JP4062369B2 - O−置換ヒドロキシルアンモニウム塩の製造方法 - Google Patents

O−置換ヒドロキシルアンモニウム塩の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、以下の式(I)
2 NOR x HX (I)
で表わされ、かつRがそれぞれハロゲン置換されていてもよい、C1 −C6 アルキルまたはC2 −C6 アルケニルを、Xが塩素または臭素を意味する場合のO−置換ヒドロキシルアンモニウム塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
上記化合物(I)は、医薬、植物保護剤を製造するための重要な中間生成物である。例えばヨーロッパ特願公開253213号公報に、このような有効物質が記載されている。
【0003】
ヒドロキシルアンモニウムを個々の工程を経て製造する方法は原則的に公知である。ヒドロキシルアミンを保護基Aと結合させることにより、N−ジ置換ヒドロキシルアミンが得られる。これは次いで酸素原子において求電子的置換され、第3工程において、鉱酸による分解で保護基を遊離させ、かつ化合物(I)を形成する。
【0004】
2 NOH → NOH
A=NOH + RY → A=NOR′
A=NOR + HX → N2 NOR′x HX
(R′は例えばアルキル、X、Yは例えばClまたはBr)
個々の工程は、例えばホウベン/ワイルのメトーデン、デル、オルガニッシェン、ヘミー(1971年、第4版)10/1巻、1181頁以降、および同1968年、第4版、10/4巻、55頁以降に記載されている。保護基Aは例えばフタロイル基、2個のスルホナート基または2−プロピリデン基である。第1工程におけるアセトンオキシムの製造は、例えば上記ホウベン/ワイルの10/4巻、58頁に記載されており、水性媒体中で行われる。アセトンオキシムのアルキル化は、例えばホウベン/ワイルの10/4巻、220頁以降、ヨーロッパ特願公開23460号、同158150号各公報に記載されている。
【0005】
この反応条件における好ましくない副反応は、上記文献においては、ニトロンをもたらすN−メチル化であって、これによりO−置換生成物の収量は著しく低減される(ホウベン/ワイルの10/4巻、220頁)。
【0006】
アセトンオキシムメチルエーテルの鉱酸による分解は、例えばホウベン/ワイルの10/1巻、1186頁以降に記載されている。しかしながら、この分解反応は、アセトンを蒸留除去して均衡を失わせるときにのみ、満足すべき収率をもたらし得る。(ヨーロッパ特願公開259850号、同591798号各公報参照)。
【0007】
しかしながら、アルコキシアミンを大量に製造する場合、上述した3段の個別的工程の反応を効率的な一方法とするには、以下のような障害がある。すなわち(1)中間工程における単離、精製を濾過ないし蒸留で行うのは余りにも高コストを必要とし、また全工程を通じての収率は不満足なものである。
【0008】
(2)アルキル化に際して一般的に使用されるべき極性もしくはプロトン性溶媒(ヨーロッパ特願公開23560号および同121701号各公報参照)は、次段の加水分解を阻害し、そのためにO−置換オキシムから完全に分離して返還されねばならない。非極性、中性溶媒、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサンを使用する場合には、ヨーロッパ特願公開158159号公報によれば、オキシムを第2工程において著しく過剰量使用せねばならず、これもまた面倒な処理により分離しなければならない。
【0009】
【解決しようとする課題】
そこでこの技術分野において解決されるべき課題ないし本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を回避、克服し得る簡単な製造方法を見出し、これを提供することである。この要求と共に製造装置のコストが低廉であり、全体的な収率が満足すべきものであり、これと共に方法が効率的でなければならない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
しかるに上述の課題ないし目的は、中間工程における単離ないし分離を行うことなく、一貫した特徴的方法により解決ないし達成されることが本発明者らにより見出された。
【0011】
この特徴的方法によれば、目的化合物(I)の製造は(a)アセトンを硫酸ヒドロキシアンモニウムおよび苛性ソーダ溶液と反応させて以下の式(II)
【0012】
【化4】
Figure 0004062369
のアセトンオキシムとし、
