JP2000129072A - ゴム含有グラフト共重合体組成物および製造方法 - Google Patents

ゴム含有グラフト共重合体組成物および製造方法

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JP2000129072A
JP2000129072A JP30844398A JP30844398A JP2000129072A JP 2000129072 A JP2000129072 A JP 2000129072A JP 30844398 A JP30844398 A JP 30844398A JP 30844398 A JP30844398 A JP 30844398A JP 2000129072 A JP2000129072 A JP 2000129072A
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graft copolymer
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containing graft
group
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JP30844398A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Suzuki
紀之 鈴木
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面外観を損なわずかつ比重増加を抑え、機
械的特性、荷重たわみ温度に優れるゴム含有グラフト共
重合体組成物を提供する。 【解決手段】 ゴム含有グラフト共重合体および層間化
合物を含有するゴム含有グラフト共重合体組成物であっ
て、上記層間化合物が、膨潤性ケイ酸塩とアミノ化合物
を分散媒中で混合することによって調製され、上記アミ
ノ化合物が1級、2級および3級アミノ基からなる群よ
り選択される1種以上のアミノ基を少なくとも1個有
し、水酸基、メルカプト基、エーテル基、カルボニル
基、ニトロ基および塩素原子より成る群から選択される
1種以上の置換基を有していても良い、炭素数1〜25
の炭化水素化合物である、ゴム含有グラフト共重合体組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム含有グラフト
共重合体および層間化合物を含有するゴム含有グラフト
共重合体組成物および該樹脂組成物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ABS系樹脂に代表されるゴム含有グラ
フト共重合体は、強靭で耐衝撃性と機械的特性に優れ、
剛性も高く、耐薬品性が優れることに加え、成形加工性
にも優れている。それらの特長を利用して、自動車部
品、OA機器部品、家庭用品、文房具、雑貨等、幅広い
分野で用いられているが、更に高い機械的特性や、耐熱
性が求められている。そのような目的から、様々な充填
剤、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウ
ィスカーなどの繊維状無機物、ガラスフレーク、ガラス
ビーズ、タルク、マイカ、カオリンなどの粒子状無機物
などの配合が行われてきた。上記無機物の配合によっ
て、機械的特性などは確かに改善されるものの、成形品
の表面外観が損なわれ、比重も増加するなどの問題があ
った。更に別の問題としては、射出成形時、繊維状無機
物の配向によって、異方性が生じる問題もあった。
【0003】こうした繊維状無機物や粒子状無機物の配
合における欠点は、一般に、該無機物の分散不良や分散
粒子のサイズが大きすぎることに起因するものと考えら
れている。
【0004】一方、特開平9−175816号および欧
州特許0780340号において、層状ケイ酸塩の層を
劈開し易くする目的から、ヘキサメチレンジアミン等の
低分子化合物(インターカラントモノマー)を層状ケイ
酸塩の層間にインターカレートして層間化合物とする技
術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように層間化合
物は開示されているが、該層間化合物を劈開してゴム含
有グラフト共重合体へ微分散化する技術は開示されてお
らず、ゴム含有グラフト共重合体中に層状粒子を微分散
させる事は困難であった。
【0006】従って、層状ケイ酸塩の層を劈開して微小
な薄板状でゴム含有グラフト共重合体中に分散せしめ、
機械的特性、荷重たわみ温度、表面性のバランスに優れ
たゴム含有グラフト共重合体組成物を得る技術は未だ提
供されていないのが現状であ
【0007】り、本発明の目的は、このような従来の問
題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明に至った。す
なわち、アミノ基を必須官能基とするアミノ化合物およ
び膨潤性ケイ酸塩を混合して層間化合物とし、ゴム含有
グラフト共重合体中に該層間化合物を微小な薄板状で分
散させる事により得られるゴム含有グラフト共重合体組
成物およびその製造方法である。
【0008】本発明によれば、請求項1のゴム含有グラ
フト共重合体組成物は、ゴム含有グラフト共重合体およ
び層間化合物を含有するゴム含有グラフト共重合体組成
物であって、ゴム含有グラフト共重合体が、ゴム質重合
体の存在下に芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量
体及び必要に応じて用いられる共重合可能な他の単量体
をグラフト重合する事により得られ、層間化合物が、膨
潤性ケイ酸塩とアミノ化合物を分散媒中で混合すること
によって調製され、かつ上記アミノ化合物が1級、2級
および3級アミノ基からなる群より選択される1種以上
のアミノ基を少なくとも1個有し、水酸基、メルカプト
基、エーテル基、カルボニル基、ニトロ基および塩素原
子より成る群から選択される1種以上の置換基を有して
いても良い、炭素数1〜25の炭化水素化合物である。
【0009】請求項2のゴム含有グラフト共重合体組成
物は、請求項1に記載のゴム含有グラフト共重合体組成
物において、層間化合物の平均層厚が500Å以下であ
る。
【0010】請求項3のゴム含有グラフト共重合体組成
物は、請求項1または2に記載のゴム含有グラフト共重
合体組成物において、層間化合物の最大層厚が2000
Å以下である。
【0011】請求項4のゴム含有グラフト共重合体組成
物は、請求項1、2または3に記載のゴム含有グラフト
共重合体組成物において、層間化合物の[N]値が30
以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積10
0μm2中に存在する、層間化合物の単位比率当たりの
粒子数であると定義される。
【0012】請求項5のゴム含有グラフト共重合体組成
物は、請求項1、2、3または4に記載のゴム含有グラ
フト共重合体組成物において、層間化合物の平均アスペ
クト比(層長さ/層厚の比)が10〜300である。
【0013】請求項6のゴム含有グラフト共重合体組成
物の製造方法は、請求項1、2、3、4または5に記載
のゴム含有グラフト共重合体組成物の製造方法であっ
て、(A)層間化合物とゴム含有グラフト共重合体の重
合性モノマーを含有する粘土分散体を調製する工程およ
び(B)粘土分散体中の重合性モノマーを重合する工程
を包含する。
【0014】請求項7に記載のゴム含有グラフト共重合
体組成物の製造方法は、請求項6に記載の製造方法にお
いて、工程(A)で得られる粘土分散体中の層間化合物
の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩の底面間隔の3倍以上で
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるゴム含有グラ
フト共重合体とは、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニ
ル単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応じて用い
られる共重合可能な他の単量体をグラフト重合する事に
より得られる。ゴム質重合体の例としては、ポリブタジ
エン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソ
プレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、エチレンーα−オレフィン共重合体、エチレンーα
−オレフィン−ポリエン共重合体、イソプレンゴム、ク
ロロプレンゴム等の共役ジエン系ゴム、およびこれらに
水素添加した飽和あるいは部分飽和ゴム、ポリアクリル
酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン系アイオノマ
ー、シリコーン系ゴム、エチレン−プロピレン−非共役
