JP4161961B2 - 編集装置及びプログラム - Google Patents
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Description
「DIGITAL MIXING ENGINE DME32 取扱説明書」,ヤマハ株式会社,2001年,p.23−66
例えば、4入力ミキサのコンポーネントを配置していたが、入力が5必要であるので6入力ミキサに変更したい場合や、8入力ミキサのコンポーネントを配置していたが、3入力しか使用していないので、信号処理部(DSP)のリソース使用量を低減するため4入力ミキサに変更したい場合には、従来のシステムでは、元のコンポーネントを一旦削除して新たなコンポーネントを追加するという操作を行うようにしていた。
また、この発明のプログラムによれば、コンピュータを上記のような編集装置として機能させ、同様な効果を得ることができる。
まず、図1を用いて、この発明の編集装置の実施形態であるPCと、音響信号処理装置であるミキサエンジンとを備えたミキサシステムの構成例について説明する。図1はそのミキサシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、このミキサシステムは、ミキサエンジン10とPC30とによって構成される。PC30は、ハードウェアとしては、CPU,ROM,RAM等及び表示手段としてディスプレイを有する公知のPCであり、WindowsXP(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)が動作するPCを用いることができるが、そのOS上のアプリケーションプログラムとして所要の制御プログラムを実行させることにより、ミキサエンジン10における信号処理の構成を編集し、その編集結果をミキサエンジン10に転送し、編集した信号処理構成に従って動作させる編集装置として機能させることができる。そして、以下に説明するPC30の動作や機能は、特に断らない限り、この制御プログラムの実行により実現されるものとする。
フラッシュメモリ12は、CPU11が実行する制御プログラムや後述するプリセットコンポーネントデータ等を記憶する書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
表示器14は、液晶ディスプレイ(LCD)等によって構成される表示手段である。そして、ミキサエンジン10の現在の状態を示す画面、後述するシーンの参照,変更,保存等を行うための画面等を表示する。
操作子15は、キー、スイッチ、ロータリーエンコーダ等によって構成され、ユーザがミキサエンジン10を直接操作してシーンの編集等を行うための操作子である。
MIDII/O17は、MIDI規格に従ったデータを授受するためのインタフェースであり、例えば、MIDIに対応した電子楽器あるいはMIDIデータを出力するアプリケーションプログラムを備えたコンピュータ等と通信を行うために用いる。
DSP20は、波形I/O19から入力する音響信号に対し、設定されているマイクロプログラム及びその処理パラメータを定めるカレントデータに従った信号処理を施すモジュールである。このDSP20は、1つのプロセッサによって構成してもよいし、複数のプロセッサを接続して構成してもよい。
なお、ミキサエンジン10を複数カスケード接続して使用する場合には、複数のミキサエンジン10を協同的に動作させて一連の音響信号処理を行わせることが可能である。そして、PC30ではこのような音響信号処理の構成を編集し、PC30に直接接続されたミキサエンジン10を介して他のミキサエンジン10にも編集結果を転送して、各ミキサエンジン10を編集した信号処理構成に従って動作させることができる。またこの場合、信号処理構成や動作パラメータを示すデータは、PC30側で各ミキサエンジンと対応する部分に分割し、各ミキサエンジンには、それぞれそのミキサエンジンの担当範囲のデータを転送するようにするとよい。
