JP4073241B2 - ポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレン製微多孔膜に関するものであって、より詳しくは、透過性、機械的強度に優れるとともに、ヒューズ温度が低く、かつ高温での膜強度が強く、きわめて安全性に優れたリチウム電池用のセパレータに好適なポリエチレン製微多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン製微多孔膜は精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ等に使用されている。特に近年では厚さ20μm程度のポリエチレン製微多孔膜がリチウムイオン二次電池用セパレータに使用されている。
リチウムイオン二次電池用セパレータには電池の高性能化に伴いその要求特性も高レベル化しており、特に最近では電池安全性を向上させる微多孔膜が要求されている。
【0003】
電池安全性とは、電池内部が過熱した際にセパレータが溶融して電極を覆う被膜となり、電流を遮断する「ヒューズ効果」によって電池の安全性を確保する性能である。このヒューズ温度は電池の暴走反応などを阻止するためにより低温であることが好ましい。
もう一つの重要な安全性の要素は、ヒューズ後の高い耐熱性である。上記ヒューズ効果により電池反応が停止しても、温度上昇が急激な場合にはヒューズ後もさらに電池温度が上昇し、結果的に前記被膜が破れて電流が復帰してしまうことがあり安全性に問題が起こる。このような過酷な条件下でも電池の安全性を確保できるような高い溶融強度を持った微多孔膜も望まれている。
【0004】
ヒューズ温度を下げる技術としては、例えば特開平5−25305号公報、特開平2−21559号公報に高分子量ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンをブレンドすることによってヒューズ温度を下げる方法が開示されている。かかる方法によればヒューズ温度の低下は期待されるが、これらの分子量は低く、溶融状態での強度はかえって弱くなってしまい、基本特性である機械強度が低下するばかりか、結晶化度が低下するため孔が形成しづらく、透過性の低下も避けられない。
【0005】
溶融強度を向上させる技術としては、例えば特開平3−105851号公報にあるような超高分子量ポリエチレンを高分子量ポリエチレンにブレンドする手法がある。超高分子量ポリエチレンは溶融後もかなりの粘度を有するため、高温での強度はある程度高まるが、過酷な条件では破膜してしまう。また、粘度が上がるため溶融時の孔閉塞に時間を要し、結果的にヒューズ温度が上昇し本質的な解決にならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透過性、機械強度等を損ねることなく、ヒューズ温度が低く、かつ溶融後の膜強度が強く、電池用セパレータとして電池の安全性を向上させることができるポリエチレン製微多孔膜を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、特定の分子構造を有するポリエチレンよりなる微多孔膜セパレータが、上記課題を克服する上で、著しく寄与することを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.ゲル分率が1〜90%であり、ポリエチレンが無水マレイン酸で変性され、変性後の無水マレイン酸基どおしの相互作用により前記ゲル分率を有する架橋構造が形成されていることを特徴とするポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータ。
2.無水マレイン酸変性率が0.1〜5.0wt%である1.記載のポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータ。
3.無水マレイン酸とポリエチレンを含む樹脂組成物を、二軸押出機で溶融混練し、その後、加熱処理することにより変性ポリエチレン化する工程を含む1.又は2.に記載のポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータの製造方法。
4.加熱処理が180〜250℃で行われる3.に記載の電池用セパレータの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、その好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の微多孔膜は、構成するポリエチレンが、無水マレイン酸でグラフト変性されていて、かつゲル分率が1〜90%を有することを特徴とする。