ジエン等が挙げられる。上記エチレン−プロピレン−非
共役ジエンに含有されるジオレフィンとしては、ジシク
ロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプ
タジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−
1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリ
デカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エ
チリデン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエ
ン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、メチルテ
トラヒドロインデン、リモネン等が挙げられる。
【0016】また、芳香族ビニル単量体としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレ
ン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロ
モスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、
2,4,5−トリブロモスチレン、2,4,6−トリブ
ロモスチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニ
ルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、得られる
組成物の機械的物性や入手のし易さの点から好ましく
は、スチレン、α−メチルスチレンを挙げることがで
き、これらの1種または2種以上を使用することができ
る。
【0017】また、シアン化ビニル単量体をしては、例
えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙
げることができ、これらの1種または2種以上を使用す
ることができる。
【0018】上記芳香族ビニル単量体およびシアン化ビ
ニル単量体の他に、これらと共重合可能な単量体を、本
発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
この様な共重合可能な他のビニル単量体としては、アク
リル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシ
ルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸アルキ
ルエステル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−
エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シク
ロヘキシルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸
のイミド化合物類、グリシジルメタクリレート、アリル
グリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物、
イタコン酸、マレイン酸等のα,β−不飽和ジカルボン
酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン
酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、アクリルア
ミン、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノ
プロピル、アミノスチレン等のアミノ基含有不飽和化合
物、3−ヒドロキシー1ープロペン、4−ヒドロキシー
1ーブテン、シス−4−ヒドロキシー2ーブテン、トラ
ンス−4−ヒドロキシー2ーブテン、3−ヒドロキシー
2ーメチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水
酸基含有不飽和酸、およびアクリルアミド、ビニルオキ
サゾリンなどが挙げることができ、これらの単量体の1
種、または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0019】ゴム含有グラフト共重合体の好ましい例と
しては、ABS樹脂(アクリロニトリル−プタジェン−
スチレン共重合体)の他に、AAS樹脂(アクリロニト
リル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴムースチレ
ン共重合体)MBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジ
エン−スチレン共重合体)、MAS樹脂(メタクリル酸
メチル−アクリルゴム−スチレン共重合体)を含むグラ
フト共重合体である。
【0020】本発明に用いるゴム含有グラフト共重合体
の製造方法は特に限定されるものではなく、ゴム質重合
体の存在下に、単量体成分を、公知の重合法である乳化
重合、溶液重合、縣濁重合、塊状重合、塊状縣濁重合法
で重合することによって得られる。この際のゴム質重合
体成分、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体お
よび必要に応じて用いられるその他の共重合可能な単量
体成分の配合比には特に制限はなく、用途に応じて各成
分が適宜に配合される。
【0021】本発明で用いられる層間化合物とは、分散
媒中で、膨潤性ケイ酸塩およびアミノ基を少なくとも1
つ有するアミノ化合物とを混合することにより調製され
るものである。
【0022】上記の膨潤性ケイ酸塩は、主として酸化ケ
イ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体
シートから成り、その例としては、例えば、スメクタイ
ト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。膨潤性ケ
イ酸塩としてスメクタイト族粘土および膨潤性雲母を使
用する場合には、本発明のゴム含有グラフト共重合体組
成物中における膨潤性ケイ酸塩の分散性、入手の容易さ
及び樹脂組成物の物性改善の点から好ましい。
【0023】前記のスメクタイト族粘土は下記一般式
(1) X0.20.623410(OH)2・nH2O(1) (ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mg
から成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、F
e、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る
群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlか
ら成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層
間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオ
ンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表され
る、天然または合成されたものである。該スメクタイト
族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、
バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナ
イト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及
びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト
族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜1
7Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒
径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。
【0024】また、前記の膨潤性雲母は下記一般式
(2) X0.51.023(Z410)(F、OH)2 (2) (ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及
びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはM
g、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より
選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、F
