JP3855998B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
背景技術
プリント配線板の製造分野においては、エッチングやめっき等に用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物や、これを支持体に積層して保護フィルムで被覆した感光性エレメントが広く用いられている。感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合においては、まず、感光性エレメントを銅基板上にラミネートし、パターン露光した後、未露光部を現像液で除去して、更に、エッチング又はめっき処理を施してパターンを形成させ、最終的に硬化部分を基板上から剥離除去する。
近年、プリント配線板の高密度化が急速に進行しているため、銅基板とパターン形成された感光性樹脂組成物層との接触面積が小さくなる傾向にあり、このために、感光性樹脂組成物及び感光性エレメントには、現像、エッチング又はめっき処理工程で優れた接着力、機械強度、耐薬品性、柔軟性等が要求されると共に、高い解像度も求められている。
また、一方で作業性およびスループットの面から、より高感度な感光性樹脂組成物が求められている。かかる要求に応えられる感光性樹脂組成物として、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体を光開始剤とし、水素供与体として2−メルカプトベンゾチアゾールまたはN−フェニルグリシンを用いる組成(特開昭49−63420公報)や、3−ケト置換クマリン化合物を増感剤として用いた組成(特開昭61−123603公報)が知られている。
発明の開示
しかしながら、上記両公報に開示にしたがって水素供与体や増感剤を用いた場合は、レジストの線幅が増大し、解像性が低下するという問題点があった。また、レジストのはく離時間が長いという問題も存在していた。
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、解像度に優れており、光感度の点においても優れた特性を発揮し、硬化後の基板からのはく離時間を短くすることも可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、かかる感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、バインダーポリマーと光重合性化合物と光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物において、特定の光重合性化合物と、特定の光重合成開始剤とを組み合わせることにより、上記目的が達成可能であることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマーと、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)成分として、(B1)分子内に少なくとも2つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有し分子量が800〜3000の光重合性化合物、及び(B2)分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を含み、(C)成分として、(C1)下記一般式(I)で表されるクマリン化合物、及び(C2)2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を、(C)成分の全重量基準で80重量%以上含むことを特徴とするものである。
Figure 0003855998
(式中、Z及びZはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基又は複素環を含む基、nは0〜4の整数、mは0〜2の整数をそれぞれ示す。なお、n個のZ及びm個のZのうち少なくとも2つは環を形成していてもよい。)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須成分とし、(B)成分として上記(B1)成分及び(B2)成分を含有させ、(C)成分として上記(C1)成分及び(C2)成分を含有させることから、光照射を行った場合に、解像度及び光感度のいずれもが優れるようになる。また、硬化後の組成物の基板からのはく離時間を短くすることができる。更に、耐薬品性(耐めっき性)、密着性、機械強度及び柔軟性の点においても優れた特性を発揮するようになる。
解像度及び光感度を更に向上させることが可能になることから、(C1)成分は、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0003855998
(式中、Z、Z及びmは前記Z、Z及びmと同義であり、Z11及びZ12は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、rは0〜3の整数を示す。なお、r個のZ、m個のZ、Z11及びZ12のうち少なくとも2つは環を形成していてもよい。)
解像度及び光感度を更に向上させる観点からは、また、(A)成分は、カルボキシル基含有単量体とカルボキシル基非含有単量体を重合してなる、酸価が30〜250mgKOH/g且つ重量平均分子量が20,000〜300,000のバインダーポリマーであり、前記カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル酸を含み、前記カルボキシル基非含有単量体はスチレン及び/又はスチレン誘導体を含むことが好ましい。
上記と同様の観点からは、(B1)成分は、下記一般式(III)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、(C)成分の配合量が、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜20重量部であり、(A)成分と(B)成分の合計100重量部における(A)成分の配合量が40〜80重量部であり、(B1)成分の配合比率が(B)成分の全重量基準で30〜90重量%であることが好ましい。
Figure 0003855998
(式中、R及びRは各々独立に水素原子又はメチル基を示し、p、q、s及びtはp+q+s+t=4〜40となるように選ばれる正の整数である。)
本発明は、また、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備えることを特徴とする感光性エレメントを提供する。
かかる感光性エレメントは、高い解像度及び光感度並びに短いはく離時間を有し、耐薬品性(耐めっき性)、密着性、機械強度及び柔軟性の点においても優れた上記本発明の感光性樹脂組成物を用いるものであるために、高解像・高密度のプリント配線板の生産が可能になる。
