JP2000159941A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物

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JP2000159941A
JP2000159941A JP10337503A JP33750398A JP2000159941A JP 2000159941 A JP2000159941 A JP 2000159941A JP 10337503 A JP10337503 A JP 10337503A JP 33750398 A JP33750398 A JP 33750398A JP 2000159941 A JP2000159941 A JP 2000159941A
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JP
Japan
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compound
polyolefin resin
group
resin composition
amino
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JP10337503A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Suzuki
紀之 鈴木
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面性を損なわず、機械的特性、荷重たわみ
温度に優れるポリオレフィン樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン樹脂および層間化合物を
含有するポリオレフィン樹脂組成物であって、上記層間
化合物が、膨潤性ケイ酸塩とアミノ化合物を分散媒中で
混合することによって調製され、上記アミノ化合物が1
級、2級および3級アミノ基からなる群より選択される
1種以上のアミノ基を少なくとも1個有し、水酸基、メ
ルカプト基、エーテル基、カルボニル基、ニトロ基およ
び塩素原子より成る群から選択される1種以上の置換基
を有していても良い、炭素数1〜25の炭化水素化合物
である、ポリオレフィン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂および層間化合物を含有するポリオレフィン樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンに代表されるポリオレフ
ィンの諸特性、とりわけ機械的特性や耐熱性を改良する
目的から、一般に無機微粒子を混合することが行われて
おり、自動車部品や家電製品部品として広く利用されて
いる。ただし、上記物性を改善する為には無機微粒子を
多量に添加する必要があるが、その様な場合、得られる
成形品の外観不良、比重増加、色調悪化、靭性の低下を
引き起こすといった問題が生じていた。そのため、少量
の無機微粒子の混合によっても機械的特性や耐熱性が改
良される技術が望まれていた。
【0003】一方、特開平9−175816号および欧
州特許0780340号において、層状ケイ酸塩の層を
劈開し易くする目的から、ヘキサメチレンジアミン等の
低分子化合物(インターカラントモノマー)を層状ケイ
酸塩の層間にインターカレートして層間化合物とする技
術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように層間化合
物は開示されているが、該層間化合物を劈開してポリオ
レフィン樹脂へ微分散化する技術は開示されておらず、
ポリオレフィン樹脂中に層状粒子を微分散させる事は困
難であった。
【0005】従って、層状ケイ酸塩の層を劈開して微小
な薄板状でポリオレフィン樹脂中に分散せしめ、機械的
特性、荷重たわみ温度、表面性のバランスに優れたポリ
オレフィン樹脂組成物を得る技術は未だ提供されていな
いのが現状であり、本発明の目的は、このような従来の
問題を解決することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明に至った。す
なわち、アミノ基を必須官能基とするアミノ化合物およ
び膨潤性ケイ酸塩を混合して層間化合物とし、ポリオレ
フィン樹脂中に該層間化合物を微小な薄板状で分散させ
る事により得られるポリオレフィン樹脂組成物である。
【0007】本発明によれば、請求項1のポリオレフィ
ン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂および層間化合物
を含有するポリオレフィン樹脂組成物であって、層間化
合物が、膨潤性ケイ酸塩とアミノ化合物を分散媒中で混
合することによって調製され、かつ上記アミノ化合物が
1級、2級および3級アミノ基からなる群より選択され
る1種以上のアミノ基を少なくとも1個有し、水酸基、
メルカプト基、エーテル基、カルボニル基、ニトロ基お
よび塩素原子より成る群から選択される1種以上の置換
基を有していても良い、炭素数1〜25の炭化水素化合
物である。
【0008】請求項2のポリオレフィン樹脂組成物は、
請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物において、
層間化合物の平均層厚が500Å以下である。
【0009】請求項3のポリオレフィン樹脂組成物は、
請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物に
おいて、層間化合物の最大層厚が2000Å以下であ
る。
【0010】請求項4のポリオレフィン樹脂組成物は、
請求項1、2または3に記載のポリオレフィン樹脂組成
物において、層間化合物の[N]値が30以上であり、
ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に
存在する、層間化合物の単位比率当たりの粒子数である
と定義される。
【0011】請求項5のポリオレフィン樹脂組成物は、
請求項1、2、3または4に記載のポリオレフィン樹脂
組成物において、層間化合物の平均アスペクト比(層長
さ/層厚の比)が10〜300である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるポリオレフィ
ン樹脂とは、特に限定されず、α−オレフィンの単独重
合体またはこれらα−オレフィンの共重合体あるいは、
これらα−オレフィンを主成分とし、必要により他の不
飽和単量体を副成分とする共重合体などである。ここで
共重合体とはブロック、ランダム、グラフトあるいはこ
れらの組み合わせ等のいかなる共重合のタイプでも良
い。
【0013】上記α−オレフィンは、例えば、エチレ
ン、プロピレン、プテンー1、ペンテン−1、4−メチ
ル−ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オク
テン−1等であり、入手の簡便さから炭素数2〜8のも
のが好ましい。また、上記不飽和単量体とは、例えば、
(メタ)アクリル敢、(メタ)アクリル醜エステル、マレイ
ン酸等の不飽和有機酸等またはそのエステル、無水物
や、不飽和脂肪族環状オレフィン等が挙げられる。これ
らポリオレフィンの具体例としては、低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリ−4−
メチル−ペンテン−1、エチレン−プロピレンランダム
またはブロック共重合体、エチレン−ブテン共重合体、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等が挙げられ
る。中では、ポリプロピレンが好ましい。
【0014】また、これらのオレフィン重合体は必要に
応じて、塩素、スルフォニル基、カルボキシル基、エス
テル基、エポキシ基、酸無水物基等の官能基が導入され
ていてもよく、中でもカルボキシル基、エポキシ基、酸
無水物基が、層間化合物の分散性、得られる成形品の物
性改善の点で好ましい。上記官能基を導入する方法は特
に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、マレイン酸等の不飽和酸;無水イタコン酸、
無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン
酸無水物;およびグリシジルメタクリレート、アリルグ
リシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物から
なる群から選択される1種以上とポリオレフィン樹脂お
よび有機化酸化物とを十分に混合後、押出機などを用い
て溶融混練する事により得られる。上記有機化酸化物と
しては1分間の半減期が100℃以上のものが好まし
く、130℃以上のものが更に好ましい。具体的には、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド等のジアルキルパーオキサイド;アセチルパーオキサ
イド等のジアシルパーオキサイド、ジ−i−プロピルパ
ーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオ
キシカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−
ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシラ
ウレート等のパーオキシエステル;メチルエチルケトン
パーオキシド等のケトンパーオキサイド;1,1−ビス
−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ビス
−t−ブチルパーオキシオクタン等のパーオキシケター
ル;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;2,2
−アゾ−i−ブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げ
られる。
【0015】本発明で用いられる層間化合物とは、分散
媒中で、膨潤性ケイ酸塩およびアミノ基を少なくとも1
つ有するアミノ化合物とを混合することにより調製され
るものである。
【0016】上記の膨潤性ケイ酸塩は、主として酸化ケ
イ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体
シートから成り、その例としては、例えば、スメクタイ
ト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。膨潤性ケ
イ酸塩としてスメクタイト族粘土および膨潤性雲母を使
用する場合には、本発明のポリオレフィン樹脂組成物中
における膨潤性ケイ酸塩の分散性、入手の容易さ及び樹
脂組成物の物性改善の点から好ましい。
【0017】前記のスメクタイト族粘土は下記一般式
(1) X0.20.623410(OH)2・nH2O (1) (ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mg
から成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、F
e、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る
群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlか
ら成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層
間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオ
ンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表され
る、天然または合成されたものである。該スメクタイト
族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、
バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナ
イト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及
びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト
族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜1
7Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒
径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。
【0018】また、前記の膨潤性雲母は下記一般式
(2) X0.51.023(Z410)(F、OH)2 (2) (ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及
びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはM
g、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より
選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、F
e、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。これら
は、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と
該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であ
り、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テ
ニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム
型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の
初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17
Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約10
00〜1000000Åである。
【0019】上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライ
ト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバー
ミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュラ
イト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記
一般式(3) (Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O (3 ) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライトの初期の凝集状態における底面間隔は
おおよそ10〜17Åであり、凝集状態でのバーミキュ
ライトの平均粒径は約1000〜5000000Åであ
る。
【0020】膨潤性ケイ酸塩は単独で用いても良く、2
種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、
モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび
層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、本発明
のポリオレフィン樹脂組成物中での分散性、入手の容易
さ及び樹脂組成物の物性改善効果の点から好ましい。
【0021】膨潤性ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に
規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましい
が、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合っ
た、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0022】本発明で用いられるアミノ化合物とは、1
級、2級および3級アミノ基からなる群より選択される
1種以上のアミノ基を少なくとも1個有し、水酸基、エ
ーテル基、メルカプト基、カルボニル基、ニトロ基およ
び塩素原子から成る群よりから選択される1種以上の置