e、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。これら
は、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と
該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であ
り、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テ
ニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム
型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の
初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17
Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約10
00〜1000000Åである。
【0025】上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライ
ト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバー
ミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュラ
イト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記
一般式(3) (Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2 )x・nH2O (3) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライトの初期の凝集状態における底面間隔は
おおよそ10〜17Åであり、凝集状態でのバーミキュ
ライトの平均粒径は約1000〜5000000Åであ
る。
【0026】膨潤性ケイ酸塩は単独で用いても良く、2
種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、
モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび
層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、本発明
のゴム含有グラフト共重合体組成物中での分散性、入手
の容易さ及び樹脂組成物の物性改善効果の点から好まし
い。
【0027】膨潤性ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に
規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましい
が、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合っ
た、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0028】本発明で用いられるアミノ化合物とは、1
級、2級および3級アミノ基からなる群より選択される
1種以上のアミノ基を少なくとも1個有し、水酸基、エ
ーテル基、メルカプト基、カルボニル基、ニトロ基およ
び塩素原子から成る群よりから選択される1種以上の置
換基を有していても良い、炭素数1〜25の炭化水素化
合物である。
【0029】本明細書において炭化水素基とは、直鎖ま
たは分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽
和の一価または多価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基および脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフ
チル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書に
おいて、「アルキル基」という場合は、特に指示が無い
限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含する
ことを意図する。同様にアルケニル基、アルキニル基、
フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基は、そ
れぞれアルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン
基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包含す
る。
【0030】上記のアミノ化合物の具体例として、アミ
ノ基と炭素数1〜25の炭化水素基が構成成分である場
合の例としては、ブチルアミン、N,N−ジメチルブチ
ルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、ドデシル
アミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキシルアミン、
3−ペンチルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、2
−オクチルアミン、エチルアミノエチルアミン、ジエチ
ルアミノエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、1,2−ジアミノプロパン、メチルアミノプロピル
アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミ
ノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、テ
トラメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジア
ミノブタン、1,4−ジアミノブタン、N−(3−アミ
ノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチ
ルジエチレントリアミン、N,N’−ビス(アミノプロ
ピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス
(アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、ジア
リルアミン、イソアミルアミン、N−エチルイソアミル
アミン、2−ヘキセニルアミン、N,N−ジイソプロピ
ルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチル
アミン、2−エチルヘキシルアミン、N−エチル−1,
2−ジメチルプロピルアミン、ジイソブチルアミン、2
−エチルヘキシルアミン、アニリン、β−ナフチルアミ
ン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、トルエン−2,4−ジアミン、N,N’−ジメチル
−p−フェニレンジアミン、ジビニルプロピルアミン等
が挙げられる。水酸基を有するアミノ化合物の例として
は、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、N−
イソメチルジエタノールアミン、2−アミノプロパノー
ル、3−アミノプロパノール、3−ジメチルアミノプロ
パノール、4−アミノブタノール、4−メチルアミノブ
タノール、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミ
ン、ジエタノールアミノプロピルアミン、1−アミノ−
3−フェノキシ−2−プロパノール等が挙げられる。エ
ーテル基を有するアミノ化合物の例としては、ビス(3
−アミノプロピル)エーテル、ジメチルアミノエトキシ
プロピルアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキ
シ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−
2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス(3−アミノ
プロピル)ポリエチレングリコールエーテル、α,ω−
ビス(3−アミノプロピル)ジエチレングリコールエー
テル、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロ
ピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソ
プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミ
ン、3−イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキ
シロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミ
ン等が挙げられる。メルカプト基を有するアミノ化合物
の例としては、2−メルカプトエチルアミン、N−(2
−メルカプトエチル)アセトアミド、2−メルカプトピ
リジン等が挙げられる。カルボニル基を有するアミノ化
合物の例としては、ホルムアニリド、アセトアニリド、
アセトアセトアニリド、ドデシルアミド、テトラデシル
アミド、ヘキサデシルアミド等が挙げられる。ニトロ基
を有するアミノ化合物の例としては、2−ニトロアニリ
ン、3−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、
2,4,6−トリニトロアニリンが挙げられる。塩素原
子を有するアミノ化合物の例としては、2−クロロアニ
リン、3−クロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン
等が挙げられる。
【0031】上記のアミノ化合物の中では、ジメチルア
ミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、ジエチ
ルアミノエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、1,2−ジアミノプロパン、メチルアミノプロピル
アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミ
ノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、テ
トラメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジア
ミノブタン、1,4−ジアミノブタン、N−(3−アミ
ノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチ
ルジエチレントリアミンおよびN,N’−ビス(アミノ
プロピル)−1,3−プロピレンジアミン等のように、
一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミノ化合物、
2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、N−イソ
メチルジエタノールアミン、2−アミノプロパノール、
3−アミノプロパノール、3−ジメチルアミノプロパノ
ール、4−アミノブタノール、4−メチルアミノブタノ
ール、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンおよ
び1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール等の
ように、水酸基を有するアミノ化合物、ビス(3−アミ
ノプロピル)エーテル、ジメチルアミノエトキシプロピ
ルアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタ
ン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2−
ジメチルプロパン、α,ω−ビス(3−アミノプロピ
ル)ポリエチレングリコールエーテルおよびα,ω−ビ
ス(3−アミノプロピル)ジエチレングリコールエーテ
ル等のようにエーテル基を有するアミノ化合物が好まし
く使用され得る。
【0032】上記のアミノ化合物の置換体、または誘導
体もまた使用し得る。これらのアミノ化合物は、単独、
又は2種以上組み合わせて使用され得る。
【0033】層間化合物は、膨潤性ケイ酸塩を分散媒中
で底面間隔を拡大させた後に、上記のアミノ化合物を添
加して混合する事により得られる。
【0034】上記の分散媒とは、水、水と任意の割合で
相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒を意
図する。該極性溶媒としては、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド
化合物、その他の溶媒であるジメチルスルホキシドや2
−ピロリドン等が挙げられる。これらの極性溶媒は単独
で用いても良く2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0035】膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で底面間隔を拡
大させることは、該膨潤性ケイ酸塩を該分散媒中で充分
に撹拌して分散させる事によりなし得る。拡大後の底面
間隔は初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔に比べて、好ま
しくは3倍以上であり、より好ましくは4倍以上であ
り、更に好ましくは5倍以上である。上限値は特にな
い。ただし、底面間隔が約10倍以上に拡大すると、底
面間隔の測定が困難になるが、この場合、膨潤性ケイ酸
塩は実質的に単位層で存在する。本明細書において、膨
潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔とは、分散媒に添加する
前の、単位層が互いに積層し凝集状態である粒子状の膨
潤性ケイ酸塩の底面間隔である事を意図する。底面間隔
は小角X線回折法(SAXS)などで確認し得る。すな
わち、分散媒と膨潤性ケイ酸塩から成る混合物における
X線回折ピーク角値をSAXSで測定し、該ピーク角値
をBraggの式に代入して算出することにより底面間
隔を求め得る。
【0036】膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を効率的に拡大
させるためには、数千rpm以上で撹拌するか、以下に
示す物理的な外力を加える方法が挙げられる。物理的な
外力は、一般に行われるフィラーの湿式微粉砕方法を用
いることによって加えられ得る。一般的なフィラーの湿
式微粉砕方法としては、例えば、硬質粒子を利用する方
法が挙げられる。この方法では、硬質粒子と膨潤性ケイ
酸塩と任意の溶媒とを混合して撹拌し、硬質粒子と膨潤
性ケイ酸塩との物理的な衝突によって、膨潤性ケイ酸塩
を分離させる。通常用いられる硬質粒子はフィラー粉砕
用ビーズであり、例えば、ガラスビーズまたはジルコニ
アビーズ等が挙げられる。これら粉砕用ビーズは、膨潤
性ケイ酸塩の硬度、または撹拌機の材質を考慮して選択
され、上述したガラスまたはジルコニアに限定されな
い。その粒径もまた、膨潤性ケイ酸塩のサイズなどを考
慮して決定されるために一概に数値で限定されるもので
はないが、直径0.1〜6.0mmの範囲にあるものが
好ましい。ここで用いる溶媒は特に限定されないが、例
えば、上記の分散媒が好ましい。
【0037】上記のように、分散媒中で膨潤性ケイ酸塩
の底面間隔を拡大し、言い換えれば、凝集していた各単
位層を劈開してばらばらにして個々独立に存在させる。
その後、アミノ化合物を加えて十分に撹拌して混合する
事によって層間化合物が得られる。
【0038】アミノ化合物による膨潤性ケイ酸塩の処理
は、底面間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩と分散媒を含
む混合物中にアミノ化合物を添加して撹拌することによ
り行われるが、アミノ化合物による処理をより効率的に
行いたい場合は、撹拌の回転数を1000rpm以上、
好ましくは1500rpm以上、より好ましくは200
0rpm以上にするか、あるいは湿式ミルなどを用いて
500(1/s)以上、好ましくは1000(1/s)
以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪断速
度を加える。回転数の上限値は約25000rpmであ
り、剪断速度の上限値は約500000(1/s)であ
る。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断を加
えても効果はそれ以上変わらない傾向があるため、上限
値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。アミノ化合
物による膨潤性ケイ酸塩の処理は室温で充分に行い得る
が、必要に応じて系を加温しても良い。加温時の最高温
度は用いるアミノ化合物の分解温度未満であり、かつ、
分散媒の沸点未満で有れば任意に設定し得る。
【0039】アミノ化合物の使用量は、得られる層間化
合物とゴム含有グラフト共重合体、あるいは粘土分散体
(後述する本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物の
製造方法で用いられる)における分散性が十分に高まる
ように調製し得る。必要であるならば、構造の異なる複
数種のアミノ化合物を併用し得る。従って、アミノ化合
物の添加量は一概に数値で限定されるものではないが、
