JP4068265B2 - 超電導マグネット及びその予冷方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導マグネットに係り、特に冷凍機直接冷却型の超電導マグネットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導マグネットにおける超電導コイルの冷却には、超電導コイルを冷媒中に浸漬して冷媒の蒸発潜熱で冷却する浸漬冷却と、冷凍機直接冷却とが一般に用いられている。
【0003】
図23は特開平8−78737号公報や特開平6−132567号公報などに記載された従来の冷凍機直接冷却型超電導マグネットの縦断面図である。同図において、1は超電導線を巻回して形成された超電導コイルで、輻射シールド2によってその外方が包囲され、さらにこの輻射シールド2は真空容器3に包囲されている。この真空容器3には冷凍機4が搭載され、この冷凍機4の低温側ステージ4aには熱伝導部材5を介して超電導コイル1が熱的に接続されるとともに、高温側ステージ4bが輻射シールド2に熱的に接続され、それぞれ約5K,80Kに冷却されている。又、超電導コイル1は、断熱支持材6によって真空容器3又は輻射シールド2から支持されている。この断熱支持材6の材質としては、一般的にチタン合金やグラスファイバ強化プラスチック(GFRP)が用いられている。
【0004】
この様に冷凍機直接冷却型の超電導マグネットは、液体ヘリウムを使用しないので、取り扱い性に優れている反面、4.2K冷凍機の能力が現状では約1W程度であることから、比較的小型すなわち熱容量の小さい超電導マグネットに適用されている。
【0005】
次に、かかる超電導マグネットの動作について説明する。
【0006】
真空容器3内を所定の値まで真空排気後、冷凍機4を運転し、高温側ステージ4bにより輻射シールド2を冷却するとともに、低温側ステージ4aにより熱伝導部材5を介して熱伝導で超電導コイル1を冷却する。ここで、超電導コイル1が所定の温度例えば約5Kになるまで冷却するこの過程を予冷と称す。
【0007】
約5Kに冷却された超電導コイル1は、電気抵抗がゼロ、いわゆる超電導状態になる。そこで外部の図示しない励磁用電源から電流を超電導コイル1に供給し、所用の磁場を発生させる。通常運転時には、超電導コイル1は電気抵抗がゼロであるので、電流を流してもそれ自身がジュール熱で発熱することがない。しかし、外部から対流・伝導・輻射による超電導コイル1への熱侵入があるが、この侵入熱は冷凍機4で除熱される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記冷凍機直接冷却型超電導マグネットでは、液体ヘリウムを使用しないので、注液等の作業もなく取り扱い性に優れている反面、冷却能力は搭載された冷凍機4の能力によって決定される。
【0009】
このため、熱容量の大きい大型超電導コイル1を冷凍機4だけで冷却する場合、室温から極低温まで冷却するいわゆる予冷時には非常に長い時間を要するという課題があった。すなわち、定常状態である超電導コイル1が極低温すなわち超電導状態となっている時には、冷凍機4の低温側ステージ4aへの熱侵入量(熱負荷)は、一般的に1W以下と小さく十分に冷凍機4で冷却できる値であるが、予冷時において低温側ステージ4aの冷却能力1W程度では、約5Kまで冷却するのに数日から数週間を要する。
【0010】
又、冷凍機7の高温側ステージ4bは室温から約50Kまで数十Wの冷却能力があり、予冷過程において、熱容量の小さい輻射シールド2が超電導コイル1よりもいち速く低温になり、定常状態とは逆に超電導コイル1は輻射シールド2によって輻射で冷却される。しかし、一般に超電導コイル1の外表面には輻射による侵入熱を抑制するために、多層断熱材が装着されており、輻射による冷却効果は極めて小さく、50K付近まで大きな冷却能力を有する高温側ステージ4bを有効に活用することができず、結果として、予冷時間が長くなるという課題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたもので、定常状態での侵入熱を抑制して予冷時間を短縮できる高性能で低コストの超電導マグネットを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、大幅に予冷時間を短縮できる超電導マグネットの予冷方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、超電導コイルと、この超電導コイルを包囲する輻射シールドと、この輻射シールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取着され、超電導コイル及び輻射シールドを冷却する冷凍機とを備えた超電導マグネットにおいて、超電導コイルと輻射シールドとの間に設けられ、一端が接触子に固着されると共に他端が輻射シールドに取着されたサーマルアンカを備え、超電導コイルの初期冷却時に、超電導コイルに固定された接触板と接触子とを押付けて超電導コイルと輻射シールドとをサーマルアンカを介して熱的に接触して冷凍機により超電導コイル及び輻射シールドを冷却し、かつ超電導コイルが所定の冷却温度に到達する冷却終了後に、サーマルアンカを介して超電導コイルと輻射シールドとの熱的な接触を離脱する予冷用熱接続機構と、一端が輻射シールドに直接又は断熱体を介して固定され、他端が超電導コイルに固定された接触板に押圧される接触子が固着された伸縮可能な伸縮冷媒容器と、伸縮冷媒容器に連通し、超電導コイルの初期冷却時に、外部から伸縮冷媒容器に冷媒を供給する冷媒供給管と、伸縮冷媒容器に連通し、伸縮冷媒容器よりも上方位置で開口し、超電導コイルの初期冷却時に、伸縮冷媒容器から冷媒を冷媒排出系に排出する冷媒排出管と、冷媒排出管に装備され、超電導コイルが所定の冷却温度に到達すると、伸縮冷媒容器内を真空置換する排気系を備えた超電導マグネットである。
このような超電導マグネットであれば、超電導コイルの初期冷却時に、予冷用熱接続機構によって超電導コイルに固定された接触板と接触子とを押付けて超電導コイルと輻射シールドとをサーマルアンカを介して熱的に接触して冷凍機により超電導コイル及び輻射シールドを冷却し、かつ伸縮冷媒容器に冷媒を冷媒供給管を介して供給し、冷媒を伸縮冷媒容器から冷媒排出管を通して冷媒排出系に排出し、超電導コイルが所定の冷却温度に到達する冷却終了後に、サーマルアンカを介して超電導コイルと輻射シールドとの熱的な接触を離脱し、かつ前記サーマルアンカを介しての前記超電導コイルと前記輻射シールドとの熱的な接触を離脱し、前記排気系によって前記伸縮冷媒容器内を真空置換する。これにより、冷媒の蒸発潜熱で超電導コイルを冷却できる。従って、冷凍機単独で予冷するのに比して、大幅に予冷時間を短縮できる。又、冷媒排出管には、伸縮冷媒容器内を真空置換するための排気系を装備したので、伸縮冷媒容器内を真空排気することによって、外部から輻射シールドへ、輻射シールドから超電導コイルへの侵入熱を低減できる。
【0014】
請求項2によれば、請求項1記載の超電導マグネットにおいて、初期冷却時に、超電導コイルに固定された接触板と接触子とを押付けて超電導コイルと輻射シールドとをサーマルアンカを介して熱的に接触して冷凍機により超電導コイル及び輻射シールドを冷却し、かつ伸縮冷媒容器に冷媒を冷媒供給管を介して供給する工程と、超電導コイルの初期冷却時に、冷媒を伸縮冷媒容器から冷媒排出管を通して冷媒排出系に排出する工程と、超電導コイルが所定の冷却温度に到達した冷却終了後に、サーマルアンカを介して超電導コイルと輻射シールドとの熱的な接触を離脱し、かつ排気系によって伸縮冷媒容器内を真空置換する工程とを有する超電導マグネットの予冷方法である。このような予冷方法であれば、大幅に予冷時間が短縮する。
【0015】
