JP2005163017A - 水性インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 普通紙において、信頼性のある印刷性能を得られるとともに、印刷品質の優れた印刷画像が得られる自己分散型水性顔料インク組成物を提供する。また、専用コート紙において良好な光沢を有する印刷画像が得られる自己分散型水性顔料インク組成物を提供する。
【解決手段】 自己分散型顔料と、水分散型高分子化合物と、水とを少なくとも含んでなり、水分散型高分子化合物が自己分散型顔料に吸着されてなり、遊離の水分散型高分子化合物は透過させるが、自己分散型顔料は透過させない条件のゲル濾過クロマトグラフィーに適用したとき、透過する前記水分散型高分子化合物の量がインク組成物中の全水分散型高分子化合物の20%以下であることを特徴とするインク組成物と構成する。
【選択図】 なし

Description

発明の分野
本発明は自己分散型顔料を含んでなる水性インク組成物に関し、特に、自己分散型顔料を含みながら、光沢を有する専用コート紙において、優れた付着性と光沢性とを共に有する印刷物が実現できるインクジェット記録用水性インク組成物に関する。
インクジェット印刷は、コンピュータにより発生するデジタル信号にプリンタが応答してインク滴を生成する非インパクト印刷法である。インク滴は、紙や透明フィルム等の基材に付着する。インクジェットプリンタは、印刷品質、低コスト、比較的静かな動作音、グラフィック形成能により、広く普及している。
インクジェットプリンタに使用されるインクは、染料系インクまたは顔料系インクに分類できる。染料系インクはほとんどの用途において満足できるものであるが、一般的に耐光性および耐水性に劣ることがある。印刷物にはある程度の耐久性が期待されるため、染料系インクにより得た印刷画像が耐光性および耐水性において劣ることは問題となる。一方、顔料系インクは、耐光性および耐水性に優れる。したがって、耐久性が求められる印刷物においては、染料系インクよりも顔料系インクが一般的に好ましい。
インクジェット記録において、主に以下の2つの事項が重要とされている。すなわち、信頼性および印刷品質である。信頼性は、一般に以下の基準で評価される。その第一は、インク滴重量が経時的に変化せず、かつ良好な飛翔性が維持されることを内容とする、連続印刷条件下における耐久性である。良好な飛翔性とは、ノズルから吐出されるインク滴の角度のずれがノズル面に対して垂直から±0.5°内であることを意味する。その第二は、印刷が停止している間に、ノズルが目詰まりしないことを内容とする、断続的印刷条件下における耐久性である。その第三は、ノズルに対して限定された量の吸引操作を行なうことにより、最初の印刷動作と変わらない印刷動作(インク滴重量および良好な飛翔性)を回復できることを内容とする、プリントヘッド内でのインクの長期保存耐久性である。その第四は、2つの極端な温度条件下における保存、さらには極端な温度に繰り返しさらされたときに、長時間にわたりインクがその化学的および物理的安定性を保持することを内容とする、保存安定性である。
印刷品質は、一般に、2つの主要な因子により定義される。すなわち、(1)カラー特性、および(2)非カラー画像特性である。印刷されたインクのカラー特性は、光学濃度および色相を決定する色座標の測定により評価される。また、画像の精細度を決定する非カラー特性とは、解像度(単位面積当たりのドット数)、1滴当たりの占有領域、エッジの鋭さもしくは鮮鋭度、およびサテライト(印刷文字の周囲の漂遊液滴)もしくはフェザリング(ヒゲ状にじみ)等のドット周囲の欠陥を意味する。他の非カラー画像特性を以下に説明する。
一般的に、印刷品質に関する要求は、印刷される印刷媒体の種類に強く依存する。相当に異なる印刷品質特性を示す2つの代表的な例として、「普通紙」および光沢のある専用コート紙がある。ここで「普通紙」とは、広範な多種多様な市販の紙、とりわけ静電コピーに用いられる紙を意味する。このような市販の紙は、インクジェットプリンタのみに適合された独特の構造、組成または狭い特性のものとはされていない。一方、光沢のある専用コート紙は、特にインクジェットプリンタでの使用のために開発および最適化された媒体群に属する。このような光沢のある専用コート紙の主たる用途は、写真画像、とりわけデジタルカメラで撮影されたものの印刷である。一般に、この種の媒体の表面は非常に滑らかであり、固定光源の下でこの媒体を扱うことにより容易に観察できる反射性を有する。一般的に、この種の媒体は半光沢性または光沢性に分類される。半光沢性媒体は、光沢度が相対的に低いが、光沢観が観察可能なものである。光沢性媒体は、光沢度が相対的に高い。
普通紙の印刷品質は、一般的に以下の2つの基準により評価される。第1の印刷品質基準は、光学濃度である。一般に、光学濃度はハーフトーンのない純色のベタブロックで測定される。光学濃度が高いインクにより得られる印刷画像は、一般に、光学濃度が低いインクによるものよりも消費者に好まれる。一般に、光学濃度が低いインクにより得られる印刷画像は、「鈍い」と認識される。第2の印刷品質基準は、印刷画像のエッジの鋭さまたは鮮鋭度およびフェザリングがないことにより定義される。このような特性は、比較的小さいフォントを使用して文字を印刷した場合に非常に容易に観察できる。鮮鋭かつフェザリングがない文字は、不明瞭またはセルロース繊維の長さ方向に沿ったフェザリングによるにじんだ文字よりも、消費者に好まれる。したがって、鮮鋭な文字画像が得られるインクが望ましい。
光沢のある専用コート紙の印刷品質は、一般的に以下の2つの基準により評価される。第1の印刷品質基準は、光学濃度であり、上記普通紙の場合と同様である。光沢のある専用コート紙の光学濃度は、普通紙を使用して得られる値より高い。第2の印刷品質基準は、画像の光沢性である。光沢のある印刷画像において、異なる純色間および混合色間で、さらには印刷されていない部分と比べて印刷画像の光沢の違いがあまり目立たないものが、印刷画像上の異なる領域間で光沢の違いが目立つものよりも、消費者に好まれる。現実的には、ハーフトーン技術を使用して生成された色階調の全域に渡りこの要求を完全に満たすことは困難である。しかしながら、光沢調整が良好な印刷画像と光沢調整が不良な印刷画像を主観的に相対比較することは容易に可能である。
上記に定義したインクジェットプリンタの信頼性に関して、信頼性のある水性顔料系インクを得るための一般的な1つの方法として、インク組成に自己分散型顔料を使用することが挙げられる。「自己分散型」という表現が一般的に示すように、このような顔料は、水性キャリア中で顔料分散を安定させるための分散剤、例えば高分子分散剤や界面活性剤を必要としない。顔料を自己分散型にするために、顔料粒子の表面に電荷を有する官能基を十分な数、導入させる。この方法は、カーボンブラック等のブラック顔料に広く適用されている。自己分散型の有色有機顔料の製造方法も開発されている。
普通紙への印刷品質において、自己分散型顔料を使用する水性顔料系インクには優位な点がある。とりわけ、印刷品質に優れ、これは自己分散型顔料を使用した場合、顔料成分を比較的多く添加出来ることによる。普通紙にインクが印刷される場合、一般的に、顔料成分の量が多いと光学濃度が高くなる。上記の通り、光学濃度が低いことで「鈍い」と認識される画像と比較して、光学濃度が高くなると一般的に消費者に好まれる画像が得られる。
一方、光沢のある専用コート紙での印刷品質において、自己分散型顔料を使用する水性顔料系インクには不利なことがある。例えば、専用コート紙では著しい光沢不良を伴なう画像となることがある。また、光沢のある専用コート紙では、印刷画像の付着力が不足する傾向にある。
専用コート紙において、自己分散型顔料を使用するインクの印刷品質の欠陥を解決する単純かつ明確な方法は、インク組成物に樹脂高分子分散剤または同様のバインダーを1種類以上添加することである。このアプローチは、従来技術において広範に使用されている。従来の高分子分散剤またはバインダーを使用するこの一般的なアプローチは、印刷画像の付着力を専用コート紙へ付与することには、合理的に成功したが、良好な光沢を示す画像を光沢のある専用コート紙で得ることには成功していない。以下の例全てにおいて、安定な分散を得るために分散剤が必要な非自己分散型顔料の使用により通常得られる光沢に比較して、自己分散型顔料/バインダーの組合せのそれは相当に劣る。