変性することができるポリエチレンの粘度平均分子量は、変性による高温での高強度化の観点から10万以上であり、変性反応時のポリマーの劣化の観点から500万以下が好ましい。より好ましくは20万〜100万である。
【0010】
ポリエチレンの種類は高密度、中密度、低密度のいずれでもよく、また重合触媒がチーグラー系触媒、クロム系触媒、メタロセン触媒などいずれから重合されたポリマーであって良いが、高密度ポリエチレンが結晶化度や成形加工性の観点から好ましい。
また、変性するポリエチレンは、成形性をより良くする等の目的で、分子量や密度の違う複数のポリエチレンをブレンドしたものでもかまわない。
さらに、変性したポリエチレンに、ヒューズ温度等を調整するために、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の通常のポリオレフィンをブレンドしてもよい。その範囲は変性ポリエチレンの低いヒューズ温度と高い高温強度を維持するという観点から、45wt%未満であることが好ましい。
【0011】
反応性モノマーとは、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基等を分子内に有するオレフィン系モノマーであって、具体的にはアクリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体等が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸である。
【0012】
微多孔膜の無水マレイン酸またはマレイン酸変性率は、高温強度の観点から0.1wt%以上が好ましく、変性ポリエチレンの結晶化度の観点から5.0wt%以下であることが好ましい。より好ましくは0.3〜2.0wt%である。
微多孔膜のゲル分率は、ASTM D2765に準拠した測定法によって評価できるが、本発明におけるゲル分率は1〜90%、好ましくは5〜85%、さらに好ましくは10〜80%である。1%未満では溶融時の強度が不足し、十分な電池安全性向上は望めず、90%を超えるとヒューズ温度が上昇し好ましくない。
【0013】
本発明の微多孔膜の気孔率は、リチウムイオン透過性の観点から20%以上が好ましく、機械的強度の観点から80%以下が好ましい。さらに好ましくは30〜70%である。
また突刺強度は0.1N/μm以上が好ましい。電池構成時に正負極の短絡を防ぐ観点から0.2N/μm以上がより好ましい。
本発明の微多孔膜のヒューズ温度は140℃未満が好ましい。電池の暴走反応制御の観点から140℃未満が好ましい。また、135℃以下がさらに好ましい。
【0014】
溶融時の強度は、160℃での突刺強度で表され、本発明の微多孔膜は電池の安全性の観点から0.005N/μm以上が好ましい。より好ましくは0.01N/μmである。
このような微多孔膜は、通常の電池特性を損なうことなく、ヒューズ温度が低く、かつ溶融時の耐熱性が高い。これは、変性反応特有の結晶化度をある程度維持したまま融点が低下する点と、変性後の無水マレイン酸基どおしの相互作用によりゲル分率を有する架橋構造が形成される結果、溶融後の耐応力が増すためと考えられる。
【0015】
次に本発明の微多孔膜の製法について説明する。
本発明の微多孔膜の製法は、ポリエチレンと無水マレイン酸を含む樹脂組成物を二軸押出機で溶融混練し、その後、加熱処理することによってゲル分率が1%以上の無水マレイン酸変性ポリエチレン化する工程を含むことが好ましい。
用いる反応性モノマーは無水マレイン酸100%のものでもよいが、無水物化していないマレイン酸を1〜50%、残りを主として無水マレイン酸としたものを用いると、高ゲル分率が得られる観点からさらに好ましい。
【0016】
変性反応をこのような工程とすることで、変性前のポリエチレンの良好な成形性を維持したまま反応成形することができ、かつゲル分率1%以上を効率よく付加させることができるので好ましい。
例えば、ポリエチレンと無水マレイン酸、溶剤を二軸押出機で溶融混練および変性反応させたのち、Tダイまたはサーキュラーダイにてゲルシートに成形し、これを加熱処理したのち一軸または二軸のフラット延伸、またはバブル延伸によって薄化および高強度化したのち、溶剤を抽出することによって得られる。
【0017】
この加熱処理は、加熱ロール、圧延装置などを用いてもよいし、Tダイまたはサーキュラーダイの温度を調整することでも可能である。加熱温度は180〜250℃、好ましくは190〜240℃である。加熱時間は組成比などにもよるが、1秒〜600秒が好ましい。本発明において、ゲル分率をにコントロールするための方法としては、上記したような特定の加熱処理を用いる方法が最も優れている。
【0018】