請求項3によれば、請求項1記載の超電導マグネットにおいて、超電導コイルの超電導線間の隙間に蓄冷材を巻き込んだ。このような超電導マグネットであれば、請求項1記載の超電導マグネットの作用効果に加えて、超電導コイルの通電電流を速い速度で増減でき、超電導コイルの超電導状態の壊れる状態を減少でき、信頼性を向上できる。
請求項4によれば、請求項1記載の超電導マグネットにおいて、超電導コイルに蓄冷材パックを巻いた。このような超電導マグネットであれば、請求項1記載の超電導マグネットの作用効果に加えて、超電導コイルの通電電流を速い速度で増減でき、超電導コイルの超電導状態の壊れる状態を減少でき、信頼性を向上できる。
請求項5によれば、請求項1記載の超電導マグネットにおいて、冷凍機よりも容量の大きい冷凍機を超電導コイルに対して熱的に着脱自在に設け、初期冷却時に容量の大きい冷凍機を超電導コイルに熱的に接続し、所定の温度まで冷却したところで容量の大きい冷凍機を熱的に切断する。このような超電導マグネットであれば、請求項1記載の超電導マグネットの作用効果に加えて、容量の大きい冷凍機を超電導コイルに対して熱的に着脱自在に設けることにより、設置場所が狭いところでの使用や使用目的の度合いにより連続で冷却したまま維持する場合には、容量の小さい冷凍機が1台あればよく、占有面積を狭くし、取り扱いも容易にできる等の利点がある。
請求項6によれば、請求項1記載の超電導マグネットにおいて、超電導コイルの超電導線間に、熱伝導率の大きいシートを巻き込んだ。このような超電導マグネットであれば、請求項1記載の超電導マグネットの作用効果に加えて、冷凍機への伝熱量を多くでき、超電導コイルの外乱による熱の除去や冷却速度性能を向上できる。
請求項7によれば、請求項1記載の超電導マグネットにおいて、超電導コイルの巻枠に、複数の開口部又は整流リブのうちいずれか一方又は両方を形成した。このような超電導マグネットであれば、請求項1記載の超電導マグネットの作用効果に加えて、冷却効果を高くでき、冷媒の流量にアンバランスが生じても、流量の多い部分は乱流となり易く、流れの抵抗が増し、アンバランスが解消される。
【0078】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0079】
図1は本発明に係わる超電導マグネットの断面図であり、図2は予冷用熱接触機構の一例を示す断面図である。
【0080】
超電導コイル1は、超電導線を巻回して形成されている。この超電導コイル1は、輻射シールド2によってその外方が包囲され、さらにこの輻射シールド2が真空容器3に包囲されている。このうち真空容器3には冷凍機4が設けられている。この冷凍機4には低温ステージ4aが接続されている。そして、この低温ステージ4aには熱伝導部材5を介して超電導コイル1が熱的に接続され、かつ高温側ステージ4bには熱的に輻射シールド2が接続され、超電導コイル1が低温ステージ4aによって約5Kまで冷却され、輻射シールド2及び超電導コイル1が高温側ステージ4bによってほぼ同温度の80Kに冷却されるようになっている。
【0081】
又、上記超電導コイル1は、断熱支持材6aによって輻射シールド2から支持され、かつ輻射シールド2は断熱支持材6bによって真空容器3から支持されている。
【0082】
輻射シールド2と超電導コイル1との間には、予冷用熱接続機構7が具備されている。この予冷用熱接続機構7は、超電導コイル1の初期冷却時に輻射シールド2と超電導コイル1とを熱的に接触させるもので、その構成を図2を参照して説明する。
【0083】
真空容器3には架台8を介して駆動部9が取着され、この駆動部9の軸9aには押圧棒11が結合されている。この押圧棒11の他端は、真空気密のためのベローズ10を介して真空容器3に伸縮可能に取着されている。
【0084】
この押圧棒11の下端は、弾性体13を介して断熱駆動体12に係合し、さらに、この断熱駆動体12の下端には接触子14が取着されている。ここで、断熱駆動体12の材質としては、例えばグラスファイバ強化プラスチック(GFRP)、カーボンファイバ強化プラスチック(CFRP)、セラミックス等が好ましい。又、弾性体13としては、コイルバネでもよいが、ばね定数が大きい皿ばねの方が適している。
【0085】
上記接触子14にはサーマルアンカ15の一端が固着されており、このサーマルアンカ15の他端が輻射シールド2に取着されている。又、この接触子14は、輻射シールド2に固定された板ばね16と係合している。この板バネ16は、常に接触子14を接触板17から引離すような力を加えるものとなっている。なお、サーマルアンカ15は、例えば純度99.99%以上の純アルミを使用し、接触子14は例えば無酸素銅を使用している。
【0086】
一方、超電導コイル1には、接触子14に対峙して接触板17が固定されている。これら超電導コイル1に固定された接触板17とこの接触板17に接触する接触子14との各接触面の少なくともいずれか一方には、図3に示すように凹凸17aが形成されている。この凹凸17aは、レコード状の溝や同心溝、ローレット加工等その態様は、全面が平滑面でなければよい。
【0087】
又、超電導コイル1に固定された接触板17とこれに接触する接触子14との各接触面の少なくともいずれか一方には、易融合金14aが固着されている。この易融合金14aは、例えばインジウム、半田、鉛、錫等である。特にインジウム14aは、極低温での熱伝導率が大きく、かつ軟金属で相手方表面とも良く馴染み、さらに金属との密着性に優れている。
【0088】
次に、上記の如く構成された超電導マグネットの作用について説明する。
【0089】
超電導コイル1と輻射シールド2と真空容器3とは、それぞれ通常熱的に離れている。
【0090】
初期冷却時(予冷)には、真空容器3の上部に取付けられた駆動部9で、押圧棒11を超電導コイル1側に可動させ、弾性体13、断熱駆動体12を介してこの断熱駆動体12の下端に取着された接触子14を超電導コイル1に固定された接触板17に押付ける。
【0091】
この接触子14には上記の如くサーマルアンカ15が固着されており、このサーマルアンカ15の他端は輻射シールド2に固定されているので、接触子14が超電導コイル1に押付けられることにより、輻射シールド2と超電導コイル1とはサーマルアンカ15と接触子14を介して熱的に接続される。
【0092】
ここで、サーマルアンカ15は純度99.99%以上の純アルミを使用し、接触子14は無酸素銅を使用しているので、輻射シールド2と超電導コイル1との間の熱伝導率は大きく、1Kの温度差で20W以上冷却できる。
【0093】
従って、冷凍機4の高温側ステージ4aによって輻射シールド2と超電導コイル1とはほぼ同温度で約50Kまで冷却することが可能となる。
【0094】
そして、超電導コイル1の温度が高温側ステージ4aの到達温度である約50Kに達した時点で、駆動部9を逆駆動し、接触子14と接触板17の接触を離脱する。この離脱後は、超電導コイル1は冷凍機4の低温側ステージ4bによってさらに約5Kまで冷却される。従って、比熱の大きい室温から50Kまでの冷却に要する時間を大幅に短縮できる。
【0095】
なお、断熱駆動体12は、グラスファイバ強化プラスティック(GFRP)製で、断熱性能が良く、輻射シールド2と真空容器3との間の熱伝導を極力押さえている。
【0096】
又、板バネ16は、常に接触子14を接触板17から引離すような力がかかっているので、断熱駆動体12や押圧棒11を引き抜く機構がない場合でも確実に接触子14を接触板17から引離すことができる。
【0097】
このように上記第1の実施の形態によれば、予冷の際、予冷用熱接続機構7によって輻射シールド2と超電導コイル1を熱的に接触させるので、冷却能力が数十Wと大きい高温側ステージ4bで輻射シールド2と超電導コイル1を約50K付近まで同時に冷却するので、予冷時間を短縮できる。特に、超電導コイル1の主材料である銅の比熱は低温になるに従って小さくなり、50Kでは室温時の約1/4、20Kでは1/50、4Kでは1/4000になる。従って、比熱の大きい室温から50Kまでの冷却に要する時間を大幅に短縮できる。
【0098】
