JPH0730252B2 - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

複合材料及びその製造方法

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JPH0730252B2
JPH0730252B2 JP62049630A JP4963087A JPH0730252B2 JP H0730252 B2 JPH0730252 B2 JP H0730252B2 JP 62049630 A JP62049630 A JP 62049630A JP 4963087 A JP4963087 A JP 4963087A JP H0730252 B2 JPH0730252 B2 JP H0730252B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,機械的強度及び耐熱性に優れ,自動車用部
品,航空機用部品,建築用材料等に応用することができ
る複合材料に関するものであり,更に詳しくはビニル系
高分子化合物を含む樹脂組成物と層状の粘土鉱物とがイ
オン結合を介して互いに結合し,それらが均一に混合さ
れてなる複合材料及びその製造方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
従来より,有機高分子材料の機械的特性を改善する目的
で,炭酸カルシウムや粘土鉱物,雲母等の無機質材料の
添加・混合が検討されている。しかし,これらの無機質
材料は,添加・混合した場合,有機高分子材料中での有
機高分子母相との間の結合が非常に弱いため,添加によ
る脆化等多くの問題があり,また,無機質材料の添加量
にも限界がある。この無機質材料と高分子材料との結合
を強くする目的で,該無機質材料のシランカップリング
剤による処理等が知られている。しかし,これらの方法
により得られる有機高分子材料と無機質材料との結合
は,フアンデルワールス結合によるものであって,両者
の間のなじみを良くする程度であり,補強効果や耐熱性
改善のためには充分のものとすることはできない。
これらの問題を解決すべく,本出願人は,先に,ポリア
ミドを含む樹脂と該ポリアミド中に分散したアスペクト
比の平均が5以上のひる石薄片とよりなる「ポリアミド
を含む樹脂組成物」(特開昭57−83551号公報)を出願
した。この組成物は,樹脂中にアスペクト比(粒子の大
きさ/厚さ)の大きいひる石薄片を混入させることによ
り,有機高分子材料の機械的強度を向上させようとする
ものである。しかしながら,この樹脂組成物は,従来の
ものに比して確かに機械的強度が向上したが,ひる石薄
片を得るために機械的粉砕を必要とするため,充分なア
スペクト比が得られない。しかも,鉱物層と母相との結
合力が弱いため,必要な強度を得るためには,脆化を犠
牲にして添加量を多くする必要があった。
また,粘土鉱物の相間でポリアミドやポリスチレンなど
の高分子を合成して複合材料を得ようとする試みがなさ
れている(「高分子」,19,759,1979;「工業材料」,25,
「3」,58,1977)。しかし,これまでの方法では,有機
高分子鎖が充分には粘土鉱物の層間に侵入しないため,
この層間距離を拡大することができず,珪酸塩層と有機
高分子とが均一に分散することはなかった。また,この
様な場合には,層状鉱物のアスペクト比を小さくするの
で,機械的強度向上には逆効果になる。更に,母相であ
る高分子材料と層間化合物との結合も充分ではないた
め,十分な補強効果が得られなかった。
〔発明の目的〕
そこで,本発明者等は,上述の如き従来の技術の問題点
を解決すべく鋭意研究し,各種の系統的実験を重ねた結
果,本発明を成すに至ったものである。
本発明の目的は,機械的強度および耐熱性に優れた複合
材料およびその製造方法を提供するにある。
〔発明の構成〕
本発明の複合材料は,ビニル系高分子化合物を含む樹脂
と,該樹脂中に分子状に分散した層状の粘土鉱物とから
なり,該粘土鉱物は,層厚さが7〜12Åで層間距離が30
Å以上であることを特徴とするものである(以下,本第
1発明とする)。
また,本発明の複合材料の製造方法は,陽イオン交換容
量が50〜200ミリ当量/100gの層状の粘土鉱物と,末端に
ビニル基を有するオニウム塩によりイオン交換するイオ
ン交換工程と,該イオン交換された粘土鉱物とビニル系
高分子化合物のモノマーとを混合する混合工程と,該混
合物中の上記モノマーを重合させる重合工程とからなる
こと特徴とするものである(以下,本第2発明とす
る)。
