JP2000159960A - スチレン系熱可塑性エラストマー組成物及び製造方法 - Google Patents
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物及び製造方法Info
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- JP2000159960A JP2000159960A JP10337502A JP33750298A JP2000159960A JP 2000159960 A JP2000159960 A JP 2000159960A JP 10337502 A JP10337502 A JP 10337502A JP 33750298 A JP33750298 A JP 33750298A JP 2000159960 A JP2000159960 A JP 2000159960A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 表面光沢を損なわず、機械的特性、耐薬品
性、ゴム弾性に優れるスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物を提供する。 【解決手段】 スチレン系熱可塑性エラストマーおよび
層間化合物を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物であって、上記層間化合物が、膨潤性ケイ酸塩と
アミノ化合物を分散媒中で混合することによって調製さ
れ、上記アミノ化合物が1級、2級および3級アミノ基
からなる群より選択される1種以上のアミノ基を少なく
とも1個有し、水酸基、メルカプト基、エーテル基、カ
ルボニル基、ニトロ基および塩素原子より成る群から選
択される1種以上の置換基を有していても良い、炭素数
1〜25の炭化水素化合物である、スチレン系熱可塑性
エラストマー組成物。
性、ゴム弾性に優れるスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物を提供する。 【解決手段】 スチレン系熱可塑性エラストマーおよび
層間化合物を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物であって、上記層間化合物が、膨潤性ケイ酸塩と
アミノ化合物を分散媒中で混合することによって調製さ
れ、上記アミノ化合物が1級、2級および3級アミノ基
からなる群より選択される1種以上のアミノ基を少なく
とも1個有し、水酸基、メルカプト基、エーテル基、カ
ルボニル基、ニトロ基および塩素原子より成る群から選
択される1種以上の置換基を有していても良い、炭素数
1〜25の炭化水素化合物である、スチレン系熱可塑性
エラストマー組成物。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレン系熱可塑
性エラストマーおよび層間化合物を含有するスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物および該樹脂組成物の製造
方法に関する。
性エラストマーおよび層間化合物を含有するスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物および該樹脂組成物の製造
方法に関する。
【従来の技術】ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリス
チレン(SBS)に代表されるスチレン系熱可塑性エラ
ストマーは射出成形で容易にゴム弾性を有する成形体が
得られ、かつ柔軟性、耐寒性、吸湿性等に優れる為、既
存の加硫ゴム代替としてのみならず、自動車、電気製
品、建築、土木等の工業製品や医療、スポーツ用具等、
様々な分野で実用化されている。利用範囲が更に広がる
に伴い、スチレン系熱可塑性エラストマーの欠点である
機械的強度、ゴム弾性、耐熱性、耐薬品性の改善が望ま
れるようになってきた。中でも機械的強度と耐熱性を改
善する目的で、一般に無機フィラーを配合する技術が報
告されている。しかしながら、上記改善効果を得るため
には多量の無機フィラーが必要である為に表面性や色調
を著しく損なうほか、ゴム弾性や耐薬品性の改善にはほ
とんど効果が無い。また、従来の無機フィラーの配合に
よって、スチレン系熱可塑性エラストマーの大きな特長
である柔軟性が損なわれる等の問題も生じる。こうした
無機フィラー配合における欠点は主として、無機フィラ
ーの分散粒子サイズが大きすぎる為、樹脂中への溶剤の
進入・拡散を抑えることができず、また、エラストマー
の分子拘束構造へなんら寄与することができない事に起
因するものと考えられている。一方、特開平9−175
816号および欧州特許0780340号において、層
状ケイ酸塩の層を劈開し易くする目的から、ヘキサメチ
レンジアミン等の低分子化合物(インターカラントモノ
マー)を層状ケイ酸塩の層間にインターカレートして層
間化合物とする技術が開示されている。
チレン(SBS)に代表されるスチレン系熱可塑性エラ
ストマーは射出成形で容易にゴム弾性を有する成形体が
得られ、かつ柔軟性、耐寒性、吸湿性等に優れる為、既
存の加硫ゴム代替としてのみならず、自動車、電気製
品、建築、土木等の工業製品や医療、スポーツ用具等、
様々な分野で実用化されている。利用範囲が更に広がる
に伴い、スチレン系熱可塑性エラストマーの欠点である
機械的強度、ゴム弾性、耐熱性、耐薬品性の改善が望ま
れるようになってきた。中でも機械的強度と耐熱性を改
善する目的で、一般に無機フィラーを配合する技術が報
告されている。しかしながら、上記改善効果を得るため
には多量の無機フィラーが必要である為に表面性や色調
を著しく損なうほか、ゴム弾性や耐薬品性の改善にはほ
とんど効果が無い。また、従来の無機フィラーの配合に
よって、スチレン系熱可塑性エラストマーの大きな特長
である柔軟性が損なわれる等の問題も生じる。こうした
無機フィラー配合における欠点は主として、無機フィラ
ーの分散粒子サイズが大きすぎる為、樹脂中への溶剤の
進入・拡散を抑えることができず、また、エラストマー
の分子拘束構造へなんら寄与することができない事に起
因するものと考えられている。一方、特開平9−175
816号および欧州特許0780340号において、層
状ケイ酸塩の層を劈開し易くする目的から、ヘキサメチ
レンジアミン等の低分子化合物(インターカラントモノ
マー)を層状ケイ酸塩の層間にインターカレートして層
間化合物とする技術が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】上記のように層間化合
物は開示されているが、該層間化合物を劈開してスチレ
ン系熱可塑性エラストマーへ微分散化する技術は開示さ
れておらず、スチレン系熱可塑性エラストマー中に層状
粒子を微分散させる事は困難であった。従って、層状ケ
イ酸塩の層を劈開して微小な薄板状でスチレン系熱可塑
性エラストマー中に分散せしめ、機械的強度、ゴム弾
性、耐薬品性、表面光沢のバランスに優れたスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物を得る技術は未だ提供され
ていないのが現状であり、本発明の目的は、このような
従来の問題を解決することにある。
物は開示されているが、該層間化合物を劈開してスチレ
ン系熱可塑性エラストマーへ微分散化する技術は開示さ
れておらず、スチレン系熱可塑性エラストマー中に層状
粒子を微分散させる事は困難であった。従って、層状ケ
イ酸塩の層を劈開して微小な薄板状でスチレン系熱可塑
性エラストマー中に分散せしめ、機械的強度、ゴム弾
性、耐薬品性、表面光沢のバランスに優れたスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物を得る技術は未だ提供され
ていないのが現状であり、本発明の目的は、このような
従来の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明に至った。す
なわち、アミノ基を必須官能基とするアミノ化合物およ
び膨潤性ケイ酸塩を混合して層間化合物とし、スチレン
系熱可塑性エラストマー中に該層間化合物を微小な薄板
状で分散させる事により得られるスチレン系熱可塑性エ
ラストマー組成物およびその製造方法である。本発明に
よれば、請求項1のスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物は、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび層間化
合物を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
であって、層間化合物が、膨潤性ケイ酸塩とアミノ化合
物を分散媒中で混合することによって調製され、かつ上
記アミノ化合物が1級、2級および3級アミノ基からな
る群より選択される1種以上のアミノ基を少なくとも1
個有し、水酸基、メルカプト基、エーテル基、カルボニ
ル基、ニトロ基および塩素原子より成る群から選択され
る1種以上の置換基を有していても良い、炭素数1〜2
5の炭化水素化合物である。請求項2のスチレン系熱可
塑性エラストマー組成物は、請求項1に記載のスチレン
系熱可塑性エラストマーにおいて、層間化合物の平均層
厚が500Å以下である。請求項3のスチレン系熱可塑
性エラストマー組成物は、請求項1または2に記載のス
チレン系熱可塑性エラストマー組成物において、層間化
合物の最大層厚が2000Å以下である。請求項4のス
チレン系熱可塑性エラストマー組成物は、請求項1、2
または3に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成
物において、層間化合物の[N]値が30以上であり、
ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に
存在する、層間化合物の単位比率当たりの粒子数である
と定義される。請求項5のスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物は、請求項1、2、3または4に記載のスチ
レン系熱可塑性エラストマー組成物において、層間化合
物の平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜3
00である。請求項6のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法は、請求項1、2、3、4または5
に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の製造
方法であって、(A)層間化合物とスチレン系熱可塑性
エラストマーの重合性モノマーを含有する粘土分散体を
調製する工程および(B)粘土分散体中の重合性モノマ
ーを重合する工程を包含する。請求項7に記載のスチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、請求項
6に記載の製造方法において、工程(A)で得られる粘
土分散体中の層間化合物の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩
の底面間隔の3倍以上である。
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明に至った。す
なわち、アミノ基を必須官能基とするアミノ化合物およ
び膨潤性ケイ酸塩を混合して層間化合物とし、スチレン
系熱可塑性エラストマー中に該層間化合物を微小な薄板
状で分散させる事により得られるスチレン系熱可塑性エ
ラストマー組成物およびその製造方法である。本発明に
よれば、請求項1のスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物は、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび層間化
合物を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
であって、層間化合物が、膨潤性ケイ酸塩とアミノ化合
物を分散媒中で混合することによって調製され、かつ上
記アミノ化合物が1級、2級および3級アミノ基からな
る群より選択される1種以上のアミノ基を少なくとも1
個有し、水酸基、メルカプト基、エーテル基、カルボニ
ル基、ニトロ基および塩素原子より成る群から選択され
る1種以上の置換基を有していても良い、炭素数1〜2
5の炭化水素化合物である。請求項2のスチレン系熱可
塑性エラストマー組成物は、請求項1に記載のスチレン
系熱可塑性エラストマーにおいて、層間化合物の平均層
厚が500Å以下である。請求項3のスチレン系熱可塑
性エラストマー組成物は、請求項1または2に記載のス
チレン系熱可塑性エラストマー組成物において、層間化
合物の最大層厚が2000Å以下である。請求項4のス
チレン系熱可塑性エラストマー組成物は、請求項1、2
または3に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成
物において、層間化合物の[N]値が30以上であり、
ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に
存在する、層間化合物の単位比率当たりの粒子数である
と定義される。請求項5のスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物は、請求項1、2、3または4に記載のスチ
レン系熱可塑性エラストマー組成物において、層間化合
物の平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜3
00である。請求項6のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法は、請求項1、2、3、4または5
に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の製造
方法であって、(A)層間化合物とスチレン系熱可塑性
エラストマーの重合性モノマーを含有する粘土分散体を
調製する工程および(B)粘土分散体中の重合性モノマ
ーを重合する工程を包含する。請求項7に記載のスチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、請求項
6に記載の製造方法において、工程(A)で得られる粘
土分散体中の層間化合物の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩
の底面間隔の3倍以上である。
【発明の実施の形態】本発明で用いられるスチレン系熱
可塑性エラストマーとは、一般的には、芳香族ビニル化
合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体である。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロス
チレン、ジクロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,
4,5−トリブロモスチレン、2,4,6−トリブロモ
スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン等が挙げら
れる。得られる組成物の機械的物性や入手のし易さの点
から、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく使
用できる。これらの1種または2種以上を使用すること
ができる。上記共役ジエン化合物としては、ブタジエ
ン、イソプレン等が挙げられ、これらの1種以上を使用
することができる。ブロックの状態としては、ジブロッ
ク共重合体、トリブロック共重合体、ラジアルブロック
共重合体、マルチブロック共重合体等が挙げられ、これ
らのブロック共重合体のいずれを用いても良い。スチレ
ン系熱可塑性エラストマー中の芳香族ビニル化合物単位
の含有率は特に限定されないが、得られる樹脂組成物の
成形性および機械的特性の点から、好ましくは5〜70
重量%であり、より好ましくは10〜50重量%であ
る。また、該スチレン系熱可塑性エラストマーとして、
ブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加する事に
よって、主鎖中の2重結合を部分的に又は全てを飽和化
させた共重合体も用いることができる。上記スチレン系
熱可塑性エラストマーの好ましい例としては、ポリスチ
レン−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体、ポリス
チレン−ポリイソプレン−ポリスチレン共重合体、ポリ
スチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン
共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレ
ン)−ポリスチレン共重合体が挙げられる。上記スチレ
ン系熱可塑性エラストマーは、部分的にまたは全てが不
飽和化合物またはその誘導体で変性されていても良い。
上記不飽和化合物またはその誘導体としては、アクリル
酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリ
レート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘ
キシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート等のα,β−不飽和カルボン酸アルキルエス
テル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキ
シルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミ
ド化合物類;グリシジルメタクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物、イタコ
ン酸、マレイン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、無
水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の
α,β−不飽和ジカルボン酸無水物、アクリルアミン、
メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレン等のアミノ基含有不飽和化合物、3
−ヒドロキシー1ープロペン、4−ヒドロキシー1ーブ
テン、シス−4−ヒドロキシー2ーブテン、トランス−
4−ヒドロキシー2ーブテン、3−ヒドロキシー2ーメ
チル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含
有不飽和酸、およびアクリルアミド、ビニルオキサゾリ
ンなどが挙げることができ、これらの単量体の1種、ま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発
明で用いられる層間化合物とは、分散媒中で、膨潤性ケ
イ酸塩およびアミノ基を少なくとも1つ有するアミノ化
合物とを混合することにより調製されるものである。上
記の膨潤性ケイ酸塩は、主として酸化ケイ素の四面体シ
ートと、主として金属水酸化物の八面体シートから成
り、その例としては、例えば、スメクタイト族粘土およ
び膨潤性雲母などが挙げられる。膨潤性ケイ酸塩として
スメクタイト族粘土および膨潤性雲母を使用する場合に
は、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物中
における膨潤性ケイ酸塩の分散性、入手の容易さ及び樹
脂組成物の物性改善の点から好ましい。前記のスメクタ
イト族粘土は下記一般式(1) X0.2〜0.6Y2〜3Z4O10(OH)2・nH2O (1) (ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mg
から成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、F