ユーザがPC30に上記の制御プログラムを実行させると、PC30はディスプレイにグラフィック表示の表示画面として図2に示すようなCAD(Computer Aided Design)画面40を表示させ、ユーザからの編集指示を受け付ける。そして、この画面においては、編集中の信号処理構成を、その構成要素である4bandPEQ,AutoMixer等のコンポーネント(A)と、コンポーネントの出力端子(B)と入力端子(C)とを結ぶ結線(D)とによってグラフィカルに表示している。なお、コンポーネントの左側に表示した端子が入力端子、右側に示した端子が出力端子である。そして、ミキサエンジン10への入力を示すコンポーネントは出力端子のみを有し、ミキサエンジン10からの出力を示すコンポーネントは入力端子のみを有し、それ以外のコンポーネントは全て入力端子と出力端子の両方を有する。
なお、PC30は、編集中に、画面上の信号処理構成に従った信号処理に必要なリソースの量を計算しており、これがミキサエンジン10に備えるDSP20のリソースを上回った場合には、そのような処理は行えないため、ユーザにその旨を通知する。
そして、その後ユーザが各コンポーネントについて設けたパラメータ制御パネルを操作することにより、そのパラメータ記憶領域に記憶された動作パラメータを編集することができる。この処理を行う場合には、PC30のCPUがパラメータ編集手段として機能する。
また、ここで編集した結果のカレントシーンに記憶されたパラメータは、コンフィグレーション内のシーンメモリにそのコンフィグレーションに関する設定データであるシーンとして複数記憶しておき、コンフィグレーションに従ってミキサエンジン10に信号処理を行わせる際にカレントシーンに任意に呼び出すことができる。
まず、図3及び図4にPC30側で使用するデータの構成を示す。
PC30のOS上で上記の制御プログラムを実行すると、PC30はその制御プログラムによって規定されるメモリ空間に、図3及び図4に示すような各データを記憶させる。
そして、プリセットコンポーネントヘッダには、プリセットコンポーネントの種類を示す識別情報であるプリセットコンポーネントID及びそのバージョンを示すプリセットコンポーネントバージョンの情報を含み、これらによってプリセットコンポーネントを特定することができる。
ここで、このPC用プリセットコンポーネントデータのうち、構成情報中の、グラフィック表示の編集画面における編集に必要なPC用表示データや、表示・編集処理ルーチン中の、制御パネルに特性をグラフで表示するためのルーチン等は、ミキサエンジン10側の動作には必要ないデータであり、PC30側にのみ記憶させる。
そのため、各バリエーションについては、PC用表示データ、データ構成情報、および入出力構成情報をそれぞれスケーラブルに構成することができ、PC用表示データ、データ構成情報、および入出力構成情報は、1つのプリセットコンポーネントの複数のバリエーションで共通化されている。なお、入出力構成情報には、同一プリセットコンポーネント内の各バリエーションに含まれる端子及びパラメータの対応関係を示す情報も含まれる。
このようなゾーンデータのうち、管理データは、ゾーンデータを管理するためのデータであり、ゾーンデータ中に含まれるPC用コンフィグデータの数を示すコンフィグ数とシーンデータ群に含まれるシーンデータの数を示すシーン数等の情報を含む。
また、PC用CADデータには、CAD管理データと、編集された信号処理構成に含まれる各コンポーネントについてのコンポーネントデータと、それらのコンポーネント間の結線状態を示す結線データとが含まれる。なお、編集された信号処理構成に同じ種類のプリセットコンポーネントが複数含まれる場合には、それら各々に対して別々のコンポーネントデータを用意する。また、CAD管理データにはCADデータ中のコンポーネントの数を示すデータが含まれる。
また、結線データには、編集された信号処理構成に含まれる各結線について、どのコンポーネントのどの出力端子からどのコンポーネントのどの入力端子へ結線が行われているかを示す接続データ、およびPC30側の編集画面におけるその結線の形状や配置を示すPC用表示データを含む。
また、カレントバックアップデータの形式は、その用途から、後述するカレントシーンのデータ形式と同様である。
