JP2000281841A - 層状珪酸塩複合材料、その製造方法および該複合材料からなる成形体 - Google Patents

層状珪酸塩複合材料、その製造方法および該複合材料からなる成形体

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JP2000281841A
JP2000281841A JP14570399A JP14570399A JP2000281841A JP 2000281841 A JP2000281841 A JP 2000281841A JP 14570399 A JP14570399 A JP 14570399A JP 14570399 A JP14570399 A JP 14570399A JP 2000281841 A JP2000281841 A JP 2000281841A
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JP14570399A
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Yoshihiro Hatakeyama
美広 畠山
Kazuhiro Hara
一博 原
Reiji Higuchi
礼司 樋口
Hideo Watanabe
日出夫 渡辺
Yoshihiro Mogi
義博 茂木
Hirofumi Inoue
浩文 井上
Takashi Tamura
堅志 田村
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Japan Polyolefins Co Ltd
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系樹脂の剛性、耐熱性を向上
し、成形加工性を大幅に改良した層状珪酸塩複合材料、
その製造方法および該複合材料からなる成形体を提供す
る。 【解決手段】 特定の割合で(a)層状珪酸塩、(b)
有機カチオン、(c)不飽和単量体変性ポリオレフィ
ン、(d)ポリオレフィン系樹脂を含有する層状珪酸塩
複合材料であって、X線回折法で測定した(a)層状珪
酸塩の層間距離が40Å以上である、X線回折法で測定
した該複合材料中のポリプロピレン結晶(040)面の回折
ピークの積分強度I(040)と、ポリプロピレン結晶(110)
面の回折ピークの積分強度I(110)との比からなる配向
パラメータI(040)/I(110)が4以上であるなどの特定
の要件を満足する層状珪酸塩複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂と、これに分子レベルで分散された層状珪酸塩とを
含有する層状珪酸塩複合材料に関し、詳しくは、ポリオ
レフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂の剛性、耐
熱性および成形加工性を改良した層状珪酸塩複合材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、結晶性熱可塑性樹脂の剛性、
耐熱性などの諸特性、特に剛性を改良するために、タル
クなどの無機フィラーを混合して、その補強効果により
諸特性を向上させることが実施されている。例えば、タ
ルクは結晶性熱可塑性樹脂の剛性を向上させることが知
られている。しかしながら、十分な剛性を得るためには
多量のタルクを添加せねばならず、成形体の軽量化の要
求には十分こたえられるものではなかった。そのため、
少量の添加で大きな効果を示す無機フィラーが望まれて
いた。
【0003】近年、無機層状化合物の一種である粘土鉱
物(層状珪酸塩)を無機フィラーとして用い、これを分
子レベルで熱可塑性樹脂に分散させることが試みられて
いる。この粘土鉱物の層間へアルキルアンモニウムなど
の有機カチオンを挿入させたいわゆる層間化合物は、有
機溶剤には無限膨潤し、層状の粘土鉱物がほぼ一層ごと
に有機溶剤中に分散することが知られている。層間化合
物を有機溶剤へ分子レベルで分散させるのと同様に、熱
可塑性樹脂へ層間化合物を分散させることが、熱可塑性
樹脂と層間化合物との溶融混練や、有機溶剤で膨潤させ
た層間化合物の熱可塑性樹脂への添加により試みられて
いる。
【0004】ナイロンやポリカーボネートの系では、層
間化合物と樹脂の混練により、層間化合物が分子レベル
で分散し、わずかの添加で剛性等の物性が改良されたも
のが報告されている(特開平7−207134号公
報)。また、熱可塑性樹脂に層間化合物を分散させるた
めには、単位体積あたりの樹脂の極性の大きさが大きい
ほど層間化合物が分子レベルで分散することが報告され
ている(国際公開WO97/11998号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非極性
であるポリオレフィン系樹脂と層間化合物とを混合、混
練した場合では、有機溶剤で膨潤させた層間化合物を用
いたとしても、層間化合物の二次凝集が起こってしま
い、ポリオレフィン系樹脂中への均一な分散が困難であ
った。このため、粘土鉱物による剛性等の物性の向上効
果はあまり大きいものではなかった。そこで、特開昭6
3−215775号公報などには、粘土鉱物の層間でポ
リマーを重合させることが、また、特開平6−9313
3号公報や特開平6−41346号公報では、粘土鉱物
を溶媒に分散させ、一方で熱可塑性樹脂を溶媒に溶解さ
せ、両者を溶液混合することが開示されている。
【0006】しかしながら、これらの方法を用いても、
ポリオレフィン系樹脂に粘土鉱物を均一に分散させるこ
とは困難であり、ある程度可能であっても複合材料を得
るためのプロセスが複雑になって経済性に難があった
り、有機溶剤を用いることによる消防法による規制や作
業環境の悪化の問題があった。特開平9−217012
号公報に開示されている方法のように、混練条件を規定
して製造しているものもあるが、剛性等の物性の向上効
果は芳しいものではなかった。また、特開平10−30
039号公報や特開平10−182892号公報では、
層状珪酸塩および官能基をグラフトしたポリプロピレン
やプロピレンオリゴマーを同時にポリプロピレンへ添加
して、層状珪酸塩をポリプロピレンへ分散させることが
開示されているが、その物性向上の効果は著しいもので
はなかった。これは層状珪酸塩とグラフトポリプロピレ
ンが十分に反応する前にポリプロピレン中へ希散してし
まったため、効果が減少してしまったものと考えられ
る。
【0007】一方、ポリオレフィン系樹脂は軽量で経済
性に優れることから、押出成形、ブロー成形、射出成形
などの溶融成形によって容易に成形され、広く利用され
ている。しかしながら、押出成形、ブロー成形などで
は、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力や溶融弾性が不足
して、ドローダウンの現象やフィルム、シートのネック
インの現象がしばしば見られた。そのため、ポリオレフ
ィン系樹脂の溶融特性を改良する試みが行われてきてい
る。
【0008】例えば、ポリオレフィン系樹脂の製造時に
おける触媒や重合処方を改良してその分子量分布を広げ
ることにより目的を達成しようとする方法、あるいはポ
リオレフィン系樹脂を部分的に架橋させて同様の目的を
達成しようとする方法などが試みられている。しかしな
がら、ポリオレフィン系樹脂の分子量分布を広げること
により、低融点成分が増加してフィルムのべたつきが生
じたり、特にポリプロピレン系樹脂の場合、過酸化物な
どの一般の架橋剤で効果のある物がほとんどなく、ポリ
プロピレン系樹脂の設計に困難を生じていた。
【0009】よって、本発明の第1の課題は、ポリオレ
フィン系樹脂の剛性を向上し、成形加工性が大幅に改良
された層状珪酸塩複合材料、その製造方法および該複合
材料からなる成形体を提供することにある。また、本発
明の第2の課題は、特に、ポリプロピレン系樹脂の剛性
を向上し、成形加工性が大幅に改良された層状珪酸塩複
合材料、その製造方法および該複合材料からなる成形体
を提供することにある。また、本発明の第3の課題は、
ごく少量の層状珪酸塩の添加で、ポリプロピレン系樹脂
の剛性および耐熱性を飛躍的に向上し、かつ軽量化され
た層状珪酸塩複合材料、その製造方法および該複合材料
からなる成形体を提供することにある。また、本発明の
第4の課題は、ポリプロピレン系樹脂の剛性、耐熱性お
よび成形加工性を改良した層状珪酸塩複合材料、その製
造方法および該複合材料からなる成形体を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリオレ
フィンに官能基を導入して単位体積あたりの極性を高め
た変性ポリオレフィンと、層状珪酸塩および有機カチオ
ンからなる層間化合物とを溶融混練することにより、層
状珪酸塩が分子レベルで変性ポリオレフィンに分散した
樹脂組成物が得られ、さらに、この樹脂組成物をポリオ
レフィン系樹脂に添加することにより、ポリオレフィン
系樹脂の剛性が大幅に改良されることを見出し、本発明
に到達した。また、この樹脂組成物を添加したポリオレ
フィン系樹脂は、優れた溶融特性を示し、押出成形時の
ネックインを抑えることができるなど、成形加工性を大
幅に改良できることもわかった。
【0011】すなわち、本発明における第1の発明は、
(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、(b)有機カ
チオン0.001〜15重量%および(c)不飽和単量
体変性ポリオレフィン、または、(a)層状珪酸塩0.
01〜15重量%、(b)有機カチオン0.001〜1
5重量%、(c)不飽和単量体変性ポリオレフィンおよ
び(d)ポリオレフィン系樹脂を含有する層状珪酸塩複
合材料であって、X線回折法で測定した(a)層状珪酸
塩の層間距離が40Å以上であることを特徴とする層状
珪酸塩複合材料である。また、本発明における第1の発
明は、(a)層状珪酸塩10〜70重量%、(b)有機
カチオン1〜45重量%、(c)不飽和単量体変性ポリ
オレフィン10〜89重量%、および(e)ポリオレフ
ィン系樹脂0〜79重量%を含有する層状珪酸塩のマス
ターバッチ組成物が、(d)ポリオレフィン系樹脂に添
加されてなり、(a)層状珪酸塩が0.01〜15重量
%含まれ、(b)有機カチオンが0.001〜15重量
%含まれ、X線回折法で測定した(a)層状珪酸塩の層
間距離が40Å以上であることを特徴とする層状珪酸塩
複合材料であることが望ましい。また、前記(c)不飽
和単量体変性ポリオレフィンが、(c’)不飽和単量体
変性ポリプロピレン、および/または(d)ポリオレフ
ィン系樹脂は、(d’)ポリプロピレン系樹脂であるこ
とが望ましい。
【0012】本発明における第2の発明は、(a)層状
珪酸塩0.01〜15重量%、(b)有機カチオン0.
