JPH0543504A - フルオロ置換ベンズアルデヒドの分離方法 - Google Patents

フルオロ置換ベンズアルデヒドの分離方法

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JPH0543504A
JPH0543504A JP22500891A JP22500891A JPH0543504A JP H0543504 A JPH0543504 A JP H0543504A JP 22500891 A JP22500891 A JP 22500891A JP 22500891 A JP22500891 A JP 22500891A JP H0543504 A JPH0543504 A JP H0543504A
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紀之 小澤
Kazuto Umetsu
一登 梅津
Tatsuo Sugiyama
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フルオロ置換ベンズアルデヒド、フルオロ置
換ベンジルハライド及びフルオロ置換安息香酸からなる
混合物から、フルオロ置換ベンジルハライドを単離する
ことなく、フルオロ置換ベンズアルデヒドを高純度、高
収率で分離する。 【構成】 上記混合物をアルカリ水溶液で処理してフル
オロ置換安息香酸をアルカリ金属塩として分離し、残っ
たフルオロ置換ベンジルハライドとフルオロ置換ベンズ
アルデヒドの混合物に、アンモニア水を加えてシッフ塩
基を含有する油状物とし、さらに鉱酸で加水分解してフ
ルオロ置換ベンジルアミンを鉱酸塩として水層に抽出
し、分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルオロ置換ベンズア
ルデヒドの分離方法に関し、さらに詳しくは、フルオロ
置換ベンジルハライド、フルオロ置換ベンズアルデヒド
及びフルオロ置換安息香酸からなる混合物から、農薬及
び医薬の中間体として有用な高純度のフルオロ置換ベン
ズアルデヒドを分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フルオロ置換ベンズアルデヒド
は、医薬、農薬などの重要な合成中間体として注目され
ている。フルオロ置換ベンズアルデヒドの一般的な製法
としては、フルオロ置換トルエンを側鎖ハロゲン化し、
その反応生成混合物よりベンザルハライド類を分離精製
し、加水分解する方法が知られている。この方法におい
て中間体として生成する側鎖ハロゲン化物類は沸点が近
いため、精留によりベンザルハライド類のみを他の側鎖
ハロゲン化物から純度良く分離するには高段数の精留塔
を使用しなければならず、従って、この方法は、特にフ
ルオロ置換ベンズアルデヒドの比較的小規模生産が要求
されるファインケミカルズの分野では適さない方法であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の方法の問題点を解消し、フルオロ置換ベンズ
アルデヒド、フルオロ置換ベンジルハライド及びフルオ
ロ置換安息香酸からなる混合物から目的とするフルオロ
置換ベンズアルデヒドを高純度、高収率で分離する方法
を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フルオロ
置換ベンジルハライド、フルオロ置換ベンズアルデヒド
及びフルオロ置換安息香酸からなる混合物より、フルオ
ロ置換ベンズアルデヒドを収率良く分離する方法につい
て鋭意研究を重ねた結果、意外にも、一般式
【0005】
【化1】 に示した方法により、フルオロ置換ベンズアルデヒドが
高純度で分離できることを確認した。すなわち、側鎖ハ
ロゲン化物(ベンジルハライド、ベンザルハライド、ベ
ンゾトリハライドを意味する。)の混合物より、ベンザ
ルハライド類を単離精製することなく、フルオロ置換ベ
ンズアルデヒドが高純度、高収率で得られることを認
め、本発明を完成した。
【0006】本発明のフルオロ置換ベンジルハライドの
分離方法は、フルオロ置換ベンジルハライド、フルオロ
置換ベンズアルデヒド及びフルオロ置換安息香酸からな
る混合物をアルカリ水溶液で処理することにより、フル
オロ置換安息香酸をアルカリ金属塩として分離し、残っ
たフルオロ置換ベンジルハライドとフルオロ置換ベンズ
アルデヒドの混合物に、アンモニア水を加えてシッフ塩
基を含有する油状物とし、更に鉱酸で加水分解すること
によりフルオロ置換ベンジルアミンをその鉱酸塩として
水層に抽出し、フルオロ置換ベンズアルデヒドを分離す
ることを特徴とする方法である。
【0007】以下、本発明のフルオロ置換ベンズアルデ
ヒドの分離方法を詳細に説明する。本発明において原料
として使用するフルオロ置換ベンジルハライド、フルオ
ロ置換ベンズアルデヒド及びフルオロ置換安息香酸から
