JP4065078B2 - ディスク鏡面面取り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスク鏡面面取り装置に関し、さらに詳細には、中央に孔が開口されたディスクの内周縁と外周縁とを研磨して鏡面に面取りをするディスク鏡面面取り装置に関する。
従来、ガラス製ハードディスク基板、光ディスク、磁気ディスクと称される情報電子機器用のガラスディスクの内周及び外周のエッジ部分(内周縁及び外周縁)の面取りは、情報電子機器の性能上、高レベルに仕上げることを必須要件としなかった。
ところが、最近のパーソナルコンピュータ用のハードディスクの記憶容量の飛躍的な向上に伴って、ガラスディスクのエッジ部分から生じる発塵が問題とされ、極めて精密な加工が要求されるに及んで、ガラスディスクのエッジ部分を鏡面(高レベルの研磨面)に仕上げることが要請されるに至っている。
【0002】
【従来の技術】
従来は、例えば、100枚前後のガラスディスクを重ねて保持し、ブラシに酸化セリウムから成る砥粒が分散された研磨液(スラリー)をかけながら、ブラシを回転運動或いは直線往復運動させ、ガラスディスクのエッジ部分の面取り(研磨)を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、多数が束ねられたガラスディスクについて、ブラシを使用して研磨しているので、加工速度が非常に遅い。また、ガラスディスクの内周縁と外周縁を片方づつ鏡面面取り加工するため、加工時間が長くかかっていた。
そして、研磨後の加工精度(表面粗さ)が低く、完全(所定レベル以上)に鏡面に加工できなかった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ディスクの内周縁と外周縁とを、効率よく、好適な鏡面に仕上げることができるディスク鏡面面取り装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明は、中央に孔が開口されたディスクの内周縁と外周縁とを研磨して鏡面に面取りをするディスク鏡面面取り装置において、前記ディスクを筒状の端面部で吸着して、該ディスクの外周縁と内周縁とが露出するように保持し、自転することで前記ディスクを自転させる吸着盤と、前記ディスクの外周縁に摺接して、該外周縁を研磨する外周研磨部材と、前記ディスクの中央の孔に挿入され、該ディスクの内周縁に外周で摺接して、該内周縁を前記外周縁の研磨と同時に研磨すべく自転する内周研磨部材と、前記外周研磨部材に前記ディスクの外周縁を摺接させるべく、該外周研磨部材と前記吸着盤とを、所定の軌道に沿って相対的に接離動させる第1接離動機構と、前記内周研磨部材の外周を前記ディスクの内周縁に摺接させるべく、該内周研磨部材と前記吸着盤とを、前記第1接離動機構にかかる接離軌道の延長線上の軌道に沿って相対的に接離動させる第2接離動機構とを具備し、前記第1接離動機構及び前記第2接離動機構による接離動の軌道が同一の回動軸心を中心にする円弧であることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、外周研磨部材が、前記ディスクの外周縁に内周で摺接して、該外周縁を研磨すべく自転することで、外周研磨部材とディスクの外周縁との接触面積を増大させることができ、安定した状態で精度よく研磨できると共に、加工効率を向上できる。
【0007】
また、前記外周研磨部材が、基体に対して相対的に移動しない固定軸を中心に自転することで、他の構成と比べて大型化する外周研磨部材について自転動以外の動作をさせないため、より安定的に加工ができる。
【0009】
また、前記第1接離動機構が、一端側で前記吸着盤が自転するように装着され、該吸着盤が前記円弧の軌道上を移動可能に、他端側で前記回動軸心を中心に回動される第1アームと、該第1アームを回動駆動する駆動装置とを備え、前記第2接離動機構が、一端側で前記内周研磨部材が自転するように装着され、該内周研磨部材が前記円弧の軌道上を移動可能に、他端側で前記回動軸心を中心に回動される第2アームと、該第2アームを回動駆動する駆動装置とを備えることで、簡単な構成で、精度良く動作する機構を好適に構成できる。従って、加工精度(表面粗さ精度)を向上できると共に、装置の製造コストを低減できる。
【0011】
また、前記第1接離動機構及び前記第2接離動機構を作動させる駆動装置はエアシリンダ装置であることで、ディスクの外周縁を外周研磨部材に、また、ディスクの内周縁を内周研磨部材に相対的に好適に制御された押圧力によって接触させ、好適に研磨加工による鏡面面取りを行うことができる。
【0012】
また、前記外周研磨部材及び前記内周研磨部材は発泡ウレタンを主材として構成されていることで、容易に交換できる好適な研磨部材を安価に得ることができる。
【0013】
また、前記外周研磨部材の内周を構成する内周面は、軸心方向に幅のある帯状に形成されており、該内周面に軸心方向に所定の間隔をおいて多数のリング状の溝が形成されると共に、前記内周研磨部材の外周を構成する外周面は、軸心方向に幅のある帯状に形成されており、該外周面に軸心方向に所定の間隔をおいて多数のリング状の溝が形成されていることで、斜面に面取りされたディスクの内周縁と外周縁のエッジ部を好適に研磨して鏡面面取りすることができる。
【0014】
また、前記外周研磨部材と前記ディスクの外周縁とが摺接する外周縁研磨部へ研磨液を供給する外部研磨液供給路と、前記吸着盤の筒状内部に開口し、前記内周研磨部材の外周と前記ディスクの内周縁とが摺接する内周縁研磨部へ研磨液を供給する内部研磨液供給路とを具備することで、内周縁研磨部と外周縁研磨部の両方へ好適に研磨液を供給でき、ディスクの内周縁と外周縁とを同時に好適に研磨できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明にかかるディスク鏡面面取り装置の一実施例を概念的に説明する平面図である。
