JP4061518B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の製造分野において、エッチング、めっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物及びそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。
プリント配線板は、感光性エレメントを銅基板上に積層して、パターン露光した後、未露光部を現像液で除去し、エッチング又はめっき処理を施して、パターンを形成させた後、硬化部分を基板上から剥離除去する方法によって製造されている。
この未露光部の除去を行う現像液としては、炭酸ナトリウム溶液等を使用するアルカリ現像型が主流になっており、現像液は、通常、ある程度感光性樹脂組成物層を溶解する能力がある限り使用され、使用時には現像液中に感光性樹脂組成物が溶解又は分散される。
【0003】
近年のプリント配線板の高密度化に伴い、銅基板とパターン形成された感光性樹脂組成物層との接触面積が小さくなる為、感光性エレメントには、現像、エッチング又はめっき処理工程で優れた密着性、解像度、テント信頼性、耐薬品性等が要求される。
また、通常のプリント配線板製造の工程は現像工程とエッチング工程が連動しているため、現像時間はエッチングを行う銅張積層板の銅厚により決定される。したがって、銅厚が薄い場合は、エッチング時間が短くなり、それに伴い現像時間も短くなるので、不具合が起こりにくい。しかし、銅厚が厚い場合はエッチング時間が長くなり、それに伴い現像時間も長くなるため、レジストの膨潤が起こり、密着性が悪化する。
【0004】
耐薬品性を向上したレジストとして、例えば、スチレン系単量体を共重合したポリマーを用いたものが、特公昭55−38961号公報、特公昭54−25957号公報、特開平2−289607号公報、特開平4−347859号公報、特開平4−285960号公報等に記載されている。しかしながら、このレジストにおいては、最少現像時間が長く、解像度が悪化するという問題がある。
また、耐薬品性を向上させるのにイソシアヌレート環をもつ光重合性化合物の使用する方法が、特開昭60−77844号公報、特開昭62−290705号公報、特開昭60−14212号公報、特開昭59−222480号公報、特開平1−14190号公報、特開昭57−55914号公報、特開平5−216224号公報、特開平5−273754号公報等に記載されているが、硬化膜が固く、脆いという欠点がある。
【0005】
更に、特開平5−232699号公報には、アクリレート化合物を用いた感光性樹脂組成物が開示されているが、このアクリレート化合物を用いた感光性樹脂組成物は、親水性の極めて高いポリエチレングリコール鎖を有するために、現像性が優れ、高解像度が得られるが、オーバー現像時の密着性は満足のいくものではなくエッチングして得られる金属パターンに断線、ラインギザ等の不具合が発生しやすい。
また、特開平8−179503号公報には、分子中にエチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基をブロック化した基として有する特定のウレタン化合物をエチレン性不飽和化合物として用いることにより、生物化学的酸素要求量及び化学的酸素要求量が低く、現像液中の感光性樹脂組成物の凝集性が少ない感光性樹脂組成物が得られることが記載されているが、オーバー現像時の密着性、最少現像時間の短縮に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1、2、3及び4記載の発明は、オーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れた感光性樹脂組成物を提供するものである。請求項5記載の発明は、オーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れる感光性エレメントを提供するものである。請求項6の発明は、プリント配線の高密度化に極めて有用なオーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れたレジストパターンの製造法を提供するものである。請求項7記載の発明は、プリント配線の高密度化に極めて有用なオーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れたレジストパターンを有するプリント配線板の製造法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として10〜35重量%含む重量平均分子量が30,000〜80,000のカルボキシル基含有バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)一般式(I)
【化3】
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはエチレンオキサイド基を示し、Yはプロピレンオキサイド基、イソプロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基又はへキシレンオキサイド基を示し、Zは炭素数2〜16の炭化水素基を示し、n、m、p及びqは各々独立に1〜14の整数である)で表される化合物、及びビスフェノールAポリオキシエチレンジアクリレートまたはビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレートを必須成分として含む、分子内に少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を含有してなる感光性樹脂組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、(A)スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーが、メタクリル酸15〜35重量%、スチレン又はスチレン誘導体10〜35重量%及び一般式(II)
【化4】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を意味し、R3は炭素数1〜12のアルキル基を意味する)
で表される単量体30〜75重量%を共重合成分として得られるカルボキシル基含有バインダーポリマーである前記感光性樹脂組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、(B)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含む光重合開始剤である前記感光性樹脂組成物に関する。また、本発明は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合割合が、(A)成分及び(C)成分の総量100重量部に対して、(A)成分が40〜70重量部、(B)成分が0.1〜10重量部、(C)成分が30〜60重量部であり、かつ(C)成分中、一般式(I)で表される化合物が5〜40重量部含まれる前記感光性樹脂組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥し、場合によって保護フィルムを積層してなる感光性エレメントに関する。
また、本発明は、前記感光性エレメントを、場合によって存在する保護フィルムを剥がしながら、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法に関する。
また、本発明は、前記レジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる成分について詳述する。
本発明において、(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーは、オーバー現像時の密着性及び解像度特性の見地から、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含む必要がある。
