JP4059269B2 - ポリウロン酸誘導体およびポリウロン酸誘導体を含んでなる水性インク組成物 - Google Patents

ポリウロン酸誘導体およびポリウロン酸誘導体を含んでなる水性インク組成物 Download PDF

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Description

本発明は、新規なポリウロン酸誘導体と、それを分散剤または添加ポリマーとして含んでなるインク組成物、とりわけインクジェット記録方式に用いられるインク組成物に関する。
インクジェット印刷は、コンピュータにより発生するデジタル信号にプリンタが応答してインク滴を生成する非インパクト印刷法である。インク滴は、紙や透明フィルム等の基材に付着する。インクジェットプリンタは、印字品質、低コスト、比較的静かな動作音、グラフィック形成能により、広く普及している。
インクジェットプリンタに使用されるインクは、染料系インクまたは顔料系インクに分類できる。染料系インクは、ほとんどの用途において満足できるものであるが、一般的に耐光性および耐水性に劣ることがある。印刷物にはある程度の耐久性が期待されるため、染料系インクにより得た印刷画像が、耐光性および耐水性において劣ることは問題となる。一方、顔料系インクは、耐光性および耐水性に優れている。したがって、耐久性が求められる印刷物においては、染料系インクよりも顔料系インクが一般的に好ましい。
インクジェット記録において重要なことは、エッジが鋭く、または画像が鮮鋭で、かつできるだけフェザリングと呼ばれるにじみの少ない印刷物を、「普通紙」において得ることができるかどうか、ということである。最近、普通紙に優れた印刷物品質を実現できるインクジェットプリンタが、益々求められている。本発明における主な焦点は、普通紙における、印刷画像のエッジの鋭さまたは鮮鋭度により定義される印刷物品質である。普通紙に良好な品質の印刷物を得られるように適切に構成された顔料系インクが特に求められている。
インク滴が、インクジェット印刷により吐出され、紙面に接触すると、インクが接触点から広がり、紙に浸透する。ほとんどの普通紙に存在するセルロース繊維は、毛管作用により、個々の繊維の長さの方向に沿って液体を吸い込む芯の役割を果たす。着色剤を溶剤に均一に溶解した染料系インクの場合、着色剤は広がり、浸透し、セルロース繊維の長さ方向に沿って、着色剤は溶剤と全く同じ程度に吸い込まれる。染料系インクを用いた場合、得られる着色ドットのエッジの明瞭性が悪くフェザリングを伴うことがある。
着色剤を溶剤に均一に分散した顔料系インクの場合、着色剤の分散安定性が紙との接触により失われない限り、着色剤は広がり、浸透し、セルロース繊維の長さ方向に沿って、溶剤とほぼ同じ程度にまで吸い込まれる。通常の顔料系インクを用いた場合、得られる着色ドットのエッジの明瞭性が悪くフェザリングを伴うことがある。
これに対して、着色剤の分散安定性が紙との接触により失われてしまうように構成された顔料系インクでは、着色剤は広がったり浸透せず、すなわちセルロース繊維の長さ方向に沿って吸い込まれない。この種のインクでは、着色剤は溶剤キャリアから効果的に分離する。その結果、エッジの境界が鮮明で、フェザリングは無視できる程度の着色ドットが得られる。
水に顔料を分散させる分散剤は、当業者に公知であり、塗料等の被膜を種々の基材に適用するのに使用されてきた。ポリウロン酸を用いた分散剤の提案もなされている。例えば、米国特許第6,242,529号には、疎水性ポリマーがポリウロン酸の還元末端に共有結合的に結合したポリウロン酸誘導体である分散剤が記載されている。この疎水性ポリマーは、スチレンまたは置換スチレン、ビニルピリジンまたは置換ピリジン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンからなる群から選択された少なくとも一つのモノマーから生成されたホモポリマーまたはコポリマーである。疎水性ポリマーには、また、ポリ(ジメチルシロキサン)、疎水性ポリアミドおよび疎水性ポリアミンも含まれる。
一方、信頼性のある水性顔料系インクを得るための一般的な一つの方法として、インク組成に自己分散型顔料を使用することが挙げられる。「自己分散型」という表現が一般的に示すように、このような顔料は、水性キャリア中で顔料分散を安定させるための分散剤、例えばポリマー分散剤や界面活性剤、を必要としない。顔料を自己分散型にするために、顔料粒子の表面に電荷を有する官能基を十分な数ほど意図的に導入させる方法を取る。この方法は、カーボンブラックに基づくブラック顔料に広く適用されている。
普通紙での印刷品質に関して、インク組成に自己分散型顔料を使用する水性顔料系インクには優位な点がある。とりわけ、印刷品質における優位性は、自己分散型顔料を使用した場合、顔料成分の比率が比較的高いインクを生成できるという事実に基づく。普通紙にインクが印刷される場合、一般的に、顔料成分比率が高いと、光学濃度が高くなる。上記の通り、光学濃度が低いことで「鈍い」と認識される画像と比較して、光学濃度が高くなると、一般的に、消費者に好まれる画像が得られる。
しかし、自己分散型顔料を含む水性顔料系インクを専用コート紙に印刷したとき、光沢不良や付着力不足を伴うことがある。この不具合は、一般に、インク中にポリマー分散剤が含有されていないことに起因する。一般に樹脂で、顔料表面に部分的に吸着されているポリマー分散剤は、顔料の粗い表面を滑らかにする光沢材としての役割および顔料粒子間の接着ならびに顔料粒子と専用紙表面の接着を仲介するバインダーとしての役割の両方を果たす。
自己分散型顔料を使用するインクの付着力不足を解決する単純かつ明確な方法は、インク組成にバインダー樹脂を添加することである。光沢材として機能するバインダー樹脂を含有することで、純粋な自己分散型顔料組成物により得られる印刷画像に比較して、専用コート紙での印刷画像の光沢も向上する。しかし本発明者の知る限りでは、安定な分散を得るために分散剤が必要な非自己分散型顔料の使用により通常得られる付着力および光沢に比較して、自己分散型顔料/バインダーの組合せのそれは相当に劣ることがある。
信頼性のある印刷性能を得られるとともに、印字品質の優れた印刷画像が得られる、顔料分散水性インク組成物が求められている。
また、信頼性のある印刷性能およびとりわけ普通紙上で優れた印刷品質を得られる自己分散型水性顔料インク組成物が依然として求められている。
さらに、光沢のある専用コート紙で優れた印刷品質が得られる自己分散型水性顔料インク組成物が求められている。特に、専用コート紙での良好な光沢および付着力という印刷品質が得られる自己分散型水性顔料インク組成物の希求があるといえる。
[発明の概要]
本発明者らは、今般、ある種の新規ポリウロン酸誘導体が、分散剤および添加ポリマーとして優れたものであることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、とりわけ普通紙において、信頼性のある印刷性能を得られるとともに、印字品質の優れた印刷画像が得られる顔料分散型インク組成物およびこのインク組成物を実現する分散剤の提供をその目的としている。
また、本発明は、普通紙および専用コート紙において、信頼性のある印刷性能を得られるとともに、印刷品質の優れた印刷画像、とりわけ光沢および印字定着性に優れた画像が得られる自己分散型顔料インク組成物およびこれに添加されるポリマーの提供をその目的としている。
そして、本発明による新規ポリウロン酸誘導体は、ポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるものである。
本発明の第一の好ましい態様によれば、ポリウロン酸誘導体は、1個のポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるものであり、このとき前記グリセリルポリ(オキシブロピレン)トリアミンは、下記一般式で表わされるものである。
Figure 0004059269
(式中、x+y+zの総和の平均値は、10〜150である。)また、より好ましくは、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、上記式中のx+y+zの総和の平均値が、10〜100である。
本発明の第二の好ましい態様によれば、ポリウロン酸誘導体は、2個〜6個のポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるものであり、このとき前記グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、下記一般式で表わされるものである。
Figure 0004059269
(式中、x+y+zの総和の平均値は、30〜250である。)また、より好ましくは、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、上記式中のx+y+zの総和の平均値が、10〜120である。
また、本発明による水性インク組成物は、主溶媒としての水と、顔料と、該顔料をインクに分散させる分散剤としての上記ポリウロン酸誘導体とを少なくとも含んでなるものである。
また、本発明による水性インク組成物は、主溶媒としての水と、自己分散型顔料と、上記ポリウロン酸誘導体とを少なくとも含んでなるものである。
[発明の具体的説明]
ポリウロン酸誘導体
本発明による新規ポリウロン酸誘導体は、二つの部分からなる。すなわち、親水性ポリウロン酸部分と、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンより誘導された疎水性ポリマー部分、とである。
本発明による新規ポリウロン酸誘導体は、本発明によるインク組成物中の顔料を分散させる分散剤として機能する。このようにして得られる顔料分散水性インク組成物は、信頼性のある印刷性能と、優れた印字品質を有する印刷画像とを、とりわけ普通紙において、提供する。その理由は定かではないが、本発明の、疎水性部分と親水性部分とを併せ持つポリウロン酸誘導体は、従来知られた二つの部分を有するタイプの分散剤より、良好に機能すると予測される。したがって、分散が安定した顔料が得られ、フェザリングのない印刷画像が得られる。具体的には、ポリウロン酸誘導体の疎水性部分が顔料表面に付着し、顔料粒子をインク組成物中に良好に分散させる。また、ポリウロン酸誘導体のポリウロン酸部分には、多価カチオン、とりわけ二価のカルシウムイオン、との結合に適したサイズである、上下交互に並んだポケットが、カルボキシル基とヒドロキシル基とにより形成される。ポリウロン酸誘導体のポリウロン酸部分が、典型的な普通紙の表面に存在している多価カチオンに結合すると、顔料分散の安定性が破壊される。したがって、紙上で顔料は広がらず、フェザリングのない印刷画像が得られる。
<ポリウロン酸部分>
ポリウロン酸は、1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)および1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)からなるポリウロン酸の群より選択される。
ポリウロン酸は、天然物質から得ることができ、少量の他のウロン酸糖類/非ウロン酸糖類を含有することがある。1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)では、不純物は一般的に非ウロン酸糖類、ラムノースである。1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)では、不純物は一般的にウロン酸糖類、マンヌロン酸である。本発明において使用される、1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)のD−ガラクツロン酸含量は、85重量%を超えることが好ましく、より好ましくは、90重量%を超える。さらに好ましくは、D−ガラクツロン酸含量は95重量%を超える。本発明において使用される、1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)のL−グルロン酸含量は、80重量%を超えることが好ましく、より好ましくは、85重量%を超える。さらに好ましくは、L−グルロン酸含量は90重量%を超える。
1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)は、レモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジ、マンゴ、リンゴ、サンフラワーおよびサトウダイコン等の果実から得られる天然ヒドロコロイドであるペクチンの加水分解および脱エステル化により得ることができる。高水溶性の1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)生成物を加水分解反応溶液より分離するためには、(1)溶媒を蒸発させる、(2)生成物の溶解性が低い溶媒の添加により沈殿を促進する、または(1)と(2)との組み合わせを行えばよい。1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)は、ジャイアントケルプ(Macrocystis pyrifera)、ホーステールケルプ(Laminaria digitata)およびシュガーケルプ(Laminaria saccharina)等の海草から得られる天然多糖類であるアルギン酸を部分加水分解した後、選択的に沈殿させることにより得ることができる。選択的沈殿は、1,4−結合ポリ(α−D−グルロン酸)生成物の水性溶液に酢酸を適量添加することにより実施できる。
本発明において使用されるポリウロン酸の数平均分子量は、約700〜15,000であり、より好ましくは、約700〜約10,000である。
<疎水性ポリマー部分>
疎水性ポリマー部分は、下記一般式で表わされるグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンから誘導される。
Figure 0004059269
ここで、本発明の第一の態様におけるポリウロン酸誘導体にあっては、x+y+zの総和の平均値は、10以上150以下、より好ましくは10以上100以下である。
また、本発明の第二の態様におけるポリウロン酸誘導体にあっては、x+y+zの総和の平均値は、30以上250以下、より好ましくは30以上120以下である。
グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、Huntsman Corporation社(Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)より市販されている。このような化合物は、ポリウレア系においては、RIMおよびスプレー用途において高反応性ソフトブロックとして使用されている。また、エポキシ系においては、熱可塑性改質剤および接着増進剤として使用されている。また、ポリウレタンのエラストマーおよびフォームにおいては、改質剤および硬化剤として使用されている。現時点では、Huntsman Corporation社より、平均分子量分布が異なる2種類のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン、Jeffamine XJT−509およびJeffamine T−5000が市販されている。Jeffamine XJT−509の平均分子量は約3,000で、x+y+zの総和の平均値は約50である。Jeffamine T−5000の平均分子量は約5,000で、x+y+zの総和の平均値は約80である。Jeffamine XJT−509およびJeffamine T−5000が両方とも疎水性ポリマーである性質から予測されるように、この2種類の製品は水に不溶であるが、一方、アルコール性溶媒に対する溶解性は極めて高い。
