JP4065085B2 - 地上に立設される長尺の段付き金属製ポール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速道路の照明灯用ポールのような耐久性を要求される箇所に立設する支柱として高い剛性を有して最適な地上に立設される長尺の段付き金属製ポールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地上に立設される長尺の金属製ポールとして代表的なものは、照明灯や各種標識、警報機などを取り付けて道路の路肩などに立設する照明灯用ポールや標識柱であるが、従来の金属製ポールは標準規格で肉厚が約4.5mm程度の鋼材を使用したものが普通に用いられている。
【0003】
ところが、最近では自動車等の交通量が増加しているため、路肩に立設した金属製ポールにかかる振動等の影響によりポールに亀裂が入り、耐久年数が予定よりも短くなってきているという現象が生じている。そこで、振動等の影響があっても亀裂の発生しにくい耐久性に優れた金属製ポールの開発が要求されており、対応策として単純に従来よりも肉厚の厚い鋼材(例えば、肉厚6mmのもの)でポール全体を成形することが検討された。しかしながら、全体的に肉厚の厚い鋼材でポールを成形した場合には、大幅なコストアップに繋がるという問題点があり、またポール重量の増加によって運搬作業や設置作業等がやりにくくなるという問題点もあった。一方、デザイン上の観点から大径の下部ポールに小径の上部ポールを続かせた段付きポールの需要も多数あるが、この段付きポールについても同様の問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、高速道路の照明灯用ポールや標識柱のような耐久性を要求される箇所に立設する支柱として高い剛性を有して最適であり、しかも、生産性に優れていて大幅なコストダウンを図ることができ、更には軽量性に優れていて運搬作業や設置作業等も効率的に行うことができる地上に立設される長尺の段付き金属製ポールを提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、大径の下部ポールに小径の上部ポールが溶接やメカニカルジョイントにより連結された長尺のポール本体からなる地上に立設される長尺の段付き金属製ポールであって、前記下部ポールを、下記(a)〜(d)の構成を有するものとしたことを特徴とする地上に立設される長尺の段付き金属製ポール。
(a)1本の厚肉の金属パイプ母材からスピニング加工されたものである。
(b)基端は前記金属パイプ母材の肉厚を維持させてある。
(c)基端から先端までの外径がほぼ均一で外見上はストレート管である。
(d)内径は、ポール本体の全長に対し、地上からの高さが1/5以下の高さ部分である基管部が、該基管部の終わりから下部ポールの上端に至る部分である他の部分に比べて小径とされてこの基管部に厚みをもたせた偏肉のストレート管である。
【0006】
そして、前記した発明において、基管部の内径が一定であるものを請求項2に係る発明とし、基管部の内径を先方にゆくに従い徐々に大きくしてあるものを請求項3に係る発明とする。さらに、前記した各発明において、上部ポールの外径がほぼ均一なストレート管であるもの、および上部ポールの外径が先方にゆくに従い徐々に細くなっているテーパ管であるものをそれぞれ請求項4および請求項5に係る発明とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態として、高速道路の路肩に設置される地上高さ約10.0mの照明灯用ポールについて詳細に説明する。
1は、地上高さを約10.0mとする大径の下部ポール10に小径の上部ポール11を続かせた段付きのポール本体である。この下部ポール10の長さは、全長(L)に対して約半分以下の比率であり、外径(D1 )は100〜200mm程度のほぼ均一な外径を有するストレート管である。一方、上部ポール11はその外径(D2 )が50〜150mm程度のものであり、D1 /D2 が0.8以下となるような段差が形成されている。
【0008】
このような下部ポール10と上部ポール11とは、図示のものにおいては、溶接によって一体化してポール本体1としたものとなっているが、一体化の手段としてはメカニカルジョイントのような機械的な連結や一般的な化学的結合、あるいは絞り加工による一体加工等、いずれの方法によるものであってもよい。
【0009】
また、ポール本体1の基部を構成する下部ポール10は、その基端から先端までの外径がほぼ均一であるが、この下部ポール10のうちの基管部10aは内径が他の部分10bより小径である偏肉のストレート管とされていて、機械的強度の向上が計られている。なお、ここでいう基管部10aとは、ポール本体1の全長(L)に対し、地上から所要の高さ、例えば、約1/5程度以下の高さ部分(L1 )を意味している。また、外径がほぼ均一なストレート管とは、下部ポール10の下端外径と上端外径とが全く同一の場合は勿論のこと、目視上ほぼストレート管と見えるものも含む。
