JP4063232B2 - 音響信号処理システム - Google Patents
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Description
このようなミキサエンジン及びアプリケーションソフトについては、例えば非特許文献1に記載されている。
「DIGITAL MIXING ENGINE DME32 取扱説明書」,ヤマハ株式会社,2001年,p.1−66,237−242
このような要求に対応したシステムとしては、制御機能を有する編集装置と、複数のミキサエンジンとをネットワークを介して接続し、その中から一部のミキサエンジンを選択して協同的に動作させることができるようにしたミキサシステムも知られている。
〔第1の実施形態におけるミキサシステムの基本構成の説明:図1乃至図4〕
まず、図1に、この発明の音響信号処理システムの第1の実施形態を構成する音響信号処理装置であるミキサエンジンの構成をブロック図で示す。
図1に示すように、ミキサエンジン10は、CPU11,フラッシュメモリ12,RAM13,表示器14,操作子15,制御ネット入出力部(I/O)16,MIDI(Musical Instruments Digital Interface:登録商標)I/O17,その他I/O18,波形I/O19,信号処理部(DSP)20,音楽ネットI/O21を備え、これらがシステムバス22によって接続されている。そして、制御ネットワークを介して通信可能な制御装置から受信した信号処理構成に従って、DSP20を制御するためのマイクロプログラムを生成し、そのマイクロプログラムに従ってDSP20を動作させ、入力する音響信号に対して種々の信号処理を施して出力する機能を有する。
フラッシュメモリ12は、CPU11が実行する制御プログラムや後述するプリセットコンポーネントデータ等を記憶する書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
表示器14は、液晶ディスプレイ(LCD)等によって構成される表示手段である。そして、ミキサエンジン10の現在の状態を示す画面、コンフィグデータに含まれる設定データであるシーンの参照,変更,保存等を行うための画面等を表示する。
操作子15は、キー、スイッチ、ロータリーエンコーダ等によって構成され、ユーザがミキサエンジン10を直接操作してシーンの編集等を行うための操作子である。
MIDII/O17は、MIDI規格に従ったデータを授受するためのインタフェースであり、例えば、MIDIに対応した電子楽器あるいはMIDIデータを出力するアプリケーションプログラムを備えたコンピュータ等と通信を行うために用いる。
DSP20は、波形I/O19から入力する音響信号に対し、設定されているマイクロプログラム及びその処理パラメータを定めるカレントデータに従った信号処理を施すモジュールである。このDSP20は、1つのプロセッサによって構成してもよいし、複数のプロセッサを接続して構成してもよい。
図2に示すように、このミキサシステムにおいては、PC30と、それぞれ図1に示した構成を有するミキサエンジンであるエンジンE1乃至E6とを、ハブ100による制御ネットワークによって接続し、相互に通信可能としている。また、これとは別に、各エンジンをスイッチングハブ110による音楽ネットワークによって接続し、相互に通信可能としている。
また、ここでは制御ネットワークと音楽ネットワークを別々に設けているが、接続するミキサエンジンの数に対してネットワークが十分に高速である場合には、このようにすることは必須ではない。例えばPC30もスイッチングハブ110に接続し、2つのネットワークを同じスイッチングハブ110を用いて構成するようにしてもよい。ただし、接続するミキサエンジンの数が多い場合には、通信の帯域が足りなくなることがあるので、図2に示したような構成が好ましい。
ユーザがPC30に上記の編集/制御プログラムを実行させると、PC30はディスプレイにグラフィック表示の編集画面として図3に示すようなCAD(Computer Aided Design)画面40を表示させ、ユーザからの編集指示を受け付ける。そして、この画面においては、編集中の信号処理構成を、その構成要素である4bandPEQ,Compressor,Mix804等のコンポーネント(A)と、コンポーネントの出力端子(B)と入力端子(C)とを結ぶ結線(D)とによってグラフィカルに表示している。
