JP3382794B2 - 永久電流スイッチ - Google Patents

永久電流スイッチ

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JP3382794B2
JP3382794B2 JP29264996A JP29264996A JP3382794B2 JP 3382794 B2 JP3382794 B2 JP 3382794B2 JP 29264996 A JP29264996 A JP 29264996A JP 29264996 A JP29264996 A JP 29264996A JP 3382794 B2 JP3382794 B2 JP 3382794B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍機により冷却
され、永久電流モードで運転される超電導マグネットの
スイッチングを行う永久電流スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、永久電流モードで運転される超電
導マグネットおよび該超電導マグネットのスイッチング
を行う永久電流スイッチは、断熱された液体ヘリウム槽
等に浸漬されるなどして冷却されていた。しかし、液体
ヘリウムが高価であるとともに、槽構造乃至操作が複雑
であるため、構造乃至操作が簡単な、冷凍機による冷却
タイプに変わりつつある。
【0003】図5に、冷凍機によって伝導冷却されるタ
イプの超電導マグネットの構成を示す。同図において、
超電導コイル5、永久電流スイッチ1は、真空容器11
内に配置され、外界から断熱された状態となっている。
また、超電導コイル5と永久電流スイッチ1を包囲する
ように配置された輻射シールド13は、真空容器からの
熱輻射を遮断する。さらに、超電導コイル5に電流を導
入する電流リード(銅リード15)の一部に、酸化物超
電導リード14を採用し、熱の侵入を軽減している。1
2は冷却源としての冷凍機であり、冷却ステージ17、
冷却ブスバー(冷却板)16を介して、超電導コイル5
や永久電流スイッチ1を伝導により冷却する。
【0004】一方、液体ヘリウムによって伝導冷却され
るタイプの超電導マグネットに使用されていた従来の永
久電流スイッチの構造を説明する。図6は、この従来の
永久電流スイッチの基本的な構造を示す断面図である。
図6において、6は巻枠であり、ヒータ線2および、ス
イッチ用超電導線3、断熱材4が同心円状に、巻枠6上
に捲回されている。
【0005】この永久電流スイッチを、冷凍機によって
伝導冷却されるタイプの超電導マグネットに適用し、超
電導コイル(マグネット)に流れる電流をスイッチング
する際の動作を図7により説明する。図7は、永久電流
スイッチと超電導コイル(マグネット)との結線図であ
る。同図において、5は永久電流スイッチのスイッチリ
ードに接続された超電導コイルであり、点線内で囲われ
た部分が永久電流スイッチ1である。2は超電導線巻線
部を加熱するためのヒータ、3はスイッチ用超電導線巻
線部、9は超電導コイルに電流を供給する主電源、10
はヒータに加熱用の電流を供給するヒータ用電源であ
る。
【0006】次に、永久電流モードで運転する際の励磁
手順を図7により説明する。主電源9から超電導コイル
5に電流を流す際に、ヒータ用電源10からもヒータ2
に通電し、通電発熱したヒータ2により、スイッチ用超
電導線巻線部3を加熱する。加熱された超電導線巻線部
3は、常電導状態(オフ状態)に転移して、温度に応じ
た有限の抵抗値を持つ。そのため、主電源9から超電導
コイル5に電流を供給すると、永久電流スイッチ1はオ
フ状態となっているため、主電源9からの電流は、超電
導コイル5に流れ、その電流は増加することになる。
【0007】この超電導コイル5に流れる電流値が所定
の値になったところで、ヒータ2への通電(ヒータによ
る加熱)を停止すると、図示しない冷却部と熱的に短絡
している超電導線巻線部3の温度は低下して超電導状態
(オン状態)に転移する。そして、超電導線巻線部3が
オン状態に転移したあと、主電源9の電流を下げていく
