JP4073181B2 - 車両用昇降ガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の窓枠のモールと昇降ガラスとの隙間からドアパネル内部、または、車体パネル内部に入り込んでくる水を、所定の箇所に排水することにより防水領域が確保される昇降ガラスに関する。また、この排水機能を付与することにより、同時にガラスの軽量化を達成することのできる自動車用昇降ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
窓ガラスを上下に開け閉めできる昇降ガラスを装着してある自動車の窓は、窓枠に防水のためのモールを装備し、ガラス周縁部と窓枠との間を水密状態に保持している。しかしながら、昇降するガラスをドアパネル内部、または、車体パネル内部に収納することができる昇降自在のガラス窓においては、ガラスが昇降移動できる程度にガラス周縁端部とモール間をシールしているだけであるので、ガラス周縁端部とモール間のシールの隙間から、水がドアパネル内部、または車体パネル内部にしみ込んでくる。また、降雨時にガラス窓が開けられた時にも一時的にシールが不完全になるので、雨水は車体内部だけでなくドアパネル内部、および、車体パネル内部に入り込んでくる。
【0003】
自動車の昇降ガラスを装着してあるドアパネル、または、車体パネル内部には様々な電気系、機械系の装置が搭載されており、装置の腐蝕を防止するため、これら装置を雨水、または洗車する時の洗浄水等から防御することが必要とされている。
【0004】
ドアガラスの窓枠下辺に装着しているウエストラインモールと昇降ガラスとの隙間からドアパネル内にしみ込んだ水が、ドアパネル内の主要装置に降りかからないようにするために、実開昭61−145023号公報、実開平6−49130号公報、実開平9−76746号公報には、防水カバー、または、排水構造が開示されている。
【0005】
実開昭61−145023号公報は、ガラスチャンネル部を伝ってドアパネル内にしみ込み、チャンネル下端部から車両用ドアロック機構に滴り落ちる水に対して防護する防水装置を開示している。即ち、滴り落ちる水を回動可能な樋部材で受止め、ドアロック機構の位置を外れた箇所に排水する構造である。また、実開平6−49130号公報は、車両窓の下辺に設けられたウエストモール(シール材)とドアガラスとの間からしみ込む水の排水構造を開示している。即ち、昇降自在なウインドウガラスの下端辺に樋を設け、両端の排水ガイドレールを介して排水する、または、下端辺を円弧状に形成して、円弧状の下端辺に沿って流れる水を排水ガイドレールを介して排水する構造である。また、実開平9−76746号公報は、ドアガラス面に沿って流下する水がドアガラス用のレギュレータに付着することを防止するレギュレータ用の防水カバーを開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
実開昭61−145023号公報に開示される防水装置は、ドアガラスの両端部のガラスチャンネル部を伝ってしみ込む水を回動自在な樋部材で防護する装置であり、しみ込む水の箇所が限定されている。また、樋部材は回動する構造であり耐久性が問題とされる。また、実開平9−76746号公報に開示された防水カバーは、別途ドアパネルに装着する工程を必要とする。回動樋部材、カバーの装着は、その分重くなる懸念がある。
【0007】
