JP3775142B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の製造分野において、エッチング、めっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物及びそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。
プリント配線板は、感光性エレメントを銅基板上に積層して、パターン露光した後、未露光部を現像液で除去し、エッチング又はめっき処理を施して、パターンを形成させた後、硬化部分を基板上から剥離除去する方法によって製造されている。
この未露光部の除去を行う現像液としては、炭酸ナトリウム溶液等を使用するアルカリ現像型が主流になっており、現像液は、通常、ある程度感光性樹脂組成物層を溶解する能力がある限り使用され、使用時には現像液中に感光性樹脂組成物が溶解又は分散される。
【0003】
近年のプリント配線板の高密度化に伴い、銅基板とパターン形成された感光性樹脂組成物層との接触面積が小さくなる為、現像、エッチング又はめっき処理工程で優れた接着力、機械強度、耐薬品性、柔軟性等が要求されると共に解像度が要求される。
この種の特性のうち、耐薬品性を向上させるのにビスフェノールA骨格をもつ光重合性化合物を使用する方法が、特公平7−27205号公報に記載されているが、硬化膜が脆くなる傾向がある。また、耐薬品性と柔軟性を両立させた光重合性組成物が、特開平8−286372号公報に記載されているが、解像度が劣り、高密度化対応が充分ではない。
【0004】
また、感光性樹脂組成物が溶解又は分散した現像液中の凝集物の発生が問題になっている。この凝集物は、現像液中に分散し、スプレーポンプ等により、再度現像されたプリント配線板上に付着し、その後のエッチングやめっき工程において、不要な欠陥を発生させる原因となっている。この欠陥の発生原因を防ぐためには、現像液中で感光性樹脂組成物の良好な分散安定性が必要とされる。
【0005】
特開平2−26971号公報には、剥離片細分化、剥離時間短縮等が良好な感光性樹脂組成物として、ポリプロピレングリコール基単独であるエチレン不飽和化合物が例示され、また、特開平5−11446号公報にはポリプロピレングリコール基とポリエチレングリコール基のブロック化されたエチレン不飽和化合物が例示されているが、これらポリプロピレングリコール基を分子内に有する化合物を感光性樹脂組成物中に用いた場合、アルカリ現像液中で分離しやすくスカム発生の原因となり、基板に付着すると、ショート、断線の原因となる問題点がある。
【0006】
特開平8−179503号公報には、分子中にエチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基をブロック化した基として有する特定のウレタン化合物をエチレン性不飽和化合物として用いることにより、生物化学的酸素要求量及び化学的酸素要求量が低く、現像液中の感光性樹脂組成物の凝集性が少ない感光性樹脂組成物が得られることが記載されているが、オーバー現像時の密着性、最少現像時間の短縮に問題がある。
【0007】
また、特開平5−232699号公報には、アクリレート化合物を用いた感光性樹脂組成物が開示されているが、このアクリレート化合物を用いた感光性樹脂組成物は、親水性の極めて高いポリエチレングリコール鎖を有するために、現像性が優れ、高解像度が得られるが、ポリエチレングリコール鎖が単独であると、レジスト形状の悪化やエッチング時のラインギザ等の不具合が発生し、また、ポリプロピレングリコール鎖が単独であると、アルカリ現像液中で分離しやすく、スカムの発生の原因となり、基板に付着すると、ショート、断線の原因となる問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1、2、3、4、5、6及び7記載の発明は、密着性、剥離特性及びスカム性が優れる感光性樹脂組成物を提供するものである。請求項8記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6及び7記載の発明の効果に加えて、さらに、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れる感光性樹脂組成物を提供するものである。請求項9記載の発明は、密着性、剥離特性、スカム性、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れる感光性エレメントを提供するものである。
【0009】
請求項10記載の発明は、プリント配線板の高密度化及びプリント配線板製造の自動化に有効な密着性、剥離特性、スカム性、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れるレジストパターンの製造法を提供するものである。請求項11記載の発明は、プリント配線板の高密度化及びプリント配線板製造の自動化に極めて有効な密着性、剥離特性、スカム性、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れるレジストパターンを有するプリント配線板の製造法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)重量平均分子量が30,000〜100,000であるバインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物において、前記(B)成分が(b1)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物及び(b2)一般式(I)
【化3】
Figure 0003775142
(R1は水素原子又はメチル基を示し、X1エチレン基を示し、mは8〜12の整数であり、フェニル基が1〜3個の置換基を有し、前記置換基がノニル基である)で表される化合物を必須成分とする感光性樹脂組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、(b1)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が一般式(II)
【化4】
Figure 0003775142
(式中R及びRは各々独立に水素原子又はメチル基を示し、X及びXは各々独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示し、p及びqはp+q=4〜40となるように選ばれる正の整数である)である前記感光性樹脂組成物に関する。また、本発明は、X及びXがエチレン基である前記感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、(A)バインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を必須の共重合成分とする前記感光性樹脂組成物に関する。また、本発明は、(A)バインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を全共重合成分に対して、0.1〜30重量%含有する前記感光性樹脂組成物に関する。また、本発明は、(A)バインダーポリマーの酸価が、50〜300mgKOH/gである前記感光性樹脂組成物に関する。また、本発明は、(C)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である前記感光性樹脂組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量が、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、
(A)成分が40〜70重量部、
(B)成分が、30〜60重量部及び
(C)成分が、0.1〜10重量部
であり、(b1)成分が5〜40重量部であり、(b2)成分が3〜20重量部である前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥、積層してなる感光性エレメントに関する。
【0015】