また、溶剤を使用しない場合でも、ポリエチレンと反応性モノマーを二軸押出機で溶融混練および変性反応させたのち、Tダイまたはサーキュラーダイにてシートに成形し、これを加熱処理したのち一軸または二軸のフラット延伸、またはバブル延伸によって薄化および高強度化したのち、この無孔性フィルムをオーブンまたは熱溶媒中で加熱して、非晶部や一部の結晶を溶融再結晶させ開孔する加熱開孔法もある。
【0019】
何れの製法の場合でも、反応時に有機過酸化物を併用すると変性反応が効率よく行われ好ましい。使用できる過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゾエートなど、比較的高温で使用される過酸化物が好ましい。
変性ポリエチレンと他のポリマーをブレンドする場合は、二軸押出機内で上記手法の変性反応後にブレンドポリマーを供給するか、第二の押出機で新たにブレンドの後、加熱処理をするとよい。
【0020】
ここで、製法の一例として相分離法について詳しく説明する。
ここでいう溶剤とは、沸点以下の温度でポリオレフィンと均一な溶液を形成しうる有機化合物の事であり、具体的にはデカリン、キシレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n−デカン、n−ドデカン、パラフィン油等が挙げられる。このうちパラフィン油、ジオクチルフタレートが好ましい。溶剤の割合は特に限定されないが、得られる膜の気孔率の観点から20wt%以上が好ましく、粘度の観点から90wt%以下が好ましい。より好ましくは50wt%から70wt%である。
【0021】
延伸はテンター法による同時2軸延伸が好ましい。延伸温度は常温からポリオレフィンの融点の間が好ましく、より好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃である。延伸倍率は面積倍率で、セパレーターとしての強度の観点から4倍以上が好ましく、気孔率の観点から400倍以下が好ましい。より好ましくは8〜200倍、さらに好ましくは16〜100倍である。
溶剤の抽出方法としては特に限定されないが、パラフィン油やジオクチルフタレートを使用する場合はメチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒で抽出したあと、乾燥することにより除去する事が出来る。また、可塑剤にデカリン等の低沸点化合物を使用する場合は加熱乾燥する事により除去する事ができる。いずれの場合も膜の収縮による物性低下を防ぐため、膜を拘束する事が好ましい。
【0022】
また、無孔性フィルムの加熱開孔法としての一例も説明する。
ポリオレフィン樹脂の非晶性部分を選択的に溶解または溶融する液体(a)中で、ポリオレフィン樹脂組成物を熱処理したあと、液体(a)と相溶性がありポリオレフィン樹脂を溶解しない液体(b)でポリオレフィン樹脂組成物を洗浄して液体(a)を除去したあと乾燥することにより、ポリオレフィン樹脂を多孔化することができる。液体(a)としては、パラフィンオイルなどの炭化水素、低級脂肪族アルコール、低級脂肪族ケトン、窒素含有有機化合物、エーテル、グリコール、低級脂肪族エステル、シリコンオイルなどから単独あるいは組み合わせて用いることができる。好ましい熱処理温度は、ポリオレフィン樹脂や液体(a)の種類によるが、例えばポリエチレン樹脂の場合は、100℃ないし140℃の温度が好ましい。
【0023】
熱処理時間は処理温度が高ければ短く出来、多孔化された後の樹脂の強度を維持するために、処理時間は短い方が好ましい。液体(b)としては、ヘキサンなどの低沸点炭化水素、ハイドロフロロエーテルやハイドロフロロカーボンなどの非塩素含有フッ素系有機溶剤やメチルエーテルケトンなどのケトン類を用いることができる。
このようにして作成された微多孔膜は、特にリチウム電池用セパレータとして用いた場合、成形加工性が良好であり、低いヒューズ温度を維持しつつ、溶融時の強度も高く、驚くべきことに電解液の濡れ性、保持性が著しく良好であり、電池の生産性や性能を向上させることができる。
【0024】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
ここで、部はすべて質量部を表す。
実施例において示される試験方法は次の通りである。
(1)膜厚
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:「PEACOCK No.25」(商標))にて測定した。
(2)気孔率
20cm角のサンプルをとり、その体積と質量から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積(cm3)−質量(g)/ポリマー組成物の密度)/体積(cm3)×100