また、図2は本発明にかかるガラスディスク鏡面面取り装置の全体システムの一実施例を示す平面図である。
また、図3は図2の実施例のディスクの外周縁を研磨する研磨機構を主に説明する側面断面図である。図4は図3の研磨機構の接離動機構の駆動装置を説明する平面図である。図5はディスクを吸着保持する吸着盤の実施例を示す断面図である。
また、図6は図2の実施例のディスクの内周縁を研磨する研磨機構を主に説明する側面断面図である。図7は図6の研磨機構の接離動機構の駆動装置を説明する平面図である。
また、図8は図2の実施例のディスクの内周縁を研磨する研磨機構を反対位置に展開し、外周研磨部材と内周研磨部材の位置関係を説明するための展開図である。
【0016】
10はガラスディスク(以下、単に「ディスク」という)であり、図1に示すように、中央に孔12が開口され、内周縁14と外周縁16とを有する。
本実施例のディスク10は、パーソナルコンピュータの記憶装置であるハードディスクの基板として用いられる。例えば、外径95mm、内径25mm、厚さ0.9mm、面取り角度90度のガラス製のディスクが対象になる。
なお、図1では、ディスク10の面を格子状の線で示したが、これはディスク10の形状を明確にするためのもので、ディスク10の表面にそのような模様があるわけではなく、平坦であるのは勿論である。また、図1では、鏡面研磨加工の直前直後において原点位置にあるディスク10が、2点鎖線で示されている。
【0017】
20は外周研磨部材であり、ディスク10の外周縁16に内周22で摺接して、その外周縁16を研磨すべく自転する。本実施例の外周研磨部材20は、図から明らかなように筒体に設けられ、円形の内周22を有し、その筒体の軸心を中心に後述する外周縁研磨用の回転駆動手段24によって自転される。
また、本実施例の外周研磨部材20は、基体40に対して相対的に移動しない固定軸42を中心に自転する。これにより、他の構成と比べて大型化する外周研磨部材20について自転動以外の動作をさせないことになり、より安定的に鏡面面取り加工ができる。
【0018】
30は内周研磨部材であり、ディスク10の中央の孔12に挿入され、そのディスクの内周縁14に外周で摺接して、内周縁14を前記外周縁16の研磨と同時に研磨すべく自転する。なお、図1では、内周研磨部材30が、鏡面研磨加工の位置にある状態、及びその鏡面研磨加工の直前直後において原点位置にある状態のどちらについても、黒丸で示されている。
本実施例の内周研磨部材30は、図から明らかなように円柱体に設けられ、円形の外周を有し、その円柱の軸心を中心に後述する内周縁研磨用の回転駆動手段34によって自転される。
【0019】
そして、本実施例では、外周研磨部材20の内周22へディスク10の外周縁16を摺接させるべく、ディスクを、外周研磨部材20に対して、後述する吸着盤50と第1接離動機構60を介して所定の軌道(本実施例では円弧P)に沿って移動させる。また、同時に、ディスク10の内周縁14へ内周研磨部材30の外周32を摺接させるべく、内周研磨部材30を、ディスク10に対して、第2接離動機構70を介して所定の軌道(本実施例では円弧P)に沿って移動させる。この際に、ディスク10と内周研磨部材30とが移動する軌道は、同一の軸心(回動軸心65)を中心にする同一半径Rの円弧Pの同一延長線上にある。ディスク10と内周研磨部材30の中心が円弧Pを通る。
【0020】
これにより、ディスク10の外周縁16と内周縁14とを、ディスク10と内周研磨部材30とを好適に移動させて、同時に好適に研磨できる。
すなわち、ディスク10と内周研磨部材30とが移動する軌道が同一軌道上であることで、ディスク10の中央の孔12の内で内周研磨部材30スムースに移動でき、内周研磨部材30の外周32がディスク10の内周に好適に接触できる。また、研磨のためディスクの外周縁16と内周縁14へかかる押圧力の作用と反作用の方向が同一軌道方向にある。このため、ディスクの外周縁16と内周縁14との研磨の際には、後述する第1接離動機構60及び第2接離動機構70において、常に一方向への力(作用と反作用)がかけられることになり、ビビリ動等の振れの発生を防止できる。従って、高レベルの鏡面研磨を、ディスクの外周縁16と内周縁14について、同時に好適に行うことができる。
【0021】
なお、本実施例のように、外周研磨部材20の内周22へディスク10の外周縁16を押圧する方向と、ディスク10の内周縁14へ内周研磨部材30の外周32を押圧する方向とが一致しているため、前者の押圧力は、後述する吸着盤50によってディスク10を移動させる押圧力と、内周研磨部材30を移動させる押圧力の総和とすることができる。
このことは、ディスクの外周縁16と内周縁14とを均等に研磨するため、外周研磨部材20の内周22とディスク10の外周縁16との接触面積の方が、ディスク10の内周縁14と内周研磨部材30の外周32との接触面積よりも大きくなり易いことから、前者の接触圧力が後者の接触圧力よりも大きくすべきことに一致する。従って、後述する第1接離動機構60及び第2接離動機構70を合理的に設定し易く、ひいては装置の簡略化や製造コストの低減を可能にできる。
【0022】
次に、図2〜図8に基づいて、上記各構成にかかる具体的な駆動機構等を示すディスク鏡面面取り装置の一実施例について説明する。
50は吸着盤であり、図2〜5及び8、特に図5に示すように、ディスク10を筒状の端面部で後述する吸着手段によって吸着して、ディスク10の外周縁16と内周縁14とが露出するように保持し、自転することでディスク10を自転させる。