001〜15重量%および(c’)不飽和単量体変性ポ
リプロピレン、または、(a)層状珪酸塩0.01〜1
5重量%、(b)有機カチオン0.001〜15重量
%、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび
(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層状珪酸塩複
合材料であって、X線回折法で測定した該複合材料中の
ポリプロピレン結晶(040)面の回折ピークの積分強
度I(040)とポリプロピレン結晶(110)面の回
折ピークの積分強度I(110)との比からなる配向パ
ラメータI(040)/I(110)が、4以上である
ことを特徴とする層状珪酸塩複合材料である。また、第
2の発明において、前記配向パラメータI(040)/
I(110)、および層状珪酸塩複合材料の灰分m(重
量%)は、下記(式1)を満足することが望ましい。 (式1)m<0.2の場合、 I(040)/I(110)>4 0.2≦mの場合、 I(040)/I(110)>0.2m+3.96
【0013】本発明における第3の発明は、(a)層状
珪酸塩0.01重量%以上1重量%未満、(b)有機カ
チオン0.001重量%以上1重量%未満および
(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン、または、
(a)層状珪酸塩0.01重量%以上1重量%未満、
(b)有機カチオン0.001重量%以上1重量%未
満、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび
(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層状珪酸塩複
合材料であって、X線回折法で測定した該複合材料中の
ポリプロピレン結晶(040)面の回折ピークの積分強
度I(040)とポリプロピレン結晶(110)面の回
折ピークの積分強度I(110)との比からなる配向パ
ラメータI(040)/I(110)が、4以上である
ことを特徴とする層状珪酸塩複合材料である。また、第
3の発明において、前記配向パラメータI(040)/
I(110)、および層状珪酸塩複合材料の灰分m(重
量%)は、上記(式1)を満足することが望ましい。ま
た、第3の発明においては、前記(d’)ポリプロピレ
ン系樹脂の曲げ弾性率S0 (kgf/cm2 )、層状珪
酸塩複合材料の曲げ弾性率S(kgf/cm 2 )および
層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量%)から下記(式
2)によって求められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性
率の増加率Tが、40以上であることが望ましい。 (式2) T=(S−S0 )/S0 ×100/m
【0014】本発明における第4の発明は、(a)層状
珪酸塩1〜15重量%、(b)有機カチオン0.1〜1
5重量%および(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレ
ン、または、(a)層状珪酸塩1〜15重量%、(b)
有機カチオン0.1〜15重量%、(c’)不飽和単量
体変性ポリプロピレンおよび(d’)ポリプロピレン系
樹脂を含有する層状珪酸塩複合材料であって、層状珪酸
塩複合材料の灰分m(重量%)と、下記(式3)から最
小二乗法によって求めた降伏パラメーターk0とが、下
記(式4)の関係を満たすことを特徴とする層状珪酸塩
複合材料である。 (式3) G1/2=k0+k1(ω・ηO *(ω)/ηO *(0.01))1/2 (式4)m≧1の場合、 k0≧1.75×m−1.65 m<1の場合、 k0≧0.1 (上記(式3)中、Gは、層状珪酸塩複合材料の180
℃での動的粘弾性測定における、角周波数ω(ラジアン
/秒)のときの複素弾性率の絶対値(Pa)であり、ηO
*(0.01) およびηO *(ω) は、それぞれ前記
(d’)ポリプロピレン系樹脂の180℃での動的粘弾
性測定における、角周波数0.01ラジアン/秒および
角周波数ω(ラジアン/秒)のときの複素粘性率の絶対値
(Pa・s)である。) また、第4の発明においては、前記(d’)ポリプロピ
レン系樹脂の曲げ弾性率S0 (kgf/cm2 )、層状
珪酸塩複合材料の曲げ弾性率S(kgf/cm 2 )およ
び層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量%)から上記(式
2)によって求められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性
率の増加率Tは、16以上であることが望ましい。
【0015】また、本発明の層状珪酸塩複合材料におい
て、前記(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンの重
量平均分子量は、80,000以上であることが望まし
い。また、本発明の層状珪酸塩複合材料の製造方法は、
あらかじめ作製された(a)層状珪酸塩10〜70重量
%、(b)有機カチオン1〜45重量%、(c)不飽和
単量体変性ポリオレフィン10〜89重量%、および
(e)ポリオレフィン系樹脂0〜79重量%を含有する
層状珪酸塩のマスターバッチ組成物を(d)ポリオレフ
ィン系樹脂に添加して、第1の発明の層状珪酸塩複合材
料を製造することを特徴とする。また、本発明の層状珪
酸塩複合材料の製造方法は、あらかじめ作製された
(a)層状珪酸塩10〜70重量%、(b)有機カチオ
ン1〜45重量%、(c’)不飽和単量体変性ポリプロ
ピレン10〜89重量%及び(e’)ポリプロピレン系
樹脂0〜79重量%を含有する層状珪酸塩のマスターバ
ッチ組成物を(d’)ポリプロピレン系樹脂に添加し
て、第2ないし4の発明の層状珪酸塩複合材料を製造す
ることを特徴とする。そして、本発明の成形体は、本発
明の層状珪酸塩複合材料を成形してなることを特徴とす
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [第1の層状珪酸塩複合材料]本発明における第1の発
明は、(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、(b)
有機カチオン0.001〜15重量%および(c)不飽
和単量体変性ポリオレフィン、または、(a)層状珪酸
塩0.01〜15重量%、(b)有機カチオン0.00
1〜15重量%、(c)不飽和単量体変性ポリオレフィ
ンおよび(d)ポリオレフィン系樹脂を含有する層状珪
酸塩複合材料であって、X線回折法で測定した(a)層
状珪酸塩の層間距離が40Å以上である層状珪酸塩複合
材料である。
【0017】<(a)層状珪酸塩>本発明における
(a)層状珪酸塩としては、例えば、電荷密度が40〜
150Å2 /charge、底面間距離d(001)が7〜15
Å、陽イオン交換容量(CEC)が25〜200ミリ当
量/100gである膨潤性粘土化合物等が例示される。
このような膨潤性粘土化合物には、珪酸マグネシウムま
たは珪酸アルミニウムから構成される層状フィロ珪酸鉱
物等が挙げられる。その具体例としては、モンモリロナ
イト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライト、ノン
トロナイト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土
鉱物;トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタ
ヘドラルバーミキュライト等のバーミキュライト類;マ
スコバイト、フロゴバイト、バイオタイト、レピドライ
ト、バラゴナイト、テニオライト、テトラシリシックマ
イカ等のマイカ類などが例示される。さらに、タルクに
フッ素処理を行って膨潤性マイカに合成した化合物、あ
るいは水熱合成によって上記のような構造を得たものが
例示される。さらに、層間に担持されているカチオン
を、ナトリウム、カリウム、リチウム等のイオンで置換
した種々の化合物が適用できる。
【0018】(a)層状珪酸塩の電荷密度は40〜15
0Å2 /chargeであることが好ましく、40〜100Å
2 /chargeであればさらに好ましい。電荷密度が40Å
2 /charge未満では上記のような層状珪酸塩は存在しな
い。150Å2 /chargeを超えると層状珪酸塩の分散が
不良になるため好ましくない。また、この電荷密度を層
状珪酸塩の陽イオン交換容量に言い換えるならば、
(a)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(CEC)は25
〜200ミリ当量/100gのものが好ましく、50〜
150ミリ当量/100gであればより好ましい。陽イ
オン交換容量が25ミリ当量/100g未満では、親油
性層間化合物中の(b)有機カチオンの含有量が少なく
なるため、ポリプロピレン系樹脂に分散させたときに良
好な分散性を示さず、ポリプロピレン系層状珪酸塩複合
材料の剛性の改善が不十分である。陽イオン交換容量が
200ミリ当量/100gを超えると、低融点有機物で
ある(b)有機カチオンの含有量が多くなるため、耐熱
性が低下してしまうので好ましくない。
【0019】<(b)有機カチオン>本発明で用いられ
る(b)有機カチオンとは、下記化学式に示される構造
を有する正電荷有機化合物である。
【化1】 式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、炭素数が1以上
のアルキル基あるいは水素原子であって、少なくともそ
の中の1つが、主鎖長で炭素数が4以上のアルキル基が
好ましい。この炭素数が4以上のアルキル基は1分子中
2本以上であればさらに好ましい。これらのアルキル基
の最長の炭素数が4未満では、(a)層状珪酸塩の層間
の結合力を弱めるまで層間を十分に広げることができな
い。また、(a)層状珪酸塩の親油性を向上させること
ができないため、ポリプロピレン系樹脂中に(a)層状
珪酸塩が均一分散せず、本発明の効果を発現するに至ら
ない。
【0020】(b)有機カチオンの具体例としては、テ
トラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモ
ニウムイオン、ジヘキシルジメチルアンモニウムイオ
ン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ヘキサト
リメチルアンモニウムイオン、オクタトリメチルアンモ
ニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオ
ン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、オク
タデシルトリメチルアンモニウムイオン、ジオクタデシ
ルジメチルアンモニウムイオン、ドコセニルトリメチル
アンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオ
ン、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムイオ
ン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムイオ
ン、ジオレイルジメチルアンモニウムイオン、ポリオキ
シエチレンドデシルモノメチルアンモニウムイオン等が
挙げられる。
【0021】また、(b)有機カチオンは、R1 、R
2 、R3 およびR4 の末端に官能基を有するものであっ
ても良い。官能基としては、例えば、カルボン酸、水酸
基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基を末端
に有するテトラアルキルアンモニウム化合物としては、
N−アルキルアミノカルボン酸、N−アルキルアミノア
ルコール、N−アルキルアミン等が挙げられる。対アニ
オンX- は、有機カチオン塩を水に溶解させたときに電
離を助けるものであればなんでもかまわないが、塩化物
イオンが好ましい。
【0022】(a)層状珪酸塩と(b)有機カチオンの
作用の形態としては、一般に湿式法が用いられる。
(a)層状珪酸塩を水やアルコール等で十分溶媒和させ
た後、(b)有機カチオンを加え、撹拌し、(a)層状
珪酸塩の層間の金属イオンを有機カチオンに置換させ
る。その後、未置換の(b)有機カチオンを十分に洗浄
し、ろ過、乾燥する。その他、有機溶剤中で(a)層状
珪酸塩と(b)有機カチオンを直接反応させたり、樹脂
などの存在下、(a)層状珪酸塩と(b)有機カチオン
を押出機中で加熱混練し反応させることも可能である。
【0023】<(c)不飽和単量体変性ポリオレフィン
>本発明における(c)不飽和単量体変性ポリオレフィ
ン(以下、(c)変性ポリオレフィンと称する)は、ポ
リオレフィンに不飽和単量体をグラフト共重合またはブ
ロック共重合した変性ポリオレフィンである。ここでい
う不飽和単量体には、アクリル酸、メタクリル酸や、マ
レイン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸お
よびその無水物である不飽和カルボン酸誘導体;(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
グリシジル、(メタ)アクリル酸アミノエチルなどの
(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルトリメトキシシ
ランやγ−アクリル酸プロピルトリメトキシシランなど
のビニル基をもったアルコキシシランなどが含まれる。
これらの中でも、層状珪酸塩の分散性に優れることか
ら、特に無水マレイン酸やメタクリル酸グリシジルが好
ましい。
【0024】また、(c)変性ポリオレフィンに用いら
れるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−
ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体あるいは2種
類以上からなるランダムまたはブロック共重合体であ
る。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン−1、ポリイソブテン、ポリ3−メチルペンテン
−1、ポリ4−メチルペンテン−1、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピ
レン−4−メチルペンテン−1共重合体、プロピレン−
ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−
1共重合体、デセン−1−4−メチルペンテン−1共重
合体等が挙げられる。
【0025】(c)変性ポリオレフィンとしては、機械
的物性、耐熱性等に優れることから、(c’)不飽和単
量体変性ポリプロピレン(以下、(c’)変性ポリプロ
ピレンと称す)が好適に用いられる。また、(c’)変
性ポリプロピレンに用いられるポリプロピレンとして
