JP4067349B2 - 細菌由来凝乳酵素及び当該酵素を用いたチーズの製造 - Google Patents

細菌由来凝乳酵素及び当該酵素を用いたチーズの製造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌由来凝乳酵素及び当該酵素を用いたチーズの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、ペニバチルス属細菌が生産する凝乳酵素、及び当該酵素を用いたチーズ及びチーズ様食品の製造方法に関するものである。本発明は、細菌由来の新規凝乳酵素を用いて、良質な芳香、味、食感を特徴とする新しいタイプのチーズ及びチーズ様食品及びその製造方法を提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、チーズを製造するに際しては、原料乳を凝固させるために凝乳酵素が必要とされ、離乳前の子牛第4胃から抽出、調製されるキモシンが凝乳酵素として伝統的に用いられている。しかし、このキモシンの原料となる子牛の慢性的な供給不足から、1970年代初め頃より、多くの研究者が精力的にキモシンに代わる凝乳酵素の研究、開発を行ってきた。
【0003】
そして、これまでに、動物、植物及び微生物起源のキモシンに代わる多数の凝乳酵素が見いだされ、チーズ製造への利用の試みがなされている。しかし、キモシンに代わる凝乳酵素として実用化されているものは、動物起源のペプシンやエンドシア・パラシチカ(Endothia parasitica)、ムコール・プシルス(Mucor pusillus)及びムコール・ミイヘイ(Mucor miehei)の糸状菌3種が産生する微生物起源の微生物レンネットのみである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、良質な芳香、味、食感を特徴とする新しいタイプのチーズを開発するのに有用な新たな微生物起源の凝乳酵素を見いだすべく、鋭意検討を行ったところ、分離した細菌の培養上清が強い凝乳活性を有することを見いだし、更に研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ペニバチルス属細菌が産生する凝乳酵素を用いたチーズ及びチーズ様食品の製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、上記食品の製造に使用する細菌由来の新規凝乳酵素を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)ペニバチルス属細菌(Paenibacillus sp.)に属する受託番号FERM P−18138の菌株により生産される、凝乳活性を有する酵素であって、以下の酵素学的性質;
(a)作用:乳を凝固させてカードを形成する凝乳作用を有する、(b)基質特異性:κカゼインを基質としてカルシウム存在下でThr94−Met95を特異的に切断する、(c)至適pH:6.0〜7.0、(d)分子量:SDS−PAGEにより測定した分子量は35,000〜37,000Da、
を有する凝乳酵素を用いて、チーズを製造する方法であって、乳を原料として、上記凝乳酵素を用いてカードを形成させ、ホエー分離後、熟成させることを特徴とするチーズの製造方法。
(2)50〜80%飽和の硫酸アンモニウム溶液で塩析される凝乳酵素を用いる、前記(1)に記載のチーズの製造方法
(3)50〜80%飽和の硫酸アンモニウム溶液で塩祈される、安定なpH領域が6.0〜8.0、安定な温度域が40〜50℃であることを特徴とする凝乳酵素を用いる、前記(2)に記載のチーズの製造方法
(4)前記1〜3のいずれかに記載の方法により製造される、乳を原料として細菌由来凝乳酵素を用いて製造したことを特徴とするチーズ様食品。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、凝乳酵素の産生能を有する特定の細菌を培養し、得られる培養物から本発明の凝乳酵素を採取すること、また、本発明の凝乳酵素を用いて、チーズ及びチーズ様食品を製造し、提供すること、を特徴とするものである。本発明において、上記凝乳酵素を産生する菌株は、その生理学的性状及び16SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列の比較から、Paenibacillus属に分類される。この菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、受託番号FERM P−18138、微生物の表示Paeni、として寄託されている。
