JP4065647B2 - 透明水性基剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の界面活性剤2種、油溶性成分、及び水を含む水性基剤において、長期間安定な透明水性基剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から透明な水性基剤は、その透明な外観を付加価値とする化粧料を初め、食品、医薬品等様々な物が提案されていた。なかでも、ポリアクリル酸を必須成分とする透明化粧料の提案として特開平06−256136号公報、ショ糖脂肪酸エステル、特定の界面活性剤、油性成分、及び水を必須成分とする透明な可溶化組成物の提案として特開平6−262060号公報、シリコ−ン界面活性剤を必須成分とする透明エマルションの提案として特開平9−175933号公報等の提案があった。
【0003】
透明水性基剤としては、通常非イオン性界面活性剤単独にて、ごく少量の油溶性成分を可溶化する方法が常法であったが、更に多くの油溶性成分を可溶化させるためには、界面活性剤量を増やす必要があった為、感触の悪化、原価の増大等の不利益を生じる場合があった。そのため比較的少量の非イオン性界面活性剤にて油溶性成分を可溶化させる方法が検討されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は油溶性成分を含み、長期間安定な透明水性基剤を提供する事をその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の非イオン性界面活性剤2種(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエ−ト)の組み合わせが、それぞれを単独でもちいる場合よりも、極めて多くの油溶性成分を水系中に可溶化させ、長期間安定であることを見出し本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、次の成分(a)、(b)、(c)、(d)、
(a)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(b)ポリオキシエチレンソルビタントリオレエ−ト
(c)油溶性成分
(d)水
を含有する透明水性基剤に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について説明する。
本発明に用いられる成分(a)のポリオキシエチレン(以下POEと略す)硬化ヒマシ油は、通常に汎用されている非イオン性の界面活性剤で、酸化エチレンの付加モル数の違いによりいくつかの種類が存在するが、本発明においては、特にその酸化エチレン付加モル数を限定するものではなく、通常20〜100モルの酸化エチレンを付加させたものであればよい。
【0008】
本発明に用いられる成分(a)のPOE硬化ヒマシ油は、特に限定されるものではないが、透明水性基剤中0.01〜10質量%(以下質量%は%と略す)が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1%であれば、可溶化力に優れる。
【0009】
本発明に用いられる成分(b)のPOEソルビタントリオレエ−トは、通常に汎用されている非イオン性の界面活性剤で、酸化エチレンの付加モル数の違いによりいくつかの種類が存在するが、本発明においては、特にその酸化エチレン付加モル数を限定するものではなく、通常5〜30モルの酸化エチレンを付加させたものであればよく、好ましくは20モル付加したものであれば、可溶化力に優れる。
【0010】
本発明に用いられる成分(b)のPOEソルビタントリオレエ−トは、特に限定されるものではないが、透明水性基剤中0.01〜10%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1%であれば、可溶化力に優れる。
【0011】
本発明に用いられる成分(c)の油溶性成分は、通常油溶性として用いられているものであればよく、特に限定されるものではないが、具体的に例示するのであれば、ビタミンA油、ビタミンAパルミテ−ト、ビタミンAアセテ−ト、リボフラビン、ビタミンCジパルミテ−ト、エルゴカルシフェロ−ル、ビタミンE、ビタミンEアセテ−ト、ビタミンEニコチネ−ト等の油溶性ビタミン類、オリ−ブ油、ホホバ油、シソ油、ブドウ種子油、べにばな油、つばき油、ユ−カリ油等の植物油ならびに油溶性植物エキス、ベ−タカロチン、アスタキサンチン、コレステロ−ル、フィトステロ−ル、セラミド、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、グアイアズレン、ニコチン酸ベンジル、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソ−ル等、およびその他の、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコ−ル類、シリコ−ン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。なかでも、油溶性ビタミン類、ベ−タカロチン、アスタキサンチン、コレステロ−ル、フィトステロ−ル、セラミドは、薬効成分としての機能も有しており好ましい。
【0012】
本発明に用いられる成分(c)の油溶性成分の量は、透明水性基剤が得られれば、特に限定されるものではないが、透明水性基剤中0.1〜5%が好ましく、この範囲であれば、更なる経時安定性を図れる。
【0013】
