JP4066787B2 - 自動変速機の入力トルク制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動変速機に入力するトルクを制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機を備えた車両にあって、エンジンの発生する最大トルクに対応して自動変速機のトルク伝達部材の強度を設定しているが、とくに発進時の大きなトルクに耐えうるようにする場合、それ以外の運転時のトルクはこれよりも低く、大半の運転域で、自動変速機は過剰な強度を備えることになる。
【0003】
そこで、特許文献1にもあるように、車速の低い運転領域において、エンジン出力回転と変速機入力回転との速度比が予め設定された値よりも小さいときは、速度比に応じてエンジン出力トルクを制限することで、発進時などに過大なトルクが自動変速機に作用しないようにして、自動変速機のトルク伝達部材の強度を不必要に高めなくてもよいようにしたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−138874号公報
【0005】
【発明の解決すべき課題】
しかし、上記トルク制御装置によれば、速度比が可変であることを前提にしてエンジン回転数以外に車速とレンジ信号に基づいて、トルク低減制御を行うために、これらの判断が複雑ないしは煩雑となり、実際の入力トルクの予測精度も悪いという問題があり、自動変速機の設定強度に正確に対応した適切な入力トルクに制御することができないことがあった。
【0006】
このために、安全性等を加味すると、不必要に自動変速機の強度を高めたりの対策が要求されることになってしまう。
【0007】
本発明の目的は、発進時などに過大なトルクが自動変速機に入力するのを確実に防ぐことのできる入力トルク制御装置を提供することである。
【0008】
本発明は、エンジンの出力が伝達される低速段と高速段とに切換可能な副変速機と、この副変速機の後段に配置され、回転を伝達しない中立状態と伝達する動力伝達状態に切換えられると共に、変速比が可変である主変速機と、少なくとも前記副変速機が低速段の状態で前記主変速機を中立状態から動力伝達状態へと切換えつつ発進制御を行う変速制御手段と、前記副変速機が低速段にあるかどうかを判定する手段と、アクセル開度とエンジン回転数とに基づいて算出される前記エンジンの発生トルクを前記高速段に比較して前記低速段で低くなるように制限するトルク制御手段とを備え、前記副変速機の低速段が選択されているときに、前記トルク制御手段の算出トルクに応じてエンジン出力を制限し、前記副変速機の変速段の切り替え前後で、前記副変速機の入力回転と前記主変速機の出力回転との比率が同一となるように前記主変速機の変速比を制御するようにしている。
【0009】
【作用・効果】
したがって、副変速機の低速段が選択されているときには、エンジントルクが一部の運転領域、例えば高負荷域などで制限され、このため主変速機に過大な入力トルクが作用することがなく、しかも、このトルク制限は低速段について変速比が一定の状態で行われるので、制限トルクの算出が簡単かつ正確になり、このため主変速機のトルク伝達部材の強度を不必要に過剰強度とすることなく、的確に設定でき、自動変速機の軽量化、小型化が図れるし、また、主変速機に過大な入力トルクが作用しないので、走行中に低速段のまま加速したり、あるいは高速段から低速段にシフトダウンしての急加速などが行え、動力性能の悪化が回避できる。さらに、副変速機の変速段の切り替え前後で、副変速機の入力回転と主変速機の出力回転との比率であるトータルの変速比が同一となるように主変速機の変速比を制御するので、副変速機の切替に伴う変速ショックが発生することがない。
【0010】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の自動変速機の全体的な構成を示すもので、1はエンジン、2はエンジン1の出力側に連結され、低速段と高速段への切換が行われる副変速機、3は副変速機2の出力側に連結される主変速機で、主変速機3は、回転の伝達方向を切換えると共に中立状態を維持可能な前後進切換機構4aと、変速が無段階に行われる無段変速機構部4bとから構成されている。