以下に,本発明の構成をより詳細に説明する。
本第1発明の複合材料における樹脂は,ビニル系高分子
化合物を含む樹脂であり,ビニル系高分子化合物または
ビニル系高分子化合物とそれ以外の高分子化合物との混
合物からなる樹脂である。ビニル系高分子化合物とそれ
以外の高分子化合物との混合物としては,混合重合体の
他,グラフト重合体,共重合体,ブロック重合体等でも
よい。
ここで,ビニル系高分子化合物とは,ビニル基を有する
モノマーの重合体の総称であり,一般式 で示されるものである(上記式中,R1,R2は,水素,ハロ
ゲン,アルキル基,アリール基,アリル基,あるいは置
換基であり,同一であっても異なってもよい。)。
上記モノマーの具体的なものとしては,エチレン,プロ
ピレン,ブタジエン,イソプレン,クロロプレン,塩化
ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニル,フッ化ビニリ
デン,スチレン,α−メチルスチレン,ジビニルベンゼ
ン,アクリル酸,アルリル酸メチル,アルリル酸エチ
ル,アクリル酸n−プロピル,アクリル酸iso−プロピ
ル,アクリル酸n−ブチル,アクリル酸iso−ブチル,
アクリル酸t−ブチル,メタクリル酸,メタクリル酸メ
チル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸n−プロピ
ル,メタクリル酸iso−プロピル,メタクリル酸n−ブ
チル,メタクリル酸iso−ブチル,メタクリル酸t−ブ
チル,アクリルアミド,メチルアクリルアミド,エチル
アクリルアミド,n−プロピルアクリルアミド,iso−プロ
ピルアクリルアミド,アクリロニトリル,ビニルアルコ
ール,ノルボルナジエン,N−ビニルカルバゾール,ビニ
ルピリジン,ビニルピロリドン,1−ブテン,イソブテ
ン,シアン化ビニリデン,4−メチルペンテン−1,酢酸ビ
ニル,ビニルイソブチルエーテル,メチルビニルケト
ン,フェニルビニルケトン,メチルビニルエーテル,フ
ェニルビニルエーテル,フェニルビニルスルフィド,ア
クロレイン等が挙げられそれらのうちの1種または2種
以上を使用する。
上記ビニル系高分子化合物を含む樹脂は,ビニル系高分
子化合物を含む割合が多ければ多い程本発明の効果が顕
著であるが,その含有割合が10wt%であっても本発明の
効果を奏することができる。
また,層状の粘土鉱物は,高分子材料に機械的特性およ
び耐熱性を付与するものであり,厚さが7〜12Åの珪酸
マグネシウム層または珪酸アルミニウム層より形成され
る層状フイロ珪酸鉱物である。これらの層状の粘土鉱物
は,同形イオン置換等により負に帯電している。この負
電荷の密度や分布などによりその特性が異なるが,本発
明では,負電荷一価当たりの層表面の占有面積が25〜20
0Åの層状粘土鉱物であることが好ましい。
本発明の複合材料は,上述したビニル系高分子化合物を
含む樹脂と,該樹脂中に分子状に分散させた層状の粘土
鉱物とから成る。
ここで,ビニル系高分子化合物を含む樹脂中の層状粘土
鉱物の含有量は,樹脂100重量部に対して0.5〜150重量
部であることが好ましい。これは,該含有量が0.5重量
部未満の場合,層状粘土鉱物が少なすぎるため充分な補
強効果が得られないからである。また,150重量部を越え
た場合,樹脂成分が少ないため層間化合物粉体が得られ
るに過ぎず,これを成形体として利用することが困難だ
からである。
この複合材料は,層状粘土鉱物を構成する珪酸塩層が樹
脂中に均一に分子状に分散している。しかも,樹脂と珪
酸塩層とがイオン結合などの強い相互作用により結合し
て樹脂が架橋した構造を有している。すなわち,珪酸塩
層が層と層との結合力(ファンデアワールス力,静電引
力など)を越えて,一層ごとに完全に分離して単独で存
在し,かつその層が有する陰電荷と樹脂の末端あるいは
側鎖に有する陽電荷(オニウムイオン)がイオン結合に
より結合している。
次に,本第2発明の複合材料の製造方法について説明す
る。
先ず,陽イオン交換容量が50〜200ミリ当量/100gの層状
の粘土鉱物を,末端にビニル基を有するオニウム塩を用
いてイオン交換する(イオン交換工程)。これにより,
粘土鉱物中の交換性無機イオンは有機オニウムイオンに
交換される。
ここで,このイオン交換方法としては,以下のような方
法等がある。
先ず,粘土鉱物を水に浸漬し,ミキサーなどにより均一
に分散させた後,他に用意された末端にビニル基を有す
るオニウム塩の水溶液を上記水溶液に滴下する。これを
濾過し,純水により数回洗浄して未反応のオニウム塩を