本発明の第一の態様におけるポリウロン酸誘導体にあっては、x+y+zの総和が下限値である10に近づくと、このようなグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンが、ほんのわずか水に溶解するようになると予測される。
また、本発明の第二の態様におけるポリウロン酸誘導体にあっては、x+y+zの総和が下限値である30に近づいても、このようなグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、水に溶解しないと予測される。
第一の態様におけるポリウロン酸誘導体
本発明によるポリウロン酸誘導体は、一個のポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに還元的アミノ化により結合してなるものである。
以下に説明するように、還元的アミノ化による共有結合に関しては、考慮すべき重要な事項がいくつかある。
第一に考慮すべきことは、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの1分子当たりに、ポリウロン酸分子を一つだけ結合させるために、ポリウロン酸に対して少なくとも3倍以上のトリアミン分子を使用する必要があるということである。トリアミンには、アミン官能基が3つあり、その内の二つは、グリセリル単位の末端ヒドロキシル基の酸素原子に結合しているポリ(オキシプロピレン)分岐にあり、あと一つは同じグリセリル単位の中央部のヒドロキシル基の酸素原子に結合しているポリ(オキシプロピレン)分岐にある。好ましくは、少なくとも5当量以上のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンを含有する溶液に、ポリウロン酸の溶液を加える。グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、少量のポリウロン酸が二つ以上結合することによる副生成物が実際上回避できず、この副生成物を含む混合物も本発明の範囲に含まれる。
第二に考慮すべきこととして、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン1分子当たりに、ポリウロン酸分子を一つだけ結合させるにあたり、前項に記載した回避不可能な少量の副生成物を無視したとしても、得られる生成物が複雑な混合物であることが挙げられる。まず、第一に出発物質であるポリウロン酸自体が、重合度が比較的広範であるポリウロン酸分子の複雑な混合物である。理論的には、重合度が全く同じポリウロン酸分子を含む純粋な成分を得るために、出発物質であるポリウロン酸に高価かつ時間のかかる分離方法を適用することは可能であるが、このような方法は、経済的に不適当であり、分散剤生成物に求められる性能を考慮した場合には一般的に不必要である。第二に、出発物質であるグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン自体も、比較的に広範な数のプロピレンオキシド単位を有するグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン分子の複雑な混合物であるということである。また、3つのグリセリルヒドロキシル基間のプロピレンオキシド単位の分布も相当に異なる。第三に、広範な分布を有するポリウロン酸分子と広範な分布を有するグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン分子を組み合わせることにより、生成される生成物の分子量分布は、さらに広範な分布となる。第四に、たとえ二つの出発物質が構造的に純粋な成分であっても、現実的な反応条件下では、1種類のポリウロン酸分子と1種類のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン分子の組み合わせからは、3種類の異性体の混合物が生成される。すなわち、統計的に約三分の一は、グリセリル単位の末端ヒドロキシル基の酸素原子に結合しているポリ(オキシプロピレン)分岐の二つのうちの一つにポリウロン酸が一つ結合したもので、統計的に約三分の一は、グリセリル単位の末端ヒドロキシル基の酸素原子に結合しているポリ(オキシプロピレン)分岐の二つのうちの他の一つの分岐にポリウロン酸が一つ結合したもので、統計的に約三分の一は、グリセリル単位の中央部のヒドロキシル基の酸素原子に結合しているポリ(オキシプロピレン)分岐にポリウロン酸が一つ結合したものである。このような位置異性体を考慮すると、広範な分布を有するポリウロン酸分子と広範な分布を有するグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン分子の組み合わせによる、3つの結合位置を有する生成物の分子量の分布は、位置異性体がないと仮定した場合より、さらに広範となる。上記のいずれの場合も構造的に純粋な成分に分離しようとすることは、経済的に不適当であり、分散剤生成物に求められる性能を考慮した場合には一般的に不必要である。
第三に考慮すべきことは、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン1分子当たりにポリウロン酸分子を一つだけ結合させるにあたり、絶対に必要ではないが、二つの反応物質の反応を均一な溶液中で行なうことが望ましいことである。二つの反応物質の初期の混合を均一な条件下で行なうことは、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン分子がポリウロン酸に対して過剰に存在するという条件を実現する上で、望ましい。不均一な混合の場合、物質移動の制約により、分子スケールでの分子過剰条件の実現が困難になる。換言すると、たとえグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンが極度に過剰に存在したとしても、一つの反応物質が一方の反応物質を含む異なる相に移動できる速度は、反応物質間に存在する界面部分の表面積の広さによって、制限されるということである。最悪の場合、(1)逆移動に比べて、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンが、優先的にポリウロン酸成分を含む相に移動したり、(2)相間移動速度に対して反応物質間の反応が速くなるということがある。この場合、相間移動速度が制限され、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの1分子が、ポリウロン酸を含む相に移動後、ポリウロン酸の3分子がグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの1分子と結合する確率が高くなる。このような状態は、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン反応物質を過剰に使用する本来の目的に反する。
したがって、この第三の考慮すべきことについては、均一な溶液中で還元的アミノ化反応を行なうことが望ましいといえる。ここで、ポリウロン酸成分は親水性が強く、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン成分はその構造上疎水性なので、適合性のある溶媒の選択が問題として浮上してくる。しかしながら、本発明者は、ポリウロン酸の水性溶液またはスラリーをグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンと少量の水を含むメタノール溶液に、ゆっくりと加えることにより均一な溶液が生成されることを見出した。メタノールの一部をエタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノール等の高級アルコールに代えても最終混合物の均一性は失われないが、メタノールが好ましい成分であると考えられる。
第二の態様におけるポリウロン酸誘導体
本発明の第二の態様によるポリウロン酸誘導体は、2個〜6個のポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により共有結合してなるものである。
以下に説明するように、第一の態様におけるポリウロン酸の場合と同様にまたはそれに加えて、還元的アミノ化による共有結合に関しては、考慮すべき重要な事項がいくつかある。
第一に考慮すべきこととして、出発物質であるグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンおよびポリウロン酸の両方とも分子の複雑な混合物であることが挙げられる。グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに複雑さをもたらす第一の要因は、1分子当たりのプロピレンオキシド単位の合計数である。通常は、ピーク値付近を中心とするガウス分布近似を取る。プロピレンオキシド単位の合計数を一定にした条件で複雑さをもたらす第二の要因としては、3つの構造の異なるグリセリルヒドロキシル基から延びる三つのポリ(オキシプロピレン)鎖上のプロピレンオキシド単位の数分布がある。ポリウロン酸に複雑さをもたらす唯一の要因は、不純物である糖類を無視すれば、1分子当たりのウロン酸単位の合計数である。本明細書においては、単純化して、出発物質であるポリ(オキシプロピレン)トリアミンおよびポリウロン酸は平均分子量を有す平均構造であるとみなす。しかし、本発明においては複雑な混合物同士を反応させていることに留意しておく必要がある。つまり、極端な組合せ条件として、(1)高重合度のトリアミンと低重合度のポリウロン酸とを組合せた場合、または(2)低重合度のトリアミンと高重合度のポリウロン酸とを組み合わせた場合に得られる生成物は、二つの「平均的」出発物質の組合せにより得られた「平均的」生成物とはその特性が著しく異なる場合もある。しかし、極端な組合せによる生成物が全体の生成物の混合物において無視できるものであれば、そのような生成物についての議論をしなくてもよい。
上記議論より、本発明におけるポリウロン酸誘導体は、必然的に複雑な混合物となる。理論的には、純粋な成分を得るために両方の出発物質に高価かつ時間のかかる単離方法を適用し、その後、純粋な成分を得るために生成物に高価かつ時間のかかる単離方法を適用することは可能であるが、このような方法は、経済的に不適当であり、分散剤生成物に求められる性能を考慮した場合には一般的には不必要である。
分散剤生成物の水溶性の観点から考慮すると、ポリウロン酸を1個だけ共有結合的に結合させた1対1生成物の水溶性をより向上させたい場合には、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン1分子当たりに2個以上のポリウロン酸を結合させることが有効であることが判明した。ここで、二つの極端な場合、すなわち(1)出発物質であるポリウロン酸の平均分子量が相対的に小さい場合、および(2)グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの平均分子量が相対的に大きい場合、が考慮される。ポリウロン酸の数平均分子量が本発明における仕様下限またはその付近にある場合には、ポリウロン酸誘導体の水溶性を向上させることが好ましい。また同様に、本発明者らは、例えば、Jeffamine T−5000のようにx+y+zの値が約80であり、数平均分子量が仕様上限付近にあるグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンを用いる場合には、ポリウロン酸誘導体の水溶性を向上させるために、トリアミン1分子当たりに2個以上のポリウロン酸を共有結合させることが好ましいことを見出した。理論的には、還元的アミノ化により、最大6個のポリウロン酸を1個のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに共有結合させることができるが、本発明における共有結合の好ましい数は2個である。このように2個結合されることで、元々のアミン部分の3個のうち残された非改質の1個に、分散剤の疎水性部分を顔料粒子表面上に吸着させる役割を持たせてもよい。
グリセリルポリ(オキシプロピレン)ドリアミン1個当たりに2個以上のポリウロン酸を共有結合的に結合させる上で非常に重要な考慮事項は、反応を均一な溶液中で行うことが好ましいということである。ポリウロン酸部分は親水性であり、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン部分は構造上疎水性であるので、適切な溶媒を見つけ出すことが潜在的な問題となる。本発明者は、大量に過剰なグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンを含むメタノール水溶液にポリウロン酸の水溶液をゆっくりと加えることにより均一な溶液が生成されることを見出した。
2個以上のポリウロン酸を、1個のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに共有結合させることができる均一な反応溶液を得るためには、極性が強い非水溶性溶媒が有効であることを発明者は見出した。この種の実用的な溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)およびN−メチル−2−ピロリジン(NMP)が挙げられる。これらの極性が強い溶媒へのポリウロン酸の溶解を促進するためには、相対的に少量の非水溶性の強酸であるトリフルオロ酢酸を加えることが有効であることを見出した。同様にグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの溶解を促進するためには、補助溶媒である低分子量アルコールを添加することが有効であることを見出した。好ましい方法としては、出発物質であるポリウロン酸とグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンとを適切な当量ほど含む別々の溶液を調整する。その後、溶液を混合して十分に攪拌する。グリコシルアミノ化が完了またはほぼ完了するのに十分な時間が経過後、還元的アミノ化反応が行われる。