e、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る
群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlか
ら成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層
間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオ
ンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表され
る、天然または合成されたものである。該スメクタイト
族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、
バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナ
イト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及
びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト
族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜1
7Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒
径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。ま
た、前記の膨潤性雲母は下記一般式(2) X0.5〜1.0Y2〜3(Z4O10)(F、OH)2 (2) (ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及
びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはM
g、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より
選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、F
e、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。これら
は、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と
該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であ
り、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テ
ニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム
型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の
初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17
Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約10
00〜1000000Åである。上記の膨潤性雲母の中
にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものも
あり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得
る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八
面体型があり、下記一般式(3) (Mg,Fe,Al)2〜3(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O (3 ) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライトの初期の凝集状態における底面間隔は
おおよそ10〜17Åであり、凝集状態でのバーミキュ
ライトの平均粒径は約1000〜5000000Åであ
る。膨潤性ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種以上組
み合わせて使用しても良い。これらの内では、モンモリ
ロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層間にナ
トリウムイオンを有する膨潤性雲母が、本発明のスチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物中での分散性、入手の
容易さ及び樹脂組成物の物性改善効果の点から好まし
い。膨潤性ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規則正し
く積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、結晶周
期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、いわゆる
混合層鉱物も使用され得る。本発明で用いられるアミノ
化合物とは、1級、2級および3級アミノ基からなる群
より選択される1種以上のアミノ基を少なくとも1個有
し、水酸基、エーテル基、メルカプト基、カルボニル
基、ニトロ基および塩素原子から成る群よりから選択さ
れる1種以上の置換基を有していても良い、炭素数1〜
25の炭化水素化合物である。本明細書において炭化水
素基とは、直鎖または分岐鎖(すなわち側鎖を有する)
の飽和または不飽和の一価または多価の脂肪族炭化水素
基、芳香族炭化水素基および脂環式炭化水素基を意味
し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙
げられる。本明細書において、「アルキル基」という場
合は、特に指示が無い限り「アルキレン基」等の多価の
炭化水素基を包含することを意図する。同様にアルケニ
ル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、及びシ
クロアルキル基は、それぞれアルケニレン基、アルキニ
レン基、フェニレン基、ナフチレン基、及びシクロアル
キレン基等を包含する。上記のアミノ化合物の具体例と
して、アミノ基と炭素数1〜25の炭化水素基が構成成
分である場合の例としては、ブチルアミン、N,N−ジ
メチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミ
ン、ドデシルアミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキ
シルアミン、3−ペンチルアミン、ジメチルアミノエチ
ルアミン、2−オクチルアミン、エチルアミノエチルア
ミン、ジエチルアミノエチルアミン、テトラメチルエチ
レンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、メチルアミ
ノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジ
エチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピル
アミン、テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、
1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、N
−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミ
ン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−ビ
ス(アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、
N,N’−ビス(アミノプロピル)−1,4−ブチレン
ジアミン、ジアリルアミン、イソアミルアミン、N−エ
チルイソアミルアミン、2−ヘキセニルアミン、N,N
−ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジイソ
プロピルエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、N
−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ジイソブ
チルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アニリン、β
−ナフチルアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェ
ニレンジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、N,
N’−ジメチル−p−フェニレンジアミン、ジビニルプ
ロピルアミン等が挙げられる。水酸基を有するアミノ化
合物の例としては、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エ
タノール、N−イソメチルジエタノールアミン、2−ア
ミノプロパノール、3−アミノプロパノール、3−ジメ
チルアミノプロパノール、4−アミノブタノール、4−
メチルアミノブタノール、2−ヒドロキシエチルアミノ
プロピルアミン、ジエタノールアミノプロピルアミン、
1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール等が挙
げられる。エーテル基を有するアミノ化合物の例として
は、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジメチルア
ミノエトキシプロピルアミン、1,2−ビス(3−アミ
ノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロ
ポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス
(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテ
ル、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ジエチレング
リコールエーテル、3−メトキシプロピルアミン、3−
エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミ
ン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシ
プロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2
−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−デシロキシ
プロピルアミン等が挙げられる。メルカプト基を有する
アミノ化合物の例としては、2−メルカプトエチルアミ
ン、N−(2−メルカプトエチル)アセトアミド、2−
メルカプトピリジン等が挙げられる。カルボニル基を有
するアミノ化合物の例としては、ホルムアニリド、アセ
トアニリド、アセトアセトアニリド、ドデシルアミド、
テトラデシルアミド、ヘキサデシルアミド等が挙げられ
る。ニトロ基を有するアミノ化合物の例としては、2−
ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、2,4−ジニト
ロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリンが挙げら
れる。塩素原子を有するアミノ化合物の例としては、2
−クロロアニリン、3−クロロアニリン、2,5−ジク
ロロアニリン等が挙げられる。上記のアミノ化合物の中
では、ジメチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチ
ルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、テトラメチル
エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、メチル
アミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプ
ロピルアミン、テトラメチル−1,3−ジアミノプロパ
ン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタ
ン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジ
アミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびN,
N’−ビス(アミノプロピル)−1,3−プロピレンジ
アミン等のように、一分子中に2個以上のアミノ基を有
するアミノ化合物、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エ
タノール、N−イソメチルジエタノールアミン、2−ア
ミノプロパノール、3−アミノプロパノール、3−ジメ
チルアミノプロパノール、4−アミノブタノール、4−
メチルアミノブタノール、2−ヒドロキシエチルアミノ
プロピルアミンおよび1−アミノ−3−フェノキシ−2
−プロパノール等のように、水酸基を有するアミノ化合
物、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジメチルア
ミノエトキシプロピルアミン、1,2−ビス(3−アミ
ノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロ
ポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス
(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテ
ルおよびα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ジエチレ
ングリコールエーテル等のようにエーテル基を有するア
ミノ化合物が好ましく使用され得る。上記のアミノ化合
物の置換体、または誘導体もまた使用し得る。これらの
アミノ化合物は、単独、又は2種以上組み合わせて使用
され得る。層間化合物は、膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で
底面間隔を拡大させた後に、上記のアミノ化合物を添加
して混合する事により得られる。上記の分散媒とは、
水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極
性溶媒の混合溶媒を意図する。該極性溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の
アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホ
ルムアミド等のアミド化合物、その他の溶媒であるジメ
チルスルホキシドや2−ピロリドン等が挙げられる。こ
れらの極性溶媒は単独で用いても良く2種類以上組み合
わせて用いても良い。膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で底面
間隔を拡大させることは、該膨潤性ケイ酸塩を該分散媒
中で充分に撹拌して分散させる事によりなし得る。拡大
後の底面間隔は初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔に比べ
て、好ましくは3倍以上であり、より好ましくは4倍以
上であり、更に好ましくは5倍以上である。上限値は特
にない。ただし、底面間隔が約10倍以上に拡大する
と、底面間隔の測定が困難になるが、この場合、膨潤性
ケイ酸塩は実質的に単位層で存在する。本明細書におい
て、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔とは、分散媒に添
加する前の、単位層が互いに積層し凝集状態である粒子
状の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔である事を意図する。底
面間隔は小角X線回折法(SAXS)などで確認し得
る。すなわち、分散媒と膨潤性ケイ酸塩から成る混合物
におけるX線回折ピーク角値をSAXSで測定し、該ピ
ーク角値をBraggの式に代入して算出することによ
り底面間隔を求め得る。膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を効
率的に拡大させるためには、数千rpm以上で撹拌する
か、以下に示す物理的な外力を加える方法が挙げられ
る。物理的な外力は、一般に行われるフィラーの湿式微
粉砕方法を用いることによって加えられ得る。一般的な
フィラーの湿式微粉砕方法としては、例えば、硬質粒子
を利用する方法が挙げられる。この方法では、硬質粒子
と膨潤性ケイ酸塩と任意の溶媒とを混合して撹拌し、硬
質粒子と膨潤性ケイ酸塩との物理的な衝突によって、膨
潤性ケイ酸塩を分離させる。通常用いられる硬質粒子は
フィラー粉砕用ビーズであり、例えば、ガラスビーズま
たはジルコニアビーズ等が挙げられる。これら粉砕用ビ
ーズは、膨潤性ケイ酸塩の硬度、または撹拌機の材質を
考慮して選択され、上述したガラスまたはジルコニアに
限定されない。その粒径もまた、膨潤性ケイ酸塩のサイ
ズなどを考慮して決定されるために一概に数値で限定さ
れるものではないが、直径0.1〜6.0mmの範囲に
あるものが好ましい。ここで用いる溶媒は特に限定され
ないが、例えば、上記の分散媒が好ましい。上記のよう
に、分散媒中で膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を拡大し、言
い換えれば、凝集していた各単位層を劈開してばらばら
にして個々独立に存在させる。その後、アミノ化合物を
加えて十分に撹拌して混合する事によって層間化合物が
得られる。アミノ化合物による膨潤性ケイ酸塩の処理
は、底面間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩と分散媒を含
む混合物中にアミノ化合物を添加して撹拌することによ
り行われるが、アミノ化合物による処理をより効率的に
行いたい場合は、撹拌の回転数を1000rpm以上、
好ましくは1500rpm以上、より好ましくは200
0rpm以上にするか、あるいは湿式ミルなどを用いて
500(1/s)以上、好ましくは1000(1/s)
以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪断速
度を加える。回転数の上限値は約25000rpmであ
り、剪断速度の上限値は約500000(1/s)であ
る。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断を加
えても効果はそれ以上変わらない傾向があるため、上限
値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。アミノ化合
物による膨潤性ケイ酸塩の処理は室温で充分に行い得る
が、必要に応じて系を加温しても良い。加温時の最高温
度は用いるアミノ化合物の分解温度未満であり、かつ、
分散媒の沸点未満で有れば任意に設定し得る。アミノ化
合物の使用量は、得られる層間化合物とスチレン系熱可
塑性エラストマー、あるいは粘土分散体(後述する本発
明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
で用いられる)における分散性が十分に高まるように調
製し得る。必要であるならば、構造の異なる複数種のア
ミノ化合物を併用し得る。従って、アミノ化合物の添加
量は一概に数値で限定されるものではないが、膨潤性ケ
イ酸塩100重量部に対して、0.1から200重量部
であり、好ましくは0.2から180重量部であり、よ
り好ましくは0.3から160重量部であり、更に好ま
しくは0.4から140重量部であり、特に好ましくは
0.5から120重量部である。アミノ化合物の量が0.
