JP4059690B2 - ウエハ芯出し装置及び方法並びにプログラムとウエハ搬送装置、検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の製造装置や検査装置に適用されるウエハ芯出し装置及び方法並びにプログラムとウエハ搬送装置、検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の半導体の製造装置や検査装置には、ウエハ芯出し装置が適用されたウエハ搬送装置が組み込まれており、該装置によりカセットから取り出したウエハを搬送し、規定の位置に位置決めするようになっている。
【0003】
かかるウエハ芯出し装置が適用されるウエハ搬送装置の従来例として特許第2611251号公報に記載されたものがある。すなわち、同公報には、2組の検出手段から出力されるウエハのエッジを示す4つのエッジ座標データのうち、円の方程式によって任意の3つのエッジ座標データを用いて基板の中心位置を算出する方法が開示されている。
【0004】
また、ウエハのように位置合わせ形状部であるオリフラ(オリエンテーションフラット:O.F.)又はノッチが存在する基板について、位置決めを実施する場合においては、4点のエッジ座標データより3点を選択する4組の組合せを作り、各組それぞれ3点の座標を円の方程式に代入して、計算から求めた4個の半径のうち最も長い半径を示す中心点が正規の中心とする方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記従来例では、円の方程式を用いてウエハの中心座標を算出しているため、カセット内のウエハの収納位置及び、オリフラ又はノッチの向きによっては、正しくウエハの中心座標を算出できない場合がある。このことについて、以下詳細に説明する。
【0006】
先ず、4点のエッジ座標データうちの何処かにオリフラが存在する場合において、上述した従来例では、求めた4点のエッジ座標データより3点のエッジ座標データを選択する4組の組合せを作り、各組それぞれ3点のエッジ座標データを円の方程式に代入して、計算から求めた4個の半径のうち最も長い半径を示す中心点が正規の中心とすることになる。
【0007】
ここで、図10及び図11を参照して、オリフラ位置と求まる半径との関係を説明する。図10(a)(b)及び図11(a)(b)は、弦BC<弦ADの場合、つまり−Y軸方向にウエハがずれていた場合である。
【0008】
図10は、ウエハが下側にずれていた場合でオリフラが点Bに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示し、図11は、同じくオリフラが点Aに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示している。
【0009】
図10及び図11に示すように、点B又は点Cにオリフラが存在した場合においては、∠ABC、∠BCDは鈍角となるため、それぞれの3点のエッジ座標データから計算される円の半径は正規の半径よりか大きくなる(図10のRabc)。
【0010】
逆に、点A又は点Dにオリフラが存在した場合においては、オリフラの掛かり量が少ないと∠BAD、∠CDAは鋭角となるため、それぞれの3点のエッジ座標データから計算される円の半径は既知の半径より小さくなる。
【0011】
しかし、オリフラの掛かり量が多くなってくると、弦BC=弦ADとなる場合が存在し、検出された4点で構成される図形は平行四辺形となり、この場合は点BAD、点BCDから求まる円の半径は等しくなってしまう(図11のRdabがRbcdと交差する点)。
【0012】
図12におけるRcdaがRabcと交差する点の状態を図示したのが図14である。
【0013】
さらに、オリフラの掛かり量が多くなってくると、弦BC>弦ADとなり、の半径は既知の半径より大きくなる(図11のRdab)。
【0014】
同様に弦BC>弦ADの場合、つまり+Y軸方向にウエハがずれていた場合の半径値の推移を、図12(a)(b)、図13(a)(b)に示す。図12は、ウエハが上側にずれていた場合でオリフラが点Bに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示し、図13は同じくオリフラが点Aに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示している。
【0015】
上記計算例より、検出された4点のエッジ座標データより3点を選択する4組の組合せを作り、各組それぞれ3点の座標を円の方程式に代入して、計算から求めた4個の半径のうち最も長い半径を示す中心点が正規の中心とは限らない。
【0016】