と、超電導コイル5に流れる電流は一定のまま、主電源
9の電流低下分を補うように永久電流スイッチ1に電流
が流れ込む。つまり、電流は超電導コイル5と永久電流
スイッチの超電導線巻線部3の間をループして流れる。
その後、主電源9の電流を下げて超電導コイル5に供給
する電流をゼロにしても、超電導コイル5の電流は永久
電流スイッチ1を経由して流れ、所定の電流値を保った
ままとなる。このような状態を永久電流モードでの運転
という。
【0008】液体ヘリウム伝導冷却タイプの超電導マグ
ネットに使用されていた、永久電流スイッチを、冷凍機
によって伝導冷却されるタイプの超電導マグネットに適
用した場合、液体ヘリウムによる冷却される永久電流ス
イッチのヒータは、液体ヘリウムの冷却能力に見合っ
て、比較的大きい発熱能力を持っている。これに対し
て、前記冷凍機による冷却タイプの超電導マグネットシ
ステムでは、冷凍機の冷却能力が、液体ヘリウムより小
さいため、液体ヘリウムによる冷却タイプと同じ永久電
流スイッチ(ヒータ)を用いると、ヒータの熱負荷が大
きいことにより、システム全体を冷却する冷凍機の負担
が増し、システム全体の温度が上昇しやすくなる。
【0009】即ち、超電導線巻線部3は冷却部と熱的に
短絡しているため、永久電流スイッチ1をオフ状態とす
るために、ヒータ2により、超電導線巻線部3を加熱し
た場合、低温ステージに熱が逃げやすく、ヒータ2によ
る超電導線巻線部3の加熱時に、低温ステージへの熱侵
入が生じて、システム全体の温度が上昇し、超電導コイ
ルの温度も上昇して、超電導コイルがクエンチ(常電導
転移)しやすくなるという問題点がある。
【0010】この問題を解決するため、従来から特開平
8-138928号公報や特表平8-505493公報などに示すような
対策が採られている。特開平8-138928号公報では、永久
電流スイッチと冷凍機冷却ステージとを熱的に短絡およ
び切り離しするための機構を備えている。この機構は、
ヒーターが永久電流スイッチ部を加熱している時には、
冷凍機冷却ステージと永久電流スイッチとの熱的な接続
を切り離し、ヒーターが永久電流スイッチ部を加熱して
いない時には、冷凍機冷却ステージと永久電流スイッチ
を熱的に短絡する。このことにより、永久電流スイッチ
をオフする際に、ヒーターで永久電流スイッチ部の加熱
を行っても熱が低温ステージに入りにくいものとし、超
電導コイルの温度上昇を防止してクエンチの発生を抑制
している。
【0011】また、特表平8-505493号公報では、永久電
流スイッチと冷凍機とを結ぶ冷却ブスバーに、温度が上
昇するにつれて熱伝導率が低下する材料を用いている。
これにより、永久電流スイッチと冷凍機冷却ステージと
を熱的に短絡しにくくし、前記特開平8-138928号公報と
同様に、超電導コイルの温度上昇を防止してクエンチの
発生を抑制している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来技
術、特に特開平8-138928号公報の永久電流スイッチは、
冷凍機冷却ステージと熱的に短絡および切り離しするた
めの機構を備えているため、構造が複雑となり、製作に
時間とコストがかかるという問題点があった。また、長
期間使用していると、熱的に短絡したときの熱接触が劣
化し、安定して作動しないことがあるといった問題点も
あった。
【0013】更に、構造が比較的単純である特表平8-50
5493号公報においても、温度が上昇するにつれて低下す
る熱伝導率を有する材料は、稀少であり、かつ高価であ
るという問題点がある。
【0014】したがって、本発明の目的は、冷凍機冷却
ステージと安定して熱的に切り離すことができるととも
に、構造が単純で、かつ短時間、低コストで作成できる
機構を有する永久電流スイッチを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的のため、本発明
の要旨は、超電導コイルとともに真空容器内に配置さ
れ、かつ電源に超電導コイルと並列に接続されるととも
に、冷凍機によって伝導冷却されて前記超電導コイルに
流れる電流のスイッチングを行う永久電流スイッチの構