(3)突刺強度
カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重(N)を測定した。測定値に1/膜厚(μm)を乗じることによって1μm換算突き刺し強度(N)とした。
【0025】
(4)溶融突刺強度
ポリエチレン製微多孔膜を内径13mm、外径25mmのステンレス製ワッシャ2枚で挟み込み、周囲4点をクリップで止めた後160℃のシリコンオイル(信越化学工業:「KF−96−10CS」(商標))に浸漬し、30秒後に(3)と同様の手法で突き刺し強度を測定した。
(5)ゲル分率
ASTM D2765に基づき一定の大きさに切り取った微多孔膜のサンプルの沸騰パラキシレン中での12時間可溶分抽出後の質量変化より、抽出前の試料の質量に対する抽出後の残存質量の比として次式により求めた。
ゲル分率(wt%)=100×残存質量(g)/試料質量(g)
【0026】
(6)ヒューズ温度
図1にヒューズ温度の測定装置の概略図を示す。1は微多孔膜であり、2A及び2Bは厚さ10μmのニッケル箔、3A及び3Bはガラス板である。4は電気抵抗測定装置(安藤電気製LCRメーター「AG−4311」(商標))でありニッケル箔2A、2Bと接続されている。5は熱電対であり温度計6と接続されている。7はデーターコレクターであり、電気抵抗装置4及び温度計6と接続されている。8はオーブンであり、微多孔膜を加熱する。
【0027】
さらに詳細に説明すると、図2に示すようにニッケル箔2A上に微多孔膜1を膜の縦方向(MD方向)が図の縦方向になるように重ねて、「テフロン」(商標)テープ(図の斜線部)でニッケル箔2Aに固定する。微多孔膜1には電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)が含浸されている。ニッケル箔2B上には図3に示すように「テフロン」(商標)テープ(図の斜線部)を貼り合わせ、箔2Bの中央部分に15mm×10mmの窓の部分を残してマスキングしてある。
【0028】
ニッケル箔2Aとニッケル箔2Bを微多孔膜1をはさむような形で重ね合わせ、さらにその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のニッケル箔をはさみこむ。このとき、箔2Bの窓の部分と、多孔膜1が相対する位置に来るようになっている。
2枚のガラス板は市販のダブルクリップではさむことにより固定する。熱電対5は「テフロン」(商標)テープでガラス板に固定する。
このような装置で連続的に温度と電気抵抗を測定する。なお、温度は25℃から200℃まで2℃/minの速度にて昇温させ、電気抵抗値は1kHzの交流にて測定する。ヒューズ温度とは微多孔膜の電気抵抗値が103Ωに達するときの温度と定義する。
【0029】
(7)無水マレイン酸またはマレイン酸変性率
反応性モノマーとして無水マレイン酸またはマレイン酸が用いられているときの無水マレイン酸またはマレイン酸変性率を以下のように定める。
微多孔膜のフィルムを130℃の熱キシレンに溶解した後、アセトン中に再沈させ試料を濾過、洗浄して未反応無水マレイン酸、マレイン酸を除去し、100℃で減圧乾燥した。これを熱キシレンに溶解し、0.05規定のKOH/メタノール溶液を加えグラフト変性している無水マレイン酸およびマレイン酸をケン化したのち、チモールブルーを指示薬として加え0.05規定のHClで過剰のKOHを逆滴定して変性量を求めた。
本願ではポリエチレンに対する反応した無水マレイン酸およびマレイン酸の重量分率を変性率(wt%)とした。
【0030】
(8)粘度平均分子量
微多孔膜を135℃のデカリン溶液に溶解して、極限粘度[η]を測定し、次式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。また、極限粘度は「高分子分析ハンドブック」(P58)に従い粘度法により決定した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
(9)透気度
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計にて測定した。
【0031】
【実施例1】
高密度ポリエチレン(密度0.954、粘度平均分子量28万)40質量部(以下、部と略記する)、パラフィンオイル60部、無水マレイン酸0.5部、1,3−ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(「パーブチルP」(商標)、日本油脂(株))0.01部を200℃で「ラボプラストミル」(商標、(株)東洋精機製)で混練し、得られた混練物を熱プレスで240℃で加熱処理および成形して、厚さ1mmのゲルシートを作成した。