さらに、得られた4個のエッジ座標データにおいて、どの点のデータがオリフラに掛かったデータか判断できず、無条件に半径が最大となる円の中心をウエハ中心と判断するため、オリフラを含んだ3点のエッジ座標データから算出した中心と原点との中心ずれ量に基づいてウエハの中心位置決めをしてしまうと、原点に対してウエハの中心が大きくずれる虞がある。
【0017】
このように、ウエハの中心位置がずれると、次工程にてオリフラ合わせ実施する場合においても、ウエハの偏芯が大きくなり、オリフラ合わせが実施でない虞がある。さらに、次工程やウエハカセットヘウエハを安全に搬送することができず、ウエハ破損を生ずる虞がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来例では、原点に対して対称に配置した一対のセンサにより、4点又は3点のエッジ座標データを用いてウエハの中心座標を算出するようにしているので、正しくウエハを位置決めすることができずウエハを破損する虞があるという問題があった。
【0019】
本発明の目的は、ウエハを規定位置に位置決めすることが可能なウエハ芯出し装置及び方法並びにプログラムとウエハ搬送装置、検査装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、ウエハの芯出しを行なうウエハ芯出し装置において、前記ウエハをテーブルに搬送するウエハ搬送部と、前記ウエハ搬送部の搬送方向に交差する方向に沿い且つ前記テーブルの回転中心を通る前記搬送方向の軸に対して前記ウエハの複数のエッジ座標を常に所定の順番で検出するよう非対称に配置され、センサ間の距離を位置合わせ形状部の長さより大きくした第1と第2の2つのセンサと、前記2つのセンサにより得られた複数のエッジ座標データのうち前記ウエハに形成された前記位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求め、この求められたウエハの中心と前記テーブルの回転中心とのズレ量を求める演算部と、を備え、この演算部で求められたズレ量に基づいて前記テーブルの回転中心に前記ウエハの中心を合わせる。
【0022】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明について、前記演算部は、前記一方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標と、前記他方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標が一致しているかを判定し、一致していると判定した場合に前記複数のエッジ座標データから任意の3点のエッジ座標データに基づいてウエハの中心位置を求める。
【0023】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明について、前記演算部は、前記一方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標と、前記他方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標が一致しているかを判定し、一致していると判定した場合に各エッジ座標データの3点の組み合わせから複数のウエハの中心位置を求め、この複数の中心位置の平均値を求める。
【0024】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明について、前記演算部は、前記一方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標と、前記他方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標が一致しているかを判定し、一致していないと判定した場合に前記ウエハに形成された位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求める。
【0025】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明について、前記演算部は、一致しないと判定した場合、前記各センサにより検出された2点のエッジ座標データからそれぞれの弦の長さを実測し、一方の実測弦に対する他方の弦の長さを計算して求め、この計測した弦の長さと他方の実測弦の長さとの差の半値と前記各実測弦の中点の差とを比較して前記位置合わせ形状部が含まれるエッジ座標データを特定する。
【0026】
請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明について、前記演算部は、前記各エッジ座標データの3点の組み合わせからそれぞれウエハの中心位置を求め、これら各中心位置から最も大きい半径を示す3点のエッジ座標データの組み合わせと、2番目に大きい半径を示す3点のエッジ座標データを抽出し、これら2組の組み合わせに対応する前記各弦が正しいかを判断する。