また、実開平6−49130号公報に開示される排水構造は、ウエストモールの全長の任意の箇所からしみ込む水を排水するために、ドアガラスの下端部を円弧状に形成してある。しみ込んだ水は水滴となってガラス板の下端に達した後、円弧状端部を伝ってガラス板の両端側に導かれ排水される。しかしながら、ドアガラスの下端部は、昇降機構に支持されるガラス支持部との位置関係から、ドアガラスの下端部は必ずしも円弧状には切断されない。また、ドアパネル内部に設置される電気系、機械系装置の装着箇所を避けて、ドアガラスの両端部以外の任意の位置に排水したい場合に対処することができない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、パネル内部に入り込んでガラス板を伝って流れる水を、パネル内部の電気系、機械系装置を避けて任意の位置に排水するために、即ち、パネル内部に防水領域を確保するために、ガラス板に単独の孔が、または、複数個の孔が形成される。孔部のガラスは取除かれるので、その分だけガラスは軽くなる。即ち、パネル内部に防水領域を形成すると同時に、ガラスを軽量化することができる。
【0009】
パネル内部に入り込んでガラスを伝って流れる水滴はガラスに形成した孔の上辺に到達すると、傾斜する辺沿いに流れて所定箇所に導かれ、該所定箇所の水切部において孔の辺を離れてガラス面に乗り移り、さらに下方に伝って流れて最後はガラスの下端縁から排水される。孔の形状を選定することにより、または、複数個の孔を組み合わせることにより、水は任意の箇所に排水される。
【0010】
本発明のガラスの孔は、ガラス板が強化される前に所定形状に切断された平板ガラスの適所の位置に、予め穿孔ドリルを使用して孔開けされている。孔開けされた孔の形状は長円、矩形、卵形、半月、三角、およびこれらの形状を組合わせた任意の形状の孔である。孔の辺の一部が水平線に対して一方の方向に単調に傾斜するように孔が配置されることにより、該傾斜辺沿いに水が流れて上辺の終端部に到達する。該終端部が孔の上辺と下辺とで構成される水平方向の孔端部となるように該孔を配置すると、該孔端部の近傍に水切部が形成され、水は水切部から下方に排水される。複数の孔を水平方向にずらせて上下に配置することにより、水滴は、上方の孔の傾斜した上辺沿いに導かれて水切部に達し、上方の孔を離れて次の孔の上辺に伝わり、下方の孔の傾斜した上辺沿いに導かれて水切部に達し、所定箇所に排水される。
【0011】
孔開けされた孔は、ガラスを上昇させて完全に閉めたとき、該孔が窓枠の下辺より上に現れず、窓枠の下辺より下のパネル内に隠れる領域に形成される。即ち、昇降するガラスの窓の見切り線に相当するラインより下方の適所の領域に孔は形成される。なお、ガラスの下端辺に極めて近接して孔が形成されると、近接部の機械的強度が劣り該部が欠けることに繋がるので、その際は、孔の辺の一部がガラス板下端辺となる下方に開口した孔を形成するのがよい。即ち、ガラス板下端辺に円弧、三角形等の単調に傾斜した辺が形成される。さらに、該傾斜辺とガラス板下端辺との交点を排水のための所定箇所近傍に設定し、かつ、該所定箇所近傍が下方に凸の形状になるように板下端辺を形成しておくことにより、該所定箇所が水切部となり、該水切部から水が排水される。
【0012】
最終の孔の水切部から離れた水がガラス板の下端辺に垂直方向に到達した位置が所定の最終の排水位置であるときは、該下端辺部に水切部を形成するのが好ましい。ガラス板の下端辺を下に凸の形状に形成することにより昇降ガラスの水切部が形成される。または、排水位置の該下端辺部に、水の流れを阻害する下方に凸の堰部材を取付けて昇降ガラスの水切部が形成される。
【0013】
ガラス板の機械的強度の観点からは、穿孔された孔と孔の間の距離、または、ガラス板端部と孔との間の距離がガラス板厚の3倍以上に保たれる限り、ガラス板の強度の低減はないと理解されている。従って、ドアガラスの適所を穿孔することにより防水領域を確保できると共に、ドアガラスの機械的強度を損うことなくドアガラスの軽量化が達成される。
【0014】