なお、コンポーネントの左側に表示した端子が入力端子、右側に示した端子が出力端子である。そして、ミキサエンジン10への入力を示すコンポーネントは出力端子のみを有し、ミキサエンジン10からの出力を示すコンポーネントは入力端子のみを有し、それ以外のコンポーネントは全て入力端子と出力端子の両方を有する。
ここで、Input及びOutputのコンポーネントの各端子は、波形I/O19の入出力チャンネルを示し、Netoutコンポーネントの各端子は、音楽ネットI/O21から他のミキサエンジンへの音楽ネットワークを介した信号出力を示す。そして、ここには示していないが、音楽ネットワークを介した他のミキサエンジンからの信号入力を示すNetinコンポーネントも配置可能である。
そして、エンジン間の接続関係については、別途図4に示すようなCAD画面40′を表示させ、この画面において編集することができる。この画面には、編集中の信号処理構成に係る音響信号処理を実行させるミキサエンジンを示すミキサコンポーネント41a,41b,41cが表示され、各ミキサコンポーネントはそれぞれ、その最下部にハッチングを付して示すように、音楽ネットワークを介した信号の入出力を示すネットワーク出力端子42及びネットワーク入力端子43を有する。
なお、PC30は、編集中に、画面上の信号処理構成に従った信号処理に必要なリソースの量を計算しており、これが編集対象のミキサエンジン10に備えるDSP20のリソースを上回った場合には、そのような処理は行えないため、ユーザにその旨を通知する。
そして、その後ユーザが各コンポーネントについて設けたパラメータ制御パネルを操作することにより、そのパラメータ記憶領域に記憶された動作パラメータの値を編集することができる。また、ここで編集されカレントシーンに記憶されたパラメータは、コンフィグレーションと対応するプリセット動作データとして複数記憶しておき、ミキサエンジン10に信号処理を行わせる際にコンフィグレーションと共に任意に呼び出すことができる。この点については後に詳述する。
次に、以上のようなミキサシステムにおいて用いる、この発明に関連するデータの構成について説明する。
まず、図5及び図6にPC30側に記憶させるデータの構成を示す。
PC30のOS上で上記の編集/制御プログラムを実行すると、PC30はその制御プログラムによって規定されるメモリ空間に、図5及び図6に示すような各データを記憶させる。
ここで、このPC用プリセットコンポーネントデータのうち、構成情報中の、グラフィック表示の編集画面における編集に必要なPC用表示データや、表示・編集処理ルーチン中の、制御パネルに特性をグラフで表示するためのルーチン等は、ミキサエンジン10側の動作には必要ないデータであり、PC30側にのみ記憶させる。
1つのエリアデータは、PC30の制御の対象とする全てのミキサエンジンによって構成される「エリア」に関する情報を示すデータである。そして、図6に示すように、エリア管理データ及び1又は複数のゾーンデータを含む。このうち各ゾーンデータは、エリアに属するミキサエンジンのうち、1又は複数のミキサエンジンのグループを「ゾーン」として定義し、それらのミキサエンジンに実行させる信号処理の内容やその処理の際に使用するパラメータの値を示すデータである。
ここで、「エリア」と「ゾーン」の関係について、図7を用いて説明する。図7は、図2に示したように6つのミキサエンジンが制御ネットワークによってPCと接続されている構成のミキサシステムを例として、エリアとゾーンについて説明するための図である。
エリアとゾーンの関係は以上のようなものであり、ユーザはミキサシステムに適用すべきエリアを選択する。そして、この選択がなされた場合、そのエリア内の全てのゾーンをミキサシステムに適用することが選択されたものとして取り扱うようにしている。この点に関連する処理については、後に詳述する。