膨潤性ケイ酸塩100重量部に対して、0.1から20
0重量部であり、好ましくは0.2から180重量部で
あり、より好ましくは0.3から160重量部であり、
更に好ましくは0.4から140重量部であり、特に好
ましくは0.5から120重量部である。アミノ化合物
の量が0.1重量部未満であると得られる層間化合物の
微分散化効果が充分で無くなる傾向がある。また、20
0重量部以上では効果が変わらないので、200重量部
より多く添加する必要はない。
【0040】上記のようにして得られる層間化合物の底
面間隔は、導入されたアミノ化合物の存在により、膨潤
性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて拡大し得る。例え
ば、分散媒中に分散されて底面間隔が拡大された膨潤性
ケイ酸塩は、アミノ化合物を導入しない場合、分散媒を
除去すると再び層同士が凝集した状態に戻るが、本発明
によれば、底面間隔を拡大した後にアミノ化合物を導入
することによって、分散媒を除去した後も、得られる層
間化合物は層同士が凝集することなく底面間隔が拡大さ
れた状態で存在し得る。層間化合物の底面間隔は膨潤性
ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて、1.1倍以上、好
ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.3倍以上、特
に好ましくは1.5倍以上拡大している。底面間隔は小
角X線回折法(SAXS)などで確認し得る。この方法
では、乾燥して粉末状にした層間化合物の(001)面
に由来するX線回折ピーク角値をSAXSで測定し、B
raggの式に代入し算出することにより底面間隔を求
め得る。同様に初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を測定
し、この両者を比較することにより底面間隔の拡大を確
認し得る。この様に底面間隔が拡大していることを確認
することによって、層間化合物が生成していることを確
認できる。
【0041】本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
において、ゴム含有グラフト共重合体100重量部に対
する層間化合物の配合量が、代表的には0.1〜50重
量部、好ましくは0.2〜45重量部、より好ましくは
0.3〜40重量部、更に好ましくは0.4〜35重量
部、特に好ましくは0.5〜30重量部となるように調
製される。層間化合物の配合量が0.1重量部未満であ
ると機械的特性や荷重たわみ温度などの改善効果が不充
分となる場合があり、50重量部を超えると成形体の外
観や成形時の流動性などが損なわれる傾向がある。
【0042】また、層間化合物に由来するゴム含有グラ
フト共重合体組成物の灰分率が、代表的には0.1〜3
0重量%、好ましくは0.2〜28重量%、より好まし
くは0.3〜25重量%、更に好ましくは0.4〜23重
量%、特に好ましくは0.5〜20重量%と成るように
調製される。灰分率が0.1重量%未満であると機械的
特性や荷重たわみ温度などの改善効果が不充分となる場
合があり、30重量%を超えると成形体の外観や成形時
の流動性などが損なわれる傾向がある。
【0043】本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
中で分散している層間化合物の構造は、配合前の膨潤性
ケイ酸塩が有していたような、層が多数積層したμmサ
イズの凝集構造とは全く異なる。すなわち、マトリック
ス樹脂と親和性を有するアミノ化合物が導入され、かつ
初期の膨潤性ケイ酸塩に比べて底面間隔が拡大された層
間化合物を用いることによって、層同士が劈開し、互い
に独立して細分化する。その結果、層間化合物はゴム含
有グラフト共重合体組成物中で非常に細かく互いに独立
した薄板状で分散し、その数は、原料である膨潤性ケイ
酸塩に比べて著しく増大する。この様な薄板状の層間化
合物の分散状態は以下に述べるアスペクト比(層長さ/
層厚の比率)、分散粒子数、最大層厚および平均層厚で
表現され得る。
【0044】まず、平均アスペクト比を、樹脂中に分散
した層間化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると
定義すると、本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
中の層間化合物の平均アスペクト比は10〜300であ
り、好ましくは15〜300であり。更に好ましくは2
0〜300である。層間化合物平均アスペクト比が10
未満であると、本発明のゴム含有グラフト共重合体組成
物の弾性率や荷重たわみ温度への改善効果が十分に得ら
れない場合がある。また、300より大きくても効果は
それ以上変わらないため、平均アスペクト比を300よ
り大きくする必要はない。
【0045】また、[N]値を、ゴム含有グラフト共重
合体組成物の面積100μm2における、膨潤性ケイ酸
塩の単位重量比率当たりの分散粒子数であると定義する
と、本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物における
層間化合物の[N]値は、30以上であり、好ましくは
45以上であり、より好ましくは60以上である。上限
値は特にないが、[N]値が1000程度を越えると、
それ以上効果は変わらなくなるので、1000より大き
くする必要はない。[N]値は、例えば、次のようにし
て求められ得る。すなわち、ゴム含有グラフト共重合体
組成物を約50μm〜100μm厚の超薄切片に切り出
し、該切片をTEM等で撮影した像上で、面積が100
μm2の任意の領域に存在する層間化合物の粒子数を、
用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比率で除すことによって求
められ得る。あるいは、TEM像上で、100個以上の
粒子が存在する任意の領域(面積は測定しておく)を選
んで該領域に存在する粒子数を、用いた膨潤性ケイ酸塩
の重量比率で除し、面積100μm2に換算した値を
[N]値としてもよい。従って、[N]値はゴム含有グ
ラフト共重合体組成物のTEM写真等を用いることによ
り定量化できる。
【0046】また、平均層厚を、薄板状で分散した層間
化合物の層厚みの数平均値であると定義すると、本発明
のゴム含有グラフト共重合体組成物中の層間化合物の平
均層厚の上限値は500Å以下であり、好ましくは45
0Å以下であり、より好ましくは400Å以下である。
平均層厚が上限値より大きいと、本発明のゴム含有グラ
フト共重合体組成物の機械的特性や荷重たわみ温度の改
良効果が十分に得られない場合がある。平均層厚の下限
値は特にないが、10Å程度である。また、最大層厚
を、本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物中に薄板
状に分散した層間化合物の層厚みの最大値であると定義
すると、層間化合物の最大層厚の上限値は、2000Å
以下であり、好ましくは1800Å以下であり、より好
ましくは1500Å以下である。最大層厚が上限値より
大きいと、本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物の
機械的特性、荷重たわみ温度、表面性のバランスが損な
われる場合がある。最大層厚の下限値は特にないが、5
0Å程度である。層厚および層長さは、本発明のゴム含
有グラフト共重合体組成物から得られる薄肉の成形品等
を、顕微鏡等を用いて撮影される像から求めることがで
きる。
【0047】すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の
方法で調製したフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜
2mm程度の薄い試験片を置いたと仮定する。上記のフ
ィルムあるいは試験片をX−Z面あるいはY−Z面と平
行な面で約50μm〜100μm厚の超薄切片を切り出
し、該切片を透過型電子顕微鏡などを用い、約4〜10
万倍以上の高倍率で観察して求められ得る。測定は、上
記の方法で得られた透過型電子顕微鏡の象上に置いて、
100個以上の層間化合物を含む任意の領域を選択し、
画像処理装置などで画像化し、計算機処理する事等によ
り定量化できる。あるいは、定規などを用いて計測して
も求めることもできる。本発明のゴム含有グラフト共重
合体組成物の製造方法には特に制限はないが、例えば、
(A)層間化合物とゴム含有グラフト共重合体の重合性
モノマーを含有する粘土分散体を調製する工程、(B)
粘土分散体中の重合性モノマーを重合する工程、を包含
する方法が好ましい。
【0048】ここでゴム含有グラフト共重合体の重合性
モノマーとは、ゴム含有グラフト共重合体のグラフト成
分の重合性モノマー、すなわち、芳香族ビニル単量体、