は、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレ
ンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共
重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合
体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体など
が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種類以
上を同時に用いてもかまわない。
【0026】ポリオレフィンの変性方法としては、ポリ
オレフィンと不飽和単量体との混合物を有機過酸化物な
どの存在下、押出機中で加熱混練する方法などが挙げら
れる。また、ポリオレフィンと不飽和単量体との混合物
をキシレンなどの有機溶剤へ加熱溶解させ、有機過酸化
物を加えて反応させ、アセトンなどの貧溶媒を加えるこ
とにより結晶化して得ることも可能である。また、ポリ
オレフィンに不飽和単量体の存在下で紫外線や放射線を
照射する方法、ポリオレフィンに電離性放射線を照射し
た後に不飽和単量体を接触混合する方法、ポリオレフィ
ンと不飽和単量体との混合物を酸素やオゾンに接触させ
る方法などが例示される。
【0027】本発明で用いられる(c’)変性ポリプロ
ピレンの重量平均分子量は、本発明の目的を損なわなけ
れば、特に限定しないが、好ましくは重量平均分子量は
80,000以上であり、より好ましくは100,00
0以上である。重量平均分子量が80,000以上にな
ると、ポリプロピレン結晶b軸配向がより顕著となり、
得られるポリプロピレン系の層状珪酸塩複合材料の剛性
がより大きくなる。一般に重量平均分子量は、ゲルパー
ミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求め
ることができる。
【0028】<(d)ポリオレフィン系樹脂および
(e)ポリオレフィン系樹脂>本発明で用いられる
(d)ポリオレフィン系樹脂および(e)ポリオレフィ
ン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1
−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等
のα−オレフィンの単独重合体あるいは2種類以上から
なるランダムまたはブロック共重合体である。具体的に
は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ
ブテン−1、ポリイソブテン、ポリ3−メチルペンテン
−1、ポリ4−メチルペンテン−1、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピ
レン−4−メチルペンテン−1共重合体、プロピレン−
ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−
1共重合体、デセン−1−4−メチルペンテン−1共重
合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2
種類以上を同時に用いてもかまわない。また、(d)ポ
リオレフィン系樹脂と(e)ポリオレフィン系樹脂は、
同種または異種のポリマーでもよい。中でも、(d’)
ポリプロピレン系樹脂および(e’)ポリプロピレン系
樹脂が、機械的物性、耐熱性等に優れることから、好適
に用いられる。
【0029】また、(d’)ポリプロピレン系樹脂およ
び(e’)ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホ
モポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重
合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピ
レン・α−オレフィンブロック共重合体(ブロックポリ
プロピレン)、プロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよい
し2種類以上を同時に用いてもかまわない。中でも、剛
性に優れる点で、ホモポリプロピレンが好適に用いら
れ、また、衝撃強度に優れる点で、ブロックポリプロピ
レンが好適に用いられる。また、(d’)ポリプロピレ
ン系樹脂と(e’)ポリプロピレン系樹脂は、同種また
は異種のポリマーでもよい。
【0030】また、ポリオレフィン系樹脂の衝撃強度改
良のために、一般にエラストマー成分を追添することが
行われるが、本発明においても、本発明の効果を損なわ
ない範囲でエラストマー成分を加えることは何ら差し支
えない。本発明では、このようなエラストマー成分を添
加したポリオレフィン系樹脂も含めてポリオレフィン系
樹脂と称する。
【0031】<構成成分の組成比>本発明における第1
の層状珪酸塩複合材料中の(a)層状珪酸塩の量は、
0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量
%である。(a)層状珪酸塩が0.01重量%未満で
は、剛性等の補強効果が不足し、高弾性率を得ることが
難しくなる。また、15重量%を超えると、コストの面
から不利になり現実的ではない。
【0032】本発明における第1の層状珪酸塩複合材料
中の(b)有機カチオンの量は、0.001〜15重量
%、好ましくは0.02〜7重量%である。(b)有機
カチオンが0.001重量%未満では、層状珪酸塩の分
散が不良になる。また、15重量%を超えると、耐熱性
が低下するおそれがある。また、(b)有機カチオンの
量は、(a)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(CEC)
を測定して決定することがより好ましい。例えば、カラ
ム浸透法(参照:「粘土ハンドブック」第576〜57
7頁、技法堂出版)や、メチレンブルー吸着量測定法
(日本ベントナイト工業会標準試験法、JBAS−10
7−91)等の方法で決定できる。(b)有機カチオン
の添加量は、CECに対して0.3〜5当量の範囲が望
ましい。0.3当量より少ないと(a)層状珪酸塩の分
散の低下を及ぼし、5当量より多いと複合材料の剛性や
耐熱性が低下する。
【0033】本発明における第1の層状珪酸塩複合材料
中の(c)変性ポリオレフィンの量は、層状珪酸塩の層
間距離が40Å以上になれば、特に限定はされないが、
好ましくは後述の高濃度のマスターバッチ組成物から調
整されることが望ましい。
【0034】<(a)層状珪酸塩の層間距離>本発明に
おける第1の層状珪酸塩複合材料中に分散している
(a)層状珪酸塩の層間距離は、40Å以上であり、好
ましくは60Å以上である。(a)層状珪酸塩の層間距
離が40Å未満では、分散が十分でないため、剛性やレ
オロジー特性などの向上効果が発揮されない。ここで、
(a)層状珪酸塩の層間距離は、層状珪酸塩複合材料に
ついてX線回折の測定を行い、得られたX線プロファイ
ルから(a)層状珪酸塩の00l反射に起因するピーク
位置を求めることにより決定することができる。
【0035】<付加的成分>本発明の層状珪酸塩複合材
料には、本発明の効果を損なわない範囲で他の付加的成
分を添加することができる。例えば、周知の酸化防止
剤、耐候性改良剤、他の造核剤、難燃剤、耐衝撃改良
剤、可塑剤、流動性改良剤、(a)層状珪酸塩以外の有
機・無機充填剤、タルク等の補強剤等を添加しても差し
支えない。実用のために各種着色剤及びそれらの分散剤
など周知のものも使用できる。
【0036】<層状珪酸塩複合材料の製造法>本発明に
おける第1の層状珪酸塩複合材料の製造方法としては、
(a)層状珪酸塩の層間に(b)有機カチオンを挿入し
た層間化合物と、(c)変性ポリオレフィンと、(d)
ポリオレフィン系樹脂とを同時に混合、溶融混練する方
法が挙げられるが、(a)層状珪酸塩の分散性が若干劣
ることがある。このため、(c)変性ポリオレフィンと
上記層間化合物とからなる、(a)層状珪酸塩が高濃度
含まれたマスターバッチ組成物をあらかじめ作製してお
き、これを(d)ポリオレフィン系樹脂に添加して混練
を行い、層状珪酸塩複合材料とすることが望ましい。ま
た、マスターバッチ組成物には、あらかじめ少量の
(e)ポリオレフィン系樹脂を添加しても良い。少量の
(e)ポリオレフィン系樹脂をマスターバッチ組成物に
添加することによりマスターバッチ組成物が混練しやす
くなる。
【0037】マスターバッチ組成物中の(a)層状珪酸
塩の量は、10〜70重量%、好ましくは20〜50重
量%である。(a)層状珪酸塩が10重量%未満では、
無機物の量が低すぎるため、マスターバッチ組成物を
(d)ポリオレフィン系樹脂へ多量に添加せねばなら
ず、複合材料のコストを上昇させる。また、70重量%
を超えると、(a)層状珪酸塩の分散が不良になった
り、マスターバッチ組成物の混練が困難になったりす
る。
【0038】マスターバッチ組成物中の(b)有機カチ
オンの量は、1〜45重量%、好ましくは5〜25重量
%である。(b)有機カチオンが1重量%未満では、層
状珪酸塩の分散が不良になる。また、45重量%を超え
ると、剛性や耐熱性が低下する。また、(b)有機カチ
オンの量は、(a)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(C
EC)を測定して決定することがより好ましい。(b)
有機カチオンの添加量は、CECに対して0.3〜5当
量の範囲が望ましい。0.3当量より少ないと(a)層
状珪酸塩の分散の低下をおよぼし、5当量より多いと複
合材料の剛性や耐熱性が低下する。
【0039】マスターバッチ組成物中の(c)変性ポリ
オレフィンの量は、10〜89重量%、好ましくは35
〜85重量%である。(c)変性ポリオレフィンが10
重量%未満では、(a)層状珪酸塩の分散が不良になり
剛性や耐熱性が低下する。また、89重量%を超える
と、相対的に(a)層状珪酸塩の量が少なくなり、マス
ターバッチ組成物を(d)ポリオレフィン系樹脂に多量
に添加せねばならず複合材料としてのコストを上昇させ
る。
【0040】マスターバッチ組成物中の(e)ポリオレ
フィン系樹脂の量は79重量%以下であり、好ましくは
50重量%以下である。(e)ポリオレフィン系樹脂が
79重量%を超えると、相対的に(a)層状珪酸塩の量
が少なくなり、マスターバッチ組成物を(d)ポリオレ
フィン系樹脂に多量に添加せねばならず複合材料として
のコストを上昇させる。
【0041】上記マスターバッチ組成物を得る方法とし
ては、例えば、上記層間化合物と(c)変性ポリオレフ
ィンとを溶融混練する方法、層間化合物と(c)変性ポ
リオレフィンとを溶液中で混合する方法などが挙げられ
るが、同様の性能が得られるのであれば、混練機を用い
て溶融混練することが、プロセスやコストの面からも好
ましい。また、溶融混練機としては、熱可塑性樹脂につ
いて一般に実用されている混練機が適用できる。例え
ば、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミ
キサー等であってもよい。
【0042】[第2の層状珪酸塩複合材料]本発明にお
ける第2の発明は、(a)層状珪酸塩0.01〜15重
量%、(b)有機カチオン0.001〜15重量%およ
び(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン、または、
(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、(b)有機カ
チオン0.001〜15重量%、(c’)不飽和単量体
変性ポリプロピレンおよび(d’)ポリプロピレン系樹
脂を含有する層状珪酸塩複合材料であって、X線回折法
で測定した該複合材料中のポリプロピレン結晶(04
0)面の回折ピークの積分強度I(040)とポリプロ
ピレン結晶(110)面の回折ピークの積分強度I(1
10)との比からなる配向パラメータI(040)/I
(110)が、4以上である層状珪酸塩複合材料であ
る。
【0043】本発明における第2の層状珪酸塩複合材料
においては、(a)層状珪酸塩、(b)有機カチオン、
(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび
(d’)ポリプロピレン系樹脂として、第1の層状珪酸
塩複合材料に用いられたものと同様のものを用いること
ができる。
【0044】<構成成分の組成比>本発明における第2
の層状珪酸塩複合材料中の(a)層状珪酸塩の量は、
0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量
%である。(a)層状珪酸塩が0.01重量%未満で
は、剛性等の補強効果が不足し、高弾性率を得ることが
難しくなる。また、15重量%を超えると、コストの面
から不利になり現実的ではない。
【0045】本発明における第2の層状珪酸塩複合材料
中の(b)有機カチオンの量は、0.001〜15重量
%、好ましくは0.02〜7重量%である。(b)有機
カチオンが0.001重量%未満では、層状珪酸塩の分
散が不良になる。また、15重量%を超えると、耐熱性
が低下するおそれがある。また、(b)有機カチオンの
量は、(a)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(CEC)
を測定して決定することがより好ましい。(b)有機カ
チオンの添加量は、CECに対して0.3〜5当量の範
囲が望ましい。0.3当量より少ないと(a)層状珪酸
塩の分散の低下を及ぼし、5当量より多いと層状珪酸塩
複合材料の剛性や耐熱性が低下する。
【0046】本発明における第2の層状珪酸塩複合材料
中の(c’)変性ポリプロピレンの量は、本発明の目的
が達成されれば、特に限定はされないが、好ましくは後
述の高濃度のマスターバッチ組成物から調整されること
が望ましい。
【0047】<配向パラメータ>本発明における第2の
層状珪酸塩複合材料の結晶回折ピークの積分強度比から
なる配向パラメータI(040)/I(110)は、4
以上である必要があり、好ましくは6以上である。I
(040)/I(110)が4未満では、結晶配向が不
十分で、剛性の向上効果が発揮されない。また、配向パ
ラメータI(040)/I(110)と該複合材料の灰
分m(重量%)とは下記(式1)を満足することが好ま
しく、さらに望ましくは下記(式1’)を満たすもので
ある。 (式1)m<0.2の場合、 I(040)/I(110)>4 0.2≦mの場合、 I(040)/I(110)>0.2m+3.96 (式1’) m<0.2の場合、 I(040)/I(110)>6 0.2≦mの場合、 I(040)/I(110)>0.2m+5.96
【0048】ここで、配向パラメータI(040)/I
(110)は、一定の射出成形条件で作成した層状珪酸
塩複合材料の試験片(JIS2号ダンベル試験片、厚み
2mm)を用いて広角X線回折測定を行い、得られたX
線プロファイルから、2θ=12.5°〜15.0°範
囲での積分強度値(I(110))および2θ=15.