そして、ユーザがこれらのシーンデータの1つを指定することにより、ミキサエンジン10に、指定されたシーンデータに含まれるコンフィグ番号のコンフィグデータが示す音響信号処理を行わせると共に、そのコンフィグデータ中の、指定されたシーンデータに含まれる動作データ番号が示すプリセット動作データに係るパラメータの値を、音響信号処理の動作パラメータの値として使用させることができるようにしている。このような音響信号処理内容とその処理に係る動作パラメータの値の組み合わせをシーンと呼ぶ。
以上のデータは、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶手段に記憶させておき、必要な時にRAMに読み出して使用するようにしてもよい。
この点については後に詳述する。
これらの図に示すように、ミキサエンジン10側でも、プリセットコンポーネントデータとゾーンデータとを記憶させている。ただし、プリセットコンポーネントデータはフラッシュメモリ12に、ゾーンデータはRAM13に記憶させ、その構成内容はPC30側とは若干異なる。そこで、PC30側に記憶させるデータとの相違点を中心に説明する。
これ以外の点は、PC30側のプリセットコンポーネントデータと同様であり、IDやバージョンについては、PC30側の対応するセットやコンポーネントと同じものを用い、対応関係が認識できるようにしている。
これ以外の点は、PC30側のコンフィグデータと同様であり、IDやバージョンについては、やはりPC30側の対応するコンフィグやコンポーネントと同じものを用い、対応関係が認識できるようにしている。
ここで、リソースの割り当てに基づいてマイクロプログラムを加工しているのは、ミキサエンジン10に備えたDSP20のアーキテクチャに対応させたものであり、別のアーキテクチャであれば、マイクロプログラム自体を加工する代わりに、例えば、割り当てたリソースに応じたパラメータをDSP20に設定するようにすべき場合もある。
まず、バリエーションの用途及び機能について、入力端子数に関するバリエーションを有するオートミキサ(AutoMixer)を例に取り、図2及び図7を用いて説明する。オートミキサは、入力のうち最大レベルのものをそのまま出力し、他の入力を減衰させるコンポーネントである。
逆に、図7に示したように6つの入力端子を全て使用している状態から、破線で示した入力部を削除した場合等には、もはや入力端子は4つでよい。そこで、より入力端子の少ない4入力のものに変更することにより、DSP20における信号処理に必要なリソースを低減することができる。
そして、このような処理が可能となったのは、処理の基本的な機能が同一なコンポーネント群について、バリエーションという特別の定義を与え、元のコンポーネントと置き換え後のコンポーネントの対応関係を容易に認識できるようにしたためである。
まず、図8にプロパティ設定画面の例を示す。
図2や図7に示したCAD画面40において、画面に配置されたコンポーネントを選択し、メニューからプロパティの変更を選択すると、図8に示すようなプロパティ設定画面60がポップアップウィンドウとして表示される。
この画面は、ラベル設定部61、幅設定部62、高さ設定部63、バリエーション設定部64、色設定キー65、キャンセルキー66、OKキー67を有する。
また、バリエーション設定部64により、選択されたコンポーネントを、対応するプリセットコンポーネント中のどのバリエーションのコンポーネントにするかを設定することができる。そして、このバリエーション設定部64はプルダウンメニューになっており、右側の逆三角形のアイコンをクリックすると、図9に示すようなメニューが表示され、バリエーションを選択することができる。
このとき、コンポーネントの幅、高さ、バリエーション、色等が変更されていれば、変更後の設定に従ってCAD画面40を再描画する。また、変更後のプロパティデータは、図4に示したPC用CADデータ中のプロパティデータとして記憶しておく。
まず、図11に、オートミキサのバリエーションの例として、4入力,6入力,8入力のオートミキサコンポーネントの表示例をそれぞれ示している。ただし、各端子に付した番号は、CAD画面上に表示させる必要はない。
このミキサシステムにおいて、図11に示した各バリエーション間においては、同じ番号を付した端子同士が対応するものとしている。そしてこのうち、右側の出力端子については、どのバリエーションにも1つずつであるから、これらを対応させることは当然と言える。そして、左側の入力端子については、上側に表示する端子から順に番号を付し、端子数を増加させる場合には下側に端子を追加し、端子数を減少させる場合には下側から端子を削除するようにしている。