【0012】
副変速機2は、ハウジング21がドライブプレート22を介して前記エンジン1の出力軸側に連結され、エンジン回転が直接伝達される。
【0013】
ハウジング21の内部中心には、主変速機3の入力軸3aが挿入され、その先端部に位置して単純遊星歯車組23が配置される。この単純遊星歯車組23は、サンギヤ23s、プラネタリギヤ23p、リングギヤ23rとから構成され、このうち、プラネタリギヤ23pのキャリア23cが前記入力軸3aに結合すると共に、キャリア23cは高速段選択クラッチ24のクラッチハブ24hとも結合している。
【0014】
また、リングギヤ23rが低速段選択ブレーキとしてのワンウェイクラッチ25と結合し、このワンウェイクラッチ25は前記入力軸3aの外周に同軸的に配置される、前記前後進切換機構4aのハウジング41の筒部41aの外周に載置され、回転の一方向にのみ係合、つまりリングギヤ23rをエンジン回転と逆方向に回転しないようにしている。
【0015】
前記高速段選択クラッチ24は、クラッチハブ24hと対峙し、かつハウジング21内で入力軸3aと同軸的に配設されたクラッチドラム24dを備え、このクラッチドラム24dはその外周部において高速段用ダンパー27を介してハウジング21と結合している。また、このクラッチドラム24dはその内周部において低速段用ダンパー28を介して前記サンギヤ23sの一部と結合している。
【0016】
高速段用選択クラッチ24は、図示しないが、クラッチドラム24dと同軸方向に移動可能な油圧ピストンにより駆動され、油圧が作用するとクラッチドラム24dとクラッチハブ24hとが締結して一体となり、この状態では高速段が選択され、ハウジング21、高速段用ダンパー27からの回転が低速段用ダンパー28を経由することなく、キャリア23cを経て入力軸3aにそのまま伝達される。
【0017】
これに対して、高速段選択クラッチ24の油圧が解放されると、図のようにクラッチドラム24dとクラッチハブ24hが離れ、高速段用ダンパー27からの回転が低速段用ダンパー28からサンギヤ23aに伝達される。また、ワンウェイクラッチ25がリングギヤ23rのエンジン回転と逆方向の回転を阻止しているため、プラネタリギヤ23pを公転させ、これと一体にキャリア23cが回転して入力軸3aに減速した回転が伝わり、これにより低速段の状態が選択されたことになる。
【0018】
次に前記主変速機3の前後進切換機構4aは、ハウジング41に単純遊星歯車組42が配置され、この単純遊星歯車組42はサンギヤ42sと、プラネタリギヤ42pと、リングギヤ42rとから構成され、前記入力軸3aがハウジング41の中心を回転自在に貫通してリングギヤ42rと結合し、またサンギヤ42sには無段変速機構部4bの入力軸7aと結合している。
【0019】
リングギヤ42rとサンギヤ42sとは前進クラッチ43を介して互いに選択的に連結し、またプラネタリギヤ42pのキャリア42cは後進ブレーキ44を介してハウジング41と選択的に連結する。
【0020】
これら前進クラッチ43と後進ブレーキ44とは、前記高速段用クラッチ24と同じように油圧により作動し、油圧が作用すると前進クラッチ43が締結され、後進ブレーキ44が解放されているときには、入力軸3aの回転がそのままサンギヤ42sに伝達され、同一方向に回転する。これに対して、前進クラッチ43が解放され、後進ブレーキ44が油圧により締結しているときは、プラネタリギヤ42pの公転が阻止され、その位置で自転するために、リングギヤ42rの回転がプラネタリギヤ42pを介してサンギヤ42sに伝達され、サンギヤ42sは入力軸3sとは逆方向に(減速して)回転する。
【0021】
このようにして、変速レンジ位置がDレンジと、Rレンジ位置とにおいて、前進クラッチ43と後進ブレーキ44の締結を切換制御することで動力伝達状態となり、サンギヤ42sを介して無段変速機構部4bの入力軸7aに正回転、または逆回転が伝達されるのである。