また、本発明は、前記感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法に関する。
また、本発明は、前記レジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び (C)光重合開始剤を含有してなる必要があり、前記(B)成分が(b1)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物及び(b2)前記一般式(I)を必須成分とする。
【0018】
前記(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
前記(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。
上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ (メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。
【0020】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、一般式(III)
【化5】
Figure 0003775142
(式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は炭素数1〜12のアルキル基を示す)
で表される化合物、これらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換した化合物などが挙げられる。
上記一般式(III)中のR5で示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0021】
上記一般式(III)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
前記(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有させることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。
上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸が好ましい。また、前記(A)バインダーポリマーは、可とう性の見地からスチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含有させることが好ましい。
【0023】
上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として、密着性及び剥離特性を共に良好にするには、0.1〜30重量%含むことが好ましく、1〜28重量%含むことがより好ましく、1.5〜27重量%含むことが特に好ましい。この含有量が0.1重量%未満では、密着性が劣る傾向があり、30重量%を超えると、剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
【0024】
これらのバインダーポリマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。
【0025】
前記(A)バンイダーポリマーは、塗膜性、可撓性及び解像度の見地から、重量平均分子量が30,000〜150,000であることが好ましく、40,000〜80,000であることがより好ましい。この重量平均分子量が30,000未満では塗膜性及び可撓性が悪化する傾向があり、150,000を超えると解像度が悪化する傾向がある。なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
【0026】
前記(A)バインダーポリマーの酸価は50〜300mgKOH/gであることが好ましく、60〜250mgKOH/gであることがより好ましく、70〜200mgKOH/gであることが特に好ましい。この酸価が50mgKOH/g未満では、現像時間が遅くなる傾向があり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
【0027】
前記(b1)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、ビスフェノールA骨格を有していれば特に制限はなく、例えば、前記一般式(II)で表される化合物等が挙げられる。
前記一般式(II)中、R2及びR3は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。
前記一般式(II)中、X2及びX3は各々独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示す。上記炭素数2〜6のアルキレン基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、これらの構造異性体等が挙げられ、解像性、耐めっき性の点からエチレン基が好ましい。
【0028】
上記イソプロピレン基は、−CH(CH3)CH2−で表される基であり、前記一般式(I)中の−(X2−O)−及び−(X3−O)−において結合方向は、メチレン基が酸素と結合している場合とメチレン基が酸素に結合していない場合の2種があり、1種の結合方向でもよいし、2種の結合方向が混在してもよい。
また、−(X2−O)−及び−(X3−O)−の繰り返し単位がそれぞれ2以上の時、2以上のX2及び2以上のX3は、各々同一でも相違していてもよく、X2及びX3が2種以上のアルキレン基で構成される場合、2種以上の−(X2−O)−及び−(X3−O)−は、ランダムに存在してもよいし、ブロック的に存在してもよい 。
【0029】
前記一般式(II)中、p+qは4〜40となるように選ばれる正の整数であり、6〜34であることが好ましく、8〜30であることがより好ましく、8〜28であることが特に好ましく、8〜20であることが非常に好ましく、8〜16であることが非常に特に好ましく、8〜12であることが極めて好ましい。このp+qが4未満では(A)バインダポリマーとの相溶性が低下し、基板に感光性エレメントをラミネートした際はがれ易い傾向があり、40を超えると親水性が増加し、現像時にレジスト像がはがれやすく、耐めっき性(特に半田めっき)も低下する傾向がある。
【0030】
上記一般式(II)で表される化合物としては、例えば、2,2−ビス(4− ((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0031】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−( (メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス (4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0032】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−( (メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス (4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0033】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0034】
前記(b2)前記一般式(I)で表される化合物において、前記一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基であり、水素原子であることが好ましい。
前記一般式(I)中、X1は上述したX2及びX3と同意義であり、エチレン基であることが好ましい。
前記一般式(I)中、mは4〜20の整数であり、スカム発生性及び耐現像液性の見地から、6〜18であることが好ましく、6〜12であることがより好ましく、6〜10であることが特に好ましい。
【0035】