このゲルシートを125℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、MEKでパラフィンオイルを抽出して微多孔膜を得た。
得られた膜の物性を表1に示した。
【0032】
【実施例2】
高密度ポリエチレン(密度0.954、粘度平均分子量28万)40部、パラフィンオイル60部、無水マレイン酸0.5部、1,3−ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(「パーブチルP」(商標)、日本油脂(株))0.01部を200℃で二軸押出機を用いて混練し、押出機先端に設置したTダイおよびキャストロールで240℃で加熱処理および成形して、厚さ1mmのゲルシートを作成した。
このゲルシートを125℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、MEKでパラフィンオイルを抽出して微多孔膜を得た。
得られた膜の物性を表1に示した。
【0033】
【実施例3】
高密度ポリエチレン(密度0.952、粘度平均分子量100万)40部、パラフィンオイル60部、無水マレイン酸0.5部、1,3−ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(「パーブチルP」、日本油脂(株))0.01部を200℃で二軸押出機を用いて混練し、押出機先端に設置したTダイおよびキャストロールで240℃で加熱処理および成形して、厚さ1mmのゲルシートを作成した。
このゲルシートを125℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、MEKでパラフィンオイルを抽出して微多孔膜を得た。
得られた膜の物性を表1に示した。
【0034】
【実施例4】
高密度ポリエチレン(密度0.952、粘度平均分子量100万)100部、無水マレイン酸0.3部、1,3−ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(「パーブチルP」、日本油脂(株))0.01部を200℃で二軸押出機を用いて混練し、押出機先端に設置したTダイおよびキャストロールで240℃で加熱処理および成形して、厚さ0.5mmのシートを作成した。
このシートを135℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを130℃のパラフィン油に2分間浸漬し、続いてMEKで洗浄することにより微多孔膜を得た。
得られた膜の物性を表1に示した。
【0035】
【比較例1】
実施例1で、無水マレイン酸およびパーブチルPを添加しなかった以外は同様の手法で微多孔膜を得た。
得られた膜の物性を表1に示した。
【0036】
【比較例2】
実施例1で、加熱処理を行わなかった以外は同様の手法で微多孔膜を得た。
得られた膜の物性を表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明の微多孔膜は、優れた溶融強度と低いヒューズ温度を合わせ持ち、特にリチウム電池用セパレーターに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒューズ温度及びショート温度の測定装置の概略図。
【図2】ヒューズ温度及びショート温度の測定装置の部分を示す平面図。
【図3】ヒューズ温度及びショート温度の測定装置の部分を示す平面図。
【符号の説明】
1 微多孔膜
2A ニッケル箔
2B ニッケル箔
3A ガラス板
3B ガラス板
4 電気抵抗測定装置
5 熱伝対
6 温度計
7 データ−コレクター
8 オーブン
Claims (4)
- ゲル分率が1〜90%であり、ポリエチレンが無水マレイン酸で変性され、変性後の無水マレイン酸基どおしの相互作用により前記ゲル分率を有する架橋構造が形成されていることを特徴とするポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータ。
- 無水マレイン酸変性率が0.1〜5.0wt%である請求項1記載のポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータ。
- 無水マレイン酸とポリエチレンを含む樹脂組成物を、二軸押出機で溶融混練し、その後、加熱処理することにより変性ポリエチレン化する工程を含む請求項1又は2に記載のポリエチレン製微多孔膜よりなる電池用セパレータの製造方法。
- 加熱処理が180〜250℃で行われる請求項3に記載の電池用セパレータの製造方法。
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