本発明は、更に、回路形成用基板上に、上記感光性エレメントにおける上記感光性樹脂組成物層を積層し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成せしめ、次いで、該露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法、及び、かかるレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造方法を提供するものである。
本発明のレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法は、上記本発明の感光性エレメントを用いるものであるために、パターン間隔を狭小にした場合であっても、良好な露光及びエッチング又はめっきが可能になり、高密度化を実現することが可能になる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
上述のように、本発明の感光性樹脂組成物は、以下の(A)〜(C)成分を含有しており、
(A)バインダーポリマー
(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び
(C)光重合開始剤
(B)成分として、(B1)分子内に少なくとも2つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有し分子量が800〜3000の光重合性化合物、及び(B2)分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を含み、(C)成分として、(C1)上記一般式(I)で表されるクマリン化合物、及び(C2)2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を、(C)成分の全重量基準で80重量%以上含むものである。以下(A)〜(C)成分につき、詳述する。
先ず、(A)成分であるバインダーポリマーについて説明する。(A)成分として用いられるバインダーポリマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらのバインダーポリマーは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ、アルカリ現像性の観点からはアクリル系樹脂が好ましい。
バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体を重合(ラジカル重合等)させることにより製造することができる。重合性単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリルアミド;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の置換(メタ)アクリル酸;マレイン酸;マレイン酸無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル等が挙げられ、これら以外にも、フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが例示可能である。なお、本発明において、スチレン誘導体とはスチレンにおける水素原子が置換基(アルキル基等の有機基やハロゲン原子等)で置換されたものをいう。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、これらの構造異性体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるバインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を有するポリマーの1種又は2種以上からなることが好ましい。カルボキシル基を有するポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体(カルボキシル基含有単量体)とカルボキシル基を有しない重合性単量体(カルボキシル基非含有単量体と)を重合(ラジカル重合等)させることにより製造することができる。なお、炭酸水素ナトリウム溶液等のアルカリ水溶液で現像を行う場合は、重合性単量体の全重量を基準としたカルボキシル基含有単量体の重量比率は、10〜50重量%が好ましく、20〜30重量%がより好ましい。
ここで、カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル酸を必須成分として含むことが好ましく、カルボキシル基非含有単量体はスチレン及び/又はスチレン誘導体を必須成分として含むことが好ましい。スチレン及び/又はスチレン誘導体以外のカルボキシル基非含有単量体としては上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
バインダーポリマーにおけるスチレン及びスチレン誘導体の合計の含有量は、バインダーポリマーを構成する重合性単量体の全重量基準で、3〜30重量%が好ましく、4〜28重量%がより好ましく、5〜27重量%が特に好ましい。含有量が3重量%未満では、密着性が劣る傾向があり、30重量%を超えると、硬化後に感光性樹脂組成物を剥離させたときに得られる剥離片が大きくなったり、剥離時間が長くなったりして、製造工程上の不都合が生じる場合がある。
また、バインダーポリマーの酸価は、30〜250mgKOH/gが好ましく、50〜200mgKOH/gがより好ましい。酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が遅くなる傾向があり、250mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。かかる測定法によれば、バインダーポリマーのMwは、20,000〜300,000が好ましく、25,000〜150,000がより好ましい。Mwが、20,000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300,000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。また、バインダーポリマーの分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると接着性及び解像度が低下する傾向がある。
以上説明したバインダーポリマーは感光性基を有していてもよく、また、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよい。バインダーポリマーの組み合わせとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせ、異なるMwの2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせ、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせ等が挙げられる。また、特開平11−327137号公報記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを用いてもよい。
