JP4066016B2 - 覆工セグメントの製造方法、トンネル覆工方法及びトンネル覆工体の補修方法 - Google Patents

覆工セグメントの製造方法、トンネル覆工方法及びトンネル覆工体の補修方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルの内周を覆工する際に用いられる覆工セグメントの製造方法、トンネル覆工方法及びトンネル覆工体の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、下水道トンネル等のシールド工法において、一次トンネル覆工材であるセグメント本体の内面に、合成樹脂製や合金製等のライニング材を予め一体成形した合成セグメントを使用し、トンネル内面のトンネル覆工を行うことにより、下水道トンネルの二次トンネル覆工に要求されるセグメント本体の防食性、内面の平滑性等を確保する工法が既に知られている(例えば、特許文献1の第1図参照)。この工法によれば、ライニング材が、下水から発生する強酸(硫化水素)によるセグメントの劣化や腐食等を防ぐため、通常のコンクリート巻き立てによる二次トンネル覆工を省略することができる上、塗装や吹付による防食材の塗布作業や防食シート材の配置作業を省略することができる。
【0003】
このような中、十分な水密性や耐候性だけでなく、特に酸やアルカリによる腐蝕に対して高い耐食性を有するとともに、長期的に安定な支保工として、合成樹脂製の合成セグメントが着目されている。合成樹脂製の合成セグメントは、合成樹脂製のライニング材を、セグメント本体の内周面に一体成形したものであり、ライニング材におけるセグメント本体との接合面には、複数のスタッドが固着されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−280092号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、合成セグメントにおける合成樹脂製のライニング材は、スタッドがセグメント本体に埋設されることにより物理的に結合されているに過ぎず、ライニング材とセグメント本体とは、化学的に接合されているとは限らない。このため、接合部に間隙が生じやすく、間隙に水が侵入するとライニング材とセグメント本体との間は水で満たされた状態となる。このような場合にも、スタッドが抜け落ちることなく、ライニング材の剛性、及びスタッドの強度が十分に大きく、ライニング材が剥がれ落ちることなく変形を最小に抑えることができる状態であれば問題はないが、地下深度の深い場所に下水道トンネルが構築される場合等では、大きな地下水圧の作用を受けることとなるため、より止水性の高い構成が要求される。
【0006】
また、合成樹脂製の合成セグメントを用いてトンネル内面のトンネル覆工を行う際には、隣り合う合成セグメントの目地部に対して、トンネルの内側を流れる下水に対する止水性能や防食性能が求められるとともに、トンネルの外方より作用する外水圧に対する高い止水性能が求められる。その一方で、ライニング材の破損、脱落等が生じた際には、補修・復旧の容易性が求められており、簡略な構成でかつ安全性の高く、合理的な合成樹脂製の合成セグメントの覆工方法が求められている。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、簡略な構成で安全性が高く、補修・復旧の容易な覆工セグメントの製造方法、トンネル覆工方法及びトンネル覆工体の補修方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の覆工セグメントの製造方法は、トンネル掘削後にトンネル覆工体としてリング状に組み立てられ、鉄筋コンクリート造によりなるセグメント本体、及び該セグメント本体の内弧面全面を覆うようにセグメント本体と一体的に貼り付けられて、裏面に千鳥配置もしくは並列配置された複数のスタッドが固着された樹脂製のライニング材とにより構成される覆工セグメントの製造方法であって、前記ライニング材の裏面に特殊表面改質を施した後、該ライニング材の裏面に第1の接着補助剤を塗布する第1の工程と、裏面を上方に向けた状態で該ライニング材をセグメント型枠内に設置し、その上部に鉄筋、及び継ぎ手金具を配設する第2の工程と、前記セグメント型枠内にコンクリートを打設する第3の工程とよりなり、かつ、第1の工程における前記特殊表面改質、及び前記第1の接着補助剤の塗布が、前記ライニング材の裏面で、水みちが発生しやすい部位にのみ施されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の覆工セグメントの製造方法は、第1の工程における前記ライニング材の裏面に施す特殊表面改質には、プラズマ処理により、酸素含有官能基をライニング材の裏面に導入する物理的処理方法を用いることを特徴としている。
【00010】
請求項3に記載の覆工セグメントの製造方法は、第1の工程における前記ライニング材の裏面に施す特殊表面改質には、カップリング剤を含むコーティング剤の塗布により、有機官能基をライニング材の裏面に結合させる化学的処理方法を用いることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の覆工セグメントの製造方法は、第1の工程における前記ライニング材の裏面に塗布する第1の接着補助剤には、遅延硬化型のプライマ剤が用いられることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載のトンネル覆工方法は、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された覆工セグメントを用いたトンネル覆工方法であって、トンネル掘進後に前記覆工セグメントをリング状に組み立ててトンネル内面を覆工した後、覆工セグメント間の目地部を形成する隣り合うセグメント本体の接合端面間に、第1の充填材を充填する第1の工程と、隣り合うセグメント本体の接合端面間に、目地部と同一の平面形状に成形された