JP3565104B2 - インクジェット記録に好ましく用いられる水性インク組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット印刷で使用する水性インク組成物に関し、更に詳しくは、共溶媒としてポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン化合物を含む水性インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット印刷は、コンピューターによって発生されるデジタル信号に応答してプリンターがインク小滴を作成するノンインパクト印刷プロセスである。インク小滴は紙又は透明フィルムのような支持媒体に定着される。インクジェットプリンターは、その印刷品質、低コスト、比較的静かな作動、及びグラフィックスが可能であることから広く市場を掴んでいる。熱式(バブルジェット)及び圧電式ドロップオンデマンドプリンターは市場で特に成功を収めて、事務所や家庭のパーソナルコンピューター用のプリンターとして広く利用されている。
【0003】
3つの主な課題がインクジェット技術の特徴である:即ち、(1)信頼性、(2)乾燥速度、及び(3)印刷品質である。初めの2つ、即ち信頼性と乾燥速度は、水性インク組成物に含まれる共溶媒に強く影響を受ける。乾燥速度を無視すると印刷品質も共溶媒の影響を受ける。しかしながら、比較的速い乾燥速度を持つインクジェットインクの場合、印刷品質は共溶媒の添加により極めて僅かしか影響を受けない。本発明は、比較的速い乾燥速度を持ち、かつ共溶媒として新規の化合物を含む水性インク組成物に関するものであり、信頼性と乾燥速度に関する新規の化合物の長所が目立っている。
【0004】
一般的に、信頼性は次の4つの規準に関して評価される。第1は、インク小滴の重量が使用期間全体で変化せず、かつ優れた方向性を維持するような、連続印刷条件に関するロバスト性(robustness)である。優れた方向性とは、ノズルから吐出されるインク小滴の角度の偏差がノズルの平面に対する法線から約±0.5°以内であることを意味する。第2は、印刷が中断されている期間全体でノズルが目詰りしないような、間欠印刷条件に関するロバスト性である。第3は、限定された吸込み量をノズルに負荷した後、最初の印刷挙動(インク小滴の重量及び優れた方向性)から変化することなく印刷挙動が維持されるような、印刷ヘッド内でのインクの長期保存に関するロバスト性である。第4は、2つの温度限界での保存に対する、かつこの2つの温度限界の間での長期間周期的な変化に対するインクの化学的及び物理的安定性である。インクの乾燥速度は、プリンターの処理速度を決める1つの重要な因子である。シート供給式プリンターでは、連続的に出されるシートが別のシートに接触する前に、印刷シート上のインクは乾燥していなければならない。インクが乾燥しない場合、汚れてしまうことになる。
【0005】
連続印刷に関するロバスト性 、間欠印刷に関するロバスト性、及び印刷ヘッド内でのインクの長期保存に関するロバスト性は、概ね、強い関連性がある。印刷ヘッドの各ノズルに存在する気/液界面における、溶媒の蒸発による固形分の沈殿および/または結晶化が、必要なロバスト性を達成できなくする主な原因である。着色剤として分散された顔料を含むインクの場合、溶媒又は共溶媒が蒸発するにつれて溶媒組成が変化することによる、分散された顔料の凝集によっても、必要なロバスト性を達成できなくすることがある。連続印刷、間欠印刷、及び印刷ヘッド内部でのインクの長期保存に関して必要なロバスト性の達成に役立つ典型的共溶媒は、一般に、保湿剤として分類されている。保湿剤は、水に対する高度の親和性と比較的高い沸点を持っている。保湿剤共溶媒として必要であるが充分でない特性は、沸点が約230℃より高いことである。
【0006】
2つの温度限界での保存及びその温度限界の間の周期的温度変化に対するインクの化学的及び物理的安定性は、水溶性染料が着色剤として使用されるインクでは比較的容易に達成される。分散された顔料を含むインクの場合、多くの一般的に使用されている共溶媒が、特に高温側の温度限界において、典型的な顔料分散液を不安定にする。
【0007】
各種の媒体に対して充分に速く乾燥するインク組成物を調合することは当業界は公知である。インク組成物を印刷媒体の内部に浸透させることにより、速乾性は達成できる。浸透を容易にするために、当業界で浸透剤として知られている媒体浸透用共溶媒がインク組成物に入れられる。代表的浸透性共溶媒は、独立した疎水性部分と親水性部分を持っている。
【0008】
2つの課題、即ち信頼性と乾燥速度は、相容れないことが多い。結果として、単一の添加剤で信頼性と、充分な乾燥速度との両方を得ようとするのは難しい。概して、優れた信頼性を得るのに有用な共溶媒は浸透剤として劣る。対照的に、優れた浸透剤である共溶媒は、概して、優れた信頼性を得るのには有用ではない。従って、優れた浸透剤であり、かつインクの信頼性で引けを取らない共溶媒に対するニーズがある。
【0009】