傾斜した辺に導かれて流れる水滴が大きくなりすぎると水滴が上辺から落下する畏れがあるので、孔の上辺の上方で水滴を分散する溝が、溝に沿って水が流れるように傾斜させて形成されるのがよい。溝は一条であっても水滴を分散する効果を有するが、水滴分散効果を高めるためには一条の溝よりも複数条の溝が辺に沿って斜めに設けられるのが好ましい。
【0015】
水滴を分散する溝は、孔の傾斜する上辺の上方のガラス面を、傾斜する辺に沿って鋸歯状に研削することにより形成される。または、鋸歯状の複数の溝を形成してあるシート状部材が、または、ガラス面との間に溝空間を形成できる線状部材が孔の傾斜する上辺の上方に沿って接着されることにより水滴を分散する溝が形成される。該溝により大きな水滴は幾筋かの水流に分れて傾斜方向に流下する。
【0016】
または、溝を形成する以外に、傾斜する辺沿いに水滴を受けて傾斜方向に水を導く樋部材を孔の周辺に設けるのがよい。傾斜する辺に取付けられた樋部材は、孔開けされたガラスを熱処理した後に、または熱処理を受けることなく合わせガラスに加工された後に、射出成形法、押出し成形法、接着法等により孔の周縁部沿いに固着される。または、予め庇部が形成されているシート状部材を孔の周縁部沿いに巻き回し、熱圧着の手段、または、接着の手段を用いて固着することにより樋部材を形成する。
【0017】
水滴を所定箇所に導いて排水し防水領域を確保するためには、例えば、長円の孔が防水されるべき領域の上方に長軸が水平線に対して傾斜した状態で一個配置されるか、または、2個の長円の孔がほぼ逆V字型の配置ではあるが、一方の孔の頂点側の端部の位置が他方の孔の頂点側の端部の下側に組み合わせて配置されることにより防水領域が確保される。望ましくは、逆V字型の孔が一個配置されれるのがよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車用昇降ガラスに孔開けされた孔は、窓が閉め切られている時に、即ち、ガラスが完全に締切られ窓の最も高い位置にあるときに、孔が視界に出現しないように、窓の見切り線に相当するラインより下側のガラス領域に形成される。孔の形と数及び孔の配置を適宜選ぶことにより、防水領域が任意の位置に確保され、排水箇所が任意に設定される。
【0019】
図1は自動車用ドアの正面図であり、昇降ガラスの面内における孔と防水領域の位置的関係を概要として示す図である。孔は見切り線相当ラインとガラスの下端辺の間の領域に形成されている。図2は、孔の基本的形状を示している。図3は水平方向孔端部近傍の水切部を示している。図4は溝の形状を示しており、図5は樋の形状を示している。図6は複数の孔を組み合わせることにより防水領域を確保する孔の配置を示している。図7は軽量化に効果的な開口形状を有する孔を複数個組み合わせた孔の配置を示している。
【0020】
図1では、ガラスを昇降する駆動装置、ガラスを駆動系に連結する接続機構等を図示することは省略されており、昇降駆動装置が装着される防水領域は斜線を入れた矩形で示されている。図1において孔の上辺が水平線に対して斜めに配置されることにより、該上辺に沿って水滴が孔端部に導かれ排水される。図1は、サイドドアパネルに装着されるドアガラスを例に図示されているけれども、サイドドアガラスに限定されることはない。例えば、ハッチタイプのドアパネルの窓とか、開閉することのない車体パネルに設けられた窓とかに装着される昇降ガラスが除かれるものではない。
【0021】