シアン化ビニル単量体及び必要に応じて用いられる共重
合可能な他の単量体から成る群から選ばれる1種以上を
意味し、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、メチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、(メタ)アクリル酸、無水マ
レイン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレー
ト、メタクリル酸アミノエチル、3−ヒドロキシー1ー
プロペン、アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等が挙
げられる。
【0049】上記の重合性モノマーには、芳香族ビニル
単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応じて用いら
れる共重合可能な他の単量体から成る群から選ばれる1
種以上がラジカル重合またはイオン重合し、層間化合物
が充分に均一分散できる程度の粘度を示す分子量を有す
る低重合度体を含有していても差し支えない。
【0050】ここで、上記の粘土分散体には、重合性モ
ノマー以外の構成成分として、例えば、ヘキサン、オク
タン、デカン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素系化合物、
シクロヘキサン、シクロデカン等の脂環式炭化水素系化
合物、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロ
ピルベンゼン、クメン、t−ブチルベンゼン、メシチレ
ン、ブロモトルエン、クロロトルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素系化合物、塩化メチレン、クロロホルム等
のハロゲン化炭化水素系化合物、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、メチルフェニルエーテル等のエーテル化合
物、メチルエチルケトン、メチルアリルケトン、メチル
フェニルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、
酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル等のエステ
ル化合物、トリエチルアミン、トリ−t−ブチルアミ
ン、ピペリジン、ピリジン、シクロヘキシルアミン、ア
ニリン、エチレンジアミン等のアミン化合物、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等のアミド化合物、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄
化合物などの有機溶媒を含有していてもよい。
【0051】上記の工程(A)で粘土分散体を調製する
方法は特に限定されず、例えば、予め調製した層間化合
物およびゴム含有グラフト共重合体の重合性モノマーを
十分に混合する方法、または層間化合物および有機溶媒
を充分に混合した後、重合性モノマーを更に添加混合す
る方法が挙げられる。
【0052】混合を効率よく行うためには、撹拌の回転
数は500rpm以上、あるいは300(1/s)以上
の剪断速度を加える。回転数の上限値は25000rp
mであり、剪断速度の上限値は500000(1/s)
である。上限値よりも大きい値で撹拌を行っても効果は
それ以上変わらない傾向があるため、上限値より大きい
値で撹拌を行う必要はない。
【0053】工程(A)で得られる粘土分散体に含まれ
る層間化合物は、膨潤性ケイ酸塩が有していたような初
期の積層・凝集構造はほぼ完全に消失して薄板状に細分
化するか、あるいは層同士の間隔が拡大していわゆる膨
潤状態となる。膨潤状態を表す指標として底面間隔が用
いられ得る。粘土分散体中の層間化合物の底面間隔は、
層間化合物が細分化して薄板状に成るためには、膨潤性
ケイ酸塩の初期の底面間隔の3倍以上が好ましく、4倍
以上がより好ましく、5倍以上更に好ましい。
【0054】そして工程(B)、すなわち、重合性モノ
マーを重合する工程を行い得る。重合方法は特に限定さ
れず、通常一般に行われるゴム含有グラフト共重合体の
重合方法によってなし得る。その様な方法としては、例
えば、本発明で用いられるゴム質重合体の存在下、工程
(A)で調製した粘土分散体中の重合性モノマーを塊状
重合、溶液重合、塊状縣濁重合、縣濁重合、乳化重合す
る方法が挙げられる。
【0055】ここで、工程(B)において、ゴム質重合
体が存在しない、あるいはゴム質重合体の配合比率が低
い系で重合性モノマーを重合した場合など、必要に応じ
て、工程(B)の後に続く工程で、別に調製したゴム含
有グラフト共重合体を溶融混練する事によっても、本発
明の組成物を得ることができる。
【0056】共重合体に他の重合性モノマー成分を共重
合する場合は、反応の任意の時期に所望の重合性モノマ
ーを新たに添加・混合して反応を行うことにより得られ
る。
【0057】本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
は以下に示す方法によっても製造され得る。
【0058】まず、トルエンなどの芳香族炭化水素やジ
クロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素化脂肪族また
は芳香族炭化水素などの、ゴム含有グラフト共重合体の
グラフト成分の良溶媒と予め調製した層間化合物を十分
に混合する。混合時の撹拌数等は上記の条件と同様であ
り、混合後の層間化合物の底面間隔は、膨潤性ケイ酸塩
の初期の底面間隔の3倍以上が好ましく、4倍以上がよ
り好ましく、5倍以上更に好ましい。次いで、ゴム含有
グラフト共重合体を添加し、十分に混合した後に溶媒を
除去する事によって、ゴム含有グラフト共重合体組成物
が得られる。
【0059】本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
の機械的特性、荷重たわみ温度、表面外観が優れる理由
は、樹脂中に層間化合物が、多数の微小な薄板状粒子と
なって分散し、その分散状態の指標となる層間化合物の
平均層厚、最大層厚、分散粒子数および平均アスペクト
比が前述した範囲になっているためである。 層間化合
物の分散状態は、層間化合物の調製工程および/または
上記の工程(A)によって制御され得る。
【0060】層間化合物の調製工程でゴム含有グラフト
共重合体組成物の分散状態を制御する方法に関しては、
アミノ化合物の種類や量、アミノ化合物と膨潤性ケイ酸
塩との混合条件(時間、温度、撹拌力)、分散媒の種類
等が制御因子として挙げられるが、特に、アミノ化合物
と膨潤性ケイ酸塩との混合時間や混合時の撹拌力および
分散媒の種類によって制御するのが簡便で好ましい。
【0061】この様な方法としては例えば、混合時の撹
拌数や剪断力が一定であるならば、分散媒の種類、複数
種の分散媒を用いる場合はその混合比率および混合の順
番に伴って、膨潤性ケイ酸塩の膨潤・劈開の状態は変化
する。例えば、膨潤性ケイ酸塩としてモンモリロナイト
を用いた場合、分散媒が水のみでは、モンモリロナイト
はほぼ単位層に近い状態にまで膨潤・劈開するので、そ
の状態でアミノ化合物を混合させれば、ほぼ単位層毎に
アミノ化合物が導入した層間化合物が調製される。一
方、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、メチ
ルエチルケトン(MEK)やN−メチルピロリドン(N
MP)等の極性溶媒と水との混合溶媒を分散媒とした場
合や、該極性溶媒にモンモリロナイトを分散させ次いで
水を加える等した場合は、約数枚〜約百数十枚程度の単
位層が積層した状態に劈開、細分化する。その状態でア
ミノ化合物を混合させれば、ほぼ数枚〜約百数十枚分の
厚みを有する層間化合物が調製される。それらの状態を
保持するように、ゴム含有グラフト共重合体組成物を重
合する事によって層間化合物の分散状態を制御し得る。
【0062】工程(A)でゴム含有グラフト共重合体組
成物の分散状態を制御する方法に関しては、粘土分散体
を構成する層間化合物と重合性モノマーおよび/または
有機溶媒との間の親和性、層間化合物と重合性モノマー
および/または有機溶媒との混合条件(撹拌力や混合時
間、温度)等が制御因子として挙げられるが、特に、親
和性、撹拌力および混合時間によって制御するのが簡便
で好ましい。
【0063】この様な方法としては例えば、混合時の撹
拌数や剪断力および時間が一定であり、かつ重合性モノ
マーとしてスチレンを用いた場合、層間化合物に結合し
ているアミノ化合物がフェニル基やシクロアルキル基等
のような炭化水素基を有していれば、上記重合性モノマ
ーとの親和性が高いために層間化合物は単位層〜数十枚
で分散する。逆に水酸基、メルカプト基またはニトロ基
等の極性が高い基を有するアミノ化合物を混合させれば