除去し,その後凍結乾燥することによりイオン交換され
た粘土鉱物を得る。
また,粘土鉱物は,陽イオンの交換容量が50〜200ミリ
当量/100gと,反応させるモノマーとの接触面積が大き
い粘土鉱物である。具体的には,モンモリロナイト,サ
ポナイト,バイデライト,ノントロナイト,ヘクトライ
ト,スティブンサント等のスメクタイト系粘土鉱物やバ
ーミキュライト,ハロイサイトなどがあり,天然のもの
でも合成されたものでもよい。ここで,陽イオン交換容
量を50〜200ミリ当量/100gとしたのは,該容量が200ミ
リ当量/100gを越えた場合,その鉱物の層間の結合力が
強固なため本発明の目的とする複合材料を得ることが困
難となるからである。また,50ミリ当量/100g未満の場
合,有機オニウムイオンによるイオン交換が充分に行え
ず,本発明の目的とする複合材料の合成が困難となるか
らである。なお,この粘土鉱物は,ミキサー,ボールミ
ル,振動ミル,ピンミル,ジェットミル等を用いて粉砕
し,予め所望の形状・大きさのものとしておくことが好
ましい。
更に,オニウム塩は,末端にビニル基を有するものを用
いる。このオニウム塩は,粘土鉱物中の無機イオンとイ
オン交換することにより,粘土鉱物の層間を拡げる役
割,粘土鉱物の層間にポリマーを取り込む力を与える役
割及びポリマーと粘土鉱物の層とをイオン結合させる役
割を有するものである。
該オニウム塩としては,アンモニウム塩,ピリジニウム
塩,スルホニウム塩,ホスホニウム塩等が挙げられ,一
般式が 等で表されるものである(R3は水素原子,アルキル基,
アリール基,アリル基,R4はメチレン基,エチレン基な
どのアルキレン基,フェニレン基などのアリレン基,主
鎖または側鎖にカルボニル基,カルボキシル基,チオカ
ルボニル基等を有するもの,R5,R6,R7は水素原子,アル
キル基,アリール基,アリル基,置換基のついたもので
あり,同一でも異なってもよい。Mは,N,S,P, である。)。しかして,上記オニウム塩は,それらのう
ちの1種または2種以上を用いる。
つぎに,前記イオン交換工程によりイオン交換された粘
土鉱物とビニル系高分子化合物のモノマーとを混合する
(混合工程)。
ここで,ビニル系高分子化合物のモノマーは,重合後,
ビニル系高分子化合物とそれ以外の重合体との混合物に
なる原料であり,複合材料の基体をなすものである。該
モノマーとしては,前記に示したごとく,エチレン,プ
ロピレン等のビニル基を有するものである。
また,上記粘土鉱物とビニル系高分子化合物のモノマー
としての混合は,自動乳鉢や振動ミル等による機械的混
合により行う。
この混合により,上記粘土鉱物がビニル系高分子化合物
のモノマー中において分散した混合物となる。
次に,前記混合工程で得られた混合物中のビニル系高分
子化合物のモノマーを重合し複合材料を得る(重合工
程)。
この重合は,前記混合物そのままで行ってもよいが,該
混合物を極性溶媒中に分散させて行ってもよい。
上記極性溶媒としては,水,石油エーテル,二硫化炭
素,四塩化炭素,グリセリン,トルエン,アニリン,ベ
ンゼン,クロロホルム,N,N′−ジメチルホルムアミド,
フェノール,テトラヒドロフラン,アセトン,プロピレ
ンカーボネート,酢酸,メタノール,エタノール,プロ
パノール,メチルエチルケトン,ピリジン、ベンゾニト
リル,アセトニトリル,ジメチルスルホキシド,ニトロ
ベンゼン,ニトロメタン等が挙げられ,それらのうちの
1種または2種以上を用いる。
上記の重合は,前記混合物に重合開始剤あるいは熱や光
を加える等により行う。また,重合の種類は,ラジカル
重合,カチオン重合,アニオン重合,配位重合,重縮合
重合等,どのような重合方法でもよく,それぞれの重合
形式に適した開始剤を用いればよい。
本発明の製造方法では,交換性カチオンを有する層状鉱
物において高分子を構成する基本単位となるユニット分
子をその層間に結合させておき,高分子を重合させるの
が原理となる。これにより,層状鉱物の層間において重
合が進行し,その重合のエネルギーで層間が広がり,鉱
物層が高分子と結合すると共に,高分子中で均一に分散
した複合材料が得られる。
以上の様にして得られた複合材料は,直接射出成形や加
熱加圧成形などで成形して利用してもよいし,予め他の
高分子と混合して所定の混合割合としてもよい。また,
上記の重合反応を所定の型中で進行させて成形体を得て
もよい。
〔発明の作用および効果〕
本第1発明の複合材料は,機械的強度および耐熱性に優
れた複合材料である。
この様に,本発明にかかる複合材料がかかる効果を発揮
するメカニズムについては,未だ必ずしも明らかではな