前記ライニング材よりなる帯材を、隣り合うセグメントに内張りされた前記ライニング材と表面が連続するように嵌合する第2の工程と、隣り合うセグメントに内張りされた前記ライニング材と前記帯材とを接合手段を介して接合する第3の工程とよりなり、かつ、第1の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面に、第1の接着剤を塗布した後、前記第1の充填材を充填することを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載のトンネル覆工方法は、第1の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面に、第1の接着剤に代わり第2の接着補助剤を塗布するとともに、第1の充填材にはパテ材を用いることを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載のトンネル覆工方法は、第2の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面間に嵌合する前記帯材の裏面に対し、覆工セグメントにおけるライニング材の裏面に施されている特殊表面改質と同様の特殊表面改質を施すことを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載のトンネル覆工体の補修方法は、請求項5から7のいずれか1項に記載のトンネル覆工方法により構築されたトンネル覆工体の補修方法であって、覆工セグメントのセグメント本体から破損したライニング材を撤去し、セグメント本体の内弧面に残された前記ライニング材のスタッドを取り除く第1の工程と、前記セグメント本体の機能補修、及び断面補修を行うとともに、前記スタッドの撤去によりセグメント本体の内弧面に生じる複数の凹部に第2の充填材を充填し、内弧面を平滑面とした上で第2の接着補助剤を塗布する第2の工程と、新たなライニング材として、前記覆工セグメントを構成するライニング材と同様の材料及び外形状であるものの、裏面が平滑なものを用い、第2の接着剤を介してセグメント本体の内弧面に固着する第3の工程と、請求項5から7のいずれか1項に記載のトンネル覆工方法における第1〜第3の工程により覆工セグメント間に目地部を形成する第4の工程とよりなることを特徴としている。
【0018】
請求項9に記載のトンネル覆工体の補修方法は、第1の工程で、前記セグメント本体の内弧面に残された前記ライニング材のスタッドを取り除いた後に生じる複数の凹部を拡径するとともに、第3の工程で、新たなライニング材として、裏面が平滑なものに代えて、前記覆工セグメントを構成していたライニング材と同様のスタッドを有するものを用いるとともに、その裏面に、前記覆工セグメントにおけるライニング材の裏面に施されている特殊表面改質と同様の特殊表面改質を施した後、前記第2の接着剤を介して、前記第2の接着補助剤が塗布された前記セグメント本体の内弧面に固着することを特徴としている。
【0019】
請求項10に記載のトンネル覆工体の補修方法は、第3の工程で、前記新たなライニング材を、前記第2の接着剤を介してセグメント本体の内弧面に固着する際に、トンネル内断面より大きい径を有する袋体に空気を充填し、該袋体により新たなライニング材をセグメント本体の内弧面に押圧することを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の覆工セグメント、トンネル覆工方法及びトンネル覆工体の補修方法を図1から図10に示す。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、覆工セグメント1は、セグメント本体2と、ライニング材3とにより構成される。セグメント本体2は、鉄筋コンクリートによりなり、覆工すべきトンネルの内径に応じた曲率半径でわん曲する断面が円弧形の厚肉の方形板状に成形されている。また、ライニング材3は、前記セグメント本体2の内弧面2aに一体的に設けられるもので、その外形はセグメント本体2と同様に断面が円弧形で、薄肉の方形板状に成形されている。
該ライニング材3は、熱可塑性や難接着性といった性質を有する、高密度・低密度ポリエチレンや、高密度ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂により成形されており、厚さ2〜4mm程度のシート状で、その裏面3a全面には、シート部と同様の材料よりなる突起状に成形された複数のスタッド3bが、並列もしくは千鳥状に配置されて一体的に成形されている。
これらライニング材3とセグメント本体2との接合は、接合面に隙間を与えることなく強固に接合させることを目的に、セグメント本体2との接合面となるライニング材3の裏面3aに第1の接着補助剤4を塗布した上で、セグメント本体2の内弧面2aに接合させる。
【0022】
ところで、図2に示すような、前記覆工セグメント1をトンネルの周方向、及び延長方向に連接することにより構築されるトンネル覆工体7には、地下水圧として0.3MPaを想定すると、覆工セグメント1のライニング材3に対して30tonf/m にも達する巨大な水力が作用することが一般に知られており、止水対策を講じていてもトンネル覆工体7の内方に漏水が生じることもある。このため、覆工セグメント1は、前記ライニング材3とセグメント本体2との接合構成や、トンネル覆工体7を形成する際の隣り合う覆工セグメント1との目地部8の構成に、各々十分な止水性能を確保するものの、ライニング材3に外水圧による異常な変形(ふくらみ)やスタッドの抜け等が生じた際のメンテナンスを容易に行えることを目的に、ライニング材3の取り外しや付け替えが容易な構成とすることも必要条件である。
したがって、前記ライニング材3とセグメント本体2との接合構造は、ライニング材3とセグメント本体2とを強固に接合させる機能と、上述のような変状に対応して容易に補修し復旧し得る機能の双方を有する必要がある