【0007】
このペニバチルス属細菌の培養物から凝乳酵素を取得する方法としては、例えば、上記菌株を用いて、固体培養を行った場合、培養物と等量の水あるいは緩衝液を加えて抽出処理し、凝乳酵素の粗酵素液を得、適宜、その粗酵素液を濃縮、乾燥して凝乳酵素の粗酵素粉末を得る方法を用いることができる。また、上記菌株を用いて、液体培養を行った場合、遠心分離を行って菌体を除去し、その培養上清に硫安や硫酸ナトリウムなどを加えるか、あるいはアセトンやアルコールなどの有機溶媒を加えて、凝乳酵素を沈殿させ、その沈殿を分離、回収し、乾燥して凝乳酵素の粗酵素粉末を得ることができる。しかし、本発明は、これらの方法に制限されるものではなく、適宜の方法を用いることができる。
【0008】
次に、本発明の凝乳酵素の精製方法としては、通常行われる酵素の精製方法を用いることができる。好適には、例えば、ペニバチルス属細菌の液体培養の培養上清から得られた粗酵素液を、疎水カラムクロマトグラフィー及び陽イオン交換カラムクロマトグラフィーで精製する方法を用いることができるが、これらに制限されるものではない。本発明で用いるペニバチルス属細菌の培養方法については、固体培養では、例えば、スキムミルクを1w/v%となるように加えた標準寒天培地(0.25%酵母エキス、0.5%ペプトン、0.1%グルコース、1.5%寒天)を用い、35℃で一晩培養後、室温で培養する方法が例示され、また、液体培養では、例えば、0.5%コーンスティープリカー、0.5%可溶性デンプン、0.5%NaH2 PO4 (pH7.0)を基本組成とした液体培地(基本液体培地)を様々に改変したものを用い、37℃で180rpmの回転振盪培養する方法が例示されるが、これらに制限されるものではなく、適宜の方法を利用することができる。
【0009】
本発明の凝乳酵素は、培養物から粗酵素液を抽出し、この粗酵素液を、好適には、50〜80%飽和の硫酸アンモニウム溶液で硫安塩祈した後、陽イオン交換クロマトグラフィー及び疎水クロマトグラフィーで精製して精製酵素標品を得ることができる。
即ち、凝乳酵素の分画・精製方法については、例えば、基本液体培地で上記菌株を8時間培養後、集菌し、0.5%デンプン−5mM CaCl2 に再懸濁して一晩培養し、遠心にて菌体等を除いた後、上清に50%飽和となるように硫安を溶解し、超遠心にてデンプンを含む多糖類を除去し、得られた上清に80%飽和となるように硫安を追加、溶解し、4℃で一晩放置し、沈澱を遠心にて回収し、3.3mM MES/3.3mM MEPES/3.3mM 酢酸Na−5mM CaCl2 (pH5.5)の緩衝液に溶解後、ポアサイズ0.8μmのフィターを通し、同一緩衝液に対して一晩透析し、得られた酵素標品を、陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに供し、活性画分を分取し、これに硫安濃度を最終濃度1Mとなるように硫安を添加して、疎水クロマトグラフィーを行い活性画分を分取する方法が例示される。上記方法により得られた活性画分は、10%SDS−PAGEで、ほぼ一本の単一バンドとして検出される。本発明においては、凝乳酵素の分画、精製方法は、上記方法に制限されるものではなく、上記方法に準じて、適宜の方法及び条件を設定することができる。
【0010】
次に、本発明の凝乳酵素の酵素学的性質を示す。
(1)至適作用pH及び安定pH
本発明の凝乳酵素の至適pH及びpH安定性を調べた。至適pHについては、100mMの所定pHに調整した緩衝液に、10%W/v スキムミルク−10mM CaCl2 となるように、スキムミルク及び塩化カルシウムを加えたものを用いて測定した。また、pH安定性については、50mMの所定pHに調整した緩衝液中で10分間35℃に保ち、残存活性を比較した。その結果、凝乳活性はpH6.0〜7.0に極大値を持ち、pH8.0ではpH7.0での活性の64%程度であった。また、凝乳活性はpH6.0〜8.0でほぼ安定であったが、pH4.0ではほぼ失活した。
【0011】
(2)至適作用温度及び熱安定性
次に、本発明の凝乳酵素の至適作用温度及び熱安定性を調べた。至適作用温度については、所定温度での凝乳活性を測定した。また、熱安定性については、20mM MES/HEPES/酢酸ナトリウム−5mM CaCl2 中で10分間所定温度に保ち、残存活性を比較した。その結果、この酵素は40〜50℃まで安定で、凝乳活性は温度が高くなるにつれて増大したが、50℃付近で失活が始まり、70℃で殆ど失活した。