欧州特許第0894835号公報(特許文献1)においては、顔料粒子の表面に複数のスルホン酸基が存在する自己分散型顔料を含むインクジェット記録用液体が開示されている。この公報におけるほとんどの実施例において、インク組成には専用コート紙へのインクの付着力を向上させるための水性樹脂が含まれる。この公報において、水性樹脂は、水溶性樹脂、水分散性樹脂、コロイド分散性樹脂またはそれらの組合せから構成される群から選択される。水性樹脂の具体例には、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリアミド系、ポリウレタン系およびフッ素含有の水溶性および水分散性樹脂が含まれる。具体例としては、市販のアクリル系樹脂エマルジョン、市販のアクリル系樹脂溶液およびメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸の3つの基からなる特別に合成された高分子が使用されている。上記の水性樹脂を含有するインクに関して、専用コート紙上での良好な付着力が請求されている。
米国特許第6051057号(特許文献2)においては、水溶性着色剤、水溶性有機溶媒および特定の3つの化合物を含んでなるインクジェット記録用のインクが開示されている。この公報においては、水溶性着色剤は、水溶性顔料およびエマルジョンを含有するものとして規定され、顔料は、分散剤なしで水溶液中に安定して分散する。したがって、これを自己分散型顔料と称することもできるが、当該公報中において発明者は、その顔料着色剤を「水溶性顔料」と称することを好んでいる。エマルジョンを添加する目的は、印刷画像の付着力を向上させるためである。好ましくは、エマルジョンは、連続相としての水およびアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂またはそれらの混合物で構成される群から選択されたものの分散相で構成される。
米国特許第6132502号(特許文献3)には、分散剤なしで水に分散および/または溶解する顔料、水溶性エマルジョンおよびジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルまたはその混合物から構成される群から選択されたグリコールエーテルを含有するインク組成物が開示されている。ここで水溶性エマルジョンは、連続相およびアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂またはそれらの混合物で構成される群から選択されたものの分散相で構成される。
特開2000−169769号公報(特許文献4)には、自己分散型顔料と、アクリル酸およびマレイン酸または無水マレイン酸で構成される水溶性および/または分散型高分子とを含むインクジェット記録用液体が開示されている。上記水溶性および/または分散型高分子に加えて、他の水性高分子添加剤が印刷されたインクの付着力を向上させるものとして説明されている。とりわけ、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロースエステルおよびポリビニルピロリドンが挙げられている。
国際公開第01/94476号(特許文献5)には、水性キャリア、自己分散型顔料および高分子バインダーを含んでなるインクジェット用インク組成物が開示されている。アクリル系樹脂に分類される高分子バインダーは、印刷されたインクの付着力を向上させるものとして説明されている。
これらの公報に記載のインクによれば、専用紙への良好なインク付着性が実現出来るとされている。しかし、本発明者の知る限りでは、これら公報に記載のインクによっても専用コート紙における光沢の改善は十分なものではない。
欧州特許第0894835号公報 米国特許第6051057号公報 米国特許第6132502号公報 特開2000−169769号公報 国際公開第01/94476号公報
発明の概要
本発明者らは、今般、ある種の水分散型高分子化合物を用いることにより、自己分散型顔料を含みながら良好な印刷特性を有し、かつ良好な品質の印刷物を与えるインク組成物が実現できるとの知見を得た。とりわけ、光沢のある専用コート紙において優れた付着性と、光沢性とをともに有する印刷物が実現できるとの知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。
従って、本発明は、自己分散型顔料を含みながら良好な印刷特性を有し、かつ良好な品質の印刷物を与えるインク組成物が実現できる、とりわけ、光沢のある専用コート紙において優れた付着性と、光沢性とをともに有する印刷物が実現できるインク組成物の提供をその目的としている。
そして、本発明によるインク組成物は、自己分散型顔料と、水分散型高分子化合物と、水とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、
前記水分散型高分子化合物が前記自己分散型顔料に吸着されてなり、
該インク組成物を、遊離の前記水分散型高分子化合物は透過させるが、前記自己分散型顔料は透過させない条件のゲル濾過クロマトグラフィーに適用したとき、透過する前記水分散型高分子化合物の量がインク組成物中の全水分散型高分子化合物の20%以下であることを特徴とするものである。
発明の具体的説明
本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印字方式が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。
自己分散型顔料
本発明において用いられる自己分散型顔料は、分散剤または界面活性剤無しに水に分散および/または溶解が可能な顔料を意味する。
本発明において用いられる自己分散型顔料は、顔料を改質して製造される。具体的には、本発明における自己分散型顔料は、電荷を有する官能基を意図的に十分な数ほど顔料粒子の表面に導入するという公知の方法により製造可能である。
自己分散型顔料の製造方法の例として、以下の方法が挙げられる。代表的な方法として、顔料を強力な酸化剤である次亜塩素酸ナトリウム水溶液と発熱反応させて、顔料表面に、電荷を有する官能基を導入する。同様に使用される他の酸化剤には、過マンガン酸カリウム、塩素酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、硝酸およびオゾンが挙げられる。酸化剤を使用するこの方法は、実質的に、カーボンブラック顔料のみに適用される。顔料表面に、電荷を有する官能基を導入する別の代表的な方法としては、顔料とアリールジアゾニウム塩を反応させるものがある。この方法では、電荷を有する官能基はアリールジアゾニウム塩のアリール基部分に共有結合されている。この方法の最も一般的な態様では、スルホン酸基またはカルボン酸基が電荷を有する官能基となる。アリールジアゾニウム塩を使用するこの方法は、カーボンブラック顔料および有色有機顔料の両方に適用できる。顔料表面に電荷を有する官能基を導入させる別の代表的な方法としては、顔料とスルホン化剤、例えば三酸化硫黄やピリジン三酸化硫黄を反応させるものがある。この方法では、電荷を有する官能基はスルホン酸基であり、顔料表面に直接導入される。スルホン化剤を使用するこの方法は、カーボンブラック顔料および有色有機顔料の両方に適用できる。
このような自己分散型顔料の安定性は、実際の条件または劣化加速条件での時間の変化に対する粘度、表面張力、pHおよび粒子径等の物理的特性の定常性により示される。一般に顔料の密度は、水より高いので、時間の経過とともに、沈降が発生することは避けられない。高沈降率は、分散安定性が悪いことを示す。高沈降率を示す分散では、沈降に伴なう物理的特性の変化を容易に測定できる。十分なほどの低沈降率、例えば1年当たり10%未満、は分散安定性が高いことを示す。自己分散型顔料の注視すべき特性は、自己分散型顔料を含む分散水溶液の表面張力が水(72 dynes/cm、25℃)に近いことである。高分子分散剤および界面活性剤は、純粋な顔料分散溶液の表面張力を低下させる(60 dynes/cm未満、25℃)傾向がある。
自己分散型顔料の原料となる顔料は、一般的に「顔料」という用語は水不溶性着色剤を意味するが、自己分散型顔料の粒子がより細くなると、水溶性着色剤、例えば染料、と識別することは困難になる。とりわけ、自己分散型顔料の分散液に超遠心機で発生させた大きな遠心力を適用しても、無視できないほどの量の自己分散型顔料が水性キャリアからの完全な分離に抵抗する。しかしながら、一般的な定義の目的のため、ここでは、「顔料」という用語を実質的に水不溶性である着色剤とするが、実質的という意味は、重量比で95%を超えるということである。それらの好ましい例としては、以下の顔料群が挙げられる。