(b)得られたアセトンオキシム溶液に苛性ソーダ溶液を添加して、反応水を完全に除去し、
(c)得られたアセトンオキシム−Na塩III
【0013】
【化5】
Figure 0004062369
と、アルキル化剤IV
RY (IV)
(Rは式Iについて上述した意味を有し、Yは求核性出発基を意味する)とを、0.5から15バールの圧力、140℃までの温度で、場合により相転移触媒を添加して、反応させて、以下の式(V)
【0014】
【化6】
Figure 0004062369
のアセトンオキシムエーテルとし、
(d)このアセトンオキシムエーテルを酸HXで分解して、上記目的物Iを得る方法の全工程(a)から(d)において、単一の非極性、中性溶媒を使用し、中間工程において単離することなく、一貫して行なうことができる。
【0015】
この本発明による新規の方法によれば、煩雑な全反応工程は、同一の、反応水を除去するための帯同剤としてことに適当な、非プロトン性有機溶媒の存在下に行われる。
【0016】
好ましい溶媒は芳香族、脂肪族、脂環式の炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、o−、m−またはp−キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンであって、トルエンがことに好ましい。
【0017】
本発明方法の各工程が、以下の反応式で示される。
【0018】
【化7】
Figure 0004062369
まず、硫酸ヒドロキシルアンモニウムをアセトンおよび苛性ソーダ溶液と反応させてアセトンオキシム(II)とし、さらに苛性ソーダ溶液を添加して反応水を共沸的に除去し、アルキル化してアセトンオキシムエーテル(V)とする。このエーテル(V)を精製することなく、酸HXで分解して所望のアンモニウム塩(I)を得る。
【0019】
第1反応工程は、それ自体公知の態様で水性媒体中で行われ、得られたオキシム(II)を溶媒で抽出する。この生成物溶液をさらに精製することなく、化合物(II)に対して苛性ソーダのほぼ等モル量、例えば0.8から1.2モル、ことに1.0モルの苛性ソーダ溶液を添加して、ナトリウム塩(III)を形成すると共に、トルエン/水を共沸的に除去し、アセトンオキシムナトリウム塩のトルエン懸濁液をアルキル化剤RYと反応させる。アルキル化剤としては、C1 −C6 アルキルないしC2 −C6 アルケニルのハロゲン化物、ことに塩化物、臭化物を使用し得る。そのほかに、ジメチルスルファートのようなジアルキルスルファートも使用し得る。
【0020】
アルキル化剤は公知文献に記載されている量割合で使用される。アルキル化剤に対してオキシム塩を過剰量使用することは、本発明においては全く不必要である。
【0021】
アセトンオキシムエーテルVをもたらすためのアルキル化反応は、140℃まで、例えば20から140℃、ことに30から80℃の温度、0.5から15バール、ことに1から4バールの圧力下で行われる。
【0022】
このアルキル化は、場合によりテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、4級ホスホニウム塩のような反応促進効果を有する、相転移触媒の触媒的量を添加して行われ得る。上記塩の例として、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミドが挙げられる。
【0023】
水による抽出後、オキシムエーテル(V)は直ちに有機溶媒、例えばトルエン中において、HBr、ことに塩酸のような酸の濃水溶液により分解され、同時に、アセトン、溶媒および希釈されたHXの混合物が蒸留除去される。生成物、H2 NOR x HXは、反応の末期において水に溶解され、次の反応のためにそのまま使用されるか、または慣用の方法で単離される。
【0024】
あるいはまた、オキシムエーテル(V)は、トルエン溶液から酸濃水溶液、例えば濃塩酸により抽出され、次いで加熱蒸留除去下にアセトンにより分解される。
【0025】
本発明方法により、式中のRが場合によりそれぞれハロゲン化されていてもよいC1 −C6 アルキルまたはC2 −C6 アルケニルを意味する場合のアンモニウム塩(I)が得られる。生物学的作用化合物を製造するための中間生成物であるので、この化合物(I)のRとしては、場合によりハロゲン置換、例えば弗素、塩素または臭素によりモノ置換、ジ置換またはトリ置換されていてもよい。ことにC1 −C4 アルキルまたはC2 −C4 アルケニルを意味するのが好ましく、ことにメチルを意味するのが好ましい。
【0026】
以下の実施例により本発明方法をさらに具体的に説明する。達成された収率は予想外に高く、また実験処理は中間工程の従来の処理よりも著しく簡単に行われ得る。
