JP4059724B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物に関し、更に詳細には、特定の有機化された層状粘土鉱物がポリオレフィン樹脂に微分散された樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化処理粘土と変性樹脂を混練りすることにより、粘土を樹脂中に均一に分散させる技術は、特開平11−92677号公報等によって公知である。しかしながら、かかる技術によっても、ポリオレフィン樹脂に粘土鉱物(有機化クレー)をナノレベルまで微分散させることは困難であった。また、極性基を有するオリゴマーと粘土鉱物(有機化クレー)をマスターバッチ化しておいて、これをポリオレフィンに練りこむ先行技術もあるが、その粘土の微細分散化に問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明では、特定のジアミンのアンモニウム化合物によって有機化した層状粘土鉱物をポリオレフィン樹脂に混練することによって、粘土鉱物の層状シートが微分散されたポリオレフィン樹脂・粘土ナノ複合体を構成する樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一態様として、1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する下式(1):
【化3】
Figure 0004059724
(式中、R は、炭素数2〜30の有機基であり、R は、水素原子または炭素数2〜30の有機基であり、そして、R は、炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基である。)
で示されるジアミンのモノアンモニウム化合物がイオン結合することにより有機化された層状粘土鉱物と、
当該アミノ基と反応するハロゲン基、酸無水物基、エポキシ基またはカルボキシル基から選ばれる官能基を有する、重量平均分子量100 , 000〜1 , 000 , 000であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−ポリプロピレン共重合体から選ばれる変性ポリオレフィン樹脂、
を含む樹脂組成物が提供される。
また、他の態様として、1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する下式(1):
【化4】
Figure 0004059724
(式中、R は、炭素数2〜30の有機基であり、R は、水素原子または炭素数2〜30の有機基であり、そして、R は、炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基である。)
で示されるジアミンのモノアンモニウム化合物がイオン結合することにより有機化された層状粘土鉱物と、
当該アミノ基と反応するハロゲン基、酸無水物基、エポキシ基またはカルボキシル基から選ばれる官能基を有する、重量平均分子量1 , 000〜100 , 0000であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−ポリプロピレン共重合体から選ばれる変性ポリオレフィン樹脂と、
重量平均分子量100 , 000〜1 , 000 , 000の無変性ポリオレフィン樹脂、
を含む樹脂組成物が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明では、有機化クレーの粘土鉱物に導入されたアミノ基と直接反応できる変性オレフィンのオリゴマー、変性ポリオレフィンが溶融混練時に粘土鉱物(有機化クレー)の層間に入り込んで層剥離させるため、ポリオレフィン樹脂中での当該粘土の微細分散が可能となることを見出したものである。この結果、ポリオレフィン樹脂の引張特性、加工性が改善される。
【0006】
本発明における1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する有機化合物がイオン結合することにより有機化された層状粘土鉱物は、1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する有機化合物と層状粘土鉱物を、例えば、特開2001−164134号公報に記載の方法にしたがって処理することにより容易に得られる。
【0007】
本発明で有効に用いられる有機処理剤としての1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する有機化合物は、特に、塩基性の異なるN原子を複数個有する化合物、好ましくは塩基性の異なる2個のN原子を有する化合物に塩酸を反応させることにより、比較的純度よく製造することができる。例えば、1級および2級アミノ基(または、1級および3級アミノ基、2級および3級アミノ基)を有する有機化合物を一方だけアンモニウム化することにより得られる。具体的には、下式(1):
【化2】
Figure 0004059724
で表わされる有機化合物に、例えば塩酸を0.8〜1.2モル、室温〜80℃の温度で水またはイソプロピルアルコール、あるいはこれらの混合溶媒中で反応させることにより得られる。あるいは、ジアミンにハロゲン化アルキルを反応させることにより得られる。
【0008】
上記の式中、Rは、炭素数2〜30の有機基であり、特に、炭素数4〜18の炭化水素基が好ましい。具体的には、ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基が好適に例示される。Rは、水素原子または炭素数2〜30の有機基であり、具体的には、水素原子、またはブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基が好適に例示される。そして、Rは、炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基で、具体的には、エチレン基、プロピレン基、エトキシプロピレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基、メチレンビス(シクロヘキシル)基、キシリレン基が好適に例示される。
また、上記有機処理剤としては、アミノピリジンから誘導される1分子中にピリジニウム基及びアミノ基を有する有機化合物も例示される。