まず、ブラック顔料として、カーボンブラックが挙げられ、これは、公知の方法、例えば接触法、火炉法、ガス法およびサーマル法等により生産される。具体的には、以下のものが挙げられる。Raven 1170(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、スペシャルブラック4A(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、S160(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、S170(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、FW18(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、FW200(Degussa社製;C.I.ピグメントブラック7)、Raven 5000(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、Raven 3500(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 2038(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 7035(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 6026(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、CD 7004(Columbian Chemicals社製;C.I.ピグメントブラック7)、MA100(三菱化学株式会社製;C.I.ピグメントブラック7)、No.45(三菱化学株式会社製;C.I.ピグメントブラック7)、Vulcan XC72R(Cabot社製;C.I.ピグメントブラック7)、Monarch 1000(Cabot社製;C.I.ピグメントブラック7)、およびMonarch 880(Cabot社製;C.I.ピグメントブラック7)。
ブラック以外の有色顔料も利用可能である。その例としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオキサン系、ベンゾイミダゾロン系、アントラキノン系、インダントロン系およびペリレン系の顔料が含まれる。本発明において利用可能な顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる:シムラーファーストイエローGF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー12)、シムラーファーストイエローGRF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー13)、シムラーファーストイエロー5GF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー14)、Irgalite Yellow CG(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー16)、シムラーファーストイエローHGF(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー17)、シムラーファーストイエロー4117(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー73)、シムラーファーストイエロー4191N(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー74)、シムラーファーストイエロー4181(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー83)、Chromophthal Yellow 3G(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー93)、Chromophthal Yellow GR(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー95)、シムラーファーストイエロー4186(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー97)、Hansa Brilliant Yellow 10GX(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー98)、Permanent Yellow G3R−01(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー114)、Chromophthal Yellow 8G(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー128)、Irgazin Yellow 5GT(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントイエロー129)、Hostaperm Yellow H4G(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントイエロー151)、シムラーファーストイエロー4192(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントイエロー154)、トナーイエローHG(Clariant社製;C.I.ピグメントイエロー180)、Hostaperm Orange GR(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントオレンジ43)、Paliogen Orange(BASF社製;C.I.ピグメントオレンジ51)、シムラーブリリアントカーミン(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントレッド57:1)、ファーストゲンスーパーマゼンタ(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントレッド122)、トナーマゼンタEO(Clariant社製;C.I.ピグメントレッド122)、Paliogen Red L3870(BASF社製;C.I.ピグメントレッド123)、Hostaperm Scarlet GO(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントレッド168)、Permanent Rubine F6B(Hoechst Celanese社製;C.I.ピグメントレッド184)、Monastral Magenta(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントレッド202)、Monastral Scarlet(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントレッド207)、ファーストゲンブルーGP−100(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:2)、ファーストゲンブルーGNPR(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:3)、トナーシアンB(Clariant社製;C.I.ピグメントブルー15:3)、ファーストゲンブルーGNPS(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントブルー15:4)、Micracet Blue R(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントブルー60)、ファーストゲングリーンS(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントグリーン7)、ファーストゲングリーン2YK(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントグリーン36)、ファーストゲンスーパーレッド(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントバイオレット19)、ファーストゲンスーパーバイオレット(大日本インキ化学工業株式会社製;C.I.ピグメントバイオレット23)、Monastral Maroon RT−229−D(Ciba−Geigy社製;C.I.ピグメントバイオレット42)。