また、前記一般式(I)で表される化合物中のフェニル基は置換基を有することができ、それらの例としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は複素環を含む基等が挙げられる。また、アルキル基の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい。また、耐現像液性、現像性及び密着性の見地から、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜14のアルキル基であることがより好ましい。
上記置換基の数は0〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましく、1〜2であることが極めて好ましい。上記置換基の数が2以上の場合、2以上の置換基は各々同一でも相違していてもよい。
【0036】
前記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられ、ノニル基であることが好ましい。
【0037】
前記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシドデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記ブチルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシペンタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシヘキサエチレンオクシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシウンデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
また、前記一般式(I)、一般式(II)で表される化合物以外の、分子内に少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられるが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物又はウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0041】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールグリコールジ (メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
上記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸等が拳げられる。
上記グリシジル基含有化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が拳げられる。
【0043】
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名UA−11等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名UA−13等が挙げられる。
【0044】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0045】
前記(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。
【0046】
また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
また、密着性及び感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体がより好ましい。
これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0047】
前記(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、40〜70重量部とすることが好ましく、45〜60重量部とすることがより好ましく、50〜55重量部とすることが特に好ましい。この配合量が40重量部未満では光硬化物が脆くなり、感光性エレメントとして用いた場合に塗膜性が劣る傾向があり、70重量部を超えると密着性、解像度が低下する傾向がある。
【0048】
前記(C)成分の光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部とすることが好ましく、1〜8重量部とすることがより好ましく、2〜5重量部とすることが特に好ましい。この配合量が0.1重量部未満では感度が不充分となる傾向があり、10重量部を超えると露光の際に組成物の表面での光の吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
【0049】
前記(B)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、30〜60重量部とすることが好ましく、45〜50重量部とすることが特に好ましい。
【0050】
前記(b2)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、3〜20重量部であることが好ましく、5〜20重量部であることがより好ましい。この配合量が3重量部未満ではスカム発生性が悪化し、且つ充分な感度が得られず、硬化膜の強度及び伸びが得られない傾向があり、20重量部を超えると充分な感度が得られない傾向がある。
【0051】
前記(b1)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、5〜40重量部とすることが好ましく、7〜30重量部とすることがより好ましく、10〜25重量部とすることが特に好ましい。この配合量が5重量部未満では充分な感度が得られず、硬化膜の強度及び伸びが得られない傾向があり、40重量部を超えると充分な感度が得られない傾向がある。
【0052】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液として塗布することができる。
【0054】
本発明の感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、金属面、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金の表面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
【0055】
また、感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜200μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、200μmを超える場合では本発明の効果が小さく、また感度が不十分となり、レジスト底部の光硬化性が悪化する傾向がある。
液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の不活性なポリオレフィンフィルム等が用いられるが、感光性樹脂組成物層からの剥離性の見地から、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0056】
上記感光性エレメントは、例えば、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得られる。透明性の見地からは、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
上記塗布は、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ、スレーコータ等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、70〜150℃、5〜30分程度で行うことができる。
また、感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2重量%以下とすることが好ましい。
【0057】