本発明の透明水性基剤は、前記成分(a)と(b)をそれぞれ単独で用いて可溶化できる油溶性成分の総量よりも、組み合わせて用いた場合に、相加量以上の油溶性成分を可溶化できるという事を見出したものである。さらに成分(a)と(b)の配合比が、(a):(b)=1:4〜4:1の範囲であれば、更なる相乗効果を発揮する。
【0014】
本発明の透明水性基剤には、上記必須成分以外の界面活性剤、ゲル化剤、水溶性高分子(動植物系、微生物系、合成系)、酸化防止剤、pH調整剤、香料、抗菌剤、防腐剤、清涼剤、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、細胞賦活剤、肌あれ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、紫外線吸収剤等を、本発明の効果を損なわない範囲にて配合することができる。
【0015】
本発明の透明水性基剤の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の乳化、混合ができる装置にて、必要であれば、加熱、冷却等の工程を経て製造されるものである。具体的に製法を例示するのであれば、成分(a)、(b)、(c)を均一に混合した後、(d)に添加する方法等を例示する事ができる。
【0016】
本発明の透明水性基剤の適用例としては、特に限定されるものではないが、具体的には、口中清涼剤、腋臭防止剤、育毛・養毛料、浴用剤、殺虫・忌避剤、化粧水、ひげそり用剤、日焼け止め料等の化粧料等が挙げられる。
【0017】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0018】
【表1】
Figure 0004065647
【0019】
(製造方法)
実施例1〜8
POE(60、40、30モル)硬化ヒマシ油およびPOE(20モル)ソルビタントリオレエ−トならびに、後記表1に示した油溶性成分をジプロピレングリコ−ルならびにエチルアルコ−ルに溶解し、これを精製水に加えて透明水性基剤を得た。
【0020】
(製造方法)
比較例1〜6
比較例として、POE(60、40、30モル)硬化ヒマシ油およびPOE(20モル)ソルビタントリオレエ−トをそれぞれ単独で用いた場合、ならびにPOE(20モル)ソルビタントリオレエ−トの代わりに表1に示した非イオン性界面活性剤を用いて透明水性基剤を製造した。
【0021】
(評価および判定方法)
製造直後の透明水性基剤を目視にて外観を評価を行った。また透明ガラス容器に密封し5℃、室温、50℃の暗所にて1ヶ月間静置し、その後の外観評価を行い、以下の基準に従い、判定を行った。またその結果も表1にあわせて示した。
判定基準 判定
・無色透明 ○
・青白色(微濁) △
・白濁/分離 ×
【0022】
以上の結果より、実施例1〜8の透明水性基剤は、比較例1〜6と比べて、透明な外観を有し、経時的にも安定であることがわかった。
【0023】
実施例9:化粧水
(成分) (%)
1.POE(40モル)硬化ヒマシ油 0.5
2.POE(20モル)ソルビタン 0.3
トリオレエ−ト
3.ビタミンAパルミテ−ト 0.2
4.1,3−ブチレングリコ−ル 2.0
5.グリセリン 2.0
6.エチルアルコ−ル 15.0
7.カミツレ抽出液 1.0
8.乳酸ナトリウム 0.2
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.精製水 残量
【0024】
(製造方法)
A.成分1〜6を混合溶解する。
B.成分7〜10を混合溶解する。
C.BにAを加え、化粧水を得た。
【0025】
以上のようにして得られた化粧水は微黄色透明であり、50℃、室温並びに5℃にて1ヶ月保存後も、濁り及び分離することなく安定な化粧水であった。
【0026】
実施例10:浴用剤
(成分) (%)
1.POE(60モル)硬化ヒマシ油 10.0
2.POE(20モル)ソルビタン 5.0
トリオレエ−ト
3.オリ−ブ油 5.0
4.香料 適量
5.グリセリン 10.0
6.尿素 10.0
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 1.5
9.ペパ−ミント抽出液 1.0
10.セ−ジ抽出液 10.0
11.精製水 残量
【0027】
(製造方法)
A.成分1〜5を混合する。
B.成分6〜11を混合する。
C.BにAを加え浴用剤を得た。
【0028】
以上のようにして得られた浴用剤は茶褐色透明であり、50℃、室温並びに5℃にて1ヶ月保存後も、濁り及び分離することなく安定な浴用剤であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の透明水性基剤は、比較的少量のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とポリオキシエチレンソルビタントリオレエ−トの組み合わせにて、油溶性成分を水系中へ、長期間にわたって安定に可溶化できるものである。

Claims (2)

  1. 次の成分(a)、(b)、(c)、(d)、
    (a)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
    (b)ポリオキシエチレンソルビタントリオレエ−ト
    (c)油溶性成分
    (d)水、
    を含有し、成分(c)が成分(d)中に可溶化していることを特徴とする透明水性基剤。
  2. 成分(a)が0.05〜10質量%、成分(b)が0.05〜10質量%、成分(c)が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1記載の透明水性基剤。
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