又、初期冷却時には、真空容器3の外側の駆動部9から押圧棒11で断熱駆動体12を介して、輻射シールド2とサーマルアンカー15で熱的に接続された接触子14を、超電導コイル1に固定された接触板17に押付けて輻射シールド2と超電導コイル1を共に50K付近まで冷却し、その後、押圧棒11を引抜き、接触子14を超電導コイル1から離脱させるので冷凍機4の低温側ステージ4aで超電導コイル1を5Kまで冷却する際、超電導コイル1から輻射シールド2への伝導熱を遮断できる。
【0099】
又、板ばね16はコイルばねに比して熱伝導面積が大きく、かつ熱伝導距離が小さいので、サーマルアンカ15と共に熱伝導部材として活用できる。
【0100】
又、接触子14と接触板17との接触面に加わる荷重は弾性体13のばね定数に応じた荷重が作用するので、真空容器3、超電導コイル1、予冷用熱接触機構7等の間に熱膨脹差を生じても、弾性体13の変形で吸収し、冷却途中でほぼ一定の荷重で押圧できる。さらに、熱収縮差によって各部材に生じる熱応力を軽減できる。
【0101】
又、超電導コイル1に固定された接触板17とこの接触板17に接触する接触子14との各接触面の少なくともいずれか一方に、凹凸17aを形成しているので、凸部の接触面圧が大となり、接触熱抵抗が小さくなるので、結果的に除熱能力が向上し、予冷時間を短縮できる。
【0102】
さらに、超電導コイル1に固定された接触板17とこれに接触する接触子14との各接触面の少なくともいずれか一方に、易融合金14a例えばインジウム14aが固着されているので、このインジウム14aは極低温での熱伝導率が大きく、かつ軟金属で相手方表面とも良く馴染み、さらに金属との密着性に優れているので、接触面の接触熱抵抗を低減することができる。従って、除熱能力がさらに向上し、予冷時間を短縮できる。
【0103】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0104】
図4は超電導マグネットの予冷用熱接触機構の断面図である。
【0105】
この第2の実施の形態は、上記図2に示す第1の実施の形態に対し、ベローズ10の配設位置及び接触子14と接触板17の接触構造を変えたものである。その他の構成は、図2に示した第1の実施の形態と同一である。
【0106】
真空容器3には、架台8を介して駆動部9が取着されている。この駆動部9には、この駆動部9の一部を構成して進退運動する軸9aが設けられている。この軸9aの下端は、弾性体13を介して架台8に係合して進退運動する可動板60が係合している。
【0107】
この可動板60には、断熱駆動体12が接続され、この断熱駆動体12の下端には接触子14が取着されている。さらに、この可動板60は、真空気密のためのベローズ10を介して真空容器3に伸縮可能に取着されている。
【0108】
上記接触子14にはサーマルアンカ15の一端が固着されており、このサーマルアンカ15の他端が輻射シールド2に取着されている。又、接触子14の外周にはフィンガーコンタクト61が装着されている。
【0109】
一方、超電導コイル1には接触子14に対峙して接触板62が固定されている。この接触板62には、接触子14の外周に装着されたフィンガーコンタクト61に嵌合する穴62aが形成されている。
【0110】
次に、上記の如く構成された超電導マグネットの作用について説明する。
【0111】
超電導コイル1と輻射シールド2とは、通常熱的に離れている。
【0112】
初期冷却時(予冷)には、真空容器3の上部に取付けられた駆動部9が駆動し、この駆動部9の駆動によってその軸9aが進退運動、この場合には軸9aが下降する。この軸9aの下降により弾性体13を介して可動板60が超電導コイル1側に可動し、この可動板60に接続された断熱駆動体12の下端に取着された接触子14が超電導コイル1に固定された接触板62の穴62aに挿入される。この場合、接触子14の外周にはフィンガーコンタクト61が装着されているので、このフィンガーコンタクト61が接触板17の穴17bに挿入し、さらにその下面が接触板62の底面62bに押付けられる。
【0113】
この接触子14には上記の如くサーマルアンカ15が固着されており、このサーマルアンカ15の他端は輻射シールド2に固定されているので、接触子14が接触板62を介して超電導コイル1に押付けられることにより、輻射シールド2と超電導コイル1はサーマルアンカー15と接触子14を介して熱的に接続される。
【0114】
従って、冷凍機4の高温側ステージ4bによって輻射シールド2と超電導コイル1とはほぼ同温度で約50Kまで冷却することが可能である。
【0115】
そして、超電導コイル1の温度が高温側ステージ4bの到達温度である約50Kに達した時点で、駆動部9を逆駆動し、接触子14と接触板62との接触を離脱する。
【0116】
この離脱後、超電導コイル1は、冷凍機4の低温側ステージ4aによってさらに約5Kまで冷却される。しかるに、比熱の大きい室温から50Kまでの冷却に要する時間を大幅に短縮できる。
【0117】
なお、弾性体13は、可動板60と断熱駆動体12との間に装着してもよい。
【0118】
このように上記第2の実施の形態によれば、ベローズ10の配設位置及び接触子14と接触板17との接触構造すなわち接触子14の下面のみならずその外周にフィンガーコンタクト61を設け、このフィンガーコンタクト61により接触板62に接触するようにしたので、接触面積が増加して熱接触抵抗が小さくなる。さらにフィンガーコンタクト61は熱膨張差等で生じる接触子14と接触板62との偏芯にも追従でき、確実に熱接触を保持できる。
【0119】
又、この第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、予冷の際、予冷用熱接続機構7によって輻射シールド2と超電導コイル1を熱的に接触させるので、冷却能力が数十Wと大きい高温側ステージ4bで輻射シールド2と超電導コイル1を約50K付近まで同時に冷却するので、予冷時間を短縮できる。特に、超電導コイル1の主材料である銅の比熱は低温になるに従って小さくなり、50Kでは室温時の約1/4、20Kでは1/50、4Kでは1/4000になる。従って、比熱の大きい室温から50Kまでの冷却に要する時間を大幅に短縮できる。
【0120】
又、初期冷却時には、真空容器3の外側の駆動部9により断熱駆動体12を介して、輻射シールド2とサーマルアンカー15で熱的に接続された接触子14を、超電導コイル1に固定された接触板62に押付けて輻射シールド2と超電導コイル1を共に50K付近まで冷却し、その後、接触子14を超電導コイル1から離脱させるので、冷凍機4の低温側ステージ4aで超電導コイル1を5Kまで冷却する際、超電導コイル1から輻射シールド2への伝導熱を遮断できる。
【0121】
又、接触子14と接触板62との接触面に加わる荷重は、弾性体13のばね定数に応じた荷重が作用するので、真空容器3、超電導コイル1、予冷用熱接触機構7等の間に熱膨張差を生じても、弾性体13の変形で吸収し、冷却途中でほぼ一定の荷重で押圧できる。さらに、熱収縮差によって各部材に生じる熱応力を軽減できる。
【0122】
又、超電導コイル1に固定された接触板62とこの接触板62に接触する接触子14との各接触面の少なくともいずれか一方に、上記図3に示すように凹凸17aを形成すれば、凸部の接触面圧が大となり、接触熱抵抗が小さくなるので、結果的に除熱能力が向上し、予冷時間を短縮できる。
【0123】
さらに、超電導コイル1に固定された接触板62とこれに接触する接触子14との各接触面の少なくともいずれか一方に、上記図3に示すように易融合金14a例えばインジウム14aが固着すれば、このインジウム14aは極低温での熱伝導率が大きく、かつ軟金属で相手方表面とも良く馴染み、さらに金属との密着性に優れているので、接触面の接触熱抵抗を低減することができる。従って、除熱能力がさらに向上し、予冷時間を短縮できる。
【0124】
次に、上記第2の実施の形態の変形例について説明する。
【0125】