ディスク10を自転させるように、吸着盤50を自転させる吸着盤の回転駆動手段52(図8参照)は、本実施例では、第1アーム64上に装着された電動モータ53と、歯車による減速装置(図示せず)を有する。また、図3、5及び8に示すように、回転軸部材54が、第1アーム64に下方へ向けて固定された筒状の軸受部55に回転自在に支持され、その回転軸部材54が、電動モータ53の駆動力によって減速装置を介して回転される。これによって、回転軸部材54の下端に固定された吸着盤50が回転(自転)するのである。
【0023】
60は第1接離動機構であり、図2〜4に示すように、外周研磨部材20の内周22にディスク10の外周縁16を摺接させるべく、外周研磨部材20と吸着盤50とを、所定の軌道に沿って相対的に接離動させる。
本実施例の第1接離動機構60は、図4に示すように、第1基部62に回動可能に軸着された第1アーム64、及び第1シリンダ装置66を備える。
第1アーム64は、一端側に吸着盤50が自転できるように装着され、その吸着盤50が円弧Pの軌道上を移動可能に、他端側で回動軸心65を中心に回動できるよう、第1基部62に軸着されている。
【0024】
また、第1シリンダ装置66は、シリンダ端66aが第1基部62に回動可能に軸着されると共に、ロッド端66bが第1回動軸部材67に固定された第1レバー部68の先端部に回動可能に軸着され、第1アーム64を回動駆動する駆動装置として作動する。
従って、第1シリンダ装置66を駆動することで、吸着盤50に保持される2点鎖線で示したディスク10を、円弧Pに沿って回動移動させ、1点鎖線で示した外周研磨部材20の内周22に対して接離動させることができる。なお、本実施例では、第1シリンダ装置66を収縮させることで、ディスク10の外周縁16を外周研磨部材20の内周22へ接触させることができる。
【0025】
70は第2接離動機構であり、図6、7に示すように、内周研磨部材30の外周32をディスク10の内周縁14に摺接させるべく、内周研磨部材30と吸着盤50とを、第1接離動機構60にかかる接離軌道(円弧P)の延長線上の軌道に沿って相対的に接離動させる。
本実施例の第2接離動機構70は、図7に示すように、第2基部72に回動可能に軸着された第2アーム74、及び第2シリンダ装置76を備える。
第2アーム74は、一端側に内周研磨部材30が自転できるように装着され、その内周研磨部材30が円弧Pの軌道上を移動可能に、他端側で回動軸心65を中心に回動できるよう、第2基部72に軸着されている。
【0026】
また、76は第2シリンダ装置であり、シリンダ端76aが第2基部72に回動可能に軸着されると共に、ロッド端76bが第2回動軸部材77に固定された第2レバー部78の先端部に回動可能に軸着され、第2アーム74を回動駆動する駆動装置として作動する。
従って、第2シリンダ装置76を駆動することで、内周研磨部材30を、円弧Pに沿って回動移動させ、吸着盤50に保持されたディスク10の内周縁14に対して接離動させることができる。なお、本実施例では、第2シリンダ装置76を伸長させることで、内周研磨部材30の外周32をディスク10の内周縁14へ接触させることができる。
【0027】
このように、第1接離動機構60及び第2接離動機構70による接離動の軌道が同一の回動軸心65を中心にする円弧Pであることで、外周研磨部材20に対するディスク10の接離動の軌道と、ディスク10に対する内周研磨部材30の接離動の軌道を、同一の軌道の延長線上に容易に一致させることができる。
そして、このように両者の接離動の軌道を一致させることで、前述したように、高レベルの鏡面研磨を、ディスクの外周縁16と内周縁14について、同時に好適に行うことができ、加工効率を向上できる。
また、本実施例による第1接離動機構60及び第2接離動機構70によれば、簡単な構成で、精度良く動作する機構を好適に構成できる。ディスク10の外周縁16と内周縁14の加工に用いる各アームは、1つの回転支点を中心に回動する簡単な構成でよく、その回転支点(回転軸心)を同一(同軸)にすることにより、一点制御でよく、荷重変化を極力小さくできる。従って、加工精度(表面粗さ精度)を向上できると共に、装置の製造コストを低減できる。
さらに、第1接離動機構60及び第2接離動機構70を作動させる駆動装置がエアシリンダ装置であるため、ディスク10の外周縁16を外周研磨部材20の内周22へ、また、内周研磨部材30の外周32をディスク10の内周縁14へ容易に押圧力を制御調整して接触させ、好適に研磨加工(面取り加工)を行うことができる。
【0028】
また、本実施例の外周研磨部材20を自転させる外周研磨用の回転駆動手段24は、図8に示すように、基体40に固定された電動モータ25と、外周研磨部材20が固定されると共に基体40に設けられた軸受部44に回転可能に支持された回転部材26と、電動モータ25の出力軸に固定された出力プーリ27と、外周研磨部材20と同軸に回転部材26に固定された従動プーリ28と、出力プーリ27と従動プーリ28とに掛け回されたベルト29とから構成されている。
このように、本実施例の外周研磨部材20は、基体40に設けられた固定軸42を中心に自転するため、前述したように、より安定的に鏡面面取り加工ができる。
【0029】
また、本実施例の内周研磨部材30を自転させる内周研磨用の回転駆動手段34は、図6及び8に示すように、第2アーム74上に固定された電動モータ35と、内周研磨部材30が固定されると共に第2アーム74上に設けられた軸受部75に回転可能に支持された回転部材36と、電動モータ35の出力軸に固定された出力プーリ37と、内周研磨部材30と同軸に回転部材36に固定された従動プーリ38と、出力プーリ37と従動プーリ38とに掛け回されたベルト39とから構成されている。