【0027】
【実施例】
中間工程における生成物の単離を行うことなく、メトキシアミンヒドロクロリドを製造する方法
実施例1
980ミリリットルの水、390gのトルエン、328gの硫酸ヒドロキシルアンモニウム、320gの苛性ソーダ50%溶液および232gのアセトンを、pH5において約1時間攪拌した。水性相をそれぞれ460ミリリットルのトルエンで2回抽出し、トルエン抽出液は抽出相に合併した。320gの濃苛性ソーダ溶液を添加して、250gの反応水を除去した。得られた結晶泥に50℃の温度、2バールの圧力下、210gのメチルクロリドを添加し、50℃において5時間烈しく攪拌した。800gの水で抽出した後、トルエン相に592gの濃塩酸を添加し、トルエン/アセトン/塩酸を還流下に蒸留除去した。8時間後に、冷却し、トルエン相を分離して、238gのメトキシアミンヒドロクロリドを含有する水性相を得た。対アセトン収率(全工程)71%。
【0028】
実施例2
980ミリリットルの水、390gのトルエン、328gの硫酸ヒドロキシルアンモニウム、320gの苛性ソーダ50%溶液および232gのアセトンをpH5で約1時間攪拌した。水性相をそれぞれ460ミリリットルのトルエンで2回抽出し、トルエン抽出液をトルエン相に合併した。320gの苛性ソーダ濃溶液を添加し、反応水250gを除去した。得られた結晶泥に1.5gのテトラブチルアンモニウムブロミドを添加し、50℃で5時間烈しく攪拌した。800gの水で抽出した後、750gの濃塩酸でトルエン相を抽出し、得られた酸性抽出液を最大限100℃で蒸留処理した。アセトンを完全に蒸留除去した後、400gの水で希釈した。得られた30%溶液には230gのメトキシアミンヒドロクロリドが含有されていた。対アセトン収率69%。
【0029】
文献記載収率との対比考察
アセトンオキシムの製造は、収率約90%で成功である。アセトンオキシム−O−メチルエーテルは、ヨーロッパ特願公開23560号公報によれば、最大限62%の収率で得られるとされている。メトキシアミンヒドロクロリドへの分解は、ヨーロッパ特願公開591798号公報によれば、90%の収率で成功である。従って、各工程の個々の収率の乗数はわずか50%に過ぎない。従って、全工程を経ての上記収率は、極めて高いと言うことができる。

Claims (7)

  1. 以下の式(I)
    2 NOR x HX (I)
    で表わされ、かつRがそれぞれハロゲン置換されていてもよいC1 −C6 アルキルまたはC2 −C6 アルケニルを意味し、Xが塩素または臭素を意味するO−置換ヒドロキシルアンモニウム塩の製造方法であって、
    (a)アセトンを硫酸ヒドロキシルアンモニウムおよび苛性ソーダ溶液と反応させて以下の式(II)
    Figure 0004062369
    のアセトンオキシムとし、
    (b)得られたアセトンオキシム溶液に苛性ソーダ溶液を添加して、反応水を完全に除去し、
    (c)得られたアセトンオキシム−Na塩III
    Figure 0004062369
    と、アルキル化剤IV
    RY (IV)
    (Rは式Iについて上述した意味を有し、Yは求核性出発基を意味する)とを、0.5から15バールの圧力、140℃までの温度で、場合により相転移触媒を添加して、反応させて、以下の式(V)
    Figure 0004062369
    のアセトンオキシムエーテルとし、
    (d)このアセトンオキシムエーテルを酸HXで分解して、上記目的物Iを得る方法の全工程(a)から(d)において、単一の非極性、中性溶媒を使用し、中間工程において単離することなく、一貫して行なうことを特徴とする方法。
  2. 溶媒としてトルエン、キシレン、ヘキサンまたはシクロヘキサンを使用することを特徴とする、請求項(1)の方法。
  3. 溶媒としてトルエンを使用することを特徴とする、請求項(1)の方法。
  4. アルキル化剤として塩化メチルを使用することを特徴とする、請求項(1)の方法。
  5. 相転移触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミドを使用することを特徴とする請求項(1)の方法。
  6. 酸HXとして濃塩酸を使用することを特徴とする、請求項(1)の方法。
  7. アセトンオキシム(II)を、ほぼ当モル量の苛性ソーダ溶液と反応させてナトリウム塩(III)に転化させることを特徴とする、請求項(1)の方法。
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