図2に孔形状の例が示される。図2(a)は長円、図2(b)は矩形、図2(c)は卵形、図2(d)は半月形、図2(e)は三角形である。図2(f)は半月形の孔の下辺にほぼ円形の孔が併合された変形の半月孔であり、くり抜き面積を広くできる。図2(g)は三角形の変形であり、下辺中央部を上方に屈折させることにより両端部に水切部が形成されている。図2(h)は、図2(g)の変形三角形と矩形を併合して組み合わせた孔であり、くり抜き面積を広くとれるのでガラスの軽量化には効果的である。孔は貫通していない穴であってもよいが、軽量化を図る上からは表から裏に貫通した開口を形成する孔であることが望ましい。なお、合わせガラスとする際には、孔に相当する位置の合わせ中間膜はくり抜かれていてもくり抜かれていなくてもかまわない。くり抜かれていない場合、見かけ上、貫通していない穴が形成される。
【0022】
単一の孔が使用されるときは、図2の(d)、(f)、(g)、(h)のような両端部が下方に垂れ下がっている形状の孔がよい。この場合、下方に垂れ下がっている両端部が水切部となる。一方、図2(e)の三角形は両端部が垂れ下がっていないので、両端部に下方に凸状の切り欠き部、下方に凸状の堰部を設けることにより、図示されてはいないが、凸状切り欠き部付き水切部、凸状堰部材付き水切部を形成するができる。図2の(a)、(b)、(c)、(e)のような孔はそのまま水平に配置されると水切部が好適に形成されない。軸を傾けて配置することにより傾けられた孔の下方側の端部に水切部が形成される。
【0023】
例えば、長円の孔の場合、長軸を斜めに配置することにより傾けられた孔の下方側の端部に水切部が形成される。上辺の頂点部に到達した水は上辺に沿って一方の方向に流れる以外に、一部は意図しない逆の他方に流れ、孔の下辺側に回り込む。回り込んだ水は所定の排水箇所に到達する前に下辺を離れて流下し始める畏れがある。他方の側の辺が短かくなるように、孔の形状を選択し、または、孔を傾斜配置することにより、下辺側に回り込む水の量は制限される。あるいは、前記垂れ下がり端部のない孔の上方に、図2の(d)、(f)、(g)、(h)に示されるような、孔の両端に水切部を有する形状の孔を配置するのがよい。
【0024】
図3は孔の水平方向の端部近傍に形成される水切部を示す。図3(a)には、一方の方向に単調に傾いている孔の上辺の水平方向最端部が直線Aで示される。該最端部は孔の一部を構成する孔開口部の最端部に相当する。該最端部の近傍域に直線Bで示されている下辺の最下端があるように孔の形状と孔の配置が設定されると、AとBの間の領域が水切部となる。AとBの間の距離が長いと排水箇所が広がるので、AとBの間の距離は50mm程度以内であることが望ましい。AとBの間の孔開口部の辺はそのまま水切部となるが、AとBの間の距離が長いときには、孔開口部の辺のAとBの間の適宜箇所に、下方に凸の切り欠き部を形成した水切部を設けることが好ましい。または、図3(b)に示すように、孔開口部の辺のAとBの間の適宜箇所に、水の流れを阻害する下方に凸の堰部材を取付けた水切部を形成することが好ましい。
【0025】
図4の(a)はガラスに直接形成された溝を示す。溝を直接形成するには、水平に置かれたガラス板の斜め上方からレーザ光を照射し、照射部のガラスを加熱溶融することにより、溝が形成される。溝を形成する位置に予め黒色系の光吸収剤を塗布しておくと、レーザ光の吸収効率が高まりガラス板面の加熱溶融が促進される。または、被膜を形成するゾルゲル塗布液、例えば、オルガノポリシロキサンに代表されるシリコーン液をガラス面に面一に塗布し、塗膜に型材を押し当てて凹凸部を形成した後、塗膜を硬化することにより溝が形成できる。さらに、カップドリルの刃を斜めに押し当ててガラス面を研削することにより溝が形成できる。いずれも、ガラス板を縦状にパネル内に設置した時、溝の底部と側壁部の間に水を保持できる角度に溝が形成されていることが好ましい。ガラス板が縦状に置かれている時、溝の側壁面が水平面に対して0°以上の角度を成していることが好ましい。
【0026】