この対応関係は、異なるバリエーション間でのパラメータの対応関係を把握するために使用することができる。
この図に示すように、4入力のオートミキサにおいては、パラメータはエレメントE1乃至E5によって構成され、このうちエレメントE3が入力を制御するための動作パラメータ群である。そして、4入力であるので、エレメントE3[1]乃至E3[4]として、各入力端子に対応するエレメントE3のパラメータ記憶領域を設けている。
一方、6入力のオートミキサについても、4入力のオートミキサと処理の基本部分が共通であることから、設定すべきパラメータも共通であり、4入力の場合と同じくエレメントE1乃至E5によって構成されている。しかし、入力端子数が6であることから、エレメントE3については、E3[1]乃至E3[6]の6つを設けている。
これは、オートミキサ以外についても同様に考えることができる。なお、各バリエーションにおけるエレメント構成や、各エレメント中に含まれるパラメータの種類については、プリセットコンポーネントデータ中のデータ構成情報の部分に記載するようにしている。
図13(a)には、図12に示したエレメントE1やE2のように、同一のエレメントが1つだけ存在する場合の例を示している。この場合には、その1つのエレメントの内容を記憶するための記憶領域を確保すればよい。
図13(b)には、図12に示したエレメントE3のように、同一のエレメントが1次元的に配列されて複数存在する場合の例を示している。この場合には、そのエレメントの数が最も多いバリエーションに合わせて記憶領域を確保すればよい。
単に容量だけを考えるのであれば、8つ分のエレメントを記憶する領域を確保すれば足りるが、処理の単純化を考慮した場合には、全てのバリエーションについて配列の形式を変更せずにパラメータを記憶できるように記憶領域を確保することが好ましい。
3次元以上の形式でエレメントが配列される場合でも、同様である。
まず、図14に、信号処理構成の編集中に新たなコンポーネントの配置が指示された場合にPC30側で実行する処理を示す。
PC30のCPUは、図2又は図7に示したようなCAD画面において新たなコンポーネントの配置が指示された場合、図14のフローチャートに示す処理を開始する。
そしてまず、使用中のコンフィグデータ、すなわち編集中の信号処理構成と対応するコンフィグデータ中のPC用CADデータに、指示に従ってコンポーネントデータを追加する(S11)。この処理においては、PC30のCPUが構成要素編集手段として機能する。
また、図示は省略するが、PC用CADデータが変更された場合には、変更後のデータに基づくCAD画面の再描画を適宜行うものとする。以後のフローチャートに示す処理についても同様である。
また、信号処理構成が編集された場合にはミキサエンジン10側とのオンライン状態は自動的に解消するようにしているので、この処理に対応するミキサエンジン10側の処理は特に用意していない。以下の図15,図16及び図21に示す処理についても同様である。
PC30のCPUは、図8に示したプロパティ設定画面等によりコンポーネントのバリエーションの変更が指示された場合、図15のフローチャートに示す処理を開始する。
そしてまず、変更が指示されたコンポーネントと対応するコンポーネントデータ中のプロパティデータにおけるバリエーションのデータを、指示に従って変更する(S21)。
次に、バリエーションが変更されていないものも含め、各コンポーネントについて選択されているバリエーションに係るパラメータを記憶している領域にアクセスするためのルーチンを準備する(S22)。すなわち、カレントシーンの記憶領域内で使用する領域の範囲を変化させ、PC30が変更後のバリエーションに係るパラメータを使用するようにする。また、ルーチンについてバリエーションが変更されたコンポーネントに係る部分のみの変更が可能であれば、その部分のみの変更でよい。この処理においては、PC30のCPUがバリエーション選択手段として機能する。
以上の処理により、編集中の信号処理構成におけるコンポーネントを、ユーザの指示に従って異なるバリエーションのものに置き換えることができる。