上記の還元的アミノ化反応は、当業者に公知の方法により行うことができる。上記したように、この反応は、反応物資が均一な溶液中で行なうことが望ましい。還元的アミノ化は、ボラン化合物、水素化ホウ素化合物またはシアノ水素化ホウ素化合物を使用することによって、簡便に行われる。一般的に使用されるボラン化合物は、ボラン−アンモニア化合物、ボラン−tert−ブチルアミン化合物、ボラン−N,N−ジエチルアニリン化合物、ボラン−N,N−ジイソプロピルエチルアミン化合物、ボラン−ジメチルアミン化合物、ボラン−N−エチル−N−イソプロピルアニリン化合物、ボラン−4−エチルモルホリン化合物、ボラン−モルホリン化合物、ボラン−ピリジン化合物、ボラン−トリエチルアミン化合物、およびボラン−トリメチルアミン化合物等である。一般的に使用される水素化ホウ素化合物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムおよび水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム等である。一般的に使用されるシアノ水素化ホウ素化合物は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素リチウムおよびシアノ水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム等である。
簡便かつ選択的な別の方法としては、金属触媒を使用する接触水素化がある。一般的な金属触媒としては、すべての第8族金属が対象となるが、ニッケル、パラジウム、白金およびルテニウムが好ましい。この金属触媒は、担持させた形で使用してもよいし、担持させないで使用してもよい。水素圧力は100psi(6.895×10Pa)を超えるが、700psi(4.827×10Pa)を超える圧力がより好ましい。反応温度は10〜100°Cであるが、30〜70°Cがさらに好ましい。還元的アミノ化に使用できるが、選択性のより低い試薬としては、1)亜鉛と塩酸、2)鉄ペンタカルボニルとアルコール性水酸化カリウム、および3)ギ酸などがある。
本発明の第一の態様によるポリウロン酸誘導体にあっては、生成物の単離は、反応溶媒を蒸発させてから、未反応のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンを選択的に溶解するが、生成物を溶解しない溶媒で反応生成物を洗浄することにより簡便に実現できる。未反応のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは回収後、出発物質として再利用可能である。洗浄後、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンが除去された生成物は、中性またはアルカリ性の水溶液に溶解する。
本発明の第二の態様によるポリウロン酸誘導体にあっては、生成物の単離は、当業者に公知の方法により行うことができる。還元的アミノ化を溶解性ボラン化合物またはボラン塩を使用して行った場合、生成物の単離に好ましい第1のステップは、反応溶液を減圧下で完全蒸留することである。最後に、上記と同様にして、未反応のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンを選択的に溶解するが、生成物を溶解しない溶媒で反応生成物を洗浄し溶液を作製する。還元的アミノ化が不均一接触水素化で行われた場合、不溶性の水素化触媒を濾過により最初に除去した後で、上記と同様に生成物を単離する。適切な塩基(例を以下に示す)を使用して、生成物のアルカリ性溶液を作製する。
生成物の純度が重大事項である場合は、限外濾過によりさらに精製を行なうことが好ましい。
還元的アミノ化プロセスは、当業者に公知の方法であるバッチプロセスまたは連続プロセスのどちらによっても行うことができる。
本発明におけるポリウロン酸誘導体は、米国特許第6,242,529号に記載される誘導体に類似するが、本発明における誘導体が低コストの疎水性ポリマー、即ちグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンより製造可能であることが、大きな相違点である。さらに、本発明におけるポリウロン酸誘導体は、上記低コストの疎水性ポリマー(グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン)を改質することなくそのまま用いることによって、即ちポリウロン酸の還元末端において一工程のみの還元的アミノ化反応を行うことによって、至極単純な工程で製造することができる。
顔料分散水性インク組成物
本発明の第三の態様における顔料分散水性インク組成物は、主溶媒としての水と、顔料と、上記の第一の態様または第二の態様のポリウロン酸誘導体からなる顔料分散剤、とを含んでなるものである。
ポリウロン酸誘導体からなる顔料分散剤の含有量は、インク組成物に対し約0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。
以下、上記ポリウロン酸誘導体以外の構成成分について説明する。
<顔料>
本発明によるインク組成物における顔料には、有機または無機顔料からなる群から少なくとも1種類が選択される。本発明における「顔料」とは、不溶性着色剤のことである。
顔料粒子の大きさは、顔料分散インクがインクジェット印刷装置、とりわけ典型的に直径が10〜50ミクロンの範囲にある吐出ノズルを通って自由に飛翔するに十分な程度に小さくなければならない。顔料の粒径は、好ましくは10ミクロン以下、より好ましくは0.1ミクロン以下である。
選択された顔料は、乾燥または湿潤の形態で使用できる。通常、顔料は水性媒体中で製造され、この顔料は水湿潤プレスケーキとして得られる。このプレスケーキの形態では、顔料は、乾燥形態ほどの凝集はしない。顔料分散剤の製造にあたり、湿潤プレスケーキの形態での顔料は、乾燥顔料ほどの解凝集を必要としない。
本発明において利用可能な顔料としては、以下のものなどが挙げられる:シムラーファーストイエローGF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー12)、シムラーファーストイエローGRF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー13)、シムラーファーストイエロー5GF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー14)、Irgalite Yellow CG(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー16)、シムラーファーストイエローHGF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー17)、シムラーファーストイエロー4117(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー73)、シムラーファーストイエロー4191N(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー74)、シムラーファーストイエロー4181(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー83)、Chromophthal Yellow 3G(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー93)、Chromophthal Yellow GR(Ciba−Geigy社製;C,I.ピグメントイエロー95)、シムラーファーストイエロー4186(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー97)、Hansa Brilliant Yellow 10GX(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー98)、Permanent Yellow G3R−01(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー114)、Chromophthal Yellow 8G(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー128)、Irgazin Yellow 5GT(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー129)、Hostaperm Yellow H4G(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー151)、シムラーファーストイエロー4192(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー154)、Hostaperm Orange GR(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントオレンジ43)、Paliogen Orange(BASF社製;C.I.ピグメントオレンジ51)、シムラーブリリアントカーミン(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントレッド57:1)、ファーストゲンスーパーマゼンタ(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントレッド122)、Paliogen Red L3870(BASF社製;C.I.ピグメントレッド123)、Hostaperm Scarlet GO(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントレッド168)、Permanent Rubine F6B(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントレッド184)、Monastral Magenta(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントレッド202)、Monastral Scarlet(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントレッド207)、ファーストゲンブルーGP−100(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:2)、ファーストゲンブルーGNPR(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:3)、ファーストゲンブルーGNPS(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:4)、Micracet Blue R(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントブルー60)、ファーストゲングリーンS(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントグリーン7)、ファーストゲングリーン2YK(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントグリーン36)、ファーストゲンスーパーレッド(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントバイオレット19)、ファーストゲンスーパーバイオレット(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントバイオレット23)、Monastral Maroon RT−229−D(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントバイオレット42)、Raven 1170(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、スペシャルブラック4A(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、S160(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、S170(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、およびFW18(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)。
本発明のインク組成物中における顔料の量は、約0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
<水>
水は、本発明の顔料分散水性インク組成物のための主要溶媒である。インク組成物に含ませることができる追加成分をさらに以下に示す。本発明によるインク組成物中の水性キャリア媒体の量は、70〜99.8重量%である。
<塩基>
ポリウロン酸部分を水性媒体に可溶化させるために、カルボン酸官能基の一部または全ての中和を必要とすることがある。このための適切な塩基としては、有機塩基、アルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物およびそれらの混合物などが挙げられる。適切な塩基としては、例えば、以下のものが挙げられる:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、N,N−ジメチル−モノエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウム。
<水溶性補助溶媒>
上記した成分の他に、インクは、任意に1種以上の水溶性有機溶媒を含有できる。水溶性有機溶媒は、よく知られており、(1)イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、(2)アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、(3)テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、(4)エチルアセテート、プロピレンカルボネート等のエステル類、(5)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、チオジグリコール、グリセロール等の多価アルコール類、(6)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−イソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−アミルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルおよびジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等の多価アルコール類の低級アルキルエーテル、(7)尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素含有化合物、(8)ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド等のイオウ含有化合物がある。インクに使用される補助溶媒の総量は特に限定されないが、好ましくは、補助溶媒は0.5〜40重量%の範囲で存在する。