約数枚〜約百数十枚程度の単位層が積層した状態に劈
開、細分化する。それらの状態を保持するように、重合
性モノマーを重合する事によって層間化合物の分散状態
を制御し得る。
【0064】本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
には、必要に応じて、ポリブタジエン、ブタジエン−ス
チレン共重合体、アクリルゴム、アイオノマー、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエ
ン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、α−オレフ
ィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合
体(ランダム、ブロック、グラフトなど、いずれの共重
合体も含み、これらの混合物であっても良い)、または
オレフィン系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を添加
することができる。これらは無水マレイン酸等の酸化合
物、またはグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合
物で変性されていても良い。また、機械的特性、成形性
などの特性を損なわない範囲で、他の任意の樹脂、例え
ば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポ
リエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹
脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリア
リレート樹脂等の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック樹脂等
の熱硬化性樹脂の単独または2種以上を組み合わせて使
用し得る。
【0065】更に、本発明のゴム含有グラフト共重合体
組成物には、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難
燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができ
る。本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物は、射出
成形や熱プレス成形で成形しても良く、押出成形や発泡
成形にも使用できる。
【0066】また、本発明のゴム含有グラフト共重合体
組成物は、フィルムやシートにも利用できる。そのよう
な成形品やフィルムは外観、機械的特性および耐熱変形
性等に優れる為、例えば、自動車部品、家庭用電気製品
部品、精密機械部品、家庭日用品、包装・容器資材、そ
の他一般工業用資材に好適に用いられる。
【0067】本発明のゴム含有グラフト共重合体組成物
中では層間化合物が非常に細かく、かつ薄い板状で均一
分散していることから、表面平滑性を損なうことなく、
また、比重を著しく増加させることなく、機械的性質や
耐熱性などを改善することができる。
【0068】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。
【0069】実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。 (原料等) ・スチレン:和光純薬(株)製、スチレン(以降、St
と称す)を用いた。 ・アクリロニトリル:和光純薬(株)製、アクリロニト
リル(以降、ANと称す)を用いた。 ・ゴム質重合体:日本ゼオン(株)製、Nipol L
X111NF(以降、Nipolと称す)を用いた。 ・モンモリロナイト:山形県産の天然モンモリロナイト
(底面間隔=13Å)を用いた。 ・膨潤性雲母:タルク25.4gとケイフッ化ナトリウ
ム4.7gの微粉砕物を混合し、800℃で加熱処理し
たものを用いた(底面間隔=12Å)。 ・1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール:広
栄化学(株)製、(以降、APHPと称す)のアミノ化
合物を用いた。 ・2−ピペリジンエタノール:広栄化学(株)製(以
降、2PPREと称す)のアミノ化合物を用いた。
【0070】また、実施例および比較例における評価方
法を以下にまとめて示す。 (分散状態の測定)層間化合物に関しては、TEMを用
いて以下のように行った。
【0071】厚み50〜100μmの超薄切片を用い
た。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200E
X)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万倍
で層間化合物の分散状態を観察撮影した。TEM写真に
おいて、100個以上の分散粒子が存在する領域を選択
し、粒子数([N]値)、層厚および層長を、目盛り付
きの定規を用いた手計測または、必要に応じてインター
クエスト社の画像解析装置PIASIIIを用いて処理す
る事により測定した。
【0072】平均アスペクト比は個々の層間化合物の層
長と層厚の比の数平均値とした。[N]値の測定は以下
のようにして行った。まず、TEM像上で、選択した領
域に存在する層間化合物の粒子数を求める。これとは別
に、層間化合物に由来する樹脂組成物の灰分率を測定す
る。上記粒子数を灰分率で除し、面積100μm2に換
算した値を[N]値とした。
【0073】平均層厚は個々の層間化合物の層厚の数平
均値、最大層厚は個々の層間化合物の層厚の中で最大の
値とした。
【0074】分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適
当である場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製
の光学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で
[N]値を求めた。ただし、必要に応じて、サンプルは
LINKAM製のホットステージTHM600を用いて
200〜250℃で溶融させ、溶融状態のままで分散粒
子の状態を測定した。
【0075】板状に分散しない分散粒子のアスペクト比
は、長径/短径の値とした。ここで、長径とは、顕微鏡
像等において、対象となる粒子の外接する長方形のうち
面積が最小となる長方形を仮定すれば、その長方形の長
辺を意味する。また、短径とは、上記最小となる長方形
の短辺を意味する。 (小角X線回折法(SAXS)による底面間隔の測定)
X線発生装置(理学電機(株)製、RU−200B)を
用い、ターゲットCuKα線、Niフィルター、電圧4
0kV、電流200mA、走査角2θ=0.2〜16.0
°、ステップ角=0.02°の測定条件で底面間隔を測
定した。
【0076】底面間隔は、小角X線回折ピーク角値をB
raggの式に代入して算出した。ただし、小角X線ピ
ーク角値の確認が困難である場合は、層が十分に劈開し
て結晶性が実質的に消失したかあるいは、ピーク角値が
おおよそ0.8°以下である為に確認が困難であるとみ
なし、底面間隔の評価結果としては>100Åとした。 (荷重たわみ温度:HDT)ゴム含有グラフト共重合体
組成物を乾燥後、射出成形して、寸法約10×100×
6mmの試験片を作製した。得られた試験片の荷重たわ
み温度を、ASTMD−648に従って測定した。 (曲げ特性)荷重たわみ温度の場合と同様にして作製し
た試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を、ASTMD−
790に従って測定した。 (表面外観)表面外観は、荷重たわみ温度の場合と同様
の条件で作製した、厚さ約3mmのJIS1号ダンベル
状試験片の中心線平均粗さで評価した。
【0077】中心線表面粗さは、東京精密(株)製の表
面粗さ計;surfcom1500Aを用いて測定し
た。 (灰分率)層間化合物に由来する、ゴム含有グラフト共
重合体組成物の灰分率は、JISK7052に準じて測
定した。
【0078】(実施例1) 工程(A) 3500gのイオン交換水に125gのモンモリロナイ
トを加え、日本精機(株)製の湿式ミルを用いて500
0rpm、5分間撹拌して混合した。その後、35gの
APHPを加えてから更に、表1に示した条件で撹拌す
る事によって層間化合物を調製し、乾燥粉末化した(層
間化合物の確認は、SAXSにより底面間隔を測定する
ことにより行った。結果は表1に示した。実施例2〜4
も同様)。
【0079】上記の層間化合物125gとSt370g
およびAN170gを湿式ミルで十分(5000rpm
×30分)に混合し、層間化合物とStを含有する粘土
分散体を調製した。粘土分散体中の層間化合物の底面間
隔は、71Åであった。 工程(B) 撹拌機、環流冷却器、窒素ガス導入口、粘土分散体導入