1重量部未満であると得られる層間化合物の微分散化効
果が充分で無くなる傾向がある。また、200重量部以
上では効果が変わらないので200重量部より多く添加
する必要はない。上記のようにして得られる層間化合物
の底面間隔は、導入されたアミノ化合物の存在により、
膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて拡大し得る。
例えば、分散媒中に分散されて底面間隔が拡大された膨
潤性ケイ酸塩は、アミノ化合物を導入しない場合、分散
媒を除去すると再び層同士が凝集した状態に戻るが、本
発明によれば、底面間隔を拡大した後にアミノ化合物を
導入することによって、分散媒を除去した後も、得られ
る層間化合物は層同士が凝集することなく底面間隔が拡
大された状態で存在し得る。層間化合物の底面間隔は膨
潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて、1.1倍以
上、好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.3倍以
上、特に好ましくは1.5倍以上拡大している。底面間
隔は小角X線回折法(SAXS)などで確認し得る。こ
の方法では、乾燥して粉末状にした層間化合物の(00
1)面に由来するX線回折ピーク角値をSAXSで測定
し、Braggの式に代入し算出することにより底面間
隔を求め得る。同様に初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔
を測定し、この両者を比較することにより底面間隔の拡
大を確認し得る。この様に底面間隔が拡大していること
を確認することによって、層間化合物が生成しているこ
とを確認できる。発明のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物において、スチレン系熱可塑性エラストマー1
00重量部に対する層間化合物の配合量が、代表的には
0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜45重量部、よ
り好ましくは0.3〜40重量部、更に好ましくは0.4
〜35重量部、特に好ましくは0.5〜30重量部とな
るように調製される。層間化合物の配合量が0.1重量
部未満であると機械的特性、ゴム弾性、耐薬品性への改
善効果が不充分となる場合があり、50重量部を超える
と表面光沢が損なわれる傾向がある。また、層間化合物
に由来するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の灰
分率が、代表的には0.1〜30重量%、好ましくは0.
2〜28重量%、より好ましくは0.3〜25重量%、
更に好ましくは0.4〜23重量%、特に好ましくは0.
5〜20重量%と成るように調製される。灰分率が0.
1重量%未満であると機械的特性、ゴム弾性、耐薬品性
への改善効果が不充分となる場合があり、30重量%を
超えると表面光沢が損なわれる傾向がある。本発明のス
チレン系熱可塑性エラストマー組成物中で分散している
層間化合物の構造は、配合前の膨潤性ケイ酸塩が有して
いたような、層が多数積層したμmサイズの凝集構造と
は全く異なる。すなわち、マトリックス樹脂と親和性を
有するアミノ化合物が導入され、かつ初期の膨潤性ケイ
酸塩に比べて底面間隔が拡大された層間化合物を用いる
ことによって、層同士が劈開し、互いに独立して細分化
する。その結果、層間化合物はスチレン系熱可塑性エラ
ストマー組成物中で非常に細かく互いに独立した薄板状
で分散し、その数は、原料である膨潤性ケイ酸塩に比べ
て著しく増大する。この様な薄板状の層間化合物の分散
状態は以下に述べるアスペクト比(層長さ/層厚の比
率)、分散粒子数、最大層厚および平均層厚で表現され
得る。まず、平均アスペクト比を、樹脂中に分散した層
間化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると定義す
ると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
中の層間化合物の平均アスペクト比は10〜300であ
り、好ましくは15〜300であり。更に好ましくは2
0〜300である。層間化合物平均アスペクト比が10
未満であると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の機械的特性への改善効果が十分に得られない
場合がある。また、300より大きくても効果はそれ以
上変わらないため平均アスペクト比を300より大きく
する必要はない。また、[N]値を、スチレン系熱可塑
性エラストマー組成物の面積100μm 2における、膨
潤性ケイ酸塩の単位重量比率当たりの分散粒子数である
と定義すると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物における層間化合物の[N]値は、30以上で
あり、好ましくは45以上であり、より好ましくは60
以上である。上限値は特にないが、[N]値が1000
程度を越えると、それ以上効果は変わらなくなるので、
1000より大きくする必要はない。[N]値は、例え
ば、次のようにして求められ得る。すなわち、スチレン
系熱可塑性エラストマー組成物を約50μm〜100μ
m厚の超薄切片に切り出し、該切片をTEM等で撮影し
た像上で、面積が100μm2の任意の領域に存在する
層間化合物の粒子数を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比
率で除すことによって求められ得る。あるいは、TEM
像上で、100個以上の粒子が存在する任意の領域(面
積は測定しておく)を選んで該領域に存在する粒子数
を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比率で除し、面積10
0μm2に換算した値を[N]値としてもよい。従っ
て、[N]値はスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
のTEM写真等を用いることにより定量化できる。ま
た、平均層厚を、薄板状で分散した層間化合物の層厚み
の数平均値であると定義すると、本発明のスチレン系熱
可塑性エラストマー組成物中の層間化合物の平均層厚の
上限値は500Å以下であり、好ましくは450Å以下
であり、より好ましくは400Å以下である。平均層厚
が500Åより大きいと、本発明のスチレン系熱可塑性
エラストマー組成物の機械的特性や耐薬品性、ゴム弾性
への改良効果が十分に得られない場合がある。平均層厚
の下限値は特に限定されないが、10Å程度である。ま
た、最大層厚を、本発明のスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物中に薄板状に分散した層間化合物の層厚みの
最大値であると定義すると、層間化合物の最大層厚の上
限値は、2000Å以下であり、好ましくは1800Å
以下であり、より好ましくは1500Å以下である。最
大層厚が2000Åより大きいと、本発明のスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物の表面光沢、耐薬品性、ゴ
ム弾性が損なわれる場合がある。層間化合物の最大層厚
の下限値は特に限定されないが、50Å程度である。層
厚および層長さは、本発明のスチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物から得られる試験片等を、顕微鏡等を用い
て撮影される像から求められる。すなわち、いま仮に、
X−Y面上に上記の方法で調製したフィルムの、あるい
は肉厚が約0.5〜2mm程度の薄い平板状の射出成形
した試験片を置いたと仮定する。上記のフィルムあるい
は試験片をX−Z面あるいはY−Z面と平行な面で約5
0μm〜100μm厚の超薄切片を切り出し、該切片を
透過型電子顕微鏡などを用い、約4〜10万倍以上の高
倍率で観察して求められ得る。測定は、上記の方法で得
られた透過型電子顕微鏡の象上に置いて、100個以上
の層間化合物を含む任意の領域を選択し、画像処理装置
などで画像化し、計算機処理する事等により定量化でき
る。あるいは定規等を用いて計測しても求めることもで
きる。本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
の製造方法には特に制限はないが、例えば、(A)層間
化合物とスチレン系熱可塑性エラストマーの重合性モノ
マーを含有する粘土分散体を調製する工程、(B)粘土
分散体中の重合性モノマーを重合する工程を包含する方
法が好ましい。ここで、上記の重合性モノマーとは、芳
香族ビニル化合物を意味し、その様な例としては例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、p
−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、
2,4,6−トリブロモスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、
ビニルキシレン等が挙げられ、これらの化合物は単独
で、または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。ここで、上記の粘土分散体には、重合性モノマー以
外の構成成分として、スチレン系熱可塑性エラストマー
の変性に用いる不飽和化合物、スチレン系熱可塑性エラ
ストマーの低重合度体、有機溶媒が含有されても差し支
えない。上記不飽和化合物はすで例示しているのでここ
では省略する。また、上記のスチレン系低重合度体と
は、上記の重合性モノマーがラジカル重合またはイオン
重合することによって得られ、層間化合物が充分に均一
分散できる程度の粘度を示す分子量を有するものを意味
する。また、上記の有機溶媒とは、例えば、ヘキサン、
オクタン、デカン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素系化合
物、シクロヘキサン、シクロデカン等の脂環式炭化水素
系化合物、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−
プロピルベンゼン、クメン、t−ブチルベンゼン、メシ
チレン、ブロモトルエン、クロロトルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系化合物、塩化メチレン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素系化合物、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、メチルフェニルエーテル等のエーテル
化合物、メチルエチルケトン、メチルアリルケトン、メ
チルフェニルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合
物、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル等のエ
ステル化合物、トリエチルアミン、トリ−t−ブチルア
ミン、ピペリジン、ピリジン、シクロヘキシルアミン、
アニリン、エチレンジアミン等のアミン化合物、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド等のアミド化合物、ジメチルスルホキシド等の有機硫
黄化合物などの有機溶媒から成る群から選択される1種
以上が挙げられる。上記の工程(A)で粘土分散体を調
製する方法は特に限定されず、例えば、予め調製した層
間化合物およびスチレン系熱可塑性エラストマーの重合
性モノマーを十分に混合する方法、または層間化合物お
よび有機溶媒を充分に混合した後、重合性モノマーを更
に添加混合する方法が挙げられる。混合を効率よく行う
ためには、撹拌の回転数は500rpm以上、あるいは
300(1/s)以上の剪断速度を加える。回転数の上
限値は25000rpmであり、剪断速度の上限値は5
00000(1/s)である。上限値よりも大きい値で
撹拌を行っても効果はそれ以上変わらない傾向があるた
め、上限値より大きい値で撹拌を行う必要はない。工程
(A)で得られる粘土分散体に含まれる層間化合物は、
膨潤性ケイ酸塩が有していたような初期の積層・凝集構
造はほぼ完全に消失して薄板状に細分化するか、あるい
は層同士の間隔が拡大していわゆる膨潤状態となる。膨
潤状態を表す指標として底面間隔が用いられ得る。粘土
分散体中の層間化合物の底面間隔は、層間化合物が細分
化して薄板状に成るためには、膨潤性ケイ酸塩の初期の
底面間隔の3倍以上が好ましく、4倍以上がより好まし
く、5倍以上更に好ましい。そして工程(B)、すなわ
ち、重合性モノマーを重合する工程を行い得る。工程
(A)で得られた粘土分散体とブタジエンやイソプレン
等の共役ジエン化合物を充分に混合した後、通常一般に
行われるスチレン系熱可塑性エラストマーの重合方法に
よってなし得る。その様な方法としては、例えば、アニ
オンリビング重合法による逐次重合、ポリマーアニオン
のカップリング反応による方法が挙げられる。本発明の
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物は以下に示す方
法によっても製造され得る。まず、スチレン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、クロロホル
ム、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、ジイソ
プロピルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケト
ン、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、プロ
ピルホルメート、テトラヒドロフラン(THF)、ジエ
チルエーテルなどのスチレン系熱可塑性エラストマーの
良溶媒と予め調製した層間化合物を十分に混合する。混
合時の撹拌数等は上記の条件と同様であり、混合後の層
間化合物の底面間隔は、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間
隔の3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5
倍以上更に好ましい。次いで、予め重合したスチレン系
熱可塑性エラストマーを加えて溶解させ、十分に混合し
た後に溶媒を除去する事によっても本発明のスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物が得られる。本発明のスチ
レン系熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、耐薬
品性、表面性などが優れる理由は、樹脂中に層間化合物
が、多数の微小な薄板状粒子となって分散し、その分散
状態の指標となる層間化合物の平均層厚、最大層厚、分
散粒子数および平均アスペクト比が前述した範囲になっ
ている為である。層間化合物の分散状態は、層間化合物
の調製工程および上記のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法における工程(A)から選ばれる1
種以上の工程によって制御され得る。層間化合物の調製
工程でスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の分散状
態を制御する方法に関しては、アミノ化合物の種類や
量、アミノ化合物と膨潤性ケイ酸塩との混合条件(時
間、温度、撹拌力)、分散媒の種類等が制御因子として
挙げられるが、特に、アミノ化合物と膨潤性ケイ酸塩と
の混合時間や撹拌力および分散媒の種類によって制御す
るのが簡便で好ましい。この様な方法としては例えば、
混合時の撹拌数や剪断力が一定であるならば、分散媒の
種類、複数種の分散媒を用いる場合はその混合比率およ
び混合の順番に伴って、膨潤性ケイ酸塩の膨潤・劈開の
状態は変化する。例えば、膨潤性ケイ酸塩としてモンモ
リロナイトを用いた場合、分散媒が水のみでは、モンモ
リロナイトはほぼ単位層に近い状態にまで膨潤・劈開す
るので、その状態でアミノ化合物を混合させれば、ほぼ
単位層毎にアミノ化合物が反応した層間化合物が調製さ
れる。一方、エタノール、テトラヒドロフラン(TH
F)、メチルエチルケトン(MEK)やN−メチルピロ
リドン(NMP)等の極性溶媒と水との混合溶媒を分散
媒とした場合や、該極性溶媒にモンモリロナイトを分散