図4(b)は、予め複数の溝部を形成したシート状部材が孔の上辺沿いに貼り付けられた例を図示している。または、シート状部材は孔の上辺沿いに射出成形法、押出し成形法により直接形成される。この場合の溝の形状は上記に述べてあるように、ガラス板が縦状に置かれる時、側壁面は水平面に対して0°以上の角度を成していることが好ましい。
【0027】
図5には水滴を受ける庇部を有する樋部材が図示されている。樋部材は、射出成形法、押出し成形法により、孔の辺沿いに直接形成される。または、予め庇部を形成された樋部材が孔の辺沿いに取付けられる。庇部を形成された樋部材は接着により孔のガラス端面部に取付けられる。または、樋部材にガラス端部を保持する挟持部を形成することにより、該挟持部がガラス端部に嵌め込まれて樋部材が取付けられる。
【0028】
樋部材が孔の全周に取付けられたときは、孔の水切部の位置が樋部材の水切部と一致する。樋部材が孔の一部に取り付けられたときは、庇に沿って水が流れ下る到達点が水切部になるので、樋部材の端部が所定の排水箇所に一致して取付けられておらねばならない。樋部材を全周に取付けるときは、巻き回す始点と終点の端部を孔の水切部の位置に一致させることにより、接合部を樋部材の水切部とすることができる。
【0029】
図6には、組み合わせて使用する孔の例が図示されている。図6の(a)は基本となる孔の組み合わせであるが、既に説明されているように山形に組み合わされた頂点部において水の回り込みの畏れがある。この危惧を解消するために、図6の(b)には、山形に組み合わされた孔の上方に、両端部が下方に垂れ下がった図2(g)の変形三角形の孔が組み合わされて配置されている。水滴は変形三角形の両端部の水切部で流れ落ち、下方の斜めに配置された長円の上辺に達して上辺沿いに流れ、最終の水切部であるY1、Y2の排水箇所に達して流下する。
【0030】
図6(c)は変形三角形の孔の代りに半月状の孔が上方位置に配置してある。半月状の上辺が長いと端部の水切部に集る水の量が多くなり、水切部から流下した水は下方に配置された孔の上辺沿いに保持できなくなる畏れがある。この場合、孔の上辺沿いに溝が形成されるか、予め複数の溝が形成されたシート状部材、またはガラス面との間に溝空間を形成できる線状部材が孔の上辺沿いに貼着される。図6(c)では、水が流下する箇所にシート状部材が接着されており、該箇所に流下する水滴が複数の水流に分散される。
【0031】
図7に望ましい孔の組み合わせ例が示される。長軸を斜めに設定して互いにずらせて並べた2個の長円の孔と、孔面積を大きく採れるように孔開けされた異形の孔が3個組み合わされている。異形の孔の上辺にはガラス面との間に溝空間を形成することのできる線状部材が3条貼着され、流下する水滴が分散される。長円の2個の孔のうち、下方の孔には庇部を形成した樋部材が全周に亘って装着される。樋部材の始点と終点の接合部は孔の左下部に設定される。異形の孔の上辺の一部には樋部材が貼着される。該樋部材の端部は異形孔の右下部にある水切部にまで達している。
【0032】
3個の孔を組み合わせることにより、孔開口面積が大きくなりガラスの軽量化が達成され、かつ、駆動装置等の電気系、機械系装置が装着される領域をさけて水滴が排水されるので、孔の下方に防水領域が好適に確保される。図7では、異形孔の上方に3条の線状部材による溝が形成されているが、ガラスの軽量化を高めたいときには、窓の見切り線相当ライン近傍に孔の上辺を設定することがありうるので、溝を形成するよりも樋部材のみの方が好ましい場合がある。
【0033】
【発明の効果】
自動車の昇降ガラスに孔を形成することにより、ガラスを伝って流下する水滴を所定箇所に導いて排水することができる。これにより孔の下方に防水領域が形成され、ドアパネル内部の電気系、機械系装置に水滴が降りかかることが防止される。孔の辺沿いに溝および/または樋を設けることにより、大きな水滴を分散して所定の排水箇所に導くことができる。また、孔は該部のガラス母材をくり抜かれているので、昇降ガラスの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドアガラスに孔を形成することにより確保された防水領域の一実施例の構成。