5°〜17.5°範囲での積分強度値(I(040))
を求め、これらの値を用いて算出することができる。
【0049】<層状珪酸塩複合材料の製造法>本発明に
おける第2の層状珪酸塩複合材料の製造方法としては、
(a)層状珪酸塩の層間に(b)有機カチオンを挿入し
た層間化合物と、(c’)変性ポリプロピレンと、また
は(c’)変性ポリプロピレンおよび(d’)ポリプロ
ピレン系樹脂とを同時に混合、溶融混練する方法が挙げ
られるが、(a)層状珪酸塩の分散性が若干劣ることが
ある。このため、(c’)変性ポリプロピレンと上記層
間化合物とからなる、(a)層状珪酸塩が高濃度含まれ
たマスターバッチをあらかじめ作成しておき、これを
(d’)ポリプロピレン系樹脂に添加して混練を行い、
層状珪酸塩複合材料とすることが望ましい。また、マス
ターバッチ組成物には、あらかじめ少量の(e’)ポリ
プロピレン系樹脂を添加しても良い。少量の(e’)ポ
リプロピレン系樹脂をマスターバッチ組成物に添加する
ことによりマスターバッチ組成物が混練しやすくなる。
【0050】マスターバッチ組成物中の(a)層状珪酸
塩の量は、10〜70重量%、好ましくは20〜50重
量%である。(a)層状珪酸塩が10重量%未満では、
無機物の量が低すぎるため、マスターバッチ組成物を
(d)ポリプロピレン系樹脂へ多量に添加せねばなら
ず、複合材料のコストを上昇させる。また、70重量%
を超えると、(a)層状珪酸塩の分散が不良になった
り、マスターバッチ組成物の混練が困難になったりす
る。
【0051】マスターバッチ組成物中の(b)有機カチ
オンの量は、1〜45重量%、好ましくは5〜25重量
%である。(b)有機カチオンが1重量%未満では、層
状珪酸塩の分散が不良になる。また、45重量%を超え
ると、剛性や耐熱性が低下する。また、(b)有機カチ
オンの量は、(a)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(C
EC)を測定して決定することがより好ましい。(b)
有機カチオンの添加量は、CECに対して0.3〜5当
量の範囲が望ましい。0.3当量より少ないと(a)層
状珪酸塩の分散の低下をおよぼし、5当量より多いと層
状珪酸塩複合材料の剛性や耐熱性が低下する。
【0052】マスターバッチ組成物中の(c’)変性ポ
リプロピレンの量は、10〜89重量%、好ましくは3
5〜85重量%である。(c’)変性ポリプロピレンが
10重量%未満では、(a)層状珪酸塩の分散が不良に
なり剛性や耐熱性、成形加工性が低下する。また、89
重量%を超えると、相対的に(a)層状珪酸塩の量が少
なくなり、マスターバッチ組成物を(d’)ポリプロピ
レン系樹脂に多量に添加せねばならず複合材料としての
コストを上昇させる。
【0053】マスターバッチ組成物中の(e’)ポリプ
ロピレン系樹脂の量は79重量%以下であり、好ましく
は50重量%以下である。(e’)ポリプロピレン系樹
脂が79重量%を超えると、相対的に(a)層状珪酸塩
の量が少なくなり、マスターバッチ組成物を(d’)ポ
リプロピレン系樹脂に多量に添加せねばならず複合材料
としてのコストを上昇させる。
【0054】上記マスターバッチ組成物を得る方法とし
ては、例えば、上記層間化合物と(c’)変性ポリプロ
ピレンとを溶融混練する方法、層間化合物と(c’)変
性ポリプロピレンとを溶液中で混合する方法などが挙げ
られるが、同様の性能が得られるのであれば、混練機を
用いて溶融混練することが、プロセスやコストの面から
も好ましい。また、溶融混練機としては、熱可塑性樹脂
について一般に実用されている混練機が適用できる。例
えば、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリー
ミキサー等であってもよい。
【0055】[第3の層状珪酸塩複合材料]本発明にお
ける第3の発明は、(a)層状珪酸塩0.01重量%以
上1重量%未満、(b)有機カチオン0.001重量%
以上1重量%未満および(c’)不飽和単量体変性ポリ
プロピレン、または、(a)層状珪酸塩0.01重量%
以上1重量%未満、(b)有機カチオン0.001重量
%以上1重量%未満、(c’)不飽和単量体変性ポリプ
ロピレンおよび(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有す
る層状珪酸塩複合材料であって、X線回折法で測定した
該複合材料中のポリプロピレン結晶(040)面の回折
ピークの積分強度I(040)とポリプロピレン結晶
(110)面の回折ピークの積分強度I(110)との
比からなる配向パラメータI(040)/I(110)
が、4以上である層状珪酸塩複合材料である。
【0056】本発明における第3の層状珪酸塩複合材料
には、(a)層状珪酸塩、(b)有機カチオン、
(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび
(d’)ポリプロピレン系樹脂として、第1の層状珪酸
塩複合材料に用いられたものと同様のものを用いること
ができる。
【0057】<構成成分の組成比>本発明における第3
の層状珪酸塩複合材料中の(a)層状珪酸塩の量は、
0.01重量%以上1重量%未満、好ましくは0.05
重量%以上1重量%未満であり、この範囲であると複合
材料の剛性や耐熱性を効果的に向上させることができ
る。(a)層状珪酸塩が0.01重量%未満では、剛性
等の補強効果が不足し、高弾性率を得ることが難しくな
る。また、1重量%以上では、層状珪酸塩添加量に対す
る剛性や耐熱性向上の効率が低下し、コストの面から不
利になる。
【0058】本発明における第3の層状珪酸塩複合材料
中の(b)有機カチオンの量は、0.001重量%以上
1重量%未満、好ましくは0.02重量%以上1重量%
未満である。(b)有機カチオンが0.001重量%未
満では、層状珪酸塩の分散が不良になる。また、1重量
%以上では、耐熱性が低下するおそれがある。また、
(b)有機カチオンの量は、(a)層状珪酸塩の陽イオ
ン交換容量(CEC)を測定して決定することがより好
ましい。(b)有機カチオンの添加量は、CECに対し
て0.3〜5当量の範囲が望ましい。0.3当量より少
ないと(a)層状珪酸塩の分散の低下を及ぼし、5当量
より多いとポリプロピレン系複合材料の剛性や耐熱性が
低下する。
【0059】本発明における第3の層状珪酸塩複合材料
中の(c’)変性ポリオレフィンの量は、特に限定はさ
れないが、好ましくは前述の高濃度のマスターバッチ組
成物から調製されることが望ましい。
【0060】<配向パラメータ>本発明における第3の
層状珪酸塩複合材料は、第2の層状珪酸塩複合材料と同
様に、層状珪酸塩複合材料の結晶回折ピークの積分強度
比からなる配向パラメータI(040)/I(110)
が、4以上である必要があり、好ましくは6以上であ
る。また、配向パラメータI(040)/I(110)
と該複合材料の灰分m(重量%)とは上記(式1)を満
足することが好ましく、さらに望ましくは上記(式
1’)を満たすものである。
【0061】<曲げ弾性率>本発明における第3の層状
珪酸塩複合材料は、前記(d’)ポリプロピレン系樹脂
の曲げ弾性率S0 (kgf/cm2 )と、層状珪酸塩複
合材料の曲げ弾性率S(kgf/cm2 )と、層状珪酸
塩複合材料の灰分m(重量%)とから下記(式2)によ
って求められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増加
率Tが、40以上であることが好ましく、45以上であ
ることがより好ましい。 (式2) T=(S−S0 )/S0 ×100/m
【0062】この灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増
加率Tが40未満の層状珪酸塩複合材料は、剛性を上げ
るために層状珪酸塩を多く添加してあるため、コストの
面からも材料の軽量化の面からも好ましくない。ここ
で、曲げ弾性率S0 および曲げ弾性率Sは、乾燥状態、
23℃において、ASTM D790に準拠して測定さ
れる。
【0063】<層状珪酸塩複合材料の製造法>本発明に
おける第3の層状珪酸塩複合材料は、第2の層状珪酸塩
複合材料と同様な製造方法によって製造することができ
る。すなわち、(a)層状珪酸塩の層間に(b)有機カ
チオンを挿入した層間化合物と(c’)変性ポリプロピ
レンとからなる、(a)層状珪酸塩が高濃度含まれたマ
スターバッチをあらかじめ作成しておき、これを
(d’)ポリプロピレン系樹脂に添加して混練を行い、
層状珪酸塩複合材料とすることが望ましい。
【0064】[第4の層状珪酸塩複合材料]本発明にお
ける第4の発明は、(a)層状珪酸塩1〜15重量%、
(b)有機カチオン0.1〜15重量%および(c’)
不飽和単量体変性ポリプロピレン、または、(a)層状
珪酸塩1〜15重量%、(b)有機カチオン0.1〜1
5重量%、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンお
よび(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層状珪酸
塩複合材料であって、層状珪酸塩複合材料の灰分m(重
量%)と、下記(式3)から最小二乗法によって求めた
降伏パラメーターk0とが、下記(式4)の関係を満た
す層状珪酸塩複合材料である。 (式3) G1/2=k0+k1(ω・ηO *(ω)/ηO *(0.01))1/2 (式4)m≧1の場合、 k0≧1.75×m−1.65 m<1の場合、 k0≧0.1 (上記(式3)中、Gは、層状珪酸塩複合材料の180
℃での動的粘弾性測定における、角周波数ω(ラジアン