次に、(B)成分である、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下、単に「光重合性化合物」という。)について説明する。
(B)成分は、(B1)分子内に少なくとも2つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有し分子量が800〜3000の光重合性化合物、及び(B2)分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を必須成分として含んでおり、かかる化合物を含む限りにおいては、(B)成分は(B1)及び(B2)以外の光重合性化合物を更に含んでいてもよい。
(B1)成分としては、2つの重合可能なエチレン性不飽和結合とポリオキシアルキレン骨格を有し分子量が800〜3000の光重合性化合物が好ましい。そして、ポリオキシアルキレン骨格は、オキシエチレン、オキシプロピレン又はオキシブチレンの単独重合体、或いはこれらのブロック共重合体又はランダム共重合体からなる骨格であることが好ましく、オキシエチレン及びオキシプロピレンのブロック共重合体からなる骨格であることがより好ましい。また、エチレン性不飽和結合は(メタ)アクリロイル基に由来するものであることが好ましい。
このような光重合成化合物としては、例えば、以下の化学式(B1a)で表される化合物に代表されるEO・PO変性ジメタクリレート、及び以下の化学式(B1b)で表される化合物に代表されるEO・PO変性ウレタンジメタクリレートが挙げられる。なお、本発明においてEOとはエチレンオキサイドを、POとはプロピレンオキサイドを、それぞれ意味する。
Figure 0003855998
(B1)成分としては、解像度及び光感度を向上させる観点から、下記一般式(III)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を用いることが特に好ましい。
Figure 0003855998
一般式(III)中、R及びRは、各々独立に水素原子又はメチル基であり、中でもメチル基が好ましい。また、p、q、s及びtはp+q+s+t=4〜40となるように選ばれる正の整数であるが、p+q+s+tは6〜34が好ましく、8〜30がより好ましく、8〜28が更に好ましく、8〜20が特に好ましく、8〜16が更に好ましく、8〜12であることが極めて好ましい。p+q+s+tが4未満では、(A)成分との相溶性が低下し、回路形成用基板に感光性エレメントをラミネートした際にはがれ易く、また現像時間が長くなる傾向があり、p+q+s+tが40を超えると親水性が増加し、現像時にレジスト像がはがれやすく、半田めっき等に対する耐めっき性も低下する傾向がある。
一般式(III)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が例示可能である。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。以上の化合物は単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
なお、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。
本発明において(B1)成分の分子量は、800〜3000の範囲内でなければならない。分子量が800未満の場合は、感光性樹脂組成物中のエチレン性不飽和結合基濃度が増加して光硬化レジストのはく離性が低下し、3000を超すと感光性樹脂組成物中のエチレン性不飽和結合基濃度が減少して光硬化レジストの密着性が低下する。光硬化レジストの密着性及びはく離性の両立の観点から、(B1)成分の分子量は800〜2000が好ましく、800〜1500がより好ましく、800〜1000が更に好ましい。
次に、(B2)成分について説明する。(B2)成分は分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物であり、光重合成化合物として必須の成分である。
(B2)成分における重合可能なエチレン性不飽和結合は(メタ)アクリロイル基に由来するものであることが好ましい。(B2)成分として特に好ましいものは、1つの(メタ)アクリロイル基とオキシアルキレン骨格と芳香環を備えた光重合性化合物である。ここで、オキシアルキレン骨格は、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1つのオキシアルキレン繰返し単位を1又は2以上有する骨格であることが好ましい。
1つの(メタ)アクリロイル基とオキシアルキレン骨格と芳香環を備えた光重合性化合物としては、以下の化学式(B2a)又は化学式(B2b)で表される化合物に代表されるフタル酸系(メタ)アクリレート化合物、以下の化学式(B2c)で表される化合物(フェノキシジエチレングリコールアクリレート)に代表されるフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート化合物、フェノキシエチレングリコールアクリレートに代表されるフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート化合物、以下の化学式(B2d)で表される化合物(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート)に代表されるヒドロキシフェノキシアルキル(メタ)アクリレート化合物、以下の化学式(B2e)又は(B2f)で表される化合物に代表されるEO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート化合物(ノニルフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート化合物)が挙げられる。
Figure 0003855998
Figure 0003855998
上記(B1)成分及び(B2)成分に加え、これら以外の(メタ)アクリレート化合物を(B)成分として含有させることができる。このような化合物としては、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜11であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
次に、(C)成分である、光重合開始剤について説明する。(C)成分は、(C1)下記一般式(I)で表されるクマリン化合物、及び(C2)2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を必須成分として含んでおり、(C1)成分及び(C2)成分の合計重量は、(C)成分の全重量を基準として80重量%以上である。(C1)成分及び(C2)成分の合計重量が80重量%未満である場合は、解像度及び光感度が不充分になる。この合計重量は、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。また、(C1)成分及び(C2)成分の合計重量に占める(C2)成分は,1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましい。なお、(C)成分は、(C1)成分及び(C2)成分を上記重量%以上含む限りにおいては、これら以外の光重合性化合物を更に含んでいてもよい。