【0012】
本発明における(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーは、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として0.1〜35重量%含むことが好ましく、1〜30重量%含むことがより好ましく、1.5〜28重量%含むことが特に好ましい。この配合量が0.1重量%未満では、密着性が劣る傾向があり、35重量%を超えると剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。また、本発明における(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーの酸価は90〜500mgKOH/gであることが好ましく、90〜300mgKOH/gであることが特に好ましい。この酸価が90mgKOH/g未満では、現像時間が遅くなる傾向があり、500mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
【0013】
また、本発明における(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーは、メタクリル酸15〜35重量%、スチレン又はスチレン誘導体10〜35重量%及び前記一般式(II)で表される単量体30〜75重量%を共重合成分として含むことが好ましい。
また、本発明における(A)成分のアルカリ現像可能なビニル系共重合化合物の共重合成分である前記一般式(II)中においてR2は水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数1〜12のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基 、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基等が挙げられ、前記一般式(II)で表される単量体としては、例えば、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
【0014】
また、本発明における(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーのメタクリル酸の配合量は、15〜35重量%とすることが好ましく、20〜30重量%とすることがより好ましく、23〜26重量%とすることが特に好ましい。この配合量が15重量%未満では最少現像時間が長くなり、作業性を悪化させる傾向があり、35重量%を超えると密着性が低下する傾向がある。また、スチレンの配合量は10〜35重量%とすることが好ましく、15〜30重量%とすることがより好ましく、20〜25重量%とすることが特に好ましい。この配合量が10重量%未満では、レジストが膨潤しやすいためオーバー現像時の密着性が低下する傾向があり、35重量%を超えると最少現像時間が長くなり、作業性を悪化させる傾向がある。また、前記一般式(II)で表される化合物の配合量は30〜75重量%とすることが好ましく、40〜65重量%とすることがより好ましく、49〜57重量%とすることが特に好ましい。この配合量が30重量%未満では、レジストが脆くなり、クロスカット性が悪化する傾向があり、75重量%を超えると密着性が悪化する傾向がある。
【0015】
また、本発明における(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーは、塗膜性及び解像度の見地から、重量平均分子量が30,000〜80,000であることが好ましく、40,000〜70,000であることがより好ましく、50,000〜60,000であることが特に好ましい。この重量平均分子量が30,000未満では、塗膜性が悪化する傾向があり、80,000を超えると解像度が悪化する傾向がある。なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
【0016】
本発明における(B)成分の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシンなどが挙げられる。
【0017】
また、密着性の見地から、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が好ましく、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】
本発明における(C)成分の光重合性化合物中には、前記一般式(I)で表される化合物が必須成分として用いられる。前記一般式(I)中において、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。Xはエチレンオキサイド基を示し、Yはプロピレンオキサイド基、イソプロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基又はへキシレンオキサイド基を示し、Zは炭素数2〜16の炭化水素基を示し、n、m、p及びqは各々独立に1〜14の整数である。
上記イソプロピレンオキサイド基中のイソプロピレン基は、−CH(CH3)CH2−で表される基であり、イソプロピレンオキサイド基の一つの繰り返し単位中においてイソプロピレン基の結合方向は、メチレン基が酸素と結合している場合とメチレン基が酸素に結合していない場合の2種があり、1種の結合方向でもよいし、2種の結合方向が混在してもよい。
【0019】
また、Yの繰り返し単位が2以上の時、2以上のYは、各々同一でも相違していてもよく、Yが2種以上のアルキレンオキサイド基で構成される場合、Yはランダムに存在してもよいし、ブロック的に存在してもよい。また、X及びYは各々ブロック的に存在してもよいし、X及びYがランダム的に存在してもよい。
【0020】
上記炭素数2〜16の炭化水素基としては、例えば、エチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、トリメチルヘキシレン基、デシレン基等のアルキレン基、シクロヘキシレン基、ビシクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基などが挙げられる。商業的に入手可能な化合物としては、例えば、新中村化学工業株式会社の商品名UA−13などがある。
【0021】
また、前記一般式(I)で表される化合物以外の、分子内に少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレン基の数が2〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールAジオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジメタクリレート等のビスフェノールAポリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、本発明における(A)成分のスチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むカルボキシル基含有バインダーポリマーの配合量は、(A)成分、 (C)成分の総量100重量部に対して、40〜70重量部とすることが好ましく、45〜60重量部とすることがより好ましく、50〜55重量部とすることが特に好ましい。この配合量が40重量部未満では、光硬化物が脆くなり、感光性エレメントとして用いた場合に塗膜性が劣る傾向があり、70重量部を超えると密着性、解像度が低下する傾向がある。
【0023】
また、本発明における(B)成分の光重合開始剤の配合量は、(A)成分、 (C)成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部とすることが好ましく、1〜8重量部とすることがより好ましく、2〜5重量部とすることが特に好ましい。この配合量が0.1重量部未満では、感度が不充分となる傾向があり、10重量部を超えると、露光の際に組成物の表面での光の吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