/秒)のときの複素弾性率の絶対値(Pa)であり、ηO
*(0.01) およびηO *(ω) は、それぞれ前記
(d’)ポリプロピレン系樹脂の180℃での動的粘弾
性測定における、角周波数0.01ラジアン/秒および
角周波数ω(ラジアン/秒)のときの複素粘性率の絶対値
(Pa・s)である。
【0065】本発明における第4の層状珪酸塩複合材料
には、(a)層状珪酸塩、(b)有機カチオン、
(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび
(d’)ポリプロピレン系樹脂として、第1の層状珪酸
塩複合材料に用いられたものと同様のものを用いること
ができる。
【0066】<構成成分の組成比>本発明における第4
の層状珪酸塩複合材料中の(a)層状珪酸塩の量は、1
〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。
(a)層状珪酸塩が1重量%未満では、レオロジー特性
が不足し、良成形性を得ることが難しくなる。また、1
5重量%を超えると、コストの面から不利になり現実的
ではない。
【0067】本発明における第4の層状珪酸塩複合材料
中の(b)有機カチオンの量は、0.1〜15重量%、
好ましくは0.1〜7重量%である。(b)有機カチオ
ンが0.1重量%未満では、層状珪酸塩の分散が不良に
なる。また、15重量%を超えると、耐熱性が低下する
おそれがある。また、(b)有機カチオンの量は、
(a)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(CEC)を測定
して決定することがより好ましい。(b)有機カチオン
の添加量は、CECに対して0.3〜5当量の範囲が望
ましい。0.3当量より少ないと(a)層状珪酸塩の分
散の低下を及ぼし、5当量より多いと層状珪酸塩複合材
料の剛性や耐熱性が低下する。
【0068】本発明における第4の層状珪酸塩複合材料
中の(c)変性ポリオレフィンの量は特に限定はされな
いが、好ましくは前述の高濃度のマスターバッチ組成物
から調整されることが望ましい。
【0069】<降伏パラメータ>また、本発明における
第4の層状珪酸塩複合材料の180℃での動的粘弾性測
定における、任意の角周波数ω(ラジアン/秒)のときの
複素弾性率の絶対値をG(Pa)とし、前記(d’)ポ
リプロピレン系樹脂の180℃での動的粘弾性測定にお
ける、角周波数0.01ラジアン/秒および任意の角周
波数ω(ラジアン/秒)のときの複素粘性率の絶対値を
それぞれηO *(0.01)(Pa・s)およびη
O *(ω)(Pa・s)としたとき、層状珪酸塩複合材料
の複素弾性率の絶対値の平方根G1/2 は、(ω・η
O *(ω)/ηO *(0.01))1/2 に対して下記(式
3)のような比例関係となる。 (式3) G1/2=k0+k1(ω・ηO *(ω)/ηO *(0.01))1/2
【0070】上記(式3)は、修正Cassonの式(小野木
重治著、「化学者のためのレオロジー」、p.206、化学
同人)を利用して、せん断粘度の代わりに複素粘性率η
*の絶対値、せん断速度の代わりに角速度ωを用いるこ
とによって導くことができる。ここで、k0 は降伏パラ
メータ、k1 は非常に高い角速度(せん断速度)ωにおけ
る粘度の平方根に相当する定数である。上記(式3)か
ら最小二乗法によって求められた降伏パラメーターk0
と、層前記複合材料の灰分m(重量%)は、下記(式
4)の関係を満たすことが望ましい。(式4)m≧1の
場合、 k0≧1.75×m−1.65 m<1の場合、 k0≧0.1 この降伏パラメータk0 が大きいほど、せん断速度に対
する溶融粘度が高いことを意味し、押出成形時のドロー
ダウン、ネックインなどの成形加工性が向上する。
【0071】<曲げ弾性率>本発明における第4の層状
珪酸塩複合材料は、前記(d’)ポリプロピレン系樹脂
の曲げ弾性率S0 (kgf/cm2 )と、層状珪酸塩複
合材料の曲げ弾性率S(kgf/cm2 )と、層状珪酸
塩複合材料の灰分m(%)とから上記式(2)によって
求められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増加率T
が、16以上であることが好ましい。
【0072】この灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増
加率Tが16未満の層状珪酸塩複合材料は、剛性を上げ
るために層状珪酸塩を多く添加してあるため、コストの
面からも材料の軽量化の面からも好ましくない。ここ
で、曲げ弾性率S0 および曲げ弾性率Sは、乾燥状態、
23℃において、ASTM D790に準拠して測定さ
れる。
【0073】<層状珪酸塩複合材料の製造法>本発明に
おける第4の層状珪酸塩複合材料は、第2の層状珪酸塩
複合材料と同様な製造方法によって製造することができ
る。すなわち、(a)層状珪酸塩の層間に(b)有機カ
チオンを挿入した層間化合物と(c’)変性ポリプロピ
レンとからなる、(a)層状珪酸塩が高濃度含まれたマ
スターバッチをあらかじめ作成しておき、これを
(d’)ポリプロピレン系樹脂に添加して混練を行い、
層状珪酸塩複合材料とすることが望ましい。
【0074】[層状珪酸塩複合材料の成形体]本発明の
成形体とは、本発明の層状珪酸塩複合材料を、射出成
形、射出圧縮成形、射出ブロー成形、圧縮成形、中空成
形、フィルム・シート成形、ラミネート成形、その他各
種押出成形などによって成形してなる成形体であり、例
えば自動車及び家電部材、各種容器、蓋、びん、フィル
ム、シート、包装材、パイプ、電線などが挙げられる。
【0075】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。 [I]原材料 [無機フィラー] (a−1):合成マイカ(イオン交換容量:107me
q/100g、コープケミカル社製、商品名:MAE、
膨潤剤処理((b)有機カチオン:ジオクタデシルジメ
チルアンモニウム塩を使用)、無機分((a)層状珪酸
塩)62重量%) (a−2):合成マイカ(イオン交換容量:107me
q/100g、コープケミカル社製、商品名:ME10
0、膨潤剤未処理) (a−3):タルク(林化成社製、商品名:ミクロンホ
ワイト5000SA)
【0076】[(c)変性ポリオレフィン] (c−1):無水マレイン酸変性ポリプロピレン(日本
ポリオレフィン社製、商品名:アドテックスP9001M(無
水マレイン酸基:2.1重量%、Mw=30,00
0)) (c−2):無水マレイン酸変性ポリプロピレン(日本
ポリオレフィン社製、商品名:アドテックスP9000M(無
水マレイン酸基:1.4重量%、Mw=70,00
0)) (c−3):未変性ポリプロピレンワックス(三洋化成
社製、商品名:ビスコール330P、 Mw=30,0
00)
【0077】(c−4):無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン(日本ポリオレフィン社製、無水マレイン酸基:
0.6重量%、Mw=130,000) (c−5):無水マレイン酸変性ポリプロピレン(日本
ポリオレフィン社製、無水マレイン酸基:0.1重量
%、Mw=200,000) (c−6):無水マレイン酸変性ポリプロピレンワック
ス(三洋化成社製、商品名:ユーメックス1001、無
水マレイン酸基:5重量%、Mw=32,000) (c−7):未変性ポリプロピレン(日本ポリオレフィ
ン社製、Mw=130,000)
【0078】[(d)ポリオレフィン系樹脂] (d−1)ホモポリプロピレン:MFR=30dg/
分、曲げ弾性率18500kgf/cm2 、日本ポリオ
レフィン社製 (d−2)ブロックポリプロピレン:MFR=28dg
/分、曲げ弾性率14500kgf/cm2 、日本ポリ
オレフィン社製 (d−3)ホモポリプロピレン:MFR=30dg/
分、曲げ弾性率19500kgf/cm2 、日本ポリオ
レフィン社製 (d−4)ブロックポリプロピレン:MFR=30dg
/分、曲げ弾性率13400kgf/cm2 、日本ポリ
オレフィン社製
【0079】[(e)ポリオレフィン系樹脂] (e−1)ホモポリプロピレン:(d−1)ホモポリプ
ロピレンを使用 (e−2)ホモポリプロピレン:(d−3)ホモポリプ
ロピレンを使用
【0080】[II]評価方法 評価のため各物性値と諸特性を以下の方法により測定し
た。 [層間距離(X線回折)]理学電気社製のX線回折装置
RAD−3R及びモノクロメーターで、反射法(2θ/
θ法)を用いて測定した。ここで、測定条件は、管電
圧;40kV、管電流;40mA、スリット径はDS=
0.05mm、RS=0.15mm、SS=0.5de
gで、モノクロメーター側のSS=0.6mmとした。
試料は、JIS2号ダンベル試験片のゲートの反対側の
部分を用いた。JIS2号ダンベル試験片の射出成形条
件は、シリンダー温度200℃、金型冷却温度40℃、
冷却時間25秒、射出速度1は30mm/s、射出速度
2は20mm/s、射出切換位置10mmとした。射出
成形機としては、ファナック社製100型を用いた。
【0081】[曲げ弾性率]ASTM D790(乾燥
状態、23℃)に準じ、測定した。 [ネックイン値]Tダイ法により、ダイ幅300mm、
リップギャップ1mm、押出温度230℃、チルロール
温度37℃の条件で、30μm厚のフィルムを成形し、
このときのダイ幅と押出フィルム幅の差(ネックイン
値、単位mm)を測定した。
【0082】[配向パラメータ]射出成形により得られ
た試験片について、理学電気社製のX線回折装置RAD
−3Rを用い測定した。ここで、測定条件は、管電圧;
40kV、管電流;40mA、スリット径はDS=0.
