JP5650017B2 - シールドトンネル用セグメント - Google Patents
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Description
ただし、コンクリートは、耐酸性や耐薬品性などに劣り、侵食されやすい材料であり、たとえば、下水道施設などにおいては、硫黄酸化細菌によって生成された硫酸や酸性雨などに対して、浸食や剥がれ落ちなどを防止する必要がある。
このため、セグメントの表面に樹脂コーティングを行ったり、あるいは、樹脂シートで被覆を行うことにより、コンクリートを保護する様々な技術が開発されてきた。
上記の内面被覆材は、樹脂被覆板と、その裏面に一体化されたコンクリート付着体から構成され、コンクリート付着体は、樹脂材をもって網目状に形成され、該網目状を構成する樹脂材間の隙間に型枠内に打設されるコンクリートが充填されることによって該コンクリートと付着する樹脂ネットにより構成されている。
また、樹脂シートや樹脂コーティングを有するセグメントであっても、生産性などに優れ、販売価格が廉価であるといった経済性なども要望されていた。
また、特許文献5の技術は、本発明に用いられる防食シートの製造方法に関連する技術ではあるものの、上記の要望に応えることはできず、また、セグメントにそのまま適用することが困難である。
前記シートには、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂を用いることが好ましい。
図1は、本発明の第一実施形態にかかるシールドトンネル用セグメントを説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はA部の拡大図を示しており、(c)はB−B矢視拡大図を示している。
また、図2は、本発明の第一実施形態にかかるシールドトンネル用セグメントに使用される防食シートを説明するための概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)は平面図を示しており、(c)は、C−C断面図を示している。
図1、2において、本実施形態のシールドトンネル用セグメント1(適宜、セグメント1と略称する。)は、コンクリート製の板状体2と、この板状体2の内面を覆う防食シート3とを備え、コンクリートの部分に埋設する複数の筒状突起321を有し、かつ、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなる防食シート3が、板状体2の内面を覆った構成としてある。
この防食シート3は、後述するように、板状体2の内面を覆い、コンクリートの表面を被覆し保護する。
なお、本実施形態のセグメント1は、板状体2の内面が防食シート3によって覆われるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、板状体2の外面などをも防食シート3によって覆う構成としてもよい。
板状体2は、円弧状に湾曲した板状のコンクリートを有しており、通常、機械的強度を向上させる鉄筋(図示せず)をも有している。なお、板状体2の形状や厚さなどは、特に限定されるものではない。
防食シート3は、バックシート31と、複数の筒状突起321とを有している。
バックシート31は、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、本実施形態では、耐酸性及び耐アルカリ性を有する樹脂として、ポリプロピレンが使用されている。
なお、本実施形態では、ポリプロピレンを使用したが、これに限定されるものではなく、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂であればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリカーボネイトなどが挙げられ、また、これらの混合物を用いることもできる。また、耐酸性には、耐強酸性が含まれ、耐アルカリ性には、耐強アルカリ性が含まれるものとする。
さらに、バックシート31の色は、通常、白色、黒色、緑色、青色、黄色などであるが、特に限定されるものではない。
また、バックシート31の表面は、通常、滑らかであるが、これに限定されるものではなく、たとえば、必要に応じて、滑りにくいように粗面としてもよい。
筒状突起321は、バックシート31に形成され、板状体2のコンクリートに埋設されアンカーとして機能し、板状体2に対して剥がれないように、防食シート3を定着させる。
また、筒状突起321は、たとえば、棒状の突起(図示せず)と比べると、コンクリートとの接触面積が広くなり、定着力を増大させることができるとともに、その筒状の形状が、補強リブとして機能し、防食シート3の機械的強度(たとえば、曲げ強度など)を向上させることができる。