図5は上記第2の実施の形態における接触子14及び接触板62をそれぞれ接触子70及び接触板71に変形した断面図である。
【0126】
接触板71の穴71aは、末萎まりのテーパー穴に形成されている。
【0127】
又、接触子70の外周は、接触板71のテーパー穴71aに嵌合するテーパー状に形成されている。
【0128】
このような構成であれば、初期冷却時(予冷)には、真空容器3の上部に取付けられた駆動部9の駆動によってその軸9aが進退運動し、このときの軸9aの下降により断熱駆動体12の下端に取着された接触子70が超電導コイル1に固定された接触板71のテーパー穴71aに挿入される。
【0129】
従って、接触板71のテーパー穴71aを形成し、接触子70の外周を接触板71のテーパー穴71aに嵌合するテーパー状に形成したので、楔効果で接触面圧が大きくなり熱接触抵抗が小さくなるので、結果的に除熱能力が向上し、予冷時間を短縮できる。
【0130】
図6は上記第2の実施の形態における接触子14及び接触板62をそれぞれ他の接触子72及び接触板73に変形した断面図である。
【0131】
接触板73には、円筒状の穴73aが形成されている。
【0132】
又、接触子72は、接触板73の円筒状の穴73aに嵌合する円筒状に形成し、かつその周上には先端部が開口するスリット72aが複数本形成され、これにより接触子72があたかも複数本の板ばねで構成したのと同等で接触板73との間の熱接触抵抗を小さくしている。
【0133】
なお、この場合、接触子72の材質としては、ばね効果をより発揮するために高張力の銅合金が望ましい。例えばアルミナ分散強化銅、銀入り銅、ベリリウム銅等である。
【0134】
さらに、円筒状に形成された接触子72の内側に拡径機能を有する弾性体74を装着すると、接触子72のばね作用の他に、弾性体74の拡径力が働き、より接触子72と接触板73との熱接触抵抗を小さくできる。この場合の弾性体74としてはC型スプリングが構成上好ましい。
【0135】
このような構成であれば、初期冷却時(予冷)には、真空容器3の上部に取付けられた駆動部9の駆動によってその軸9aが進退運動し、このときの軸9aの下降により断熱駆動体12の下端に取着された接触子72が超電導コイル1に固定された接触板73の穴73aに挿入される。
【0136】
従って、接触板73に円筒状の穴73aを形成し、接触子72に接触子73の円筒状の穴73aに嵌合する円筒状に形成してその周上に先端部が開口するスリット72aを複数本形成したので、接触子72と接触板73との接触面圧が大きくなり熱接触抵抗が小さくなるので、結果的に除熱能力が向上し、予冷時間を短縮できる。
【0137】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0138】
図7は超電導マグネットの予冷用熱接触機構の断面図である。
【0139】
この第2の実施の形態は、上記図2に示す第1の実施の形態に対し、駆動部9を輻射シールド2に取着したものである。その他の構成は、図2に示した第1の実施の形態と同一であるので、同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
【0140】
駆動部9は、回転運動するモータ18と、このモータ18の回転運動を直線運動に変換する変換部19とで構成されるもので、輻射シールド2に取着されている。この駆動部9の軸9aには接触子14が取着され、この接触子14には、輻射シールド2に取着されたサーマルアンカ15の一端が固着されている。
【0141】
一方、超電導コイル1には接触子14に対峙する接触板17が固定されている。
【0142】
次に、上記の如く構成された超電導マグネットの作用について説明する。
【0143】
初期冷却時(予冷)には、輻射シールド2に取付けられた駆動部9で、接触子14を超電導コイル1側に可動させ、超電導コイル1に固定された接触板17に押付ける。
【0144】
この接触子14にはサーマルアンカ15が固着されており、そのサーマルアンカ15の他端は輻射シールド2に固定されているので、接触子14が超電導コイル1に押付けられることにより、輻射シールド2と超電導コイル1とはサーマルアンカ15と接触子14を介して熱的に接続される。
【0145】
超電導コイル1の温度が約50Kと高温側ステージ4bの到達温度に達した時点で、駆動部9を逆駆動し、接触子14と接触板17の接触を離脱する。この離脱後は、超電導コイル1は冷凍機4の低温側ステージ4aによってさらに約5Kまで冷却される。
【0146】
従って、比熱の大きい室温から50Kまでの冷却に要する時間大幅に短縮できる。
【0147】
このように上記第3の実施の形態によれば、輻射シールド2に駆動部9を取着したので、上記第1の実施の形態の作用効果に加えて、真空容器3を貫いている構造物がないため、機構も簡単にすることができ、室温部から輻射シールド2への熱侵入量を低減させる事もでき、断熱性能が向上する。
【0148】
さらに、上記第1の実施の形態の作用効果に加えて、輻射シールド2に駆動部9を取着したので、真空容器3を貫いている構造物がないため、機構も簡単にすることができ、室温部から輻射シールド2への熱侵入量を低減させる事もできるので、断熱性能が向上する。
【0149】
又、駆動部9をモータ18と、このモータ18の回転を直線運動に変換する変換部19とで構成したので、安価で構造も簡単にすることができる。
【0150】
ここで、モータ18としては電動機、流体駆動モータ、超音波モータ等があり、特に磁場精度が要求される超電導マグネットの場合は磁性材料を使用しない超音波モータが適している。
【0151】
なお、上記第3の実施の形態は次の通り変形してもよい。
【0152】
図8は本発明の第3の実施の形態における駆動部9に圧電素子20を用いた場合の予冷用熱接触機構の断面図である。
【0153】
この圧電素子20は、その一端を固定具21を介して輻射シールド2に固定し、他端を取付金具22を介して接触子14に取着している。
【0154】
このような構成であれば、輻射シールド2に固定された圧電素子20によって、接触子14が超電導コイル1に押付けられ、輻射シールド2と超電導コイル1はサーマルアンカ15と接触子14を介して熱的に接続されることになる。
【0155】
上記モータを使用した駆動部9よりも機構が簡単で発熱も理論上ゼロのため、熱侵入量を低減させるためには有効である。
【0156】
又、電圧を印加して圧電素子20を変位させるため、機械的振動も発生せず、超電導コイル1を安定に運転できる。
【0157】
従って、モータを使用したものよりも機構が簡単で発熱も理論上のゼロのため、熱侵入量を低減させるためには有効であり、電圧を印加して圧電素子20を変位させるため、機械的振動も発生せず、超電導コイル1を安価に運転できる。
【0158】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0159】
図9は超電導マグネットの予冷用熱接触機構の断面図である。
【0160】
この第4の実施の形態は、上記図7の第3の実施の形態に対し、駆動部9をヘリウムガスで駆動する伸縮可能な伸縮容器23に代えたものである。
【0161】
この伸縮容器23は、その一端が輻射シールド2に固定され、他端には接触子14が固着されている。この伸縮容器23には真空容器3の外部から伸縮容器23にヘリウムガス24を供給するヘリウムガス供給管25が装備されている。
【0162】
次に、上記の如く構成された超電導マグネットの作用について説明する。
【0163】
初期冷却時(予冷)には、伸縮容器23にヘリウムガス24を供給して伸縮容器23を伸長させ、接触子14を接触板17に押圧する。すると、輻射シールド2から接触子14へ、伸縮容器23の熱伝導とヘリウムガス24の対流熱伝達とにより熱が移動し、接触子14、接触板17を介して超電導コイル1が冷却される。
【0164】
超電導コイル1の温度が約50Kと高温側ステージ4bの到達温度に達した時点で、伸縮容器23内のヘリウムガス24を排気すると、伸縮容器23のばね効果で接触子14と接触板17の接触が離脱する。この離脱によって、超電導コイル1は冷凍機4の低温側ステージ4aによってさらに約5Kまで冷却される。