また、これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂組成物層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であったりしてはならない。これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましく、1〜30μmとすることがより好ましい。この厚みが1μm未満の場合、機械的強度が低下し、塗工時に重合体フィルムが破れるなどの問題が発生する傾向があり、30μmを超えると解像度が低下し、価格が高くなる傾向がある。
これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層の支持フィルムとして、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層してもよい。
保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
【0058】
このようにして得られる感光性樹脂組成物層と重合体フィルムとの2層からなる本発明の感光性エレメントは、例えば、そのまま又は感光性樹脂組成物層の他の面に保護フィルムをさらに積層して円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際支持フィルムが1番外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
【0059】
上記感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層する方法などが挙げられ、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。
感光性樹脂組成物層の加熱温度は、70〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
また、感光性樹脂組成物層を前記のように70〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
【0060】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層は、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する重合体フィルムが透明の場合には、そのまま、活性光線を照射してもよく、また、不透明の場合には、当然除去する必要がある。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
【0061】
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、ウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造する。
ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。
【0062】
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。
また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0063】
上記水系現像液としては、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる。ここでアルカリ物質としては、前記物質以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2ーアミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、1、3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。
現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
【0064】
上記有機溶剤としては、例えば、三アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90重量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。
また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。
【0065】
単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20重量%の範囲で水を添加することが好ましい。また、必要に応じて2種以上の現像方法を併用してもよい。
現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
【0066】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10mJ/cm2程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0067】
現像後に行われる金属面のエッチングには塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液を用いることができるが、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが望ましい。
【0068】
本発明の感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング、めっき等の公知方法で処理する。
上記めっき法としては、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケルめっき等のニッケルめっき、ハード金めっき、ソフト金めっき等の金めっきなどがある。
次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。
この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10重量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレイ方式等が挙げられ、浸漬方式及びスプレイ方式を単独で使用してもよいし、併用してもよい。
また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0069】
【実施例】
以下、本発明の実施例およびその比較例によって本発明を更に具体的に説明する。
【0070】
実施例1〜2及び比較例1〜5
表1に示す配合量で(A)成分及び(C)成分、その他成分及び溶剤を混合し、これに表2に示す(B)成分を溶解させ、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0071】
【表1】
Figure 0003775142
【0072】
【表2】
Figure 0003775142
【0073】
なお、表2における材料を以下に示した。
*1:BPE−500(新中村化学工業(株)製商品名、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン)
*2:NP−8EA(共栄社化学(株)製商品名、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート)
*3:NP−12EA(共栄社化学(株)製商品名、ノニルフェノキシドデカエチレンオキシアクリレート)
*4:NPA−10G(新中村化学工業(株)製商品名、ノニルフェノキシエチレンオキシアクリレート)
*5:HOA−MPEH(共栄社化学(株)製商品名、β−ヒドロキシエチル−β′−アクリロイルオキシル−o−フタレート)
*6:UA−13(新中村化学工業(株)製商品名、下記式(IV)で表されるEO,PO変性ウレタンジメタクリレート)
【0074】
【化6】
Figure 0003775142
(式中、Y1及びY2はエチレン基を示し、Y3及びY4はプロピレン基を示し、s1+s2=2、t1+t2=18である)
【0075】