このように、本実施例の内周研磨部材30は、第2アーム74上に設けられた内周研磨用の回転駆動手段34によって自転するため、直接的に駆動力を伝達でき、より安定的に鏡面面取り加工ができる。
【0030】
ところで、本実施例では、重力による影響を受けないで、ディスク10の内外の全周にわたって均一に鏡面面取りができるように、ディスク10を水平にして研磨加工がなされるように構成されている。従って、以上に説明した各軸心は、上下方向に平行に設けられている。
また、各部材の回転方向は、例えば、吸着盤50を介して回転するディスク10の自転方向に対して、外周研磨部材20及び内周研磨部材30の自転方向が反対方向となるようにすると良い。なお、各部材の回転方向は、これに限定されるものではなく、研磨速度等の加工仕様(条件)によっては、適宜選択的に設定すればよいのは勿論である。
【0031】
以上の実施例にかかる説明では、ディスク10に対する外周研磨部材20及び内周研磨部材30の主に水平方向に関する相対的な動作について説明したことになるが、以下では、ディスク10の外周縁16を外周研磨部材20の内周22に摺接させるための上下位置の調整、ディスク10の内周縁に内周研磨部材30の外周を摺接させるための上下位置の調整、及びディスク10の給排等にかかる機構について詳細に説明する。
【0032】
先ず、図2〜5及び8に基づいて、ディスク10の外周縁16を外周研磨部材20の内周22に摺接させるための上下位置の調整にかかる吸着盤の上下動機構56の一実施例について、以下に説明する。
図3に示すように、57aは直動ガイドレールであり、後述する吸着盤の水平動機構80によって水平方向へ移動可能な水平動基部82に上下方向に固定されている。この直動ガイドレール57aには、前記第1基部62に固定されたスライダー57bが嵌まっている。これにより、第1基部62を上下方向へ移動可能に案内する案内機構57が構成されている。
また、図8に示すように、58aはボールネジであり、上下方向に配され、58bはサーボモータであって、これらの構成によって第1基部62を上下動させる駆動装置58になっている。なお、図3では駆動装置58を省略した構成を示してあり、図8では案内機構57を省略した構成を示してある。
【0033】
このような案内機構57及び駆動装置58から成る吸着盤の上下動機構56によって、吸着盤50が第1アーム64及び回転軸部材54を介して上下動できる。サーボモータ58bによって、上下動が制御されるため、極めて精度の高い運動を得ることができる。
これにより、吸着盤50の下端で保持されたワークであるディスク10を、外周研磨部材20の内部へ好適に進入させ、その外周研磨部材20の内周の所望の高さ位置へ移動させることができる。従って、ディスク10の外周縁16が摺接する外周研磨部材20の内周22の位置を、上下方向に順次送って定期的に変えることができ、外周研磨部材20の内周の全面を好適に利用することができる。これによれば、外周研磨部材20の交換頻度を低減することが可能となり、加工効率を向上できる共に、加工コストを低減できる。
【0034】
次に、図6、7及び8に基づいて、ディスク10の内周縁14に内周研磨部材30の外周32を摺接させるための上下位置の調整にかかる内周研磨部材の上下動機構46の一実施例について、以下に説明する。
図6に示すように、47aは直動ガイドレールであり、基体40に上下方向に固定されている。この直動ガイドレール47aには、前記第2基部72に固定されたスライダー47bが嵌まっている。これにより、第2基部72を上下方向へ移動可能に案内する案内機構47が構成されている。
また、図8に示すように、48aはボールネジであり、上下方向に配され、48bはサーボモータであって、これらの構成によって第2基部72を上下動させる駆動装置48になっている。なお、図6では駆動装置48を省略した構成を示してあり、図8では案内機構47を省略した構成を示してある。
【0035】
このような案内機構47及び駆動装置48から成る内周研磨部材の上下動機構46によって、内周研磨部材30が第2アーム74及び回転部材36を介して上下動できる。サーボモータ48bによって、上下動が制御されるため、極めて精度の高い運動を得ることができる。
これにより、回転部材36の上端に固定された内周研磨部材30を、ディスク10の孔12中へ好適に進入させ、その内周研磨部材30の外周の所望の高さ位置をディスク10の内周縁14に合わせるよう、移動させることができる。従って、ディスク10の内周縁14に摺接する内周研磨部材30の外周32の位置を、上下方向に順次送って定期的に変えることができ、内周研磨部材30の外周の全面を好適に利用することができる。これによれば、内周研磨部材30の交換頻度を低減することが可能となり、加工効率を向上できる共に、加工コストを低減できる。
【0036】
次に、本発明にかかる研磨部材について詳細に説明する。
本実施例の外周研磨部材20及び内周研磨部材30は発泡ウレタンを主材として構成されている。このため、容易に交換できる好適な研磨部材を安価に得ることができる。また、発泡ウレタンはポーラス構造になっており、そのポーラス内に研磨液が留まって、ディスク10と外周研磨部材20との間に適量の研磨液が供給されることで研磨加工が好適に促進され、精度の高い鏡面研磨による面取りが可能になる。
【0037】