<その他の成分>
上記で記載した成分の他に、インクは、アニオン性または非イオン性界面活性剤からなる群から選択される1種以上の浸透性付与界面活性剤を任意に含有してよい。アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホネートおよび高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、脂肪族エチレンオキシド付加物、高級アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加、脂肪酸アミドのエチレンオキシド付加、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミン脂肪酸アミドおよびエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー等が挙げられる。米国、18195、ペンシルベニア州アレンタウンにあるAir Products and Chemicals Inc.社より市販されているアセチレン系ジオールまたはアセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物が好ましく使用される。これらの例としては、サーフィノール104(テトラメチルデシンジオール)、サーフィノール465(エトキシル化テトラメチルデシンジオール)、サーフィノールCT−136(アセチレン系ジオールとアニオン界面活性剤との配合物)、サーフィノールGA(アセチレン系ジオール配合物)およびサーフィノールTG(エチレングリコールへのアセチレン系ジオール配合物)が挙げられる。ドイツのBYK Chemie GmbH社より市販されているエトキシル化/プロポキシル化シリコン系界面活性剤も好ましく使用される。インクにおける浸透性付与界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、好ましくは、0.01〜5重量%の範囲である。インクは、上記の浸透性付与界面活性剤の他、pH緩衝剤、殺生剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、腐蝕防止剤および酸化防止剤などの添加剤を含有してもよい。インクの全ての組成物の量は、インク粘度が20℃で10cps未満であるように選択される。
自己分散型水性顔料インク組成物
本発明による顔料分散水性インク組成物は、主溶媒としての水と、自己分散型顔料と、上記の第一の態様または第二の態様のポリウロン酸誘導体、とを含んでなるものである。
上記ポリウロン酸誘導体の量は、インク組成物に対して約0.1〜20重量%、より好ましくは、0.1〜10重量%である。
以下、上記ポリウロン酸誘導体以外の構成成分について説明する。
<自己分散型顔料>
本発明における自己分散型顔料は、自己分散型の有機顔料または無機顔料で構成される群から選択される少なくとも一つの顔料により構成される。ここで、自己分散型顔料のキャリアは水である。一般的に「顔料」という用語は水不溶性着色剤を意味するが、自己分散型顔料の粒子がより小さくなると、水溶性着色剤、例えば染料、と識別することは困難になる。とりわけ、自己分散型顔料の分散液に超遠心機で発生する大きな遠心力を作用させても、無視できないほどの量の自己分散型顔料と水性キャリアとが不完全な分離状態になる可能性がある。本明細書においては、「顔料」という用語を実質的に水不溶性である着色剤とする。なお、実質的とは、水不溶性成分が重量比で95%を超えて存在するということを意味するものとする。
「自己分散型」という用語は、顔料の改質という意味で使用され、本発明においては、水性キャリア中で顔料が安定した分散を得るために、分散剤、例えばポリマー分散剤や界面活性剤等を必要としない顔料と定義される。このような分散の安定性は、実際の条件または劣化加速条件での時間の変化に対する粘度、表面張力、pHおよび粒子径等の物理的特性の定常性により示される。一般に顔料の密度は、水より高いので、時間の経過とともに、沈降が発生することは避けられない。高沈降率は、分散安定性が悪いことを示す。高沈降率を示す分散では、沈降に伴なう物理的特性の変化を容易に測定できる。十分なほどの低沈降率、例えば1年当たり10%未満、は分散安定性が高いことを示す。自己分散型顔料の注視すべき特性は、自己分散型顔料を含む分散水溶液の表面張力が水(72 dynes/cm、25℃)に近いことである。ポリマー分散剤および界面活性剤は、純粋な顔料分散溶液の表面張力を低下させる(60dynes/cm未満、25℃)傾向がある。
自己分散型顔料の原料となる顔料は、以下に挙げた顔料群より選択されるがこれらに限定されるものではない。
ブラック顔料、カーボンブラックは、公知の方法、例えばコンタクト法、乾留法、ガス法およびサーマル法等により生産される。具体的には、以下のものが挙げられる。Raven 1170(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、スペシャルブラック4A(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、S160(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、S170(Degussa社製;C,I.ピグメントブラック7)、FW18(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、FW200(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、Raven 5000(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、Raven 3500(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 2038(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 7035(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 6026(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 7004(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、MA100(三菱化学株式会社製;C.I.ピグメントブラック7)、No.45(三菱化学株式会社製;C.I.ピグメントブラック7)、Vulcan XC72R(Cabot社製;C.I.ピグメントブラック7)、Monarch 1000(Cabot社製;C.I.ピグメントブラック7)、およびMonarch 880(cabot社製;C.I.ピグメントブラック7)。
ブラック以外の有色顔料には、特に制限も無く、有色有機顔料が利用できる。有色有機顔料は、自己分散型顔料の原料として利用可能であり、具体的には、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオキサン系、ベンゾイミダゾロン系、アントラキノン系、インダントロン系およびペリレン系の顔料が含まれる。本発明において利用可能な顔料としては、以下のものなどが挙げられる:シムラーファーストイエローGF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー12)、シムラーファーストイエローGRF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー13)、シムラーファーストイエロー5GF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー14)、Irgalite Yellow CG(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー16)、シムラーファーストイエローHGF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー17)、シムラーファーストイエロー4117(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー73)、シムラーファーストイエロー4191N(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー74)、シムラーファーストイエロー4181(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー83)、Chromophthal Yellow 3G(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー93)、Chromophthal Yellow GR(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー95)、シムラーファーストイエロー4186(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー97)、Hansa Brilliant Yellow 10GX(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー98)、Permanent Yellow G3R−01(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー114)、Chromophthal Yellow 8G(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー128)、Irgazin Yellow 5GT(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー129)、Hostaperm Yellow H4G(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー151)、シムラーファーストイエロー4192(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー154)、トナーイエローHG(Clariant社製;C.I.ピグメントイエロー180)、Hostaperm Orange GR(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントオレンジ43)、Paliogen Orange(BASF社製;C.I.ピグメントオレンジ51)、シムラーブリリアントカーミン(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントレッド57:1)、ファーストゲンスーパーマゼンタ(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントレッド122)、トナーマゼンタEO(Clariant社製;C.I.ピグメントレッド122)、Paliogen Red L3870(BASF社製;C.I.ピグメントレッド123)、Hostaperm Scarlet GO(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントレッド168)、Permanent Rubine F6B(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントレッド184)、Monastral Magenta(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントレッド202)、Monastral Scarlet(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントレッド207)、ファーストゲンブルーGP−100(大日本インキ化学工業株式会社製:C.I.ピグメントブルー15:2)、ファーストゲンブルーGNPR(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:3)、トナーシアンB(Clariant社製;C.I.ピグメントブルー15:3)、ファーストゲンブルーGNPS(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:4)、Micracet Blue R(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントブルー60)、ファーストゲングリーンS(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントグリーン7)、ファーストゲングリーン2YK(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントグリーン36)、ファーストゲンスーパーレッド(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントバイオレット19)、ファーストゲンスーパーバイオレット(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントバイオレット23)、Monastral Maroon RT−229−D(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントバイオレット42)。
本発明における自己分散型顔料は、電荷を有する官能基を意図的に十分な数ほど顔料粒子の表面に導入するという公知の方法により製造可能である。その方法は、本発明における方法のみ限るものではなく、顔料粒子の表面に電荷を有する官能基を導入させる方法には以下も含まれる:次亜塩素酸塩による酸化、過マンガン酸塩による酸化、塩素酸塩による酸化、過硫酸塩による酸化、硝酸による酸化、オゾンによる酸化、電荷を有する官能基群を含むアリールジアゾニウム塩とのカップリング反応およびスルホン化剤によるスルホン化。市販の自己分散型のブラック顔料は、Cabot社より異なる2種類の製品として販売されている。CABO−O−JET200(スルホン化カーボンブラック)およびCABO−O−JET300(カルボキシル化カーボンブラック)である。ブラック自己分散型顔料分散液の他の市販製品には、オリエント化学工業株式会社製のBonjet Black CW−1がある。
本発明の好ましい態様によると、自己分散型顔料の平均粒子径は、50〜200ナノメートルである。本発明によるインク組成物中の自己分散型顔料の量は、約0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
<水、塩基、水溶性補助溶媒、およびその他の成分>