【0024】
また、本発明における(C)成分の光重合性化合物の配合量は、(A)成分、(C)成分の総量100重量部に対して、30〜60重量部とすることが好ましく、40〜55重量部とすることがより好ましく、45〜50重量部とすることが特に好ましい。また、(C)成分中に、前記一般式(I)で表される化合物の配合量は5〜40重量部とすることが好ましく、7〜30重量部とすることがより好ましく、10〜25重量部とすることが特に好ましい。この配合量が5重量部未満では、充分な感度が得られず、硬化膜の強度及び伸びが得られない傾向があり、40重量部を超えると、充分な感度が得られない傾向がある。
【0025】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、染料、発色剤、熱発色防止剤、可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤などを(A)成分及び(C)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。
【0026】
上記染料としては、例えば、フクシン、オーラミン塩基、カルコシドグリーンS、パラマジェンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイトブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、アイオジンググリーン、ナイトグリーンB、トリバロサン、ニューマジェンタ、アシッドバイオレットRRH、レッドバイオレット5RS、エチルバイオレット、メチレンブルー、ニューメチレンブルーGG、フタロシアニングリーン、ダイヤモンドグリーン、ローダミンB等が挙げられる。
上記発色剤としては、例えば、トリブロモメチルフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等が挙げられる。
上記熱発色防止剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−PO2モル付加ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0027】
上記可塑剤としては、例えば、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、分子量3000以下の低分子量ポリスチレン、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、石油樹脂、ジアルキルフタレート、アルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリアクリレート、ポリエステル樹脂、ポリテルペン樹脂、ポリイソプレン及びその水添物、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホンアミド、液状1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン及びその末端変性物並びにこれらの水酸化物又はカルボキシル化物、液状アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びこれらのカルボキシル化物、液状スチレン−ブタジエン共重合体、エチレングリコール−プロピレングリコールブロック共重合体などが挙げられる。
【0028】
上記顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料、インダンスレンブルー、フタロシアニングリーン、ハロゲン化フタロシアニン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンレッド等のキナクリドン顔料、ピロロ・ピロール系顔料、アントラキノン系顔料、ベリレン系顔料、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、アゾ系黒色顔料、チタン白、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、沈降性炭酸バリウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。
上記充填剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、クレー、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、磁性酸化鉄等の無機充填剤、カーボンブラック、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、中空プラスチックピグメント等有機充填剤などが挙げられる。
【0029】
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系化合物、フッ素系化合物、高分子化合物、炭化水素系化合物等が挙げられる。
上記安定剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のヒドロキシ芳香族化合物、フェニベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノン等のキノン類、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン、フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン類、フェノチアジン、ピリジン等の複素環式化合物、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、クロラニル、アリールフォースファイト、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、塩化第一銅などが挙げられる。
上記密着性付与剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコン系化合物、フッ素系化合物、高分子系化合物、アクリレーキ共重合体等が挙げられる。
【0030】
上記酸化防止剤としては、例えば、フェニルサリチレート、モノグリコールサリチレート、p−tert−ブチルサリチレート等のサリチル酸系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、レゾルシノールモノベンゾエート、2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナメートなどの紫外線吸収剤、ヒドラジン化合物等の金属不活性剤、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,4−ジ−メチル−6−tert−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系化合物、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、フェノチアジン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン化合物などのラジカル反応禁止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β′−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等の硫黄系化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−ホスファフェナンスレン、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系化合物などの過酸化物分解剤などが挙げられる。