また、本実施例の外周研磨部材20の内周22を構成する内周面は、軸心方向に幅のある帯状に形成されており、その内周面に軸心方向に所定の間隔をおいて多数のリング状の溝が形成されている。そして、実施例の内周研磨部材30の外周32を構成する外周面も、軸心方向に幅のある帯状に形成されており、その外周面に軸心方向に所定の間隔をおいて多数のリング状の溝が形成されている。
これにより、斜面(例えば上下両面にかかるテーパ角度として90度)に面取りされたディスク10の内周縁14と外周縁16のエッジ部を全体的に好適に鏡面研磨することができる。すなわち、リング状の溝によって、ディスク10の内周縁14或いは外周縁の上下両側の面取り部が、内周研磨部材30或いは外周研磨部材20に同時に確実に接触可能となり、その各上下両側の面取り部を効率良く鏡面研磨できる。なお、内外の各周研磨部材が、柔軟性があって、ディスク10の内外の各周縁の上下両側の面取り部に好適に接触できる場合は、リング状の溝が形成されていなくともよい。
【0038】
また、バフと称されて外周研磨部材20及び内周研磨部材30として好適に利用できる部材の材質及び形状等は、選択的に設定すればよいのは勿論である。
例えば、本実施例の外周研磨部材20は、詳細には、筒状の全体が発泡ウレタンを主材とするバフ部材である。また、この外周研磨部材20を構成するバフ部材としては、シリカ等の砥粒が混合された硬質発砲ウレタンによって成形されたものを利用できる。
また、バフ部材が硬質発砲ウレタン等の樹脂により成形されている場合、新鮮な研磨面を得るため、或いは新鮮な研磨面を有するリング状の溝を得るために、必要に応じて容易に切削して再生することができ、バフ部材の再使用が可能である。
【0039】
また、各研磨部材は、以上のような形態に限定されず、例えば、クロス状のもので、母材の壁面(内周面或いは外周面)に接着等によって取り付けられたものでもよい。そのクロス状の研磨部材が、十分に弾力性のある不織布等によって設けられていれば、ディスク10の被研磨部である内周縁14或いは外周縁16が押圧されて摺接される際、その被研磨部の形状に沿って変形できる。これによれば 、前述したリング状の溝の効果と同様に、各上下両側の面取り部を好適に鏡面研磨できる。
【0040】
次に、本実施例の吸着盤50のディスク10を吸着する作用を好適に発生させる構造について、図5に基づいて詳細に説明する。
51は吸着ヘッド本体であり、吸着盤50の本体部を構成し、下方が開口された筒状に形成されている。吸着ヘッド本体51の内部51aは、内周研磨部材30が進入可能に形成されている(図8参照)。
59は空気の吸引口であり、吸着ヘッド本体51の下端に開口し、吸着ヘッド本体51内に穿設された形成された通路を介して真空(減圧)発生装置59aに連通されている。
【0041】
17は外周V−リングであり、吸着ヘッド本体51の下端外周側にリング状に形成された外周溝51cに、リップ部17aが吸着ヘッド本体51の下端から先端側が外周側へ向けて露出する状態に装着されている。
また、18は内周V−リングであり、吸着ヘッド本体51の下端内周側にリング状に形成された内周溝51dに、リップ部18aが吸着ヘッド本体51の下端から先端側が内周側へ向けて露出する状態に装着されている。
なお、空気の吸引口59は、この外周V−リング17と内周V−リング18とに囲まれるドーナツ状の閉じた平面19内の部位で開口している。
また、19aはクロスであり、ディスク10の表面を保護すべく、外周V−リング17と内周V−リング18が配設された部分を除く吸着ヘッド本体51の下端に貼着されている。このクロス19aは、ディスク10の表面を保護すべく、柔軟性のある材質によって設けられている。
【0042】
従って、本実施例の吸着盤50によれば、外周V−リング17と内周V−リング18をディスク10の表面(上面)に密着させて、前記ドーナツ状の閉じた平面19を減圧することでディスク10を好適に吸引吸着できる。
外周V−リング17及び内周V−リング18は、合成ゴム等の弾性材料によって、リップ部17a、18aを有し断面形状がほぼV字状に成形された気密部材であり、そのリップ部17a、18aによって、ディスク10の表面に傷をつけないように好適に接触でき、強力に吸着をすることができる。
また、図5に示すように、吸着ヘッド本体51の外径は、ディスク10の外周部(外周縁)を好適に露出できる範囲内で極力大きく設定されている。また、吸着ヘッド本体51の内径は、ディスク10の内周部(内周縁)を好適に露出できる範囲内で極力小さく設定されている。これにより、ディスク10をより大きな吸着面積で確実且つ安定した状態に保持できる。
なお、本発明にかかる吸着盤50は、本実施例のようなV−リング等を用いた構造に限定されるものではなく、他の形態のシール部材等を利用した構造としてもよいのは勿論である。
【0043】
次に、本実施例の研磨液を供給する手段について、図1及び図5に基づいて説明する。
23は外部研磨液供給路であり、外周研磨部材20の内周22とディスク10の外周縁16とが摺接する外周縁研磨部へ、研磨液の供給装置43によって研磨液を供給する。
また、33は内部研磨液供給路であり、吸着盤50の筒状内部に開口し、内周研磨部材30の外周32とディスク10の内周縁14とが摺接する内周縁研磨部へ、研磨液の供給装置43によって研磨液を供給する。
これにより、内周縁研磨部と外周縁研磨部の両方へ好適に研磨液を供給でき、ディスクの内周縁と外周縁とを同時に好適に研磨できる。
【0044】
次に、図2、3、6に基づいて、ディスク10の吸着盤50への給排を行うなうディスク給排機構90について、以下に説明する。
本実施例では、吸着盤50へ供給するディスク10が収納されるローディング用カセット91a、及び吸着盤50からのディスク10を収納するアンローディング用カセット91bが、水槽91(純水)の中に没している。