このキャップシート32は、通常、厚さt2が0.数mm〜数mmであり、使用条件などに応じて、適宜、設定される。なお、本実施形態では、厚さt2を約1mmとしてある。
また、キャップシート32の樹脂として、通常、バックシート31と同じ樹脂が使用されるが、これに限定されるものではなく、バックシート31と異なる樹脂(たとえば、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有しない樹脂)を使用してもよい。
さらに、キャップシート32の色は、通常、黒色などであるが、特に限定されるものではない。
なお、本実施形態では、筒状突起321を千鳥状に配設してあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、マトリックス状(碁盤目状)に配設してもよい。
このようにすると、筒状突起321が高密度に配設された状態となり、板状体2への定着力及び防食シート3の機械的強度を大幅に向上させることができる。
この理由は、ピッチPを外径D以下とすると、筒状突起321どうしが当接、あるいは、重なった状態となり、これにより、適度の湾曲性が失われる、あるいは、後述する気泡ボードの技術を応用することができず、生産性などを向上できなくなるからである。また、ピッチPを外径Dの五倍以上とすると、コンクリートへの定着力や防食シート3の機械的強度を十分向上させることができなくなるからである。
ここで、好ましくは、上記楕円形を、変形前の円形(外径Dを有する円形)に対して、a>1.1D、かつ、b<0.9Dとするとよい。このようにすると、板状体2の周方向においては、外径Dを有する円形の外側に突き出た部分が、この部分の下方(筒状突起321の付け根側)に位置するコンクリートを覆い、かつ、板状体2の軸心方向においては、外径Dを有する円形の内側に突き出た部分が、この部分の下方(筒状突起321の付け根側)に位置するコンクリートを覆う構造となる。すなわち、楕円形に変形した筒状突起321は、アンカーとしての機能が向上し、コンクリートへの定着力をさらに向上させることができる。
また、複数の筒状突起321の形状や大きさは、ほぼ同じとしてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、異なる二以上の形状の筒状突起や大きさの異なる筒状突起を交互に配設してもよい。
ここで、防食シート3の製造方法について説明する。
防食シート3の製造方法は、キャップシート成形工程、融着積層工程、及び、筒状突起形成工程を有している。
すなわち、押出機に取り付けられたフラットダイから、材料樹脂を押し出すことによって、溶融状態にある樹脂シートを成形ロールに連続して供給する。そして、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある樹脂シートを接触させて中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、これによってキャップシートを成形する。
なお、吸引孔のそれぞれは、真空ポンプにつながれており、吸引孔内を真空吸引することによって、キャップ状突起が真空成形される。
すなわち、キャップシートに成形されたキャップ状突起に空気を封入するバックシートは、押出機に取り付けられたフラットダイから、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給される。そして、溶融状態で供給されてきたバックシートは、熱融着によってキャップシートに積層される。
これにより、特許文献5に記載されているように、キャップ状突起内に空気が封入され、独立した多数の気泡を有する二層の気泡ボードが、連続的に、かつ、生産性に優れた状態で製造される。
また、図2に示すキャップシート32は、キャップ状突起の上部(頭頂部とも呼ばれる。)を開口させ、筒状突起321が形成された状態を示している。
なお、本実施形態では、機械加工によって、キャップ状突起の上部を開口させ、筒状突起321を形成するが、これに限定されるものではない。たとえば、二層の気泡ボードのキャップ状突起の上部を、熱変形させることによって開口させ、筒状突起321を形成してもよい。この際、筒状突起321と対応する位置に凸部の配設された加熱ローラなどが用いられ、凸部が、キャップ状突起の上部に接近すると、上部を溶かすことにより、あたかも穴をあけるように、筒状突起321が形成される。
このようにすると、連続的に筒状突起321を形成することができるので、生産性などを向上させることができる。
次に、セグメント1の製造方法などについて説明する。
セグメント1の製造には、通常、特許文献1に記載されているように、上面が円弧状に湾曲した型枠底板と、該型枠底板上面の周方向端部より立ち上げた型枠端板と、型枠底板の軸方向端縁より立ち上げた型枠側板とからなるセグメント成形用型枠(図示せず)が使用される。