また、バリエーションを規模の小さいものに変更する場合でも、使用しなくなる範囲のパラメータを確保した記憶領域に残しておくので、その後バリエーションを元の規模の大きいものに戻す場合でも、その残しておいたデータを用いて、もともと設定されていた値を容易に復元することができる。従って、操作性を一層向上させることができる。
一方で、PC30側においては、通常はメモリの容量に余裕があることから、容量の面で多少効率の悪い使い方をしても特に問題はない。従って、少なくともPC30側においては、以上の図14及び図15に示した処理が有効であるといえる。
PC30のCPUは、CAD画面において結線の変更が指示された場合、図16のフローチャートに示す処理を開始するが、結線の変更時はコンポーネントのパラメータを変更する必要がないので、この処理は単に指示に従って結線データを変更するのみである(S31)。この処理においては、PC30のCPUが結線編集手段として機能する。
PC30のCPUは、CAD画面あるいはその他の操作画面においてミキサエンジン10とのオンラインモードへの移行が指示されると、図17のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、まず全てのコンフィグデータについて、PC用CADデータをコンパイルしたエンジン転送用CADデータを用意する(S41)。ここでコンパイルの処理を行ってもよいし、以前にコンパイルした時点からデータに変更がなければ、以前コンパイルしたデータをそのまま使用してもよい。
なお、ミキサエンジン10側においては、PC30側と異なり、DSP20での信号処理に使用する範囲のパラメータを記憶するのに十分な領域しかカレントシーンの記憶領域を設けていないので、ステップS43で他のデータと異なる取り扱いをするようにしたものである。逆に言えば、このような処理を行うようにしたことにより、ミキサエンジン10側では全てのバリエーションに対応するパラメータを記憶するだけの記憶領域を設けなくてもよくなっているのである。また、図示は省略したが、ミキサエンジン10側では、これらの処理で転送されてきたデータを受信すると、適切な記憶領域に記憶し、その結果をPC30に返す。
このオンラインモードにおいては、常にPC30側とミキサエンジン10側でカレントシーンのうち少なくとも信号処理に反映させる部分の内容は同一になるようにし、バリエーションや結線の変更も含めてPC30側で信号処理構成が変更された場合に自動的に非オンラインモードに移行するようにすることは、上述した通りである。
また、オンラインモードへ移行するとき、このミキサシステムでは、プリセットやカレントシーンの動作データをPC30からミキサエンジン10へ転送して、PC30とミキサエンジン10とでデータを同期させるようになっていたが、逆方向、すなわち、ミキサエンジン10からPC30にデータを転送して同期化するようにしたり、あるいはユーザがその転送方向を指定できるようにしてもよい。
PC30のCPUは、CAD画面あるいはその他の操作画面においてシーンの保存指示を受けると、図18のフローチャートに示す処理を開始する。そして、ミキサエンジン10がオンラインモードで動作中(以下「オンライン状態」という)であれば、ステップS51からS52へ進み、ミキサエンジン10にシーンj保存命令を送出してステップS53に進む。この命令は、ミキサエンジン10にPC30側と同様にシーンjの保存を行うよう指示するためのものである。また、このような命令を送出するのは、PC30とミキサエンジン10とでシーンデータやプリセット動作データの内容を同一に保つことにより、シーンを呼び出した場合でもカレントシーンの同期を保てるようにするためである。
一方、ミキサエンジン10が非オンラインモードで動作中(以下「非オンライン状態」という)であれば、そのままステップS53に進む。
その後、保存先のシーンjが新規のシーンであるか、既存のシーンであっても保存前とコンフィグIDが異なる場合には、ステップS54又はS55からステップS56に進み、ステップS53で書き込んだコンフィグIDが示すコンフィグデータ中に、各部分の新規プリセット動作データの記憶領域を作成する。なおここでは、カレントシーンのうちの、実際に信号処理に使用されるパラメータが記憶できるような領域を作成すればよい。その後、ステップS57でシーンデータjに作成した新規プリセット動作データを示す動作データ番号を書き込んでステップS58に進む。
