JP4117593B2 - ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置 - Google Patents

ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置にかかるもので、とくに液体ヘリウムなどを使用せずに冷凍機により超電導コイルを冷却する伝導冷却型超電導マグネット装置であって、超電導コイル用にコイルヨークを設けたヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置1について図2にもとづき概説する。
図2は、たとえば超電導ウィグラーなどに採用されるヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置1の概略断面図であって、ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置1は、真空容器2と、GM冷凍機3(冷凍機)と、輻射シールド板4と、伝熱板5と、コイルヨーク6と、超電導コイル7と、荷重支持材8と、超電導ウィグラーにおけるビームダクト9と、を有する。
【0003】
GM冷凍機3は、第一段冷却ステージ10および第二段冷却ステージ11を有する。
第一段冷却ステージ10を輻射シールド板4に接続し(熱接触し)、温度約40〜50Kまでこれを冷却するとともに、第二段冷却ステージ11を伝熱板5を介してコイルヨーク6に接続し(熱接触し)、超電導コイル7とともにこれを温度4K付近まで冷却する。
【0004】
輻射シールド板4は、その冷却効率を良好にするためには熱伝導性の良好な無酸素銅などを採用し、また伝熱面積を大きく取るためには同じく熱伝導性の良好なアルミニウムなどを採用する。
伝熱板5は、熱伝導性の良好な無酸素銅やアルミニウムなどからこれを構成する。
【0005】
コイルヨーク6は通常、超電導コイル7の外側にこれを配置するとともに超電導コイル7全体を覆って、超電導コイル7の磁路を形成する。なお、コイルヨーク6のポール12を超電導コイル7の中心に配置する。
【0006】
超電導コイル7は、ビームダクト9の図中上下に対称に計6個を配置し、その軸心は、それぞれのポール12とともにビームダクト9側に臨んでいる。
【0007】
荷重支持材8は、その一端を真空容器2に固定するとともに他端を超電導コイル7に固定して超電導コイル7を支持するもので、熱伝導性が低く許容荷重の大きな材料、たとえばFRPなどでこれを構成する。
【0008】
こうした構成を有するヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置1において、GM冷凍機3により超電導コイル7を極低温に冷却し、超電導状態になったときに通電し、コイルヨーク6に磁路を形成し、コイルヨーク6の間のビームダクト9内に所定強さの磁場を発生する。
超電導コイル7の芯となるコイルヨーク6による磁場閉込め効果を増すためには、その厚さを大きくする必要があるが、厚さの増強にともなってその重量が増大し、GM冷凍機3の第二段冷却ステージ11で冷却する部分(コイルヨーク6)の重量が増大することになるという問題がある。
二段式のGM冷凍機3の特性として、第二段冷却ステージ11の冷却能力は第一段冷却ステージ10の冷却能力に対して30分の1以下と小さく、この第二段冷却ステージ11に重量(容量)の大きなコイルヨーク6が熱的に接触されていると、冷却に要する時間が極端に長くなるという問題がある。
【0009】
また、輻射シールド板4に関しては、その冷却を良好にするためには、その板厚を厚くする必要があるが、輻射シールド板4の板厚が厚くなると、全体の重量増加につながり、荷重支持材8による荷重支持構造も大掛かりとなって、ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置1全体の寸法も大きくなるという問題がある。
なお、超電導コイル7への通電時間の掃引速度を速くすると、コイルヨーク6に渦電流が流れ、ジュール発熱により温度上昇の原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、重量のあるコイルヨークの冷却時間を短縮可能なヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0011】
また本発明は、従来に比較してコンパクト、軽量で、かつ熱侵入の少ないヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0012】
また本発明は、従来の輻射シールド板とコイルヨークとを兼用し、輻射シールド板を廃止可能なヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、コイルヨークを冷凍機の第二段冷却ステージではなく、その第一段冷却ステージに接続すること、さらにコイルヨークと輻射シールド板とを兼用するようにコイルヨークを活用することに着目したもので、超電導コイルと、この超電導コイルによる磁路を形成するためのコイルヨークと、この超電導コイルを冷却可能なGM冷凍機などの冷凍機と、を有するとともに、この冷凍機は、第一段冷却ステージおよび第二段冷却ステージを有するヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置であって、上記冷凍機の上記第一段冷却ステージに上記コイルヨークを接続するとともに、上記冷凍機の上記第二段冷却ステージに上記超電導コイルを接続したことを特徴とするヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置である。
【0014】
上記コイルヨークは、上記超電導コイルおよび上記冷凍機の上記第二段冷却ステージの熱シールド板としてもこれを用いることができる。
【0015】
上記コイルヨークの内面側に、上記超電導コイルおよび上記冷凍機の上記第二段冷却ステージを位置させることができる。
【0016】
上記コイルヨークと上記超電導コイルとの間に熱伝導率の小さな断熱材を設けることができる。
【0017】
上記コイルヨークの外面あるいは内面の少なくともいずれか一方に熱伝導性の良好な材料による板を貼り付けることができる。
【0018】
上記コイルヨークの内面側において、上記冷凍機の上記第二段冷却ステージと上記超電導コイルとの間に熱伝導性の良好な材料による伝熱板を介在させることができる。
【0019】
本発明によるヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置においては、コイルヨークをGM冷凍機など冷凍機の第二段冷却ステージではなく、冷凍機の第一段冷却ステージに接続すること、さらに、従来の輻射シールド板として兼用するようにコイルヨークを活用するようにしたので、重量があるコイルヨークを、冷却能力がより高い第一段冷却ステージにより冷却可能で、その冷却時間の短縮が可能である。
したがって、輻射シールド板を省略することが可能となって、全体の軽量化およびコンパクト化が可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施の形態によるヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置20を図1にもとづき説明する。ただし、図2と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置20の概略断面図であって、ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置20においては、従来の輻射シールド板4を採用することなく、代わりにコイルヨーク21を設けている。
【0021】
すなわちコイルヨーク21を、冷却能力がより高い第一段冷却ステージ10に接続し、コイルヨーク21が第二段冷却ステージ11とともに超電導コイル7全体を覆うようにしてある。
【0022】
なお、コイルヨーク21のポール12と超電導コイル7との間に断熱材22を設け、第一段冷却ステージ10に熱接触しているコイルヨーク21(およびそのポール12)と第二段冷却ステージ11に熱接触している超電導コイル7との間の断熱構造とする。
断熱材22は、熱伝導率の小さなFRPなどの材料を採用する。
【0023】
GM冷凍機3の第二段冷却ステージ11には、伝熱板5に相当する、無酸素銅あるいは高純度のアルミニウムなどの熱伝導率の高い材料による伝熱板23を介して超電導コイル7を接続してある。
【0024】
さらに、図中仮想線で示すように、コイルヨーク21の外面あるいは内面の少なくともいずれか一方に熱伝導性の良好な材料による表面板24を貼り付けることにより、輻射シールド板として機能するコイルヨーク21の伝熱特性を改善することができる。
【0025】
こうした構成のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置20において、冷却能力がより大きな第一段冷却ステージ10を用いて、重量の大きなコイルヨーク21を冷却することができ、超電導コイル7の冷却時間の短縮および電流掃引時の温度上昇を小さく抑えることができる。
さらに、コイルヨーク21が超電導コイル7を覆う構成となっているので、従来の輻射シールド板4(図2)を廃止することが可能となり、ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置20全体の小型化および軽量化が可能となる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、コイルヨークを輻射シールド板として兼用し、コイルヨークを冷凍機の第一段冷却ステージに熱接触するようにしたので、超電導コイルの冷却時間を短縮可能であるとともに、全体の小型化および軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置20の概略断面図である。
【図2】超電導ウィグラーなどに採用される、従来のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置1の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置(図2)
2 真空容器
3 GM冷凍機(冷凍機)
4 輻射シールド板
5 伝熱板
6 コイルヨーク
7 超電導コイル
8 荷重支持材
9 超電導ウィグラーにおけるビームダクト
10 GM冷凍機3の第一段冷却ステージ
11 GM冷凍機3の第二段冷却ステージ
12 コイルヨーク6のポール
20 ヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置(実施の形態、図1)
21 コイルヨーク
22 断熱材
23 伝熱板
24 表面板