造を、スイッチ用超電導線が巻回された巻き線部と、巻
き線部を加熱するヒータと、巻き線部に当接する断熱材
とを含むとともに、巻き線部を断熱材を介して伝導冷却
する冷却部材を配置し、前記ヒータ、超電導線巻き線
部、断熱材、冷却部材が、各々同心円状に配置されてい
構造とすることである。
【0016】前記した通り、液体ヘリウム冷却タイプの
永久電流スイッチを、そのまま、冷凍機による冷却タイ
プの永久電流スイッチに適用しようとすると、永久電流
スイッチ内のヒータの発熱量が大きすぎ、超電導コイル
自体の温度上昇を引き起こし、超電導コイルがクエンチ
(常電導転移)することとなる。このため、前記従来技
術では、この事態を避けるために、ヒータの過剰な発熱
を超電導コイルに伝えないようにするための工夫をしよ
うとしていた。この場合、ヒータの発熱量自体を下げ
て、ヒータの過剰な発熱を超電導コイルに伝えないよう
にすることも考えられるが、これでは、永久電流スイッ
チの常温状態(オフ状態)の移行に時間を要することに
なるからである。
【0017】しかし、本発明では、永久電流スイッチの
超電導線巻き線部に、適切な熱通過率を有する断熱材を
当接させるとともに、超電導線巻き線部をこの断熱材を
介して伝導冷却する冷却部材を配置すれば、前記従来技
術のような、特別に複雑乃至高価な構造を有さずとも、
冷凍機冷却ステージと安定して熱的に切り離すことがで
き、しかも、永久電流スイッチの伝導冷却能力を一段と
高め、スイッチ用超電導線の超電導状態(オン状態)へ
の転移などを早めるのが可能となることを知見したもの
である。
【0018】のため、本発明永久電流スイッチでは、
前記従来の永久電流スイッチ同様、ヒータおよび超電導
線、断熱材、冷却部材は、永久電流スイッチ自体のコン
パクト化や冷却乃至断熱効率上、各々同心円状に配置さ
れている。
【0019】なお、従来の液体ヘリウムで使われていた
永久電流スイッチでも、永久電流スイッチが固定される
図5に示す冷却ブスバーと、図6に示す巻枠6の底部を
介して、伝導冷却されており、本発明でもこの点は同じ
である。しかし、本発明では、更にこれに加えて、巻き
線部に当接する断熱材の外側(図1の場合)乃至内側
(図2の場合)に、超電導線巻き線部乃至断熱材周囲を
囲う形で冷却部材を配置し、伝導冷却能力を一段と高
め、スイッチ用超電導線の超電導状態(オン状態)への
転移を早めている。
【0020】また、冷却部材は、永久電流スイッチを冷
凍機によって伝導冷却するため、銅、またはアルミ等の
良熱伝導金属材料からなり、後述するごとく、超電導線
巻き線部を囲む乃至包囲する形で伝導冷却することが望
ましい。
【0021】更に、断熱材の熱通過率は、図1、2のよ
うに、ヒータおよび超電導線、断熱材、冷却部材が各々
同心円状に配置されている場合、冷凍機の3〜8K にお
ける冷却能力をαW としたとき、断熱材の同心円の径方
向の熱通過率が最大で50αW/(m2 ・K)以下であること
が望ましい。熱通過率が前記50αW/(m2 ・K)を超える
と、ヒータによる加熱効率が悪くなり、超電導線の常温
状態(オフ状態)への転移が遅くなるとともに、低温ス
テージに熱が逃げやすく、ヒータの容量を大きくする必
要があるばかりか、ヒータによる加熱時に、低温ステー
ジへの熱侵入が生じて、システム全体の温度が上昇し、
超電導コイルの温度も上昇して、超電導コイルがクエン
チ(常電導転移)しやすくなるという問題点がある。
【0022】また断熱材の最小熱通過率は、超電導線の
冷却効率の点から決まり、小さすぎると、超電導線の冷
却効率が悪くなり、超電導状態(オン状態)への転移が
遅くなるで、0.5αW/(m2 ・K)以上であることがより
望ましい。
【0023】また、この熱通過率を確保するため、断熱
材の材質としては、パテ、テフロン、ナイロン、FR
P、ベークライト、エポキシ樹脂、ワックス、またはこ
れらの複合材の内から選択されることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】永久電流スイッチの1実施態様
を、図1に示す。同図において、永久電流スイッチ1の
構造は、図1に示した従来の永久電流スイッチ構造と同