【0027】
請求項7に係る発明は、請求項1に係る発明について、前記演算部は、前記各エッジ座標データの3点の組み合わせからそれぞれウエハの中心位置を求め、これら各中心位置からの各半径値を求め、最も正規の半径値に近い3点の組み合わせの中心位置を前記ウエハの中心とする。
【0028】
請求項8に係る発明は、テーブルにウエハを搬送するウエハ搬送部において、 前記ウエハ搬送部の搬送方向に交差する方向に沿い且つ前記テーブルの回転中心を通る前記搬送方向の軸に対して前記ウエハの複数のエッジ座標を常に所定の順番で検出するよう非対称に配置され、センサ間の距離を位置合わせ形状部の長さより大きくした第1と第2の2つのセンサにより得られた複数のエッジ座標データのうちウエハに形成された前記位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求め、この求められたウエハ中心と前記テーブルの回転中心とのズレ量を求める。
【0029】
請求項9に係る発明は、コンピュータに、テーブルにウエハを搬送するウエハ搬送部において前記ウエハ搬送部の搬送方向に交差する方向に沿い且つ前記テーブルの回転中心を通る前記搬送方向の軸に対して前記ウエハの複数のエッジ座標を常に所定の順番で検出するよう非対称に配置され、センサ間の距離を位置合わせ形状部の長さより大きくした第1と第2の2つのセンサにより得られた複数のエッジ座標データのうちウエハに形成された前記位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求めさせ、この求められたウエハ中心と前記テーブルの回転中心とのズレ量を求めさせる。
請求項10に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に係るウエハ芯出し装置を備え、カセットから前記ウエハを取り出し規定の位置まで搬送する。
請求項11に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に係るウエハ芯出し装置を備える。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るウエハ芯出し装置及び方法並びにプログラムの好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のウエハ芯出し装置が適用されるウエハ搬送装置の構成図であり、ウエハ1を収納したカセット2は、カセット台3上に設置されており、図示しない制御部により、エレベータ機構部4が制御されることにより、上下動可能となっている。
【0032】
カセット2からウエハ1を取り出したり収納したりするためのウエハ取り出しアーム5とウエハ1のオリフラ合わせを実施するためのセンタテーブル6及びオリフラ合わせセンサ7が設けられている。
【0033】
ウエハ取り出しアーム5は、図2に示すように、カセット2からウエハ1を取り出すウエハ取り出し方向(X軸)に往復移動し、カセット2から取り出したウエハ1をセンタテーブル6に搬送する。また、ウエハ取り出しアーム5は、センタテーブル6とウエハ1の位置関係を相対的に移動させるための、ウエハ取り出し方向と直角方向(Y軸)及び、センタテーブル6にウエハ1を受け渡すための上下方向(Z軸)に移動可能となっている。図2における符号100は、ウエハ1が搬送されて位置決めされた状態を示している。
【0034】
さらに、カセット台3とセンタテーブル6の間のウエハ搬送路上に設けられた取り付け体10には、2個のセンタリングセンサ8、9が取り付けられている。
【0035】
このセンサ8、9は、図3に示すように、原点(規定ウエハ中心)から距離L1にセンサ8を配置し、原点から距離L2にセンサ9を非対称に配置することで、センサ間中心とウエハ中心とがtだけずれた配置関係となっている。換言すると、センサ8、9は、ウエハ搬送方向に交差する方向に沿い且つ規定ウエハ中心と非対称に配置されている。
【0036】
また本実施形態のウエハ搬送装置は、センサ8、9からの出力値が取り込まれる演算部11と、演算部11により演算された芯出し補正量だけウエハ1を移動するべくウエハ取り出しアーム5を移動させるウエハ移動機構12及びデータを記憶するメモリ13とが設けられている。ウエハ移動機構12は、ウエハ取り出しアーム5をX軸方向及びY軸方向に移動する際に、基準位置からの移動量が把握できるように、例えばパルスモータで駆動されている。
【0037】
このようなハードウェア構成の下で、本実施形態のウエハ芯出し及び位置決めは、次のようにして行われる。