そこで本発明の製造方法においては、上記のような覆工セグメント1を製造するに当たり、セグメント本体2に対するライニング材3の接合を、仮にライニング材3が剥離した際には水道(みずみち:漏水の通り道)が発生しやすい部位のみ、具体的には図4に示すように、ライニング材3の裏面3aで、外周縁部3c、センターホールや継ぎ手等切り欠きの縁部3d等、を接着することで行うものとし、しかもその接着を特殊表面改質5及び第1の接着補助剤4を介して行うこととしている。
以下、そのような本発明の製造方法の第1の実施の形態を図4を参照して説明するが、それに先立ち、参考までにセグメント本体2とライニング材3とを全面的に接着する場合について図1〜図3を参照して説明しておく(便宜的にその参考例も第1の実施の形態として説明する)。
【0023】
第1の工程として、複数のスタッド3bが一体成形されているライニング材3の裏面3aの全面に、第1の接着補助剤4としてプライマ剤を塗布する。ここで用いるプライマ剤は、一般に金属や高分子材料などの素材に対して塗装や接着剤塗布を行う際に、塗料や接着剤の付着力を確保するため、素材の表面に塗布するものである。本実施の形態では、前記をライニング材3の裏面3aに塗布した後でも、覆工セグメント1の製造に係る作業時間を十分に確保できることを目的に、コンクリートの打ち継ぎ用として一般に用いられているエポキシ樹脂系プライマ等の、硬化の遅い遅延硬化型のプライマ剤を第1の接着補助剤4として用いている。
なお、前記第1の接着補助剤4は、必ずしも遅延硬化型のプライマ剤にこだわるものではなく、前記ライニング材3の裏面3aとセグメント本体2の内弧面2との接合強度を高めることのできる材料であれば、いずれを用いてもよい。
【0024】
また、ポリオレフィン系樹脂は、一般に接着力の弱いことが知られており、他の物質と接着させる場合には、ポリオレフィン系樹脂の接着面に極性基を導入する等の特殊表面改質5を施した上で、用いられるものである。したがって、ライニング材3の裏面3aに第1の接着補助剤4を塗布する前に、ライニング材3の裏面3a全面に特殊表面改質5を施しておく。本実施の形態では、特殊表面改質5として、物理的処理方法を採用しており、ライニング材3の裏面3aの全面に、一般に知られているプラズマ処理を施し、酸素基を導入するものである。なお、プラズマ処理を行う際の放電処理としては、ダイレクトフレームプラズマ、コロナ放電、グロー放電等、いずれを用いてもよい。
【0025】
第2の工程として、図3(a)に示すように、前述する特殊表面改質5を施した上で、前記第1の接着補助剤4が裏面3aの全面に塗布されたライニング材3を、裏面3aを上方に向けた状態で覆工セグメント1を製造するためのセグメント型枠6の内方に配置する。この後、図3(b)に示すように、前記ライニング材3の上部に、セグメント本体2を構成する鉄筋2cを配置するとともに、覆工セグメント1に必要な継ぎ手部、及びセンターホール等の図示しない金具を、セグメント型枠6の内方における所定位置に配置する。なお、前記鉄筋2cは、あらかじめ鉄筋かごに組み立てた上でセグメント型枠6の内方に配置してもよい。この後、コンクリートを打設して硬化後に脱型し所定期間の養生を行うことにより、覆工セグメント1が製造される。
【0026】
上述する製造方法による覆工セグメント1の構成によれば、ライニング材3の裏面3a全面に一様に固着されたスタッド3bが、セグメント本体2の内弧面2a全面に埋設されるとともに、裏面3a全面が前記第1の接着補助剤4を介して、セグメント本体2の内弧面2aに隙間なく面どうしで接合される構成となるため、接合強度が高くライニング材3をセグメント本体2に安定的に固着することが可能となるとともに、外水圧に対する抵抗性を向上させることが可能となる。また、前記ライニング材3とセグメント本体2との接合面に止水性能が保持でき、ライニング材3の裏面3aに生じやすい水みちの発生を防止することが可能となる。
さらに、前記ライニング材3とセグメント本体2との接合に用いる前記第1の接着補助剤4には、遅延硬化型のプライマ剤が用いられることから、ライニング材3の裏面3aへの塗布後、数日程度硬化することがないため、前記鉄筋2cの配置等コンクリート打設前の作業時間を十分確保することが可能となる。
【0027】
なお、本発明の第1の実施の形態では、第1の工程において、特殊表面改質5に物理的処理方法を用いたが、これに代わり化学的処理方法を用いてもよい。特殊表面改質5として採用する化学的処理方法は、一般に知られているプライマ剤の一種であるカップリング剤を含むコーティング剤を、前記ライニング材3の裏面3aに塗布して乾燥あるいは脱溶媒させて、厚さ1〜10μm程度の皮膜を形成させることにより、裏面3aに有機官能基を結合させるものである。
これらカップリング剤を含むコーティング剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の変性樹脂で、カルボニル基、カルボン酸基、エステル基、水酸基、アミノ基等を含むものを揮発性有機溶媒に溶かした溶液など、ポリオレフィン系樹脂よりなる前記ライニング材3の裏面3aに特殊表面改質5を施すことの可能なものであれば、いずれのコーティング剤を用いてもよい。
【0028】
以上で説明した参考例のようにライニング材3とセグメント本体2とを全面的に接着した場合には、上述したように必ずしも補修を容易に行えないことから、上述したように本発明においては、ライニング材3とセグメント本体2との接合に際し、第1の工程において、図4に示すようにライニング材3の裏面3aで、外周縁部3c、センターホールや継ぎ手等切り欠きの縁部3d等の水道の発生しやすい部位にのみ、特殊表面改質5及びプライマ剤4の塗布を行う。
【0029】
このような構成により、前記ライニング材3の裏面3aへの特殊表面改質5及び第1の接着補助剤4の塗布の作業を大幅に減少することができ、施工性の向上や工期短縮等の効果を挙げながらも、接合強度が高くライニング材3をセグメント本体2に安定的に固着することができるとともに、外水圧に対する抵抗性を向上させることができ、ライニング材3の裏面3aに生じやすい水みちの発生を防止することが可能なる。