様であり、この永久電流スイッチ1を冷却ホルダー7の
中に装入し、図1における永久電流スイッチの側面と底
部を、冷却ホルダー7の胴部8とフランジ部9により囲
む形とする。このフランジ部9は、図5の冷却ブスバー
16上に取り付けられ、冷凍機からの伝導により、図5
の冷却ブスバー16を介し、かつ冷却ホルダー7の胴部
8とフランジ部9を介して、永久電流スイッチ1が冷却
される。
【0025】この永久電流スイッチ1を、冷却ホルダー
7に装入する実施態様では、永久電流スイッチ1と冷却
ホルダー7の内面とに、必然的に隙間が発生し、この隙
間は真空であるので(雰囲気は真空容器内で真空に保持
されているので)、隙間があると、熱の伝導が無くな
り、冷却ホルダー7の冷却効果が無くなる。したがっ
て、該隙間には、アピエゾングリースを挿入し、隙間を
作らないようにした。
【0026】
【実施例】図1に示す永久電流スイッチ1、図5に示す
超電導マグネット装置を用いて、永久電流モードでの運
転による励磁試験を行った。励磁試験は、永久電流スイ
ッチに、断熱材、冷却部材、形状、常電導抵抗値等が異
なる5種類を用い、この永久電流スイッチの条件を変え
た以外は、すべて同じシステム構成乃至条件として行っ
た。
【0027】〔実施例1〕超電導コイルの仕様は、イン
ダクタンス;59.6H 、定格磁場;5T、定格電流;52.5A
、外径;280mm 、ボア内径;150mm 、巻長さ;295mm
、使用線材;マルチフィラメントNbTiとした。また、
冷凍機の仕様は、最低到達温度;3K、冷凍能力;1.0W/
(4.2K時) とした。永久電流スイッチは、冷却部材を銅
製の冷却ホルダー7とし、断熱材は厚さ10.6mmのパテを
使用し、熱通過率;5.3W/(m2・K)、常電導抵抗値; 5
Ω、ヒータ抵抗は、抵抗値;100 Ω、外径;12mm、長
さ;38mmのものを用いた。
【0028】システムを冷凍機により冷却し、永久電流
スイッチ、超電導コイルともに、温度を4Kの状態とし
た。次に、永久電流スイッチのヒーター用電源を入れ、
ヒーターに20mAを通電した。約1 分後、永久電流スイッ
チの温度は10K となり、常電導状態になることが確認で
きた。このとき、超電導コイルは、約4Kのままであり、
冷却ステージと安定して熱的に切り離せていることが確
認できた。
【0029】続いて、0.020A/ 秒のスピードで、電源電
流Cを定格電流まで上げて、超電導コイルの励磁を行っ
た。この時の、超電導コイルと永久電流スイッチの温度
変化を、図3に示す。図3から、永久電流スイッチ温度
Bは約30K まで、超電導コイル温度Aは5.2Kまで温度上
昇していることが分かる。しかし、励磁中、永久電流ス
イッチへの分流による発熱は、370mW と見積もられる
が、クエンチを起こすことなく、発生磁場Dは定格の5
T (テスラ)まで励磁することが可能であった。このこ
とから、本発明永久電流スイッチは十分な断熱機構を有
していることがわかる。励磁終了後ヒータを切り、約13
分後に、永久電流スイッチがオン状態に転移し、永久電
流モードに移行したことが確認できた。
【0030】〔実施例2〕次に、永久電流スイッチの常
電導抵抗値を40Ω、ヒータ外径を18mmとした以外は、実
施例1と同じ条件にて、同様の励磁試験を行った。シス
テムを冷凍機により冷却し、永久電流スイッチ、超電導
コイルともに温度は4Kの状態とした。その後、ヒータ
ーに20mAを通電した約1 分後には、永久電流スイッチの
温度は10K となり、常電導状態になることが確認でき
た。このとき、超電導コイルは、4Kのままであり、冷却
ステージと安定して熱的に切り離せていることが確認で
きた。
【0031】続いて、実施例1より速い0.049A/ 秒のス
ピードで、電源電流Cを定格電流まで上げて、超電導コ
イルの励磁を行った。この時の、超電導コイルと永久電
流スイッチの温度変化を、図4に示す。図4から分かる
通り、永久電流スイッチの温度Bは、約19K まで上昇し
ている。しかし、超電導コイル温度Aは5.2Kまでしか温
度上昇せず、クエンチを起こすことなく、発生磁場Dは
定格の5T (テスラ)まで励磁することが可能であっ