させ次いで水を加える等した場合は、約数枚〜約百数十
枚程度の単位層が積層した状態に劈開、細分化する。そ
の状態でアミノ化合物を混合させれば、ほぼ数枚〜約百
数十枚分の厚みを有する層間化合物が調製される。それ
らの状態を保持するように、スチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物を重合する事によって層間化合物の分散状
態を制御し得る。工程(A)でスチレン系熱可塑性エラ
ストマー組成物の分散状態を制御する方法に関しては、
粘土分散体を構成する層間化合物および重合性モノマ
ー、必要に応じて用いられる不飽和化合物(エラストマ
ーの変性に用いられる)及び/又は有機溶媒の親和性や
混合条件(撹拌力や混合時間、温度)等が制御因子とし
て挙げられるが、特に、親和性、撹拌力および混合時間
によって制御するのが簡便で好ましい。この様な方法と
しては例えば、混合時の撹拌数や剪断力および時間が一
定であり、かつ重合性モノマーとしてスチレンを用いた
場合、層間化合物に結合しているアミノ化合物がフェニ
ル基やシクロアルキル基等のような炭化水素基を有して
いれば、上記重合性モノマーとの親和性が高いために層
間化合物は単位層〜数十枚で分散する。逆に水酸基、メ
ルカプト基またはニトロ基等の極性が高い基を有するア
ミノ化合物を添加すれば、約数枚〜約百数十枚程度の単
位層が積層した状態に劈開、細分化する。それらの状態
を保持するように重合する事によって層間化合物の分散
状態を制御し得る。本発明のスチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物には、必要に応じて、ポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、アイオノ
マー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロ
ピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴ
ム、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレ
フィンの共重合体などを更に添加することができる。こ
れらは無水マレイン酸等の酸化合物、またはグリシジル
メタクリレート等のエポキシ化合物で変性されていても
良い。また、機械的特性、成形性などの特性を損なわな
い範囲で、他の任意の樹脂、例えば、ポリカーボネート
樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリアミド樹
脂、スチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセ
タール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリイミド、ポリエ
ーテルイミド樹脂、及びポリアリレート樹脂等の熱可塑
性樹脂や、不飽和熱可塑性エラストマー、エポキシ樹
脂、及びフェノールノボラック樹脂等の熱硬化性樹脂の
単独または2種以上を組み合わせて使用し得る。更に、
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物には、
目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、及び帯
電防止剤等の添加剤を添加することができる。本発明の
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形や
押出成形で成形しても良く、熱プレス成形にも使用でき
る。また、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物は、フィルムやシートにも利用できる。そのような
成形品やフィルムは表面光沢、耐薬品性、機械的特性、
ゴム弾性等に優れる為、例えば、自動車部品、家庭用電
気製品部品、精密機械部品、家庭日用品、包装・容器資
材、その他一般工業用資材に好適に用いられる。又、他
樹脂、無機質等他素材の改質剤としても利用し得る。本
発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物中では層
間化合物が非常に細かく、かつ薄い板状で均一分散して
いることから、表明光沢を損なうことなく、また、比重
を著しく増加させる事無く、機械的強度、ゴム弾性、耐
薬品性を改善することができる。
可塑性エラストマーとは、一般的には、芳香族ビニル化
合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体である。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロス
チレン、ジクロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,
4,5−トリブロモスチレン、2,4,6−トリブロモ
スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン等が挙げら
れる。得られる組成物の機械的物性や入手のし易さの点
から、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく使
用できる。これらの1種または2種以上を使用すること
ができる。上記共役ジエン化合物としては、ブタジエ
ン、イソプレン等が挙げられ、これらの1種以上を使用
することができる。ブロックの状態としては、ジブロッ
ク共重合体、トリブロック共重合体、ラジアルブロック
共重合体、マルチブロック共重合体等が挙げられ、これ
らのブロック共重合体のいずれを用いても良い。スチレ
ン系熱可塑性エラストマー中の芳香族ビニル化合物単位
の含有率は特に限定されないが、得られる樹脂組成物の
成形性および機械的特性の点から、好ましくは5〜70
重量%であり、より好ましくは10〜50重量%であ
る。また、該スチレン系熱可塑性エラストマーとして、
ブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加する事に
よって、主鎖中の2重結合を部分的に又は全てを飽和化
させた共重合体も用いることができる。上記スチレン系
熱可塑性エラストマーの好ましい例としては、ポリスチ
レン−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体、ポリス
チレン−ポリイソプレン−ポリスチレン共重合体、ポリ
スチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン
共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレ
ン)−ポリスチレン共重合体が挙げられる。上記スチレ
ン系熱可塑性エラストマーは、部分的にまたは全てが不
飽和化合物またはその誘導体で変性されていても良い。
上記不飽和化合物またはその誘導体としては、アクリル
酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリ
レート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘ
キシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート等のα,β−不飽和カルボン酸アルキルエス
テル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキ
シルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミ
ド化合物類;グリシジルメタクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物、イタコ
ン酸、マレイン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、無
水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の
α,β−不飽和ジカルボン酸無水物、アクリルアミン、
メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレン等のアミノ基含有不飽和化合物、3
−ヒドロキシー1ープロペン、4−ヒドロキシー1ーブ
テン、シス−4−ヒドロキシー2ーブテン、トランス−
4−ヒドロキシー2ーブテン、3−ヒドロキシー2ーメ
チル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含
有不飽和酸、およびアクリルアミド、ビニルオキサゾリ
ンなどが挙げることができ、これらの単量体の1種、ま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発
明で用いられる層間化合物とは、分散媒中で、膨潤性ケ
イ酸塩およびアミノ基を少なくとも1つ有するアミノ化
合物とを混合することにより調製されるものである。上
記の膨潤性ケイ酸塩は、主として酸化ケイ素の四面体シ
ートと、主として金属水酸化物の八面体シートから成
り、その例としては、例えば、スメクタイト族粘土およ
び膨潤性雲母などが挙げられる。膨潤性ケイ酸塩として
スメクタイト族粘土および膨潤性雲母を使用する場合に
は、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物中
における膨潤性ケイ酸塩の分散性、入手の容易さ及び樹
脂組成物の物性改善の点から好ましい。前記のスメクタ
イト族粘土は下記一般式(1) X0.2〜0.6Y2〜3Z4O10(OH)2・nH2O (1) (ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mg
から成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、F
e、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る
群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlか
ら成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層
間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオ
ンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表され
る、天然または合成されたものである。該スメクタイト
族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、
バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナ
イト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及
びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト
族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜1
7Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒
径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。ま
た、前記の膨潤性雲母は下記一般式(2) X0.5〜1.0Y2〜3(Z4O10)(F、OH)2 (2) (ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及
びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはM
g、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より
選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、F
e、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。これら
は、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と
該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であ
り、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テ
ニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム
型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の
初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17
Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約10
00〜1000000Åである。上記の膨潤性雲母の中
にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものも
あり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得
る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八
面体型があり、下記一般式(3) (Mg,Fe,Al)2〜3(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O (3 ) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライトの初期の凝集状態における底面間隔は
おおよそ10〜17Åであり、凝集状態でのバーミキュ
ライトの平均粒径は約1000〜5000000Åであ
る。膨潤性ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種以上組
み合わせて使用しても良い。これらの内では、モンモリ
ロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層間にナ
トリウムイオンを有する膨潤性雲母が、本発明のスチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物中での分散性、入手の
容易さ及び樹脂組成物の物性改善効果の点から好まし
い。膨潤性ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規則正し
く積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、結晶周
期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、いわゆる
混合層鉱物も使用され得る。本発明で用いられるアミノ
化合物とは、1級、2級および3級アミノ基からなる群
より選択される1種以上のアミノ基を少なくとも1個有
し、水酸基、エーテル基、メルカプト基、カルボニル
基、ニトロ基および塩素原子から成る群よりから選択さ
れる1種以上の置換基を有していても良い、炭素数1〜
25の炭化水素化合物である。本明細書において炭化水
素基とは、直鎖または分岐鎖(すなわち側鎖を有する)
の飽和または不飽和の一価または多価の脂肪族炭化水素
基、芳香族炭化水素基および脂環式炭化水素基を意味
し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙
げられる。本明細書において、「アルキル基」という場
合は、特に指示が無い限り「アルキレン基」等の多価の
炭化水素基を包含することを意図する。同様にアルケニ
ル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、及びシ
クロアルキル基は、それぞれアルケニレン基、アルキニ
レン基、フェニレン基、ナフチレン基、及びシクロアル
キレン基等を包含する。上記のアミノ化合物の具体例と
して、アミノ基と炭素数1〜25の炭化水素基が構成成
分である場合の例としては、ブチルアミン、N,N−ジ
メチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミ
ン、ドデシルアミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキ
シルアミン、3−ペンチルアミン、ジメチルアミノエチ
ルアミン、2−オクチルアミン、エチルアミノエチルア
ミン、ジエチルアミノエチルアミン、テトラメチルエチ
レンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、メチルアミ
ノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジ
エチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピル
アミン、テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、
1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、N
−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミ
ン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−ビ
ス(アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、
N,N’−ビス(アミノプロピル)−1,4−ブチレン
ジアミン、ジアリルアミン、イソアミルアミン、N−エ
チルイソアミルアミン、2−ヘキセニルアミン、N,N
−ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジイソ
プロピルエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、N
−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ジイソブ
チルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アニリン、β
−ナフチルアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェ
ニレンジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、N,
N’−ジメチル−p−フェニレンジアミン、ジビニルプ
ロピルアミン等が挙げられる。水酸基を有するアミノ化
合物の例としては、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エ
タノール、N−イソメチルジエタノールアミン、2−ア
ミノプロパノール、3−アミノプロパノール、3−ジメ
チルアミノプロパノール、4−アミノブタノール、4−
メチルアミノブタノール、2−ヒドロキシエチルアミノ
プロピルアミン、ジエタノールアミノプロピルアミン、
1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール等が挙
げられる。エーテル基を有するアミノ化合物の例として
は、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジメチルア
ミノエトキシプロピルアミン、1,2−ビス(3−アミ
ノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロ
ポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス
(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテ
ル、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ジエチレング
リコールエーテル、3−メトキシプロピルアミン、3−
エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミ
ン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシ
プロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2
−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−デシロキシ
プロピルアミン等が挙げられる。メルカプト基を有する
アミノ化合物の例としては、2−メルカプトエチルアミ
ン、N−(2−メルカプトエチル)アセトアミド、2−
メルカプトピリジン等が挙げられる。カルボニル基を有
するアミノ化合物の例としては、ホルムアニリド、アセ
トアニリド、アセトアセトアニリド、ドデシルアミド、
テトラデシルアミド、ヘキサデシルアミド等が挙げられ
る。ニトロ基を有するアミノ化合物の例としては、2−
ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、2,4−ジニト
ロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリンが挙げら
れる。塩素原子を有するアミノ化合物の例としては、2
−クロロアニリン、3−クロロアニリン、2,5−ジク
ロロアニリン等が挙げられる。上記のアミノ化合物の中
では、ジメチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチ
ルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、テトラメチル
エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、メチル
アミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプ
ロピルアミン、テトラメチル−1,3−ジアミノプロパ
ン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタ
ン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジ
アミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびN,
N’−ビス(アミノプロピル)−1,3−プロピレンジ
アミン等のように、一分子中に2個以上のアミノ基を有
するアミノ化合物、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エ
タノール、N−イソメチルジエタノールアミン、2−ア
ミノプロパノール、3−アミノプロパノール、3−ジメ
チルアミノプロパノール、4−アミノブタノール、4−
メチルアミノブタノール、2−ヒドロキシエチルアミノ
プロピルアミンおよび1−アミノ−3−フェノキシ−2
−プロパノール等のように、水酸基を有するアミノ化合
物、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジメチルア
ミノエトキシプロピルアミン、1,2−ビス(3−アミ
ノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロ
ポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス
(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテ
ルおよびα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ジエチレ
ングリコールエーテル等のようにエーテル基を有するア
ミノ化合物が好ましく使用され得る。上記のアミノ化合
物の置換体、または誘導体もまた使用し得る。これらの
アミノ化合物は、単独、又は2種以上組み合わせて使用
され得る。層間化合物は、膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で
底面間隔を拡大させた後に、上記のアミノ化合物を添加
して混合する事により得られる。上記の分散媒とは、
水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極
性溶媒の混合溶媒を意図する。該極性溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の
アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホ
ルムアミド等のアミド化合物、その他の溶媒であるジメ
チルスルホキシドや2−ピロリドン等が挙げられる。こ
れらの極性溶媒は単独で用いても良く2種類以上組み合
わせて用いても良い。膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で底面
間隔を拡大させることは、該膨潤性ケイ酸塩を該分散媒
中で充分に撹拌して分散させる事によりなし得る。拡大
後の底面間隔は初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔に比べ
て、好ましくは3倍以上であり、より好ましくは4倍以
上であり、更に好ましくは5倍以上である。上限値は特
にない。ただし、底面間隔が約10倍以上に拡大する
と、底面間隔の測定が困難になるが、この場合、膨潤性
ケイ酸塩は実質的に単位層で存在する。本明細書におい
て、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔とは、分散媒に添
加する前の、単位層が互いに積層し凝集状態である粒子
状の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔である事を意図する。底
面間隔は小角X線回折法(SAXS)などで確認し得
る。すなわち、分散媒と膨潤性ケイ酸塩から成る混合物
におけるX線回折ピーク角値をSAXSで測定し、該ピ
ーク角値をBraggの式に代入して算出することによ
り底面間隔を求め得る。膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を効
率的に拡大させるためには、数千rpm以上で撹拌する
か、以下に示す物理的な外力を加える方法が挙げられ
る。物理的な外力は、一般に行われるフィラーの湿式微
粉砕方法を用いることによって加えられ得る。一般的な
フィラーの湿式微粉砕方法としては、例えば、硬質粒子
を利用する方法が挙げられる。この方法では、硬質粒子
と膨潤性ケイ酸塩と任意の溶媒とを混合して撹拌し、硬
質粒子と膨潤性ケイ酸塩との物理的な衝突によって、膨
潤性ケイ酸塩を分離させる。通常用いられる硬質粒子は
フィラー粉砕用ビーズであり、例えば、ガラスビーズま
たはジルコニアビーズ等が挙げられる。これら粉砕用ビ
ーズは、膨潤性ケイ酸塩の硬度、または撹拌機の材質を
考慮して選択され、上述したガラスまたはジルコニアに
限定されない。その粒径もまた、膨潤性ケイ酸塩のサイ
ズなどを考慮して決定されるために一概に数値で限定さ
れるものではないが、直径0.1〜6.0mmの範囲に
あるものが好ましい。ここで用いる溶媒は特に限定され
ないが、例えば、上記の分散媒が好ましい。上記のよう
に、分散媒中で膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を拡大し、言
い換えれば、凝集していた各単位層を劈開してばらばら
にして個々独立に存在させる。その後、アミノ化合物を
加えて十分に撹拌して混合する事によって層間化合物が
得られる。アミノ化合物による膨潤性ケイ酸塩の処理
は、底面間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩と分散媒を含
む混合物中にアミノ化合物を添加して撹拌することによ
り行われるが、アミノ化合物による処理をより効率的に
行いたい場合は、撹拌の回転数を1000rpm以上、
好ましくは1500rpm以上、より好ましくは200
0rpm以上にするか、あるいは湿式ミルなどを用いて
500(1/s)以上、好ましくは1000(1/s)
以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪断速
度を加える。回転数の上限値は約25000rpmであ
り、剪断速度の上限値は約500000(1/s)であ
る。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断を加
えても効果はそれ以上変わらない傾向があるため、上限
値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。アミノ化合
物による膨潤性ケイ酸塩の処理は室温で充分に行い得る
が、必要に応じて系を加温しても良い。加温時の最高温
度は用いるアミノ化合物の分解温度未満であり、かつ、
分散媒の沸点未満で有れば任意に設定し得る。アミノ化
合物の使用量は、得られる層間化合物とスチレン系熱可
塑性エラストマー、あるいは粘土分散体(後述する本発
明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
で用いられる)における分散性が十分に高まるように調
製し得る。必要であるならば、構造の異なる複数種のア
ミノ化合物を併用し得る。従って、アミノ化合物の添加
量は一概に数値で限定されるものではないが、膨潤性ケ
イ酸塩100重量部に対して、0.1から200重量部
であり、好ましくは0.2から180重量部であり、よ
り好ましくは0.3から160重量部であり、更に好ま
しくは0.4から140重量部であり、特に好ましくは
0.5から120重量部である。アミノ化合物の量が0.
1重量部未満であると得られる層間化合物の微分散化効
果が充分で無くなる傾向がある。また、200重量部以
上では効果が変わらないので200重量部より多く添加
する必要はない。上記のようにして得られる層間化合物
の底面間隔は、導入されたアミノ化合物の存在により、
膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて拡大し得る。
例えば、分散媒中に分散されて底面間隔が拡大された膨
潤性ケイ酸塩は、アミノ化合物を導入しない場合、分散
媒を除去すると再び層同士が凝集した状態に戻るが、本
発明によれば、底面間隔を拡大した後にアミノ化合物を
導入することによって、分散媒を除去した後も、得られ
る層間化合物は層同士が凝集することなく底面間隔が拡
大された状態で存在し得る。層間化合物の底面間隔は膨
潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて、1.1倍以
上、好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.3倍以
上、特に好ましくは1.5倍以上拡大している。底面間
隔は小角X線回折法(SAXS)などで確認し得る。こ
の方法では、乾燥して粉末状にした層間化合物の(00
1)面に由来するX線回折ピーク角値をSAXSで測定
し、Braggの式に代入し算出することにより底面間
隔を求め得る。同様に初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔
を測定し、この両者を比較することにより底面間隔の拡
大を確認し得る。この様に底面間隔が拡大していること
を確認することによって、層間化合物が生成しているこ
とを確認できる。発明のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物において、スチレン系熱可塑性エラストマー1
00重量部に対する層間化合物の配合量が、代表的には
0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜45重量部、よ
り好ましくは0.3〜40重量部、更に好ましくは0.4
〜35重量部、特に好ましくは0.5〜30重量部とな
るように調製される。層間化合物の配合量が0.1重量
部未満であると機械的特性、ゴム弾性、耐薬品性への改
善効果が不充分となる場合があり、50重量部を超える
と表面光沢が損なわれる傾向がある。また、層間化合物
に由来するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の灰
分率が、代表的には0.1〜30重量%、好ましくは0.
2〜28重量%、より好ましくは0.3〜25重量%、
更に好ましくは0.4〜23重量%、特に好ましくは0.
5〜20重量%と成るように調製される。灰分率が0.