本発明において、自己分散型顔料として市販のものを利用することも可能である。カーボンブラックの自己分散型顔料の具体例としては、Cabot社より異なる2種類の製品として販売されているCAB−O−JET200(スルホン化カーボンブラック)およびCAB−O−JET300(カルボキシル化カーボンブラック)が挙げられる。他の具体例としては、オリエント化学工業株式会社製のBonjet Black CW−1や同CW−2が挙げられる。有色の自己分散型顔料としては、Cabot社より入手可能なCAB−O−JET250Cシアン(スルホン化フタロシアニン銅顔料)、CAB−O−JET260Mマゼンタ(スルホン化キナクリドン顔料)、CAB−O−JET270Yイエロー(スルホン化アゾ顔料)が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、自己分散型顔料は、好ましくは自己分散型カーボンブラックである。本発明の別の好ましい態様によると、自己分散型顔料の平均粒子径は、50〜200ナノメートルである。本発明のインク組成物中の自己分散型顔料の量は、0.1〜15重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
水分散型高分子化合物
本発明によるインク組成物において、この水分散型高分子化合物は、上記した自己分散型顔料に吸着し、その吸着の程度は、遊離の前記高分子化合物は透過させるが、前記自己分散型顔料は透過させない条件のゲル濾過クロマトグラフィーに適用したとき、透過する前記高分子化合物の量がインク組成物中の全高分子化合物の20%以下であるものを意味する。
このような性質の水分散型高分子化合物は、以下の要件を満たすものである。
第1に、化合物は高分子化合物と分類され得るものでなければならない。通常の定義によれば、高分子化合物とは、実質的に繰返し構造ユニットの重合により構成される化合物または化合物の混合物である。個々の繰返し構造ユニットは、「モノマー(単量体)」と称される。本発明の水分散型高分子化合物は、単一のモノマーまたは数種類の異なるモノマーの複雑な混合から構成され得る。モノマーの組合せは、ランダム型、順序型、またはランダム型/順序型の組合せからなり得る。高分子化合物は、直鎖型、側鎖型、または直鎖型/側鎖型の組合せからなり得る。
第2の要件は、化合物が水分散型でなければならないことである。ここで、水分散型とは、ある限度範囲内での一般的な性質として定義される。一方の極限では、完全な水溶性である。このような水分散型高分子化合物は、分子レベルで有効に「分散」される。水分散型の定義のもう一方の限度は、上記の自己分散型顔料のものと実質的に同等である。上記と同じように、「自己分散型」とは、水分散型高分子化合物が、水中で、高分子化合物の安定分散液を得るために補助分散剤を必要としないことを意味する。一般的に、高分子化合物の水中での自己分散性は、高分子化合物中に電荷を有する官能基を含ませることにより得られる。水分散型高分子化合物の負の電荷の官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸などがイオン化された形が挙げられる。また、水分散型高分子化合物の正の電荷の官能基としては、プロトン付加された形または4級の形のどちらかであるアミンが挙げられる。水分散型高分子化合物の安定性は、水性分散液の物理的特徴(粘度、表面張力、pHおよび粒子径)が、実際の条件下または劣化加速条件下で、経時的に変化しないことで示される。非水溶性の化合物に関しては、多くの高分子化合物の密度は、水のそれより大きいので、水分散型高分子化合物の沈降が経時的にいくらか発生することは不可避である。しかしながら、本発明の水分散型高分子化合物の沈降率は、1年当たり10%未満を十分に下回ることが必要である。
第3の要件は、この高分子化合物が自己分散型顔料に吸着すること、そしてその吸着の程度は、遊離の高分子化合物は透過させるが、自己分散型顔料は透過させない条件のゲル濾過クロマトグラフィーに適用したとき、透過する高分子化合物の量がインク組成物中の全高分子化合物の20%以下であるものあること、である。このような水分散型高分子化合物の自己分散型顔料への吸着の程度を、本明細書では、「水分散型高分子化合物の自己分散型顔料への不可逆的な結合」ということがある。
従来の、一般的な、自己分散型顔料ではない顔料の分散液において、50%以上の高分子分散剤が顔料に不可逆的に結合されたものを得ることは格別困難ではない。顔料分散液の調製に使用されるミル加工により、顔料表面への高分子分散剤の不可逆的な結合がもたらされる。高分子分散剤および顔料の種類および相対量を適切に選択することで、高分子化合物の80%以上が顔料に不可逆的に結合した従来の顔料分散液も比較的簡単に生成できる。しかしながら、対照的に、顔料が自己分散型顔料の場合、水分散型高分子化合物を顔料に高い比率で不可逆的に結合させたものを得ることは容易ではない。
本発明にあって、インク組成物中において水分散型高分子化合物が自己分散型顔料へ不可逆的に結合していることは、定性的かつ定量的に、ゲル濾過クロマトグラフィーにより確認される。本発明の好ましい態様によれば、サイズ排除クロマトグラフィーが好ましい。このゲル濾過クロマトグラフィーは、遊離の水分散型高分子化合物は透過させるが、自己分散型顔料は透過させない条件とされる。後記するように、自己分散型顔料に水分散型高分子化合物が吸着したとき、その見かけの粒径は変化する可能性があるが、自己分散型顔料は透過させないゲル濾過クロマトグラフィーの条件では、水分散型高分子化合物が吸着した自己分散型顔料は無論透過させない。一方で、このゲル濾過クロマトグラフィーは、遊離の水分散型高分子化合物は透過させる。その結果、インク組成物には含まれるが、自己分散型顔料に吸着した水分散型高分子化合物はこのゲル濾過クロマトグラフィーを透過しないが、インク組成物中において自己分散型顔料に吸着しないで遊離の形態にある水分散型高分子化合物は透過する。本発明にあっては、このゲル濾過クロマトグラフィーを透過する水分散型高分子化合物の量は、インク組成物中に存在する全ての水分散型高分子化合物の20%以下である。言い換えれば、インク組成物中に存在する全ての水分散型高分子化合物の80%以上が自己分散型顔料に吸着し、このゲル濾過クロマトグラフィーを透過しない。本発明の好ましい態様によれば、ほぼ全ての水分散型高分子化合物が自己分散型顔料に吸着してなることが好ましい。
従って、本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物の製造にあたり、次のような確認作業がなされることが好ましい。まず、インクサンプルとブランクサンプル(自己分散型顔料部分がないことだけがインクサンプルと異なる)を準備する。次に、(1)水分散型高分子化合物のピークが溶媒やインクの添加化合物のそれよりも明確に分離される、(2)水分散型高分子化合物の分子量がカラムの最大排除限界を超えないように、サイズ排除クロマトグラフィーのカラム、溶出液および溶出条件を選択する。ここで重要なのは、顔料部分/顔料および不可逆的に結合している高分子化合物部分が捕獲され、結合していない高分子化合物からはっきりと分離されるプレカラムであることは言うまでもない。具体的な分析は次のように行う。すなわち、一定量のブランク溶液を注入し、高分子化合物のピーク面積が測定される。次に、同じ一定量のインク溶液を注入し、再びピーク面積が測定される。面積の相対比較により、自己分散型顔料部分に不可逆的に結合している水分散型高分子化合物の割合が示される。
さらに、インク組成物の形態に既にあるインク組成物のみを分析して、自己分散型顔料部分に不可逆的に結合している水分散型高分子化合物の割合は、例えば次のような方法で知ることが出来る。概略述べれば、インク組成物中に含まれる固形分、すなわち自己分散型顔料と、自己分散型顔料部分に結合している、およびしていない双方の水分散型高分子化合物との総量を求め、それから、インク組成物中に含まれる自己分散型顔料の量と、自己分散型顔料部分に結合していない水分散型高分子化合物の量とを差し引くことにより、自己分散型顔料部分に不可逆的に結合している水分散型高分子化合物の量を求めることが出来る。
ここで、インク組成物中に含まれる固形分の総量は、インク組成物の揮発成分を蒸発させて除くことにより得ることが出来る。
また、インク組成物中に含まれる自己分散型顔料は、例えば紫外可視分光分析法により、既知の自己分散型顔料を標準試料として、定量可能である。インク組成物に含まれる自己分散型顔料がどの様な種類であるのかについて、予備的な試験により知見を得れば、それに準じて標準試料を決めることが出来る。カーボンブラックの自己分散型顔料の標準試料としては、例えば、市販されている自己分散型顔料CAB−O−JET200、CAB−O−JET300、ボンジェットブラックCW−1、CW−2などが挙げられる。また、銅フタロシアニン顔料の標準試料としては、市販されているCAB−O−JET250Cが挙げられる。キナクリドン顔料の標準試料としては、市販されているCAB−O−JET260Mが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー74の自己分散型顔料の標準試料としては、CAB−O−JET270Yが挙げられる。標準試料として利用可能な自己分散型顔料が他にも存在することは無論であり、標準試料を適宜決定すれば、インク組成物中に含まれる自己分散型顔料の量を知ることが出来る。