92は内径チャック装置であり、一対のチャック爪92aを備え、ディスク10の中央の孔12の中に入って一対のチャック爪92aが離反する方向へ開き、ディスク10を保持(チャック)できるように設けられている。この内径チャック装置92が、次に説明する運動機構93によってカセット91a(91b)内に進入し、ディスク10をチャックして取り出し、そのディスク10を吸着盤50の位置まで搬送し、また、吸着盤50からディスクを受けて、アンローディング用カセット91bへ搬送する。すなわち、内径チャック装置92と、運動機構93によってディスク10搬送して吸着盤50に対して給排するディスク給排機構90が構成されている。
なお、ディスク給排機構90は、上記の実施例に限定されるものではなく、真空吸着作用によってディスク10を保持する吸着方式、或いはディスク10の外周に複数の爪を掛けて把持する外径チャック方式などを採用してもよいのは勿論である。
【0045】
内径チャック装置92に所定の運動をさせる運動機構93は、基体40に設けられた左右方向駆動機構94と、その左右方向駆動機構94によって左右方向に移動する左右移動部材94aと、その左右移動部材94aに設けられた昇降駆動機構95と、その昇降駆動機構95によって上下方向に移動する昇降部材95aと、その昇降部材95aに設けられた前後方向駆動機構96と、その前後方向駆動機構96によって前後方向に移動する前後移動部材96aと、その前後移動部材96aに設けられた水平旋回機構97と、その水平旋回機構97によって上下方向に平行な旋回軸を中心に水平旋回する水平旋回部材97aと、その水平旋回部材97aに設けられた垂直旋回機構98と、その垂直旋回機構98によって水平方向に平行な水平軸を中心に旋回運動する垂直旋回部材99とを備える。
そして、内径チャック装置92は、図3及び図6に明らかなように、垂直旋回部材99の水平方向に延びた水平アーム部99aの先端に、その水平アーム部99aの長手方向に直交する方向に配され、固定されている。
【0046】
以上の運動機構93によれば、各駆動機構を適宜に制御することで、内径チャック装置92を、その内径チャック装置92によってディスク10を吸着盤50に対して好適に給排できるよう、好適に作動(運動)させることができる。なお、本発明にかかる運動機構93は、これに限らず、例えば、設置スペースが十分に許容されるのであれば、多関節ロボットを用いることも可能である。
【0047】
次に、吸着盤50を水平方向へ移動させる吸着盤の水平動機構80の一実施例を、図2及び図3に基づいて説明する。
図2及び図3に示すように、81aは直動ガイドレールであり、基体40に水平方向に固定されている。この直動ガイドレール81aには、水平動基部82に固定されたスライダー82aが嵌まっている。これにより、水平動基部82を水平方向へ移動可能に案内する案内機構81が構成されている。
また、図3に示すように、83はシリンダ装置であり、水平方向に配され、水平動基部82を水平動させる駆動装置になっている。
このような案内機構81及びシリンダ装置83から成る吸着盤の水平動機構80によって、吸着盤50を、第1基部62、第1アーム64及び回動軸部材54を介し、ディスク10の研磨加工ステージ85と洗浄ステージ88との間で、往復運動させることができる。
なお、このシリンダ装置83は、伸長した場合に吸着盤50が研磨加工ステージに位置し、収縮した場合に吸着盤50が洗浄ステージに位置するように配設されている。
【0048】
次に、洗浄ステージ88について説明する。
本実施例の洗浄ステージでは、研磨加工の終了して吸着盤50に保持されたディスク10を高圧ジェット水流によって洗浄すると共に、続いて、ディスク10が吸着盤50からディスク給排機構90に受け渡された後に、その吸着盤50の吸着面を高圧ジェット水流によって洗浄する。この洗浄ステージ88は、例えば、複数の高圧ジェット水流を噴射するノズルと、噴射された水を回収する箱状の受け部とから構成される。
なお、高圧ジェット水流の圧力は、例えば、30〜40kg/cm2 程度であればよい。但し、その圧力は、洗浄度の要求条件等によって適宜選択的に設定すればよいのは勿論である。
【0049】
次に、本発明にかかるディスク鏡面面取り装置システムについて説明する。
図2は、本発明にかかるディスク鏡面面取り装置システムの一実施例を示す平面図である。このディスク鏡面面取り装置システムは、2つの研磨加工ステージ85と、1つの洗浄ステージ88及び1つのディスク給排機構90によって構成されている。
すなわち、吸着盤50が2つ配され、2つのディスク10に関する鏡面面取り加工を平行して進行可能なシステムになっている。
【0050】
このディスクの鏡面面取り装置システムは、次のように作動する。
先ず、図2に示すように、2つの吸着盤50が各吸着盤の水平動機構80によってそれぞれの研磨加工ステージ85に位置し、ディスク給排機構90によって、ディスク10が一方の吸着盤50へ搬送される。ディスク10は、吸着盤50によって吸着保持される。ディスク給排機構90(内径チャック装置92)が研磨加工ステージ85の外に移動した後、吸着盤50が下降されてディスク10が外周研磨部材20の内部に進入し、内周研磨部材30がディスク10の中央の孔12に挿通される。この時点では、ディスク10及び内周研磨部材30が、外周研磨部材20軸心と同軸の原点位置にある。また、外周研磨部材20、ディスク10、内周研磨部材30は、それぞれに対応する駆動装置によって自転される。
【0051】
次に、吸着盤50が、ディスク10を吸着保持した状態で、第1接離動機構60によって所定の軌道(本実施例では円弧P)に沿って押動される。
また、同時に内周研磨部材30が、第2接離動機構70によって吸着盤50の移動軌道の延長線上の軌道に倣って押動される。