【0030】
上述するようなポリオレフィン系樹脂のライニング材3と、鉄筋コンクリート造のセグメント本体2よりなる覆工セグメント1は、ライニング材3の裏面3aに一体成形されたスタッド3bが、セグメント本体2の内方に埋設されるとともに、ライニング材3の裏面3aとセグメント本体2の内弧面2aとが第1の接着補助剤4を介して面どうしで接合するため、通常時には強固で安定的に接合されている。
しかし、覆工セグメント1に想定外の異常な外水圧が作用すると、ポリオレフィン系樹脂よりなるスタッド3bは、鉄筋コンクリート造よりなるセグメント本体2に比べて強度が小さいため、ライニング材3の裏面3aに一体成形されたスタッド3bは、全体がセグメント本体2より抜け出すか、もしくはライニング材3の裏面3aからスタッド3bが引きちぎられることとなる。このように、ポリオレフィン系樹脂のライニング材3を用いた覆工セグメント1は、通常時には十分な止水性能を確保するものの、セグメント本体2に対するライニング材3の接着が外周縁部3c、センターホールや継ぎ手等切り欠きの縁部3d等の水道の発生しやすい部位にのみ限定されていることから、漏水が生じた際にはライニング材3をセグメント本体2から剥がしやすく、したがって後述するような補修や復旧、メンテナンスを容易に行える構成を有するものである。
【0031】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態で示したような、ポリオレフィン系樹脂によるライニング材3があらかじめセグメント本体2に一体化されている覆工セグメント1は、二次覆工が施されることなく、トンネル掘削後の内周面にリング状に組み立てられて、トンネル覆工体7が形成される。このとき、隣り合う覆工セグメント1間に形成される目地部8や、センターホール及び継ぎ手形成部等の切り欠き部は、セグメント本体2の断面に欠け等の損傷が生じる、または図示しない継ぎ手等の金具とセグメント本体2との間に微細な隙間が生じる等の不具合が生じやすい。このため、覆工セグメント1の内方から外方に作用する止水性能や防食性能、及び覆工セグメント1の外方から内方に作用する外水圧に対する止水性能を十分に確保した構成とする必要がある。
【0032】
しかし、トンネル覆工体7は、トンネル供用後にライニング材3に損傷が生じたり、セグメント本体2との剥離等が生じた場合、あるいはセグメント本体2が損傷した場合等、覆工セグメント1に不具合が生じた場合には、修復作業を実施するために、ライニング材3をセグメント本体2から分離する必要が生じる。このため、隣り合う覆工セグメント1間に形成される目地部8において、隣り合うセグメント本体2間の接合構造は、接合性能が強固かつ安定した構成が求められるものの、隣り合うライニング材3間の接合構造は、取り壊し及び復旧が容易な簡略な構成構成が必要条件とされる。このようなライニング材3の着脱を考慮した接合構造を有するトンネル覆工体7のトンネル覆工方法を、図5(a)に示すような目地部8を例にとり、以下に詳述する。
なお、本発明のトンネル覆工方法においては、目地部8の施工に当たり、図6に示すように第1の接着剤12や、図7に示すように第2の接着補助剤13を用いることを必須とするが、参考例としてそれらを用いない場合について図5を参照して説明しておく(便宜的にその参考例も第2の実施の形態として説明する)。
【0033】
第1の工程として、図5(b)に示すように、トンネル掘進後に覆工セグメント1をリング状に組み立ててトンネル覆工体7を構築し、その後、隣り合う覆工セグメント1間の目地部8を形成するセグメント本体2の接合端面2bの間に、第1の充填材9を充填する。ここで用いる第1の充填材9には、本実施の形態においてポリマーモルタルが用いられており、その表面は平滑に均しておく。
【0034】
第2の工程として、あらかじめ該目地部8に嵌合する帯材10を製作しておく。該帯材10は、前記ライニング材3と同様の材料よりなり、前記目地部8に嵌合する平面形状を有しているとともに、裏面には前記ライニング材3と同様のスタッド10aが一体成形されている。このような帯材10を、第1の充填材9の硬化前に裏面に設けられた該スタッド10aが第1の充填材9に埋設されるとともに、表面が隣り合う覆工セグメント1のライニング材3と連続する平面を形成するように、目地部8に嵌合する。
【0035】
第3の工程として、前記帯材10と覆工セグメント1のライニング材3との間に生じる間隙を充填するように、ライニング材3と同様の材料であるポリオレフィン系材料よりなる溶接材11により、溶接機を用いて帯材10の両側部に前記ライニング材3を各々溶接する。なお、帯材10とその両側部に位置するライニング材3との接合手段は、これにこだわるものではなく、同じくポリオレフィン系の2液室温硬化型ポリオレフィン用接着剤、変性オレフィン系ホットメルト接着剤等、ポリオレフィン系のシート材を、前記目地部8を挟んで隣り合う覆工セグメント1のライニング材3に跨るように貼り付けることにより、これらを接着してもよい。
【0036】
上述する構成により、トンネル覆工体7の目地部8には、該目地部8に設けられた帯材10と該帯材10の両側部に配置される覆工セグメント1のライニング材3とが溶接や接着剤等の接合手段により接合されるため、簡略な構成で、トンネルの内方から外方への止水性能が確保でき、水密性の高い構成とすることが可能となる。また、接合手段に溶接を採用する場合には、溶接材11にポリオレフィン系の材料を用いているため、トンネル覆工体7の目地部8にも防食性能を確保することが可能となる。
【0037】
しかし、目地部8に第1の充填材9を単に充填するのみでは必ずしも充分な付着強度が確保できないことから、本発明のトンネル覆工方法では、図6に示すように、第1の工程において、隣り合う覆工セグメント1間の目地部8を形成するセグメント本体2の接合端面2bの間に、前記第1の充填材9を充填する際に、あらかじめ接合端面2bに遅延硬化型の第1の接着剤12を塗布する。これにより、前記第1の充填材9とセグメント本体2との付着強度がより強固になるとともに、第1の充填材9には一般に用いられるモルタルを使用することができ、簡略でコストを削減することも可能となる。