【0022】
また、変速レンジ位置がP、Nレンジ位置のときには、前進クラッチ43と後進ブレーキ44とを共に解放することにより、リングギヤ42rが回転してもプラネタリギヤ42pが自由に公転するのみで、サンギヤ42sにトルクが伝達されず、入力軸3aの回転が無段変速機構部4bの入力軸7aに伝達されるのが防止され、主変速機3はいわゆる中立状態となる。
【0023】
無段変速機構部4bは、2つのトロイダル伝動ユニット5と6とが同軸的にかつ背中合わせに配置される。これらトロイダル伝動ユニット5と6は、それぞれ入力ディスク7と出力ディスク8と、これらの間に挟み込まれた一対のパワーローラ9とを備え、入力ディスク7の回転がパワーローラ9を介して出力ディスク8に伝達され、その伝達比がパワーローラ9の傾きに応じて無段階に変化する。
【0024】
2つの入力ディスク7は互いに主軸10により結合し、また出力ディスク8は主軸10と同軸に配した中空出力軸11により互いに結合する。中空出力軸11には出力歯車12が設けられ、この出力歯車12はカウンタ軸13のカウンタ歯車13と噛み合い、カウンタ軸13の回転は、出力歯車組15を介して主軸10と同軸的に配置した出力軸16に伝達され、この回転が車両の図示しない駆動軸に伝達されるのである。
【0025】
変速に際しては、パワーローラ9の回転軸線が入力、出力ディスク7、8の回転軸線と交差する中立位置から、紙面の上下方向にパワーローラ9を支持する図示しないトラニオンを変位させると、パワーローラ9が首振り運動してその傾きが変化し、これにより入力ディスク7から出力ディスク8に伝達される回転比、すなわち変速比が連続的に変化する。
【0026】
なお、パワーローラ9を支持するトラニオンの移動についても油圧を制御して行われるようになっている。
【0027】
前記副変速機2における高速段選択クラッチ24の締結、解除の制御、前後進切換機構4aの前進クラッチ43及び後進ブレーキ44の締結、解除の制御、及び無段変速機構部4bの変速制御については、前記各油圧を制御するための図示しないコントロールバルブ群を収装したコントロールバルブボディ31に対する制御信号が変速コントローラ32から出力されることで制御される。
【0028】
この制御のために変速コントローラ32には、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ33、エンジンスロットル開度(TVO)を検出するスロットルセンサ34、アクセルペダルの解放時にオンとなってエンジンアイドル運転状態をを検出するアイドルスイッチ35、ブレーキペダルの踏み込み時にオンとなり制動状態を検出するブレーキスイッチ36、主変速機3の出力軸16の回転を車速(VSP)に換算して出力する車速センサ37からの各信号が入力する。
【0029】
自動変速機の発進制御について説明すると、発進に際して変速コントローラ32は、副変速機2は高速段選択クラッチ24の解放により低速段の選択状態にしておき、変速レンジ位置がDレンジであるならば、前後進切換機構4の前進クラッチ43及び後進ブレーキ44を共に解放させていた中立状態から、発進用摩擦要素としての前進クラッチ43を締結することにより、またRレンジにあるならば、後進ブレーキ44を締結することにより、それぞれ前進または後退発進を行わせる。
【0030】
具体的に前進走行する場合につき運転条件毎に詳しく説明する。
【0031】
a)Dレンジでも、アクセルペダルが踏み込まれておらず、アイドルスイッチ35がオンであり、かつブレーキペダルが踏み込まれてブレーキスイッチ36がオンの制動状態の場合
▲1▼車速センサ37が検出する車速が5Km/h未満の停車状態ならば、前進クラッチ43を解放して中立状態を保つ。
【0032】
▲2▼車速が5Km/h〜15Km/hの範囲ならば、前進クラッチ43をクラッチのロストストロークが完了した状態、つまり締結開始直前状態にする。
【0033】
▲3▼車速が15Km/h以上ならば、前進クラッチ43を完全に締結し、このとき副変速機2が低速段状態にあることから、自動変速機をDレンジ、ロー側変速比での通常の動力伝達が可能な状態とする。