水、塩基、水溶性補助溶媒、およびその他の成分に関しては、本発明の第三の態様におけるインク組成物で用いられるものと同様である。
<インク組成物の調製>
本発明の第三の態様におけるインク組成物は、適当な方法を用いて、上記した成分を分散・混合することにより一工程で調製できる。また、インク組成物は、1)上記した成分の一部を分散・混合し、2)その後、残りの成分を分散液に添加・混合することにより、二工程で調製することもできる。分散工程は、ボールミル、サンドミル、アトリッター、ミニミル、ロールミル、アジテータミル、Henshelミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミルまたはオングミルを用いて、均一な分散液が得られるように行なうことができる。
まず着色インクを濃縮形態で調製した後、この濃縮分散液を希釈してインクジェットプリンタに使用するのに適切な濃度にするのが望ましい。また、一般的に、顔料分散水性インク組成物を、好ましくは金属メッシュフィルタまたはメンブレンフィルタを用いて、濾過することが望ましい。濾過は、濾過されているインク組成物に圧力を加えるか、濾過装置の受容端の圧力を減少することによって行なってもよい。遠心分離を使用して、インクジェットプリンタのプリントヘッドのノズルを詰まらせる原因となる大きな粒子を除去してもよい。
本発明の第四の態様におけるインク組成物は、本発明のインク組成物は、許容される方法を使用して、単純に上記化合物を混合することで調製できる。好ましい態様では、化合物を混合後、50℃を超える温度でインク組成物を短時間ほど攪拌しながら加熱すると、粘度が一定のインクが得られる。他の好ましい態様では、化合物を混合後、インク組成物に超音波処理浴槽中で短時間ほど超音波処理を行なうと、粘度が一定のインクが得られる。上記の安定化処理または同様の処理を完了後、濾過によりインクの大きい粒子を除去することが望ましい。好ましくは金属製メッシュフィルタまたはメンブレンフィルタを用いて、濾過することが望ましい。濾過は、濾過されているインク組成物に圧力を加えるか、濾過装置の受容端の圧力を減少させることによって行なってもよい。濾過処理の前に、遠心分離を使用して、粒子径が大き過ぎるものを除去してもよい。
理論的な理由は定かではないが、本発明によるインク組成物は、ポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるポリウロン酸誘導体と自己分散型顔料との間の好ましい相互反応により、信頼性のある印刷性能および優れた印刷品質を実現すると予測される。この二つの主要な化合物で相互反応が起こっていることは、インク調製の好ましい態様として上記した、新しく調製したインク組成物の加熱または超音波処理の際に粘度上昇がわずかであることから明らかである。オリゴオキシプロピレンポリマーは、水性媒体の温度上昇につれて、水溶性を低下させることが知られている。ポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるポリウロン酸誘導体のグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン部分も、同様の挙動を示すと予測される。インク組成物の加熱処理(バルク温度上昇)または超音波処理(局所的温度上昇)により、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン部分は、水性媒体との親和性がより低下し、周囲に存在する疎水性基との親和性がより高くなる。本発明のインク組成物における自己分散型顔料は、疎水性を示す。非改質の顔料と比較すると、自己分散型顔料の表面の親水性は強いが、表面に官能基が導入される度合いは依然として比較的少なく、顔料の大部分の表面は、相当に疎水性である。したがって、インク組成物をバルクまたは局所的に加熱したときに上記二つの主要な化合物間で相互反応が起こると考えることは非合理的ではない。ポリ(オキシプロピレン)トリアミン部分は、分子量が比較的大きいため、顔料と吸着した後、ポリ(オキシプロピレン)トリアミン部分の顔料からの解離が起こりにくい。したがって、インク保存および/またはインク使用期間(数年)において、初期のわずかな粘度上昇後はそのままの状態を保ち、粘度が一定のインクが得られる。
理論的な理由は定かではないが、自己分散型顔料は、本発明におけるポリウロン酸誘導体が顔料表面へ吸着した後も、非改質の自己分散型顔料の有する有用な特性を保持しているので、本発明によるインク組成物は、信頼性のある印刷性能を実現すると予測される。上記の通り、自己分散型顔料の使用は、水性顔料系インクを使用して信頼性のある印刷性能を得るための最も一般的な方法の一つである。このようにポリウロン酸部分には優れた水溶性を示すので、自己分散型顔料の有用な特性が保持されるのみでなく、自己分散型顔料/ポリウロン酸誘導体の組合せの安定性が向上すると予測される。
理論的な理由は定かではないが、自己分散型顔料は、上記の通り非改質の自己分散型顔料の有する有用な特性を保持しているので、本発明によるインク組成物は、普通紙で優れた印刷品質を実現できると予測される。ポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに還元的アミノ化により結合してなるポリウロン酸誘導体の含有によっても、上記の通り、インク組成の粘度上昇はわずかである。粘度上昇がわずかであることの結果として、本発明のインクは、顔料の含有量を相対的に多くした調製が可能であり、これは非改質の自己分散型顔料を含有するインクでは一般的である。顔料の含有量が多いことは、普通紙上で光学濃度が高いことを意味し、普通紙上での優れた印刷品質を得るための注視すべき特性となる。
さらに、理論的な理由は定かではないが、自己分散型顔料は、ポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに還元的アミノ化により結合してなるポリウロン酸誘導体が自己分散型顔料の表面へ良好に吸着することにより、本発明のインク組成物は、光沢のある専用コート紙で優れた印刷品質を実現すると予測される。先行技術の例である水性樹脂、エマルジョン、水溶性エマルジョン、水溶性および/または分散ポリマーおよびアクリル系樹脂とは対照的に、ポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに還元的アミノ化により結合してなるポリウロン酸誘導体は、上記の通り、自己分散型顔料の表面に強制的に吸着させることができる。吸着された、ポリウロン酸がその還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに還元的アミノ化により結合してなるポリウロン酸誘導体は、専用コート紙上での印刷画像の光沢を向上させるための光沢材として機能する。自己分散型顔料/ポリウロン酸誘導体の組合せは、非自己分散型顔料のそれと同様であるので、非自己分散型顔料分散液と同等の光沢および付着力が得られる。
以下、本発明を具体的な実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。
1.第一の態様におけるポリウロン酸誘導体からなる顔料分散剤の製造
(1)ポリガラクツロン酸の製造
温度計、オーバーヘッドスターラおよび冷却器を取り付けた四つ口1L丸底フラスコを温度調節ができる加熱用マントルにぴったりと入れた。81%のギ酸溶液600g(脱イオン水と88%試薬級のギ酸(関東化学株式会社、日本)より調製した)をフラスコに加えた。次に、ゆっくりと攪拌しながらギ酸溶液を90℃までに加熱した。激しく攪拌しながら、パウダー・ファンネルを使用してリンゴペクチン45g(Classic AM 201、Herbstreith&Fox社製、ドイツ)を加熱したギ酸溶液にゆっくりと加えた。フラスコの四つ目の口は、窒素流でシステム内を急速にパージした後、ガラス栓で栓をした。パージ後、オイルバブラーに接続した窒素インレットアダプターを冷却器の頂部に取り付け、遅目に調整した窒素流をオイルバブラーを通して、流し始めた。ペクチンは、60分間激しく攪拌することにより、完全に溶解した。次に、溶液を穏やかに攪拌しながら、溶液を加熱還流の状態まで加熱した。攪拌しながら加熱還流を連続5時間行ない、その後、溶液を約40℃までに自然冷却した。少量の茶色の不溶性不純物を除去するために、この温かい溶液をワットマン濾紙No.1で濾過して、1Lの三角フラスコに濾液を移した。それから、集めた濾液を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を60℃に設定し、循環型アスピレータ装備のロータリーエバポレータを使用して、フラスコ内に粘度のある薄茶色の油性残留物が析出するまで、溶液を蒸発させた。フラスコにエタノールを700mL加えると、黄色がかった白色結晶固体の沈殿が直ちに発生した。受容フラスコ内を減圧するためにアスピレータを使用し、固体を微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で濾過して集めた。固体を約400mLのエタノールで2回洗浄し、自然乾燥させた。最後に、恒量となるまで、固体を真空乾燥させた。生成物の収量は14.5gであった。得られた生成物の重合度を、P.A.ShafferおよびM.Somogyi(J.Biol.Chem.,100,695−713(1933))の方法によって、21.2と決定した。また、生成物は、ジメチル−dスルホキシド((CDSO)およびトリフルオロ酢酸−d(CFCOD)溶液中でのH NMRならびにDO溶液中での13C NMRによっても構造が決定された。この両方のスペクトルは、高純度のポリガラクツロン酸の混合物のものと同一であった。
(2)ポリグルロン酸の製造
1000mLビーカーに入れた脱イオン水450mLにアルギン酸150g(超低粘度アルギン酸、株式会社紀文フードケミファ、東京、日本)を加え、スラリー状にした。オーバーヘッドスターラでスラリーを攪拌しながら、このスラリーに水酸化リチウム一水和物28gを加えた。アルギン酸が溶解して、pH値が約4.15の溶液が得られた。脱イオン水を加えて全体の体積を600mLにした。次に、攪拌しながら、31重量%の過酸化水素水100gおよび消泡剤としてn−ノニルアルコール2mLを加えた。硫酸第一鉄七水和物0.65gを含む溶液40mLを新しく作り、攪拌しながらそれをアルギン酸/過酸化水素溶液に加えた。この溶液を4時間激しく攪拌した。この間、顕著な発熱が観察され、その後鎮まった。まだこの溶液が暖かい間(約40℃)に、攪拌しながら、さらに31重量%の過酸化水素水20gを加えた。さらに2時間、この溶液を激しく攪拌した。この間は、穏やかな発熱が観察された。次に、この混合物を60℃で30分間加熱し、熱い状態のままワットマン濾紙No.1で濾過した。室温まで冷却してから、濾液を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を60℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、溶液体積を約250mLにまで濃縮した。次に、水洗しながら溶液を1Lビーカーに移し、全体積が最大で300mLとなるようにした。この溶液を激しく攪拌しながら、氷酢酸を300mLゆっくりと加えると、固体が沈殿した。沈殿した固体を微細な多孔質ガラスフィルター(孔径16〜40ミクロン)で吸引濾過して集めた。湿った固体を脱イオン水約100mLと共に1Lビーカーに移した。固体と水を激しく攪拌して、均一なスラリーが得られるようにした。スラリーを攪拌しながら、95%エタノール800mLをゆっくり加えた。1時間攪拌後、固体を微細な多孔質ガラスフィルター(孔径16〜40ミクロン)で吸引濾過して集めた。固体を95%エタノールで数回洗浄し、それから自然乾燥させた。最後に、恒量となるまで、固体を真空乾燥させた。生成物の収量は18.5gであった。得られた生成物の重合度を、上記に記載したP.A.ShafferおよびM.Somogyiの方法によって、13.2と決定した。また、生成物は、ジメチル−dスルホキシド((CDSO)およびトリフルオロ酢酸−d(CFCOD)溶液中でのH NMRならびにDO溶液中での13C NMRによっても構造が決定された。これらのスペクトルは、そのほとんどがポリグルロン酸である、純粋なポリグルロン酸の混合物とポリウロン酸の混合物のものと同一であったが、少量のマンヌロン酸を不純物として含んでいた。混合物中のグルロン酸含量は、85重量%を超えた。
(3)ポリウロン酸誘導体Alの製造:グリセリルポリオキシプロピレン) トリアミンのポリガラクツロン酸への還元的アミノ化
200mLビーカーに入れた脱イオン水200mLに、上記の通り製造したポリガラクツロン酸40gを加え、スラリー状にした。磁気攪拌子で攪拌しながら、混合物を約50℃にまで加熱し、ポリガラクツロン酸のほとんどを溶解した。200gのグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン(Jeffamine XJT−509、x+y+zが約50、Huntsman Corporation社製、Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)、フットボール型の磁気攪拌子、1,200gのメタノールおよび200gの脱イオン水を2Lビーカーに加えた。磁気攪拌子で溶液を攪拌して、均一な溶液を得た。グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンのメタノール溶液を攪拌しながら、水性スラリー状の温かいポリガラクツロン酸を、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンのメタノール溶液に素早く加えた。混合物を2時間連続攪拌して、均一な茶色の溶液を得た。ビーカーにプラスチックカバーをして60時間放置した。次に、ポリガラクツロン酸/グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの溶液の約三分の二を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、溶液体積を約350mLにまで濃縮した。ナス型フラスコをロータリーエバポレータから取り外して、残りの三分の一のポリガラクツロン酸/グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの溶液をナス型フラスコに移した。再度、ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、揮発性溶媒が回収されなくなるまで溶液を濃縮して、濃褐色の油性残留物を1Lのナス型フラスコに得た。油性残留物を75%メタノール/25%エタノール溶液500mLで3回洗浄し、洗浄溶液を捨てた。洗浄したことで、油性残留物が部分的に固化した。粘着性の茶色の固体をメタノール950mLと98%ギ酸溶液300mLの混合溶液で溶解し、2Lビーカーに移した。磁気撹拌機とフットボール型の磁気攪拌子で溶液を攪拌しながら、ボラン−ジメチルアミン化合物20gを加えた。この化合物は速やかに溶解し、混合溶液をさらに36時間攪拌した。この時、溶液の色が顕著に明るくなった。次に、上記したように、ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、溶液体積を約400mLにまで濃縮した。次に、脱イオン水600mL、イソプロパノール600mL、98%ギ酸溶液200mLを溶液に加え、混合物溶液を2Lのフラスコに移した。溶液を攪拌しながら、分子量10,000等級のメンブレン孔径である12のポリスルホンプレートで構成されたMillipore Minitanシステムを使用した限外濾過により、溶液を濾過した。精製された液体はもとの容器に再循環され、一方、メンブレンを透過したグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン含有の浸透液体は、回収後に捨てた。除去された浸透液体を補うために、2Lのフラスコに、脱イオン水/イソプロパノール/ギ酸溶液を定期的に加えた。限外濾過により、溶液体積を約500mLにまで濃縮した。回収した浸透液体の全体積は、約5Lであった。この操作により精製した溶液を、加圧下で5ミクロンのメンブレンフィルタにより濾過して、少量の固体不純物を除去した。上記の通り、ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、濾液から揮発性溶媒を蒸発させた。薄茶色の油性残留物が恒量となるまで、オイルタイプ真空ポンプを使用して乾燥させた。生成物の収量は57.5gであった。300mLフラスコに、乾燥固体30.0gと脱イオン水150gを入れた。激しく攪拌しながら約40°Cにまで加温し、固体がほとんど溶解するまで固体水酸化リチウムを徐々に加えた。この時、混合物のpHは約7.5であった。混合物のpHを監視しながら、混合物のpHが8.5の一定値に達するまで水酸化リチウム一水和物溶液(5重量%)を攪拌下で滴下した。溶液の総重量が200gになるまで水を追加した。得られた溶液を5ミクロンのメンブレンフィルタで濾過し、操作を終了した。