【0038】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態で示した前記トンネル覆工方法の他の事例を以下に示す。
図7(a)に示すように、第1の工程において、隣り合う覆工セグメント1間の目地部8を形成するセグメント本体2の接合端面2bに、第1の接着剤12に代えて、第2の接着補助剤13を塗布する。ここで用いる第2の接着補助剤13としては、短時間で硬化が可能であり、また現場で過酸化物触媒などの危険物を取り扱うことによる危険や可使時間のトラブルがないものとして一般に知られている湿気硬化型ウレタンプライマ、エポキシプライマ等が考えられるが、コンクリート内部に浸透しやすく、浸透した部分も速やかに硬化が可能なものであれば、何れを用いても良い。
【0039】
次に、第2の接着補助剤13が塗布されたセグメント本体2の接合端面2b間に、パテ材14を充填し、天端面を平滑に均しておく。ここで用いるパテ材14は、間隙部を充填する際に一般に用いられるもので、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等に無機系のフィラーを添加したもの、またはコンクリート構造物の充填材として一般に用いられている樹脂系パテ材等が適しているが、防水性及び防食性を有し、短時間での硬化が可能であり、現場で過酸化物触媒などの危険物を取り扱うことによる危険や可使時間のトラブルがないものであれば何れを用いても良い。
【0040】
この後、第2の実施の形態における第2、第3の工程と同様の工程により、帯材10を目地部8に嵌合させて、該目地部8と両側部に位置する隣り合う覆工セグメント1のライニング材3とが連続する平面を形成し、これらにライニング材3と同様の素材であるポリオレフィン系材料の溶接材11を塗布し、溶接機を用いて帯材10の両側部に前記ライニング材3を各々溶接する。なお、接合手段は溶接に限るものではなく、第2の実施の形態と同様に、ポリオレフィン系の2液室温硬化型ポリオレフィン用接着剤、変性オレフィン系ホットメルト接着剤等、ポリオレフィン系のシート材を、前記目地部8を挟んで隣り合う覆工セグメント1のライニング材3に跨るように貼り付けることにより、これらを接着してもよい。
【0041】
上述する構成により、前記目地部8の表面には前記ライニング材3と同素材の帯材10が配され、両側部の前記ライニング材3と接合されることから、目地部8が強固に構成されて欠損しづらく、外水圧に対して十分な強度を持つ構成とすることが可能となる。
【0042】
なお、図7(b)に示すように第2の工程において、前記帯材10は、本発明の第1の実施の形態で示した覆工セグメントの製造方法におけるライニング材3の裏面3aへの特殊表面改質5を、前記帯材10の裏面及びスタッド10aに対して施した上で、目地部8に嵌合してもよい。これにより、前記目地部8が一層強固に構成されて欠損しづらく、外水圧に対して十分な強度を持つ構成とすることが可能となる。
【0043】
本発明の第2及び第3の実施の形態に示すようなトンネル覆工方法は、前記目地部8の表面に前記ライニング材3と同素材の帯材10が配され、両側部の前記ライニング材3と接合されることから、通常時には目地部8が強固に構成されて欠損しづらく、外水圧に対して十分な強度を持つ構成となる。
一方で、その構成が簡略であるため、所定の覆工セグメント1におけるセグメント本体2に不具合が生じた場合の、ライニング材3を取り外すための目地部8の破壊を容易に行えるとともに、新たなライニング材16、17を内張りする際の目地部8の復旧も容易に行えるものである。
【0044】
(第4の実施の形態)
前述した第1の実施の形態で示したポリオレフィン系樹脂をライニング材3に適用した覆工セグメント1を、第2または第3の実施の形態で示したトンネル覆工方法により構築したトンネル覆工体7の補修方法を示す。
【0045】
第1の工程として、図8(a)に示すように、トンネル覆工体7の内方で、前記ライニング材3またはセグメント本体2に不具合が生じている箇所の目地部8を破壊し、セグメント本体2よりライニング材3を完全に取り外す。このとき、図8(b)に示すように、セグメント本体2の内弧面2aには、ライニング材3のスタッド3bが抜けて凹部2dが生じていたり、ライニング材3の裏面3aからちぎれたスタッド3bが埋まっている。このため、まずセグメント本体2の内弧面2aに埋設されているスタッド3bを、ドリル等の装置を用いて取り除く。
【0046】
第2の工程として、図9(a)に示すように、セグメント本体2における地下水圧が作用したと思われるクラックや水の侵入路を特定して、エポキシ樹脂等の第2の充填材15を充填し防水加工を施す、もしくはセグメント本体2に欠けや断面損傷がある場合には、断面修復を行う。さらに、セグメント本体2の内弧面2aで、先に述べたスタッド3bが抜けてできた凹部2dや、ドリル等によりスタッド3bが取り除かれてできた凹部2dにも前記第2の充填材15を充填して、内弧面2aを平滑化する。この後、図9(b)に示すように、セグメント本体2の内弧面2aに第2の接着補助剤13を全面に塗布する。なお、第2の接着補助剤13は、本発明の第3の実施の形態で示したトンネル覆工体の構築方法に用いたものと同様のものである(図7参照)
【0047】
第3の工程として、図9(c)に示すように、新たなライニング材16の裏面にエポキシ樹脂系等の第2の接着剤18を配し、前記セグメント本体2に押しつけるようにして固着する。なお、ここで用いる新たなライニング材16は、裏面にスタッドが一体成形されていない平滑面を有するものを用いている。この後、本発明の第2または第3の実施の形態に示したトンネル覆工方法と同様の方法により目地部8を形成することにより、トンネル覆工体7が修復される。
【0048】
上述する構成によれば、ライニング材16の取り外し及び復旧が容易で、トンネル覆工体7の修復作業を速やかに実施することが可能となる。