そして、ゾーン管理データは、「ゾーン」の識別情報を示すゾーンID、ゾーンデータが示す「ゾーン」に属するミキサエンジンの数を示すエンジン数、それら各ミキサエンジンのIDを示す各エンジンID(特定データに該当する),ゾーンデータ中に含まれるコンフィグデータの数を示すコンフィグ数、ゾーンデータ中のシーンデータ群に含まれるシーンデータの数を示すシーン数等の情報を含む。
このような各ミキサエンジンと対応するPC用CADデータが、PC30側に記憶させる構成データに該当する。
各ミキサエンジンについての動作データは、そのミキサエンジンで実行する処理の各コンポーネントに対応するパラメータの設定値であるコンポーネント動作データを含む。そして、この各コンポーネント動作データにおけるデータの形式や配列は、PC用CADデータに含まれるそのコンポーネントのコンポーネントIDとコンポーネントバージョンとで特定されるプリセットコンポーネントの、PC用プリセットコンポーネントデータ中のデータ構成情報と、PC用CADデータに含まれるそのコンポーネントのプロパティデータとによって定義される。
新たにコンフィグデータが保存された場合には、このプリセット動作データを初期化したり、他のコンフィグデータのプリセット動作データを自動的に読み込んだり、あるいはその時点でのカレントシーンの内容を、自動的にプリセット動作データとして保存するようにするとよい。
このような各プリセット動作データが、PC30側に記憶させる動作データに該当する。また、各ミキサエンジンと対応する動作データが、部分動作データに該当する。
そして、ユーザがゾーン毎にこれらのシーンデータの1つを指定することにより、そのゾーンに属する各ミキサエンジンに、指定されたシーンデータに含まれるコンフィグ番号のコンフィグデータが示す音響信号処理を行わせると共に、そのコンフィグデータ中の、指定されたシーンデータに含まれる動作データ番号が示す動作データに係るパラメータの値を、音響信号処理の動作パラメータの値として使用させることができるようにしている。このような音響信号処理内容とその処理に係る動作パラメータの値の組み合わせをシーンと呼ぶ。
また、ゾーンデータ中のその他のデータには、図4に示したような編集画面で設定された、音楽ネットワークにおけるミキサエンジン間の結線に関する情報が含まれている。
以上がPC30側に記憶させる主なデータであり、これらのデータは、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶手段に記憶させておき、必要な時にRAMに読み出して使用するようにしてもよい。
これらの図に示すように、エンジンE1には、主要なデータとして、プリセットコンポーネントデータと、エンジンE1が属するゾーン(ここではゾーンZ1)についてのゾーンデータとを記憶させている。ただし、プリセットコンポーネントデータはフラッシュメモリ12に記憶させ、その構成内容はPC30側とは若干異なる。また、ゾーンデータはRAM13に記憶させ、エンジンE1が属するゾーンZ1で実行する音響信号処理のうちエンジンE1が担当する部分のデータであり、PC30側のゾーンデータを加工して作成するものである。そこで、これらのデータについて、PC30側に記憶させるデータとの相違点を中心に説明する。
これ以外の点は、PC30側のプリセットコンポーネントデータと同様であり、IDやバージョンについては、PC30側の対応するセットやコンポーネントと同じものを用い、対応関係が認識できるようにしている。
そして、エリア&ゾーン管理データは、ゾーンデータに係るゾーンおよびそのゾーンが属するエリアに関する情報であり、PC30側に記憶しているエリア管理データ及びゾーン管理データに含まれる情報を合わせたものである。すなわち、エリア&ゾーン管理データには、エリア管理データ中のエリアID,ゾーン数,エンジン数,各エンジン情報及び、ゾーンデータ中のゾーンID,ゾーン中エンジン数,ゾーン中各エンジンID,コンフィグ数,シーン数等のデータを含む。
また、シーンデータ群についても、PC30側の対応するシーンデータ群と全く同じデータとしている。ここに含まれるのは、各シーンデータに係るコンフィグ番号と動作データ番号であり、これらの情報は、ゾーン内の各エンジンについて共通なものだからである。