なる混合物は、各化合物のベンゼン核にフルオロ原子が
1〜5の範囲で任意に置換されたものでよく、またフル
オロ原子に加えて塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子
が置換基として導入されていても良い。
【0008】そのような原料混合物は、通常、核フッ素
置換トルエン誘導体を側鎖ハロゲン化して得られる反応
生成混合物を加水分解して得ることができる。核フッ素
置換トルエン誘導体の具体例としては、2−フルオロト
ルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン
等のモノフルオロトルエン類、1,2−ジフルオロトル
エン、2,3−ジフルオロトルエン、3,4−ジフルオ
ロトルエン、3,5−ジフルオロトルエン、2,5−ジ
フルオロトルエン、2,6−ジフルオロトルエン等のジ
フルオロトルエン類、1,2,3−トリフルオロトルエ
ン、3,4,5−トリフルオロトルエン、2,4,5−
トリフルオロトルエン等のトリフルオロトルエン類、
1,2,4,5−テトラフルオロトルエン、1,2,
3,4−テトラフルオロトルエン等のテトラフルオロト
ルエン類およびペンタフルオロトルエン等が挙げられ
る。また、本発明で使用する原料混合物はフルオロ置換
ベンジルハライド、フルオロ置換ベンズアルデヒドとフ
ルオロ置換安息香酸を別途混合したものであってもよ
い。
【0009】上記混合物をアルカリの水溶液で処理する
ことにより、まずフルオロ置換安息香酸がアルカリ金属
塩となり水層へ移って除去される。使用するアルカリの
水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カ
リウム、炭酸水素カリウム等の水溶液が使用される。残
ったフルオロ置換ベンジルクロリド類とフルオロ置換ベ
ンズアルデヒド類には、アンモニア水と反応させ、フル
オロ置換ベンジルクロリド類がフルオロ置換ベンジルア
ミンとなり、フルオロ置換ベンズアルデヒドと縮合しシ
ッフ塩基が得られる。またこの際、フルオロ置換ベンズ
アルデヒドが過剰に存在する場合は未反応のフルオロベ
ンズアルデヒドは残るが、過剰のアンモニアと反応し
た、一般式
【0010】
【化2】 で表わされる化合物が生成することを確かめた。この化
合物は、加水分解により、容易にフルオロ置換ベンジル
アミン類とフルオロ置換アルデヒド類となるため、これ
が副生しても何ら差し支えない。
【0011】上記反応において使用するアンモニア水の
濃度は、3〜20重量%、好ましくは5〜10重量%が
良い。反応は室温〜100℃、より好ましくは50℃〜
80℃の加温下に行う。フルオロ置換ベンジルハライド
類に対するアンモニア水のモル比率は、当モル以上20
倍モル以下、好ましくは5〜15倍モルである。上記操
作で得られるシッフ塩基は、鉱酸で加水分解するとフル
オロ置換ベンズアルデヒドとフルオロ置換ベンジルアミ
ン類とになるが、フルオロ置換ベンジルアミン類はその
鉱酸塩として水層に溶解するため、フルオロ置換ベンズ
アルデヒド類が油状物質として析出する。得られたフル
オロ置換ベンズアルデヒド類は分液または溶媒抽出によ
り容易に回収することができる。
【0012】この際使用する鉱酸類としては、塩酸、硫
酸等が挙げられる。中でも塩酸の使用が好ましく、その
使用量は当量以上、好ましくは1〜6当量で良い。塩酸
の濃度は1〜35重量%、好ましくは2〜10重量%で
用いられる。一方、フルオロ置換ベンジルアミン類に関
しては、水層を水酸化ナトリウム等の塩基でアルカリ処
理することにより、容易にしかも純度良く取り出すこと
が可能である。
【0013】
【発明の効果】本発明の方法、すなわち、フルオロ置換
ベンジルハライド、フルオロ置換ベンズアルデヒド及び
フルオロ置換安息香酸からなる混合物を原料とし、本発
明の前記式1に従った操作によれば、従来方法では考え
られ無かった高純度、高収率でフルオロベンズアルデヒ
ド類が分離できる。また、本発明の方法によれば、側鎖
ハロゲン化物類よりベンザルハライド類を単離精製しな
くても、その加水分解した混合物よりフルオロ置換ベン
ズアルデヒドが高純度、高収率で分離できる。更に、本
発明は、フルオロ置換ベンズアルデヒドばかりで無く、
各々の工程で生成するフルオロ置換安息香酸およびフル
オロ置換ベンジルアミンも高純度で分離が可能であると
いう特長を有し、これらの化合物の分離方法としても優
れている。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明のフルオロ置換ベ
ンズアルデヒドの分離方法を具体的に説明する。 (製造例1)4−フルオロトルエン(1.0モル)を9
0〜160℃において、2倍モルの臭素を用いて処理
し、4−フルオロベンジルブロミド:4−フルオロベン
ザルブロミド:4−フルオロベンゾトリブロミド=4.