【0009】
本発明で有機化される前記層状粘土鉱物には、モンモリロナイト、サポナイト、ハイデライト、ノントライト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系や、バーミキュライト、ハロイサイト等があり、天然または合成の当該粘土鉱物のいずれも使用することができる。また、本発明では、これら層状粘土鉱物の一種あるいは二種以上が使用されてもよい。これらの層状粘土鉱物の陽イオン交換量は、10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。
【0010】
本発明で当該有機化クレーを微分散させるマトリックスとなる変成ポリマーのポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体等が使用される。これらの変性ポリオレフィン樹脂は、最終的にはバルクで成形され、場合により架橋されて使用されるため、分子量として重量平均分子量で100,000〜1,000,000のものが用いられる。また、重量平均分子量1,000〜100,000の低分子量変性ポリオレフィンを重量平均分子量100,000〜1,000,000の無変性ポリオレフィン樹脂に混合した樹脂組成物も有効に用いられる。
【0011】
また、当該ポリオレフィン樹脂に導入される変性基としての官能基には、酸無水物、エポキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基およびエステル基が用いられるが、これらのうちハロゲン基、酸無水物基、エポキシ基およびカルボキシル基が、特に好適に用いられる。
【0012】
本発明の樹脂組成物には、上記必須成分に加えて、更に、充填材、色材、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、帯電防止剤等、一般の樹脂組成物に配合される各種配合材を適宜に配合することができ、その配合量もまた用途に適した一般的な配合量とすることができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではないことは言うまでもない。
【0014】
有機化クレー1の調製
アルキルプロピレンジアミン(日本油脂製、アスファゾール#10)279.5gと塩酸86.8gをイソプロパノ−ル500mL中で、50℃下で反応させた懸濁液を、予め、水28Lに分散させた層状粘土鉱物Na型モンモリロナイト(クニミネ工業製、クニピアF)700gに、90℃下で加え、同温度で12時間攪拌することにより層状粘土鉱物の有機化処理を行なった。得られた沈殿物を濾過、温水洗浄、乾燥することによって有機化クレー1を得た。
【0015】
有機化クレー2の調製
上記アルキルプロピレンジアミンの代わりに、ステアリルアミン(花王製、ファーミン80)225.8gを使用した以外は有機クレー1と同じ方法で調製した。
【0016】
試験および評価方法
1) 分散性:目視にてシート表面にクレー粒が発見されない場合を○、発見できる場合を×とした。
2) 引張破壊応力:1mm厚シートより3号ダンベルを打ち抜き、500mm/分にて引張試験を実施し、破断時の応力を引張破壊応力として示す。
3) 高化式フローテスターにて、ダイ直径1mm、長さ10mm、荷重100kgf、昇温速度5℃/分の条件で流出開始温度を測定した。
4) 溶融流量(M.F.R.):メルトインデクサーにて、200℃で測定した。
【0017】
実施例1〜3および比較例1〜4
以下の表1に示す所定量の配合成分を卓上ミキサーに装填し、充分に混練して樹脂組成物を得、これをペレット状に細かく切断し、熱変形温度および溶融流量(M.F.R.)の試験に供した。次いで、樹脂組成物を190℃×10分熱プレスすることにより1mm厚のシートに押し出して、これを分散性の視認および引張試験に供した。
【0018】
結果を、表1に示す。
【表1】
Figure 0004059724
【0019】
【発明の効果】
以上の結果によれば、本発明の樹脂組成物では、分散性が良好で、かつ、引張応力、熱変形温度および溶融流量等の物性が優れていることが判る。

Claims (2)

  1. (a)1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する下式(1):
    Figure 0004059724
    (式中、R は、炭素数2〜30の有機基であり、R は、水素原子または炭素数2〜30の有機基であり、そして、R は、炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基である。)
    で示されるジアミンのモノアンモニウム化合物がイオン結合することにより有機化された層状粘土鉱物と、
    (b)当該アミノ基と反応するハロゲン基、酸無水物基、エポキシ基またはカルボキシル基から選ばれる官能基を有する、重量平均分子量100 , 000〜1 , 000 , 000であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−ポリプロピレン共重合体から選ばれる変性ポリオレフィン樹脂、
    を含む樹脂組成物
  2. (a)1分子中にアンモニウム基およびアミノ基を有する下式(1):
    Figure 0004059724
    (式中、R は、炭素数2〜30の有機基であり、R は、水素原子または炭素数2〜30の有機基であり、そして、R は、炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基である。)
    で示されるジアミンのモノアンモニウム化合物がイオン結合することにより有機化された層状粘土鉱物と、
    (b)当該アミノ基と反応するハロゲン基、酸無水物基、エポキシ基またはカルボキシル基から選ばれる官能基を有する、重量平均分子量1 , 000〜100 , 0000であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−ポリプロピレン共重合体から選ばれる変性ポリオレフィン樹脂と、
    (c)重量平均分子量100 , 000〜1 , 000 , 000の無変性ポリオレフィン樹脂、
    を含む樹脂組成物
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