保存先のシーンjが既存のシーンであってコンフィグIDに変化がない場合には、ステップS55から直接ステップS58に進む。
なお、この処理においては、保存先のシーンが既存のシーンであってコンフィグIDに変化がない場合に、シーンデータを既存のプリセット動作データに上書きする例を示したが、このようにすることは必須ではない。また、プリセット動作データは多数になる場合があるため、容量低減の観点から、実際に信号処理に使用するパラメータに応じた領域を設けているが、カレントシーンの場合と同様な記憶領域を用意し、カレントシーンの内容をそのまま保存するようにすることも考えられる。
ただし、ミキサエンジン10側においては、カレントシーンとして実際に信号処理に使用されるパラメータと対応する領域を用意するようにしているので、ステップS58では、カレントシーンの記憶領域の内容をプリセット動作データの記憶領域にそのままコピーすればよい点が、PC30側の場合と異なる。
PC30のCPUは、CAD画面あるいはその他の操作画面においてシーンの呼び出し指示を受けると、図19のフローチャートに示す処理を開始する。そして、ミキサエンジン10がオンライン状態であれば、ステップS61からS62へ進み、ミキサエンジン10にシーンj呼出命令を送出してステップS63に進む。この命令は、ミキサエンジン10にPC30側と同様にシーンjの呼び出しを行うよう指示し、シーンの呼び出し後にも双方でカレントシーンの同一性を保てるようにするためのものである。また、この命令により、ミキサエンジン10に、呼び出し指示を受けたシーンjの内容に従った音響信号処理を実行させることができる。一方、ミキサエンジン10が非オンライン状態であれば、ステップS61から直接ステップS63に進む。
その後、ステップS63で読み出したコンフィグIDを使用するコンフィグのIDとして設定し(S66)、そのIDのコンフィグデータに基づいてカレントシーンの記憶領域を確保し(S67)、その中で信号処理に使用する範囲(選択されているバリエーションと対応する範囲)のパラメータにアクセスするためのルーチンを準備し(S68)、必要に応じてPC用表示データ等へのアクセスを準備し(S69)、新たなコンフィグに係る信号処理構成の表示を行うことができるようにして、ステップS70以降の処理に進む。なお、ステップS67及びS68の処理は、図14のステップS12及びS13の処理を、使用するコンフィグ中の全てのコンポーネントに関して行うものと考えることができる。
そして、ステップS70及びS71では、シーンデータj中の動作データ番号を読み出し、信号処理に使用中のコンフィグデータから、その読み出した番号のプリセット動作データをカレントシーンの記憶領域にコピーして処理を終了する。ただし、カレントシーンの記憶領域は、各コンポーネントのどのバリエーションと対応するパラメータでも記憶できるように確保している一方、プリセット動作データには、信号処理に使用する範囲のパラメータしか含まれていないので、ステップS71でのコピーはパラメータのエレメント毎に適切な領域に行うものとする。
このような処理により、PC30は、指定されたシーンに係る信号処理構成及びその構成に従った信号処理に使用するパラメータを呼び出すと共に、ミキサエンジン10に対してその信号処理構成及びパラメータに従った信号処理の実行を指示することができる。
ミキサエンジン10のCPU11は、PC30が図19のステップS62で送出したシーンj呼出命令を受信すると、図20のフローチャートに示す処理を開始する。
この処理においては、まずステップS81でシーンデータj中のコンフィグIDを読み出す。そして、そのIDが信号処理に使用中のコンフィグのIDと同じでなければ、ステップS82からステップS83乃至S86に進む。そして、ステップS81で読み出したコンフィグIDを自身が使用するコンフィグのIDとして設定し(S83)、そのIDのコンフィグデータ中のエンジン用CADデータをワーク領域に読み出して(S84)、そのCADデータに基づいてプリセットコンポーネントデータ等を参照し、設定したコンフィグに係る信号処理を行わせるためのマイクロプログラムを生成してこれをDSP20に設定する(S85)。その後、読み出したCADデータに基づいてカレントシーンの記憶領域を確保して(S86)、ステップS87以降の処理に進む。