換基を有していても良い、炭素数1〜25の炭化水素化
合物である。
【0023】本明細書において炭化水素基とは、直鎖ま
たは分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽
和の一価または多価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基および脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフ
チル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書に
おいて、「アルキル基」という場合は、特に指示が無い
限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含する
ことを意図する。同様にアルケニル基、アルキニル基、
フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基は、そ
れぞれアルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン
基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包含す
る。
【0024】上記のアミノ化合物の具体例として、アミ
ノ基と炭素数1〜25の炭化水素基が構成成分である場
合の例としては、ブチルアミン、N,N−ジメチルブチ
ルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、ドデシル
アミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキシルアミン、
3−ペンチルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、2
−オクチルアミン、エチルアミノエチルアミン、ジエチ
ルアミノエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、1,2−ジアミノプロパン、メチルアミノプロピル
アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミ
ノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、テ
トラメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジア
ミノブタン、1,4−ジアミノブタン、N−(3−アミ
ノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチ
ルジエチレントリアミン、N,N’−ビス(アミノプロ
ピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス
(アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、ジア
リルアミン、イソアミルアミン、N−エチルイソアミル
アミン、2−ヘキセニルアミン、N,N−ジイソプロピ
ルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチル
アミン、2−エチルヘキシルアミン、N−エチル−1,
2−ジメチルプロピルアミン、ジイソブチルアミン、2
−エチルヘキシルアミン、アニリン、β−ナフチルアミ
ン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、トルエン−2,4−ジアミン、N,N’−ジメチル
−p−フェニレンジアミン、ジビニルプロピルアミン等
が挙げられる。水酸基を有するアミノ化合物の例として
は、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、N−
イソメチルジエタノールアミン、2−アミノプロパノー
ル、3−アミノプロパノール、3−ジメチルアミノプロ
パノール、4−アミノブタノール、4−メチルアミノブ
タノール、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミ
ン、ジエタノールアミノプロピルアミン、1−アミノ−
3−フェノキシ−2−プロパノール等が挙げられる。エ
ーテル基を有するアミノ化合物の例としては、ビス(3
−アミノプロピル)エーテル、ジメチルアミノエトキシ
プロピルアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキ
シ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−
2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス(3−アミノ
プロピル)ポリエチレングリコールエーテル、α,ω−
ビス(3−アミノプロピル)ジエチレングリコールエー
テル、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロ
ピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソ
プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミ
ン、3−イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキ
シロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミ
ン等が挙げられる。メルカプト基を有するアミノ化合物
の例としては、2−メルカプトエチルアミン、N−(2
−メルカプトエチル)アセトアミド、2−メルカプトピ
リジン等が挙げられる。カルボニル基を有するアミノ化
合物の例としては、ホルムアニリド、アセトアニリド、
アセトアセトアニリド、ドデシルアミド、テトラデシル
アミド、ヘキサデシルアミド等が挙げられる。ニトロ基
を有するアミノ化合物の例としては、2−ニトロアニリ
ン、3−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、
2,4,6−トリニトロアニリンが挙げられる。塩素原
子を有するアミノ化合物の例としては、2−クロロアニ
リン、3−クロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン
等が挙げられる。
【0025】上記のアミノ化合物の中では、ジメチルア
ミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、ジエチ
ルアミノエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、1,2−ジアミノプロパン、メチルアミノプロピル
アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミ
ノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、テ
トラメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジア
ミノブタン、1,4−ジアミノブタン、N−(3−アミ
ノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチ
ルジエチレントリアミンおよびN,N’−ビス(アミノ
プロピル)−1,3−プロピレンジアミン等のように、
一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミノ化合物、
2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、N−イソ
メチルジエタノールアミン、2−アミノプロパノール、
3−アミノプロパノール、3−ジメチルアミノプロパノ
ール、4−アミノブタノール、4−メチルアミノブタノ
ール、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンおよ
び1−アミノ−3−フェノキシ−2−プロパノール等の
ように、水酸基を有するアミノ化合物、ビス(3−アミ
ノプロピル)エーテル、ジメチルアミノエトキシプロピ
ルアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタ
ン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2−
ジメチルプロパン、α,ω−ビス(3−アミノプロピ
ル)ポリエチレングリコールエーテルおよびα,ω−ビ
ス(3−アミノプロピル)ジエチレングリコールエーテ
ル等のようにエーテル基を有するアミノ化合物が好まし
く使用され得る。
【0026】上記のアミノ化合物の置換体、または誘導
体もまた使用し得る。これらのアミノ化合物は、単独、
又は2種以上組み合わせて使用され得る。
【0027】層間化合物は、膨潤性ケイ酸塩を分散媒中
で底面間隔を拡大させた後に、上記のアミノ化合物を添
加して混合する事により得られる。
【0028】上記の分散媒とは、水、水と任意の割合で
相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒を意
図する。該極性溶媒としては、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド
化合物、その他の溶媒であるジメチルスルホキシドや2
−ピロリドン等が挙げられる。これらの極性溶媒は単独
で用いても良く2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0029】膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で底面間隔を拡
大させることは、該膨潤性ケイ酸塩を該分散媒中で充分
に撹拌して分散させる事によりなし得る。拡大後の底面
間隔は初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔に比べて、好ま
しくは3倍以上であり、より好ましくは4倍以上であ
り、更に好ましくは5倍以上である。上限値は特にな
い。ただし、底面間隔が約10倍以上に拡大すると、底
面間隔の測定が困難になるが、この場合、膨潤性ケイ酸
塩は実質的に単位層で存在する。本明細書において、膨
潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔とは、分散媒に添加する
前の、単位層が互いに積層し凝集状態である粒子状の膨
潤性ケイ酸塩の底面間隔である事を意図する。底面間隔
は小角X線回折法(SAXS)などで確認し得る。すな
わち、分散媒と膨潤性ケイ酸塩から成る混合物における
X線回折ピーク角値をSAXSで測定し、該ピーク角値
をBraggの式に代入して算出することにより底面間
隔を求め得る。
【0030】膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を効率的に拡大
させるためには、数千rpm以上で撹拌するか、以下に
示す物理的な外力を加える方法が挙げられる。物理的な
外力は、一般に行われるフィラーの湿式微粉砕方法を用
いることによって加えられ得る。一般的なフィラーの湿
式微粉砕方法としては、例えば、硬質粒子を利用する方
法が挙げられる。この方法では、硬質粒子と膨潤性ケイ
酸塩と任意の溶媒とを混合して撹拌し、硬質粒子と膨潤
性ケイ酸塩との物理的な衝突によって、膨潤性ケイ酸塩
を分離させる。通常用いられる硬質粒子はフィラー粉砕
用ビーズであり、例えば、ガラスビーズまたはジルコニ
アビーズ等が挙げられる。これら粉砕用ビーズは、膨潤
性ケイ酸塩の硬度、または撹拌機の材質を考慮して選択
され、上述したガラスまたはジルコニアに限定されな
い。その粒径もまた、膨潤性ケイ酸塩のサイズなどを考
慮して決定されるために一概に数値で限定されるもので
はないが、直径0.1〜6.0mmの範囲にあるものが好
ましい。ここで用いる溶媒は特に限定されないが、例え
ば、上記の分散媒が好ましい。
【0031】上記のように、分散媒中で膨潤性ケイ酸塩
の底面間隔を拡大し、言い換えれば、凝集していた各単
位層を劈開してばらばらにして個々独立に存在させる。
その後、アミノ化合物を加えて十分に撹拌して混合する
事によって層間化合物が得られる。
【0032】アミノ化合物による膨潤性ケイ酸塩の処理
は、底面間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩と分散媒を含
む混合物中にアミノ化合物を添加して撹拌することによ
り行われるが、アミノ化合物による処理をより効率的に
行いたい場合は、撹拌の回転数を1000rpm以上、
好ましくは1500rpm以上、より好ましくは200
0rpm以上にするか、あるいは湿式ミルなどを用いて
500(1/s)以上、好ましくは1000(1/s)
以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪断速
度を加える。回転数の上限値は約25000rpmであ
り、剪断速度の上限値は約500000(1/s)であ
る。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断を加
えても効果はそれ以上変わらない傾向があるため、上限
値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。
【0033】アミノ化合物による膨潤性ケイ酸塩の処理
は室温で充分に行い得るが、必要に応じて系を加温して
も良い。加温時の最高温度は用いるアミノ化合物の分解
温度未満であり、かつ、分散媒の沸点未満で有れば任意
に設定し得る。
【0034】アミノ化合物の使用量は、得られる層間化
合物とポリオレフィン樹脂の親和性が十分に高まるよう
に調製し得る。必要であるならば、構造の異なる複数種
のアミノ化合物を併用し得る。従って、アミノ化合物の
添加量は一概に数値で限定されるものではないが、膨潤
性ケイ酸塩100重量部に対して、0.1から200重
量部であり、好ましくは0.2から180重量部であ
り、より好ましくは0.3から160重量部であり、更
に好ましくは0.4から140重量部であり、特に好ま
しくは0.5から120重量部である。アミノ化合物の
量が0.1重量部未満であると得られる層間化合物の微
分散化効果が充分で無くなる傾向がある。また、200
重量部以上では効果が変わらないので、200重量部よ
り多く添加する必要はない。
【0035】上記のようにして得られる層間化合物の底
面間隔は、導入されたアミノ化合物の存在により、膨潤
性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて拡大し得る。例え
ば、分散媒中に分散されて底面間隔が拡大された膨潤性
ケイ酸塩は、アミノ化合物を導入しない場合、分散媒を
除去すると再び層同士が凝集した状態に戻るが、本発明
によれば、底面間隔を拡大した後にアミノ化合物を導入
することによって、分散媒を除去した後も、得られる層
間化合物は層同士が凝集することなく底面間隔が拡大さ
れた状態で存在し得る。層間化合物の底面間隔は膨潤性
ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて、1.1倍以上、好
ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.3倍以上、特
に好ましくは1.5倍以上拡大している。底面間隔は小
角X線回折法(SAXS)などで確認し得る。この方法
では、乾燥して粉末状にした層間化合物の(001)面
に由来するX線回折ピーク角値をSAXSで測定し、B
raggの式に代入し算出することにより底面間隔を求
め得る。同様に初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を測定
し、この両者を比較することにより底面間隔の拡大を確
認し得る。この様に底面間隔が拡大していることを確認
することによって、層間化合物が生成していることを確
認できる。
【0036】本発明のポリオレフィン樹脂組成物におい
て、ポリオレフィン樹脂100重量部に対する層間化合
物の配合量が、代表的には0.1〜50重量部、好まし
くは0.2〜45重量部、より好ましくは0.3〜40重
量部、更に好ましくは0.4〜35重量部、特に好まし
くは0.5〜30重量部となるように調製される。層間
化合物の配合量が0.1重量部未満であると機械的特性
や荷重たわみ温度などの改善効果が不充分となる場合が
あり、50重量部を超えると成形体の表面性が損なわれ
る傾向がある。
【0037】また、層間化合物に由来するポリオレフィ
ン樹脂組成物の灰分率が、代表的には0.1〜30重量
%、好ましくは0.2〜28重量%、より好ましくは0.