まず、防食シート3が、型枠底板上に載置され、この状態で、セグメント成形用型枠にコンクリートが打設される。これにより、筒状突起321の内部や、筒状突起321どうしの間の空間にコンクリートが充填され、充填されたコンクリートが固まることにより、筒状突起321がコンクリートに埋設されコンクリートと係合する。これにより、防食シート3は、板状体2に対して、優れた定着力を発揮する。
次に、セグメント1をセグメント成形用型枠から離型することにより、セグメント1が製造される。
このようにすると、防食シート3がいびつに変形することなく、型枠底板とほぼ対応する形状に湾曲されるので、容易に、かつ、位置ずれなどが発生しない状態で、防食シート3を型枠底板上に載置することができ、作業性や品質を向上させることができる。
なお、上記の湾曲は、防食シート3を加熱することにより、容易に行うことができる。
図3は、本発明の第一実施形態にかかるシールドトンネル用セグメントの使用状態を説明するための概略拡大断面図を示している。
図3に示すように、複数のセグメント1は、周方向及び軸心方向に並設され、シールドトンネル10を形成する。また、各セグメント1は、筒状突起321の内部にコンクリートが充填され、かつ、筒状突起321と筒状突起321との間にコンクリートが充填され、気泡溜まりが発生しない状態で、板状体2のコンクリートの表面を被覆し保護する(図1(b)参照)。このとき、筒状突起321は、図1(c)に示すような変形した状態となっている。
上記接合用シート30は、融着などによりバックシート31の両端部と接合され、これにより、防食シート3の端部どうしが強固に接合される。
このようにすると、防食シート3のつなぎ目においても、優れたシール性を発揮した状態で板状体2を覆うことができ、コンクリートの防食をより確実に行うことができる。
また、接合用シート30は、各セグメント1の防食シート3どうしを接合しているが、このようなケースに限定されるものではなく、たとえば、セグメント1が大型の場合、セグメント1に取り付けられる複数の防食シート3どうしを接合してもよい。
また、セグメント1は、防食シート3のつなぎ目においても、接合用シート30が板状体2を覆うことができ、コンクリートの防食をより確実に行うことができる。
また、防食シート3が、生産性に優れた状態で製造されるので、価格が廉価であるといった経済性を大幅に向上させることができる。
また、防食シート3は、耐酸性及び耐アルカリ性を有するポリプロピレが使用されているので、コンクリートの表面を好適に保護し、防食効果を発揮することができる。
図4は、本発明の第二実施形態にかかるシールドトンネル用セグメントを説明するための概略図であり、(a)は防食シートの平面図を示しており、(b)は、D−D断面図を示している。
図4において、本実施形態のセグメントは、上述した第一実施形態のセグメント1と比べると、防食シート3aが、コンクリートからの抜けを防止するための筒状突起321に、変形部322をあらかじめ形成してある点などで相違する。なお、本実施形態の他の構成は、セグメント1とほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このようにすると、変形部322をコンクリートに埋設することによって、コンクリートからの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。
また、複数の変形用型11は、平板状の基部(図示せず)に配設されているが、これに限定されるものではなく、たとえば、複数の変形用型11を回転するローラに配設し、防食シート3aを移動させながら変形部322を形成してもよい。これにより、生産性などを向上させることができる。
図5は、本発明の第三実施形態にかかるシールドトンネル用セグメントを説明するための概略図であり、(a)は防食シートの平面図を示しており、(b)は、E−E断面図を示している。
図5において、本実施形態のセグメントは、第一実施形態のセグメント1と比べると、防食シート3bが、筒状突起321に、スリット323が形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、セグメント1とほぼ同様としてある。
したがって、図5において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このようにすると、防食シート3bは、一対のスリット323が上下方向となるように並設され、コンクリートを打設する際、筒状突起321内における気泡溜まりの発生を効果的に低減することができる。
また、スリット323の形状は、上記に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、筒状突起321の先端部であって、スリット323の近傍の部分をも溶かし、先端部が付け根側より断面積が大きくなる形状としてもよい。これにより、スリット323とともに、変形部322をも形成でき、生産性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、スリット用カッター12によってスリット323を形成しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、反時計回り方向に回転する、板厚約2mmの円板状の加熱されたスリット用型によって、筒状突起321が溶かされることによりスリット323を形成してもよい。