【0049】
(第5の実施の形態)
第4の実施の形態で示したトンネル覆工体7の補修方法の他の事例を示す。
【0050】
第1の工程として、トンネル覆工体7の内方で、前記ライニング材3またはセグメント本体2に不具合が生じている箇所の目地部8を破壊し、セグメント本体2よりライニング材3を完全に取り外す。この後、まずセグメント本体2の内弧面2aに埋設されているスタッド3bを、ドリル等の装置を用いて取り除くとともに、スタッド3bが抜けてできた凹部2d全てをドリル等の装置を用いて拡径する。
【0051】
第2の工程として、セグメント本体2における地下水圧が作用したと思われるクラックや水の侵入路を特定して、エポキシ樹脂等の第2の充填材15を充填し防水加工を施す、もしくはセグメント本体2に欠けや断面損傷がある場合には、断面修復を行う。この後、セグメント本体2の内弧面2aに第2の接着補助剤13を全面に塗布する。
【0052】
第3の工程として、図10に示すように、覆工セグメント1を構成していたライニング材3と同様に裏面全体にスタッド17bを有する新たなライニング材17を用いて、その裏面に対して、本発明の第1の実施の形態で示した覆工セグメントの製造方法におけるライニング材3の裏面3aへの特殊表面改質5を施した上で、エポキシ樹脂系等の第2の接着剤18を塗布する。この後、前記セグメント本体2の凹部2dにスタッド17aを嵌合させるようにして、新たなライニング材17を前記セグメント本体2に押しつけ固着する。この後、本発明の第2または第3の実施の形態に示したトンネル覆工方法と同様の方法により目地部8を形成することにより、トンネル覆工体7が修復される。
【0053】
上述する本発明の第3または第4の実施の形態によれば、ライニング材16の取り外し及び復旧が容易で、トンネル覆工体7の修復作業を速やかに実施することが可能となる。
【0054】
なお、裏面3aに遅延硬化型の接着剤が用いられているライニング材3が破損し、セグメント本体2に欠損や欠落が生じた場合には、プライマーモルタル等の充填材を用いて断面修復を行う。
【0055】
また、本発明の第4及び第5の実施の形態に示したトンネル覆工体7の補修方法において、第3の工程で新たなライニング材16をセグメント本体2に貼り付ける際には、トンネル覆工体7の内周面を押圧することが可能な径を有するゴム製等の伸縮自在の袋体19を用いて、ライニング材16の表面からライニング材3をセグメント本体2に押し付けることにより、これらを一体化させればよい。該袋体19は、図11(a)に示すようにトンネルの断面全面を同時に押圧できる構成、または図11(b)に示すように、トンネル断面の一部を押圧できる構成等、新たなライニング材16をセグメント本体2に貼り付けたい位置に所望の押圧力を作用させることができるものであれば、何れの形状を用いても良い。
【0056】
上述する構成によれば、ライニング材3をセグメント本体2に対して所定の押圧力をもって容易に接合させることが可能となる。また、ライニング材3全体がセグメント本体2に押し当てられるため、ずれが生じることなく確実に接合させることが可能となる。
【0057】
【発明の効果】
請求項1、2、3に記載の覆工セグメントの製造方法によれば、トンネル掘削後にトンネル覆工体としてリング状に組み立てられ、鉄筋コンクリート造によりなるセグメント本体、及び該セグメント本体の内弧面全面を覆うようにセグメント本体と一体的に貼り付けられて、裏面に千鳥配置もしくは並列配置された複数のスタッドが固着された樹脂製のライニング材とにより構成される覆工セグメントの製造方法であって、前記ライニング材の裏面に特殊表面改質を施した後、裏面全面に第1の接着補助剤を塗布する第1の工程と、裏面を上方に向けた状態で該ライニング材をセグメント型枠内に設置し、その上部に鉄筋、及び継ぎ手金具を配設する第2の工程と、前記セグメント型枠内にコンクリートを打設する第3の工程とよりなり、第1の工程における前記ライニング材の裏面に施す特殊表面改質には、プラズマ処理により、酸素含有官能基をライニング材の裏面に導入する物理的処理方法を用いるか、もしくは、第1の工程における前記ライニング材の裏面に施す特殊表面改質には、カップリング剤を含むコーティング剤の塗布により、有機官能基をライニング材の裏面に結合させる化学的処理方法を用いることから、接合強度が高くライニング材をセグメント本体に安定的に固着することが可能となるとともに、外水圧に対する抵抗性を向上させることが可能となる。
また、前記ライニング材とセグメント本体との接合面に止水性能が保持でき、ライニング材の裏面に生じやすい水みちの発生を防止することが可能なる。
しかも、第1の工程における特殊表面改質、及び第1の接着補助剤の塗布が、前記ライニング材の裏面で、少なくとも水みちが発生しやすい部位のみに施されることから、漏水が生じた際にはライニング材をセグメント本体から剥がしやすく、したがって補修や復旧、メンテナンスを容易に行えることはもとより、前記ライニング材の裏面への特殊表面改質及び第1の接着補助剤の塗布の作業を大幅に減少することができ、施工性の向上や工期短縮等の効果を挙げながらも、接合強度が高くライニング材をセグメント本体に安定的に固着することができるとともに、外水圧に対する抵抗性を向上させることができ、ライニング材の裏面に生じやすい水みちの発生を防止することが可能である。
【0058】
請求項4に記載の覆工セグメントの製造方法によれば、第1の工程における前記ライニング材の裏面に塗布する第1の接着補助剤には、遅延硬化型のプライマ剤が用いられることから、ライニング材の裏面への塗布後、数日程度硬化することがないため、前記鉄筋の配置等コンクリート打設前の作業時間を十分確保することが可能となる。
【0060】