さらに、自己分散型顔料部分に結合していない水分散型高分子化合物の量は、上記したゲル濾過クロマトグラフィーにより知ることが出来る。
以上のとおり、インク組成物の形態に既にあるインク組成物のみを分析して、自己分散型顔料部分に不可逆的に結合している水分散型高分子化合物の量を求めることができる。
本発明の好ましい態様によれば、ゲル濾過クロマトグラフィーのカラムとして、TSK−GEL PWXLシリーズ(TSKgel GMPWXL、TSKgel G6000PWXL等)、TSK−GEL PWシリーズ(TSKgel GMPW、TSKgel G6000PW等)(いずれも東ソー株式会社より入手可能な水性サイズ排除クロマトグラフィーのカラムおよびガードカラムである)の利用が好ましい。TSKガードカラムPWXLの利用がより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、溶出液にはリン酸およびホウ酸緩衝溶液の利用が好ましい。また、温度管理および流量速度は適宜決定されてよい。
理論的な根拠は明らかではないが、自己分散型顔料へ水分散型高分子化合物を不可逆的に結合させるために重要と思われる要素がある。それは、具体的には、この高分子化合物は、自己分散型顔料の表面への結合を促進するために疎水性基を有することが好ましいということである。自己分散型顔料の表面には電荷を有する官能基があるが、残りの広大な顔料表面は、圧倒的に疎水性である。顔料表面の疎水性部分と水分散型高分子化合物間にイオンを介さない親和力を得るためには、高分子化合物が疎水性基を含むことが好ましいと考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、自己分散型顔料に不可逆的に結合する水分散型高分子化合物の具体例としては、ポリウロン酸と、その還元末端に還元的アミノ化により付加されたグリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンとからなるポリウロン酸誘導体が挙げられる。さらに好ましい態様によれば、グリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンが、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンであるものが好ましい。この化合物は2つの部分から構成され得る。親水性のポリウロン酸部分とグリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンから誘導される疎水性部分である。ポリウロン酸部分自体は、中和塩の形で水溶性溶液中で良好な溶解性を示し、対イオンは一価の陽イオンである。ポリウロン酸部分の中和塩は、水以外の溶媒への溶解性は悪い。グリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンから誘導される疎水性部分は、疎水性基ということから予測できるように水には不溶かほとんど溶解しない。親水性部分と疎水性部分を組合わせることにより、水分散型化合物がもたらされる。
ポリウロン酸誘導体部分は、1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)および1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)からなるポリウロン酸の群より選択される。ポリウロン酸は、天然物質から得ることができ、少量の他のウロン酸糖類/非ウロン酸糖類を含有することがある。1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)のD−ガラクツロン酸含量は、好ましくは85重量%を超える。1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)のL−グルロン酸含量は、好ましくは80重量%を超える。1,4−結合ポリ(α−D−ガラクツロン酸)は、レモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジ、マンゴ、リンゴ、サンフラワーおよびサトウダイコン等の果実から得られる天然ヒドロコロイドであるペクチンの脱エステル化および加水分解により得ることができる。1,4−結合ポリ(α−L−グルロン酸)は、ジャイアントケルプ(Macrocystis pyrifera)、ホーステールケルプ(Laminaria digitata)およびシュガーケルプ(Laminaria saccharina)等の海草から得られる天然多糖類であるアルギン酸を部分加水分解することにより得ることができる。ポリウロン酸誘導体の出発物質の数平均分子量は、好ましくは、500以上10、000以下である。
ポリウロン酸の還元末端に還元的にアミノ化されてなるグリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミン部分の数平均分子量は、好ましくは1000以上15、000以下である。グリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンは、市販品を利用することも可能であり、Huntsman Corporation社(Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)より3つの等級が市販されている。Jeffamine XJT−509(約3000g/mole)、Jeffamine T−4000(約4000g/mole)、およびJeffamine T−5000(約5000g/mole)である。これら3つの等級品は、疎水性高分子の性質から予測されるように水に不溶であるが、一方、アルコール性溶媒および極性有機溶媒に対する溶解性は極めて高い。
ポリウロン酸の還元末端へのグリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンの還元的なアミノ化に関して、次の2つの事項を考慮することが好ましい。第1に、グリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミン1分子あたりにポリウロン酸1分子だけを還元的にアミノ化させるためには、ポリウロン酸に対して、少なくとも3当量以上トリアミン分子を過剰に使用する必要があることである。これは、トリアミン分子が3つの反応アミノ基を有するからである。第2に、反応剤の混合および還元的アミノ化は、均一溶液中で行うことが好ましいことである。水を含有する極性有機溶媒がこの目的には有効である。公知の方法の使用により、還元的アミノ化反応を行うことができる。還元的アミノ化は、ボラン化合物、水素化ホウ素化合物、またはシアノ水素化ホウ素化合物を使用することによって簡便に実施できる。還元的アミノ化は、金属触媒を使用する接触水素化によっても簡便に行うことができる。一般的な金属触媒としては、すべての第8族金属が対象となるが、ニッケル、パラジウム、白金およびルテニウムが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、自己分散型顔料100重量部に対して、水分散型高分子化合物を10重量部以上含有してなることが好ましく、より好ましくは15重量部以上である。また、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物中の水分散型高分子化合物の量は、0.1〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜8重量%程度である。本発明の好ましい態様によれば、ある濃度において水分散型高分子化合物の自己分散型顔料への吸着がほぼ100%とされたとき、それをわずかに越える量の水分散型高分子化合物、すなわち、一部の水溶性高分子化合物が自己分散型顔料へ吸着しない量の水分散型高分子化合物が添加されることが好ましい。一般的には、吸着される水分散型高分子化合物の絶対量が増加するにつれて専用コート紙上の印刷画像でよりよい光沢が得られるからである。
水および他のインク成分
本発明によるインク組成物おいて、水は主要な溶媒である。本発明によるインク組成物は、水に加え、以下の成分、とりわけ溶媒成分を含むことが出来る。本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物中の水の量は、75〜99.8重量%であることが好ましい。