【0165】
このように上記第4の実施の形態によれば、伸縮容器23の熱伝導とヘリウムガス24の対流熱伝達とにより冷却能力を向上でき、比熱の大きい室温から50Kまでの冷却に要する時間を大幅に短縮できる。
【0166】
さらに、モータのように自己発熱することもなく、侵入熱を軽減できる。また、押圧力はヘリウムガスの圧力に比例するので、所望の押圧力を容易に得ることができる。
【0167】
ここで、伸縮容器23の材料としては、熱伝導率の大きい銅やアルミニウムが好ましい。又、図10に示すように第1乃至第3の実施の形態と同様に輻射シールド2と接触子14とをサーマルアンカ15で熱的に接続しても良い。
【0168】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0169】
図11は超電導マグネットの予冷用熱接触機構の断面図である。
【0170】
この第5の実施の形態は、上記図9の第4の実施の形態に対し、接触子14と接触板17との接触構造を異ならせたものである。
【0171】
輻射シールド2に固定された伸縮容器23に結合する可動板26に複数本のピン27を装着して接触子14を構成し、一方、超電導コイル1に固定された固定板29に、ピン27と着脱可能にする複数本のアダプタ28を装着して接触板17を構成し、ピン27と輻射シールド2、アダプタ28と超電導コイル1をそれぞれサーマルアンカ15で熱的に接続している。
【0172】
このような構成であれば、初期冷却時(予冷)には、伸縮容器23にヘリウムガス24を供給して伸縮容器23を伸長させ、ピン27をアダプタ28に嵌合させて熱接触させる。
【0173】
これにより、熱は輻射シールド2からサーマルアンカ15、ピン27、アダプタ28、を経て超電導コイル1に移動し超電導コイル1が冷却される。
【0174】
このように上記第5の実施の形態によれば、熱接触面は複数本のピン27とそれに着脱可能に嵌合するアダプタ28とで構成されているので、確実に面接触して熱接触抵抗が小さく、効率良く予冷できる。
【0175】
なお、上記第5の実施の形態では、サーマルアンカ15を各ピン27および各アダプタ28毎に固着したが、ピン27およびアダプタ28をそれぞれ熱伝導良好な可動板26又は固定板29に半田やロー付けで熱伝導良好に固着し、可動板26と輻射シールド2、固定板29と超電導コイル1とをそれぞれサーマルアンカ15で熱的に接続してもよい。
【0176】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0177】
図12は超電導マグネットの予冷用熱接触機構の断面図である。
【0178】
この第6の実施の形態は、上記図9の第4の実施の形態に対し、ヘリウムガスに代えて液体窒素または液体ヘリウム等の冷媒を用いたものである。
【0179】
伸縮可能な伸縮冷媒容器30は、その一端が輻射シールド2に固定され、他端には接触子14が固着されている。この伸縮冷媒容器30には、真空容器3の外部に設置された冷媒供給系33から伸縮冷媒容器30に液体窒素又は液体ヘリウム等の冷媒を供給する冷媒供給管31と、外部の冷媒排出系34に冷媒を排出する冷媒排出管32とが装備されている。
【0180】
さらに、冷媒排出管32には、伸縮冷媒容器30内を真空置換するための排気系35が装備されている。
【0181】
次に、上記の如く構成された超電導マグネットの作用について説明する。
【0182】
初期冷却時(予冷)には、伸縮冷媒容器30に液体窒素を供給して伸縮冷媒容器30を伸長させ、接触子14を接触板17に押圧する。
【0183】
これにより、液体窒素の蒸発潜熱で接触子14、接触板17を介して超電導コイル1を冷却できる。蒸発潜熱による冷却能力は、冷凍機の高温側ステージ4bの冷却能力数10Wに比して数KWにもなるので冷凍機4単独で予冷するのに比して、80Kまでの予冷時間を大幅に短縮できる。
【0184】
この状態で、伸縮冷媒容器30内の液体窒素を排出して接触子14と接触板17を離脱してもよいが、さらに伸縮冷媒容器30を排気系35で真空排気し、次に液体ヘリウムを伸縮冷媒容器30内に供給することにより、超電導コイル1を約5Kまで冷却できる。なお、液体ヘリウム温度まで冷却する場合には、伸縮冷媒容器30と輻射シールドの固定は断熱材を介して行う。
【0185】
予冷終了後、接触子14と接触板17は離脱し、さらに伸縮冷媒容器30、冷媒供給管31及び冷媒排出管32内を真空排気することによって、外部から輻射シールド2へ、輻射シールド2から超電導コイル1への侵入熱を低減できる。
【0186】
このように上記第6の実施の形態によれば、伸縮冷媒容器30に例えば液体窒素あるいは液体ヘリウム等の冷媒を供給して伸縮冷媒容器30を伸長させ、接触子14を接触板17に押圧するようにしたので、冷媒の蒸発潜熱で超電導コイル1を冷却できる。
【0187】
従って、冷凍機単独で予冷するのに比して、大幅に予冷時間を短縮できる。例えば冷凍機4の冷却能力に依存せず、2日程度の短時間で超電導コイル1を所定の温度まで速やかに冷却できる。
【0188】
なお、伸縮冷媒容器30を液体ヘリウム用と液体窒素用別々に装備してもよい。
【0189】
この場合には、冷媒を真空置換する必要がなく、かつ冷媒の固化(例えば、液体窒素と液体ヘリウムとを使用する場合は、液体窒素が固化する)による冷媒供給系の閉塞を防止し、作業が簡素化されて予冷時間が短縮する。
【0190】
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0191】
図13は超電導マグネットの断面図である。
【0192】
この第7の実施の形態は、上記図23示す超電導コイル1の支持構造を変えたものである。その他の構成は、上記図23に示した従来の超電導マグネットと同一であるので、同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
【0193】
輻射シールド2は、真空容器3から断熱支持材6で支持され、さらに、超電導コイル1は、輻射シールド2から断熱支持材36でそれぞれ独立して支持されている。ここで、断熱支持材36はその材質がカーボンファイバー強化プラスティック(以下、CFRPと称する)で構成されている。
【0194】
このCFRPは、室温から約80K付近までは、4K時に比して熱伝導率が百から十倍大きいので、予冷時には輻射シールド2で超電導コイル1が冷却される。
【0195】
一方、4K運転時にはCFRPからなる断熱支持材36の熱伝導率が小さく、いわゆる熱的なスイッチ機能を有するので、輻射シールド2から超電導コイル1への侵入熱を抑制できる。
【0196】
従って、構造簡単にして、超電導コイル1の冷却時間を短縮でき、かつ定常状態の5Kでは断熱支持材として機能する。
【0197】
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0198】
図14は超電導マグネットの断面図である。
【0199】
この第8の実施の形態の基本構成は、上記図23に示した従来の超電導マグネットと同一であるので、同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
【0200】
冷媒容器37は、超電導コイル1と熱的に接続するように輻射シールド2内に配設されている。この冷媒容器37には、真空容器3の外部に設置された冷媒供給系33から冷媒容器37に液体窒素又は液体ヘリウム等の冷媒を供給する冷媒供給管31と、外部の冷媒排出系34に冷媒を排出する冷媒排出管32とが装備されている。
【0201】
さらに、冷媒排出管32には、冷媒容器37内を真空置換するための排気系35が装備されている。
【0202】
次に、上記の如く構成された超電導マグネットの作用について説明する。
【0203】