請求項5に記載のトンネル覆工方法によれば、請求項1から4のいずれか1項に記載の覆工セグメントを用いたトンネル覆工方法であって、トンネル掘進後に前記覆工セグメントをリング状に組み立ててトンネル内面を覆工した後、覆工セグメント間の目地部を形成する隣り合うセグメント本体の接合端面間に、第1の充填材を充填する第1の工程と、隣り合うセグメント本体の接合端面間に、目地部と同一の平面形状に成形された前記ライニング材よりなる帯材を、隣り合うセグメントに内張りされた前記ライニング材と表面が連続するように嵌合する第2の工程と、隣り合うセグメントに内張りされた前記ライニング材と前記帯材とを接合手段を介して接合する第3の工程とによりなることから、簡略な構成で、トンネルの内方から外方への止水性能が確保でき、水密性の高い構成とすることが可能となる。また、構成が簡略であるため、所定の覆工セグメントにおけるセグメント本体に不具合が生じた場合の、ライニング材を取り外すための目地部の破壊を容易に行えるとともに、新たなライニング材を内張りする際の目地部の復旧も容易に行うことが可能となる。
しかも、第1の工程においては、隣り合うセグメント本体の接合端面に、第1の接着剤を塗布した後、第1の充填材を充填することから、前記第1の充填材とセグメント本体との付着強度がより強固になるとともに、第1の充填材には一般に用いられるモルタルを使用することができ、簡略でコストを削減することも可能となる。
【0062】
請求項6に記載のトンネル覆工方法によれば、第1の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面に、第1の接着剤に代わり第2の接着補助剤を塗布するとともに、第1の充填材にはパテ材を用いることから、目地部が強固に構成されて欠損しづらく、該水圧に対して十分な強度を持つ構成とすることが可能となる。
【0063】
請求項7に記載のトンネル覆工方法によれば、第2の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面間に嵌合する前記帯材の裏面に対し、覆工セグメントにおけるライニング材の裏面に施されている特殊表面改質と同様の特殊表面改質を施すことから、前記目地部が一層強固に構成されて欠損しづらく、該水圧に対して十分な強度を持つ構成とすることが可能となる。
【0064】
請求項8、9に記載のトンネル覆工体の補修方法によれば、請求項5から7のいずれか1項に記載のトンネル覆工方法により構築されたトンネル覆工体の補修方法であって、覆工セグメントのセグメント本体から破損したライニング材を撤去し、セグメント本体の内弧面に残された前記ライニング材のスタッドを取り除く第1の工程と、 前記セグメント本体の機能補修、及び断面補修を行うとともに、前記スタッドの撤去によりセグメント本体の内弧面に生じる複数の凹部に第2の充填材を充填し、内弧面を平滑面とした上で第2の接着補助剤を塗布する第2の工程と、新たなライニング材として、前記覆工セグメントを構成するライニング材と同様の材料及び外形状であるものの、裏面が平滑なものを用い、第2の接着剤を介してセグメント本体の内弧面に固着する第3の工程と、請求項5から7のいずれか1項に記載のトンネル覆工方法における第1〜第3の工程により覆工セグメント間に目地部を形成する第4の工程とよりなる。
もしくは、第1の工程で、前記セグメント本体の内弧面に残された前記ライニング材のスタッドを取り除いた後に生じる複数の凹部を拡径するとともに、第3の工程で、新たなライニング材として、裏面が平滑なものに代えて、前記覆工セグメントを構成していたライニング材と同様のスタッドを有するものを用いるとともに、その裏面に、前記覆工セグメントにおけるライニング材の裏面に施されている特殊表面改質と同様の特殊表面改質を施した後、前記第2の接着剤を介して、前記第2の接着補助剤が塗布された前記セグメント本体の内弧面に固着することから、ライニング材の取り外し及び復旧が容易で、トンネル覆工体の修復作業を速やかに実施することが可能となる。
【0065】
請求項10に記載のトンネル覆工体の補修方法によれば、第3の工程で、前記新たなライニング材を、前記第2の接着剤を介してセグメント本体の内弧面に固着する際に、トンネル内断面より大きい径を有する袋体に空気を充填し、該袋体により新たなライニング材をセグメント本体の内弧面に押圧することから、ライニング材3をセグメント本体2に対して所定の押圧力をもって容易に接合させることが可能となる。また、ライニング材全体がセグメント本体に押し当てられるため、ずれが生じることなく確実に接合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造される覆工セグメントの基本構成を示す図である。
【図2】本発明のトンネル覆工方法により施工されるトンネル覆工体の基本構成を示す図である。
【図3】本発明の製造方法の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明の製造方法の実施の形態を示す図である。
【図5】本発明のトンネル覆工方法により施工されるトンネル覆工体における目地部の基本構成を示す参考図である。
【図6】本発明のトンネル覆工方法の実施の形態を示すもので、トンネル覆工体における目地部の構成を示す図である。
【図7】本発明のトンネル覆工方法の実施の形態を示すもので、トンネル覆工体における目地部の他の構成を示す図である。
【図8】本発明の補修方法の実施の形態を示すもので、トンネル覆工体を補修している状態を示す図である。
【図9】本発明の補修方法の実施の形態を示すもので、トンネル覆工体を補修している状態(続き)を示す図である。
【図10】本発明の補修方法の実施の形態を示すもので、補修されたトンネル覆工体における覆工セグメントを示す図である。
【図11】本発明の補修方法の実施の形態を示すもので、トンネル覆工体を補修している状態を示す図である。
【符号の説明】
1 覆工セグメント
2 セグメント本体
2a 内弧面
2b 接合端面
2c 鉄筋
2d 凹部
3 ライニング材
3a 裏面
3b スタッド
3c 外周縁部
3d 縁部
4 第1の接着補助剤
特殊表面改質
6 セグメント型枠
7 トンネル覆工体
8 目地部
9 第1の充填材
10 帯材
10a スタッド
11 溶接材
12 第1の接着剤
13 第2の接着補助剤
14 パテ材