【0034】
b)Dレンジで、ブレーキペダルは離れているが(ブレーキスイッチ36はオフ)、アクセルペダルが踏み込まれていない、したがってアイドルスイッチ35がオンの場合
▲1▼車速センサ37の検出する車速が5Km/h未満の停車状態では、前進クラッチ43をクラッチのロストストロークを完了した状態である、締結開始直前状態にする。
【0035】
▲2▼車速が5Km/h〜15Km/hの範囲ならば、前進クラッチ43を締結開始直前状態から締結を徐々に進行させる滑り締結制御を行う。
【0036】
▲3▼車速が15Km/h以上ならば前進クラッチ43を完全締結状態にし、自動変速機をDレンジ、ロー側変速比での通常の動力伝達が可能な状態とする。
【0037】
c)Dレンジで、アクセルペダルの踏み込みを行い、このためアイドルスイッチ35はオフであるが、ブレーキペダルが踏まれている制動状態の場合
▲1▼車速が5Km/h未満の停車状態では、前進クラッチ43の締結を徐々に進行させる滑り制御を行う。
【0038】
▲2▼車速が5Km/h〜15Km/hの範囲ならば、前進クラッチ43を滑り締結からさらに締結を進行させる。
【0039】
▲3▼車速が15Km/h以上のときは、前進クラッチ43を完全に締結し、自動変速機をDレンジ、ロー側変速比での通常の動力伝達が可能な状態とする。
【0040】
d)Dレンジで、アクセルペダルの踏み込みを行い、したがってアイドルスイッチ35がオフであり、かつブレーキペダルを解放し、ブレーキスイッチ36がオフの非制動状態の場合
▲1▼車速が5Km/h未満の停車状態から前進クラッチ43の締結を徐々に進行させる滑り締結制御を行う。
【0041】
▲2▼車速が5Km/h以上の範囲では、前進クラッチ43を完全締結状態に維持し、自動変速機をDレンジ、ロー側変速比での通常の動力伝達可能な状態とする。
【0042】
このようにして、前進走行時にはアクセルペダル、ブレーキペダルの踏み込み状態に応じて前進クラッチ43の締結がさまざな状態に制御され、これにより運転条件に対応しての前進走行が可能となる。
【0043】
また、変速レンジ位置がN、Pレンジならば、アクセルペダル、ブレーキペダルの操作状態に関係なく、発進クラッチ43と後進ブレーキ44を共に完全解放状態にして自動変速機を中立状態に維持する。
【0044】
なお、運転中に副変速機2を低速段から高速段へ、またはその逆方向に切り換えるときには、この切換タイミング合わせて主変速機3の無段変速機構部4bの変速比を変化させるのであり、例えば低速段から高速段に切換た瞬間に無段変速比をロー側に切り換えることで、自動変速機としての、トータルの変速比が切換前後で変化しないようにしている。
【0045】
このようにして、前進または後退の発進時に、副変速機20を低速段選択状態にしておき、前後進切換機構4の前進クラッチ43または後進ブレーキ44を上記したように締結制御することにより、発進を可能としているので、トルクコンバータを用いずに発進動作が行え、また電磁クラッチを用いる場合に生じる動力性能の低下などの問題も生じない。
【0046】
本発明はこのような自動変速機において、とくに副変速機2において低速段が選択されているときは、このときのギヤ比(例えばギヤが2.4以上となることもある)が大きいために、主変速機3への入力トルクが非常に大きくなることから、一部の運転領域においてエンジン発生トルクを的確に制限して、自動変速機に過大な伝達トルクが作用しないようにすることで、トルク伝達部材の強度を不必要に高めなくても、残りの大半の運転領域での動力性能が悪化するのを回避できるようにするものである。
【0047】
図2はトルク制御機構をブロック図として示す。
【0048】
図において、1はエンジン、2は副変速機、3は前後進切換機構4aと無段変速機構部4bとからなる主変速機であり、エンジン1の出力トルクを制御するために、エンジントルクコントローラ101が設けられる。
【0049】