【0038】
図4〜図7に示すフロー図のように、カセット2からウエハ取り出しアーム5により取り出されたウエハ1は、2個のセンサ8、9を通過する過程において、図3に示すように、4点(A点,B点,C点,D点)のエッジ座標データが検出され、メモリ13に検出データとして格納される(ステップS1〜S8)。
【0039】
この場合、2個のセンサ8、9は、センサ間中心とウエハ中心が一致しないように非対称に配置されていることにより、検出されるA〜Dの4点は、カセット内でのウエハずれが発生しても、必ずA→B→C→Dの順番で取り込まれる。
【0040】
具体的に示すと、ウエハにOFが存在せず、カセット2内のウエハ1が、カセット内でずれていなかった場合は、2個のセンサ中心とカセット2内のウエハ1の中心を同軸上に設置しておけば、必ずセンサ8,9の検出は同時になる。
【0041】
しかし、ウエハにはOFが存在するため、たとえ、カセット2内のウエハ1が、カセット内でずれていなかった場合においても、2個のセンサ中心とカセット2内のウエハ1の中心を同軸土に設置すると、センサ8側にOFが存在した場合とセンサ9側にOFが存在した場合では、検出される4点(A点、B点、C点、D点)の順番は異なる。
【0042】
しかし、センサ9側にOFが掛かっても、センサ9側のほうが先に検出される寸法量だけ、センサ8,9の2個のセンサ中心をカセット2内のウエハ1の中心とずらして配置することにより、必ず、A→B→C→Dの順番で座標値が検出される事が可能となる。
【0043】
センサ8及び9の検出位置を結んだ直線とウエハ搬送方向(X軸)とが直角でない場台は、そのずれ量を予めメモリ13に記憶させておくことにより、計算上はセンサ8,9の検出位置と、ウエハ搬送方向は常に直交させる事が可能である。
【0044】
さらに、実際はカセット2内のウエハ1の中心はカセット2内で2mm程度はずれる可能性がある。従って、カセット2内のウエハ1の中心がカセット2内でずれた場合においても、必ず、A→B→C→Dの順番で座標値が検出されるように、センサ8,9の2個のセンサ中心をカセット2内のウエハ1の中心とずらして配置することにより、必ず、A→B→C→Dの順番で座標値が検出されるようにセンサを配置する必要がある。
【0045】
次に、弦ADの中点Eの座標と、弦BCの中点Fの座標とを算出し(ステップS9〜S10)、EとFのX座標が一致しているか判定する(ステップS11)。
【0046】
ここで、ステップS11にて、一致していると判定されると、ステップS12〜S16とステップS37〜S41とにより、ウエハ芯出し及び位置決めが行われ、一致していないと判定されると、ステップS17〜S36とステップS37〜S41とにより、ウエハ芯出し及び位置決めが行われる。
【0047】
弦ADの中点Eと弦BCの中点Fの座標は等しく、4点の何れの点にもオリフラが存在しない場合である。
【0048】
ステップS12〜S15において、図8に示すように、得られた4点から3点(ABC,BCD,CDA,DAB)の組合せから4個の中心座標(Oabc,Obcd,Ocda,Odab)を算出し、次いでこれら4点の中心座標値の平均値を算出(ステップS16)する。
【0049】
また、演算時間の短縮のために、得られた4点のうち任意の3点から中心座標を算出するようにして、(ステップS12〜S15の任意の1種類の計算だけを実施)平均化処理を省略しステップBに進んでもよい。さらに、演算時間の短縮のために、図9に示すように、直線ADの中点Eと直線BCの中点FのX座標が一致しているため、中点E及びFのX座標値がウエハのずれ量をΔXとし、弦AD長さの1/2とウエハ半径Rを用いて、三平方の定理より、ΔY=√{R2−(AD/2)2}を求めても同様の結果が得られる。
【0050】
ここで、各中心座標は、次の第1の計算法で求める。
【0051】
以下に、点BCDからウエハの中心Obcd(Xbcd,Ybcd)を求める計算式を示す。
【0052】
第1の計算法は、2点C(Xc,Yc)とD(Xd,Yd)とを結ぶ弦CDの垂直2等分線と、2点C(Xc,Yc)とB(Xb,Yb)を結ぶ弦CBの垂直2等分線との交点座標を求めるものであり、これがウエハの中心Obcdとなる。先ず、弦ADの中点と弦BCの中点座標が等しくない場合は、中点EとFの差△EFを算出する(ステップS17)。
【0053】
但し、C(Xc,Yc)とB(Xb,Yb)を結ぶ弦は、X軸(ウエハ取り出し方向)に平行である。2点C(Xc,Yc)とD(Xd,Yd)を結ぶ弦CDの方程式は、下記式1〜3となる。
【0054】
(X−Xc)/(Xd−Xc)=(Y−Yc)/(Yd−Yc) …式1
(Y−Yc)=m(X−Xc)
m=(Yd−Yc)/(Xd−Xc)…式2
Y=mX−mXc+Yc …式3