本発明によるインク組成物は、任意に1種以上の水溶性有機溶媒を含有できる。水溶性有機溶媒の例としては、(1)イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、(2)アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、(3)テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、(4)エチルアセテート、プロピレンカルボネート等のエステル類、(5)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、チオジグリコール、グリセロール等の多価アルコール類、(6)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−アミルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−イソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−イソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルおよびジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等の多価アルコール類の低級アルキルエーテル、(7)尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素含有化合物、(8)ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド等のイオウ含有化合物が挙げられる。これら水溶性有機溶媒の量は特に限定されないが、好ましくはは0.5〜40重量%の範囲である。
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、アニオン性または非イオン性界面活性剤からなる群から選択される1種以上の浸透性付与界面活性剤を任意に含んでなることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホネートおよび高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、脂肪族エチレンオキシド付加物、高級アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物、脂肪酸アミドのエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミン脂肪酸アミドおよびエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー等が挙げられる。アセチレン系ジオールまたはアセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物の利用が好ましく、これらの例としては、サーフィノール104(テトラメチルデシンジオール)、サーフィノール465(エトキシル化テトラメチルデシンジオール)、サーフィノールCT−136(アセチレン系ジオールとアニオン界面活性剤との配合物)、サーフィノールGA(アセチレン系ジオール配合物)およびサーフィノールSTG(エチレングリコールへのアセチレン系ジオール配合物)が挙げられる(これらは、米国、18195、ペンシルベニア州アレンタウンにあるAir Products and Chemicals Inc.社より市販されている)。また、エトキシル化/プロポキシル化シリコン系界面活性剤(BYK347、同348等、ドイツのBYK Chemie GmbH社より市販されている)も好ましく用いることが出来る。これら浸透性付与界面活性剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは0.01〜5重量%の範囲である。
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、上記の浸透性付与界面活性剤の他、自己分散型顔料部分へ不可逆的に結合されていない水性高分子化合物を含むこともできる。この化合物を添加は、専用コート紙上の印刷画像の擦れ、傷への対抗性を改善する観点から好ましい。このような水溶性高分子化合物の例としては、スチレン/アクリル酸コポリマー・エマルジョン、スチレン/メタクリル酸コポリマー・エマルジョン、スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸コポリマー・エマルジョン、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸コポリマー・エマルジョンおよび水性ポリウレタン・エマルジョンが挙げられる。
また、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は1種類以上の塩基を含んでいてもよい。使用可能な塩基としては、例えば、以下のものが挙げられる:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、N,N−ジメチル−モノエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウム。インクは、pH緩衝剤、殺生物剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、腐蝕防止剤および酸化防止剤などの添加剤を含有してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物の粘度は、20℃で10cps未満とされることが好ましい。この粘度は、上記した添加成分の種類、量を適宜選択することで好ましく調整できる。
インクの調製
本発明によるインク組成物は、上記した成分を、適宜分散、混合して得ることが出来る。本発明の好ましい態様によれば、成分を混合後、50℃を超える温度でインク組成物を短時間攪拌することにより、粘度が一定のインクが得られることから好ましい。また、本発明の別の好ましい態様によれば、成分を混合後、インク組成物に超音波処理浴槽中で短時間超音波処理を行なうことにより、粘度が一定のインクが得られることから好ましい。また、濾過によりインク組成物中の大きい粒子を除去することが望ましく、例えば金属製メッシュフィルタまたはメンブレンフィルタを用いて濾過することが好ましい。この濾過は、インク組成物に圧力を加えるか、濾過装置の受容端の圧力を減少させることによって行なってもよい。濾過処理の前に、遠心分離を使用して、粒子径が大き過ぎるものを除去することも好ましい。
インク組成物の性能
本発明によるインク組成物は専用コート紙において信頼性のある印刷品質を実現する。理論的な理由は定かではないが、このような効果は、水分散型高分子化合物が自己分散型顔料の表面へ良好に吸着することにより実現できるものと考えられる。さらに、その付着力においても良好な印刷物が実現できる。
また、理論的な理由は定かではないが、本発明によるインク組成物は、自己分散型顔料がその表面に水分散型高分子化合物が吸着された後でも、自己分散型顔料も持つ有用の特徴を保持しているため、信頼性のある印刷性能を実現することができるものと考えられる。さらに、自己分散型顔料の有用の特徴が保持されるだけでなく、自己分散型顔料/高分子化合物の組合せにより安定性がより向上するものと考えられる。さらに、理論的な理由は定かではないが、自己分散型顔料がその表面に水分散型高分子化合物が吸着された後でも、自己分散型顔料も持つ有用の特徴を保持しているため、本発明によるインク組成物は、普通紙においても信頼性のある印刷品質を実現すると考えられる。具体的には、顔料の含有量が多いインクの調製が可能であるため、普通紙上で光学濃度が高い画像が実現でき、優れた印刷品質を得ることができると考えられる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
水分散型高分子化合物A(実施例)