口および温度計が設置された反応器に、4500gのイ
オン交換水、1000gのNipol、4.6gのナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレート、1.5gの
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩および0.04
gの硫酸第一鉄を投入した。窒素気流下、反応系を撹拌
しながら60℃に昇温した後、工程(A)で調製した粘
土分散体に3.1gのクメンハイドロパーオキサイドを
混合した混合体を連続的に添加した。添加終了後、60
℃で2時間撹拌を続け、重合を行うことにより、ゴム含
有グラフト共重合体組成物を得、評価した。結果は表2
に示した。 (実施例2)工程(A)において、MPHPの量を25
gとした(ただし、粘土分散体中の層間化合物の底面間
隔は、65Åであった)以外は、実施例1と同様に行
い、層間化合物を含有するゴム含有グラフト共重合体組
成物を得、評価した。
【0080】(実施例3)工程(A)において、MPH
Pの代わりに、35gの2PPREを用いた(ただし、
粘土分散体中の層間化合物の底面間隔は、66Åであっ
た)以外は、実施例1と同様に行い、層間化合物を含有
するゴム含有グラフト共重合体組成物を得、評価した。
【0081】(実施例4)工程(A)において、モンモ
リロナイトの代わりに膨潤性雲母を用い、MPHPの量
を40gとした(ただし、粘土分散体中の層間化合物の
底面間隔は、51Åであった)以外は、実施例1と同様
に行い、層間化合物を含有するゴム含有グラフト共重合
体組成物を得、評価した。
【0082】(比較例1)層間化合物を使用せずに、実
施例1と同様な方法でゴム含有グラフト共重合体を得、
評価した。結果を以下の比較例と併せ、表3に示した。 (比較例2)層間化合物の代わりに、125gのモンモ
リロナイトを用いた以外は、実施例1と同様な方法でゴ
ム含有グラフト共重合体組成物を得、評価した。
【0083】(比較例3)125gのモンモリロナイト
に35gのMPHPをスプレーを用いて直接噴霧し、1
時間混合する事によってモンモリロナイトアミノ処理し
た。アミノ処理モンモリロナイトの底面間隔は13Åで
あった。
【0084】層間化合物の代わりに、上記のアミノ処理
モンモリロナイトを用いた以外は、実施例1と同様な方
法でゴム含有グラフト共重合体組成物を得、評価した。
【0085】(比較例4)3500gのイオン交換水に
125gのモンモリロナイトを添加し、湿式ミル(日本
精機(株)製)を用い、5000rpmで5分間撹拌し
た。次いで、和光純薬製のn−ブチルアルデヒド35g
を添加し、更に5000rpm、3時間撹拌する事によ
り、混合物を得た。次いで、実施例1と同じ方法で重合
を行うことによりゴム含有グラフト共重合体組成物を
得、評価した。
【0086】
【発明の効果】以上、詳述したように、ゴム含有グラフ
ト共重合体中において、膨潤性ケイ酸塩の単位層同士を
分離劈開して、1つの膨潤性ケイ酸塩の凝集粒子を、非
常に多数の極微小な薄板状の層に細分化すること、すな
わち、平均層厚を50Åより大きくかつ500Å以下に
すること、あるいは必要に応じて最大層厚を100Åよ
り大きくかつ2000Å以下にすること、または平均ア
スペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜300であ
り、面積100μm2中に存在する層間化合物の単位比
率当たりの粒子数を30以上にすることによって、表面
性を損なうことなく、機械的特性や荷重たわみ温度改良
への効果が効率的に得られる。ゴム含有グラフト共重合
体中で、膨潤性ケイ酸塩を上記の如く薄板状に細分化す
ることは、膨潤性ケイ酸塩にアミノ化合物を導入して層
間化合物とする事が必須である。本発明のゴム含有グラ
フト共重合体組成物は、例えば、本発明の製造方法、す
なわち、(A)層間化合物とゴム含有グラフト共重合体
の重合性モノマーを含有する粘土分散体を調製する工
程、(B)粘土分散体中の重合性モノマーを重合する工
程を包含する製造方法によって得られる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BN061 BN121 BN151 BN171 BN211 DJ006 EA048 EF048 EF128 EH078 EL038 EN027 EN037 EN067 EN077 EN097 EN107 EN127 EP018 EU028 EV087 GC00 GG00 GM00 GN00 GQ00 4J011 CA02 CC02 PA13 PA78 PB22 4J026 AA12 AA13 AA17 AA45 AA49 AA68 AA69 AA71 AA72 AB44 AC01 AC02 AC09 AC10 AC11 AC12 AC15 BA04 BA05 BA08 BA16 BA24 BA27 BA29 BA30 BA31 BA34 BA35 BA39 BA40 BB03 DA02 DA03 DA04 DA05 DB02 DB03 DB04 DB05 DB23 DB30 EA08 GA03 GA06 GA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム含有グラフト共重合体および層間化
    合物を含有するゴム含有グラフト共重合体組成物であっ
    て、ゴム含有グラフト共重合体が、ゴム質重合体の存在
    下に芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必
    要に応じて用いられる共重合可能な他の単量体をグラフ
    ト重合する事により得られ、層間化合物が、膨潤性ケイ
    酸塩とアミノ化合物を分散媒中で混合することによって
    調製され、かつ上記アミノ化合物が1級、2級および3
    級アミノ基からなる群より選択される1種以上のアミノ
    基を少なくとも1個有し、水酸基、メルカプト基、エー
    テル基、カルボニル基、ニトロ基および塩素原子より成
    る群から選択される1種以上の置換基を有していても良
    い、炭素数1〜25の炭化水素化合物である、ゴム含有
    グラフト共重合体組成物。
  2. 【請求項2】 組成物中の層間化合物の平均層厚が50
    0Å以下である、請求項1に記載のゴム含有グラフト共
    重合体組成物。
  3. 【請求項3】 組成物中の層間化合物の最大層厚が20
    00Å以下である、請求項1または2に記載のゴム含有
    グラフト共重合体組成物。
  4. 【請求項4】 組成物中の層間化合物の[N]値が30
    以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積10
    0μm2中に存在する、層間化合物の単位比率当たりの
    粒子数であると定義される、請求項1、2または3に記
    載のゴム含有グラフト共重合体組成物。
  5. 【請求項5】 組成物中の層間化合物の平均アスペクト
    比(層長さ/層厚の比)が10〜300である、請求項
    1、2、3または4に記載のゴム含有グラフト共重合体
    組成物。
  6. 【請求項6】 (A)層間化合物とゴム含有グラフト共
    重合体の重合性モノマーを含有する粘土分散体を調製す
    る工程(B)粘土分散体中の重合性モノマーを重合する
    工程を包含する、請求項1、2、3、4または5に記載
    のゴム含有グラフト共重合体組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(A)で得られる粘土分散体中の層
    間化合物の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩の底面間隔の3
    倍以上であることを特徴とする、請求項6に記載のゴム
    含有グラフト共重合体組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004503645A (ja) * 2000-06-16 2004-02-05 バセル テクノロジー カンパニー ベスローテン フェンノートシャップ プロピレングラフトコポリマーを含む複合材料
US7485677B2 (en) 2001-06-08 2009-02-03 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Low permeability nanocomposites
US7491764B2 (en) 2001-06-13 2009-02-17 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Low permeability nanocomposites

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