05mm、RS=0.15mm、SS=0.5degで
ある。得られたX線プロファイルから、2θ=12.5
°〜15.0°範囲での強度の積分値(I(110))
および2θ=15.5°〜17.5°範囲での強度の積
分値(I(040))を求め、これらの値を用いて、配
向パラメータを算出した。
【0083】[灰分]るつぼに試料を3〜5gとり、電
気炉を用いて空気中、600℃で3時間加熱して有機物
を燃焼、蒸散させたのち、デシケータ中で室温まで冷却
して、残量を測定した。 [熱変形温度]ASTM D648に準じ、測定した。
18.56kg/cm2 (264psi)のファイバス
トレスが作用するように、試験片の中央部に5分間荷重
を掛け、2±0.2℃/分の速さで昇温して測定した。
【0084】[降伏パラメータ]Paar Physi
ca社製UDS−200型レオメータを用いて複合材料
の動的粘弾性および複合材料に使用した(e)ポリプロ
ピレン系樹脂の動的粘弾性を測定し、測定結果と上述の
(式3)を用い、最小二乗法によって降伏パラメータk
0 求めた。測定治具として直径25mmの平行円板型治
具を用い、180℃で2時間以上の予備加熱を行った
後、すべて測定温度=180℃、ひずみ=10%、角周
波数ω=0.01〜100ラジアン/秒の範囲で測定し
た。試験片は、複合材料をプレス成形で厚さ2mmのシ
ートを作製し、これから所定の大きさに切り出して作製
した。
【0085】[III]第1の層状珪酸塩複合材料 〔実施例1〕(b)有機カチオンで処理した(a)層状
珪酸塩(a−1)28.7重量部と無水マレイン酸変性
ポリプロピレン(c−1)71.3重量部をヘンシェル
ミキサーにて十分混合撹拌した。次いで、これを神戸製
鋼所社製KTX30二軸押出機を用いて、設定温度20
0℃、スクリュー回転数360rpmの混練条件下で、
溶融混練し、ペレット化して、マスターバッチMB−1
を得た。
【0086】次に、このMB−1 17.0重量部とホ
モポリプロピレン(d−1)83.0重量部とをヘンシ
ェルミキサーにて十分混合撹拌し、二軸押出機を用い
て、設定温度200℃、スクリュー回転数360rpm
の混練条件下で、溶融混練し、ペレット化した。このペ
レットから、射出成形機(ファナック社製100型)を
用い、シリンダー温度200℃、金型冷却温度40℃に
て射出成形を行い、試験片を作成した。また、射出成形
された試験片について、室温23℃、湿度80%の条件
下で2〜4日間静置した後、層間距離、曲げ弾性率およ
びネックイン値の測定を行った。結果を表1に示す。
【0087】〔実施例2〕(c)変性ポリオレフィンと
して無水マレイン酸変性ポリプロピレン(c−2)を用
いた以外は、実施例1と同様に溶融混練し、マスターバ
ッチMB−2を得た。次に、このMB−2 17.0重
量部とホモポリプロピレン(d−1)83.0重量部と
を、実施例1と同様に、溶融混練してペレット化し、射
出成形により試験片を作成して評価を行った。結果を表
1に示す。
【0088】〔実施例3〕(b)有機カチオンで処理し
た(a)層状珪酸塩(a−1)38.3重量部と無水マ
レイン酸変性ポリプロピレン(c−1)36.8重量
部、およびホモポリプロピレン(d−1)25重量部を
実施例1と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−3
を得た。次に、このMB−3 12.5重量部とホモポ
リプロピレン(d−1)87.5重量部とを、実施例1
と同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により
試験片を作成して評価を行った。結果を表1に示す。
【0089】〔実施例4〕上記MB−3 12.5重量
部とブロックポリプロピレン(d−2)87.5重量部
とを、実施例1と同様に、溶融混練してペレット化し、
射出成形により試験片を作成して評価を行った。結果を
表1に示す。
【0090】〔比較例1〕無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン(c−1)の代わりに未変性ポリプロピレンワッ
クス(c−3)を用いた以外は、実施例3と同様に溶融
混練し、マスターバッチMB−4を得た。次に、このM
B−4 12.5重量部とホモポリプロピレン(d−
1)87.5重量部とを、実施例1と同様に、溶融混練
してペレット化し、射出成形により試験片を作成して評
価を行った。結果を表1に示す。
【0091】〔比較例2〕上記MB−4 12.5重量
部とブロックポリプロピレン(d−2)87.5重量部
とを、実施例1と同様に、溶融混練してペレット化し、
射出成形により試験片を作成して評価を行った。結果を
表1に示す。
【0092】〔比較例3〕(b)有機カチオン未処理の
(a)層状珪酸塩(a−2)23.8重量部、無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン(c−1)51.3重量部お
よびホモポリプロピレン(d−1)25重量部を、実施
例3と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−5を得
た。次に、このMB−5 12.5重量部とホモポリプ
ロピレン(d−1)87.5重量部とを、実施例1と同
様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により試験
片を作成して評価を行った。結果を表1に示す。
【0093】〔比較例4〕(b)有機カチオン未処理の
(a)層状珪酸塩(a−2)の代わりにタルク(a−
3)を用いた以外は、比較例3と同様に溶融混練し、マ
スターバッチMB−6を得た。次に、このMB−6 1
2.5重量部とホモポリプロピレン(d−1)87.5
重量部とを、実施例1と同様に、溶融混練してペレット
化し、射出成形により試験片を作成して評価を行った。
結果を表1に示す。
【0094】[比較例5](b)有機カチオンで処理し
た(a)層状珪酸塩(a−1)4.9重量部、無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン(c−1)12.1重量部お
よびホモポリプロピレン(d−1)83.0重量部とを
同時にヘンシェルミキサーにて混合撹拌したのち実施例
1と同様に溶融混練してペレット化し、射出成形を行
い、試験片を作成して評価を行った。結果を表1に示
す。
【0095】[比較例6]ホモポリプロピレン(d−
1)のみを用いて射出成形により試験片を作成して評価
を行った。結果を表1に示す。 [比較例7]ブロックポリプロピレン(d−2)のみを
用いて射出成形により試験片を作成して評価を行った。
結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】表1に示した結果から、(a)層状珪酸塩
および(b)有機カチオンからなる層間化合物を(c)
変性ポリオレフィンに分散させ、これを(d)ポリオレ
フィン系樹脂に添加した層状珪酸塩複合材料は、(a)
層状珪酸塩の層間距離が大きく拡大し、分子レベルでの
分散が起こっていることがわかる。また、このような層
状珪酸塩複合材料は、いずれも少量の添加で大きく弾性
率が向上している。また、成形加工性を示すネックイン
値も、(a)層状珪酸塩がない、もしくは分子レベルで
分散していない比較例のものに比べ、大幅に減少してお
り、成形加工性が改良されたことがわかる。
【0098】[IV]第2の層状珪酸塩複合材料 〔実施例5〕(b)有機カチオンで処理した(a)層状
珪酸塩(a−1)28.7重量部と無水マレイン酸変性
ポリプロピレン(c−4)71.3重量部をヘンシェル
ミキサーにて十分混合撹拌した。次いで、これを神戸製
鋼所社製KTX30二軸押出機を用いて、設定温度25
0℃、スクリュー回転数360rpmの混練条件下で、
溶融混練し、ペレット化して、マスターバッチMB−7
を得た。
【0099】次に、このMB−7 5.6重量部とホモ
ポリプロピレン(d−3)94.4重量部とをヘンシェ
ルミキサーにて十分混合撹拌し、二軸押出機を用いて、
設定温度200℃、スクリュー回転数360rpmの混
練条件下で、溶融混練し、ペレット化した。このペレッ
トから、射出成形機(ファナック社製100型)を用
い、シリンダー温度200℃、金型冷却温度40℃にて
射出成形を行い、試験片を作成した。また、射出成形さ
れた試験片について、室温23℃、湿度80%の条件下
で2〜4日間静置した後、X線回折、曲げ弾性率および
ネックイン値の測定を行った。結果を表2に示す。
【0100】〔実施例6〕上記実施例5のMB−7 1
7.0重量部とホモポリプロピレン(d−3)83.0
重量部とを、実施例5と同様に、溶融混練してペレット
化し、射出成形により試験片を作成して評価を行った。
結果を表2に示す。
【0101】〔実施例7〕(c’)変性ポリプロピレン
として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(c−5)を
用いた以外は、実施例5と同様に溶融混練し、マスター
バッチMB−8を得た。次に、このMB−8 17.0
重量部とホモポリプロピレン(d−3)83.0重量部
とを、実施例5と同様に、溶融混練してペレット化し、
射出成形により試験片を作成して評価を行った。結果を
表2に示す。
【0102】〔実施例8〕(b)有機カチオンで処理し
た(a)層状珪酸塩(a−1)38.3重量部と無水マ
レイン酸変性ポリプロピレン(c−4)36.8重量
部、およびホモポリプロピレン(e−2)25重量部を
実施例5と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−9
を得た。次に、このMB−9 4.2重量部とホモポリ
プロピレン(d−3)95.8重量部とを、実施例5と
同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により試
験片を作成して評価を行った。結果を表2に示す。
【0103】〔実施例9〕上記実施例8のMB−9 1
2.5重量部とホモポリプロピレン(d−3)87.5
重量部とを、実施例5と同様に、溶融混練してペレット
化し、射出成形により試験片を作成して評価を行った。
結果を表2に示す。
【0104】〔比較例8〕無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン(c−4)の代わりに未変性ポリプロピレン(c
−7)を用いた以外は、実施例8と同様に溶融混練し、
マスターバッチMB−10を得た。次に、このMB−1
0 12.5重量部とホモポリプロピレン(d−3)8
7.5重量部とを、実施例5と同様に、溶融混練してペ
レット化し、射出成形により試験片を作成して評価を行
った。結果を表2に示す。
【0105】〔比較例9〕(b)有機カチオン未処理の
(a)層状珪酸塩(a−2)23.8重量部、無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン(c−4)51.3重量部お
よびホモポリプロピレン(e−2)25重量部を、実施
例8と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−11を
得た。次に、このMB−11 12.5重量部とホモポ
リプロピレン(d−3)87.5重量部とを、実施例5
と同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により
試験片を作成して評価を行った。結果を表2に示す。
【0106】〔比較例10〕(b)有機カチオン未処理
の(a)層状珪酸塩(a−2)の代わりにタルク(a−
3)を用いた以外は、比較例9と同様に溶融混練し、マ
スターバッチMB−12を得た。次に、このMB−12
4.2重量部とホモポリプロピレン(d−3)95.
8重量部とを、実施例5と同様に、溶融混練してペレッ
ト化し、射出成形により試験片を作成して評価を行っ
た。結果を表2に示す。
【0107】〔比較例11〕上記比較例10のMB−1
2 12.5重量部とホモポリプロピレン(d−3)8
7.5重量部とを、実施例5と同様に、溶融混練してペ
レット化し、射出成形により試験片を作成して評価を行
った。結果を表2に示す。
【0108】[比較例12]ホモポリプロピレン(d−
3)のみを用いて射出成形により試験片を作成して評価
を行った。結果を表2に示す。
【0109】〔参考例1〕無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン(c−4)の代わりに分子量の小さい無水マレイ
ン酸変性ポリプロピレン(c−3)を用いた以外は、実
施例8と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−13
を得た。次に、このMB−13 12.5重量部とホモ
ポリプロピレン(d−3)87.5重量部とを、実施例
5と同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形によ
り試験片を作成して評価を行った。結果を表2に示す。
【0110】[参考例2](b)有機カチオンで処理し
た(a)層状珪酸塩(a−1)4.9重量部、無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン(c−4)12.1重量部お
よびホモポリプロピレン(d−3)83.0重量部とを
同時にヘンシェルミキサーにて混合撹拌したのち実施例
5と同様に溶融混練してペレット化し、射出成形を行
い、試験片を作成して評価を行った。結果を表2に示
す。
【0111】
【表2】
【0112】表2に示した結果から、(a)層状珪酸塩
および(b)有機カチオンからなる層間化合物を、
(c’)変性ポリプロピレンを用いて(d’)ポリプロ
ピレン系樹脂に分散させ、結晶回折ピークの積分強度比
I(040)/I(110)が4以上である層状珪酸塩
複合材料は、結晶b軸配向が大きく、弾性率が大きく向
上したことがわかる。また、成形加工性を示すネックイ
ン値も、(a)層状珪酸塩がない、もしくは分子レベル
で分散していない比較例のものに比べ、大幅に減少して
おり、成形加工性が改良されたことがわかる。
【0113】[V]第3の層状珪酸塩複合材料 〔実施例10〕(b)有機カチオンで処理した(a)層
状珪酸塩(a−1)40.3重量部と無水マレイン酸変