3〜25重量%、更に好ましくは0.4〜23重量%、
特に好ましくは0.5〜20重量%と成るように調製さ
れる。灰分率が0.1重量%未満であると機械的特性や
荷重たわみ温度などの改善効果が不充分となる場合があ
り、30重量%を超えると成形体の表面性が損なわれる
傾向がある。
【0038】本発明のポリオレフィン樹脂組成物中で分
散している層間化合物の構造は、配合前の膨潤性ケイ酸
塩が有していたような、層が多数積層したμmサイズの
凝集構造とは全く異なる。すなわち、マトリックス樹脂
と親和性を有するアミノ化合物が導入され、かつ初期の
膨潤性ケイ酸塩に比べて底面間隔が拡大された層間化合
物を用いることによって、層同士が劈開し、互いに独立
して細分化する。その結果、層間化合物はポリオレフィ
ン樹脂組成物中で非常に細かく互いに独立した薄板状で
分散し、その数は、原料である膨潤性ケイ酸塩に比べて
著しく増大する。この様な薄板状の層間化合物の分散状
態は以下に述べるアスペクト比(層長さ/層厚の比
率)、分散粒子数、最大層厚および平均層厚で表現され
得る。
【0039】まず、平均アスペクト比を、樹脂中に分散
した層間化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると
定義すると、本発明のポリオレフィン樹脂組成物中の層
間化合物の平均アスペクト比は10〜300であり、好
ましくは15〜300であり。更に好ましくは20〜3
00である。層間化合物平均アスペクト比が10未満で
あると、本発明のポリオレフィン樹脂組成物の機械的特
製や荷重たわみ温度の改善効果が十分に得られない場合
がある。また、300より大きくても効果はそれ以上変
わらないため、平均アスペクト比を300より大きくす
る必要はない。
【0040】また、[N]値を、ポリオレフィン樹脂組
成物の面積100μm2における、膨潤性ケイ酸塩の単
位重量比率当たりの分散粒子数であると定義すると、本
発明のポリオレフィン樹脂組成物における層間化合物の
[N]値は、30以上であり、好ましくは45以上であ
り、より好ましくは60以上である。上限値は特にない
が、[N]値が1000程度を越えると、それ以上効果
は変わらなくなるので、1000より大きくする必要は
ない。[N]値は、例えば、次のようにして求められ得
る。すなわち、ポリオレフィン樹脂組成物を約50μm
〜100μm厚の超薄切片に切り出し、該切片をTEM
等で撮影した像上で、面積が100μm 2の任意の領域
に存在する層間化合物の粒子数を、用いた膨潤性ケイ酸
塩の重量比率で除すことによって求められ得る。あるい
は、TEM像上で、100個以上の粒子が存在する任意
の領域(面積は測定しておく)を選んで該領域に存在す
る粒子数を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比率で除し、
面積100μm2に換算した値を[N]値としてもよ
い。従って、[N]値はポリオレフィン樹脂組成物のT
EM写真等を用いることにより定量化できる。
【0041】また、平均層厚を、薄板状で分散した層間
化合物の層厚みの数平均値であると定義すると、本発明
のポリオレフィン樹脂組成物中の層間化合物の平均層厚
の上限値は500Å以下であり、好ましくは450Å以
下であり、より好ましくは400Å以下である。平均層
厚が500Åより大きいと、本発明のポリオレフィン樹
脂組成物の機械的特性や荷重たわみ温度の改良効果が十
分に得られない場合がある。平均層厚の下限値は特に限
定されないが10Å程度である。
【0042】また、最大層厚を、本発明のポリオレフィ
ン樹脂組成物中に薄板状に分散した層間化合物の層厚み
の最大値であると定義すると、層間化合物の最大層厚の
上限値は、2000Å以下であり、好ましくは1800
Å以下であり、より好ましくは1500Å以下である。
最大層厚が2000Åより大きいと、本発明のポリオレ
フィン樹脂組成物の表面性が損なわれる場合がある。層
間化合物の最大層厚の下限値は特に限定されないが、5
0Å程度である。
【0043】層厚および層長さは、本発明のポリオレフ
ィン樹脂組成物から得られる薄肉の成形品等を、顕微鏡
等を用いて撮影される像から求めることができる。
【0044】すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の
方法で調製したフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜
2mm程度の薄い平板状の射出成形した試験片を置いた
と仮定する。上記のフィルムあるいは試験片をX−Z面
あるいはY−Z面と平行な面で約50μm〜100μm
厚の超薄切片を切り出し、該切片を透過型電子顕微鏡な
どを用い、約4〜10万倍以上の高倍率で観察して求め
られ得る。測定は、上記の方法で得られた透過型電子顕
微鏡の象上に置いて、100個以上の層間化合物を含む
任意の領域を選択し、画像処理装置などで画像化し、計
算機処理する事等により定量化できる。あるいは、定規
などを用いて計測しても求めることもできる。
【0045】本発明のポリオレフィン樹脂組成物の製造
方法には特に制限されるものではなく、例えば、ポリオ
レフィン樹脂と層間化合物を、種々の一般的な混練機を
用いて、溶融混練することが出来る。混練機の例として
は、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキ
サー、ニーダーなどが挙げられ、特に、剪断効率の高い
混練機が好ましい。
【0046】ポリオレフィン樹脂と層間化合物は、上記
の混練機に一括投入して溶融混練しても良いし、あるい
は予め溶融状態にしたポリオレフィン樹脂に層間化合物
を添加して溶融混練しても良い。
【0047】溶融混練の際には、層間化合物の製造で用
いた分散媒を乾燥除去して使用しても良いし、あるいは
分散媒を含んだまま使用しても良い。
【0048】本発明のポリオレフィン樹脂組成物の機械
的特性、耐熱性、表面性などが優れる理由は、樹脂中に
層間化合物が、多数の微小な薄板状粒子となって分散
し、その分散状態の指標となる層間化合物の平均層厚、
最大層厚、分散粒子数および平均アスペクト比が前述し
た範囲になっているためである。
【0049】層間化合物の分散状態は、層間化合物の調
製工程および/またはポリオレフィン樹脂との混合の工
程によって制御され得る。
【0050】層間化合物の調製工程で分散状態を制御す
る方法に関しては、アミノ化合物の種類や量、アミノ化
合物と膨潤性ケイ酸塩との混合条件(時間、温度、撹拌
力)、分散媒の種類および混練条件等が制御因子として
挙げられるが、特に、アミノ化合物と膨潤性ケイ酸塩と
の混合時間や撹拌力および分散媒の種類によって制御す
るのが簡便で好ましい。
【0051】この様な方法としては例えば、分散媒の種
類、複数種の分散媒を用いる場合はその混合比率および
混合の順番に伴って、膨潤性ケイ酸塩の膨潤・劈開の状
態は変化する。例えば、膨潤性ケイ酸塩としてモンモリ
ロナイトを用いた場合、分散媒が水のみでは、モンモリ
ロナイトはほぼ単位層に近い状態にまで膨潤・劈開する
ので、その状態でアミノ化合物を添加すれば、ほぼ単位
層毎にアミノ化合物が導入した層間化合物が調製され
る。一方、エタノール、テトラヒドロフラン(TH
F)、メチルエチルケトン(MEK)やN−メチルピロ
リドン(NMP)等の極性溶媒と水との混合溶媒を分散
媒とした場合や、該極性溶媒にモンモリロナイトを分散
させ次いで水を加える等した場合は、約数枚〜約百数十
枚程度の単位層が積層した状態に劈開、細分化する。そ
の状態でアミノ化合物を添加すれば、ほぼ数枚〜約百数
十枚分の厚みを有する層間化合物が調製される。それら
の状態を保持するように、ポリオレフィン樹脂組成物を
製造する事によって層間化合物の分散状態を制御し得
る。
【0052】本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、
必要に応じて、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン
共重合体、アクリルゴム、天然ゴム、またはオレフィン
系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を添加することが
できる。これらは無水マレイン酸等の酸化合物、または
グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物で変性さ
れていても良い。また、機械的特性、成形性などの特性
を損なわない範囲で、他の任意の樹脂、例えば、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、
スチレン系樹脂、ゴム質重合体強化スチレン系樹脂、ポ
リフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリ
イミド、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリアリレート
樹脂等の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、及びフェノールノボラック樹脂等の熱硬化
性樹脂の単独または2種以上を組み合わせて使用し得
る。
【0053】更に、本発明のポリオレフィン樹脂組成物
には、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、
及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。本
発明のポリオレフィン樹脂組成物は、射出成形、押出成
形、熱プレス成形で成形しても良く、カレンダー成形等
でも成形できる。
【0054】また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物
は、フィルムにも利用できる。そのような成形品やフィ
ルムは外観、機械的特性や耐熱性等に優れる為、例え
ば、自動車部品、家庭用電気製品部品、精密機械部品、
家庭日用品、包装・容器資材、その他一般工業用資材に
好適に用いられる。
【0055】本発明のポリオレフィン樹脂組成物中では
層間化合物が非常に細かく、かつ薄い板状で均一分散し
ていることから、表面性を損なうことなく、また、比重
を著しく増加させることなく、機械的特性や耐熱性など
を改善することができる。
【0056】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。
【0057】(原料等) ・ポリプロピレン:住友化学工業(株)製のポリプロピ
レンH501(以降、H501と称す)を用いた。 ・モンモリロナイト:山形県産の天然モンモリロナイト
(底面間隔=13Å)を用いた。 ・膨潤性雲母:タルク25.4gとケイフッ化ナトリウ