式3に直交する直線をY′=m′X′と表すと、m′=−1/mより、下記式4となる。
【0055】
Y′=m′X′=(Xd−Xc)/(Yd−Yc)X′、
m′=−(Xd−Xc)/(Yd−Yc) …式4
2点C(Xc,Yc)とD(Xd,Yd)の中点座標H(Xh,Yh)は、式5のようになる。
【0056】
Xh=(Xc+Xd)/2、Yh=(Yc+Yd)/2 …式5
従って、2点C(Xc,Yc)とD(Xd,Yd)とを結ぶ弦CDに直交する直線は、H(Xh,Yh)を通ることより、
Y′−Yh=m′(X′−Xh) …式6
Y′=m′X′−m′Xh+Yh、
m′=−(Xd−Xc)/(Yd−Yc)
…式7′
と表わせる。
【0057】
なお、ここでXd,Xcとは、2個のセンタリングセンサをウエハが通過する過程において得られたX座標値である。また、Yd及びYcは固定値であり、原点からのY座標値を表す。Yd,YaはL2、Yc,YbはL1となる。
【0058】
同様に、2点C(Xc,Yc)と、B(Xb,Yb)とを通る弦CBの垂直2等分線を求め、6′式との交点Obcd(Xbcd,Ybcd)を求める。
【0059】
但し、ここでC(Xc,Yc)とB(Xb,Yb)を通る弦CBは、X軸に平行な直線であるため、2点C(Xc,Yc)とB(Xb,Yb)の中点座標F(Xf,Yf)のX座標値は、求める6′式との交点ObcdのX座標値Xbcdと同じである。
【0060】
Xf=(Xc+Xb)/2=Xbcd …式9
求めたXfを、6′式のX′に代入することにより、交点ObcdのY座標値Ybcdが求まる。
【0061】
Y′=m′X′−m′Xh+Yh=m′Xf′−mXh+Yh=Ybcd
…式8
同様に残りの3通りの組み合わせから、3個の中心座標を求める。
【0062】
以上により、Obcdは(Xbcd,Ybcd)となる。
【0063】
4点の中心座標値を第1の計算法で求めた後、ステップS16にて4点の中心座標値の平均値を求め、ウエハのずれ量(△X,△Y)としてメモリ13に登録する(ステップS37)。
【0064】
センタテーブル6上で、ウエハ取り出しアーム5を、登録されたずれ量(△X,△Y)だけ移動させた後(ステップS38)、センタテーブル6上にウエハを受け渡すことにより(ステップS39)、センタテーブル6の中心と、カセット2から取り出したウエハ1の中心が一致する。
【0065】
センタテーブル6の中心と、カセット2から取り出したウエハ1の中心が一致し、センタテーブル6上でウエハを回転させ、オリフラ又はノッチ位置を検出することにより、ウエハの位置決めが完了する(ステップS40〜S41)。
【0066】
一方、ステップS11にて、EとFとの差が一致しないと判定された場合は、4点の中心座標値を、ステップS12〜S16に代えてステップS17〜S36により求め、ステップS37〜S41により、ウエハ芯出し及び位置決めを行う。
【0067】
この場合、第2の計算式を用いる。第2の計算式は、一方の実測弦BCから、他方の弦A′D′を計算により求めるものである。
【0068】
2点B(Xb,Yb)とC(Xc,Yc)を結ぶ弦BCの長さは、
BC=Xc−Xb
…10式
弦BCが正しいと仮定した場合における、弦A′D′の長さを求める。
【0069】
図9に示すように、Rはウエハ半径、センサ間寸法をL、規定中心(原点)からセンサ8までの寸法をL1、規定中心(原点)からセンサ9までの寸法をL2とすると、弦BCが正しいと仮定した場合における、ウエハ中心からセンサ9までの寸法をL2′とし、R、L1′BC/2で構成される三角形より三平方の定理を用いると、
L1′2=R2−(BC/2)2
L1′ =√(R2−(BC/2)2) …11式
センサ間寸法Lは固定値のため、
ウエハ中心からセンサ9までの寸法をL2′とすると、
L2′=L−L1′ …式12
このL2′より弦A′D′の長さを求める。
【0070】
R、L2′、A′B′/2で構成される三角形より同様に三平方の定理を用いて、
(A′D′/2)2=R2−(L2′)2
A′D′=2*√(R2−(L2′)2 …式13
弦BCの長さを基準として、計算した弦A′D′の長さと実際の弦ADの長さの差の半分(ΔAD/2)がΔEFと等しければ弦ADのAもしくはDにオリフラが掛かっていることになる。ここで、弦BCの中点FにおけるX座標値は正しいウエハ中心のX座標値を表わしている。これに対し、弦ADはオリフラが掛かった分だけ短くなるため、弦ADの中点EにおけるX座標値は、オリフラが掛かった長さの半分だけ原点を基準に長くなる。
【0071】
従って、原点からEまでのX座標値と、原点からFまでのX座標値を比較し、E>Fであれは、Aにオリフラか掛かっていると判定する。逆にE<Fであれば、Dにオリフラが掛かっていると判定する。
【0072】