このようにして得られたポリウロン酸誘導体A1を顔料分散剤A1として用いた。
(4)ポリウロン酸誘導体B1の製造:グリセリルポリ(オキシプロピレン) トリアミンのポリグルロン酸への還元的アミノ化
200mLビーカーに入れた脱イオン水200mLに、上記の通り製造したポリグルロン酸40gを加え、スラリー状にした。200gのグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン(Jeffamine XJT−509、x+y+zが約50、Huntsman Corporation社製、Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)、フットボール型の磁気攪拌子、1,000gのメタノールおよび200gの脱イオン水を2Lビーカーに加えた。磁気攪拌子で溶液を攪拌して、均一な溶液を得た。グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンのメタノール溶液を攪拌しながら、水性スラリー状のポリグルロン酸を、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンのメタノール溶液に素早く加えた。混合物を2時間連続攪拌して、均一な茶色の溶液を得た。ビーカーにプラスチックカバーをして60時間放置した。次に、ポリグルロン酸/グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの溶液の約三分の二を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、溶液体積を約300mLにまで濃縮した。ナス型フラスコをロータリーエバポレータから取り外して、残りの三分の一のポリグルロン酸/グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの溶液をナス型フラスコに移した。再度、ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、揮発性溶媒が回収されなくなるまで溶液を濃縮して、濃褐色の油性残留物を1Lのナス型フラスコに得た。油性残留物を75%メタノール/25%エタノール溶液500mLで3回洗浄し、洗浄溶液を捨てた。洗浄したことで、油性残留物が部分的に固化した。粘着性の茶色の固体をメタノール950mLと98%ギ酸溶液300mLの混合溶液で溶解し、2Lビーカーに移した。磁気撹拌機とフットボール型の磁気攪拌子で溶液を攪拌しながら、ボラン−ジメチルアミン化合物20gを加えた。この化合物は速やかに溶解し、混合溶液をさらに36時間攪拌した。この時、溶液の色が顕著に明るくなった。次に、上記したように、ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、揮発性溶媒が回収されなくなるまで溶液を濃縮して、濃褐色の油性残留物を1Lのナス型フラスコに得た。次に、脱イオン水800mL、イソプロパノール600mL、98%ギ酸溶液200mLを溶液に加え、混合溶液を2Lのフラスコに移した。溶液を攪拌しながら、分子量10,000等級のメンブレン孔径である12のポリスルホンプレートで構成されたMillipore Minitanシステムを使用した限外濾過により、溶液を濾過した。精製された液体はもとの容器に再循環され、一方、メンブレンを透過したグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン含有の浸透液体は、回収後に捨てた。除去された浸透液体を補うために、2Lのフラスコに、脱イオン水/イソプロパノール/ギ酸溶液を定期的に加えた。限外濾過により、溶液体積を約500mLにまで濃縮した。回収した浸透液体の全体積は、約5Lであった。この操作により精製した溶液を、加圧下で5ミクロンのメンブレンフィルタにより濾過して、少量の固体不純物を除去した。上記の通り、ウォーターバス温度を70℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、濾液から揮発性溶媒を蒸発させた。薄茶色の油性残留物が恒量となるまで、オイルタイプ真空ポンプを使用して乾燥させた。生成物の収量は52.8gであった。300mLフラスコに、乾燥固体30.0gと脱イオン水150gを入れた。激しく攪拌しながら約40°Cにまで加温し、固体がほとんど溶解するまで固体水酸化リチウムを徐々に加えた。この時、混合物のpHは約7.5であった。混合物のpHを監視しながら、混合物のpHが8.8の一定値に達するまで水酸化リチウム一水和物溶液(5重量%)を攪拌下で滴下した。溶液の総重量が200gになるまで水を追加した。得られた溶液を5ミクロンのメンブレンフィルタで濾過し、操作を終了した。
このようにして得られたポリウロン酸誘導体B1を顔料分散剤B1として用いた。
2.第二の態様におけるポリウロン酸誘導体からなる顔料分散剤の製造
(1)ポリガラクツロン酸の製造
温度計、オーバーヘッドスターラおよび冷却器を取り付けた四口1L丸底フラスコを温度調節ができる加熱用マントルにぴったりと入れた。81%のギ酸溶液600g(脱イオン水と88%試薬級のギ酸(関東化学株式会社製)より調製した)をフラスコに加えた。次に、ゆっくりと攪拌しながらギ酸溶液を90℃までに加熱した。激しく攪拌しながら、パウダー・ファンネルを使用してリンゴ由来のペクチン45g(Classic AM 201、Herbstreith&Fox社製、ドイツ)を加熱したギ酸溶液にゆっくりと加えた。フラスコの四つ目の口は、窒素流でシステム内を急速にパージした後、ガラス栓で栓をした。パージ後、オイルバブラーに接続した窒素インレットアダプターを冷却器の頂部に取り付け、遅目に調整した窒素流をオイルバブラーを通して、流し始めた。ペクチンは、30分間激しく攪拌することにより、完全に溶解した。次に、溶液を穏やかに攪拌しながら、溶液を加熱選流の状態まで加熱した。攪拌しながら加熱還流を連続90分間行ない、その後、溶液を約40℃までに自然冷却した。少量の茶色の不溶性不純物を除去するために、この温かい溶液をワットマン濾紙No.1で濾過して、1Lの三角フラスコに濾液を移した。それから、集めた濾液を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を60℃に設定し、循環型アスピレータ装備のロータリーエバポレータを使用して、フラスコ内に粘度のある薄茶色の油性残留物が析出するまで、溶液を蒸発させた。フラスコにエタノールを700mL加えると、黄色がかった白色結晶固体の沈殿が直ちに発生した。受容フラスコ内を減圧するためにアスピレータを使用し、固体を微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で濾過して集めた。固体を約400mLのエタノールで2回洗浄し、自然乾燥させた。最後に、恒量となるまで、固体を真空乾燥させた。生成物の収量は32.7gであった。また、生成物は、ジメチル−dスルホキシド((CDSO)およびトリフルオロ酢酸−d(CFCOD)溶液中でのH NMRによっても構造が決定された。この両方のスペクトルは、高純度のポリガラクツロン酸の混合物のものと同一であった。生成物の平均分子量の粗い測定として、マルトオリゴマーおよびデキストラン標準を参照したゲル浸透クロマトグラフ分析を行った。日立モデルL−6000ポンプをガスクロ工業モデル556恒温炉、ShodexモデルRI SE−52示差屈折率検出器および日立モデルD2520GPCインテグレータと共に使用した。TSK PWXLガード・コラム(内径6mm×4cm)を装着したTSK−GEL G3000PWXLコラム(内径7.8mm×30cm)を使用して分析を行った。溶出液には、りん酸二水素ナトリウム二水和物0.06モルと水酸化ナトリウム0.036モルを含むリン酸緩衝液(pH7)を使用した。流量は0.8ml/分で、コラム温度25℃を維持した。溶出液の試料濃度が1重量%となるように調整し、注入量は40マイクロリットルとした。標準溶液であるマルトトリオース、マルトテトロース、マルトペントース、デキストラン1080g/モル、デキストラン4440g/モルおよびデキストラン9890g/モルを参照曲線の確立のために使用した。参照曲線から、ポリガラクツロン酸試料の平均分子量は約7300g/モルとなった。
(2)ポリグルロン酸の製造
1000mLビーカーに入れた脱イオン水450mLにアルギン酸150g(超低粘度アルギン酸、株式会社紀文フードケミファ製)を加え、スラリー状にした。オーバーヘッドスターラでスラリーを攪拌しながら、このスラリーに水酸化リチウム一水和物28.0gを加えた。アルギン酸が溶解して、pH値が約4.15の溶液が得られた。脱イオン水を加えて全体の体積を600mLにした。次に、攪拌しながら、31重量%の過酸化水素水100gおよび消泡剤としてn−ノニルアルコール2mLを加えた。硫酸第一鉄七水和物0.65gを含む溶液40mLを新しく作り、攪拌しながらそれをアルギン酸/過酸化水素溶液に加えた。この溶液を4時間激しく攪拌した。この間、顕著な発熱が観察され、その後鎮まった。まだこの溶液が暖かい間(約40℃)に、ワットマン濾紙No.1で濾過した。室温まで冷却してから、濾液を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を60℃に設定し、ロータリーエバポレータを使用して、溶液体積を約250mLにまで濃縮した。次に、水洗しながら溶液を1Lビーカーに移し、全体積が最大で300mLとなるようにした。この溶液を激しく攪拌しながら、氷酢酸を300mLゆっくりと加えると、固体が沈殿した。沈殿した固体を微細な多孔質ガラスフィルター(孔径16〜40ミクロン)で吸引濾過して集めた。湿った固体を脱イオン水約100mLと共に1Lビーカーに移した。固体と水を激しく攪拌して、均一なスラリーが得られるようにした。スラリーを攪拌しながら、95%エタノール800mLをゆっくり加えた。1時間攪拌後、固体を微細な多孔質ガラスフィルター(孔径16〜40ミクロン)で吸引濾過して集めた。固体を95%エタノールで数回洗浄し、それから自然乾燥させた。最後に、恒量となるまで、固体を真空乾燥させた。生成物の収量は18.5gであった。生成物は、ジメチル−dスルホキシド((CDSO)およびトリフルオロ酢酸−d(CFCOD)溶液中でのH NMRにによって構造が決定された。これらのスペクトルは、そのほとんどがポリグルロン酸である、純粋なポリグルロン酸の混合物とポリウロン酸の混合物のものと同一であったが、少量のマンヌロン酸を不純物として含んでいた。混合物中のグルロン酸含量は、85重量%を超えた。生成物の平均分子量の粗い測定として、上記と同様にマルトオリゴマーおよびデキストラン標準を参照したゲル浸透クロマトグラフ分析を行った。参照曲線から、ポリグルロン酸試料の平均分子量は約6200g/モルとなった。
(3)ポリウロン酸誘導体A2からなる顔料分散剤Aの製造:グリセリルポリ (オキシプロピレン)トリアミンの2個以上のポリガラクツロン酸還元末端への 還元的アミノ化