【0012】
(3)阻害剤
本発明の凝乳酵素の凝乳活性を阻害剤を用いて調べた。EDTAで凝乳活性は阻害され、Caイオンが活性の維持及び発現に必須であった。
(4)分子量
SDS−PAGEにより測定した本発明の凝乳酵素の分子量は約35、000〜37、000Daである。
【0013】
(5)活性測定法
本発明の凝乳酵素の凝乳活性はArimaらの方法に準じて測定した。即ち、0.01M塩化カルシウムに溶解した10%還元脱脂乳を基質として用い、この基質5mlに対して5〜10分間でカードフラグメントが生成するように濃度調整した酵素液0.5mlを加え、35℃に保持した。時々攪拌し、カードフラグメントの生成を観察した。カードフラグメントが生成するまでの時間を測定し、1分間に凝乳を開始する酵素量を400ユニットとした。
【0014】
(6)作用
本発明の酵素は、乳を凝固させてカードを形成する凝乳作用を有する。
(7)基質特異性:κカゼインを10mg/mlの濃度で20mM MOSO(pH6.5)−10mM CaCl2 に溶解し、凝乳溶液を1/20容で加えて、37℃で15分間インキュベートし、その消化産物をTris/Tricine系SDS−PAGEにより分離し、PVDF膜に転写してN末端アミノ酸配列分析を行った。アミノ酸配列分析については、凝乳酵素を0.1%TFAで溶解後、同溶液で平衡化したPhenyl 5PW RPカラムに添加し、アセトニトリルの濃度勾配で溶出した。メインピークのN末端アミノ酸配列をプロテインシークエンサーを用いて分析した。その結果、κカゼインを基質として、カルシウム存在下で、Thr94−Met95を特異的に切断する。
【0015】
本発明では、乳を原料としてチーズを製造するに当たり、上記凝乳酵素を用いてカードを形成させ、ホエー分離後、熟成させることにより、チーズ及びチーズ様食品を製造することができる。本発明において、上記チーズ及びチーズ様食品を製造する具体的なプロセスは、上記凝乳酵素を使用する他は、通常のチーズの製造方法を適宜採用することが可能であり、例えば、生乳を、65℃で加熱殺菌後、30℃に急冷し、本発明の凝乳酵素と、乳酸菌スターター及び塩化カルシウムを定法に従って添加し、そのまま保温後、形成されたカードをカットし、攪拌した後、カードをガーゼに取ってホエーを抜き、プレス後20%塩水浸漬し、乾燥後、真空包装し、15℃の熟成庫に保存し、熟成する方法が例示される。しかし、これらのプロセス及び条件は、上記方法に限定されるものではなく、その製品の種類に応じて任意に設定することができる。
【0016】
本発明の方法により製造したチーズ及びチーズ様食品について、ピアノ線でのせん断応力、食感、電子顕微鏡でのチーズ断面観察、遊離アミノ酸組成を調べて、通常のカーフ・レンネットを用いて同様の条件で製造したチーズ製品と比較した結果、せん断応力、うまみアミノ酸であるグルタミン酸及び疎水性アミノ酸のイソロイシン含量の点で、本発明のチーズが、レンネットチーズを上回ったこと、食感は、本発明のチーズの方が若干ぼろぼろと崩れるような感じであったこと、の他は、ほぼ同等であり、本発明のチーズ及びチーズ様食品は、製品の品質についても、レンネットチーズ製品の品質と同等のものであることが分かった。
【0017】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
ペニバチルス属細菌の菌株(FERM P−18138)を、37℃で対数増殖期終期まで培養した培養液1.2リットルを、遠心分離にて集菌した。0.5%可溶性デンプンを含む5mM塩化カルシウム水600mlに再懸濁後、一晩培養した。培養後、この培養液を4℃で遠心分離して粗酵素液とした。この粗酵素液に50%飽和となるように硫安を加え、沈殿を遠心分離で除き、上清に80%飽和となるように硫安を追加した。沈殿を遠心分離で回収し、3.3mM MES/3.3mM HEPES/3.3mM酢酸ナトリウム−5mM塩化カルシウム(pH5.5)に対して一夜透析した。その結果、BSA換算で約2.4mgの酵素標品を得、この凝乳活性は約1、100、000ユニットであった。
【0018】
実施例2