温度計、オーバーヘッドスターラ、および冷却器を取り付けた四口1L丸底フラスコを温度調節ができる加熱用マントルにぴったりと入れた。81%のギ酸溶液600g(脱イオン水と88%試薬級のギ酸(関東化学株式会社製)より調製した)をフラスコに加えた。次に、ゆっくりと攪拌しながらギ酸溶液を90℃までに加熱した。さらに、激しく攪拌しながら、パウダー・ファンネルを使用してリンゴ製ペクチン45g(Classic AM 201、Herbstreith&Fox社製、ドイツ)を加熱したギ酸溶液にゆっくりと加えた。フラスコの四つ目の口は、窒素流でシステム内を急速にパージした後、ガラス栓で栓をした。パージ後、オイルバブラーに接続した窒素インレットアダプターを冷却器の頂部に取り付け、遅目に調整した窒素流を、オイルバブラーを通して、流し始めた。ペクチンは60分間激しく攪拌することにより完全に溶解した。次に、溶液を穏やかに攪拌しながら、溶液を加熱還流の状態まで加熱した。攪拌しながら加熱還流を連続5時間行ない、その後、溶液を約40℃までに自然冷却した。少量の茶色の不溶性不純物を除去するために、この温かい溶液をワットマン濾紙No.1で濾過して、1Lの三角フラスコに濾液を移した。その後、集めた濾液を1Lのナス型フラスコに移した。ウォーターバス温度を60℃に設定し、循環型アスピレータ装備のロータリーエバポレータを使用して、フラスコ内に粘度のある薄茶色の油性残留物が析出するまで、溶液を蒸発させた。フラスコにエタノールを700mL加えると、黄色がかった白色結晶固体の沈殿が直ちに発生した。受容フラスコ内を減圧するためにアスピレータを使用し、固体を微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で濾過して集めた。固体を約400mLのエタノールで2回洗浄し、自然乾燥させた。最後に、恒量となるまで固体を真空乾燥させた。生成物の収量は14.5gであった。また、生成物は、ジメチル−d6スルホキシド((CD32SO)およびトリフルオロ酢酸−d1(CF3CO2D)溶液中での1H NMRならびにD2O溶液中での13C NMRによって構造を決定した。この両方のスペクトルは、高純度のポリガラクツロン酸の混合物のものと同一であった。この調製を、ポリガラクツロン酸の総量が40g超になるように、さらに2回繰り返した。
2Lビーカーに入れた脱イオン水400mLに、上記の通り製造したポリガラクツロン酸40gを加え、スラリー状にした。磁気攪拌子で攪拌しながら、混合物を約50℃にまで加熱し、ポリガラクツロン酸のほとんどを溶解した。溶液が室温になるまで自然冷却した後、攪拌しながら98%ギ酸(関東化学株式会社)35gを加えた。次に、2‐ピロリドン(関東化学株式会社)600gを加え、3日間放置した。この間に、少量の固形物がビーカーの底に沈殿した。上澄み液の半分を1Lのナス型フラスコに注意して移した。ウォーターバス温度を50℃に設定し、循環型アスピレータ装備のロータリーエバポレータを使用して、水およびいくらかのギ酸アゼオトロープを蒸発させた。蒸発後、この工程を終了させ、残りの溶液を2Lビーカーへ移した。処理されていない上澄み液の残りの半分を1Lのナス型フラスコに注意して移し、最初の上澄み液と同様に処理した。処理された上澄み液と2‐ピロリドン溶液の混合溶液を磁気攪拌子で攪拌した。この溶液を攪拌しながら、Jeffamine T−5000グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン(Huntsman Corporation社、Performance Chemicals Division、ヒューストン、テキサス州、米国)80gを加えた。次に、2,4,6−トリメチルピリジン5gを加え、この混合溶液を7日間放置した。次に、ジメチルアミン−ボラン錯塩15gを加え、この混合溶液を48時間攪拌した。この間、溶液の色が著しく明るくなった。次に、この溶液を5Lビーカー内のイソプロパノール4Lに注いだ。ビーカーにカバーをして、一晩放置した。デカンテーションにより透明な上澄み液を除去して捨てた。攪拌しながらイソプロパノールを混合物に加え、全体の体積を5Lにした。再び混合物を一晩放置し、上澄み液を除去して捨てた。このイソプロパノールの補充と除去を、さらに2回繰り返した。残留固体生成物は60mLチューブで3分間20、000rpmの遠心分離をすることで回収した。回収した固体生成物は、乾燥のためドラフトチャンバーに放置した。回収した固体生成物を脱イオン水700mLで溶解し、縣濁溶液を得た。この溶液を、分子量30,000等級のメンブレン孔径であるセルロースプレート1枚で構成されたMillipore Pellicon Miniシステムを使用した限外濾過により精製した。メンブレンを通過した溶液は回収後に捨てた。残留生成物は、約250mL体積にまで濃縮した。その結果、最終的な分散液中の固体の割合は約15%となった。分散液のpHをモニタし、pHが9.2で一定値になるまで、攪拌しながら水酸化リチウム一水和物(8重量%)水溶液を滴下した。このpH調整工程の後、実際の固体濃度を、70℃で徹底的にサンプルを乾燥後、重量分析により決定した。回収した分散液は、乳白色であった。水性分散液中の水分散型高分子化合物の実際の量は、14.5重量%だった。
水分散型高分子化合物B(比較例)
スチレン/アクリル酸樹脂Joncryl680(Johnson Polymer社、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国)の20重量%の溶液を、19.226gのJoncryl680と38.653gの水酸化リチウム一水和物(8重量%)溶液を溶解して調製し、最終的な溶液として96.12g得た。痕跡量程度の不溶性残留物は、0.2μmのシリンジ・アダプタ・フィルタにより濾過して除去した。
水分散型高分子化合物C(比較例)
ポリアクリルアミド(製品番号:43、494‐9;平均分子量10、000)の50重量%の溶液(Aldrich Chemicals社(アメリカ合衆国)より入手)から、茶色の粒子を、10分間20、000rpmの遠心分離により除去して、これを水分散型高分子化合物Cとした。
水分散型高分子化合物D(比較例)
水分散型アクリル・エマルジョン溶液の45重量%分散液(Bonron S−416BF;Tg:−24℃;)を三井化学株式会社(東京、日本)から入手した。サンプルは、改質および精製なしで使用した。純水を用い、エマルジョン11.12gを全容量が20gになるまで、希釈して、これを水分散型高分子化合物Dとした。
水分散型高分子化合物E(比較例)
水分散型アクリル・エマルジョン溶液の45重量%分散液(Bonron S−464BF;Tg:−13℃;)を三井化学株式会社(東京、日本)から入手した。サンプルは、改質および精製なしで使用した。純水を用い、エマルジョン11.12gを全容量が20gになるまで、希釈して、これを水分散型高分子化合物Eとした。
水分散型高分子化合物F(比較例)
水分散型アクリル・エマルジョン溶液の45重量%分散液(Bonron S−476;Tg:2℃;)を三井化学株式会社(東京、日本)から入手した。サンプルは、改質および精製なしで使用した。純水を用い、エマルジョン11.12gを全容量が20gになるまで、希釈して、これを水分散型高分子化合物Fとした。
水分散型高分子化合物G(比較例)
水分散型アクリル・エマルジョン溶液の45重量%分散液(Bonron S−434;Tg:25℃;)を三井化学株式会社(東京、日本)から入手した。サンプルは、改質および精製なしで使用した。純水を用い、エマルジョン11.12gを全容量が20gになるまで、希釈して、これを水分散型高分子化合物Gとした。
ブラック顔料分散液
ブラック顔料分散液は、国際公開第01/94476号パンフレットの例2に記載の方法に類似した方法で調製した。カーボンブラックFW−18(Degussa社製)を顔料の出発物質として使用した。オゾンは、PCI Ozone社製のGL−1オゾン発生器を使用して、発生させた。Microfluidics社のMicrofluidizer装置を使用して、オゾンによる酸化と同時に顔料の分散混合を有効に行なった。得られた分散液をMillipore社から入手したPellicon Laboratory Systemによる限外濾過で、精製した。限外濾過の最終段階でグリセロールが添加され、顔料およびグリセロールの最終濃度は、9.5重量%であった。Honeywell MicroTrac(登録商標)UPA150粒子径分析機を使用して測定した分散液の平均粒子径は、98ナノメートルであった。
インク組成物の調製
表1に示した成分を、攪拌しながら、ガラスビーカに順番に添加した。混合物は、1時間攪拌した。オーバーヘッドスターラを使用して混合物をゆっくりと攪拌しながら、混合物に超音波浴槽で30分間ほど超音波照射した。次いで、混合物を8ミクロンのメンブレンフィルターで濾過し、インクジェット印刷用インクを得た。
ブラック顔料分散液 126.32g
脱イオン水 表1参照
グリセロール 12g
トリエチレングリコール 5g
2−ピロリドン 6g
トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 4g
1,2−へキサンジオール 5g
サーフィノール465(Air Products社製) 2g
サーフィノールSTG(Air Products社製) 0.2g
水酸化リチウム一水和物溶液(8重量%) 1.8g
水分散型高分子化合物溶液 表1参照
Figure 2005163017
上記インク組成に加えて、従来の顔料分散液であるブラックインク(セイコーエプソン製部品番号:T034120)を使用し、比較例8とした。
ゲル濾過クロマトグラフィー