得られた感光性樹脂組成物の溶液を16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、GSタイプ)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は20μmであった。
【0076】
次に、銅箔(厚さ35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−E−61)の銅表面を#600相当のブラシを持つ研磨機(山啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥し、得られた銅張積層板を80℃に加温し、その銅表面上に前記感光性樹脂組成物層を120℃、0.4MPaでラミネートした。
【0077】
その後、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク(株)製)HMW−590を用い、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、密着性評価用ネガとして、ライン幅/スペース幅が10/10〜50/50(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを用いて、現像後の残存ステップ段数が7となるエネルギー量で露光した。次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより現像した。ここで密着性は、現像後に密着していた細線のライン幅の最も小さい値により評価した。密着性の評価は、数値が小さいほど良好な値である。
【0078】
レジスト硬化膜の剥離時間測定法は、200mm×250mmの基板に上記で得られた感光性エレメントを用いて銅表面上に前記感光性樹脂組成物の層を120℃、0.39MPaでラミネートした。次いで、ストーファーの21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が7.0となるエネルギー量で全面露光を行った。次にポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、30℃で1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、レジストが銅基板から除去されたときの時間を測定した。剥離時間は短いほど良好である。
【0079】
また、スカムは、得られた感光性エレメントの感光性樹脂組成物層だけを、0.2m2取り出し、1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液に加え、撹拌機で常温で2時間撹拌し、得られたエマルジョンに所定量のポリプロピレン系消泡剤を0.1重量%になるように添加し、更に30分間撹拌して1昼夜放置した後、スカム発生の有無を観察した。結果をまとめて表3に示した。
○:スカム発生なし
△:スカム少量発生
×:スカム多量発生
【0080】
【表3】
Figure 0003775142
【0081】
表3から明らかなように、比較例1で使用された感光性樹脂組成物は、剥離時間が実施例1及び2と同等であるが、密着性度及びスカム発生性に劣っていることが分かる。また、比較例2で使用された感光性樹脂組成物は、スカム発生性が実施例1及び2と同等であるが、密着性及び剥離時間短縮に劣っていることが分かる。比較例3、4及び5では実施例1及び2と比較しいずれの特性も劣っている。したがって、実施例1及び2は密着性、剥離時間短縮及びスカム発生性に優れた特性を有していることが分かる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13記載の感光性樹脂組成物は、密着性、剥離特性及びスカム性が優れる。
請求項14記載の感光性樹脂組成物は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の発明の効果に加えて、さらに、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れる。
請求項15記載の感光性エレメントは、密着性、剥離特性、スカム性、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れる。
【0083】
請求項16記載のレジストパターンの製造法は、プリント配線板の高密度化及びプリント配線板製造の自動化に有効な密着性、剥離特性、スカム性、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れる。
請求項17記載のプリント配線板の製造法は、プリント配線板の高密度化及びプリント配線板製造の自動化に極めて有効な密着性、剥離特性、スカム性、耐薬品性、光硬化物の機械特性、取扱性及び作業性が優れるレジストパターンを有する。

Claims (11)

  1. (A)重量平均分子量が30,000〜100,000であるバインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物において、前記(B)成分が(b1)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物及び(b2)一般式(I)
    Figure 0003775142
    (Rは水素原子又はメチル基を示し、Xはエチレン基を示し、mは8〜12の整数であり、フェニル基が1〜3個の置換基を有し、前記置換基がノニル基である)で表される化合物を必須成分とする感光性樹脂組成物。
  2. (b1)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が一般式(II)
    Figure 0003775142
    (式中R及びRは各々独立に水素原子又はメチル基を示し、X及びXは各々独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示し、p及びqはp+q=4〜40となるように選ばれる正の整数である)である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 及びXがエチレン基である請求項2記載の感光性樹脂組成物。
  4. (A)バインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を必須の共重合成分とする請求項1、2又は3記載の感光性樹脂組成物。
  5. (A)バインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を全共重合成分に対して、0.1〜30重量%含有する請求項4記載の感光性樹脂組成物。
  6. (A)バインダーポリマーの酸価が、50〜300mgKOH/gである請求項1、2、3、4又は5記載の感光性樹脂組成物。
  7. (C)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である請求項1、2、3、4、5又は6記載の感光性樹脂組成物。
  8. (A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合割合が、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、(A)成分が40〜70重量部、(B)成分が、30〜60重量部及び(C)成分が、0.1〜10重量部であり、(b1)成分が5〜40重量部であり、(b2)成分が3〜20重量部である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の感光性樹脂組成物。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥、積層してなる感光性エレメント。
  10. 請求項9記載の感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法。
  11. 請求項10記載のレジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法。
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