1重量%未満であると機械的特性、ゴム弾性、耐薬品性
への改善効果が不充分となる場合があり、30重量%を
超えると表面光沢が損なわれる傾向がある。本発明のス
チレン系熱可塑性エラストマー組成物中で分散している
層間化合物の構造は、配合前の膨潤性ケイ酸塩が有して
いたような、層が多数積層したμmサイズの凝集構造と
は全く異なる。すなわち、マトリックス樹脂と親和性を
有するアミノ化合物が導入され、かつ初期の膨潤性ケイ
酸塩に比べて底面間隔が拡大された層間化合物を用いる
ことによって、層同士が劈開し、互いに独立して細分化
する。その結果、層間化合物はスチレン系熱可塑性エラ
ストマー組成物中で非常に細かく互いに独立した薄板状
で分散し、その数は、原料である膨潤性ケイ酸塩に比べ
て著しく増大する。この様な薄板状の層間化合物の分散
状態は以下に述べるアスペクト比(層長さ/層厚の比
率)、分散粒子数、最大層厚および平均層厚で表現され
得る。まず、平均アスペクト比を、樹脂中に分散した層
間化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると定義す
ると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
中の層間化合物の平均アスペクト比は10〜300であ
り、好ましくは15〜300であり。更に好ましくは2
0〜300である。層間化合物平均アスペクト比が10
未満であると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の機械的特性への改善効果が十分に得られない
場合がある。また、300より大きくても効果はそれ以
上変わらないため平均アスペクト比を300より大きく
する必要はない。また、[N]値を、スチレン系熱可塑
性エラストマー組成物の面積100μm 2における、膨
潤性ケイ酸塩の単位重量比率当たりの分散粒子数である
と定義すると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物における層間化合物の[N]値は、30以上で
あり、好ましくは45以上であり、より好ましくは60
以上である。上限値は特にないが、[N]値が1000
程度を越えると、それ以上効果は変わらなくなるので、
1000より大きくする必要はない。[N]値は、例え
ば、次のようにして求められ得る。すなわち、スチレン
系熱可塑性エラストマー組成物を約50μm〜100μ
m厚の超薄切片に切り出し、該切片をTEM等で撮影し
た像上で、面積が100μm2の任意の領域に存在する
層間化合物の粒子数を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比
率で除すことによって求められ得る。あるいは、TEM
像上で、100個以上の粒子が存在する任意の領域(面
積は測定しておく)を選んで該領域に存在する粒子数
を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比率で除し、面積10
0μm2に換算した値を[N]値としてもよい。従っ
て、[N]値はスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
のTEM写真等を用いることにより定量化できる。ま
た、平均層厚を、薄板状で分散した層間化合物の層厚み
の数平均値であると定義すると、本発明のスチレン系熱
可塑性エラストマー組成物中の層間化合物の平均層厚の
上限値は500Å以下であり、好ましくは450Å以下
であり、より好ましくは400Å以下である。平均層厚
が500Åより大きいと、本発明のスチレン系熱可塑性
エラストマー組成物の機械的特性や耐薬品性、ゴム弾性
への改良効果が十分に得られない場合がある。平均層厚
の下限値は特に限定されないが、10Å程度である。ま
た、最大層厚を、本発明のスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物中に薄板状に分散した層間化合物の層厚みの
最大値であると定義すると、層間化合物の最大層厚の上
限値は、2000Å以下であり、好ましくは1800Å
以下であり、より好ましくは1500Å以下である。最
大層厚が2000Åより大きいと、本発明のスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物の表面光沢、耐薬品性、ゴ
ム弾性が損なわれる場合がある。層間化合物の最大層厚
の下限値は特に限定されないが、50Å程度である。層
厚および層長さは、本発明のスチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物から得られる試験片等を、顕微鏡等を用い
て撮影される像から求められる。すなわち、いま仮に、
X−Y面上に上記の方法で調製したフィルムの、あるい
は肉厚が約0.5〜2mm程度の薄い平板状の射出成形
した試験片を置いたと仮定する。上記のフィルムあるい
は試験片をX−Z面あるいはY−Z面と平行な面で約5
0μm〜100μm厚の超薄切片を切り出し、該切片を
透過型電子顕微鏡などを用い、約4〜10万倍以上の高
倍率で観察して求められ得る。測定は、上記の方法で得
られた透過型電子顕微鏡の象上に置いて、100個以上
の層間化合物を含む任意の領域を選択し、画像処理装置
などで画像化し、計算機処理する事等により定量化でき
る。あるいは定規等を用いて計測しても求めることもで
きる。本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
の製造方法には特に制限はないが、例えば、(A)層間
化合物とスチレン系熱可塑性エラストマーの重合性モノ
マーを含有する粘土分散体を調製する工程、(B)粘土
分散体中の重合性モノマーを重合する工程を包含する方
法が好ましい。ここで、上記の重合性モノマーとは、芳
香族ビニル化合物を意味し、その様な例としては例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、p
−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、
2,4,6−トリブロモスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、
ビニルキシレン等が挙げられ、これらの化合物は単独
で、または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。ここで、上記の粘土分散体には、重合性モノマー以
外の構成成分として、スチレン系熱可塑性エラストマー
の変性に用いる不飽和化合物、スチレン系熱可塑性エラ
ストマーの低重合度体、有機溶媒が含有されても差し支
えない。上記不飽和化合物はすで例示しているのでここ
では省略する。また、上記のスチレン系低重合度体と
は、上記の重合性モノマーがラジカル重合またはイオン
重合することによって得られ、層間化合物が充分に均一
分散できる程度の粘度を示す分子量を有するものを意味
する。また、上記の有機溶媒とは、例えば、ヘキサン、
オクタン、デカン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素系化合
物、シクロヘキサン、シクロデカン等の脂環式炭化水素
系化合物、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−
プロピルベンゼン、クメン、t−ブチルベンゼン、メシ
チレン、ブロモトルエン、クロロトルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系化合物、塩化メチレン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素系化合物、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、メチルフェニルエーテル等のエーテル
化合物、メチルエチルケトン、メチルアリルケトン、メ
チルフェニルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合
物、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル等のエ
ステル化合物、トリエチルアミン、トリ−t−ブチルア
ミン、ピペリジン、ピリジン、シクロヘキシルアミン、
アニリン、エチレンジアミン等のアミン化合物、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド等のアミド化合物、ジメチルスルホキシド等の有機硫
黄化合物などの有機溶媒から成る群から選択される1種
以上が挙げられる。上記の工程(A)で粘土分散体を調
製する方法は特に限定されず、例えば、予め調製した層
間化合物およびスチレン系熱可塑性エラストマーの重合
性モノマーを十分に混合する方法、または層間化合物お
よび有機溶媒を充分に混合した後、重合性モノマーを更
に添加混合する方法が挙げられる。混合を効率よく行う
ためには、撹拌の回転数は500rpm以上、あるいは
300(1/s)以上の剪断速度を加える。回転数の上
限値は25000rpmであり、剪断速度の上限値は5
00000(1/s)である。上限値よりも大きい値で
撹拌を行っても効果はそれ以上変わらない傾向があるた
め、上限値より大きい値で撹拌を行う必要はない。工程
(A)で得られる粘土分散体に含まれる層間化合物は、
膨潤性ケイ酸塩が有していたような初期の積層・凝集構
造はほぼ完全に消失して薄板状に細分化するか、あるい
は層同士の間隔が拡大していわゆる膨潤状態となる。膨
潤状態を表す指標として底面間隔が用いられ得る。粘土
分散体中の層間化合物の底面間隔は、層間化合物が細分
化して薄板状に成るためには、膨潤性ケイ酸塩の初期の
底面間隔の3倍以上が好ましく、4倍以上がより好まし
く、5倍以上更に好ましい。そして工程(B)、すなわ
ち、重合性モノマーを重合する工程を行い得る。工程
(A)で得られた粘土分散体とブタジエンやイソプレン
等の共役ジエン化合物を充分に混合した後、通常一般に
行われるスチレン系熱可塑性エラストマーの重合方法に
よってなし得る。その様な方法としては、例えば、アニ
オンリビング重合法による逐次重合、ポリマーアニオン
のカップリング反応による方法が挙げられる。本発明の
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物は以下に示す方
法によっても製造され得る。まず、スチレン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、クロロホル
ム、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、ジイソ
プロピルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケト
ン、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、プロ
ピルホルメート、テトラヒドロフラン(THF)、ジエ
チルエーテルなどのスチレン系熱可塑性エラストマーの
良溶媒と予め調製した層間化合物を十分に混合する。混
合時の撹拌数等は上記の条件と同様であり、混合後の層
間化合物の底面間隔は、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間
隔の3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5
倍以上更に好ましい。次いで、予め重合したスチレン系
熱可塑性エラストマーを加えて溶解させ、十分に混合し
た後に溶媒を除去する事によっても本発明のスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物が得られる。本発明のスチ
レン系熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、耐薬
品性、表面性などが優れる理由は、樹脂中に層間化合物
が、多数の微小な薄板状粒子となって分散し、その分散
状態の指標となる層間化合物の平均層厚、最大層厚、分
散粒子数および平均アスペクト比が前述した範囲になっ
ている為である。層間化合物の分散状態は、層間化合物
の調製工程および上記のスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法における工程(A)から選ばれる1
種以上の工程によって制御され得る。層間化合物の調製
工程でスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の分散状
態を制御する方法に関しては、アミノ化合物の種類や
量、アミノ化合物と膨潤性ケイ酸塩との混合条件(時
間、温度、撹拌力)、分散媒の種類等が制御因子として
挙げられるが、特に、アミノ化合物と膨潤性ケイ酸塩と
の混合時間や撹拌力および分散媒の種類によって制御す
るのが簡便で好ましい。この様な方法としては例えば、
混合時の撹拌数や剪断力が一定であるならば、分散媒の
種類、複数種の分散媒を用いる場合はその混合比率およ
び混合の順番に伴って、膨潤性ケイ酸塩の膨潤・劈開の
状態は変化する。例えば、膨潤性ケイ酸塩としてモンモ
リロナイトを用いた場合、分散媒が水のみでは、モンモ
リロナイトはほぼ単位層に近い状態にまで膨潤・劈開す
るので、その状態でアミノ化合物を混合させれば、ほぼ
単位層毎にアミノ化合物が反応した層間化合物が調製さ
れる。一方、エタノール、テトラヒドロフラン(TH
F)、メチルエチルケトン(MEK)やN−メチルピロ
リドン(NMP)等の極性溶媒と水との混合溶媒を分散
媒とした場合や、該極性溶媒にモンモリロナイトを分散
させ次いで水を加える等した場合は、約数枚〜約百数十
枚程度の単位層が積層した状態に劈開、細分化する。そ
の状態でアミノ化合物を混合させれば、ほぼ数枚〜約百
数十枚分の厚みを有する層間化合物が調製される。それ
らの状態を保持するように、スチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物を重合する事によって層間化合物の分散状
態を制御し得る。工程(A)でスチレン系熱可塑性エラ
ストマー組成物の分散状態を制御する方法に関しては、