また、ミキサエンジン10は、PC30において編集された信号処理構成に基づいて音響信号を処理するものである。そのため、CPU11は、PC30から受け取ったエンジン用CADデータに基づいてDSP20に実行させるマイクロプログラムを形成するようになっており、図8(c)に示すように、そのための作業領域としてマイクロプログラム形成バッファを用意している。
ここで、リソースの割り当てに基づいてマイクロプログラムを加工しているのは、ミキサエンジン10に備えたDSP20のアーキテクチャに対応させたものであり、別のアーキテクチャであれば、マイクロプログラム自体を加工する代わりに、例えば、割り当てたリソースに応じたパラメータをDSP20に設定するようにすべき場合もある。
次に、ユーザがこのミキサシステムにおいて実行する信号処理構成を設定する際の処理について説明する。まず、エリア選択処理について説明する。
このミキサシステムにおいては、ユーザがPC30で信号処理構成の編集を行う場合、図3や図4に示したような編集画面の他、図10に示すようなナビゲートウィンドウ60もPC30のディスプレイに表示させるようにしている。
このナビゲートウィンドウ60においては、上述したエリア、ゾーン、コンフィグ、エンジンといった階層に分け、図6に示したような形式でPC30が記憶しているデータの内容をツリー形式で示している。なお、図10に示した例では詳細が表示されていない部分、例えばゾーン2の内容等も、その部分の詳細表示を指示すれば、表示させることができる。また、「エリア1」の右側の「(3−2)」は、エリア1には3台のミキサエンジンからなるゾーンと2台のミキサエンジンからなるゾーンとが存在することを示している。「エリア2」の右側の「(4−1)」は、同様にエリア2には4台及び1台のミキサエンジンからなるゾーンが存在することを示している。
また、ユーザがエンジンを選択すると、PC30はディスプレイにコンフィグに係る信号処理内でそのエンジンが担当する部分の信号処理内容を編集するための図3に示したようなCAD画面を表示させ、選択されたエンジンに係る信号処理構成の編集を受け付けるようにしている。そして、ゾーン内の各ミキサエンジンについて機種やオプション装備が特定されれば、各ミキサエンジンにおける入出力数やDSP20の処理能力がわかるので、各ミキサエンジンに係る信号処理構成は、その能力の範囲を越えないように編集させるものとする。範囲を越えた場合には、警告を行うようにするとよい。
なお、信号処理構成の編集は、現在選択しているエリアとは関係なく行うことができるようにするとよい。
この処理においては、まずステップS1で選択されたエリアの1つめのゾーンを対象にし、ステップS2で対象ゾーンで使用する全てのミキサエンジンが制御ネットワークに接続されているか否か、すなわち選択されたゾーンデータに基づいてPC30から制御可能であるか否か確認する。この確認は、対象ゾーンのゾーン管理データに含まれる各エンジンIDと、PC30が記憶している図5(d)に示したデータ中のエンジンIDとを比較することにより、行うことができる。この処理において、PC30のCPUが確認手段として機能する。
対象ゾーン内の全てのミキサエンジンについて以上の処理が終了すると、ステップS9及びS10に進み、選択されたエリアにまだ対象になっていないゾーンがあれば、ステップ2に戻って処理を繰り返す。全てのゾーンが既に対象になっていれば、処理を終了する。
そして、ステップS13でその指示内容を判定し、「強行」であればステップS4に進んで処理を続行する、「次ゾーン処理」であればステップS9に進んで処理を続行する、「中止」であればそのまま処理を終了する、といった対応を行う。
なお、「強行」の場合には、対象ゾーン内のミキサエンジンのうち、制御ネットワークに接続されているミキサエンジンのみを対象としてステップS4乃至S8の処理を繰り返すようにするとよい。このような処理を行うと、対象ゾーンでは登録されている信号処理構成の一部しか実行できないため、通常は望みの音響信号処理を行うことができない。しかし、場合によってはそれでも部分的に実行させたいという要求があるため、このミキサシステムにおいては「強行」の機能を設けている。従って、この機能は必須のものではない。