いが,次の様に考えられる。
即ち,本発明の複合材料は,ポリビニル系高分子化合物
の分子鎖が層状の粘土鉱物とのイオン結合により橋かけ
された構造を有するため,熱的あるいは機械的に変形さ
せることが困難である。そのために引っ張り強度や弾性
率などの機械的性質,軟化温度や高温強度などの耐熱特
性が優れている。また層状の無機質物質が均一に分散し
ているため寸法安定性,耐摩耗性,表面潤滑性,耐水性
に優れている。また,無機層状物質である粘土鉱物が10
Åという分子レベルの厚さの単位で分散し,しかも有機
分子鎖と強く結合しているため,従来の無機質による複
合材料にみられるような脆化のような悪影響を残すこと
もない。
また,高分子鎖に粘土鉱物の層がイオン結合して分散し
ているために,高温域では高分子鎖のからみ合いが増大
し,ゴム状態での弾性率が向上する。
更に,層間にとり込まれた高分子鎖は粘土鉱物の層によ
る遮蔽効果のために,熱の伝達,あるいはクラックの伝
搬から保護され,瞬間的にかなりの高温あるいは応力に
も耐えうる材料である。
このように,本第1発明の複合材料は,高温領域での機
械的特性が向上しており,自動車用部品,航空機用部
品,建築用材料等として使用することができる。
更に,溶融粘度及び溶液粘度が向上しており,増粘剤,
塗料の分散剤,グリース等としても使用することができ
る。
また,本第2発明の複合材料の製造方法は,イオン交換
工程−混合工程−重合工程により補強性に優れた複合材
料を得ることができ,重合後に更に加熱溶融処理等の強
度向上処理を行うことを要せず,経済的かつ効果的であ
る。
更に,本第2発明の方法により得られた複合材料は,機
械的強度および耐熱性に優れた複合材料である。
すなわち,本発明の製造方法によれば上記のような優れ
た複合材料が得られるというばかりではなく,従来の複
合材料製造の工程を省くことができ,経済的かつ効果的
に製造することが可能となる。すなわち,(1)重合過
程で複合化ができるため,鉱物の表面処理や混合の工程
が省略できる。(2)化学反応を利用して,粘土鉱物の
層を分散させるため,粘土鉱物の粉砕や混合方法が簡略
化でき,しかも粉砕のしすぎのためのアスペクト比の低
下もない。(3)粘土鉱物はポリビニル系高分子化合物
のモノマーやポリマーを変質させることはなく保存安定
性に優れているので,モノマーと予め混合したままで
も,重合後のポリマーと複合体の形でも保存や輸送が可
能である。
〔実施例〕
以下,本発明の実施例を説明する。
実施例1 粘土鉱物としてクニミネ工業製「クニピアF」(高純度
Na型モンモリロナイト:層厚さ9.6Å)を用い,末端に
ビニル基を有するアンモニウム塩として で表されるものを用いた。両者を水中で撹拌・混合する
ことにより,上記粘土鉱物をイオン交換した。
このイオン交換した粘土鉱物5重量部をN,N′−ジメチ
ルホルムアミド中に分散させ,これにビニル系高分子化
合物モノマーとしてのメチルメタクリレート(MMA)100
重量部と,ラジカル重合開始剤としての過硫酸カリウム
0.5重量部と,水10重量部を添加し,60℃において5時間
加熱撹拌した。
得られた粘稠な液体からジメチルホルムアミドをできる
だけ除去した後,これをメタノール中に滴下し,ポリメ
チルメタクリレートの再沈を行った。
得られたポリマーは,IR,NMR,元素分析により,ポリメチ
ルメタクリレート中にモンモリロナイトを5.7%含有し
た複合材料であることが判明した。X線回折の結果はモ
ンモリロナイトのd(001)面が完全に消失し,ポリマ
ー中へモンモリロナイトの一層一層が均一に分散してい
ることを示していた。GPC(ゲル浸透クロマトグラム)
による分子量測定では,数平均分子量Mn=9.15×104,重
量平均分子量Mw=3.80×105であった。また,溶融粘度
は,2300Pa・s(220℃,剪断速度=370s-1)であり,射
出成形が可能であった。これはガラス転移温度(Tg)以
上250℃まで,成形形状を保っていた。
この成形体の粘弾性測定による弾性率は5.68GPa(0
℃)であった。
比較例1 粘土鉱物を用いることなく,メチルメタクリレートのみ
を実施例1と同様にして重合し,ポリメチルメタクリレ
ートを形成した。このポリマーの分子量は,Mn=3.11×1
04,Mw=7.74×104(GPCによる測定値)であった。ま
た,溶融粘度は340Pa・s(220℃,剪断速度=370s-1
であり,射出成形を行うと,150℃で粘稠な液体となって
しまった。また,実施例1と同条件の粘弾性試験により
求めた弾性率は,4.57GPaであった。