2:91.3:4.5(重量比)の組成物を得た。次い
で、酸化亜鉛を触媒とし、この組成物を水と反応させ加
水分解反応液を得た。
【0015】(実施例1) (4−フルオロベンズアルデヒドの分離)攪拌機、温度
計、及び還流冷却器を備えた500ml四ツ口フラスコ
に、製造例1で得た加水分解反応液に濃度2.72重量
%の水酸化ナトリウム溶液120mlを加え、4−フルオ
ロ安息香酸を塩として分離し、4−フルオロベンジルブ
ロミドと4−フルオロベンズアルデヒドの混合物(以
下、混合物Aという。)を96.1g得た。次に、攪拌
機、温度計、及び還流冷却器を備えた500ml四ツ口フ
ラスコに7%アンモニア水110ml(NH3 として0.
44モル)を仕込み、フラスコの温度を70〜75℃に
保ちながら、上記で得た混合物A、96.1gを一挙に
加え、3時間反応させた。反応終了後、しばらく静置し
分離した油層を分液した。別に攪拌機、温度計及び還流
冷却機を備えた500ml四ツ口フラスコに9.3重量%
塩酸319.6g(HClとして0.81モル)を仕込
み、この中へ前記のようにして分液した油層を加え、室
温で1時間攪拌した。このようにして2層に分かれた反
応液が得られたので、これにトルエン90gを加え、分
液し、水層に再度トルエン90gを加え抽出、分液し、
油層を取り出し、前記の油層と合わせ乾燥した後、減圧
蒸留し、沸点の留分として4−フルオロベンズアルデヒ
ド74.1gを得た。これは4−フルオロベンザルブロ
ミド基準の収率で76.8%であった。
【0016】(製造例2)4−フルオロトルエン(5.
0モル)を105℃において、1.05倍モルの塩素を
用いて処理し、4−フルオロベンジルクロリド:4−フ
ルオロベンザルクロリド:4−フルオロベンゾトリクロ
リド=21.7:68.5:9.7(重量比)の組成物
を得た。次いで、酸化亜鉛を触媒とし、この組成物を水
と反応させ加水分解反応液を得た。
【0017】(実施例2) (4−フルオロベンズアルデヒドの分離)攪拌機、温度
計、及び還流冷却器を備えた1000ml四ツ口フラスコ
に製造例2で得た加水分解反応液に、濃度2.72重量
%の水酸化ナトリウム溶液256.8mlを加え、4−フ
ルオロ安息香酸を塩として分離し、4−フルオロベンジ
ルハライドと4−フルオロベンズアルデヒドの混合物
(以下、混合物Aという。)を165g得た。次いで、
攪拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた1000ml四
ツ口フラスコに7%アンモニア水752.6ml(NH3
として3.0モル)を仕込み、フラスコの温度を70〜
75℃に保ちながら、この中に混合物B165gを一挙
に加え、8時間反応させた。反応終了後、しばらく静置
し分離した油層を分液した。別に攪拌機、温度計、及び
還流冷却器を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、
9.3重量%塩酸671.6g(HClとして1.71
モル)を仕込み、この中へ前記のようにして分液した油
層を加え、室温で4時間攪拌した。このようにして2層
に分かれた反応混合物が得られたので、これにトルエン
115gを加え、分液し、水層に再度トルエン115g
を加え分液し、油層を取り出し前記の油層と合わせ乾燥
した後、21mmHgで減圧蒸留し、沸点75℃の留分とし
て4−フルオロベンズアルデヒド95.0gを得た。こ
れは4−フルオロベンザルクロリド基準の収率で74.
4%に相当する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 辰雄 静岡県庵原郡富士川町中之郷2256番地 イ ハラケミカル工業株式会社研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロ置換ベンジルハライド、フルオ
    ロ置換ベンズアルデヒド、フルオロ置換安息香酸からな
    る混合物をアルカリ水溶液で処理してフルオロ置換安息
    香酸をそのアルカリ金属塩として分離し、残ったフルオ
    ロ置換ベンジルハライドとフルオロ置換ベンズアルデヒ
    ドの混合物に、アンモニア水を加えてシッフ塩基を含有
    する油状物とし、更に鉱酸で加水分解することによりフ
    ルオロ置換ベンジルアミンをその鉱酸塩として水層に抽
    出し、フルオロ置換ベンズアルデヒドを分離することを
    特徴とする、フルオロ置換ベンズアルデヒドの分離方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000021943A1 (fr) * 1998-10-12 2000-04-20 Ihara Chemical Industry Co., Ltd. Procede de production d'un derive heterocyclique aminomethyle
JP2007211029A (ja) * 1997-02-14 2007-08-23 Ube Ind Ltd カルバメートの製法
CN104098453A (zh) * 2013-04-15 2014-10-15 江苏新瀚有限公司 一种对氟苯甲醛的合成方法

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