JP4064614B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の定着装置においては、定着ローラに加圧ローラを押し当てることによりニップ部を形成し、このニップ部に転写紙を通過させる際に熱と圧力により、転写紙の未定着画像を定着している。
【0003】
定着装置に用いられる加圧ローラにおいては、一般に、芯金の上にシリコンゴム層を形成し、その上にテフロンチューブ等の剥離層を形成している構造のため、装置の規模が大きくなり、部品コストが高くなってしまうとともに、熱容量が大きくなるので、加熱開始しても加圧ローラがなかなか暖まらず、定着不良が発生することがある。また、ニップ部において適度に加熱及び加圧を行うために適度なニップ巾を確保する必要があり、加圧ローラに大きな加圧力を必要とし、その圧力のために転写紙にストレスが生じ、用紙にシワ(定着シワ)が発生してしまう。
【0004】
これに対し、特開平8−123225号公報では、加圧ローラの代りに、断面が凹み状の支持体内に弾性体(シリコンスポンジ)を収納し、定着ローラに対する弾性体の圧接部表面に低摩擦部材(テトラフルオロエチレンフィルムの層)を設けた加圧部材を用いる技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した技術では、弾性体の圧接部表面と低摩擦部材との接着強度が弱い場合において、転写紙間などの非通紙状態では、定着ローラと加圧部材の低摩擦部材が直接接触し、低摩擦部材が定着ローラからの剥離力を受けるため、低摩擦部材が弾性体から剥がれてしまうという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、低摩擦部材が弾性体から剥がれてしまうことを防止できる定着装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、定着ローラと、この定着ローラに圧接される加圧部材とを備え、前記定着ローラと前記加圧部材とのニップ部を通過する転写紙の未定着画像を定着する定着装置において、前記加圧部材は、前記定着ローラに対向して配置された支持体と、前記支持体に取り付けられた弾性体と、前記支持体及び前記弾性体とを隙間なく被覆し、周方向に切れ目がないチューブ状の低摩擦部材とを備え、前記加圧部材は、前記定着ローラに対する圧接面側の高さが、転写紙の通過方向の端部よりも前記通過方向の中央部が高くなるようにし、前記定着ローラが前記加圧部材の前記弾性体側で前記低摩擦部材に圧接していることを特徴とする。ここで、低摩擦部材としては、例えば、フッ素系樹脂を用いるのが好ましい。
【0008】
この請求項1に記載の発明では、転写紙の未定着画像は、定着ローラと加圧部材の低摩擦部材とで形成されるニップ部を通過しつつ、熱と圧力とにより転写紙に定着される。周方向に切れ目がないチューブ状の低摩擦部材が支持体及び弾性体とを隙間なく被覆していることにより、低摩擦部材の周方向に切れ目がないので、転写紙間等の非通紙状態において、低摩擦部材と定着ローラとが直接接触して低摩擦部材が定着ローラからの剥離力を受けても、低摩擦部材が弾性体から剥がれることを防止できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、弾性体の材質がシリコンソリッドゴム或いはシリコンスポンジゴムであることを特徴とする。
【0010】
この請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、弾性体の材質がシリコンソリッドゴム或いはシリコンスポンジゴムであることにより、弾性体が定着ローラから200度程度の温度で圧力を受けていても、弾性体が溶けてしまったり、永久歪みを起こすことを防止できるので、定着ローラに対する加圧部材の加圧力が低下するのを防止できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、加圧部材の定着ローラに対する圧接面の高さを、定着ローラの長手方向に対し端部よりも中央部が高くなるようにしたことを特徴とする。
【0012】