た。励磁終了後ヒータを切り、約7 分後に、永久電流ス
イッチがオン状態に転移し、永久電流モードに移行した
ことが確認できた。
【0032】〔実施例3〕次に、永久電流スイッチの、
断熱材の厚さを0.7mm 、熱通過率;53W/(m2 ・K)、常電
導抵抗値を40Ω、ヒータ外径を7.6mm とした以外は、実
施例1と同じ条件にて、同様の励磁試験を行った。シス
テムを冷凍機により冷却し、永久電流スイッチ、超電導
コイルともに温度は4Kの状態とした。その後、ヒータ
ーに65mAを通電した約30秒後には、永久電流スイッチの
温度は10K となり、常電導状態になることが確認でき
た。このとき、超電導コイルは、4.4Kであった。
【0033】続いて、実施例1と同じ0.049A/ 秒のスピ
ードで、超電導コイルの励磁を行ったが、このときの、
超電導コイルは5.6Kまで温度上昇し、クエンチを起こし
た。これは、永久電流スイッチをオフ状態にするのに、
約420mW のヒータ負荷が必要であったため、システム全
体の温度が上昇したことがクエンチの原因である。この
場合には、断熱材の熱通過率が高すぎるのが問題であ
り、断熱材の熱通過率をもっと下げる、或いは断熱材の
熱通過率はそのままにして、超電導コイルの励磁をもっ
と遅いスピードで行えば、クエンチを防止することがで
きる。
【0034】〔実施例4〕次に、永久電流スイッチは、
銅製の冷却ホルダーとし、断熱材は厚さ31mmのテフロン
を使用し、熱通過率;0.48W/(m2 ・K)、常電導抵抗値;
40Ω、ヒータ抵抗は、抵抗値;100 Ω、外径;39mm、長
さ;38mmのものを用い、実施例1と同じ条件にて、同様
の励磁試験を行った。システムを冷凍機により冷却し、
永久電流スイッチ、超電導コイルともに温度は4Kの状
態とした。その後、ヒーターに2mA を通電した約1 分後
には、永久電流スイッチの温度は10K となり、常電導状
態になることが確認できた。このとき、超電導コイル
は、4.0Kであった。
【0035】続いて、実施例2と同じ0.049A/ 秒のスピ
ードで、超電導コイルの励磁を行った。この結果、永久
電流スイッチの温度は、約18K まで上昇した。しかし、
超電導コイルは5.2Kまでしか温度上昇せず、クエンチを
起こすことなく定格の5テスラまで励磁することが可能
であった。励磁終了後ヒータを切り3時間経過後、永久
電流スイッチがオン状態に転移し、永久電流モードに移
行した。この例の場合は、断熱材の熱通過率が小さす
ぎ、永久電流スイッチのオン状態への転移に長い時間を
要している。したがって、断熱材の熱通過率を高くすれ
ば時間短縮が可能である。
【0036】〔実施例5〕次に、図2に示す、別の実施
態様の永久電流スイッチを用いて、実施例1と同様の励
磁試験を行った。図5の永久電流スイッチ1では、冷却
部材18を、永久電流スイッチ1の内側に持ってきてお
り、かつ冷却部材18が、超電導線3などの巻枠を兼用
している点が前記実施態様と異なる点である。この場
合、断熱材4、超電導線3、ヒータ線2が、冷却部材1
8側から順に、同心円状に、冷却部材18上に捲回され
ている。
【0037】図2の永久電流スイッチとして、アルミ製
の冷却部材とし、断熱材は厚さ3mmのパテを使用し、熱
通過率;5.3W/(m2・K)、常電導抵抗値;40Ω、ヒータ抵
抗は、抵抗値;100 Ω、外径;5.3mm 、長さ;38mmのも
のを用い、実施例1と同じ条件にて、同様の励磁試験を
行った。システムを冷凍機により冷却し、永久電流スイ
ッチ、超電導コイルともに温度は4Kの状態とした。そ
の後、ヒーターに20mAを通電した約1 分後には、永久電
流スイッチの温度は約10K となり、常電導状態になるこ
とが確認できた。このとき、超電導コイルは、4.0Kであ
った。
【0038】続いて、実施例2と同じ0.049A/ 秒のスピ
ードで、超電導コイルの励磁を行った。永久電流スイッ
チの温度は、約19K まで上昇した。しかし、超電導コイ
ルは5.2Kまでしか温度上昇せず、クエンチを起こすこと
なく定格の5T(テスラ) まで励磁することが可能であっ
た。励磁終了後ヒータを切り、約7 分後に、永久電流ス