このエンジントルクコントローラ101は、副変速機2が低速段を選択しているときに一部の運転領域においてエンジントルクを制限するためのもので、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ103、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ33からの信号が入力し、さらに副変速機2において低速段が選択されていることを検出する低速段検出スイッチ104からの信号も入力する。
【0050】
そして、エンジントルクコントローラ101は後述するように、一部のアクセル開度の大領域にあって、トルク制限装置106にトルク制限信号を出力し、エンジン出力トルクを制限するもので、エンジン出力トルクの制限は、例えば、電制スロットルバルブのアクセル開度に対する開度特性を、許容トルクを越えない範囲で滑らかに変化するように変更したり、スロットル開度特性は変化させることなく、点火時期を適正点火時期よりも遅角制御してエンジン発生トルクを低減したり、さらにはエンジンの一部気筒に対する燃料の供給を停止して部分気筒運転を行ったりして実現する。
【0051】
図3はエンジントルクコントローラ101で実行される制御の内容を示すフローチャートであり、このルーチンは一定の時間毎に繰り返し実行される。
【0052】
ステップS1では副変速機2が低速段の選択状態かどうかを低速段検出スイッチ104からの信号に基づいて判断し、もし低速段が選択されているときには、ステップS2以降に進み、また低速段が選択されていないときは、トルク制限をする必要が無いため、ステップS5に進んで低減トルクTred=0として、エンジン出力に対するトルク低減補正は行わない。
【0053】
低速段が選択されているときは、ステップS2で低減トルクTredをアクセル開度、エンジン回転数、許容上限トルクに基づいて算出する。
【0054】
これは、エンジンのスロットル開度と回転数とに基づいて決まる通常のエンジントルクTeから、例えば図4のマップにしたがって設定された許容上限トルクTを差し引くことにより算出される。
【0055】
図4の場合、エンジン回転数とアクセル開度APO(ただし、全閉を0/8、全開を8/8として、その間を8等分に均等に分割している)とから、電制スロットルバルブの開度TVOを算出するマップであり、この場合、アクセル開度が7/8と8/8の領域において、エンジン回転数が中から高回転数のときに、スロットル開度が全開値とはならず、例えば、アクセル開度6/8のときと同じスロットル開度値に制限されている。
【0056】
そして低減トルクTredは、通常のエンジントルクTeと、この許容上限トルクTとから次のようにして求められる。
【0057】
Tred=Te−T…(1)
ただし、Tred≧0で有り、もし負の場合は、Tred=0とする。したがって、図4の場合には、アクセル開度6/8以下のときは、低減トルクは負の値となるため、これらの運転領域では、実質的にはトルク低減補正は行われないことになる。
【0058】
また、許容上限トルクについては、図5のように、アクセル開度に対するスロットル開度の開度特性のゲインを変更することにより設定することもできる。
【0059】
図の場合、実線で示すアクセル開度APOとスロットル開度TVOの関係は、トルク制限が実施されない、副変速機2が高速段を選択しているときのものであり、これに対して、点線で示すアクセル開度APOとスロットル開度TVOの関係は、低速段が選択されているときのものであり、主変速機3への入力トルクが相対的に減少する高速段に比較して、相対関係の変化ゲインが小さくなり、このためアクセル開度に対してスロットル開度が相対的に小さく、かつ最大トルクがこの例では、高速段選択時(通常時)の5/8に制限されるようになっている。
【0060】
なお、図の場合、実線と点線でそれぞれ3づつの特性が示されているが、これはそれぞれ▲1▼に比較して、▲2▼、▲3▼の特性は、アクセル開度に対してスロットル開度の変化を順次、鈍感にした場合で、スロットル開度の開き具合が緩やかに変化するようになっている。
【0061】