【0031】
感光性樹脂組成物は、必要に応じてメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、アリルアルコール、ベンジルアルコール、アニソール、フェネトール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−エチル−1−1ペンタノール−4−エトキシ−1−ペンタノール、5−メトキシ−1−ヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−3−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、3−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、MC、EC、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、MCアセテート、ECアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類およびそのアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類およびそのアセテート、DMDG、DEDG、DBDG、MEDG等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のトリエチレングリコールアルキルエーテル類、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノメチルエーテルアセテート、モノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテル類およびそのアセテート、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル類、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピレンなどの溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して溶液として塗布することができる。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物は、金属面、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金の表面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
感光性樹脂組成物層の厚さは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。
【0033】
感光性エレメントは、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等からなる重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布乾燥することにより得られる。これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂組成物層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であったりしてはならない。これらの重合体フィルムの厚さは、5〜100μmとすることが好ましく、10〜30μmとすることがより好ましい。また、これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層の支持フィルムとして、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層してもよい。
【0034】
感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層する。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。感光性樹脂組成物層の加熱温度は90〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、3kg/cm2とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂組成物層を前記のように90〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
【0035】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層は、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線がパターン状に照射された後、現像液で現像され、レジストパターンとされる。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する重合体フィルムが透明の場合には、そのまま、活性光線を照射してもよく、また、不透明の場合には、当然除去する必要がある。感光性樹脂組成物層の保護という点からは、重合体フィルムは透明で、この重合体フィルムを残存させたまま、それを通して、活性光線を照射することが好ましい。
活性光線の光源としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
【0036】
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられ、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは、9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。現像の方式には、ディップ方式、スプレー方式等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
【0037】
現像後の処理として、必要に応じて80〜250℃程度の加熱又は0.2〜5mJ/cm2程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
現像後に行われる金属面のエッチングには塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液を用いることができるが、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが望ましい。
【0038】
本発明の感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング、めっき等の公知方法で処理する。次いで、レジストパターンは、通常、現像に用いたアルカリ水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離される。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜5重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜5重量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよい。
【0039】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す配合割合で(A)成分を合成し、溶液を調整した。
【0040】
【表1】
【0041】
表2に示す配合割合で(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶解させて感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0042】
【表2】
【0043】