粘土分散体を構成する層間化合物および重合性モノマ
ー、必要に応じて用いられる不飽和化合物(エラストマ
ーの変性に用いられる)及び/又は有機溶媒の親和性や
混合条件(撹拌力や混合時間、温度)等が制御因子とし
て挙げられるが、特に、親和性、撹拌力および混合時間
によって制御するのが簡便で好ましい。この様な方法と
しては例えば、混合時の撹拌数や剪断力および時間が一
定であり、かつ重合性モノマーとしてスチレンを用いた
場合、層間化合物に結合しているアミノ化合物がフェニ
ル基やシクロアルキル基等のような炭化水素基を有して
いれば、上記重合性モノマーとの親和性が高いために層
間化合物は単位層〜数十枚で分散する。逆に水酸基、メ
ルカプト基またはニトロ基等の極性が高い基を有するア
ミノ化合物を添加すれば、約数枚〜約百数十枚程度の単
位層が積層した状態に劈開、細分化する。それらの状態
を保持するように重合する事によって層間化合物の分散
状態を制御し得る。本発明のスチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物には、必要に応じて、ポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、アイオノ
マー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロ
ピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴ
ム、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレ
フィンの共重合体などを更に添加することができる。こ
れらは無水マレイン酸等の酸化合物、またはグリシジル
メタクリレート等のエポキシ化合物で変性されていても
良い。また、機械的特性、成形性などの特性を損なわな
い範囲で、他の任意の樹脂、例えば、ポリカーボネート
樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリアミド樹
脂、スチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセ
タール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリイミド、ポリエ
ーテルイミド樹脂、及びポリアリレート樹脂等の熱可塑
性樹脂や、不飽和熱可塑性エラストマー、エポキシ樹
脂、及びフェノールノボラック樹脂等の熱硬化性樹脂の
単独または2種以上を組み合わせて使用し得る。更に、
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物には、
目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、及び帯
電防止剤等の添加剤を添加することができる。本発明の
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形や
押出成形で成形しても良く、熱プレス成形にも使用でき
る。また、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物は、フィルムやシートにも利用できる。そのような
成形品やフィルムは表面光沢、耐薬品性、機械的特性、
ゴム弾性等に優れる為、例えば、自動車部品、家庭用電
気製品部品、精密機械部品、家庭日用品、包装・容器資
材、その他一般工業用資材に好適に用いられる。又、他
樹脂、無機質等他素材の改質剤としても利用し得る。本
発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物中では層
間化合物が非常に細かく、かつ薄い板状で均一分散して
いることから、表明光沢を損なうことなく、また、比重
を著しく増加させる事無く、機械的強度、ゴム弾性、耐
薬品性を改善することができる。
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。 (原料) ・スチレン:和光純薬(株)製、スチレン(以降、St
と称す)を用いた。 ・モンモリロナイト:山形県産の天然モンモリロナイト
(底面間隔=13Å)を用いた。 ・膨潤性雲母:タルク25.4gとケイフッ化ナトリウ
ム4.7gの微粉砕物を混合し、800℃で加熱処理し
たものを用いた(底面間隔=12Å)。 ・1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール:広
栄化学(株)製、(以降、APHPと称す)のアミノ化
合物を用いた。 ・2−ピペリジンエタノール:広栄化学(株)製(以
降、2PPREと称す)のアミノ化合物を用いた。 また、実施例および比較例における評価方法を以下にま
とめて示す。 (分散状態の測定)層間化合物に関しては、TEMを用
いて以下のように行った。厚み50〜100μmの超薄
切片を用いた。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1
200EX)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜1
00万倍で層間化合物の分散状態を観察撮影した。TE
M写真において、100個以上の分散粒子が存在する領
域を選択し、粒子数([N]値)、層厚および層長を、
目盛り付きの定規を用いた手計測または、必要に応じて
インタークエスト社の画像解析装置PIASIIIを用い
て処理する事により測定した。平均アスペクト比は個々
の層間化合物の層長と層厚の比の数平均値とした。
[N]値の測定は以下のようにして行った。まず、TE
M像上で、選択した領域に存在する層間化合物の粒子数
を求める。これとは別に、層間化合物に由来する樹脂組
成物の灰分率を測定する。上記粒子数を灰分率で除し、
面積100μm2に換算した値を[N]値とした。平均
層厚は個々の層間化合物の層厚の数平均値、最大層厚は
個々の層間化合物の層厚の中で最大の値とした。分散粒
子が大きく、TEMでの観察が不適当である場合は、光
学顕微鏡(オリンパス光学(株)製の光学顕微鏡BH−
2)を用いて上記と同様の方法で[N]値を求めた。た
だし、必要に応じて、サンプルはLINKAM製のホッ
トステージTHM600を用いて160〜220℃で溶
融させ、溶融状態のままで分散粒子の状態を測定した。
板状に分散しない分散粒子のアスペクト比は、長径/短
径の値とした。ここで、長径とは、顕微鏡像等におい
て、対象となる粒子の外接する長方形のうち面積が最小
となる長方形を仮定すれば、その長方形の長辺を意味す
る。また、短径とは、上記最小となる長方形の短辺を意
味する。 (小角X線回折法(SAXS)による底面間隔の測定)
X線発生装置(理学電機(株)製、RU−200B)を
用い、ターゲットCuKα線、Niフィルター、電圧4
0kV、電流200mA、走査角2θ=0.2〜16.0
°、ステップ角=0.02°の測定条件で底面間隔を測
定した。底面間隔は、小角X線回折ピーク角値をBra
ggの式に代入して算出した。ただし、小角X線ピーク
角値の確認が困難である場合は、層が十分に劈開して結
晶性が実質的に消失したかあるいは、ピーク角値がおお
よそ0.8°以下である為に確認が困難であるとみな
し、底面間隔の評価結果としては>100Åとした。 (引張試験)本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物を圧縮成形(160℃、予熱5分、加圧5分、圧
力80Kg/cm2、冷却3分)して2mm厚のシート
を得、打ち抜き法でJIS3号ダンベル状試験片を作製
し、JIS K6301に従って引張試験を行った。 (永久伸び試験)引張試験と同じ方法で作製したダンベ
ル状試験片を得、JIS K6301に従って永久伸び
を測定した。測定は、引張伸び値の1/2に相当する長
さに引張り、10分間保持した後に跳ね返させることな
く収縮させ、10分後に行った。 (耐薬品性)引張試験と同じ方法で作製したダンベル状
試験片を下記薬品中に室温にて1週間浸責し、JIS
K6301に従って引張試験を行った。 硝酸10%水溶液(10%HNO3) 重クロム酸カリウム5%水溶液(5%K2CrO7) 過マンガン酸カリウム5%水溶液(5%KMnO7) 過酸化水素30%水溶液(30%H2O2) (表面光沢)引張試験と同じ方法で作製した2mm圧の
シートの表面光沢を測定した。ERICHSEN社のミ
ニグロスマスター(mini glossmaster)を用い、反射角
60°で測定した。標準板50%に対する相対値とし
た。 (灰分率)層間化合物に由来する、スチレン系熱可塑性
エラストマー組成物の灰分率は、JISK7052に準
じて測定した。 (実施例1) 工程(A)3500gのイオン交換水に125gのモン
モリロナイトを加え、日本精機(株)製の湿式ミルを用
いて5000rpm、5分間撹拌して混合した。その
後、35gのAPHPを加えてから更に、表1に示した
条件で撹拌する事によって層間化合物を調製し、乾燥粉
末化した(層間化合物の確認は、SAXSにより底面間
隔を測定することにより行った。結果は表1に示した。
実施例2〜4も同様)。上記の層間化合物125gと6
00gのStおよび1500gのテトラヒドロフランを
湿式ミルで十分(5000rpm×30分)に混合し、
層間化合物とStを含有する粘土分散体を調製した。粘
土分散体中の層間化合物の底面間隔は、71Åであっ
た。 工程(B) 工程(A)で調製した粘土分散体の半分に重合触媒とし
てブチルリチウムを添加し、温度25℃でリビングアニ
オン重合した。次いで1,3−ブタジエン溶解して充分
に混合しながら反応を続け、最後に残りの粘土分散体を
加えて更に混合して反応を行うことにより、層間化合物
を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を
得、評価した。灰分率および特性を以下の実施例と併せ
て表2に示した。 (実施例2)工程(A)ではAPHPの量を25gと
し、120gの層間化合物(AP−Mo2)を用いた以
外は実施例1と同様に行い(粘土分散体中の層間化合物
の底面間隔は、65Åであった)、層間化合物を含有す
るスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を得、評価し
た。 (実施例3)工程(A)でAPHPの代わりに35gの
2PPREを用い(撹拌は5000rpm、2.5時
間)、また125gの層間化合物(PP−Mo)を用い
た以外は実施例1と同様に行い(粘土分散体中の層間化
合物の底面間隔は、66Åであった)、層間化合物を含
有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を得、評
価した。 (実施例4) 工程(A)モンモリロナイトの代わりに膨潤性雲母を用
い、またAPHPの量を40g(ただし、撹拌条件は6
000rpm、3.0時間)として層間化合物を調製し
た。上記の層間化合物130gと600gのStおよび
1500gのテトラヒドロフランを湿式ミルで十分(5
000rpm×45分)に混合し、層間化合物とStを
含有する粘土分散体を調製した。粘土分散体中の層間化
合物の底面間隔は、51Åであった。 工程(B)上記の実施例1と同様に重合を行い、スチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物を得、評価した。 (比較例1)粘土分散体を使用せずに、実施例1と同様
な方法でスチレン系熱可塑性エラストマーを得、評価し
た。結果を以下の比較例と併せ、表3に示した。 (比較例2)層間化合物の代わりに、100gのモンモ
リロナイトを用いた以外は、比較例1と同様な方法で重
合を行う事によってスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物を得、評価した。 (比較例3)125gのモンモリロナイトに35gのA
PHPをスプレーを用いて直接噴霧し、1時間混合する
事によってモンモリロナイトをアミノ処理した。アミノ
処理モンモリロナイトの底面間隔は13Åであった。層
間化合物の代わりに、上記のアミノ処理モンモリロナイ
トを用いた以外は、実施例1と同様な方法でスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物を得、評価した。 (比較例4)3500gのイオン交換水に125gのモ
ンモリロナイトを添加し、湿式ミル(日本精機(株)
製)を用い、5000rpmで5分間撹拌した。次い
で、和光純薬製のn−ブチルアルデヒド35gを添加
し、更に5000rpm、3時間撹拌する事により、混
合物を得た。次いで、実施例1と同じ方法で重合を行う
ことによりスチレン系熱可塑性エラストマーを得、評価
した。
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。 (原料) ・スチレン:和光純薬(株)製、スチレン(以降、St
と称す)を用いた。 ・モンモリロナイト:山形県産の天然モンモリロナイト
(底面間隔=13Å)を用いた。 ・膨潤性雲母:タルク25.4gとケイフッ化ナトリウ
ム4.7gの微粉砕物を混合し、800℃で加熱処理し
たものを用いた(底面間隔=12Å)。 ・1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール:広
栄化学(株)製、(以降、APHPと称す)のアミノ化
合物を用いた。 ・2−ピペリジンエタノール:広栄化学(株)製(以
降、2PPREと称す)のアミノ化合物を用いた。 また、実施例および比較例における評価方法を以下にま
とめて示す。 (分散状態の測定)層間化合物に関しては、TEMを用
いて以下のように行った。厚み50〜100μmの超薄
切片を用いた。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1
200EX)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜1
00万倍で層間化合物の分散状態を観察撮影した。TE
M写真において、100個以上の分散粒子が存在する領
域を選択し、粒子数([N]値)、層厚および層長を、
目盛り付きの定規を用いた手計測または、必要に応じて
インタークエスト社の画像解析装置PIASIIIを用い