この場合の低減トルクTredは、通常のエンジントルクTeと、通常の最大エンジントルクTemaxと、許容上限トルクTとから、次のようにして算出する。
【0062】
Tred=Te×(Temax−T)/Temax…(2)
ついで、ステップS3ではエンジンに発生させる必要トルクTreqを、通常のエンジントルクTeから上記低減トルクTredを差し引いて算出する。
【0063】
すなわち、必要トルクTreqは、
Treq=Te−Tred…(3)
となる。
【0064】
このようにして必要トルクTreqを算出したならば、ステップS4に進んでこの必要トルクTreqをエンジン1が発生するように、トルク制限装置106によりエンジン出力を調整する。
【0065】
次に図6を参照しながら、全体的な作用について説明する。
【0066】
図6のタイムチャートでは、横軸が時間軸であり、縦軸にはそれぞれ、上から順に車速、アクセル開度、電制スロットル開度、エンジン回転数、エンジントルク、前進クラッチの締結状態、副変速機ギヤ比、主変速機ギヤ(変速)比を表し、実線が本発明の特性、点線が本発明の制御を実行しないときの特性を示している。
【0067】
副変速機2が低速段が選択されている状態で、例えば、アクセルペダルをいっぱいに踏み込んで(アクセル全開)発進する場合、前後進切換機構4の前進クラッチ43が滑り制御から完全締結へとつながれていく一方、アクセル全開に対して、スロットル開度は全開にならず、上記のようにして制限を受け、エンジン発生トルクが制限される。
【0068】
つまり、副変速機2の低速段が選択されているときに、アクセル開度とエンジン回転数と、そのときに決まる許容上限トルクとから、通常エンジントルクよりも減少させる低減トルク値が設定され、エンジントルクは、この低減トルクを差し引いた必要トルクを発生するように制限される。このため、エンジントルクは低速段での限界トルクを越えることがなく、自動変速機を構成する主変速機3のトルク伝達部材に過大なトルクが作用することが阻止される。
【0069】
これに対して、点線で示すように、トルク制限がかからない場合には、低速段で許容される限界トルクを越えることになり、自動変速機の耐久性などを損なうことになる。
【0070】
なお、図7と図8は、エンジントルクを制限するときのエンジントルク特性を示すものであり、図7は図4により限界トルクにより強制的に制限した場合、図8は図5によりアクセル開度に対するゲインを下げて限界トルク以下に制限した場合をそれぞれ示している。なお、図中の点線で示す特性はトルク制限を行わない通常(すなわち、副変速機2の高速段選択時)のエンジントルク特性を示している。
【0071】
図7の場合には、アクセル開度が大きくなり、限界トルクを越える部分でエンジン発生トルクを一律に制限しているので、アクセル開度がそれほど大きくない領域では、トルク制限がかからず、通常のエンジントルクと同じになる。
【0072】
これに対して、図8の場合には、アクセル開度に対してのスロットル開度のゲインを相対的に下げるため、アクセル開度の中、小開度域でも、相対的にトルク制限が行われ、このため限界トルク付近でのトルクの急激な変化を抑制でき、滑らかに変化するトルク特性となる。
【0073】
副変速機2が低速段から高速段に切換わると、主変速機3の変速比がロー側に切り換わり、自動変速機の入力回転と出力回転の比率であるトータルの変速比は切換の前後で変動することがなく、同一に維持される。なお、無段変速機構部4bでは変速比の切換が瞬時になしうるので、副変速機2の切換に伴う主変速機3の変速比の切換時にショックを発生することもない。
【0074】
副変速機2の高速段が選択されると、主変速機3(自動変速機)の入力トルクは相対的に減少するため、高速段でのエンジントルクは低速段の場合よりも大きくすることが可能となり、このため、エンジンのトルク制限も解除される。
【0075】
このようにして、本実施形態によれば、副変速機2が低速段を選択しているときで主変速機3の入力トルクが相対的に大きくなる場合に、エンジン発生トルクを制限するので、主変速機2に過大な入力トルクが作用することがなく、したがってごく一部の運転領域で要求されるだけのために主変速機2のトルク伝達部材の強度を必要以上に高めなくてもよく、自動変速機の動力性能を悪化させることなく、主変速機3の軽量化、小型化などが図れる。