イッチがオン状態に転移し、永久電流モードに移行した
ことが確認できた。
【0039】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明では、冷凍機
によって冷却される永久電流スイッチにおいて、従来の
永久電流スイッチに比して、断熱材の熱通過率を特定
し、冷却部を設けるという簡単な構造により、短時間、
低コストで作成でき、かつ安定して作動る永久電流スイ
ッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久電流スイッチの1実施態様を示
す、斜視図である。
【図2】本発明の永久電流スイッチの他の実施態様を示
す、断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示し、超電導コイルの励磁
を行った時の、超電導コイルと永久電流スイッチの温度
変化を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施例を示し、超電導コイルの励
磁を行った時の、超電導コイルと永久電流スイッチの温
度変化を示す説明図である。
【図5】冷凍機冷却型超電導マグネットシステムの概略
を示す、断面図である。
【図6】従来の液体ヘリウム伝導冷却タイプの永久電流
スイッチの実施態様を示す、断面図である。
【図7】従来の永久電流スイッチの動作を示す、結線図
である。
【符号の説明】
1:永久電流スイッチ 2:ヒータ線 3:超電導線 4:断熱材 5:超電導マグネット 6:巻枠 7:冷却部材 8:胴部 9:主電源 10:ヒータ用電源 11:真空容器 12:冷凍機 13:輻射シールド 14:酸化物超電導リード 15:銅リード 16:冷却ブスバー 17:冷凍機冷却ステージ 18:冷却部材 19:フランジ 20:超電導マグネットシステム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 征治 神戸市西区高塚台1丁目5−5 株式会 社神戸製鋼所 神戸総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 平8−153619(JP,A) 特開 平8−69911(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 6/00 ZAA H01H 37/00 ZAA H01L 39/00 ZAA

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷凍機によって伝導冷却される超電導コ
    イルと並列に接続され、前記冷凍機によって伝導冷却さ
    れて前記超電導コイルに流れる電流のスイッチングを行
    う永久電流スイッチにおいて、スイッチ用超電導線が巻
    回された巻き線部と、該巻き線部を加熱するヒータと、
    巻き線部に当接する断熱材とを含むとともに、巻き線部
    を断熱材を介して伝導冷却する冷却部材を配置し、前記
    ヒータ、超電導線巻き線部、断熱材、冷却部材が、各々
    同心円状に配置されていることを特徴とする永久電流ス
    イッチ。
  2. 【請求項2】 前記冷却部材が銅、またはアルミの良熱
    伝導金属材料からなる請求項1に記載の永久電流スイッ
    チ。
  3. 【請求項3】 前記冷凍機の3〜8K における冷却能力
    をαW としたとき、断熱材の同心円の径方向の熱通過率
    が50αW/(m 2 ・K)以下である請求項1または2に記載
    の永久電流スイッチ。
  4. 【請求項4】 前記断熱材の熱通過率が0.5αW/(m 2
    ・K)以上である請求項3に記載の永久電流スイッチ。
  5. 【請求項5】 前記断熱材が、パテ、テフロン、ナイロ
    ン、FRP、ベークライト、エポキシ樹脂、ワックス、
    またはこれらの複合材の内から選択されるものである
    求項1乃至4のいずれか1項に記載の永久電流スイッ
    チ。
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