初期冷却時(予冷)には、冷媒容器37に液体窒素を供給し、冷媒容器37内の液体窒素の蒸発潜熱で超電導コイル1を冷却する。
【0204】
蒸発潜熱による冷却能力は、冷凍機の高温側ステージ4bの冷却能力数10Wに比して数kWにもなるので、冷凍機4単独で予冷するのに比して、80Kまでの予冷時間を大幅に短縮できる。
【0205】
さらに、冷媒容器37を排気系35で真空排気し、次に液体ヘリウムを冷媒容器37内に供給することにより、超電導コイル1を4.2Kまで冷却できる。
【0206】
予冷終了後は、冷媒容器37、冷媒供給管31および冷媒排出管32内を真空排気することによって、外部から超電導コイル1への侵入熱を低減できる。
【0207】
このように上記第8の実施の形態によれば、超電導コイル1に熱的に接続された冷媒容器37に、外部の冷媒供給系33から例えば液体窒素や液体ヘリウム等の冷媒を供給して超電導コイル1を予冷できるので、冷凍機単独で予冷するのに比して、大幅に予冷時間を短縮できる。これにより冷凍機4の冷却能力に依存せず、2日程度の短時間で超電導コイル1を所定の温度まで速やかに冷却できる。
【0208】
なお、冷媒容器37を液体ヘリウム用と液体窒素用別々に装備してもよい。この場合には、冷媒を真空置換する必要がなく、かつ冷媒の固化(例えば、液体窒素と液体ヘリウムとを使用する場合は、液体窒素が固化する)による冷媒供給系の閉塞を防止し、作業が簡素化されて予冷時間が短縮する。
【0209】
又、冷媒容器37と超電導コイル1とはサーマルアンカを介して熱的に接続してもよい。
【0210】
なお、上記各実施の形態において、上記図7乃至図10、及び図12に示す超電導マグネットの予冷用熱接触機構における接触子14及び接触板17は、それぞれ上記図3に示すように、これら接触子14又は接触板17の少なくともいずれか一方の接触面に凹凸17aを形成してもよく、又、これら接触板17又は接触子14の各接触面の少なくともいずれか一方に易融合金14aを固着してもよい。
【0211】
以下、上記第1乃至第8の実施の形態の超電導マグネットに適用される構造について説明する。
【0212】
先ず、本発明の第9の実施の形態について説明する。
【0213】
図15は超電導マグネットの断面図である。
【0214】
この超電導マグネットは、上記第1乃至第8の実施の形態の超電導マグネットに適用されるものである。この超電導コイル1は、密閉容器40内にその周囲をヘリウムガス41で覆われて保持されている。この超電導コイル1は、密閉容器40上部の斜線部に示す冷却部42が冷凍機により冷却されたヘリウムガス41によって冷却される。
【0215】
超電導コイル1と密閉容器40との間には、十分な隙間が開けられた状態で固定されており、密閉容器40の上部の冷却部42で冷却されたヘリウムガス41が、超電導コイル1の内側の隙間43aを下って超電導コイル1の下方の隙間43b、同外側の隙間43c、上側の隙間43dを通り、再び冷却部42へ戻るという対流が起こり易くなっている。
【0216】
このヘリウムガス41の流れにより超電導コイル1とヘリウムガス41との熱伝導率が大きくなり、冷却性能が向上する。
【0217】
このように上記第9の実施の形態によれば、超電導コイル1を密封容器40内に隙間43a〜43dを設けて保持し、これら超電導コイル1と密封容器40内との隙間43a〜43dにヘリウムガス41を対流させるので、超電導コイル1のコイル巻線間での熱伝導が小さくコイルの一部を冷却しても全体が冷えにくい構造の超電導コイル1でも良く冷却できる。すなわち、非含浸コイルのようなコイル巻線間での熱伝導が小さくコイルの一部を冷却しても全体が冷えにくい構造の超電導コイルでもよく冷える。
【0218】
特に初期冷却のときにはその効果が大きく、短時間で冷却することができる。コイルを縦に分割することにより、ヘリウムガス41と超電導コイル1との接触面積が増加し、その効果はさらに大きくなる。
【0219】
さらにヘリウムガス41は、4K程度では比熱が大きいので、次に説明する第9の実施の形態での蓄熱材と同様な効果がある。
【0220】
冷却時間のうち、ほとんどが室温から100K付近まで冷却する時間であるので、この温度範囲で熱容量が桁違いに小さく、しかも4K付近では逆に桁違いに大きな比熱を有するヘリウムガス41は、初期冷却時には冷却の負担とならず熱伝導率を向上させる効果を発揮でき、しかも低温では蓄冷材としての効果を示す。
【0221】
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。
【0222】
図16は超電導マグネットの切断片形状の主要拡大図である。
【0223】
この超電導コイル1は、超電導線44をコイル状に巻く工程の途中でシート状の蓄冷材45をその層間に巻いたものである。
【0224】
この蓄冷材45は、例えばEr3Ni(エルビニウムニッケル)の材質で形成されている。この層間に巻くものは、テープ状のものでもよいし、層間ではなく超電導線材に巻いてもよい。この蓄冷材45は、Er3Ni以外にも、例えばErNi2、Er0.4Dy0.6Ni2、ErNi、Er0.2Dy0.8Ni2、DyNi2、Pb、Gd0.5Er0.5Rh等が効果である。
【0225】
一方、図17は超電導マグネットの切断片形状の主要拡大図であって、紐状の蓄冷材46を超電導線間の隙間に巻き込んだ例を示している。
【0226】
この蓄冷材46も上記同様に例えばEr3NiやErNi2、Er0.4Dy0.6Ni2、ErNi、Er0.2Dy0.8Ni2、DyNi2、Pb、Gd0.5Er0.5Rh等が効果である。
【0227】
このような構成であれば、超電導コイル1への通電電流を増加又は減少させるときにACロスが生じ、超電導コイル1が発熱し、なおかつ、ある速度以上に速い速度でこの通電電流を増減させても、超電導コイル1の超電導状態が壊れることはなくなる。
【0228】
超電導コイル1の通電電流を速い速度で増減できるということは、超電導コイル1の使用範囲が広がり運転費用も安価になる。
【0229】
このように上記第10の実施の形態によれば、超電導コイル1の超電導線間の隙間に蓄冷材45又は46を巻き込んだので、超電導コイル1の通電電流を速い速度で増減でき、超電導コイル1の超電導状態の壊れる状態を減少でき、信頼性を向上できる。
【0230】
すなわち、従来の方法で作製した超電導コイル1の一例では10A/sが限度だったのに対し、本発明の超電導コイル1ではその3倍程度速く通電電流を増減することができる。同じ通電電流の増減速度で使用すれば、超電導コイル1の超電導状態が壊れる状態がほぼ皆無と言えるまで減少でき、超電導マグネットとしての信頼性を大幅に向上できる。
【0231】
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。
【0232】
図18は超電導マグネットの主要部拡大図である。
【0233】
この超電導マグネットは、超電導コイル1に、蓄冷材パック47を巻いたもので、上記第9の実施の形態の効果と同等の効果を奏することができ、かつその施工が容易である。
【0234】
次に、本発明の第12の実施の形態について説明する。
【0235】
図19は超電導マグネットの主要部拡大図である。
【0236】
この超電導マグネットは、超電導コイル1の表面に短冊状の蓄冷材48を付設したもので、上記第10の実施の形態と同等に超電導コイル1の通電電流を速い速度で増減でき、超電導コイル1の超電導状態の壊れる状態を減少でき、信頼性を向上でき、かつその施工が容易である。
【0237】
なお、この超電導マグネットは、上記図18に示す超電導マグネットと同様に超電導マグネット1の外側に蓄冷材48を付設した例を示したが、これに限らず内側に貼り付けるようにすることも可能である。
【0238】
又、上記図18に示す蓄冷材パック47は超電導線材と同じ方向に貼り付けているので、蓄冷材パック47間に隙間がある場合には、隙間にある線材に対する本発明の効果は低いが、本発明の超電導マグネットのように短冊状の蓄冷材48であれば、超電導線材にほぼ垂直方向に貼り付けることができ、蓄冷材間に隙間があってもその効果は大きい。