【0076】
また、このことは、副変速機2の低速段での走行中に高負荷に移行しても、高速段へ切り換える必要がなく、逆に高速段での走行中にアクセルペダルが急に踏み込まれ、急加速が要求された場合に、低速段へのシフトダウンが可能で、所望の加速特性が得られ、動力性能を損なうことがない。
【0077】
トルク制限を行う場合、副変速機2の低速段に限定して、つまり変速比が一定の状態においてアクセル開度とエンジン回転数に基づいて制限トルクを算出するので、正確でかつ簡単にトルクを求めることができ、このため、安全性を加味して主変速機3のトルク伝達部材を不必要に過剰強度に設定しなくてもよい。
【0078】
本発明は上記した実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、当業者がなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す構成図である。
【図2】トルク制限機構のブロック図である。
【図3】制御動作を示すフローチャートである。
【図4】制御マップの一例を示す特性図である。
【図5】同じく他の例を示す特性図である。
【図6】全体の制御動作を示すタイムチャートである。
【図7】図4に対応するエンジントルク制限特性例を示す図である。
【図8】図5に対応するエンジントルク制限特性例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 副変速機
3 主変速機
4a 前後進切換機構
4b 無段変速機構部
32 変速コントローラ
33 エンジン回転数センサ
34 スロットル開度センサ
35 アイドルスイッチ
36 ブレーキスイッチ
37 車速センサ
43 前進クラッチ
44 後進ブレーキ
101 エンジントルクコントローラ
103 アクセル開度センサ
104 低速段検出スイッチ
106 トルク制限装置

Claims (4)

  1. エンジンの出力が伝達される低速段と高速段とに切換可能な副変速機と、
    この副変速機の後段に配置され、回転を伝達しない中立状態と伝達する動力伝達状態に切換えられると共に、変速比が可変である主変速機と、
    少なくとも前記副変速機が低速段の状態で前記主変速機を中立状態から動力伝達状
    態へと切換えつつ発進制御を行う変速制御手段と、
    前記副変速機が低速段にあるかどうかを判定する手段と、
    アクセル開度とエンジン回転数とに基づいて算出される前記エンジンの発生トルクを前記高速段に比較して前記低速段で低くなるように制限するトルク制御手段とを備え、
    前記副変速機の低速段が選択されているときに、前記トルク制御手段の算出トルクに応じてエンジン出力を制限し、
    前記副変速機の変速段の切り替え前後で、前記副変速機の入力回転と前記主変速機の出力回転との比率が同一となるように前記主変速機の変速比を制御する
    こと特徴とする自動変速機の入力トルク制御装置。
  2. 前記トルク制御手段は、
    アクセル開度に対する限界トルク付近での発生トルクを制限するものである
    請求項1に記載の自動変速機の入力トルク制御装置。
  3. 前記トルク制御手段は、
    アクセル開度に対する発生トルクのゲインを相対的に下げるものである
    請求項1に記載の自動変速機の入力トルク制御装置。
  4. 前記主変速機は、
    前進と後退の回転方向の切換及び中立状態と動力伝達状態との切換が行える前後進切換機構と、
    変速比を無段階に変化させられる無段変速機構部と
    から構成されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動変速機の入力トルク制御装置。
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