そして、ステップS87乃至S89では、シーンデータj中の動作データ番号を読み出し(S87)、使用中のコンフィグデータから、その読み出した番号のプリセット動作データをカレントシーンの記憶領域にコピーし(S88)、コピー後のカレントシーンのパラメータの値に応じた係数をDSP20に供給して信号処理を実行させ(S89)て処理を終了する。
このような処理により、ミキサエンジン10は、呼び出しを指示されたシーンに係る信号処理構成及びパラメータに従った信号処理を実行することができる。そして、このとき信号処理に使用されるのは、各コンポーネントについて選択されているバリエーションと対応する範囲のパラメータである。
PC30は、図示は省略したが、ゾーンデータ中の各コンフィグとそのコンフィグに含まれる各コンポーネントとをツリー形式で表示するナビゲータウィンドウをディスプレイに表示させることができる。そしてユーザは、このナビゲータウィンドウ中でコンフィグを表示する部分をダブルクリックすることにより、そのコンフィグを編集対象として選択することができる。そしてPC30は、この選択指示を受けると、図21に示した処理を実行し、使用するコンフィグデータを選択されたものに変更する。なおこのとき、図示は省略したが、動作モードを非オンラインモードに切り替える。
なお、ステップS96でのコピーは、確保したカレントシーンの全領域について行うようにしてもよいし、選択されているバリエーションに対応するパラメータついてのみ行うようにしてもよい。
また、カレントバックアップデータを設けることに代えて、コンフィグ毎にカレントシーンを用意するようにしてもよい。すなわち、コンフィグが新たに選択された場合に、それまでのカレントシーンを残したまま選択したコンフィグについてのカレントシーンの記憶領域を確保し、元のコンフィグが再度選択された場合には、残しておいたカレントシーンをそのまま使用するようにしてもよい。このようにしても、カレントバックアップデータを使用した場合と同様に、以前のカレントシーンの状態を再現することができる。ただし、これらのカレントシーンの再現機能は、必須ではない。
Claims (3)
- 処理内容をプログラム可能な音響信号処理部を有する音響信号処理装置に実行させる音響信号処理内容を、それぞれ入力端子と出力端子を有する複数の信号処理コンポーネントと、該信号処理コンポーネントの出力端子と入力端子との間を結ぶ結線とに基づいて規定し、該信号処理コンポーネント及び結線からなる信号処理の構成を編集する編集装置であって、
それぞれ入力端子及び/又は出力端子を有し、前記信号処理の構成の要素となるべき複数の信号処理コンポーネントを定義する定義データであって、前記複数の信号処理コンポーネントのうち少なくとも一部の信号処理コンポーネントを信号処理に使用するパラメータの個数が異なる複数のバリエーションを有するものとして定義する定義データを記憶する第1の記憶手段と、
ユーザ操作に応じて、前記信号処理の構成に対する、前記第1の記憶手段に記憶された定義データにより定義される信号処理コンポーネントのいずれかの追加、又は前記信号処理の構成に追加されている信号処理コンポーネントのいずれかの削除を行う構成要素編集手段と、
ユーザ操作に応じて、前記信号処理の構成に対し、その構成に含まれる信号処理コンポーネントの出力端子と入力端子との間を結ぶ結線の追加、変更又は削除を行う結線編集手段と、
前記信号処理のためのパラメータを記憶する記憶手段であって、前記信号処理に含まれる各信号処理コンポーネントに対応するパラメータ記憶領域が用意され、前記バリエーションが存在する信号処理コンポーネントについては、そのいずれのバリエーションであっても全パラメータを記憶可能なパラメータ記憶領域が用意される第2の記憶手段と、
前記信号処理に含まれる信号処理コンポーネントのうちの前記バリエーションを有する信号処理コンポーネントについて、その複数のバリエーションの1つの選択の指示を受け付け、該指示を受け付けた信号処理コンポーネントを、前記定義データに基づいて、該信号処理コンポーネントに対応して用意された前記パラメータ記憶領域に記憶されたパラメータの値を維持したまま、前記選択されたバリエーションの信号処理コンポーネントに変更するバリエーション選択手段と、