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、GSタイプ)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、30μmであった。
【0044】
一方、銅箔(厚さ35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業(株)製、製品名MCL−E−61)の銅表面を#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させた。次いで、銅張積層板を80℃に加温した後、上記で得られた感光性エレメントを銅表面上に感光性樹脂組成物層を密着させるようにして120℃で4kgf/cm2の圧力下に積層した。
【0045】
次いで、感光性エレメントが積層された銅張積層板を冷却し、23℃になった時点でポリエチレンテレフタレート面に、ストーファーの21段ステップタブレットを有するフォトツールと密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/400〜250/400(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、3KW高圧水銀灯(オーク製作所社製、HMW−590)を用いて、ストーファーの21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。尚、解像度の評価は、ストーファーの21段ステップタブレットを有するフォトツールと解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜250/250(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを用いた。ここで、密着性は、現像処理によって未露光部を除去した後、密着していた細線のライン幅の最も小さい値により評価した。また、解像度は、現像処理によって未露光部をきれいに除去することができたライン幅間のスペース幅の最も小さい値により評価した。密着性及び解像度の評価は共に数値が小さいほど良好な値である。
【0046】
次に未露光部のレジストが最も速く完全に除去できる現像時間を最少現像時間とした。
露光後、室温で15分間放置し、続いて銅張積層板からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし、最少現像時間の2倍の現像時間で現像した。
また、オーバー現像時の密着性とは、未露光部のレジストが最も速く完全に除去できる現像時間を最少現像時間として、上記密着性の評価において、現像時間を最少現像時間の5倍で行ったものである。この値が小さいほどオーバー現像時の密着性に優れる。
【0047】
次いで、上記と同様にして、積層、露光及び現像を行い、レジストパターンが形成された基板を、脱脂浴に5分間浸漬し、水洗した。次いで、ソフトエッチ浴に2分間浸漬し、水洗した。次いで、10重量%硫酸1分間浸漬の順に前処理を行い、その後、硫酸銅めっき浴に入れ、硫酸銅めっきを室温下、3A/dm2で40分間行った。その後、水洗して10重量%ホウフッ化水素酸に1分間浸漬し、ハンダめっき浴に入れ、半田めっきを室温下、1.5A/dm2で15分間行った。
脱脂浴;PC−455(メルテックス社製)25重量%
ソフトエッチ浴;過硫酸アンモニウム150g/リットル
硫酸銅めっき浴;硫酸銅75g/リットル、硫酸190g/リットル、塩素イオン50ppm、カバーグリームPCM(メルテックス社製5ml/リットル)
ハンダめっき浴;45重量%ホウフッ化スズ64ml/リットル、45重量%ホウフッ化鉛22ml/リットル、42重量%ホウフッ化水素酸200ml/リットル、プルティンLAコンダクティビティーソルト(メルテックス社製)20g/リットル、プルティンLAスターター(メルテックス社製)40ml/リットル
【0048】
水洗、乾燥後、耐めっき性を調べるため直ちに90°ピールオーフ試験を行った。90°ピールオーフ試験とは、めっき処理が施された基板にセロハンテープを貼り、ゴムローラでよく密着させ、これをピール角度90℃で瞬時に引き剥がし、セロハンテープへのレジスト転写度合いを観察することである。また、90℃ピールオーフ試験後、レジストを剥離し、上方から光学顕微鏡、投影機等を用いて、半田めっきのもぐりの有無を観察した。半田めっきのもぐりが生じた場合、透明なレジストを介して、その下部に半田めっきにより析出した半田が観察される。
各々の評価の結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3から明らかなように、比較例1〜3で使用した感光性樹脂組成物は、オーバー現像時の密着性が劣っており、かつ耐めっき性が劣っている。また、比較例3で使用した感光性樹脂組成物は、解像度が劣っている。
これに対し、実施例1〜3で使用した本発明の感光性樹脂組成物は、オーバー現像時の密着性及び耐めっき性に優れ、密着性、解像度及び最少現像時間も良好であるため、高密度のプリント配線版の製造に適している。さらにオーバー現像時の密着性に優れることから作業裕度が広く、また欠け、断線不良の予防ができる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1、2、3及び4記載の発明は、オーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れた感光性樹脂組成物を提供するものである。請求項5記載の発明は、オーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れる感光性エレメントを提供するものである。請求項6記載のレジストパターンの製造法は、プリント配線の高密度化に極めて有用なオーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れたレジストパターンの製造法である。請求項7記載のプリント配線板の製造法は、プリント配線の高密度化に極めて有用なオーバー現像時の密着性、耐薬品性、最少現像時間の短縮、密着性及び解像度が極めて優れるプリント配線板の製造法である。
Claims (7)
- (A)スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として10〜35重量%含む重量平均分子量が30,000〜80,000のカルボキシル基含有バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)一般式(I)
- (B)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含む光重合開始剤である請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
- (A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合割合が、(A)成分及び(C)成分の総量100重量部に対して、(A)成分が40〜70重量部、(B)成分が0.1〜10重量部、(C)成分が30〜60重量部であり、かつ(C)成分中、一般式(I)で表される化合物が5〜40重量部含まれる請求項1、2又は3記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1、2、3又は4記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥し、場合によって保護フィルムを積層してなる感光性エレメント。
- 請求項5記載の感光性エレメントを、場合によって存在する保護フィルムを剥がしながら、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法。
- 請求項6記載のレジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法。
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