Claims (6)

  1. 超電導コイルと、
    この超電導コイルによる磁路を形成するためのコイルヨークと、
    この超電導コイルを冷却可能な冷凍機と、を有するとともに、
    この冷凍機は、第一段冷却ステージおよび第二段冷却ステージを有するヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置であって、
    前記冷凍機の前記第一段冷却ステージに前記コイルヨークを接続するとともに、
    前記冷凍機の前記第二段冷却ステージに前記超電導コイルを接続したことを特徴とするヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置。
  2. 前記コイルヨークは、前記超電導コイルおよび前記冷凍機の前記第二段冷却ステージの熱シールド板としてもこれを用いることを特徴とする請求項1記載のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置。
  3. 前記コイルヨークの内面側に、前記超電導コイルおよび前記冷凍機の前記第二段冷却ステージを位置させたことを特徴とする請求項1記載のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置。
  4. 前記コイルヨークと前記超電導コイルとの間に熱伝導率の小さな断熱材を設けたことを特徴とする請求項1記載のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置。
  5. 前記コイルヨークの外面あるいは内面の少なくともいずれか一方に熱伝導性の良好な材料による板を貼り付けたことを特徴とする請求項1記載のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置。
  6. 前記コイルヨークの内面側において、前記冷凍機の前記第二段冷却ステージと前記超電導コイルとの間に熱伝導性の良好な材料による伝熱板を介在させたことを特徴とする請求項1記載のヨーク付き伝導冷却型超電導マグネット装置。
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