これにより、本実施例では、外周研磨部材20の内周22にディスク10の外周縁16が摺接して研磨され、同時に、ディスク10の内周縁14が内周研磨部材30の外周によって摺接されて研磨される。
このように一方の吸着盤50の側でディスク10の研磨加工がなされている間に、ディスク給排機構90は、他方の吸着盤50へディスクを供給する。
【0052】
以上の工程で研磨が終了すると、第1接離動機構60及び第2接離動機構70による押動が解除され、ディスク10及び内周研磨部材30が外周研磨部材20内の原点位置に戻る。続いて、吸着盤50が上昇することで、ディスク10が外周研磨部材20内から上方へ持ち上げられる。そして、吸着盤の水平動機構80によって、ディスク10が保持された吸着盤50を、2つの研磨加工ステージ85の中央に設けられた洗浄ステージ88まで水平方向へ移動させる。
【0053】
洗浄ステージ88では、先ず、吸着盤50が下降されてディスク10が高圧ジェット水流によって洗浄される。そして、吸着盤50が上昇されて、所定の位置で停止する。すると、ディスク給排機構90の内径チャック装置92が移動してディスク10を受け取り、そのディスク10を洗浄ステージ88からアンローディング用カセット91bへ搬送して収納する。一方、ディスク10を内径チャック装置92に渡した吸着盤50は再度下降して、その吸着面が洗浄ステージで洗浄される。
【0054】
次に、吸着面の洗浄を終えた吸着盤50は、上昇し、吸着盤の水平動機構80によって、一方の研磨加工ステージ85に戻され、一方の吸着盤50にかかる鏡面面取り加工の1サイクルが終了する。
他方、他方の吸着盤50にかかる鏡面面取り加工工程は、前記一方の加工工程に対して遅れた状態で進行される。
以上の加工サイクルを順次行うことで、2つの研磨加工ステージで、ディスク10の研磨加工、及びディスク10の給排工程が交互になされ、洗浄ステージ88には2つの吸着盤50によってディスク10が交互に供給されて、その洗浄工程が順次なされる。
【0055】
このように、2つの研磨加工ステージ85を備えることで、一方の研磨加工ステージ85でディスク10が加工されている際に、他方の研磨加工ステージ85ではディスク10の給排を行うことができる。従って、2つの研磨加工ステージ85について交互に給排工程を行えばよく、1つのディスク給排機構90を効率良く利用できる。このため、装置を複雑化することなく、加工効率が向上する。
また、洗浄ステージ88についても、1つの洗浄装置を好適に共用できるため、装置が複雑化しない。なお、洗浄手段といて高圧流体による噴射(本実施例では高圧ジェット水流)を用いるため、所要時間が短く、好適なタクトタイムを得ることができる。
また、2つの研磨加工ステージ85を備えることで、一方を稼働しながら、他方について研磨部材(バフ)の交換等の保守を行うことができる。また、異形のディスクについて、1つの装置システムでの加工が可能になるという利点がある。
【0056】
次に他の実施例について図9及び図10に基づいて説明する。
図9に示す実施例では、第1接離動機構(図示せず)及び第2接離動機構(図示せず)の接離動による軌道が直線に設定されている。本実施例では、ディスク10及び内周研磨部材30を、2点鎖線で示した原点位置から実線で示した位置へ移動させるよう、第1接離動機構及び第2接離動機構の接離動の方向が同一方向になっている。これによれば、ディスク10の外周縁16を外周研磨部材20の内周22に、また、ディスク10の内周縁14を内周研磨部材30の外周32に、常に同一角度方向から相対的に確実に接離動させることができ、安定した研磨加工(鏡面面取り加工)を行うことができる。
また、このように接離動軌道が直線の場合は、第1接離動機構による接離方向と第2接離動機構による接離方向とが正反対(180度反対)な場合にも、ディスク10と内周研磨部材30を好適に移動させることができ、横振れを起こす作用力及び反作用力が作用しにくく、ディスク10の内周縁14外周縁16とを同時に好適に研磨できる。
【0057】
また、図10では、自転する外周研磨部材21の外周21aが、ディスク10の外周縁16に摺接し、その外周縁16が鏡面面取り加工される実施例が示されている。
このように、外周研磨部材21が形成された場合は、前述した内周22で研磨する場合よりも接触面積を稼げないが、交換し易く簡単な構成とすることが可能となる。なお、接触面積を稼ぐためには、複数の外周研磨部材21を用いることも可能である。
さらに、外周研磨部材としては、以上の実施例に限らず、常に均等な押圧力でディスク10の外周縁16に好適に摺接できるものであれば、例えば、帯状の部材とすること可能である。
【0058】
なお、以上の実施例で説明した同一方向とは、厳密に同一の方向であることを要せず、実質的に好適に押圧力を作用させるように、ディスク10の孔12の中で内周研磨部材30が好適に移動できる程度に方向性が一致していればよいのは勿論である。
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、中央に孔が開口されたディスクの内周縁と外周縁とを研磨して鏡面に面取りをするディスク鏡面面取り装置において、外周研磨部材にディスクの外周縁を摺接させるべく、外周研磨部材とディスクを吸着保持する吸着盤とを、第1接離動機構によって所定の軌道に沿って相対的に接離動させ、内周研磨部材の外周をディスクの内周縁に摺接させるべく、内周研磨部材と吸着盤とを、第2接離動機構によって前記第1接離動機構にかかる接離軌道の延長線上の軌道に沿って相対的に接離動させることができる。