1Lビーカーに入れた1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)450mLとトリフルオロ酢酸6gの溶液に、上記の通り製造したポリガラクツロン酸60gを加え、スラリー状にした。磁気攪拌子で攪拌しながら、混合物を約50℃にまで加熱し、ポリガラクツロン酸のほとんどを溶解した。磁気攪拌子で攪拌しながら、40gのグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン(Jeffamine T−5000、x+y+zが約80、Huntsman Corporation社製、Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)を500mLビーカーに入れた1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)200mLに溶解した。ポリガラクツロン酸溶液を激しく攪拌しながら、ポリガラクツロン酸溶液にグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン溶液を素早く加えた。得られた均一な薄茶色溶液を口の大きいポリエチレン製の1Lサンプル・ボトルに移した。サンプル・ボトルのネック部分にテフロン製テープを巻き、ボトルにキャップを被せて密封した。サンプル・ボトルを40℃の恒温炉内で48時間保存した。サンプル・ボトルを炉から取り出し室温になるまで自然冷却した。冷めたボトルを開けて、15gのボラン−ジメチルアミン錯体を加えて、ボラン化合物が溶解するまで混合物をかき混ぜた。サンプル・ボトルを前と同様に密封し、同じ40℃の恒温炉で22時間保存した。この22時間の間に溶液から著しい量の固体が沈殿した。サンプル・ボトルを炉から取り出し室温になるまで自然冷却した。冷めたボトルを開けて、トリフルオロ酢酸を少量ほど加え、均一溶液となるまで混合物をかき混ぜた。加えたトリフルオロ酢酸の量は約10gであった。サンプル・ボトルを前と同様に密封し、同じ40℃の恒温炉で48時間保存した。サンプル・ボトルを炉から取り出し室温になるまで自然冷却した。冷めたボトルを開けて、5Lビーカーに入れ激しく攪拌したイソプロパノール4Lに内容物を注いだ。pHメーターで混合物のpHをモニタし、混合物のpHが約8より大きくなるまで水酸化リチウム10重量%の溶液を十分に攪拌した混合物に滴下した。攪拌した混合物を15時間ほど静置した。分離された薄黄色の上澄み液をデカンテーションで分離し、捨てた。混合物にイソプロパノールを加えて全体積を4.5Lとしてから、混合物を2時間激しく攪拌し、21時間ほど静置した。上澄み液のデカンテーション、イソプロパノールの添加、攪拌、静置という一連の一般的なプロセスを3回繰り返した。静置後、ほとんど無色の上澄み液を前と同様に分離して捨てた。5Lビーカーに入れた混合物を30分間ほど超音波浴で処理することで、残った混合物を均質化した。固体生成物は、混合物を50mLチューブに入れて8分間20、000rpmで遠心分離することで得た。遠心チューブを十分に換気されたドラフトボックスに24時間静置した。この短い乾燥時間で、固体が遠心チューブの側壁から単離された。半乾燥状態の固体をサンプル・ボトルに移し、減圧下で乾燥し恒量とした。粗生成物の収量は88gであった。粗生成物を脱イオン水800mLに溶解し、0.2ミクロンのメンブレンフィルタで濾過した。濾液を1Lフラスコに移した。溶液を攪拌しながら、分子量10,000等級のメンブレン孔径である再生セルロースプレート(部品番号P2C010C01)1枚で構成されたMillipore Pellicon2 Miniシステムを使用した限外濾過により、溶液を精製した。精製された液体は元の容器に再循環され、一方、浸透溶液を含む不純物を回収後に捨てた。除去された浸透溶液を補うために、1Lのフラスコに脱イオン水を定期的に加えた。限外濾過により溶液体積を約400mLにまで濃縮した。回収した浸透溶液の全体積は約5Lであった。pHメーターで溶液pHをモニタし、pHが8.9になるまで、溶液を十分に攪拌しながら水酸化リチウム5重量%溶液を滴下した。この操作により精製した溶液を、加圧下で0.2ミクロンのメンブレンフィルタにより濾過して、少量の固体不純物を除去した。溶液2gを正確に測定し、70℃の恒温炉中で加熱乾燥させ、恒量とした。試料の乾燥重量を正確に測定し、乾燥前の重量と乾燥重量の差から溶液中の固体濃度を計算した。溶液中の固体濃度14.6重量%のポリウロン酸誘導体A2を得た。
このようにして得られたポリウロン酸誘導体A2を顔料分散剤Aとして用いた。
(4)ポリウロン酸誘導体B2からなる顔料分散剤Bの製造:グリセリルポリ (オキシプロピレン)トリアミンの2個以上のポリグルロン酸還元末端への還元 的アミノ化
1Lビーカーに入れた1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)450mLとトリフルオロ酢酸6gの溶液に、上記の通り製造したポリグルロン酸56gを加え、スラリー状にした。磁気攪拌子で攪拌しながら、混合物を約50℃にまで加熱し、ポリグルロン酸のほとんどを溶解した。磁気攪拌子で攪拌しながら、44gのグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン(Jeffamine T−5000、x+y+zが約80、Huntsman Corporation社製、Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)を500mLビーカーに入れた1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)200mLに溶解した。ポリグルロン酸溶液を激しく攪拌しながら、ポリグルロン酸溶液にグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン溶液を素早く加えた。得られた均一な薄茶色溶液は、上記のポリウロン酸誘導体A2の調整と同様に処理した。ポリウロン酸誘導体B2の粗収量は84.5gであった。最終溶液中の固体顔料分散剤Bの濃度は14.3重量%と計算された。
このようにして得られたポリウロン酸誘導体B2を顔料分散剤Bとして用いた。
(5)顔料分散剤C1(比較例)
Joncryl62(SC Johnson Polymer社製;アクリル樹脂溶液;34重量%固体)を顔料分散剤の調製用に使用した。
(6)顔料分散剤D1(比較例)
本比較例において、米国特許第5,085,698号に従って製造されたブチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸のブロックコポリマー(BMA/MMA/MA)を顔料分散剤として使用した。該ブロックコポリマーを水酸化カリウムで中和し、25重量%固体の溶液になるように希釈した。この溶液を5ミクロンのメンブレンフィルタで濾過することにより、顔料分散剤D1を得た。
3.顔料分散液の調製
表1に示す割合で、顔料30gと、上記顔料分散剤と、脱イオン水とを混合し、混合物をEiger Motormill M250 VSE−EXJ(Eiger Japan社製)を使用して分散させた。ミリングに使用したガラス球(直径:1.0mm)の全体積は、175mLであった。ミリングは、4500rpmで30時間行った。
顔料分散液の収量は約200gであった。表1に示す顔料分散液を調製した。すべての分散液について、平均粒径は100〜120ナノメートルであった。
Figure 0004059269
4.インク組成物の調製
上記で得られた顔料分散液と、脱イオン水と、補助溶媒と、サーフィノール465(アセチレンジオールのエチレンオキシド付加体:Ar Products社製)1gとを、攪拌しながら順番にビーカーに入れ、混合物を3時間攪拌した。
次に、インクジェットプリンタに適合するインク組成物を得るため、混合物を8ミクロンのメンブレンフィルタで濾過した。
各成分の含有量を表2および表3に示す。なお、表2および表3において使用した略号は以下のものを示す。
gly :グリセロール、
DEG :ジエチレングリコール、
TEG :トリエチレングリコール、
TeEG :テトラエチレングリコール、
DEG−mBE :ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、
TEG−mBE :トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、
HD :1,2−ヘキサンジオール
Figure 0004059269
Figure 0004059269
5.評価
このようにして得られたインク組成物を、普通紙での全体的信頼性および印字品質に基づいて評価した。
(1)連続印刷試験
上記インクの連続印刷条件下における信頼性は、以下のようにして評価した。まず、インクを脱泡し、熱シール性アルミニウムパックにシールした。次に、インクをPM−900Cプリンタ(セイコーエプソン社製)の黒インクプリントヘッドに装填した。最初に、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷して、インクが全てのノズルから良好な方向性で吐出される状態であることを確認した。(ノズルから吐出されるインク液滴の角偏差は、正常状態のノズル面に対して約±0.5°以内)。印刷パターンを、1インチ当たり360ドットのベタブロックパターンに変え、A4サイズの用紙全面に印刷するようにした。この時の印刷速度は、比較的に高速で、1分当たり4枚であった。ブロックパターンおよびラインパターンを印刷用紙に連続印刷して、100枚ごとに、飛行曲がり、ノズルの詰まり、またはベタブロックの光学濃度の減少(5%未満)がないかどうかを評価した。比較例1を除く試験したインクの全てについて、印刷した10,000枚の用紙に関して、飛行曲がり、ノズルの詰まり、またはベタブロックの光学濃度の減少が観察されなかった。これは、信頼性が許容レベルにあることを意味する。一方、比較例1については、5,000枚未満で飛行曲がりが生じた。
(2)長期保存試験
上記インクのプリントヘッドにおける長期間保存についての信頼性は、以下のようにして評価した。まず、インクを脱泡し、熱シール性アルミニウムパックにシールした。次に、インクをMJ−510Cプリンタ(セイコーエプソン社製)の黒インクプリントヘッドに装填した。最初に、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷して、インクが全てのノズルから良好な方向性で吐出される状態であることを確認した。次に、インク供給源をプリントヘッドから外し、それからプリントヘッドをプリンタから取り外した。プリントヘッドを、キャップをせずに、恒温オーブン中40°Cに4日間保存した。プリントヘッドをプリンタに再び取り付け、インク供給源をプリントヘッドに再び取り付けした。プリンタのクリーニング操作を実施した後、ノズルの全てを使用するラインパターンの印刷を行なった。クリーニング操作とそれに続くラインパターンの印刷を、全てのノズルにより良好な方向性で印刷できるまで、繰り返した。比較例1を除く試験したインクの全てについて、完全に回復するのに必要とするクリーニング回数は、4回以下であり、これは信頼性が許容レベルにあることを意味する。一方、比較例1については、クリーニング操作を10回行なった後でも、全てのノズルの完全回復は達成できなかった。
(3)熱サイクル試験
上記インクの二つの極端な温度(−30°Cおよび60°C)での信頼性は、以下のようにして評価した。まず、インクを脱泡し、30mLのガラス製試料瓶に密封した。試料瓶を60°Cの恒温オーブンに入れ、この温度条件下で24時間保存した。試料を恒温オーブンから取り出し、−30℃の冷凍庫に移し、この温度条件下で24時間保存した。この二温度サイクルを合計10サイクルが完了するまで繰り返した。最後のサイクルの後、インクを解凍して室温に戻し、ガラス製試料瓶を震盪することなく逆さまにし、試料瓶の底に析出物がないか調べた。比較例1を除く試験したインクの全てについて、析出物は観察されなかった。これは、信頼性が許容レベルにあることを意味する。一方、比較例1については、析出物が観察された。
(4)乾燥時間試験
ベタブロックパターンを印刷し、印刷したパターンを5秒づつ間隔を増やしながら拭き取ることにより、上記のインクの乾燥時間を評価した。印刷は、PM−930Cプリンタ(セイコーエプソン社製)とXerox4024紙を使用して実施した。試験したインクの全てについて、乾燥時間は5秒未満であった。これは、乾燥時間が許容レベルの速さであることを意味する。
(5)印字品質試験
印字品質は、PM−930Cプリンタ(セイコーエプソン社製)を使用して、以下のように評価した。標準的な日本の漢字を、ゴシックおよび明朝を用いて4ポイントの文字の大きさで印刷した。普通紙の代表としてXerox4024紙を使用し、印字サンプルを720dpiで印刷した。印字サンプルを光学顕微鏡を使用して観察し、評価した。印字品質は、以下の基準に従って評価した。
評価(A):漢字が鮮明であり、かつ文字の内部空白にインクの入り込みがない。
評価(B):漢字は鮮明であるが、画数が約15を超える漢字において文字の内部空白にインクの入り込みが見られる。
評価(C):漢字が鮮明でなく、画数が約10を超える漢字において内部空白に顕著なインクの入り込みが見られる。
印字品質試験の結果を、以下の表4に示す。
Figure 0004059269
上記の表4の結果から、本発明におけるインク組成物の全てが、普通紙での印刷試験において優れた結果を示した。
6.第四の態様におけるインク組成物の製造
(1)自己分散型顔料
ブラック顔料分散液A
CAB−O−JET300(15重量%分散液)をCABOT社より入手した。
ブラック顔料分散液B
Bonjet Black CW−1(15重量%分散液)をオリエント化学工業株式会社より入手した。
ブラック顔料分散液C
ブラック顔料分散液は、国際公開第01/94476号パンフレットの例2に記載の方法に類似した方法で調製した。FW−18カーボンブラック(Degussa社より入手)を顔料の出発物質として使用した。オゾンは、PCI Ozone社製のGL−1オゾン発生器を使用して、発生させた。Microfluidics社のMicrofluidizer装置を使用して、オゾンによる酸化と同時に顔料の分散混合を有効に行なった。得られた分散液をMillipore社から入手したPellicon Laboratory Systemによる限外濾過で、精製した。分散液の最終濃度は、15重量%であった。Honeywell MicroTrac(登録商標)UPA150粒子径分析機を使用して測定した分散液の平均粒子径は、98ナノメートルであった。
イエロー顔料分散液
イエロー顔料分散液は、欧州特許第0894835号明細書の処理2を修正した以下の一般的な方法で調製した。分散混合は、国際公開第01/94476号パンフレットに記載の通り、顔料での表面反応と同時に行なった。Novoperm Yellow P−HG(Clariant社より入手)20重量部を顔料の出発物質として使用した。顔料を縣濁し、それからMicrofluidics社製のMicrofluidizer装置を使用して、550重量部のピリジンに分散した。次に、混合物を加熱還流して、先に蒸留された水を含む蒸留物を廃棄した(全溶媒容積の約10%)。乾燥アルゴン雰囲気下での閉鎖反応システムで、110℃で加熱し、10重量部の三酸化硫黄の液体をピリジン中の顔料分散液にゆっくりと加えた。三酸化硫黄を添加中、Microfluidizer装置を通して混合物を循環させて、スルホン化とともに顔料の分散混合を有効に行なった。添加および分散混合プロセスは、連続6時間行なった。室温まで冷却し、混合物を激しく攪拌しながら、5、000重量部のアイススラリーにゆっくり注いだ。混合物をロータリーエバポレータに移して、ほとんどのピリジンを水性の共沸混合物として除去することで、水性分散液を得た。水性分散液を攪拌しながら、5重量%の水酸化カリウム溶液を一滴ずつ加えて、分散液のpHを約9にした。次に、分散液をMillipore社から入手したPellicon Laboratory Systemを使用した限外濾過で、精製、濃縮した。分散液の最終濃度は、13重量%であった。分散液の平均粒子径は、110ナノメートルであった。
マゼンタ顔料分散液
マゼンタ顔料分散液は、上記のイエロー顔料分散液とほぼ同様の一般的な方法で調製した。20重量部のファーストゲンスーパーレッド(大日本インキ化学工業株式会社より入手)をイエロー顔料の代わりに使用した。添加および分散混合プロセスは、連続10時間行なった。分散液の最終濃度は、12重量%であった。分散液の平均粒子径は、140ナノメートルであった。
シアン顔料分散液
シアン顔料分散液は、上記のイエロー顔料分散液とほぼ同様の一般的な方法で調製した。20重量部のトナーシアンB(Clariant社より入手)をイエロー顔料の代わりに使用した。添加および分散混合プロセスは、連続5時間行なった。分散液の最終濃度は、15重量%であった。分散液の平均粒子径は、95ナノメートルであった。
(2)インク組成物の調製