Figure 0003855998
一般式(I)における、Z、Z、m及びnの定義は上述のとおりであるが、一般式(I)における少なくとも1つのZは7位に置換されていることが好ましく、少なくとも1つのZは4位に置換されていることが好ましい。また、感度の点からは3位は置換されていないことが好ましい。
一般式(I)における、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素及びアスタチン等が挙げられ、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基及びこれらの構造異性体等が挙げられる。
また、炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜14のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アリル基、炭素数1〜20のアルキル基等で置換されていてもよい。炭素数1〜10のアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基等が挙げられ、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等が挙げられる。そして、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基としては、例えば、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基等が挙げられる。
更に、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシブチル基等が挙げら、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基等が挙げられる。また、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等が挙げられ、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。そして、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられ、複素環を含む基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、チアゾリル基、インドリル基、キノリル基等が挙げられる。
一般式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基又は炭素数1〜20のジアルキルアミノ基であることが好ましい。この場合においてもn個のZ及びm個のZのうち少なくとも2つは環を形成していてもよい。
解像度及び光感度の観点から、一般式(I)で表されるクマリン化合物は、下記一般式(IV)で表される化合物であることがより好ましい。なお、一般式(IV)中、Z、Z及びmは上記Z、Z及びmと同義であり、Z11及びZ12は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、rは0〜3の整数をそれぞれ示す。なお、r個のZ、m個のZ、Z11及びZ12のうち少なくとも2つは環を形成していてもよい。そして、下記一般式(IV)で表される化合物において、Z11及びZ12は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。また、好適な、Z及びZは上記と同様である。
Figure 0003855998
一般式(IV)で表される化合物であって、m個のZ、Z11及びZ12のうち少なくとも2つが環を形成している態様としては、下記一般式(IVa)で表される化合物や下記一般式(IVb)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0003855998
(式中、Z、Z11、Z12及びrは上記Z、Z11、Z12及びrと同義であり、Z21は、上記Zと同様の原子又は基を示す。また、sは0〜8の整数を示す。なお、好適なZ、Z11及びZ12は上記と同様である。)
Figure 0003855998
(式中、Z、Z及びmは上記Z、Z及びmと同義であり、Z31及びZ32はそれぞれ独立に上記Zと同様の原子又は基を示す。また、tは0〜1の整数、uは0〜6の整数、vは0〜6の整数をそれぞれ示す。なお、好適なZ及びZは上記と同様である。)
一般式(IV)で表される化合物(一般式(IVa)及び(IVb)で表される化合物を含む)としては、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン(下記式(IVc)で表される化合物)、7−メチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン(下記式(IVd)で表される化合物)、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン(下記式(IVe)で表される化合物)、7−アミノシクロペンタ[c]クマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、2,3,6,7,10,11−ヘキサアンヒドロ−1H,5H−シクロペンタ[3,4][1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン12(9H)−オン、7−ジエチルアミノ−5′,7′−ジメトキシ−3,3′−カルボニルビスクマリン、3,3′−カルボニルビス[7−(ジエチルアミノ)クマリン]、7−ジエチルアミノ−3−チエノキシルクマリン及び下記式(IVf)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0003855998
Figure 0003855998
一般式(I)で表されるクマリン化合物として特に好ましいものは、下記一般式(V)で表される化合物である。一般式(V)中、Z11及びZ12は上記Z11及びZ12と同義であり、Z41、Z42及びZ43はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)を示す。なお、Z42及びZ43は環を形成していてもよい。
Figure 0003855998
上述した化合物のうち、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン(式(IVc)で表される化合物)、7−メチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン(式(IVd)で表される化合物)、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン(式(IVe)で表される化合物)、7−アミノシクロペンタ[c]クマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ[c]クマリンが、一般式(V)で表される化合物に該当する。