【0010】
前記したように、本発明は大径の下部ポール10に小径の上部ポール11を続かせた長尺のポール本体1の下部ポール10として、外径がほぼ均一で外見上はストレート管であるが、内径はこの下部ポール10の基管部10aが他の部分10bより小径とされてこの基管部10aに厚みをもたせた偏肉のストレート管を用いた点に特徴的構成を有する。
即ち、下部ポール10はその下方の基管部10aが、十分に機械的強度の大きい肉厚が6.0mmの鋼管で形成されており、一方、基管部10aに続く他の部分10bはその先端部が最終的には従来の規格品である肉厚が4.5mmのものに形成されている。これは、本発明者が亀裂の発生を分析した結果、発生状況が基本的にはいずれも基管部10aにおけるものであり、この部分のみの強度アップを図れば耐久性を延ばせるとの知見に基づくものである。そして、このような構成により、高い剛性を有して亀裂の発生を確実に防止するとともに、軽量性にも優れて効率的な作業性を発揮するのである。
【0011】
前記した基管部10aは、図1に示されるように、下端から上端に至るまでの全ての厚みを6.0mmとする内外径がほぼ均一なストレート管であることを基本とするが、図3、図4に示されるように、下端は6.0mmの厚みで上端は僅かに薄くなるように形成することもできる。
一方、下部ポール10のうち基管部10aに続く他の部分10bは、図1に断面形状が示されるように、その外面は基管部10aに対してストレートに続かせる一方、内面は基管部10aの上端から先端に向けて徐々に拡開された先細テーパ状とするのを基本とするが、図2、図4に示されるように、前記したような基管部10aの上端に滑らかな円弧を介して基管部10aより肉薄である4.5mm厚の他の部分10bの下端とを連結したものとしたり、図3に示すように、上端の厚みが下端より僅かに薄い基管部10aに対して他の部分10bの外面をストレートに続かせる一方、内面は基管部10aの上端から先端に向けて徐々に拡開された先細テーパ状とするようにすることもできる。このようにたの部分10bを4.5mm厚程度の鋼管とすることで、ポール本体1全体の軽量化を図っている。
【0012】
このような下部ポール10は、肉厚が6.0mmの鋼管(外径190mm)を母材としてこれをスピニング加工によりテーパ鋼管を製造する際に、基管部10aの部分は肉厚を6.0mmのまま残して、残部10bの部分を先端に行くに従い張力を上げて肉厚を4.5mmまで薄くするよう成形することで、効率よく連続生産することができる。
【0013】
また、下部ポール10の先端部には、これよりも小径の上部ポール11が続いて段付きのポール本体1となっているが、この上部ポール11は図1に示されるように外径がほぼ均一なものや、図5に示されるように、上部ポール11の外径が先方にゆくに従い徐々に細くなっているもの等、コストやデザイン上の要請等に応じて任意の設計を行うことができる。
【0014】
また、図6に示されるように、前記した下部ポール10の下方部には、地中に埋設される約3mの埋め込み固定部3が形成されており、一方、中間部には配電制御盤4が取り付けられている。また、上部ポール11の先端部には照明灯5が取り付けられている。また、図7に示されるように、前記埋め込み固定部3を埋め込むことなく、基管部10aに設けたリブ6とベースプレート7よりなる固定具をボルト8で固定して地上に立設することもできる。
【0015】
さらに、前記の照明灯5が装着される上部ポール11の形状は、図6に示されるようにストレート状のものや、図7に示されるように先端部が湾曲したもの等いずれであってもよい。
【0016】
このように構成されたものは、長尺のポール本体1を、大径の下部ポール10に小径の上部ポール11を続かせたものとし、前記下部ポール10を外径がほぼ均一なストレート管とするとともに、下方部に位置するポール本体の基管部10aの内径を他の部分より小径の厚肉管構造としたものであり、外見上は通常の段付きポールと同様に見えるにもかかわらず、基管部10aの機械的強度が大幅に向上しており高速道路の照明灯用ポールのような耐久性を要求される箇所に立設する支柱として高い剛性を有して最適であり、また、生産性に優れていて大幅なコストダウンを図ることができ、更には軽量性に優れていて運搬作業や設置作業等も効率的に行うことができることとなる。
なお、前記した説明は高速道路の路肩に所要の間隔をおいて設置する照明灯用ポールとした場合についてのみであるが、標識柱や旗竿やアンテナポールその他各種の地上に立設される長尺のポールにも利用できることは勿論である。
【0017】
〔実施例〕
次に、本発明の実施例につき説明する。