ム4.7gの微粉砕物を混合し、800℃で加熱処理し
たものを用いた(底面間隔=12Å)。 ・1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン:広
栄化学(株)製(以降、BAPEと称す)のアミノ化合
物を用いた。 ・エチルアミノエチルアミン:広栄化学(株)製、(以
降、EAEAと称す)のアミノ化合物を用いた。 また、実施例および比較例における評価方法を以下にま
とめて示す。 (分散状態の測定)層間化合物に関しては、TEMを用
いて以下のように行った。
【0058】厚み50〜100μmの超薄切片を用い
た。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200E
X)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万倍
で層間化合物の分散状態を観察撮影した。TEM写真に
おいて、100個以上の分散粒子が存在する領域を選択
し、粒子数([N]値)、層厚および層長を、目盛り付
きの定規を用いた手計測または、必要に応じてインター
クエスト社の画像解析装置PIASIIIを用いて処理す
る事により測定した。平均アスペクト比は個々の層間化
合物の層長と層厚の比の数平均値とした。[N]値の測
定は以下のようにして行った。まず、TEM像上で、選
択した領域に存在する層間化合物の粒子数を求める。こ
れとは別に、層間化合物に由来する樹脂組成物の灰分率
を測定する。上記粒子数を灰分率で除し、面積100μ
2に換算した値を[N]値とした。
【0059】平均層厚は個々の層間化合物の層厚の数平
均値、最大層厚は個々の層間化合物の層厚の中で最大の
値とした。
【0060】分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適
当である場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製
の光学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で
[N]値を求めた。ただし、必要に応じて、サンプルは
LINKAM製のホットステージTHM600を用いて
200〜220℃で溶融させ、溶融状態のままで分散粒
子の状態を測定した。
【0061】板状に分散しない分散粒子のアスペクト比
は、長径/短径の値とした。ここで、長径とは、顕微鏡
像等において、対象となる粒子の外接する長方形のうち
面積が最小となる長方形を仮定すれば、その長方形の長
辺を意味する。また、短径とは、上記最小となる長方形
の短辺を意味する。 (小角X線回折法(SAXS)による底面間隔の測定)
X線発生装置(理学電機(株)製、RU−200B)を
用い、ターゲットCuKα線、Niフィルター、電圧4
0kV、電流200mA、走査角2θ=0.2〜16.0
°、ステップ角=0.02°の測定条件で底面間隔を測
定した。
【0062】底面間隔は、小角X線回折ピーク角値をB
raggの式に代入して算出した。ただし、小角X線ピ
ーク角値の確認が困難である場合は、層が十分に劈開し
て結晶性が実質的に消失したかあるいは、ピーク角値が
おおよそ0.8°以下である為に確認が困難であるとみ
なし、底面間隔の評価結果としては>100Åとした。 (荷重たわみ温度:HDT)ポリプロピレン樹脂組成物
を乾燥後、射出成形して、寸法約10×100×6mm
の試験片を作製した。得られた試験片の荷重たわみ温度
を、ASTMD−648に従って測定した。 (曲げ特性)荷重たわみ温度の場合と同様にして作製し
た試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を、ASTMD−
790に従って測定した。 (表面性)表面性は成形品の中心線平均粗さで評価し
た。中心線平均粗さは、東京精密(株)製の表面粗さ
計;surfcom1500Aを用いた。(灰分率)層
間化合物に由来する、ポリプロピレン樹脂組成物の灰分
率は、JISK7052に準じて測定した。
【0063】(実施例1)3500gのイオン交換水に
125gのモンモリロナイトを加え、日本精機(株)製
の湿式ミルを用いて5000rpm、5分間撹拌して混
合した。その後、45gのBAPEを加えてから更に、
表1に示した条件で撹拌し、乾燥して層間化合物を調製
した。(層間化合物の確認は、SAXSにより底面間隔
を測定することにより行った。結果は表1に示した。実
施例2〜4も同様)。上記の層間化合物160gと15
00gのH501をドライブレンドし、二軸押出機(日
本製鋼(株)製、LABOTEX)で溶融混練すること
により、層間化合物を含有するポリプロピレン樹脂組成
物を得、評価した。結果を以下の実施例と併せ、表2に
示した。
【0064】(実施例2)BAPEの量を30gとした
以外は、実施例1と同様に層間化合物を調製した。次い
で、145gの層間化合物と1500gのH501をド
ライブレンドし、実施例1と同様の条件で2軸押出機で
溶融混練することによって層間化合物を含有するポリプ
ロピレン樹脂組成物を得、評価した。
【0065】(実施例3)BAPEの代わりに、45g
のEAEAを用いた以外は、実施例1と同様に行い、層
間化合物を含有するポリプロピレン樹脂組成物を得、評
価した。
【0066】(実施例4)モンモリロナイトの代わりに
膨潤性雲母を、またBAPEの量を60gとした以外
は、実施例1と同様の方法で層間化合物を調製した。次