この請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、定着ローラと加圧部材とを圧接すると、定着ローラ及び加圧部材の双方がたわむことがあり、この場合、圧接面における端部の圧力が高くなり、中央部の圧力が低くなるが、圧接面の中央部の高さを端部よりも高くすることにより、圧接面の圧力を略一定にでき、圧接面の端部と中央部とで定着ローラに対する圧力がばらつくのを防止できる。また、圧接面の圧力のばらつきを防止できるので、定着不良が発生したり、転写紙にシワが発生したりするのを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる定着装置を適用した複写機を概略的に示す構成図である。図1に示すように、複写機1は、該して、用紙(転写紙)Pを給紙する給紙部3と、用紙Pに画像を形成する画像形成部5と、用紙Pを排紙する排紙部7とを備えている。
【0014】
給紙部3は、給紙トレイ7に収納された用紙Pを給紙する給紙ローラ9を有しており、用紙Pは給紙ローラ9により画像形成部5に向けて給紙されるようになっている。
【0015】
画像形成部5は、原稿画像に対応した未定着画像が形成される感光体11と、感光体11の未定着画像を用紙Pに転写する転写ローラ13と、用紙Pの未定着画像を定着する定着装置15とを有している。また、排紙部7は、定着装置15により未定着画像を定着された用紙Pを排紙する排紙ローラ17と、排紙トレイ19とを有しており、排紙トレイ19は、排紙ローラ17により排紙された用紙Pをスタックする。
【0016】
図2は、図1の定着装置を概略的に示す断面図である。定着装置15は、図2(a)に示すように、ヒータ25を内蔵した定着ローラ21と、定着ローラ21に圧接する加圧部材23とを備えており、これら定着ローラ21と加圧部材23とで形成されるニップ部Nの間を用紙Pが通過することで、用紙Pの未定着画像が熱と圧力とにより用紙Pに定着するようになっている。
【0017】
図2(b)に示すように、加圧部材23は、定着ローラ23の長手方向に配置された支持体27に、シリコンスポンジゴムの成形品である弾性体29を接着し、これら支持体27及び弾性体29をフッ素系樹脂で構成されたフッ素系樹脂チューブ(低摩擦部材)31により被覆することにより構成されている。
【0018】
図3は、図2の弾性体のA−A断面図である。図3に示すように、支持体27の長手方向に対する中央部27aは凸形状をなしており、この支持体27に厚さが均一な弾性体29を貼り付けることにより、加圧部材23の長手方向の中央部23aの高さGは、加圧部材23の長手方向の端部23b、23bの高さHよりも高くなっている。このように構成することで、加圧部材23の定着ローラ21に対する圧接面23cの圧力のばらつきを防止できる。
【0019】
即ち、定着ローラ21と加圧部材23とを圧接すると、定着ローラ21及び加圧部材23の双方がたわむことがあり、この場合、加圧部材23の端部23b側の圧接面23c圧力が高くなり、中央部23a側の圧接面23cの圧力が低くなってしまう。この場合、圧力の低い中央部23aにあわせて中央部23aの圧力を高くすると用紙Pにシワが発生しやすくなり、圧力の低い端部23bにあわせて端部23bの圧力を高くすると定着不良が発生しやすくなる。しかし、本実施の形態では、圧接面23cの中央部23aの高さGを端部23bの高さHよりも高くしていることにより、圧接面23aの圧力を略一定にできるので、圧接面23cの端部23b、23bと中央部23aとで定着ローラ21に対する圧力がばらつくのを防止でき、定着不良の発生や用紙Pにシワが発生するのを防止できる。
【0020】
次に、上述した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。転写ローラ13により未定着画像を転写された用紙Pは、定着ローラ21と加圧部材23とのニップ部Nに向けて搬送され、定着ローラ21及び加圧部材23は、未定着画像を担持する用紙Pをニップ部Nにて、挟持しつつ排紙部7に向けて搬送する。定着ローラ21及び加圧ローラ23は、ニップ部Nにおいて用紙Pを200度程度の温度で加熱しつつ加圧することにより、用紙Pの未定着画像を用紙Pに定着する。
【0021】
定着ローラ21及び加圧部材23のニップ部Nから用紙Pが通過した後、次の用紙Pがニップ部Nに突入するまでの間において(用紙Pの非通紙状態において)、定着ローラ21が加圧部材23のフッ素系樹脂チューブ31に圧接しつつ回転しており、定着ローラ21が、フッ素系樹脂チューブ31を弾性体29から剥そうとする(剥離力を受ける)。
【0022】
しかし、フッ素系樹脂チューブ31が支持体27及び弾性体29とを被覆していることにより、フッ素系樹脂チューブ31の周方向に切れ目がないので、フッ素系樹脂チューブ31が定着ローラ23からの剥離力を受けても、フッ素系樹脂チューブ31が弾性体29から剥がれることを防止できる。従って、弾性体29と定着ローラ21とが直接圧接することを防止できることにより、定着ローラ21と加圧部材23とのニップ部Nにおいて、摩擦力が大きくなるのを防止できるので、用紙Pがニップ部Nを通過し難くなることを防止できる。