図1に示されるような長さ10mの段付きポール(下部ポール外径:175mm、下部ポール長さ:4.5m、上部ポール外径:140mm、上部ポール長さ:5.5m)であって、その基管部(高さ:1.4mまでの部分)の肉厚は全て6.0mmであり、残部は先端の肉厚が4.5mmとなるよう徐々に内径を拡径したものを、図6に示されるようにリブとベースプレートよりなる固定具を用いてコンクリート上に取付け、静的曲げ試験と衝撃試験を行った(以上、実施例1)。なお、上部ポールは肉厚が4.5mmと均一なストレート管を溶接により連結したものである。
また、図2に示されるような、実施例1と同様の段付きポールであって、基管部(高さ:1.4mまでの部分)の肉厚は全て6.0mmであり、残部の肉厚は全て均一の4.5mmとなるよう構成したものを実施例2とし、図3に示されるような、実施例1と同様の段付きポールであって、基管部の肉厚を6.0mmとし、先端の肉厚を4.5mmとなるよう均一なテーパ鋼管に構成したものを実施例3とし、図4に示されるような、基管部は実施例3と同様の段付きポールであって、残部の肉厚は全て均一の4.5mmとなるよう構成したものを実施例4とし、図5に示されるような、実施例1と同様の段付きポールであって、上部ポール外径が150mmから140mmに徐々に細くなっているものを実施例5として、いずれも前記実施例1と同様の静的曲げ試験と衝撃試験を行った。
これに対し、長さ10mの段付きポール(下部ポール外径:175mm、下部ポール長さ:4.5m、上部ポール外径:140mm、上部ポール長さ:5.5m)であって、基管部の肉厚を4.5mmの均一なものとした場合を比較例1とし、また、基管部の肉厚を6.0mmの均一なものとした場合を比較例2とし、前記同様の試験を行い、以上の得られた結果を表1に示す。
なお、静的曲げ試験はポールの先端部(高さ約9.8mの位置)をワイヤで引っ張り、座屈するまでの基管部の最大曲げ応力値を測定した。一方、衝撃試験は約10mの紐の先に1トンの分銅を付け、この分銅を10mの高さからスィングして落下させ、ポールの高さ約8mの位置に衝突させた場合の基管部の破損程度を評価した。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は高速道路の照明灯用ポールのような耐久性を要求される箇所に立設する支柱として高い剛性を有して最適であり、しかも、生産性に優れていて大幅なコストダウンを図ることができ、更には軽量性に優れていて運搬作業や設置作業等も効率的に行うことができるものである。従って、本発明は従来の問題点を一掃した地上に立設される長尺の段付き金属製ポールとして、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】その他の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図3】その他の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図4】その他の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図5】その他の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明を照明灯用ポールに適用した場合を示す正面図である。
【図7】本発明をその他の照明灯用ポールに適用した場合を示す正面図である。
【符号の説明】
1 ポール本体
10 下部ポール
10a 基管部
11 上部ポール
Claims (5)
- 大径の下部ポールに小径の上部ポールが溶接やメカニカルジョイントにより連結された長尺のポール本体からなる地上に立設される長尺の段付き金属製ポールであって、前記下部ポールを、下記(a)〜(d)の構成を有するものとしたことを特徴とする地上に立設される長尺の段付き金属製ポール。
(a)1本の厚肉の金属パイプ母材からスピニング加工されたものである。
(b)基端は前記金属パイプ母材の肉厚を維持させてある。
(c)基端から先端までの外径がほぼ均一で外見上はストレート管である。
(d)内径は、ポール本体の全長に対し、地上からの高さが1/5以下の高さ部分である基管部が、該基管部の終わりから下部ポールの上端に至る部分である他の部分に比べて小径とされてこの基管部に厚みをもたせた偏肉のストレート管である。 - 基管部の内径が一定である請求項1に記載の地上に立設される長尺の段付き金属製ポール。
- 基管部の内径が先方にゆくに従い徐々に大きくなっている請求項1に記載の地上に立設される長尺の段付き金属製ポール。
- 上部ポールの外径がほぼ均一なストレート管である請求項1〜3のいずれかに記載の地上に立設される長尺の段付き金属製ポール。
- 上部ポールの外径が先方にゆくに従い徐々に細くなっているテーパ管である請求項1〜3のいずれかに記載の地上に立設される長尺の段付き金属製ポール。
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