比較例2 実施例1と同様のNa型モンモリロナイト5重量部に水中
に分散させ,これを更にメチルメタクリレート100重量
部と過硫酸カリウム0.5重量部を添加し,60℃において5
時間加熱撹拌した。
得られたものは,未反応のメチルメタクリレートがその
まま残った混合物であり,反応が進行していなかった。
比較例3 オニウム塩として で表されるものを用いた以外は実施例1と同様にして,
複合材料を製造した。
得られた複合材料は,分子量がMn=1.21×104,Mw=7.68
×104であり,成形体の弾性率は4.48GPaであった。
実施例2 実施例1と同様にイオン交換したモンモリロナイトを用
い,モノマーとしてイソプレンに変えた以外は実施例1
と同様にして複合材料を製造した。
得られた複合材料は,IR,NMR,元素分析により,ポリイソ
プレン中にモンモリロナイトを5.6%の割合で分散した
ものであった。また,X線回折によれば,モンモリロナイ
トのd(001)面のピークが全く消失し,ポリマー中に
モンモリロナイトの各層が均一に分散していることが判
明した。
実施例3 末端にビニル基を有するアンモニウム塩として下記式の
ものを用い,モノマーとしてスチレンを用いた以外は,
実施例1と同様にして複合材料を製造した。
得られた複合材料は,IR,NMR,元素分析により,ポリスチ
レン中にモンモリロナイトが5.3%含有したものであっ
た。また,X線回折によればモンモリロナイトのd(00
1)面のピークは全く消失し,ポリマー中にモンモリロ
ナイトの各層が均一に分散した複合材料であることが判
明した。
射出成形品の粘弾性測定による弾性率は5.3GPaであっ
た。
実施例4 末端にビニル基を有するアンモニウム塩として下記式で
表されるものを使用した以外は,実施例1と同様にして
モンモリロナイトをイオン交換した。
このイオン交換したモンモリロナイト5重量部を塩化エ
チル中に加え,更にモノマーとしてのα−メチルスチレ
ン100重量部を加えた後,これらを−130℃まで冷却し
た。次いで,陽イオン重合開始剤としての無水塩化アル
ミニウム0.5重量部を塩化エチル50重量部に溶かした溶
液を上記冷却溶液に添加して,1時間撹拌し,複合材料を
製造した。
得られた複合材料は,IR,NMR,元素分析により,ポリα−
メチルスチレン中にモンモリロナイトが5.1%分散した
ものであることが判明した。
この成形体の粘弾性測定から求めた弾性率は5.0GPaであ
った。
実施例5 末端にビニル基を有するアンモニウム塩として下記式で
表されるものを使用し,粘土鉱物としてサポナイト(層
厚さ10.0Å)を使用した以外は,実施例1と同様にして
サポナイトをイオン交換した。
このイオン交換したサポナイト5重量部をジメチルホル
ムアミド中に分散させ,更にモノマーとしてのアクリロ
ニトリル100重量部を加えて,−50℃に冷却した。次い
で,陰イオン重合開始剤としての無水シアン化ナトリウ
ムのジメチルホルムアミド飽和溶液20重量部を上記冷却
溶液に加え,1時間撹拌し,複合材料を製造した。
得られた複合材料は,IR,NMR,元素分析により,ポリアク
リロニトリル中にサポナイトが5.3%分散したものであ
ることが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上垣外 修己 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 審査官 谷口 浩行

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル系高分子化合物を含む樹脂と,該樹
    脂中に分子状に分散した層状の粘土鉱物とからなり,該
    粘土鉱物は層厚さが7〜12Åで層間距離が30Å以上であ
    ることを特徴とする複合材料。
  2. 【請求項2】上記粘土鉱物は,樹脂100重量部に対して
    0.5〜150重量部含有してなる特許請求の範囲第(1)項
    記載の複合材料。
  3. 【請求項3】陽イオン交換容量が50〜200ミリ当量/100g
    の層状の粘土鉱物を,末端にビニル基を有するオニウム
    塩によりイオン交換するイオン交換工程と,該イオン交
    換された粘土鉱物とビニル系高分子化合物のモノマーと
    を混合する混合工程と,上記混合物中の上記モノマーを
    重合させる重合工程とからなることを特徴とする複合材
    料の製造方法。
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