同様に、弦ADの長さを基準として、計算した弦B′C′の長さと実際の弦BCの長さの差の半分(ΔBC/2)がΔEFと等しければ弦BCにオリフラが掛かっていることになる。
【0073】
従って、原点からEまでのX座標値と、原点からFまでのX座標値を比較し、E>Fであれは、Cにオリフラが掛かっていると判定する。逆にE<Fであれば、Bにオリフラが掛かっていると判定する。
【0074】
同様にして、弦ADが正しいと仮定した場合における、弦B′C′の長さを求めることができる。
【0075】
その後、各検出した弦AD及び弦BCの長さを用いて、検出点A、B、C、Dの何れにオリフラが掛かっているかの判断を実施した後、オリフラ部のデータを除いた残りの3点から第1の計算方法もしくは上記第2の計算式で用いた三平方の定理よりウエハの中心を算出する。
【0076】
このウエハ中心値は、ウエハのずれ量(△X,△Y)としてメモリ13に登録する(ステップS37)。
【0077】
センタテーブル6上で、ウエハ取り出しアーム5を、登録された(△X,△Y)だけ移動させた後(ステップS38)、センタテーブル6上にウエハを受け渡すことにより(ステップS39)、センタテーブル6の中心と、カセット2から取り出したウエハ1の中心が一致する。
【0078】
センタテーブル6の中心と、カセット2から取り出したウエハ1の中心が一致し、センタテーブル6上でウエハを回転させ、オリフラ又はノッチ位置を検出することにより、ウエハの位置決めが完了する(ステップS40〜S41)。
【0079】
(第2の実施形態)
図1に示す構成によれば、カセット2からウエハ取り出しアーム5により取り出されたウエハ1は、2個のセンサ8、9を通過する過程において、第3図に示すように、4点のエッジ座標データが検出され、センサ間中心とウエハ中心が一致しないように非対称に配置されていることにより、検出されるA〜Dの4点は、カセット2内でのウエハ1の位置ずれが発生しても、必ずA→B→C→Dの順番で取り込まれる。
【0080】
ここで、得られた4点のエッジ座標データから3点(ABC,BCD,CDA,DAB)の組合せから4個の中心座標を算出し、この値から各半径値を求め、最も正規の円の半径に近い中心点をウエハのずれ量として図示しないメモリ13に△X,△Yとして登録する。
【0081】
センタテーブル6上で、ウエハ取り出しアーム5を、メモリ13に登録された△X,△Yだけ移動させた後、センタテーブル6上にウエハ1を受け渡すことにより、センタテーブル6の中心と、カセット2から取り出したウエハ1の中心が一致する。
【0082】
センタテーブル6の中心と、カセット2から取り出したウエハ1の中心が一致し、センタテーブル6上でウエハ1を回転させ、オリフラ又はノッチ位置を検出することにより、ウエハの位置決めを完了させても同様の効果を得ることが可能である。
【0083】
(第3の実施形態)
上述した第2の計算式では、実測弦BCから、他方の弦A′D′を算出しているが、予め、実測弦BCに対応する他方の弦A′D′の長さ、及び実測弦ADに対応する他方の弦B′C′の長さを算出しておき、例えばメモリ13にマップデータとして保持しておくことにより、演算時間を必要とせずに、どちらの弦が正しいかの判断が可能となり、搬送速度の向上につながる。
【0084】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、図15〜図18に示すように、ウエハが下側又は上側にずれていた場合でオリフラが点B又はA側に掛かっていたときに好適な例である。
【0085】
図1に示す構成によれば、カセット2からウエハ取り出しアーム5により取り出されたウエハ1は、2個のセンサ8、9を通過する過程において、第3図に示すように、4点のエッジ座標データが検出され、センサ間中心とウエハ中心が一致しないように非対称に配置されていることにより、検出されるA〜Dの4点は、カセット2内でのウエハ1の位置ずれが発生しても、必ずA→B→C→Dの順番で取り込まれる。
【0086】
ここで、得られた4点のエッジ座標データから3点(ABC,BCD,CDA,DAB)の組合せから算出される4個の中心点を算出する。
【0087】
本実施形態では、4個の中心点の値から各半径値を求め、最も大きい半径を示す座標値の組み合わせと、2番目に大きい半径を示す座標値の組み合わせを抽出し、各座標値から、上記第1の実施形態で示した第2の計算式で、実測弦BCに対応する他方の弦A′D′の長さ、及び実測弦ADに対応する他方の弦B′C′の長さを算出し、どちらの弦が正しいか判断し、その結果により、中心を求めても同様の効果が得られる。
【0088】
