状となった一対のメッシュ状シート部材の例を示す。
この場合、メッシュ状シート部材は半円筒状のフレーム体の内側面及び外側面に沿って取り付けられている。
そして支持枠はメッシュ状シート部材の一端側端部にて回動自在となっている。
具体的にはメッシュ状シート部材の端部に形成された挿入口21Aに連結棒を挿入したり、又は挿入口21A同士を線材で結合したりして回動自在とするのである。
以上、その他の実施の形態1及び2の場合における根固め工法用袋体への中詰め材の投入方法は、既に図6に説明した例に準じて遂行することが可能である。
例えば、上述した一実施形態では、フレーム体1A,1Aは、縦杆11B及び横杆11Aよりなるものを示したが斜杆を有する構造であっても強度が増し当然採用可能である。
もっとも、金属材料に相当するような強度を有するもの、例えば、プラスチックも採用可能である。
1A フレーム体
11B 縦杆
11A 横杆
2 メッシュ状シート部材
21 側端部
21A 挿入口
22 目印ライン
3 根固め工法用袋体
4 中詰め材
5 連結棒
6 線材
101 従来の袋体用型枠
102 袋体
103 中詰め材
A 袋体用型枠
H ヒンジ部
Claims (10)
- 根固め工法用袋体に中詰め材を充填するために用いられる袋体用型枠であって、
湾曲可能な矩形のメッシュ状シート部材と一対の半円筒状のフレーム体からなる支持枠とよりなり、湾曲させて円筒状となったメッシュ状シート部材と支持枠とを相互に取り付け固定し、該支持枠がメッシュ状シート部材の一部をヒンジ部として回動自在となっていることを特徴とする袋体用型枠。 - 前記メッシュ状シート部材は、支持枠の内側面に沿って取り付けられたことを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 前記メッシュ状シート部材は、支持枠の外側面及び内側面に沿って取り付けられたことを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 前記メッシュ状シート部材の一端側縁部と他端側縁部とは、連結部材を介して連結又は取り外し自在となっていることを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 前記メッシュ状シート部材の一端側端部と他端側端部との各々挿入口に、共通に連結棒を挿入して、各端部を取り外し自在としたことを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 前記メッシュ状シート部材は支持枠に沿って紐体により取り付けられることを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 前記メッシュ状シート部材には、中詰め材の投入量の目安となる目印ラインが設けられたことを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 前記支持枠は、金属により形成されていることを特徴とする、請求項1記載の袋体用型枠。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の袋体用型枠を用いた根固め工法用袋体への中詰め材の投入方法であって、
1.根固め工法用袋体を袋体用型枠内に配置する袋体配置工程と、
2.袋体用型枠内に配置された根固め工法用袋体に中詰め材を投入する中詰め材投入工程と、
3.中詰め材が投入された根固め工法用袋体の口部を口絞りロープで締め込む口絞り工程と、
4.前記袋体用型枠を根固め工法用袋体から開放する開放工程と、
5.該口部が締め込まれた根固め工法用袋体を吊り上げて袋体用型枠から離脱する離脱工程と、
を有することを特徴とする根固め工法用袋体への中詰め材投入方法。 - 前記開放工程では、袋体用型枠の一方を軸として回動することにより開放するものであることを特徴とする、請求項9記載の根固め工法用袋体への中詰め材投入方法。
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