この処理においては、PC30のCPUは、まずステップS21でゾーンZi内の全てのミキサエンジンに、シーンデータj選択命令を送信する。この命令は、送信先のミキサエンジンに、シーンデータjを指定してそのシーンデータに係る信号処理を行わせる命令である。そして、どのミキサエンジンが送信先となるかは、ゾーンZi管理データ中の各エンジンIDのデータを参照して判断すればよい。
そして、次のステップS27及びS28では、シーンデータj中の動作データ番号を読み出し、ゾーンZiについて現在設定されている番号のコンフィグデータから、読み出した番号のプリセット動作データをカレントシーンの記憶領域にコピーして処理を終了する。
この処理においては、CPU11は、まずステップS31で、ミキサエンジン10が記憶しているゾーンデータ中のシーンデータ群から、選択命令に係るシーンデータj中のコンフィグ番号を読み出す。そして、それが現在設定されているコンフィグ番号と違う場合には、ステップS32からステップS33乃至S36に進み、読み出したコンフィグ番号のコンフィグを使用する旨を設定し、その番号のコンフィグデータのうち、エンジン用CADデータをワーク領域に読み出す。そして、読み出したCADデータに基づいて、エンジン用プリセットコンポーネント中のマイクロプログラムから、設定した番号のコンフィグに係る音響信号処理を行うためのマイクロプログラムを生成し、これをDSP20に設定する。さらに、読み出したCADデータに基づいて、図13のステップS25の場合と同様にカレントシーンの記憶領域を確保する。ただし、ここで確保するのは、ミキサエンジン10自身で実行する部分の信号処理に係るパラメータの値を記憶する領域のみである。コンフィグ番号に変化がなければ、ステップS32から直接ステップS37に進む。
以上の図13及び図14に示した処理を行うことにより、PC30側では、選択されたコンフィグに係る信号処理を、選択された動作データに係るパラメータ値を使用してミキサエンジン10に実行させることができる。また、ミキサエンジン10側と整合したコンフィグ及び動作データを現在有効なデータとして記憶し、信号処理構成やパラメータの編集に即応できる状態にしておくことができる。
そして、以上説明したミキサシステムにおいては、エリア中に自由に任意の数のゾーンを設定できることから、PC30に接続された複数のミキサエンジンを、自由な組み合わせで協同的に動作させることができる。また、この際に物理的な配線の変更は不要である。
次に、この発明の音響信号処理システム及び音響信号処理装置の第2の実施形態であるミキサシステム及びミキサエンジンについて説明する。
この実施形態においては、エリアの概念を設けていない点が第1の実施形態と異なる。まず、この点について説明する。
このミキサシステムにおいては、エリアの範囲に囚われず、ユーザが協同的に音響信号処理を実行させたいミキサエンジンを自由に指定して1つのゾーンを構成させることができるようにしている。そして、この指定はゾーン毎に独立に行うようにしている。従って、例えば表1に示すようなゾーンの定義を可能としている。
そして、各ミキサエンジンに音響信号処理を実行させる際には、ミキサシステムに設定するゾーンをゾーン毎に選択し、設定したゾーンに属する各ミキサエンジンを、そのゾーンで使用するものとして確保するようにしている。ただし、この場合、何れかのゾーンで使用するものとして確保されているミキサエンジンは、同時に別のゾーンで使用することはできないようにしている。
この実施形態においては、「エリア」という概念を用いていないため、この図に示す通り、エリアデータ及びエリア管理データは存在しない。そして、これに代えてゾーンデータが最上位のデータとなっている。また、ゾーンデータについては、図6ではエリア管理データに含まれていた各エンジン情報も、ゾーン管理データに含めるようにしている。この情報は、ゾーンに属する各ミキサエンジンのIDを始め、入出力数やアドレス等の情報を含む。
これ以外の点では、ゾーンデータの構成は第1の実施形態の場合と同様なものである。
また、ミキサエンジン10側で使用するデータについては、ミキサエンジンが同時に2つのゾーンに属することがない点は第1の実施形態の場合と同様であるので、基本的なデータ形式は、第1の実施形態で図8及び図9を用いて説明したものと同様である。ただし、「エリア」の概念がないことに伴い、図9に示したエリア&ゾーン管理データの部分がゾーン管理データになり、エリアに関する情報が含まれなくなる点が異なる。