なお、上述した各実施形態においては、ウエハ搬送中にウエハのオリフラ位置を検出するものとなっているが、図1において、センタテーブル6上でウエハ1を回転させてオリフラを検出するに際し、センサ8,9にもっとも近い回転方向に、センタテーブル6が回転制御されるように、センタテーブル6を移動させるウエハ移動機構12を配置することにより、オリフラ検出のために動作する回転角度がもっとも少なくてすみ、オリフラ合わせの時間短縮が可能となる。
【0089】
本発明によるウエハ芯出し制御は、ウエハ搬送方向に交差する方向に沿い且つ規定ウエハ中心と非対称に配置された二つのセンサ8,9からの検出値を演算部11により演算して補正量を演算するものであるが、演算部11の構成としてはハードウエアとして構成する他に、演算部11をコンピュータ又はコンピュータの一部の機能により構成すると共に図4〜図7のフローが実施される方法又はプログラムを当該コンピュータによる演算部11により実行するソフトウエアとして構成とすることもできる。
【0090】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ウエハ搬送方向に交差する方向に沿い且つ規定ウエハ中心と非対称に配置された二つのセンサからの検出データからウエハのオリフラを判断して、該オリフラに掛かるデータ以外の残りの3点でウエハの中心座標値を算出するため、正しいウエハ中心を求めることが可能なウエハ芯出し装置及び方法並びにプログラムとウエハ搬送装置、検査装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウエハ芯出し装置の一の実施形態を示す図。
【図2】同の実施形態における要部を示す斜視図。
【図3】同の実施形態の装置から得られる検出座標の状態を示す図。
【図4】同の実施形態の装置の制御部による動作フロー図。
【図5】同の実施形態の装置の制御部による動作フロー図。
【図6】同の実施形態の装置の制御部による動作フロー図。
【図7】同の実施形態の装置の制御部による動作フロー図。
【図8】図1の装置の制御部による中心を算出する説明図。
【図9】図1の装置の制御部によるオリフラ位置を算出する説明図。
【図10】オリフラ位置と求まる半径との関係を説明するものであって、ウエハが下側にずれていた場合でオリフラが点Bに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図11】同オリフラが点Aに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図12】同オリフラ位置と求まる半径との関係を説明するものであって、ウエハが上側にずれていた場合でオリフラが点Bに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図13】同オリフラが点Aに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図14】図1の装置の制御部による中心を算出する説明図。
【図15】センサをウエハ中心からずらして配置した場合における、オリフラ位置と求まる半径との関係を説明するものであって、ウエハが下側にずれていた場合でオリフラが点Bに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図16】同オリフラが点Aに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図17】センサをウエハ中心からずらして配置した場合における、オリフラ位置と求まる半径との関係を説明するものであって、ウエハが上側にずれていた場合でオリフラが点Bに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【図18】同オリフラが点Aに掛かっていたときのオリフラの掛かり量と半径との関係を示す図。
【符号の説明】
1 … ウエハ
2 … カセット
3 … カセット台
4 … エレベータ機構部
5 … ウエハ取り出しアーム
6 … センタテーブル
7 … オリフラ合わせセンサ
8 … センサ
9 … センサ
10 … 取り付け体
11 … 演算部
12 … ウエハ移動機構
13 … メモリ
Claims (11)
- ウエハの芯出しを行なうウエハ芯出し装置において、
前記ウエハをテーブルに搬送するウエハ搬送部と、
前記ウエハ搬送部の搬送方向に交差する方向に沿い且つ前記テーブルの回転中心を通る前記搬送方向の軸に対して前記ウエハの複数のエッジ座標を常に所定の順番で検出するよう非対称に配置され、センサ間の距離を位置合わせ形状部の長さより大きくした第1と第2の2つのセンサと、
前記2つのセンサにより得られた複数のエッジ座標データのうち前記ウエハに形成された前記位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求め、この求められたウエハの中心と前記テーブルの回転中心とのズレ量を求める演算部と、