次に、(C2)成分について説明する。(C2)成分は2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体であり、光重合開始剤として必須成分である。
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−ブロモフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−ブロモフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体などが挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。そして、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記(C1)成分及び(C2)成分に加え、これら以外の光重合開始剤を(C)成分として含有させることができる。このような化合物としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体等が挙げられる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物における(A)〜(C)成分の配合量について説明する。(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、40〜80重量部が好ましく、45〜70重量部がより好ましい。配合量が40重量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合に、塗膜性が劣る傾向があり、80重量部を超えると光感度が不充分となる傾向がある。
(B)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、20〜60重量部が好ましく、30〜55重量部がより好ましい。配合量が20重量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、60重量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
また、(B)成分中の(B1)成分の配合量は、(B)成分中3〜90重量%が好ましく、5〜70重量%より好ましい。配合量が3重量%未満では解像度が劣る傾向があり、90重量%を超えるとレジストの剥離時間が長くなる傾向がある。
(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、20重量部を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
次に、本発明の感光性樹脂組成物が含有することのできる(A)〜(C)成分以外の成分について説明する。本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液としてもよい。
上述した本発明の感光性樹脂組成物は、金属面、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金の表面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、以下に述べる感光性エレメントの形態で用いることが好ましい。
次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。本発明の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備えるものであり、感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
感光性樹脂組成物層は、本発明の感光性樹脂組成物を上述した溶剤(又は混合溶剤)に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができ、乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2重量%以下とすることが好ましい。そして、感光性樹脂組成物層の厚さは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。この厚さが1μm未満では工業的に塗工困難となる傾向があり、100μmを超えると接着力、解像度が低下する傾向がある。
感光性樹脂組成物層は、波長365nmの紫外線に対する透過率が5〜75%であることが好ましく、7〜60%であることがより好ましく、10〜40%であることが特に好ましい。透過率が5%未満では密着性が劣る傾向があり、75%を超えると解像度が劣る傾向がある。上記透過率は、UV分光計により測定することができ、UV分光計としては、株式会社日立製作所製228A型Wビーム分光光度計等が挙げられる。
感光エレメントにおける支持体は、厚さが5〜25μmであることが好ましく、8〜20μmであることがより好ましく、10〜20μmであることが特に好ましい。厚さが5μm未満では現像前の支持体はく離の際に、支持体が破れやすくなる傾向があり、25μmを超えると解像度が低下する傾向がある。
支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムからなることが好ましく、そのヘーズは0.001〜5.0であることが好ましく、0.001〜2.0であることがより好ましく、0.01〜1.8であることが特に好ましい。このヘーズが2.0を超えると、解像度が低下する傾向がある。上記ヘーズはJIS K 7105に準拠して測定したものであり、例えば、NDH−1001DP(日本電色工業社製、商品名)等の市販の濁度計などで測定が可能である。
感光エレメントに使用される保護フィルムは、厚さが5〜30μmであることが好ましく、10〜28μmであることがより好ましく、15〜25であることが特に好ましい。厚さが5μm未満ではラミネートの際、保護フィルムが破れやすくなる傾向があり、30μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。
本発明の感光性エレメントは、更に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層等を有していてもよい。感光性エレメントは、例えば、シート状、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂等)にロール状に巻きとって保管することができる。ロール状に巻き取った感光性エレメントの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の低いブラックシートに包んで包装することが好ましい。