図6は、本発明の第四実施形態にかかるシールドトンネル用セグメントを説明するための概略図であり、(a)は防食シートの平面図を示しており、(b)は、F−F断面図を示している。
図6において、本実施形態のセグメントは、第一実施形態のセグメント1と比べると、筒状突起321に、変形部322(第二実施形態における列方向の二箇所に形成された変形部322)、及び、スリット323(第三実施形態のスリット323)が形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、セグメント1とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図2、4、5と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
例えば、各実施形態のセグメントは、筒状突起321が、端部が開口された形状(すなわち、頭頂部を有しない形状)としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、頭頂部を有し、密閉された中空部を有する構成としてもよい。これにより、断熱性に優れたセグメントを提供することができる。
さらに、このセグメントは、筒状突起321の中段部に対向する凹部を有する構成としてもよい。これにより、コンクリートからの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。さらに、対向する凹部は、キャップシート成形工程及び融着積層工程を経た二層の気泡ボードに対して容易に形成でき、生産性や経済性を向上させることができる。
たとえば、図7(a)に示すように、ほぼ截頭円錐形状の筒状突起321aを有する構成としてもよい。このようにすると、内径dが大きく(たとえば、1mを超えるほど大きく)、防食シート3を筒状に形成しても、筒状突起321の先端部が楕円形に変形しない場合であっても、縮径された筒状突起321aの先端側の部分が、この部分の下方(筒状突起321aの付け根側)に位置するコンクリートを覆う構造となる。すなわち、截頭円錐形状の筒状突起321aは、アンカーとしての機能が向上し、コンクリートへの定着力をさらに向上させることができる。
また、図7(b)に示すように、ほぼ截頭円錐形状を逆さにした形状の筒状突起321bを有する構成としてもよい。なお、筒状突起321bは、キャップシート32のキャップ状突起の頭頂部をライナーシート33に融着することにより形成される。このようにすると、拡径された筒状突起321bの先端側の部分が、この部分の下方(筒状突起321bの付け根側)に位置するコンクリートを覆う構造となる。すなわち、截頭円錐形状を逆さにした形状の筒状突起321bは、アンカーとしての機能が向上し、コンクリートへの定着力をさらに向上させることができる。
また、筒状突起321は、変形部322やスリット323が形成されると、本来の筒状からかけ離れた形状となる場合も想定されるが、かかる形状をも含むものとする。
2 板状体
3、3a、3b、3c 防食シート
10 シールドトンネル
11 変形用型
12 スリット用カッター
30 接合用シート
31 バックシート
32 キャップシート
33 ライナーシート
321、321a、321b 筒状突起
322 変形部
323 スリット
Claims (4)
- コンクリート製の円弧状に湾曲した板状体からなるシールドトンネル用セグメントにおいて、
この板状体の表面を、前記コンクリートの部分に埋設される複数の筒状突起を有するシートによって覆い、
かつ、前記筒状突起が変形部を有し、この変形部が前記コンクリートに埋設されることによって、前記シートの前記板状体からの抜けを防止することを特徴とするシールドトンネル用セグメント。 - 前記シートが、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のシールドトンネル用セグメント。
- 前記シートが、前記コンクリートの打設前に所定の曲率半径で湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドトンネル用セグメント。
- 前記シートの端部どうしが、接合用シートを介して接合されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドトンネル用セグメント。
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