【0239】
次に、本発明の第13の実施の形態について説明する。
【0240】
図20は超電導マグネットの主要部拡大図である。
【0241】
この超電導マグネットは、定常冷却用の冷凍機4とは別に、この冷凍機4よりも容量の大きな冷凍機49を着脱自在に付設したものである。
【0242】
この大容量の冷凍機49は、初期冷却時のみ、設置し稼働させ、40〜50K程度まで冷却したところで取り外し、又は熱的に切断できるようになっている。この例では、冷凍機49の高温側ステージ50に直接銅製の熱伝導板51を取り付け、超電導コイル1に取り付けた熱伝導板52と接触する構造になっている。
【0243】
このように第13の実施の形態によれば、定常冷却用の冷凍機4よりも容量の大きい冷凍機49を超電導コイル1に対して熱的に着脱自在に設け、初期冷却時に容量の大きい冷凍機49を超電導コイル1に熱的に接続し、所定の温度まで冷却したところで容量の大きい冷凍機49を熱的に切断するので、設置場所が狭いところでの使用や使用目的の度合いにより連続で冷却したまま維持する場合には、容量の小さい冷凍機4が1台あればよく、占有面積を狭くし、取り扱いも容易にでき、さらに維持費も安価になる等の利点がある。
【0244】
又、頻繁に冷却、昇温を繰り返す使い方や、初期冷却の時間を短縮したい場合には、予冷用大容量の冷凍機49を稼働させることで、より速く冷却することができる。
【0245】
次に、本発明の第14の実施の形態について説明する。
【0246】
図21は超電導マグネットの切断片形状の主要拡大図である。
【0247】
この超電導マグネットは、超電導コイル1の超電導線44をコイル状に巻く工程の途中でアルミニウム製シート53をその層間に巻いたものである。
【0248】
アルミニウムは、熱伝導率が大きいので、冷凍機への伝熱量を多くすることができ、超電導コイル1の外乱による熱の除去や冷却速度性能を向上でき、上記図10に示す超電導マグネットに適用すればその効果を倍増することができる。
【0249】
なお、アルミニウム製シート53に限らず、インジウムや鉛、低温半田として使用されるインジウム・鉛合金も効果的である。
【0250】
このように上記第14の実施の形態によれば、超電導コイル1の超電導線間に、熱伝導率の大きいアルミニウム製シート53を巻き込んだので、冷凍機への伝熱量を多くでき、超電導コイル1の外乱による熱の除去や冷却速度性能を向上できる。
【0251】
次に、本発明の第15の実施の形態について説明する。
【0252】
図22は超電導マグネットにおける超電導コイルの斜視図である。
【0253】
超電導コイル1の巻枠54には、複数の穴55が開けられている。これら穴55は、一般に超電導コイル軸方向に長い長穴やスリットの方が冷却効果が高い。この例では、巻枠54を出来るだけ薄く形成したので、各穴55の径56を巻枠54の厚さ57よりも十分大きくすることができ、冷却効果の高い穴55にすることができる。
【0254】
穴55の径56又はスリットの長さが巻枠54の厚さよりも小さいと巻枠54の表面を流れるヘリウムガスの流れが十分に超電導コイル表面に当たらず、穴55の効果が十分に生きない。
【0255】
一方、この超電導コイル1の巻枠54には、整流リブ58が螺旋状に設けられている。
【0256】
この整流リブ58は、本来、冷媒の整流を得ることを目的としているが、この整流リブ58を付けることにより各整流リブ58間の流量にアンバランスが生じた場合に、流量の多い部分は乱流となり、流れの抵抗が増し、アンバランスが解消されるように作用する。又、乱流は、熱伝導率が大きいので、超電導コイル1全体の冷却が損なわれることがない。
【0257】
なお、図22では整流リブ58は十分な角度が得られていないようになっているが、一つの整流リブ58が巻枠54を最低一周以上するような角度で付設することにより、たとえ前述の整流リブ58間の流量にアンバランスが生じたままであっても、その間のヘリウムガスによる冷却だけで、超電導コイル1全長に亙って冷却できる。
【0258】
超電導コイル1は、円周方向にはその巻線の熱伝導で十分に冷却されるが、軸方向は非常に熱伝導の悪い構造となっているので、超電導コイル1全長に亙ってヘリウムガスが流れると冷却の効果は大きくなる。
【0259】
さらに、巻枠54とコイル容器との隙間が、巻枠54の板厚よりも大きくしてある。これはヘリウムガスの流量が十分に取れるようにするためである。
【0260】
この状態で、巻枠54とコイル容器との隙間や整流リブ58間に、乱流促進機構を設けると、巻枠54や超電導コイル1とヘリウムガスとの熱伝達がよくなり、超電導コイル1の冷却がよくなり、信頼性が向上する。
【0261】
このように上記第15の実施の形態によれば、超電導コイル1の巻枠54に、複数の穴55又は整流リブ58のうちいずれか一方又は両方を形成したので、冷却効果を高くでき、冷媒の流量にアンバランスが生じても、流量の多い部分は乱流となり、流れの抵抗が増し、アンバランスが解消できる。
【0262】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、超電導コイルと、この超電導コイルを包囲する輻射シールドと、この輻射シールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取着され、超電導コイル及び輻射シールドを冷却する冷凍機とを備えた超電導マグネットにおいて、超電導コイルと輻射シールドとの間に設けられ、一端が接触子に固着されると共に他端が輻射シールドに取着されたサーマルアンカを備え、超電導コイルの初期冷却時に、超電導コイルに固定された接触板と接触子とを押付けて超電導コイルと輻射シールドとをサーマルアンカを介して熱的に接触して冷凍機により超電導コイル及び輻射シールドを冷却し、かつ超電導コイルが所定の冷却温度に到達する冷却終了後に、サーマルアンカを介して超電導コイルと輻射シールドとの熱的な接触を離脱する予冷用熱接続機構と、一端が輻射シールドに直接又は断熱体を介して固定され、他端が超電導コイルに固定された接触板に押圧される接触子が固着された伸縮可能な伸縮冷媒容器と、伸縮冷媒容器に連通し、超電導コイルの初期冷却時に、外部から伸縮冷媒容器に冷媒を供給する冷媒供給管と、伸縮冷媒容器に連通し、伸縮冷媒容器よりも上方位置で開口し、超電導コイルの初期冷却時に、伸縮冷媒容器から冷媒を冷媒排出系に排出する冷媒排出管と、冷媒排出管に装備され、超電導コイルが所定の冷却温度に到達すると、伸縮冷媒容器内を真空置換する排気系とを備えた超電導マグネットである。
これにより、冷凍機の冷却能力を増大させたり、台数を増やさなくても冷媒の蒸発潜熱で超電導コイルを冷却できる。従って、冷凍機単独で予冷するのに比して、大幅に予冷時間を短縮でき、かつ定常運転状態での侵入熱を抑制でき、さらに冷媒排出管に伸縮冷媒容器内を真空置換するための排気系を装備して伸縮冷媒容器内を真空排気することによって、外部から輻射シールドへ、輻射シールドから超電導コイルへの侵入熱を低減でき、高性能で取扱性に優れた超電導マグネットを提供することができる。
【0263】
又、本発明によれば、大幅に予冷時間を短縮できる超電導マグネットの予冷方法を提供することができる。
【0264】
又、本発明によれば、熱伝導性能を向上させて初期冷却に要する時間をさらに短縮できる超電導マグネットを提供することができる。
【0265】