いで、175gの層間化合物と1500gのH501を
ドライブレンドし、実施例1と同様の条件で2軸押出機
で溶融混練することによって層間化合物を含有するポリ
プロピレン樹脂組成物を得、評価した。
【0067】(比較例1)層間化合物を用いずに実施例
1と同様な方法でポリプロピレン樹脂を溶融混練し、評
価した。 結果を以下の比較例と併せ、表3に示した。
【0068】(比較例2)層間化合物の代わりに120
gのモンモリロナイトを用いた他は、実施例1と同様な
方法で2軸押出機で溶融混練しポリプロピレン樹脂組成
物を得、評価した。
【0069】(比較例3)125gのモンモリロナイト
に45gのBAPEをスプレーを用いて直接噴霧し、1
時間混合する事によってモンモリロナイトをアミノ処理
した。アミノ処理モンモリロナイトの底面間隔は13Å
であった。
【0070】層間化合物の代わりに、上記のアミノ処理
モンモリロナイト160gを用いた以外は、実施例1と
同様な方法で2軸押出機で溶融混練しポリプロピレン樹
脂組成物を得、評価した。
【0071】(比較例4)3500gのイオン交換水に
125gのモンモリロナイトを添加し、湿式ミル(日本
精機(株)製)を用い、5000rpmで5分間撹拌し
た。次いで、和光純薬製のn−ブチルアルデヒド35g
を添加し、更に5000rpm、3時間撹拌した後、乾
燥する事により、混合物(NB−Moと称す)を得た。
層間化合物の代わりにNB−Moを用いた以外は実施例
1と同じ方法で溶融混練を行うことによりポリオレフィ
ン樹脂組成物を得、評価した。
【0072】
【発明の効果】以上、詳述したように、ポリオレフィン
樹脂中において、膨潤性ケイ酸塩の単位層同士を分離劈
開して、1つの膨潤性ケイ酸塩の凝集粒子を、非常に多
数の極微小な薄板状の層に細分化すること、すなわち、
平均層厚を500Å以下にすること、あるいは最大層厚
を2000Å以下にすること、または平均アスペクト比
(層長さ/層厚の比)が10〜300であり、面積10
0μm2中に存在する層間化合物の単位比率当たりの粒
子数を30以上にすることによって、表面性を損なうこ
となく、機械的特性や荷重たわみ温度を改善することが
できる。ポリオレフィン樹脂中で、膨潤性ケイ酸塩を上
記の如く薄板状に細分化することは、膨潤性ケイ酸塩に
アミノ化合物を導入して層間化合物とする事が必須であ
る。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB031 BB051 BB071 BB081 BB101 BB121 BB141 BB151 BB161 BB171 BB201 BB211 BP021 CH052 DJ006 DJ036 DJ056 EN027 EN037 EN047 EN067 EN077 EN097 EN107 EN127 ES007 EV087 FA016 FA116 FB086 FB292 FB297 FD016 GC00 GG01 GG02 GM00 GN00 GQ00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂および層間化合物を
    含有するポリオレフィン樹脂組成物であって、層間化合
    物が、膨潤性ケイ酸塩とアミノ化合物を分散媒中で混合
    することによって調製され、かつ上記アミノ化合物が1
    級、2級および3級アミノ基からなる群より選択される
    1種以上のアミノ基を少なくとも1個有し、水酸基、メ
    ルカプト基、エーテル基、カルボニル基、ニトロ基およ
    び塩素原子より成る群から選択される1種以上の置換基
    を有していても良い、炭素数1〜25の炭化水素化合物
    である、ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 組成物中の層間化合物の平均層厚が50
    0Å以下である、請求項1に記載のポリオレフィン樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 組成物中の層間化合物の最大層厚が20
    00Å以下である、請求項1または2に記載のポリオレ
    フィン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】組成物中の層間化合物の[N]値が30以
    上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100
    μm2中に存在する、層間化合物の単位比率当たりの粒
    子数であると定義される、請求項1、2または3に記載
    のポリオレフィン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 組成物中の層間化合物の平均アスペクト
    比(層長さ/層厚の比)が10〜300である、請求項
    1、2、3または4に記載のポリオレフィン樹脂組成
    物。
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JP2009209267A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 Japan Polyethylene Corp ポリエチレン系容器蓋

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