次に、本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。本発明のレジストパターンの形成方法は、回路形成用基板上に、上記感光性エレメントにおける感光性樹脂組成物層を積層し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成せしめ、次いで、該露光部以外の部分を除去するものである。なお、回路形成用基板としては、絶縁層と絶縁層上に形成された導体層(銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金からなる)とを備えた基板が好ましい。
積層方法としては、感光性エレメントが保護フィルムを有している場合には、当該フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層する方法などが挙げられ、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常、回路形成用基板の導体層の面であるが、かかる面以外の面であってもよい。感光性樹脂組成物層の加熱温度は70〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kg/cm程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂組成物層を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるためには、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
このようにして積層が完了した後、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成せしめる。露光部を形成せしめる方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する支持体が活性光線に対して透明の場合には、支持体を通して活性光線を照射することができ、支持体が活性光線に対して不透明の場合には、支持体を除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、例えば、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、ウエット現像、ドライ現像等で露光部以外の部分を除去して現像し、レジストパターンを形成させる。ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
本発明においては、必要に応じて、上述した現像方法の2種以上を併用してもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10mJ/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
以上により、レジストパターンが形成されるが、本発明のレジストパターンの形成方法においては、上述した本発明の感光性エレメントを用いるために、狭小のパターン形成も良好に行うことが可能になる。
次に、本発明のプリント配線板の製造方法について説明する。本発明のプリント配線板の製造方法は、上記本発明のレジストパターンの形成方法により、レジストパターンの形成された回路形成用基板をエッチング又はめっきするものである。
回路形成用基板のエッチング及びめっきは、形成されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の導体層等に対して行われる。エッチングに用いられるエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。また、めっきを行う場合のメッキ方法としては、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケルめっき等のニッケルめっき、ハード金めっき、ソフト金めっき等の金めっきなどが挙げられる。なお、本発明においては、硫酸銅めっき等で形成された銅パターンの保護のために、はんだめっきを更に行ってもよい。
エッチング又はめっき終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10重量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられ、浸漬方式及びスプレー方式を単独で使用してもよいし、併用してもよい。
以上によりプリント配線板が得られるが、本発明のプリント配線板の製造方法においては、上述した本発明の感光性エレメントを用いるために、パターン間隔を狭小にした場合であっても、良好な露光及びエッチング又はめっきが可能になり、高密度化を実現することが可能になる。
上記本発明のプリント配線板の製造方法は、単層のプリント配線板の製造のみならず、多層プリント配線板の製造にも適用可能である。また、本発明のプリント配線板の製造方法は上記効果を奏することから、得られるプリント配線板は、高密度化が要求される分野において好適に用いることができる。
(実施例)
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3及び比較例1)
表1に示す材料を配合して溶液を得た。次いで、得られた溶液に表2に示す成分を溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、表1及び表2中の数値は重量部を意味する。
Figure 0003855998
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(比較例2)
表1における(B1)成分に代えて、下記式(VIII)で表されるテトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル4G)15gを用い、表1における(B2)成分を用いなかった他は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
Figure 0003855998
次いで、得られた感光性樹脂組成物の溶液(実施例1〜3及び比較例1〜2)を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、G2−16)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ(株)製、NF−15)で被覆し感光性エレメントを得た。なお、乾燥後の感光性樹脂組成物層の膜厚は30μmであった。
一方、銅箔(厚さ35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張り積層板(日立化成工業社製、商品名MCL−E−61)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥した。そして、得られた銅張り積層板を80℃に加温し、感光性エレメントの保護フィルムを剥がしながら、感光性樹脂組成物層を銅表面上にラミネートして、積層体を得た。なお、ラミネートは、110℃のヒートロールにより1.5m/分の速度で行った。