【図2】孔の代表的形状:(a)は長円孔、(b)は矩形孔、(c)は卵形孔、(d)は半月孔、(e)は三角孔、(f)は変形の三角孔、(g)は変形の三角孔、(h)は変形の三角孔。
【図3】孔の水平方向端部に形成される水切部:(a)はAB間の辺が水切部、(b)は、辺に取付けた下方に凸の堰部材が水切部。
【図4】ガラス断面から見た孔の上辺に沿う溝:(a)はガラス面に形成された溝、(b)はガラス面に貼着された溝。
【図5】ガラス断面から見た庇部材の一例。
【図6】組み合わせて構成される孔の例:(a)は2個の長円孔の組み合わせ、(b)は2個の長円孔とその上方に設置された変形三角孔の組み合わせ、(d)は2個の長円孔とその上方に設置された半月孔の組み合わせ。
【図7】孔開口部の面積を大きく取れる組み合わせ孔の一実施例。
【符号の説明】
1 昇降ガラス
2 パネル(ドアパネル)
3 防水領域(駆動装置の装着箇所)
4 孔
5 見切り線相当ライン
6 昇降ガラスの水切部
7 昇降機構へのガラス取付け具(ガラス支持部)
10 孔の上辺
11 孔の下辺
12 水滴
13 下方に凸の堰部材
16 溝
17 溝形成部材
18 分散された水
19 樋部材
20 庇
21 庇とガラス面間に形成される溝
22 長円の孔
23 線状の溝
24 異形の孔
25 全周に装着した樋部材
26 部分的に装着した樋部材
27 水切部を形成する樋部材の接合部
Claims (8)
- 車両窓に装着された昇降ガラスの、窓の見切り線に相当するラインより下側の適所の領域に開口された孔であり、該孔の上辺の少なくとも一部が水平線に対して一方の方向に単調に傾いている孔開口部を設けることにより、見切り線相当ラインに装着されるモールと該昇降ガラスとの隙間からドアパネルまたは車体パネル内にしみ込んで該昇降ガラスを伝って流下する水滴が、該孔開口部の上辺沿いに導かれて孔開口部の辺に形成されている水切部から排水される車両用昇降ガラス。
- 開口された孔を昇降ガラスの適所に配置することにより、または、複数の孔を組み合わせて昇降ガラスの適所に配置することにより、水滴が所定の箇所に導かれて排水され、かつ、所定領域に防水領域が確保される請求項1に記載される車両用昇降ガラス。
- 開口された孔の上辺の上方に、上辺に沿って溝を形成し、該溝を伝って水滴が所定の箇所に導かれる請求項1に記載される車両用昇降ガラス。
- 開口された孔の上辺の上方に、予め溝が形成されているシート状部材、または、ガラス面との間に溝空間を形成できる線状部材が、孔の上辺に沿って貼着されている請求項1に記載される車両用昇降ガラス。
- 開口された孔の周縁部沿いに、水滴を流す樋部材が取付けられている請求項1に記載される車両用昇降ガラス。
- 孔の周縁部沿いに取付けられる樋部材が、射出成形法、押し出し成形法により孔の周縁部沿いに予め固着されるか、または、予め溝が形成されているシート状部材が孔の周縁部沿いに巻き回されている請求項5に記載される車両用昇降ガラス。
- 孔の形状が、長円、矩形、卵形、半月、三角、または、これらの孔を組合わせた形状である請求項1に記載される車両用昇降ガラス。
- 水滴が孔開口部の上辺沿いに斜めに伝いながら流れ、該水滴が到達する位置が水切部であるとして、該水切部が該斜めの上辺と該上辺の下方にあって該上辺に接続する該孔開口部の下辺とでなす水平方向端部の近傍領域の辺であるとする請求項1に記載される車両用昇降ガラス。
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