これにより、外周研磨部材とディスクとの相対的な接離動、及び内周研磨部材とディスクとの相対的な接離動とがスムースになされ、ディスクの外周縁と内周縁の両方の研磨加工を同時に好適に行うことができる。
このため、本発明によれば、各ディスク毎に加工する枚葉研磨にもかかわらず、タクトタイムを短くして加工効率を向上でき、好適な鏡面に仕上げることができるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるディスク鏡面面取り装置の一実施例を概念的に説明する平面図である。
【図2】本発明にかかるディスク鏡面面取り装置の全体システムの一実施例を示す平面図である。
【図3】図2の実施例のディスクの外周縁を研磨する研磨機構を主に説明する側面断面図である。
【図4】図3の研磨機構の接離動機構の駆動装置を説明する平面図である。
【図5】本発明にかかるディスクを保持する吸着盤の一実施例を示す断面図である。
【図6】図2の実施例のディスクの内周縁を研磨する研磨機構を主に説明する側面断面図である。
【図7】図6の研磨機構の接離動機構の駆動装置を説明する平面図である。
【図8】図2の実施例のディスクの内周縁を研磨する研磨機構を反対位置に展開し、外周研磨部材と内周研磨部材の位置関係を説明するための展開図である。
【図9】本発明にかかるディスク鏡面面取り装置の他の実施例を概念的に説明する平面図である。
【図10】本発明にかかるディスク鏡面面取り装置の他の実施例を概念的に説明する平面図である。
【符号の説明】
10 ディスク
12 孔
14 内周縁
16 外周縁
20 外周研磨部材
22 内周
23 外部研磨液供給路
30 内周研磨部材
32 外周
33 内部研磨液供給路
40 基体
42 固定軸
50 吸着盤
60 第1接離動機構
64 第1アーム
65 回動軸心
66 第1シリンダ装置
70 第2接離動機構
74 第2アーム
76 第2シリンダ装置
80 吸着盤の水平機構
82 水平動基部
85 研磨加工ステージ
88 洗浄ステージ
90 ディスク給排機構
92 内径チャック装置
93 運動機構
94 左右方向駆動機構

Claims (8)

  1. 中央に孔が開口されたディスクの内周縁と外周縁とを研磨して鏡面に面取りをするディスク鏡面面取り装置において、
    前記ディスクを筒状の端面部で吸着して、該ディスクの外周縁と内周縁とが露出するように保持し、自転することで前記ディスクを自転させる吸着盤と、
    前記ディスクの外周縁に摺接して、該外周縁を研磨する外周研磨部材と、
    前記ディスクの中央の孔に挿入され、該ディスクの内周縁に外周で摺接して、該内周縁を前記外周縁の研磨と同時に研磨すべく自転する内周研磨部材と、
    前記外周研磨部材に前記ディスクの外周縁を摺接させるべく、該外周研磨部材と前記吸着盤とを、所定の軌道に沿って相対的に接離動させる第1接離動機構と、
    前記内周研磨部材の外周を前記ディスクの内周縁に摺接させるべく、該内周研磨部材と前記吸着盤とを、前記第1接離動機構にかかる接離軌道の延長線上の軌道に沿って相対的に接離動させる第2接離動機構とを具備し、
    前記第1接離動機構及び前記第2接離動機構による接離動の軌道が同一の回動軸心を中心にする円弧であることを特徴とするディスク鏡面面取り装置。
  2. 前記外周研磨部材が、前記ディスクの外周縁に内周で摺接して、該外周縁を研磨すべく自転することを特徴とする請求項1記載のディスク鏡面面取り装置。
  3. 前記外周研磨部材が、基体に対して相対的に移動しない固定軸を中心に自転することを特徴とする請求項1又は2記載のディスク鏡面面取り装置。
  4. 前記第1接離動機構が、一端側で前記吸着盤が自転するように装着され、該吸着盤が前記円弧の軌道上を移動可能に、他端側で前記回動軸心を中心に回動される第1アームと、該第1アームを回動駆動する駆動装置とを備え、前記第2接離動機構が、一端側で前記内周研磨部材が自転するように装着され、該内周研磨部材が前記円弧の軌道上を移動可能に、他端側で前記回動軸心を中心に回動される第2アームと、該第2アームを回動駆動する駆動装置とを備えることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のディスク鏡面面取り装置。
  5. 前記第1接離動機構及び前記第2接離動機構を作動させる駆動装置はエアシリンダ装置であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のディスク鏡面面取り装置。
  6. 前記外周研磨部材及び前記内周研磨部材は発泡ウレタンを主材として構成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のディスク鏡面面取り装置。
  7. 前記外周研磨部材の内周を構成する内周面は、軸心方向に幅のある帯状に形成されており、該内周面に軸心方向に所定の間隔をおいて多数のリング状の溝が形成されると共に、前記内周研磨部材の外周を構成する外周面は、軸心方向に幅のある帯状に形成されており、該外周面に軸心方向に所定の間隔をおいて多数のリング状の溝が形成されていることを特徴とする請求項6記載のディスク鏡面面取り装置。
  8. 前記外周研磨部材と前記ディスクの外周縁とが摺接する外周縁研磨部へ研磨液を供給する外部研磨液供給路と、前記吸着盤の筒状内部に開口し、前記内周研磨部材の外周と前記ディスクの内周縁とが摺接する内周縁研磨部へ研磨液を供給する内部研磨液供給路とを具備することを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のディスク鏡面面取り装置。
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