この実施形態のミキサシステムにおいては、PC30のCPUは、図10に示したようなナビゲートウィンドウ(ただし「エリア」に関する表示は行わない)においてユーザがゾーンを選択し、そのゾーンの設定を指示すると、図16のフローチャートに示した処理を開始する。この際にユーザに処理実行の可否を確認するようにしてもよいことは、第1の実施形態の場合と同様である。
そして、ステップS50でその指示内容を判定し、「強行」であればステップS43に進んで処理を続行し、「中止」であればそのまま処理を終了する、といった対応を行う。
以上の処理を行うことにより、選択された「ゾーン」をミキサシステムに設定すると共に、第1の実施形態の場合と同様に、そのゾーンで使用する各ミキサエンジンに必要なコンフィグデータを記憶させることができる。
この処理は、設定解除を指示されたゾーンで使用していたミキサエンジンの信号処理を停止させ、使用中である旨の情報も消去して、未使用エンジンとして開放するものである。このとき、ミキサエンジンに記憶させてあるコンフィグデータを消去する必要はない。
以上の処理により、「ゾーン」の設定を解除し、そのゾーンで使用していたミキサエンジンを、他のゾーンで使用できる状態に戻すことができる。
なお、使用するミキサエンジンが重複しなければ、あるいは一部重複しても強行すれば、1つのミキサシステムに複数のゾーンを同時に設定できることはもちろんである。例えば上記の表1に示した例では、ゾーンZ1とZ2を同時に設定することができるし、ゾーンZ1とZ4も同時に設定することができる。そして、各ゾーンでどのミキサエンジンを使用するかは自由に設定できるようにしているので、この実施形態のミキサシステムにおいても、PC30に接続された複数のミキサエンジンを、自由な組み合わせで協同的に動作させることができ、その際に物理的な接続の変更は不要である。
そして、一部のミキサエンジンで音響信号処理中であっても、ゾーンで使用中でないミキサエンジンは、自由に取り外したり追加したりしてシステム構成を変更し、新たな構成に対応したゾーンを設定することができる。従って、システムの構成変更の自由度も増加させることができる。
ただし、上述したシーン切り換えでは、コンフィグデータが切り換わるか否かを意識せずに単にシーンデータを選択するだけで、コンフィグデータ(CADデータ)の切り換えと、切り換えられたコンフィグデータにおけるプリセット動作データの選択とを一操作で行うことができたが、このようにコンフィグ番号と動作データ番号を別々に選択する場合は、コンフィグデータの切り換えを確認し、必要に応じてコンフィグ番号の選択を行いつつデータ番号の選択を行う必要がある。
Claims (3)
- 音響信号を処理する複数の音響信号処理装置と、その各音響信号処理装置の動作を制御する制御装置と、前記各音響信号処理装置及び制御装置を接続する通信ネットワークとを備え、前記制御装置からの制御により、前記各音響信号処理装置をそれぞれ音響信号処理を実行する1の処理ブロックとして機能させ、前記複数の音響信号処理装置のうち任意の音響信号処理装置を組み合わせてそれらの音響信号処理装置に協働して音響信号処理を実行させる音響信号処理システムであって、
前記制御装置に、
前記各音響信号処理装置中で協働して音響信号処理を実行させる1又は複数の音響信号処理装置を特定する特定データと、その特定した各音響信号処理装置毎にその音響信号処理装置が前記処理ブロックとして担当する信号処理の内容に対応するコンポーネント及びそのコンポーネント間の結線を規定した複数の構成データと、前記特定した各音響信号処理装置に対応する音響信号処理を指定するための1乃至複数のシーンデータとでなるゾーンデータを複数記憶する手段と、
前記ゾーンデータを選択する手段と、
該手段がゾーンデータを選択した場合に、そのゾーンデータ中の特定データによって特定される各音響信号処理装置が、そのゾーンデータに基づく協働的な音響信号処理において前記処理ブロックとして動作させることが可能な状態にあることを確認する確認手段と、