上記顔料分散液、脱イオン水、上記で得られたポリウロン酸誘導体(A1〜B2)、補助溶剤、およびサーフィノール465(アセチレンジオールのエチレンオキシド付加体:Air Products社製)2gを、攪拌しながら、ガラスビーカーに順次添加した。混合物は、1時間攪拌した。オーバーヘッドスターラを使用して混合物をゆっくりと攪拌しながら、混合物に超音波浴槽で30分間ほど超音波処理を行なった。次に、混合物を8ミクロンのメンブレンフィルタで濾過し、インクジェット印刷に適したインク組成物を得た。
各成分の組成比を表5および表6に示す(成分量は括弧の中にg単位で表示)。
Figure 0004059269
Figure 0004059269
Figure 0004059269
Figure 0004059269
上記インク組成に加えて、従来の顔料分散液を基にした4種類のインクを比較評価した。
比較例7には、ブラックインク(エプソン社製 部品番号T034120)を、比較例8には、イエローインク(エプソン社製 部品番号T034420)を、比較例9には、マゼンタインク(エプソン社製 部品番号T034320)を、比較例10には、シアンインク(エプソン社製 部品番号T034220)を使用した。
(3)評価
これらのインクを、下記の方法で評価した。
(i)連続印刷試験
上記インクの連続印刷条件下における信頼性は、以下のようにして評価した。まず、インクを脱泡し、熱シール性アルミニウムパックにシールした。次に、インクをPM−900Cプリンタ(セイコーエプソン社製)の黒インクプリントヘッドに装填した。最初に、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷して、インクが全てのノズルから良好な飛翔性で吐出される状態であることを確認した。(ノズルから吐出されるインク液滴の角偏差は、正常状態のノズル面に対して約±0.5°以内)。印刷パターンを、1インチ当たり360ドットのベタブロックパターンに変え、A4サイズの用紙全面に印刷するようにした。この時の印刷速度は、比較的に高速で、1分当たり4枚であった。ブロックパターンおよびラインパターンを印刷用紙に連続印刷して、100枚ごとに、飛行曲がり、ノズルの目詰まり、またはベタブロックの光学濃度の減少(5%未満)がないかどうかを評価した。比較例1を除く試験したインクの全てについて、印刷した10,000枚の用紙に関して、飛行曲がり、ノズルの目詰まり、またはベタブロックの光学濃度の減少が観察されなかった。これは、信頼性が許容レベルにあることを意味する。
(ii)長期保存試験
上記インクのプリントヘッドにおける長期間保存についての信頼性は、以下のようにして評価した。まず、インクを脱泡し、熱シール性アルミニウムパックにシールした。次に、インクをMJ−510Cプリンタ(セイコーエプソン社製)のブラックインクプリントヘッドに装填した。最初に、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷して、インクが全てのノズルから良好な飛翔性で吐出される状態であることを確認した。次に、インク供給源をプリントヘッドから外し、それからプリントヘッドをプリンタから取り外した。プリントヘッドを、キャップをせずに、恒温オーブン中40°Cに4日間保存した。プリントヘッドをプリンタに再び取り付け、インク供給源をプリントヘッドに再び取り付けした。プリンタのクリーニング操作を実施した後、ノズルの全てを使用するラインパターンの印刷を行なった。クリーニング操作とそれに続くラインパターンの印刷を、全てのノズルにより良好な飛翔性で印刷できるまで、繰り返した。試験したインクの全てについて、完全に回復するのに必要とするクリーニング回数は、4回以下であり、これは信頼性が許容レベルにあることを意味する。
(iii)熱サイクル試験
上記インクの二つの極端な温度(−30°Cおよび60°C)での信頼性は、以下のようにして評価した。まず、インクを脱泡し、30mLのガラス製試料瓶に密封した。試料瓶を60°Cの恒温オーブンに入れ、この温度条件下で24時間保存した。試料を恒温オーブンから取り出し、−30℃の冷凍庫に移し、この温度条件下で24時間保存した。この二温度サイクルを合計10サイクルが完了するまで繰り返した。最後のサイクルの後、インクを解凍して室温に戻し、ガラス製試料瓶を震盪することなく逆さまにし、試料瓶の底に析出物がないか調べた。試験したインクの全てについて、析出物は観察されなかった。これは、信頼性が許容レベルにあることを意味する。
(iv)印刷品質:普通紙での光学濃度試験
普通紙での光学濃度に基づいて印刷品質を以下の方法で評価した。全てのインクのサンプルについて、Stylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)を使用して、100%Dutyベタ印字の標準カラーパッチを720dpiでXerox4024紙に作成した。印刷サンプルを1晩ほど周囲温度で乾燥させ、印刷パッチの光学濃度を、Spectroscanテーブル付のGretag−Macbeth Spectrolino装置を使用して評価した。ブラックインクに関しては、印刷品質、つまり普通紙での光学濃度を以下の基準を使用して評価した。
評価(A):光学濃度値が1.3より大きい、
評価(B):光学濃度値が1.2より大きく1.3未満、
評価(C):光学濃度値が1.1より大きく1.2未満、
評価(D):光学濃度値が1.0より大きく1.1未満、および、
評価(F):光学濃度値が1.0未満。
イエロー、マゼンタおよびシアンインクに関しては、印刷品質、つまり普通紙での光学濃度を以下の基準を使用して評価した:
評価(A):光学濃度値が1.2より大きい、
評価(B):光学濃度値が1.1より大きく1.2未満、
評価(C):光学濃度値が1.0より大きく1.1未満、
評価(D):光学濃度値が0.9より大きく1.0未満、および、
評価(F):光学濃度値が0.9未満。
この印刷品質試験の結果を表7および表8に示す。
(v)印刷品質:普通紙での文字の鮮鋭度
普通紙での文字の鮮鋭度に基づいて印刷品質を以下の方法で評価した。全てのインクのサンプルについて、標準的な日本の漢字を、ゴシックおよび明朝の両方を用いて6ポイントの文字の大きさで印刷した。普通紙の代表としてXerox4024紙を使用し、720dpiの印字サンプルをStylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)で印刷した。印字サンプルを光学顕微鏡を使用して観察し、評価した。印刷品質は、以下の基準に従って評価した。
評価(A):漢字が鮮明であり、かつ文字の内部空白にインクの入り込みがない。
評価(B):漢字は鮮明であるが、画数が約15を超える漢字において文字の内部空白にインクの入り込みが見られる。
評価(C):漢字が鮮明でなく、画数が約10を超える漢字において内部空白に顕著なインクの入り込みが見られる。
印刷品質試験の結果を表7および表8に示す。
Figure 0004059269
Figure 0004059269
(vi)印刷品質:専用紙での光学濃度試験
専用紙での光学濃度に基づいて印刷品質を以下の方法で評価した。全てのインクのサンプルについて、Stylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)を使用して、100%Dutyベタ印字の標準カラーパッチをデフォールト設定値でPM写真用紙(セイコーエプソン社製)に作成した。印刷サンプルを1晩ほど周囲温度で乾燥させ、印刷パッチの光学濃度を、Spectroscanテーブル付のGretag−Macbeth Spectrolino装置を使用して評価した。印刷品質、つまり専用紙での光学濃度を以下の基準を使用して評価した。
評価(A):光学濃度値が2.0より大きい、
評価(B):光学濃度値が1.9より大きく2.0未満、
評価(C):光学濃度値が1.8より大きく1.9未満、
評価(D):光学濃度値が1.7より大きく1.8未満、および、
評価(F):光学濃度値が1.7未満。
この印刷品質試験の結果を表7および表8に示す。
(vii)印刷品質:専用紙での光沢試験
専用紙での光沢に基づいて印刷品質を以下の方法で評価した。全てのインクのサンプルについて、単一のインクのサンプルを、4色(イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック)のインクセットの一組で評価した。4色の評価セットの残りの3色に関して、適切なインクを3色、比較例7〜10のインクセットから適切なインクを使用した。この印刷品質試験用の参照サンプルとして、比較例7〜10のインク4色全てを使用した。髪の色がブルネットのモデルの肖像写真を、Stylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)を使用して、デフォールト設定値でPM写真用紙(セイコーエプソン社製)に印刷した。全ての印刷サンプルを1晩ほど周囲温度で乾燥させた。印刷品質、つまり専用紙での光沢を以下の基準を使用して評価した。
評価(A):参照サンプルと比較して、写真画像全体に著しい光沢の差異がない
評価(B):参照サンプルと比較して、写真画像全体にわずかに光沢の差異がある。(評価したブラックおよびシアンのインクでは、この差異はモデルの髪の部分において最も顕著であり、評価したマゼンタおよびイエローのインクでは、この差異はモデルの顔の部分において最も顕著であった。)
評価(C):参照サンプルと比較して、写真画像全体に大きな光沢の差異がある(評価したブラックおよびシアンのインクでは、この差異はモデルの髪の部分において最も顕著であり、評価したマゼンタおよびイエローのインクでは、モデルの顔の部分において最も顕著であった。)
この印刷品質試験の結果を表7および表8に示す。
(viii)印刷品質:専用紙での付着力試験
専用紙での付着力に基づいて印刷品質を以下の方法で評価した。全てのインクのサンプルについて、Stylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)を使用して、14ポイントの大きさで標準的な文字サンプルを複数行ほど、デファールト設定値でフォトプリント紙(セイコーエプソン社製)に印刷した。印刷サンプルを1晩ほど周囲温度で乾燥させ、蛍光ペン(ゼブラZazzle蛍光ペン、ゼブラ株式会社)で文字上に300gの圧力で3cm長のマークをした。ブラック、シアンおよびマゼンタの文字には、イエロー蛍光ペンを使用した。イエローの文字には、ピンク蛍光ペンを使用した。印刷品質、つまり専用紙での付着力を以下の基準を使用して評価した。
評価(A)蛍光ペンインクに印刷文字が全然にじまない
評価(B):蛍光ペンインクに印刷文字がわずかににじむ
評価(C):蛍光ペンインクに印刷文字が相当ににじむ
この印刷品質試験の結果を表7および表8に示す。
表7および表8から分かるように、本発明の全てのインクは、全ての印刷品質試験で優れた結果を示した。

Claims (16)

  1. ポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるものである、ポリウロン酸誘導体。
  2. 1個のポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるものであり、このとき前記グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、下記一般式で表わされるものである、請求項1に記載のポリウロン酸誘導体:
    Figure 0004059269
    (式中、x+y+zの総和の平均値は、10〜150である。)。
  3. 前記一般式で表されるグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの、x+y+zの総和の平均値が、10〜100である、請求項2に記載のポリウロン酸誘導体。
  4. 2個〜6個のポリウロン酸が、その還元末端を介して、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンに、還元的アミノ化により結合してなるものであり、このとき前記グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンは、下記一般式で表わされるものである、請求項1に記載のポリウロン酸誘導体:
    Figure 0004059269
    (式中、x+y+zの総和の平均値は、30〜250である。)。
  5. 前記一般式で表されるグリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンの、x+y+zの総和の平均値が、30〜120である、請求項4に記載のポリウロン酸誘導体。
  6. 前記ポリウロン酸が、1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)または1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)を主成分とするものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウロン酸誘導体。
  7. 前記ポリウロン酸部分の数平均分子量が、700以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウロン酸誘導体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリウロン酸誘導体を含んでなる、顔料分散剤。
  9. 顔料分散水性インク組成物であって、主溶媒としての水と、顔料と、請求項8に記載の顔料分散剤、とを含んでなる、水性インク組成物。
  10. 前記顔料0.1〜20重量%と、前記顔料分散剤0.1〜10重量%と、水性キャリア媒体70〜99.8重量%とを含有してなる、請求項9に記載の水性インク組成物。
  11. 主溶媒としての水と、自己分散型顔料と、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリウロン酸誘導体、とを含んでなる、水性インク組成物。
  12. 前記自己分散型顔料を0.1〜20重量%と、前記ポリウロン酸誘導体を0.1〜10重量%と、水性キャリア媒体を70〜99.8重量%とを含有してなる、請求項11に記載の水性インク組成物。
  13. 前記ポリウロン酸誘導体のポリウロン酸部分が、有機塩基、アルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物、およびそれらの混合物からなる群から選択される中和剤により中和されたものである、請求項10〜12のいずれか一項に記載のインク組成物。
  14. 請求項9〜13のいずれか一項に記載のインク組成物を記録媒体に付着させることを特徴とする記録方法。
  15. 請求項9〜13のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を吐出させて、記録媒体上に付着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 請求項14または15に記載の記録方法によって記録された記録物。
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