を備え、
この演算部で求められたズレ量に基づいて前記テーブルの回転中心に前記ウエハの中心を合わせることを特徴とするウエハ芯出し装置。 - 前記演算部は、前記一方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標と、前記他方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標が一致しているかを判定し、一致していると判定した場合に前記複数のエッジ座標データから任意の3点のエッジ座標データに基づいてウエハの中心位置を求めることを特徴とする請求項1に記載のウエハ芯出し装置。
- 前記演算部は、前記一方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標と、前記他方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標が一致しているかを判定し、一致していると判定した場合に各エッジ座標データの3点の組み合わせから複数のウエハの中心位置を求め、この複数の中心位置の平均値を求めることを特徴とする請求項1に記載のウエハ芯出し装置。
- 前記演算部は、前記一方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標と、前記他方のセンサにより検出された2点のエッジ座標データの中点X座標が一致しているかを判定し、一致していないと判定した場合に前記ウエハに形成された位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求めることを特徴とする請求項1に記載のウエハ芯出し装置。
- 前記演算部は、一致しないと判定した場合、前記各センサにより検出された2点のエッジ座標データからそれぞれの弦の長さを実測し、一方の実測弦に対する他方の弦の長さを計算して求め、この計測した弦の長さと他方の実測弦の長さとの差の半値と前記各実測弦の中点の差とを比較して前記位置合わせ形状部が含まれるエッジ座標データを特定することを特徴とする請求項4に記載のウエハ芯出し装置。
- 前記演算部は、前記各エッジ座標データの3点の組み合わせからそれぞれウエハの中心位置を求め、これら各中心位置から最も大きい半径を示す3点のエッジ座標データの組み合わせと、2番目に大きい半径を示す3点のエッジ座標データを抽出し、これら2組の組み合わせに対応する前記各弦が正しいかを判断することを特徴とする請求項1に記載のウエハ芯出し装置。
- 前記演算部は、前記各エッジ座標データの3点の組み合わせからそれぞれウエハの中心位置を求め、これら各中心位置からの各半径値を求め、最も正規の半径値に近い3点の組み合わせの中心位置を前記ウエハの中心とすることを特徴とする請求項1記載のウエハ芯出し装置。
- テーブルにウエハを搬送するウエハ搬送部において、 前記ウエハ搬送部の搬送方向に交差する方向に沿い且つ前記テーブルの回転中心を通る前記搬送方向の軸に対して前記ウエハの複数のエッジ座標を常に所定の順番で検出するよう非対称に配置され、センサ間の距離を位置合わせ形状部の長さより大きくした第1と第2の2つのセンサにより得られた複数のエッジ座標データのうちウエハに形成された前記位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求め、この求められたウエハ中心と前記テーブルの回転中心とのズレ量を求めるウエハ芯出し方法。
- コンピュータに、テーブルにウエハを搬送するウエハ搬送部において前記ウエハ搬送部の搬送方向に交差する方向に沿い且つ前記テーブルの回転中心を通る前記搬送方向の軸に対して前記ウエハの複数のエッジ座標を常に所定の順番で検出するよう非対称に配置され、センサ間の距離を位置合わせ形状部の長さより大きくした第1と第2の2つのセンサにより得られた複数のエッジ座標データのうちウエハに形成された前記位置合わせ形状部を含まない3点のエッジ座標データに基づき前記ウエハの中心を求めさせ、この求められたウエハ中心と前記テーブルの回転中心とのズレ量を求めさせるためのウエハ芯出しプログラム。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載のウエハ芯出し装置を備え、カセットから前記ウエハを取り出し規定の位置まで搬送することを特徴とするウエハ搬送装置。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載のウエハ芯出し装置を備えたことを特徴とする検査装置。
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