ユーザ操作に応じて、前記各信号処理コンポーネントに対応して用意されたパラメータ記憶領域に記憶されたパラメータの値を編集する手段であって、前記バリエーションを有する信号処理コンポーネントについては該信号処理コンポーネントに対応して用意されたパラメータ記憶領域に記憶されているパラメータのうち前記バリエーション選択手段により選択されているバリエーションに対応するパラメータを編集対象とするパラメータ編集手段とを設けたことを特徴とする編集装置。 - 請求項1記載の編集装置であって、
前記信号処理の構成を前記音響信号処理装置に供給すると共に、前記第2の記憶手段の前記各信号処理コンポーネントに対応して用意されたパラメータ記憶領域に記憶されているパラメータを前記音響信号処理装置に供給し、該音響信号処理装置に、供給したパラメータに基づき供給した構成の信号処理を行わせる手段であって、前記バリエーションを有する信号処理コンポーネントについては、該信号処理コンポーネントに対応して用意されたパラメータ記憶領域に記憶されているパラメータのうち前記バリエーション選択手段により選択されているバリエーションに対応するパラメータを前記音響信号処理装置に供給する同期化手段を設けたことを特徴とする編集装置。 - コンピュータを、
処理内容をプログラム可能な音響信号処理部を有する音響信号処理装置に実行させる音響信号処理内容を、それぞれ入力端子と出力端子を有する複数の信号処理コンポーネントと、該信号処理コンポーネントの出力端子と入力端子との間を結ぶ結線とに基づいて規定し、該信号処理コンポーネント及び結線からなる信号処理の構成を編集する編集装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
それぞれ入力端子及び/又は出力端子を有し、前記信号処理の構成の要素となるべき複数の信号処理コンポーネントを定義する定義データであって、前記複数の信号処理コンポーネントのうち少なくとも一部の信号処理コンポーネントを信号処理に使用するパラメータの個数が異なる複数のバリエーションを有するものとして定義する定義データを記憶する第1の記憶手段と、
ユーザ操作に応じて、前記信号処理の構成に対する、前記第1の記憶手段に記憶された定義データにより定義される信号処理コンポーネントのいずれかの追加、又は前記信号処理の構成に追加されている信号処理コンポーネントのいずれかの削除を行う構成要素編集手段と、
ユーザ操作に応じて、前記信号処理の構成に対し、その構成に含まれる信号処理コンポーネントの出力端子と入力端子との間を結ぶ結線の追加、変更又は削除を行う結線編集手段と、
前記信号処理のためのパラメータを記憶する記憶手段であって、前記信号処理に含まれる各信号処理コンポーネントに対応するパラメータ記憶領域が用意され、前記バリエーションが存在する信号処理コンポーネントについては、そのいずれのバリエーションであっても全パラメータを記憶可能なパラメータ記憶領域が用意される第2の記憶手段と、
前記信号処理に含まれる信号処理コンポーネントのうちの前記バリエーションを有する信号処理コンポーネントについて、その複数のバリエーションの1つの選択の指示を受け付け、該指示を受け付けた信号処理コンポーネントを、前記定義データに基づいて、該信号処理コンポーネントに対応して用意された前記パラメータ記憶領域に記憶されたパラメータの値を維持したまま、前記選択されたバリエーションの信号処理コンポーネントに変更するバリエーション選択手段と、
ユーザ操作に応じて、前記各信号処理コンポーネントに対応して用意されたパラメータ記憶領域に記憶されたパラメータの値を編集する手段であって、前記バリエーションを有する信号処理コンポーネントについては該信号処理コンポーネントに対応して用意されたパラメータ記憶領域に記憶されているパラメータのうち前記バリエーション選択手段により選択されているバリエーションに対応するパラメータを編集対象とするパラメータ編集手段として機能させるためのプログラム。
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