該手段によって確認がなされた各音響信号処理装置に、選択されたゾーンデータに含まれる構成データのうちその音響信号処理装置に対応する構成データを転送する転送手段と、
あるゾーンデータについて前記構成データの転送が完了した状態で、そのゾーンデータに含まれるシーンデータの選択を受け付ける手段と、
該手段がシーンデータの選択を受け付けた場合に、選択されたシーンデータと同じゾーンデータに含まれる特定データによって特定される各音響信号処理装置に、選択されたシーンデータに対応する音響信号処理を実行させる手段とを設け、
前記各音響信号処理装置に、
前記制御装置から転送されてきた複数の前記構成データを受信して記憶する手段と、
前記制御装置からあるシーンデータに対応する音響信号処理の実行を指示された場合に、そのシーンデータに対応する構成データにて規定されたコンポーネント及びコンポーネント間の結線でなる音響信号処理を実行する手段とを設けたことを特徴とする音響信号処理システム。 - 音響信号を処理する複数の音響信号処理装置と、その各音響信号処理装置の動作を制御する制御装置と、前記各音響信号処理装置及び制御装置を接続する通信ネットワークとを備え、前記制御装置からの制御により、前記各音響信号処理装置をそれぞれ音響信号処理を実行する1の処理ブロックとして機能させ、前記複数の音響信号処理装置のうち任意の音響信号処理装置を組み合わせてそれらの音響信号処理装置に協働して音響信号処理を実行させる音響信号処理システムであって、
前記制御装置に、
(a)前記各音響信号処理装置中で協働して音響信号処理を実行させる1又は複数の音響信号処理装置を特定する特定データと、(b)その特定した音響信号処理装置毎にその音響信号処理装置が前記処理ブロックとして担当する信号処理の内容に対応するコンポーネント及びそのコンポーネント間の結線を規定した複数の構成データと、(c)各音響信号処理装置がその構成データが示すコンポーネント及びコンポーネント間の結線でなる音響信号処理を実行する際に使用するパラメータの値を示す複数の動作データと、(d)前記特定した各音響信号処理装置に対応する音響信号処理を指定するための1乃至複数のシーンデータと、でなるゾーンデータを複数記憶する手段と、
前記ゾーンデータを選択する手段と、
該手段がゾーンデータを選択した場合に、そのゾーンデータ中の特定データによって特定される各音響信号処理装置が、そのゾーンデータに基づく協働的な音響信号処理において前記処理ブロックとして動作させることが可能な状態にあることを確認する確認手段と、
該手段によって確認がなされた各音響信号処理装置に、選択されたゾーンデータに含まれる構成データ及び動作データのうちその音響信号処理装置に対応する部分を転送する転送手段と、
あるゾーンデータについて前記構成データ及び動作データの転送が完了した状態で、そのゾーンデータに含まれるシーンデータの選択を受け付ける手段と、
該手段がシーンデータの選択を受け付けた場合に、選択されたシーンデータと同じゾーンデータに含まれる特定データによって特定される各音響信号処理装置に、選択されたシーンデータに対応する音響信号処理を、選択されたシーンデータに対応する動作データが示すパラメータの値を使用して実行させる手段とを設け、
前記各音響信号処理装置に、
前記構成データ及び動作データのうち前記制御装置から転送されてきた部分を受信して記憶する手段と、
前記制御装置からあるシーンデータに係る音響信号処理の実行を指示された場合に、指示されたシーンデータに対応する構成データにて規定されたコンポーネント及びコンポーネント間の結線でなる音響信号処理を、指示されたシーンデータに対応する動作データが示すパラメータの値を使用して実行する手段とを設けたことを特徴とする音響信号処理システム。 - 請求項1又は2記載の音響信号処理システムであって、
前記制御装置に、
前記ゾーンデータの選択を受け付け、そのゾーンデータ中の特定データによって特定される音響信号処理装置が、1つでもそのゾーンデータに基づく協働的な音響信号処理において前記処理ブロックとして動作させることが可能な状態でなかった場合に、ユーザにその旨の警告を行う手段を設けたことを特徴とする音響信号処理システム。
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