水分散型高分子化合物の顔料への不可逆的な結合の程度を定量するサイズ排除クロマトグラフィーは、以下のシステムを使用して行った:(1)L‐6000ポンプ(日立工機株式会社)、(2)モデル556オーブン(ガスクロ工業株式会社)、(3)Shodex RI SE‐52屈折率差異検出器(昭和電工株式会社)および(4)D520 GPCインテグレータ(日立工機株式会社)。顔料/顔料部分および不可逆的に結合された高分子化合物を捕獲するプレカラムには、内径6.0mm、長さ4.0cmのTSKガードカラムPWXL(東ソー株式会社)を使用した。分析カラムには、内径7.5mm、長さ30cmのTSKgel G6000PW(東ソー株式会社)カラムを2個直列に接続して使用した。溶出液として、0.025Mの四ほう酸ナトリウム十水和物と0.0018Mの水酸化ナトリウムとの混合物(pHは約9.25)を使用した。溶出液の流量速度は0.8mL/分とした。
上記インク組成物と、そのブランクサンプル(自己分散型顔料部分がないことだけがインクサンプルと異なるもの)を準備した。サンプル注入量は10〜100マイクロリットルの間で選択し、減衰値0の時、ブランク溶液の水分散型高分子化合物部分がフルスケール信号応答になるようにした。最適なサンプル注入量を決定後、その一定量でブランク溶液を注入し、高分子化合物のピーク面積を測定した。次に、同じ一定量のインク溶液を注入し、再びピーク面積を測定した。得られた面積の相対比較により、自己分散型顔料に不可逆的に結合している水分散型高分子化合物の割合が示された。その値は、以下の表2に示されるとおりであった。
連続印刷試験
インク組成物の連続印刷条件下における信頼性を、以下のようにして評価した。まず、インクを脱気し、熱シール性アルミニウムパックにシールした。次に、インクをPM−900Cプリンタ(セイコーエプソン社製)のブラックインクプリントヘッドに装填した。最初に、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷して、インクが全てのノズルから良好に吐出される状態(ノズルから吐出されるインク液滴の角偏差は、正常状態のノズル面に対して約±0.5°以内)であることを確認した。印刷パターンを、1インチ当たり360ドットのベタブロックパターンに変え、A4サイズの用紙全面に印刷するようにした。この時の印刷速度は1分当たり4枚とした。ブロックパターンおよびラインパターンを印刷用紙に連続印刷して、100枚ごとに、飛行曲がり、ノズルの目詰まり、またはベタブロックの光学濃度の減少(5%未満)がないかどうかを評価した。試験したインクの全てについて、印刷した10、000枚の用紙に関して、飛行曲がり、ノズルの目詰まり、またはベタブロックの光学濃度の減少が観察されなかった。これは、信頼性が許容レベルにあることを意味する。
長期保存試験
上記インクのプリントヘッドにおける長期間保存についての信頼性を、以下のようにして評価した。まず、インクを脱気し、熱シール性アルミニウムパックにシールした。次に、インクをMJ−510Cプリンタ(セイコーエプソン社製)のブラックインクプリントヘッドに装填した。最初に、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷して、インクが全てのノズルから良好に吐出される状態であることを確認した。次に、インク供給源をプリントヘッドから外し、それからプリントヘッドをプリンタから取り外した。プリントヘッドを、キャップをせずに、恒温オーブン中40℃に4日間保存した。プリントヘッドをプリンタに再び取り付け、インク供給源をプリントヘッドに再び取り付けした。プリンタのクリーニング操作を実施した後、ノズルの全てを使用するラインパターンの印刷を行なった。クリーニング操作とそれに続くラインパターンの印刷を、全てのノズルにより良好な飛翔性で印刷できるまで、繰り返した。試験したインクの全てについて、完全に回復するのに必要とするクリーニング回数は4回以下であり、これは信頼性が許容レベルにあることを意味する。
熱サイクル試験
インク組成物の信頼性を、2つの極端な温度(−30℃および60℃)において以下のようにして評価した。すなわち、インクを脱気し、30mLのガラス製試料瓶に密封した。試料瓶を60℃の恒温オーブンに入れ、この温度条件下で24時間保存した。試料を恒温オーブンから取り出し、−30℃の冷凍庫に移し、この温度条件下で24時間保存した。この二温度サイクルを合計10サイクルが完了するまで繰り返した。最後のサイクルの後、インクを解凍して室温に戻し、ガラス製試料瓶を震盪することなく逆さまにし、試料瓶の底に析出物がないか調べた。試験したインクの全てについて析出物は観察されなかった。これは、信頼性が許容レベルにあることを意味する。
印刷品質1:普通紙における光学濃度
普通紙における光学濃度を以下の方法で評価した。すなわち、全てのインクのサンプルについて、Stylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)を使用して、100%Dutyベタ印字の標準カラーパッチを720dpiでXerox4024紙に作成した。印刷サンプルを1晩周囲温度で乾燥させ、印刷パッチの光学濃度を、Spectroscanテーブル付のGretag−Macbeth Spectrolino装置を使用して評価した。得られた光学濃度は以下の表2に示されるとおりであった。
印刷品質2:専用紙における光学濃度
光沢を有する専用紙での印刷品質を、PM写真用紙(セイコーエプソン社製)の印刷サンプルの光学濃度で評価した。全てのインクサンプルに関して、完全飽和標準色パッチを、デフォールト設定でPM写真用紙(セイコーエプソン社製)にStylus Color980プリンタ(セイコーエプソン社製)により印刷した。印刷サンプルを1晩周囲温度で乾燥させ、印刷パッチの光学濃度を、Spectroscanテーブル付のGretag−Macbeth Spectrolino装置を使用して評価した。得られた光学濃度は以下の表2に示されるとおりであった。
Figure 2005163017

Claims (11)

  1. 自己分散型顔料と、水分散型高分子化合物と、水とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、
    前記水分散型高分子化合物が前記自己分散型顔料に吸着されてなり、
    該インク組成物を、遊離の前記水分散型高分子化合物は透過させるが、前記自己分散型顔料は透過させない条件のゲル濾過クロマトグラフィーに適用したとき、透過する前記水分散型高分子化合物の量がインク組成物中の全水分散型高分子化合物の20%以下であることを特徴とする、インク組成物。
  2. 前記自己分散型顔料100重量部に対して、前記水分散型高分子化合物を10重量部以上含有してなる、請求項1または2に記載のインク組成物。
  3. 前記自己分散型顔料が自己分散型カーボンブラックである、請求項1に記載のインク組成物。
  4. 前記水分散型高分子が疎水性基を少なくとも有してなるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記水分散型高分子化合物が、ポリウロン酸と、その還元末端に還元的アミノ化により付加されたグリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンとからなるポリウロン酸誘導体である、請求項4に記載のインク組成物。
  6. 前記グリセリルポリ(オキシアルキレン)トリアミンが、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンである、請求項5に記載のインク組成物。
  7. 前記水分散型高分子化合物の数平均分子量が1,500g/mole以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. 前記自己分散型顔料0.1〜15重量%と、前記水分散型高分子化合物0.1〜10重
    %と、水75〜99.8重量%とを少なくとも含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載のインク組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体に付着させることを特徴とする記録方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載のインク組成物の液滴を吐出させて記録媒体上に付着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載されたインク組成物または請求項9または10に記載の記録方法によって記録された記録物。
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