上記実施例1で得た酵素標品を5mM塩化カルシウムを含む3.3mM MES/3.3mMHEPES/3.3mM酢酸ナトリウム(pH5.5)緩衝液(A緩衝液) で平衡化したPorosHS 20ミクロンカラム( 直径4.6mmx高さ100mm)に負荷し、0〜0.2M食塩を含むA緩衝液でリニア−グラジェント溶出を行って活性画分を回収した。この活性画分に1Mとなるように硫安を加え、1M硫安及び5mM塩化カルシウムを含む15mMトリス・ ヒドロキシメチルアミノメタン/15mMビスートリス・ プロパン(pH7.5)緩衝液(B緩衝液)で平衡化したPorosHP2 20ミクロンカラム( 直径4.6mmx高さ100mm)に負荷し、1M〜200mM硫安を含むB緩衝液でリニア−グラジェント溶出を行って活性画分を回収した。この活性画分を5mM塩化カルシウムを含む5mMトリス・ ヒドロキシメチルアミノメタン/5mMビスートリス・ プロパン(pH7.0)緩衝液に対して透析し、BSA換算で約250μgの精製酵素標品を得た。本酵素は、この二段階の力ラムクロマトグラフィ一によって1.31倍まで精製され、収率は13.6%であった。
【0019】
実施例3
(1)チーズの製造
ペニバチルス属細菌を塗抹し、37℃にて増殖させた9cm径シャーレ100枚の寒天から水にて凝乳酵素を抽出し、遠心分離によって菌体及び寒天片を除去した。ろ過後、0.5%(w/v)となるようにスキムミルクを懸濁して凍結乾燥を行い、凝乳酵素標品とした。牛乳を65℃で30分間加熱殺菌し、30℃に冷却後、乳酸菌スターター1%を接種し、本凝乳酵素標品を少量の水に溶解後、添加した。以後、定法により、カッティング、ホエーオフ、圧搾、加塩を行い、6ヶ月熟成させてゴーダチーズを製造した。
【0020】
(2)結果
上記製造法において、レンネットとして、本発明の凝乳酵素を用いた場合(本発明例)、及び子牛レンネットを用いた場合(対照例)について、得られたチーズの遊離アミノ酸を表1に示す。また、レオメーターでピアノ線を用いた場合の本発明例と対照例のせん断応力は、本発明例が231.8±19.8gf、対照例が207.8±28.1gfであった。
【0021】
【表1】
Figure 0004067349
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、細菌由来凝乳酵素及び当該酵素を用いたチーズの製造に係るものであり、本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)新しい凝乳酵素を提供することができる。
(2)本発明の凝乳酵素は、キモシン代替酵素として、チーズ及びチーズ様食品の製造に用いることができる。
(3)上記凝乳酵素を用いた新しいチーズ及びチーズ様食品の製造方法を提供することができる。
(4)上記方法により、レンネットチーズと同等の品質を有するチーズ及びチーズ様食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凝乳酵素のpH安定性を示す。
【図2】本発明の凝乳酵素の温度安定性を示す。
【図3】本発明の精製凝乳酵素の、10%ポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す。

Claims (4)

  1. ペニバチルス属細菌(Paenibacillus sp.)に属する受託番号FERM P−18138の菌株により生産される、凝乳活性を有する酵素であって、以下の酵素学的性質;
    (1)作用:乳を凝固させてカードを形成する凝乳作用を有する、(2)基質特異性:κカゼインを基質としてカルシウム存在下でThr94−Met95を特異的に切断する、(3)至適pH:6.0〜7.0、(4)分子量:SDS−PAGEにより測定した分子量は35,000〜37,000Da、
    を有する凝乳酵素を用いて、チーズを製造する方法であって、乳を原料として、上記凝乳酵素を用いてカードを形成させ、ホエー分離後、熟成させることを特徴とするチーズの製造方法。
  2. 50〜80%飽和の硫酸アンモニウム溶液で塩析される凝乳酵素を用いる、請求項1に記載のチーズの製造方法
  3. 50〜80%飽和の硫酸アンモニウム溶液で塩祈される、安定なpH領域が6.0〜8.0、安定な温度域が40〜50℃であることを特徴とする凝乳酵素を用いる、請求項2に記載のチーズの製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造される、乳を原料として細菌由来凝乳酵素を用いて製造したことを特徴とするチーズ様食品。
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