て処理する事により測定した。平均アスペクト比は個々
の層間化合物の層長と層厚の比の数平均値とした。
[N]値の測定は以下のようにして行った。まず、TE
M像上で、選択した領域に存在する層間化合物の粒子数
を求める。これとは別に、層間化合物に由来する樹脂組
成物の灰分率を測定する。上記粒子数を灰分率で除し、
面積100μm2に換算した値を[N]値とした。平均
層厚は個々の層間化合物の層厚の数平均値、最大層厚は
個々の層間化合物の層厚の中で最大の値とした。分散粒
子が大きく、TEMでの観察が不適当である場合は、光
学顕微鏡(オリンパス光学(株)製の光学顕微鏡BH−
2)を用いて上記と同様の方法で[N]値を求めた。た
だし、必要に応じて、サンプルはLINKAM製のホッ
トステージTHM600を用いて160〜220℃で溶
融させ、溶融状態のままで分散粒子の状態を測定した。
板状に分散しない分散粒子のアスペクト比は、長径/短
径の値とした。ここで、長径とは、顕微鏡像等におい
て、対象となる粒子の外接する長方形のうち面積が最小
となる長方形を仮定すれば、その長方形の長辺を意味す
る。また、短径とは、上記最小となる長方形の短辺を意
味する。 (小角X線回折法(SAXS)による底面間隔の測定)
X線発生装置(理学電機(株)製、RU−200B)を
用い、ターゲットCuKα線、Niフィルター、電圧4
0kV、電流200mA、走査角2θ=0.2〜16.0
°、ステップ角=0.02°の測定条件で底面間隔を測
定した。底面間隔は、小角X線回折ピーク角値をBra
ggの式に代入して算出した。ただし、小角X線ピーク
角値の確認が困難である場合は、層が十分に劈開して結
晶性が実質的に消失したかあるいは、ピーク角値がおお
よそ0.8°以下である為に確認が困難であるとみな
し、底面間隔の評価結果としては>100Åとした。 (引張試験)本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物を圧縮成形(160℃、予熱5分、加圧5分、圧
力80Kg/cm2、冷却3分)して2mm厚のシート
を得、打ち抜き法でJIS3号ダンベル状試験片を作製
し、JIS K6301に従って引張試験を行った。 (永久伸び試験)引張試験と同じ方法で作製したダンベ
ル状試験片を得、JIS K6301に従って永久伸び
を測定した。測定は、引張伸び値の1/2に相当する長
さに引張り、10分間保持した後に跳ね返させることな
く収縮させ、10分後に行った。 (耐薬品性)引張試験と同じ方法で作製したダンベル状
試験片を下記薬品中に室温にて1週間浸責し、JIS
K6301に従って引張試験を行った。 硝酸10%水溶液(10%HNO3) 重クロム酸カリウム5%水溶液(5%K2CrO7) 過マンガン酸カリウム5%水溶液(5%KMnO7) 過酸化水素30%水溶液(30%H2O2) (表面光沢)引張試験と同じ方法で作製した2mm圧の
シートの表面光沢を測定した。ERICHSEN社のミ
ニグロスマスター(mini glossmaster)を用い、反射角
60°で測定した。標準板50%に対する相対値とし
た。 (灰分率)層間化合物に由来する、スチレン系熱可塑性
エラストマー組成物の灰分率は、JISK7052に準
じて測定した。 (実施例1) 工程(A)3500gのイオン交換水に125gのモン
モリロナイトを加え、日本精機(株)製の湿式ミルを用
いて5000rpm、5分間撹拌して混合した。その
後、35gのAPHPを加えてから更に、表1に示した
条件で撹拌する事によって層間化合物を調製し、乾燥粉
末化した(層間化合物の確認は、SAXSにより底面間
隔を測定することにより行った。結果は表1に示した。
実施例2〜4も同様)。上記の層間化合物125gと6
00gのStおよび1500gのテトラヒドロフランを
湿式ミルで十分(5000rpm×30分)に混合し、
層間化合物とStを含有する粘土分散体を調製した。粘
土分散体中の層間化合物の底面間隔は、71Åであっ
た。 工程(B) 工程(A)で調製した粘土分散体の半分に重合触媒とし
てブチルリチウムを添加し、温度25℃でリビングアニ
オン重合した。次いで1,3−ブタジエン溶解して充分
に混合しながら反応を続け、最後に残りの粘土分散体を
加えて更に混合して反応を行うことにより、層間化合物
を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を
得、評価した。灰分率および特性を以下の実施例と併せ
て表2に示した。 (実施例2)工程(A)ではAPHPの量を25gと
し、120gの層間化合物(AP−Mo2)を用いた以
外は実施例1と同様に行い(粘土分散体中の層間化合物
の底面間隔は、65Åであった)、層間化合物を含有す
るスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を得、評価し
た。 (実施例3)工程(A)でAPHPの代わりに35gの
2PPREを用い(撹拌は5000rpm、2.5時
間)、また125gの層間化合物(PP−Mo)を用い
た以外は実施例1と同様に行い(粘土分散体中の層間化
合物の底面間隔は、66Åであった)、層間化合物を含
有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を得、評
価した。 (実施例4) 工程(A)モンモリロナイトの代わりに膨潤性雲母を用
い、またAPHPの量を40g(ただし、撹拌条件は6
000rpm、3.0時間)として層間化合物を調製し
た。上記の層間化合物130gと600gのStおよび
1500gのテトラヒドロフランを湿式ミルで十分(5
000rpm×45分)に混合し、層間化合物とStを
含有する粘土分散体を調製した。粘土分散体中の層間化
合物の底面間隔は、51Åであった。 工程(B)上記の実施例1と同様に重合を行い、スチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物を得、評価した。 (比較例1)粘土分散体を使用せずに、実施例1と同様
な方法でスチレン系熱可塑性エラストマーを得、評価し
た。結果を以下の比較例と併せ、表3に示した。 (比較例2)層間化合物の代わりに、100gのモンモ
リロナイトを用いた以外は、比較例1と同様な方法で重
合を行う事によってスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物を得、評価した。 (比較例3)125gのモンモリロナイトに35gのA
PHPをスプレーを用いて直接噴霧し、1時間混合する
事によってモンモリロナイトをアミノ処理した。アミノ
処理モンモリロナイトの底面間隔は13Åであった。層
間化合物の代わりに、上記のアミノ処理モンモリロナイ
トを用いた以外は、実施例1と同様な方法でスチレン系
熱可塑性エラストマー組成物を得、評価した。 (比較例4)3500gのイオン交換水に125gのモ
ンモリロナイトを添加し、湿式ミル(日本精機(株)
製)を用い、5000rpmで5分間撹拌した。次い
で、和光純薬製のn−ブチルアルデヒド35gを添加
し、更に5000rpm、3時間撹拌する事により、混
合物を得た。次いで、実施例1と同じ方法で重合を行う
ことによりスチレン系熱可塑性エラストマーを得、評価
した。
【発明の効果】以上、詳述したように、スチレン系熱可
塑性エラストマー中において、膨潤性ケイ酸塩の単位層
同士を分離劈開して、1つの膨潤性ケイ酸塩の凝集粒子
を、非常に多数の極微小な薄板状の層に細分化するこ
と、すなわち、平均層厚を50Åより大きくかつ500
Å以下にすること、あるいは必要に応じて最大層厚を1
00Åより大きくかつ2000Å以下にすること、また
は平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜30
0であり、面積100μm2中に存在する層間化合物の
単位比率当たりの粒子数を30以上にすることによっ
て、表面光沢を損なうことなく、機械的特性、耐薬品
性、ゴム弾性を改善することができる。スチレン系熱可
塑性エラストマー中で、膨潤性ケイ酸塩を上記の如く薄
板状に細分化することは、膨潤性ケイ酸塩にアミノ化合
物を導入して層間化合物とする事が必須である。本発明
のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、
本発明の製造方法、すなわち、(A)層間化合物とスチ
レン系熱可塑性エラストマーの重合性モノマーを含有す
る粘土分散体を調製する工程、(B)粘土分散体中の重
合性モノマーを重合する工程、を包含する製造方法によ
って得られる。
塑性エラストマー中において、膨潤性ケイ酸塩の単位層
同士を分離劈開して、1つの膨潤性ケイ酸塩の凝集粒子
を、非常に多数の極微小な薄板状の層に細分化するこ
と、すなわち、平均層厚を50Åより大きくかつ500
Å以下にすること、あるいは必要に応じて最大層厚を1
00Åより大きくかつ2000Å以下にすること、また
は平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜30
0であり、面積100μm2中に存在する層間化合物の
単位比率当たりの粒子数を30以上にすることによっ
て、表面光沢を損なうことなく、機械的特性、耐薬品
性、ゴム弾性を改善することができる。スチレン系熱可
塑性エラストマー中で、膨潤性ケイ酸塩を上記の如く薄
板状に細分化することは、膨潤性ケイ酸塩にアミノ化合
物を導入して層間化合物とする事が必須である。本発明
のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、
本発明の製造方法、すなわち、(A)層間化合物とスチ
レン系熱可塑性エラストマーの重合性モノマーを含有す
る粘土分散体を調製する工程、(B)粘土分散体中の重
合性モノマーを重合する工程、を包含する製造方法によ
って得られる。
【表1】
【表2】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 9/02 C08K 9/02 C08L 53/02 C08L 53/02
Claims (7)
- 【請求項1】 スチレン系熱可塑性エラストマーおよび
層間化合物を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物であって、層間化合物が、膨潤性ケイ酸塩とアミ
ノ化合物を分散媒中で混合することによって調製され、
かつ上記アミノ化合物が1級、2級および3級アミノ基
からなる群より選択される1種以上のアミノ基を少なく
とも1個有し、水酸基、メルカプト基、エーテル基、カ
ルボニル基、ニトロ基および塩素原子より成る群から選
択される1種以上の置換基を有していても良い、炭素数
1〜25の炭化水素化合物である、スチレン系熱可塑性
エラストマー組成物。 - 【請求項2】 組成物中の層間化合物の平均層厚が50
0Å以下である、請求項1に記載のスチレン系熱可塑性
エラストマー組成物。 - 【請求項3】 組成物中の層間化合物の最大層厚が20
00Å以下である、請求項1または2に記載のスチレン
系熱可塑性エラストマー組成物。 - 【請求項4】 組成物中の層間化合物の[N]値が30
以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積10
0μm2中に存在する、層間化合物の単位比率当たりの
粒子数であると定義される、請求項1、2または3に記
載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物。 - 【請求項5】 組成物中の層間化合物の平均アスペクト
比(層長さ/層厚の比)が10〜300である、請求項
1、2、3または4に記載のスチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物。 - 【請求項6】 (A)層間化合物とスチレン系熱可塑性
エラストマーの重合性モノマーを含有する粘土分散体を
調製する工程 (B)粘土分散体中の重合性モノマーを重合する工程を
包含する、請求項1、2、3、4または5に記載のスチ
レン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。 - 【請求項7】 工程(A)で得られる粘土分散体中の層
間化合物の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩の底面間隔の3
倍以上であることを特徴とする、請求項6に記載のスチ
レン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10337502A JP2000159960A (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | スチレン系熱可塑性エラストマー組成物及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10337502A JP2000159960A (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | スチレン系熱可塑性エラストマー組成物及び製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000159960A true JP2000159960A (ja) | 2000-06-13 |
Family
ID=18309268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10337502A Pending JP2000159960A (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | スチレン系熱可塑性エラストマー組成物及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000159960A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1998
- 1998-11-27 JP JP10337502A patent/JP2000159960A/ja active Pending
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