又、本発明によれば、熱伝導性能を向上させたり熱容量の大きな蓄冷材を付設することにより大きな熱侵入や急激な発熱でも超電導状態が壊れない超電導マグネットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる超電導マグネットの縦断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における予冷用熱接触機構の一例を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における予冷用熱接触機構の接触部の一例を示す縦断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる超電導マグネットの予冷用熱接触機構の縦断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態における接触子及び接触板の変形例を示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における接触子及び接触板の他の変形例を示す断面図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる超電導マグネットの予冷用熱接触機構の縦断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態における駆動部に圧電素子を用いた場合の予冷用熱接触機構の縦断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係わる超電導マグネットの予冷用熱接触機構の縦断面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる超電導マグネットの予冷用熱接触機構の変形例を示す縦断面図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係わる超電導マグネットの予冷用熱接触機構の縦断面図。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係わる超電導マグネットの予冷用熱接触機構の縦断面図。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係わる超電導マグネットの縦断面図。
【図14】本発明の第8の実施の形態に係わる超電導マグネットの縦断面図。
【図15】本発明の第9の実施の形態に係わる超電導マグネットの縦断面図。
【図16】本発明の第10の実施の形態に係わる超電導マグネットの切断片形状の主要拡大図。
【図17】本発明の第10の実施の形態に係わる超電導マグネットの他の例を示す図。
【図18】本発明の第11の実施の形態に係わる超電導マグネットの主要拡大図。
【図19】本発明の第12の実施の形態に係わる超電導マグネットの主要拡大図。
【図20】本発明の第13の実施の形態に係わる超電導マグネットの主要斜視図。
【図21】本発明の第14の実施の形態に係わる超電導マグネットの切断片形状の主要拡大図。
【図22】本発明の第15の実施の形態に係わる超電導マグネットにおける超電導コイルの斜視図。
【図23】従来の冷凍機直接冷却型の超電導マグネットの縦断面図。
【符号の説明】
1:超電導コイル
2:輻射シールド
3:真空容器
4:冷凍機
4a:低温側ステージ
4b:高温側ステージ
5:熱伝導部材
6a,6b,36:断熱支持材
7:予冷用熱接触機構
8:架台
9:駆動部
9a:軸
10:ベローズ
11:押圧棒
12:断熱筒
13:弾性体
14:接触子
14a:インジューム
15:サーマルアンカ
16:板ばね
17:接触板
17a:凹凸
18:モータ
19:変換部
20:圧電素子
21:固定具
22:取付金具
23:伸縮容器
24:ヘリウムガス
25:ヘリウムガス供給管
26:可動板
27:ピン
28:アダプター
29:固定板
30:伸縮冷媒容器
31:冷媒供給管
32:冷媒排出管
33:冷媒供給系
34:冷媒排出系
35:排気系
37:冷媒容器
40:密閉容器
41:ヘリウムガス
42:冷却部
43a〜43d:隙間
45,46,48:蓄冷材
47:蓄冷材パック
49:冷凍機
50:高温側ステージ
51,52:熱伝導板
54:巻枠
55:穴
58:整流リブ
60:可動板
61:フィンガーコンタクト
62:接触板
62a:穴
62b:底面
70:接触子
71:接触板
71a:テーパー穴
72:接触子
73:接触板
73a:穴
74:弾性体

Claims (7)

  1. 超電導コイルと、この超電導コイルを包囲する輻射シールドと、この輻射シールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取着され、前記超電導コイル及び前記輻射シールドを冷却する冷凍機とを備えた超電導マグネットにおいて、
    前記超電導コイルと前記輻射シールドとの間に設けられ、一端が接触子に固着されると共に他端が前記輻射シールドに取着されたサーマルアンカを備え、前記超電導コイルの初期冷却時に、前記超電導コイルに固定された接触板と前記接触子とを押付けて前記超電導コイルと前記輻射シールドとを前記サーマルアンカを介して熱的に接触して前記冷凍機により前記超電導コイル及び前記輻射シールドを冷却し、かつ前記超電導コイルが所定の冷却温度に到達する冷却終了後に、前記サーマルアンカを介して前記超電導コイルと前記輻射シールドとの熱的な接触を離脱する予冷用熱接続機構と、
    一端が前記輻射シールドに直接又は断熱体を介して固定され、他端が前記超電導コイルに固定された前記接触板に押圧される前記接触子が固着された伸縮可能な伸縮冷媒容器と、
    前記伸縮冷媒容器に連通し、前記超電導コイルの初期冷却時に、外部から前記伸縮冷媒容器に冷媒を供給する冷媒供給管と、
    前記伸縮冷媒容器に連通し、前記伸縮冷媒容器よりも上方位置で開口し、前記超電導コイルの初期冷却時に、前記伸縮冷媒容器から前記冷媒を冷媒排出系に排出する冷媒排出管と、
    前記冷媒排出管に装備され、前記超電導コイルが所定の冷却温度に到達すると、前記伸縮冷媒容器内を真空置換する排気系と、
    を具備したことを特徴とする超電導マグネット。
  2. 請求項1記載の超電導マグネットにおいて、
    前記初期冷却時に、前記超電導コイルに固定された前記接触板と前記接触子とを押付けて前記超電導コイルと前記輻射シールドとを前記サーマルアンカを介して熱的に接触して前記冷凍機により前記超電導コイル及び前記輻射シールドを冷却し、かつ前記伸縮冷媒容器に前記冷媒を前記冷媒供給管を介して供給する工程と、
    前記超電導コイルの前記初期冷却時に、前記冷媒を前記伸縮冷媒容器から前記冷媒排出管を通して前記冷媒排出系に排出する工程と、
    前記超電導コイルが所定の冷却温度に到達した前記冷却終了後に、前記サーマルアンカを介しての前記超電導コイルと前記輻射シールドとの熱的な接触を離脱し、かつ前記排気系によって前記伸縮冷媒容器内を真空置換する工程と、
    を有することを特徴とする超電導マグネットの予冷方法。
  3. 前記超電導コイルの超電導線間の隙間には、蓄冷材を巻き込んだことを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット。
  4. 前記超電導コイルの表面に短冊型の蓄冷材パックを付設したことを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット。
  5. 前記冷凍機よりも容量の大きい冷凍機を前記超電導コイルに対して熱的に着脱自在に設け、初期冷却時に容量の大きい前記冷凍機を前記超電導コイルに熱的に接続し、所定の温度まで冷却したところで容量の大きい前記冷凍機を熱的に切断することを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット。
  6. 前記超電導コイルの超電導線間に、熱伝導率の大きいシートを巻き込んだことを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット。
  7. 前記超電導コイルの巻枠に、複数の開口部又は整流リブのうちいずれか一方又は両方を形成したことを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット。
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