性ポリプロピレン(c−4)59.7重量部をヘンシェ
ルミキサーにて十分混合撹拌した。次いで、これを神戸
製鋼所社製KTX30二軸押出機を用いて、設定温度2
00℃、スクリュー回転数360rpmの混練条件下
で、溶融混練し、ペレット化して、マスターバッチMB
−14を得た。
【0114】次に、このMB−14 0.8重量部とホ
モポリプロピレン(d−3)99.2重量部とをヘンシ
ェルミキサーにて十分混合撹拌し、二軸押出機を用い
て、設定温度200℃、スクリュー回転数360rpm
の混練条件下で、溶融混練し、ペレット化した。このペ
レットから、射出成形機(ファナック社製100型)を
用い、シリンダー温度200℃、金型冷却温度40℃に
て射出成形を行い、試験片を作製した。また、射出成形
された試験片について、室温23℃、湿度80%の条件
下で2〜4日間静置した後、配向パラメータ、曲げ弾性
率、灰分、および熱変形温度の測定を行った。結果を表
3に示す。
【0115】〔実施例11〕(c’)変性ポリオレフィ
ンとして無水マレイン酸変性ポリプロピレン(c−5)
を用いた以外は、実施例10と同様に溶融混練し、マス
ターバッチMB−15を得た。次に、このMB−15
0.8重量部とホモポリプロピレン(d−3)99.2
重量部とを、実施例10と同様に、溶融混練してペレッ
ト化し、射出成形により試験片を作製して評価を行っ
た。結果を表3に示す。
【0116】〔実施例12〕(b)有機カチオンで処理
した(a)層状珪酸塩(a−1)32.3重量部と無水
マレイン酸変性ポリプロピレン(c−4)47.7重量
部、およびホモポリプロピレン(e−2)20重量部を
実施例10と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−
16を得た。次に、このMB−16 1.0重量部とホ
モポリプロピレン(d−3)99.0重量部とを、実施
例10と同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形
により試験片を作製して評価を行った。結果を表3に示
す。
【0117】〔比較例13〕無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレン(c−4)の代わりに無水マレイン酸変性ポリ
プロピレンワックス(c−6)を用いた以外は、実施例
10と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−17を
得た。次に、このMB−17 0.8重量部とホモポリ
プロピレン(d−3)99.2重量部とを、実施例10
と同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により
試験片を作成して評価を行った。結果を表3に示す。
【0118】〔比較例14〕(b)有機カチオン未処理
の(a)層状珪酸塩(a−2)25.0重量部、無水マ
レイン酸変性ポリプロピレン(c−4)75.0重量部
を、実施例10と同様に溶融混練し、マスターバッチM
B−18を得た。次に、このMB−18 0.8重量部
とホモポリプロピレン(d−3)99.2重量部とを、
実施例10と同様に、溶融混練してペレット化し、射出
成形により試験片を作成して評価を行った。結果を表3
に示す。
【0119】〔比較例15〕(b)有機カチオン未処理
の(a)層状珪酸塩(a−2)の代わりにタルク(a−
3)を用いた以外は、比較例14と同様に溶融混練し、
マスターバッチMB−19を得た。次に、このMB−1
9 0.8重量部とホモポリプロピレン(d−3)9
9.2重量部とを、実施例10と同様に、溶融混練して
ペレット化し、射出成形により試験片を作成して評価を
行った。結果を表3に示す。
【0120】〔比較例16〕ホモポリプロピレン(d−
3)のみを用いて射出成形により試験片を作成して評価
を行った。結果を表3に示す。
【0121】
【表3】
【0122】表3に示した結果から、(a)層状珪酸塩
および(b)有機カチオンからなる層間化合物を
(c’)変性ポリプロピレンに分散させ、これを
(d’)ポリプロピレン系樹脂に分散させ、配向パラメ
ータが4以上の層状珪酸塩複合材料は、いずれも弾性率
が向上した。配向パラメータが4未満の比較例のもの
は、無機フィラーが含まれていても剛性が改良されてい
なかったり、耐熱性が低下したりした。
【0123】[VI]第4の層状珪酸塩複合材料 〔実施例13〕(b)有機カチオンで処理した(a)層
状珪酸塩(a−1)40.3重量部と無水マレイン酸変
性ポリプロピレン(c−4)59.7重量部をヘンシェ
ルミキサーにて十分混合撹拌した。次いで、これを神戸
製鋼所社製KTX30二軸押出機を用いて、設定温度2
50℃、スクリュー回転数300rpmの混練条件下
で、溶融混練し、ペレット化して、マスターバッチMB
−20を得た。
【0124】次に、このMB−20 12重量部とホモ
ポリプロピレン(d−3)88重量部とをヘンシェルミ
キサーにて十分混合撹拌し、二軸押出機を用いて、設定
温度200℃、スクリュー回転数360rpmの混練条
件下で、溶融混練し、ペレット化した。このペレットか
ら、射出成形機(ファナック社製100型)を用い、シ
リンダー温度200℃、金型冷却温度40℃にて射出成
形を行い、試験片を作成した。また、射出成形された試
験片について、室温23℃、湿度80%の条件下で2〜
4日間静置した後、灰分、動的粘弾性、曲げ弾性率、熱
変形温度およびネックイン値の測定を行った。ホモポリ
プロピレン(d−3)のみについても同様に曲げ弾性率
および動的粘弾性を測定し、これを対象に弾性率増加率
Tおよび降伏パラメータk0 を求めた。結果を表4に示
す。
【0125】〔実施例14〕(c’)変性ポリオレフィ
ンとして無水マレイン酸変性ポリプロピレン(c−5)
を用いた以外は、実施例13と同様に溶融混練し、マス
ターバッチMB−21を得た。次に、このMB−21
12重量部とホモポリプロピレン(d−3)88重量部
とを、実施例13と同様に、溶融混練してペレット化
し、射出成形により試験片を作成して評価を行った。結
果を表4に示す。
【0126】〔実施例15〕(b)有機カチオンで処理
した(a)層状珪酸塩(a−1)32.3重量部と無水
マレイン酸変性ポリプロピレン(c−4)47.7重量
部、およびホモポリプロピレン(e−2)20重量部を
実施例13と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−
22を得た。次に、このMB−22 15重量部とホモ
ポリプロピレン(d−3)85重量部とを、実施例13
と同様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により
試験片を作成して評価を行った。結果を表4に示す。
【0127】〔実施例16〕上記MB−20 12重量
部とブロックポリプロピレン(d−4)88重量部と
を、実施例13と同様に、溶融混練してペレット化し、
射出成形により試験片を作成して評価を行った。結果を
表4に示す。
【0128】〔参考例3〕無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン(c−4)の代わりに無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレンワックス(c−6)を用いた以外は、実施例1
3と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−23を得
た。次に、このMB−23 12重量部とホモポリプロ
ピレン(d−3)88重量部とを、実施例13と同様
に、溶融混練してペレット化し、射出成形により試験片
を作成して評価を行った。結果を表4に示す。
【0129】〔比較例17〕無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレン(c−4)の代わりに未変性ポリプロピレン
(c−7)を用いた以外は、実施例13と同様に溶融混
練し、マスターバッチMB−24を得た。次に、上記M
B−24 12重量部とホモポリプロピレン(d−3)
88重量部とを、実施例13と同様に、溶融混練してペ
レット化し、射出成形により試験片を作成して評価を行
った。結果を表4に示す。
【0130】〔比較例18〕(b)有機カチオン未処理
の(a)層状珪酸塩(a−2)25重量部、無水マレイ
ン酸変性ポリプロピレン(c−4)75重量部を、実施
例13と同様に溶融混練し、マスターバッチMB−25
を得た。次に、このMB−25 12重量部とホモポリ
プロピレン(d−3)88重量部とを、実施例13と同
様に、溶融混練してペレット化し、射出成形により試験
片を作成して評価を行った。結果を表4に示す。
【0131】〔比較例19〕(b)有機カチオン未処理
の(a)層状珪酸塩(a−2)の代わりにタルク(a−
3)を用いた以外は、比較例18と同様に溶融混練し、
マスターバッチMB−26を得た。次に、このMB−2
6 12重量部とホモポリプロピレン(d−3)88重
量部とを、実施例13と同様に、溶融混練してペレット
化し、射出成形により試験片を作成して評価を行った。
結果を表4に示す。
【0132】[比較例20]ホモポリプロピレン(d−
3)のみを用いて射出成形により試験片を作成して評価
を行った。結果を表4に示す。 [比較例21]ブロックポリプロピレン(d−4)のみ
を用いて射出成形により試験片を作成して評価を行っ
た。結果を表4に示す。
【0133】
【表4】
【0134】表4の結果より、(a)層状珪酸塩および
(b)有機カチオンからなる層間化合物を(c’)変性
ポリプロピレンに分散させ、これを(d’)ポリプロピ
レン系樹脂に分散させた層状珪酸塩複合材料は、従来の
ポリオレフィン系樹脂に比べ、剛性や耐熱性が大幅に向
上していることがわかる。また、成形加工性の指標とな
る降伏パラメータが、比較例で示した層状珪酸塩を加え
ていないポリオレフィン系樹脂に比べて増大しており、
溶融特性が大幅に改善されたことを示している。また、
成形加工性を示すネックイン値も、(a)層状珪酸塩あ
るいは(b)有機カチオンがない、もしくは官能基を持
たないポリプロピレンを用いて作製した比較例のものに
比べ、大幅に減少しており、成形加工性が改良されたこ
とがわかる。
【0135】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における第
1の層状珪酸塩複合材料は、(a)層状珪酸塩0.01
〜15重量%、(b)有機カチオン0.001〜15重
量%および(c)不飽和単量体変性ポリオレフィン、ま
たは、(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、(b)
有機カチオン0.001〜15重量%、(c)不飽和単
量体変性ポリオレフィンおよび(d)ポリオレフィン系
樹脂を含有する層状珪酸塩複合材料であって、X線回折
法で測定した(a)層状珪酸塩の層間距離が40Å以上
であるので、従来のポリオレフィン系樹脂および複合材
料に比べ、剛性が向上し、成形加工性が大幅に改良され
たものとなる。また、本発明における第1の層状珪酸塩
複合材料は、(a)層状珪酸塩10〜70重量%、
(b)有機カチオン1〜45重量%、(c)不飽和単量
体変性ポリオレフィン10〜89重量%、および(e)
ポリオレフィン系樹脂0〜79重量%を含有する層状珪
酸塩のマスターバッチ組成物が、(d)ポリオレフィン
系樹脂に添加されてなり、(a)層状珪酸塩が0.01
〜15重量%含まれ、(b)有機カチオンが0.001
〜15重量%含まれ、X線回折法で測定した(a)層状
珪酸塩の層間距離が40Å以上であるので、従来のポリ
オレフィン系樹脂および複合材料に比べ、剛性が向上
し、成形加工性が大幅に改良されたものとなる。また、
前記(c)不飽和単量体変性ポリオレフィンが、
(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン、および/ま
たは(d)ポリオレフィン系樹脂は、(d’)ポリプロ
ピレン系樹脂であれば、機械的物性、耐熱性等に優れた
ものとなる。
【0136】本発明における第2の層状珪酸塩複合材料
は、(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、(b)有
機カチオン0.001〜15重量%および(c’)不飽
和単量体変性ポリプロピレン、または、(a)層状珪酸
塩0.01〜15重量%、(b)有機カチオン0.00
1〜15重量%、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピ
レンおよび(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層
状珪酸塩複合材料であって、X線回折法で測定した該複
合材料中のポリプロピレン結晶(040)面の回折ピー
クの積分強度I(040)とポリプロピレン結晶(11
0)面の回折ピークの積分強度I(110)との比から
なる配向パラメータI(040)/I(110)が、4
以上であるので、従来のポリオレフィン系樹脂および複
合材料に比べ、剛性が向上し、成形加工性が大幅に改良
されたものとなる。また、第2の層状珪酸塩複合材料に
おいて、前記配向パラメータI(040)/I(11
0)、および層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量%)
が、前述の(式1)を満足していれば、剛性および成形
加工性がさらに良好となる。
【0137】本発明における第3の層状珪酸塩複合材料
は、(a)層状珪酸塩0.01重量%以上1重量%未
満、(b)有機カチオン0.001重量%以上1重量%
未満および(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン、
または、(a)層状珪酸塩0.01重量%以上1重量%
未満、(b)有機カチオン0.001重量%以上1重量
%未満、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよ
び(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層状珪酸塩
複合材料であって、前記配向パラメータI(040)/
I(110)が、4以上であるので、従来のポリオレフ