【0023】
また、ニップ部Nを用紙Pが通過しているとき、或いはニップ部Nを用紙Pが通過する前後において、弾性体29は、定着ローラ21から200度程度の高温でしかも圧力を受けるが、弾性体29がシリコンスポンジゴムであるので、弾性体29が溶けてしまったり、永久歪みを起こすことを防止でき、定着ローラ21に対する加圧部材23の加圧力が低下するのを防止できる。
【0024】
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、弾性体29としてシリコンスポンジゴムを用いたが、これに限定されず、シリコンソリッドゴム等を用いても同様な作用効果を得る。
【0025】
また、本実施の形態では、支持体27の中央部27aを凸形状にしたが、支持体27ではなく、弾性体29の中央部を凸形状にしても良い。
【0026】
本発明は、複写機に適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの複合機等に適用しても同様な作用効果を得る。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、周方向に切れ目がないチューブ状の低摩擦部材が支持体及び弾性体とを隙間なく被覆していることにより、低摩擦部材の周方向に切れ目がないので、低摩擦部材と定着ローラが直接接触しているときに、低摩擦部材が定着ローラからの剥離力を受けても、低摩擦部材が弾性体から剥がれることを防止できる。
【0028】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、弾性体の材質がシリコンソリッドゴム或いはシリコンスポンジゴムであることにより、弾性体が定着ローラから200度程度の温度で圧力を受けていても、弾性体が溶けてしまったり、永久歪みを起こすことを防止できるので、定着ローラに対する加圧部材の加圧力が低下するのを防止できる。
【0029】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、圧接面の中央部の高さを端部よりも高くすることにより、定着ローラと加圧部材とを圧接したときに定着ローラ及び加圧部材の双方がたわんだ場合であっても、圧接面の圧力を略一定にできるので、圧接面の端部と中央部とで定着ローラに対する圧力がばらつくのを防止できるととともに、転写紙にシワが発生したり、定着不良が発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した複写機を概略的に示す構成図である。
【図2】図1の定着装置を概略的に示す図であり、(a)は定着装置を示す断面図であり、(b)は加圧部材を拡大して示す断面図である。
【図3】図2の加圧部材のA−A断面図である。
【符号の説明】
15 定着装置
21 定着ローラ
23 加圧部材
23a 加圧部材の中央部
23b 加圧部材の端部
23c 圧接面
27 支持体
29 弾性体
31 フッ素系樹脂チューブ(チューブ状の低摩擦部材)
Claims (3)
- 定着ローラと、この定着ローラに圧接される加圧部材とを備え、前記定着ローラと前記加圧部材とのニップ部を通過する転写紙の未定着画像を定着する定着装置において、
前記加圧部材は、前記定着ローラに対向して配置された支持体と、
前記支持体に取り付けられた弾性体と、
前記支持体及び前記弾性体とを隙間なく被覆し、周方向に切れ目がないチューブ状の低摩擦部材とを備え、
前記加圧部材は、前記定着ローラに対する圧接面側の高さが、転写紙の通過方向の端部よりも前記通過方向の中央部が高くなるようにし、
前記定着ローラが前記加圧部材の前記弾性体側で前記低摩擦部材に圧接していることを特徴とする定着装置。 - 前記弾性体の材質がシリコンソリッドゴム或いはシリコンスポンジゴムであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記加圧部材の前記定着ローラに対する圧接面の高さを、前記定着ローラの長手方向に対し端部よりも中央部が高くなるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
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