次に、得られた積層体の上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを置いて、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク社製)EXM−1201を用いて、3種類の露光量30、60、120mJ/cmで露光した。続いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーし、未露光部分を除去した後、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定し、対数回帰計算からストーファーの21段ステップタブレットの7段を残すのに必要な露光量を算出し、光感度とした。それぞれの感光性樹脂組成物の光感度を評価し、その結果を表3に示した。光感度は露光量で示され、この数値が低いほど光感度が高いことを示す。
更に、ストーファーの21段ステップタブレットを有するフォトツールと解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が10/10〜50/50(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が7.0となるエネルギー量で露光を行った。そして、現像処理によって未露光部をきれいに除去することができたライン幅間のスペース幅の最も小さい値により解像度を求め、その結果を表3に示した。解像度は、数値が小さいほど良好であることを意味する。
また、それぞれの感度に相当する露光量(7.0段/21)を照射した試験片を1重量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像した。1昼夜放置後、試験片を45℃に保たれた3重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、光硬化膜(レジスト)のはく離が始まる時間(はく離時間(秒))を測定し、その結果を表3に示した。はく離時間は短い方が好ましい。
Figure 0003855998
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、解像度に優れており、光感度の点においても優れた特性を発揮し、硬化後の基板からのはく離時間を短くすることも可能な感光性樹脂組成物を提供することが可能となる。また、かかる感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することが可能となる。

Claims (8)

  1. (A)バインダーポリマーと、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であって、
    (B)成分として、(B1)分子内に少なくとも2つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有し分子量が800〜3000の光重合性化合物、及び(B2)分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を含み、
    (C)成分として、(C1)下記一般式(I)で表されるクマリン化合物、及び(C2)2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を、(C)成分の全重量基準で80重量%以上含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 0003855998
    (式中、Z及びZはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基又は複素環を含む基、nは0〜4の整数、mは0〜2の整数をそれぞれ示す。なお、n個のZ及びm個のZのうち少なくとも2つは環を形成していてもよい。)
  2. (C1)成分は、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求の範囲1記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0003855998
    (式中、Z、Z及びmは前記Z、Z及びmと同義であり、Z11及びZ12は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、rは0〜3の整数を示す。なお、r個のZ、m個のZ、Z11及びZ12のうち少なくとも2つは環を形成していてもよい。)
  3. (A)成分は、カルボキシル基含有単量体とカルボキシル基非含有単量体を重合してなる、酸価が30〜250mgKOH/g且つ重量平均分子量が20,000〜300,000のバインダーポリマーであり、
    前記カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル酸を含み、前記カルボキシル基非含有単量体はスチレン及び/又はスチレン誘導体を含むことを特徴とする請求の範囲1記載の感光性樹脂組成物。
  4. (B1)成分は、下記一般式(III)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求の範囲1記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0003855998
    (式中、R及びRは各々独立に水素原子又はメチル基を示し、p、q、s及びtはp+q+s+t=4〜40となるように選ばれる正の整数である。)
  5. (C)成分の配合量が、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜20重量部であり、(A)成分と(B)成分の合計100重量部における(A)成分の配合量が40〜80重量部であり、(B1)成分の配合比率が(B)成分の全重量基準で30〜90重量%であることを特徴とする請求の範囲1記載の感光性樹脂組成物。
  6. 支持体と、該支持体上に形成された請求の範囲1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備えることを特徴とする感光性エレメント。
  7. 回路形成用基板上に、請求の範囲6記載の感光性エレメントにおける前記感光性樹脂組成物層を積層し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成せしめ、次いで、該露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
  8. 請求の範囲7記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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