ィン系樹脂および複合材料に比べ、ごく少量の層状珪酸
塩の添加で剛性や耐熱性が飛躍的に向上したものとな
り、かつ層状珪酸塩複合材料を軽量化することができ
る。また、第3の層状珪酸塩複合材料において、前記配
向パラメータI(040)/I(110)、および層状
珪酸塩複合材料の灰分m(重量%)が、前述の(式1)
を満足していれば、剛性および成形加工性がさらに良好
となる。また、第3の層状珪酸塩複合材料において、前
記(d’)ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率S0 、層
状珪酸塩複合材料の曲げ弾性率Sおよび層状珪酸塩複合
材料の灰分mから前述の(式2)によって求められる灰
分1重量%あたりの曲げ弾性率の増加率Tが、40以上
であれば、剛性を飛躍的に高めることができ、成形品の
薄肉化等樹脂の減量をはかることができる。
【0138】本発明における第4の層状珪酸塩複合材料
は、(a)層状珪酸塩1〜15重量%、(b)有機カチ
オン0.1〜15重量%および(c’)不飽和単量体変
性ポリプロピレン、または、(a)層状珪酸塩1〜15
重量%、(b)有機カチオン0.1〜15重量%、
(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび
(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層状珪酸塩複
合材料であって、層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量
%)と、前述の(式3)から最小二乗法によって求めた
降伏パラメーターk0 とが、前述の(式4)の関係を満
たしているので、従来のポリプロピレン系樹脂および複
合材料に比べ、剛性、耐熱性および成形加工性が大幅に
向上したものとなる。また、第4の層状珪酸塩複合材料
において、前記(d’)ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾
性率S0 、層状珪酸塩複合材料の曲げ弾性率Sおよび層
状珪酸塩複合材料の灰分mから上記(式2)によって求
められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増加率T
は、16以上であれば、タルク等を添加した系と同じ比
重で剛性をさらに高めることができ、結果として軽量化
をはかることができる。
【0139】また、本発明の層状珪酸塩複合材料におい
て、前記(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンの重
量平均分子量が、80,000以上であれば、さらに剛
性を高めることができる。また、本発明の層状珪酸塩複
合材料の製造方法においては、あらかじめ作製された
(a)層状珪酸塩10〜70重量%、(b)有機カチオ
ン1〜45重量%、(c)不飽和単量体変性ポリオレフ
ィン10〜89重量%、および(e)ポリオレフィン系
樹脂0〜79重量%を含有する層状珪酸塩のマスターバ
ッチ組成物を(d)ポリオレフィン系樹脂に添加して、
第1の層状珪酸塩複合材料を製造しているので、従来の
ポリオレフィン系樹脂および複合材料に比べ、剛性が向
上し、成形加工性が大幅に改良された層状珪酸塩複合材
料を得ることができる。
【0140】また、本発明の層状珪酸塩複合材料の製造
方法においては、あらかじめ作製された(a)層状珪酸
塩10〜70重量%、(b)有機カチオン1〜45重量
%、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン10〜8
9重量%及び(e’)ポリプロピレン系樹脂0〜79重
量%を含有する層状珪酸塩のマスターバッチ組成物を
(d’)ポリプロピレン系樹脂に添加して、第2ないし
4の発明の層状珪酸塩複合材料を製造しているので、従
来のポリオレフィン系樹脂および複合材料に比べ、剛
性、耐熱性、成形加工性等に優れた層状珪酸塩複合材料
を得ることができる。そして、本発明の成形体は、本発
明のポリプロピレン系層状珪酸塩複合材料を成形してな
る成形体であるので、剛性、耐熱性等に優れた成形体と
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/12 C08L 23/12 53/00 53/00 //(C08L 23/00 23:26) (72)発明者 原 一博 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 樋口 礼司 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 渡辺 日出夫 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 茂木 義博 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 井上 浩文 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社内 (72)発明者 田村 堅志 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB031 BB051 BB121 BB141 BB151 BB171 BB181 BB202 BN032 BN042 BN052 BN062 BN212 BP021 CH053 DJ007 EN136 FA017

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)層状珪酸塩0.01〜15重量
    %、(b)有機カチオン0.001〜15重量%および
    (c)不飽和単量体変性ポリオレフィン、 または、(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、
    (b)有機カチオン0.001〜15重量%、(c)不
    飽和単量体変性ポリオレフィンおよび(d)ポリオレフ
    ィン系樹脂を含有する層状珪酸塩複合材料であって、 X線回折法で測定した(a)層状珪酸塩の層間距離が4
    0Å以上であることを特徴とする層状珪酸塩複合材料。
  2. 【請求項2】 (a)層状珪酸塩10〜70重量%、
    (b)有機カチオン1〜45重量%、(c)不飽和単量
    体変性ポリオレフィン10〜89重量%、および(e)
    ポリオレフィン系樹脂0〜79重量%を含有する層状珪
    酸塩のマスターバッチ組成物が、(d)ポリオレフィン
    系樹脂に添加されてなり、(a)層状珪酸塩が0.01
    〜15重量%含まれ、(b)有機カチオンが0.001
    〜15重量%含まれ、X線回折法で測定した(a)層状
    珪酸塩の層間距離が40Å以上であることを特徴とする
    層状珪酸塩複合材料。
  3. 【請求項3】 前記(c)不飽和単量体変性ポリオレフ
    ィンが、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン、お
    よび/または(d)ポリオレフィン系樹脂が、(d’)
    ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の層状珪酸塩複合材料。
  4. 【請求項4】 (a)層状珪酸塩0.01〜15重量
    %、(b)有機カチオン0.001〜15重量%および
    (c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン、 または、(a)層状珪酸塩0.01〜15重量%、
    (b)有機カチオン0.001〜15重量%、(c’)
    不飽和単量体変性ポリプロピレンおよび(d’)ポリプ
    ロピレン系樹脂を含有する層状珪酸塩複合材料であっ
    て、 X線回折法で測定した該複合材料中のポリプロピレン結
    晶(040)面の回折ピークの積分強度I(040)と
    ポリプロピレン結晶(110)面の回折ピークの積分強
    度I(110)との比からなる配向パラメータI(04
    0)/I(110)が、4以上であることを特徴とする
    層状珪酸塩複合材料。
  5. 【請求項5】 前記配向パラメータI(040)/I
    (110)、および層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量
    %)が、下記(式1)を満足することを特徴とする請求
    項4記載の層状珪酸塩複合材料。 (式1)m<0.2の場合、 I(040)/I(110)>4 0.2≦mの場合、 I(040)/I(110)>0.2m+3.96
  6. 【請求項6】 (a)層状珪酸塩0.01重量%以上1
    重量%未満、(b)有機カチオン0.001重量%以上
    1重量%未満および(c’)不飽和単量体変性ポリプロ
    ピレン、 または、(a)層状珪酸塩0.01重量%以上1重量%
    未満、(b)有機カチオン0.001重量%以上1重量
    %未満、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレンおよ
    び(d’)ポリプロピレン系樹脂を含有する層状珪酸塩
    複合材料であって、 X線回折法で測定した該複合材料中のポリプロピレン結
    晶(040)面の回折ピークの積分強度I(040)と
    ポリプロピレン結晶(110)面の回折ピークの積分強
    度I(110)との比からなる配向パラメータI(04
    0)/I(110)が、4以上であることを特徴とする
    層状珪酸塩複合材料。
  7. 【請求項7】 前記配向パラメータI(040)/I
    (110)、および層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量
    %)が、下記(式1)を満足することを特徴とする請求
    項6記載の層状珪酸塩複合材料。 (式1)m<0.2の場合、 I(040)/I(110)>4 0.2≦mの場合、 I(040)/I(110)>0.2m+3.96
  8. 【請求項8】 前記(d’)ポリプロピレン系樹脂の曲
    げ弾性率S0 (kgf/cm2 )、層状珪酸塩複合材料
    の曲げ弾性率S(kgf/cm2 )および層状珪酸塩複
    合材料の灰分m(重量%)から下記(式2)によって求
    められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増加率T
    が、40以上であることを特徴とする請求項6または請
    求項7記載の層状珪酸塩複合材料。 (式2) T=(S−S0 )/S0 ×100/m
  9. 【請求項9】 (a)層状珪酸塩1〜15重量%、
    (b)有機カチオン0.1〜15重量%および(c’)
    不飽和単量体変性ポリプロピレン、 または、(a)層状珪酸塩1〜15重量%、(b)有機
    カチオン0.1〜15重量%、(c’)不飽和単量体変
    性ポリプロピレンおよび(d’)ポリプロピレン系樹脂
    を含有する層状珪酸塩複合材料であって、 層状珪酸塩複合材料の灰分m(重量%)と、下記(式
    3)から最小二乗法によって求めた降伏パラメーターk
    0 とが、下記(式4)の関係を満たすことを特徴とする
    層状珪酸塩複合材料。 (式3) G1/2=k0+k1(ω・ηO *(ω)/ηO *(0.01))1/2 (式4)m≧1の場合、 k0≧1.75×m−1.65 m<1の場合、 k0≧0.1 (上記(式3)中、Gは、層状珪酸塩複合材料の180
    ℃での動的粘弾性測定における、角周波数ω(ラジアン
    /秒)のときの複素弾性率の絶対値(Pa)であり、ηO
    *(0.01) およびηO *(ω) は、それぞれ前記
    (d’)ポリプロピレン系樹脂の180℃での動的粘弾
    性測定における、角周波数0.01ラジアン/秒および
    角周波数ω(ラジアン/秒)のときの複素粘性率の絶対値
    (Pa・s)である。)
  10. 【請求項10】 前記(d’)ポリプロピレン系樹脂の
    曲げ弾性率S0 (kgf/cm2 )、層状珪酸塩複合材
    料の曲げ弾性率S(kgf/cm2 )および層状珪酸塩
    複合材料の灰分m(重量%)から下記(式2)によって
    求められる灰分1重量%あたりの曲げ弾性率の増加率T
    が、16以上であることを特徴とする請求項9記載の層
    状珪酸塩複合材料。 (式2) T=(S−S0 )/S0 ×100/m
  11. 【請求項11】 前記(c’)不飽和単量体変性ポリプ
    ロピレンの重量平均分子量が、80,000以上である
    ことを特徴とする請求項3ないし10いずれか一項に記
    載の層状珪酸塩複合材料。
  12. 【請求項12】 あらかじめ作製された(a)層状珪酸
    塩10〜70重量%、(b)有機カチオン1〜45重量
    %、(c)不飽和単量体変性ポリオレフィン10〜89
    重量%、および(e)ポリオレフィン系樹脂0〜79重
    量%を含有する層状珪酸塩のマスターバッチ組成物を
    (d)ポリオレフィン系樹脂に添加して、請求項1記載
    の層状珪酸塩複合材料を製造することを特徴とする層状
    珪酸塩複合材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 あらかじめ作製された(a)層状珪酸
    塩10〜70重量%、(b)有機カチオン1〜45重量
    %、(c’)不飽和単量体変性ポリプロピレン10〜8
    9重量%及び(e’)ポリプロピレン系樹脂0〜79重
    量%を含有する層状珪酸塩のマスターバッチ組成物を
    (d’)ポリプロピレン系樹脂に添加して、請求項3な
    いし9いずれか一項に記載の層状珪酸塩複合材料を製造
    することを特徴とする層状珪酸塩複合材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし11いずれか一項に記
    載の層状珪酸塩複合材料を成形してなることを特徴とす
    る成形体。
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