15 第2の充填材
16 新たなライニング材
17 新たなライニング材
17a スタッド
18 第2の接着剤
19 袋体

Claims (10)

  1. トンネル掘削後にトンネル覆工体としてリング状に組み立てられ、鉄筋コンクリート造によりなるセグメント本体、及び該セグメント本体の内弧面全面を覆うようにセグメント本体と一体的に貼り付けられて、裏面に千鳥配置もしくは並列配置された複数のスタッドが固着された樹脂製のライニング材とにより構成される覆工セグメントの製造方法であって、
    前記ライニング材の裏面に特殊表面改質を施した後、該ライニング材の裏面に第1の接着補助剤を塗布する第1の工程と、
    裏面を上方に向けた状態で該ライニング材をセグメント型枠内に設置し、その上部に鉄筋、及び継ぎ手金具を配設する第2の工程と、
    前記セグメント型枠内にコンクリートを打設する第3の工程とよりなり、
    かつ、第1の工程における前記特殊表面改質、及び前記第1の接着補助剤の塗布が、前記ライニング材の裏面で、水みちが発生しやすい部位にのみ施されることを特徴とする覆工セグメントの製造方法。
  2. 請求項1に記載の覆工セグメントの製造方法において、
    第1の工程における前記ライニング材の裏面に施す特殊表面改質には、
    プラズマ処理により、酸素含有官能基をライニング材の裏面に導入する物理的処理方法を用いることを特徴とする覆工セグメントの製造方法。
  3. 請求項1に記載の覆工セグメントの製造方法において、
    第1の工程における前記ライニング材の裏面に施す特殊表面改質には、
    カップリング剤を含むコーティング剤の塗布により、有機官能基をライニング材の裏面に結合させる化学的処理方法を用いることを特徴とする覆工セグメントの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の覆工セグメントの製造方法において、
    第1の工程における前記ライニング材の裏面に塗布する第1の接着補助剤には、遅延硬化型のプライマ剤が用いられることを特徴とする覆工セグメントの製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された覆工セグメントを用いたトンネル覆工方法であって、
    トンネル掘進後に前記覆工セグメントをリング状に組み立ててトンネル内面を覆工した後、
    覆工セグメント間の目地部を形成する隣り合うセグメント本体の接合端面間に、第1の充填材を充填する第1の工程と、
    隣り合うセグメント本体の接合端面間に、目地部と同一の平面形状に成形された前記ライニング材よりなる帯材を、隣り合うセグメントに内張りされた前記ライニング材と表面が連続するように嵌合する第2の工程と、
    隣り合うセグメントに内張りされた前記ライニング材と前記帯材とを接合手段を介して接合する第3の工程とよりなり、
    かつ、第1の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面に、第1の接着剤を塗布した後、前記第1の充填材を充填することを特徴とするトンネル覆工方法。
  6. 請求項5に記載のトンネル覆工方法において、
    第1の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面に、第1の接着剤に代わり第2の接着補助剤を塗布するとともに、第1の充填材にはパテ材を用いることを特徴とするトンネル覆工方法。
  7. 請求項5または6に記載のトンネル覆工方法において、
    第2の工程において、隣り合うセグメント本体の接合端面間に嵌合する前記帯材の裏面に対し、覆工セグメントにおけるライニング材の裏面に施されている特殊表面改質と同様の特殊表面改質を施すことを特徴とするトンネル覆工方法。
  8. 請求項5から7のいずれか1項に記載のトンネル覆工方法により構築されたトンネル覆工体の補修方法であって、
    覆工セグメントのセグメント本体から破損したライニング材を撤去し、セグメント本体の内弧面に残された前記ライニング材のスタッドを取り除く第1の工程と、
    前記セグメント本体の機能補修、及び断面補修を行うとともに、前記スタッドの撤去によりセグメント本体の内弧面に生じる複数の凹部に第2の充填材を充填し、内弧面を平滑面とした上で第2の接着補助剤を塗布する第2の工程と、
    新たなライニング材として、前記覆工セグメントを構成するライニング材と同様の材料及び外形状であるものの、裏面が平滑なものを用い、第2の接着剤を介してセグメント本体の内弧面に固着する第3の工程と、
    請求項5から7のいずれか1項に記載のトンネル覆工方法における第1〜第3の工程により覆工セグメント間に目地部を形成する第4の工程とよりなることを特徴とするトンネル覆工体の補修方法。
  9. 請求項8に記載のトンネル覆工体の補修方法において、
    第1の工程で、前記セグメント本体の内弧面に残された前記ライニング材のスタッドを取り除いた後に生じる複数の凹部を拡径するとともに、
    第3の工程で、新たなライニング材として、裏面が平滑なものに代えて、前記覆工セグメントを構成していたライニング材と同様のスタッドを有するものを用いるとともに、その裏面に、前記覆工セグメントにおけるライニング材の裏面に施されている特殊表面改質と同様の特殊表面改質を施した後、前記第2の接着剤を介して、前記第2の接着補助剤が塗布された前記セグメント本体の内弧面に固着することを特徴とするトンネル覆工体の補修方法。
  10. 請求項8または9に記載のトンネル覆工体の補修方法において、
    第3の工程で、前記新たなライニング材を、前記第2の接着剤を介してセグメント本体の内弧面に固着する際に、トンネル内断面より大きい径を有する袋体に空気を充填し、該袋体により新たなライニング材をセグメント本体の内弧面に押圧することを特徴とするトンネル覆工体の補修方法。
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