特開昭62−84171号公報では、グリセリンとアルデヒドから誘導される環式アセタール、或いはグリセリンとケトンから誘導される環式ケタールのどちらかを含む水性記録溶液が記載されている。この発明のアルデヒド及びケトンは炭化水素系であり、炭素、水素、及び酸素だけを含む。列挙されているアルデヒドには次の炭化水素アルデヒドが挙げられる:即ち、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、等。列挙されているケトンには、次の炭化水素ケトンが挙げられる:即ち、アセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、d−ショウノウ、アセトフェノン、ジアセトンアルコール、等。エチレングリコール5%とグリセリン10%を含む染料系インクと比較すると、環式アセタール又は環式ケタールを含む特開昭62−84171号公報の実施例のインクは乾燥が速い。しかしながら、Butyl Carbitol(登録商標)(ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル)のような公知の浸透剤を含む当業界の好ましい実施インクと比較すると前記の実施例のインクも比較インクも乾燥が遅いインクと見なされるだろう。15%のポリエチレングリコール#300を含む染料系インクと比較すると、特開昭62−84171号公報の実施例インクは、60℃での保存に対して化学的及び物理的安定性は優れている。しかしながら、当業界の好ましい実施インクと比較すると、前記の実施例のインクも比較用インクも、市販のプリンターで実際に必要とされる連続印刷、間欠印刷、及び印刷ヘッド内部でのインク長期保存に関しては必要なロバスト性に欠けるだろう。要約すると、当業界の好ましい実施印刷で使用される共溶媒と比較すると、特開昭62−84171号公報の特許請求の範囲に記載されている化合物は、特に優れた保湿剤も特に優れた浸透剤も含まれていない。
【0010】
米国特許第3,741,986号明細書には、(1)少なくとも3個のヒドロキシル基と少なくとも3個の炭素原子を含む多価アルコール、及び(2)各アルキルのラジカルがポリハロゲン化されたケトン、を主成分とする環式ケタールの調製法が記載されている。ポリウレタン樹脂とポリエステル樹脂の難燃性添加剤として、及び消泡性添加剤として、この発明の環式ケタールを利用することが提案されている。グリセリンから誘導される環式ケタール(実施例1、2、3、6、9、10、11)は、全ての沸点が200℃未満なので、どれもインク用の優れた保湿剤であると思われない。グリセリンより高分子量の多価アルコールから誘導されているこのタイプの環式ケタールは、グリセリンから誘導される保湿剤よりも優れていると思われる。しかしながら、当業界の好ましい実施インクで使用される共溶媒と比較すると、米国特許第3,741,986号明細書の特許請求の範囲に記載されている化合物は、特に優れた保湿剤でもなく、特に優れた浸透剤でもない。
【0011】
特開昭64−13080号公報には、多価アルコールと1個以上のアルデヒドから誘導される新規のポリオキシアルキレン化環式アセタール、及び多価アルコールと1個以上のケトンから誘導される新規のポリオキシアルキレン化環式ケタールが記載されている。前記発明のアルデヒドとケトンは炭化水素系であり、炭素、水素及び酸素だけを含む。列挙されているアルデヒドには次のアルデヒドが挙げられる:即ち、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサナール、ベンズアルデヒド、等。列挙されているケトンには次のケトンが挙げられる:即ち、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−オクタノン、5−ノナノン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、等。オキシアルキレン化の程度は、非アセタール化又は非ケタール化ヒドロキシル官能基において1から100の範囲である。前記発明のポリオキシアルキレン化環式アセタール及びポリオキシアルキレン化環式ケタールは、インク添加物として利用が提案されているけれども、この用法の特定の例は示されていない。ポリオキシアルキレン鎖が短い場合、前記発明の化合物は、水性インクの溶媒としての用途が提案されている。ポリオキシアルキレン鎖が長い場合は、前記発明の化合物は乳化剤としての用途が提案されている。ポリオキシアルキレンの鎖が短い、前記発明の幾つかの化合物は、インクでの使用に当たっては、当業界の好ましい実施保湿剤に匹敵する優れた保湿剤であると思われる。しかしながら、当業界の好ましい実施インクで使用する共溶媒と比較すると、特開昭64−13080号公報の特許請求の範囲に記載されている化合物は、特に優れた浸透剤ではない。
【0012】
ヨーロッパ特許出願公開明細書第0322110 A2号には、特開昭64−13080号公報に記載されている化合物に類似の化合物が記載されている。この2組の化合物の間の大きな違いは、ヨーロッパ特許出願公開明細書第0322110 A2号の化合物は、非アセタール/ケタールのポリオキシアルキレンに第一級末端基アミンを有している。この発明の化合物は、ポリオキシアルキレン−置換型着色剤の調製の際に縮合ポリマーと反応することがある中間体として有用である。特に、この化合物は発泡ポリウレタン用の着色改質剤を調製するのに有用である。この発明の幾つかの化合物は、ポリオキシアルキレン鎖が短く、インク用の優れた保湿剤であると思われる。しかしながら、第一級アミンの官能性は、中和しないと言う点で問題かも知れない。つまりこの種の化合物を含むインクは、市販の印刷ヘッドで使用される接着剤と適合性の問題を引き起こすこともある。いずれの場合にも、当業界の好ましい実施インクで使用される共溶媒と比較すると、ヨーロッパ特許出願公開明細書第0322110 A2号の特許請求の範囲に記載されている化合物は、特に優れた浸透剤ではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記の例から判るように、環式アセタール、環式ケタール及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、インク及びその他の用途での共溶媒として使用するために調製されてきた。しかしながら、これらの例からも判るように、インクジェットインクの共溶媒として特に優れた信頼性と、速い乾燥速度を得ることに関して特に秀でたものはない。従って、信頼性のある印刷性能を発現し、かつ速乾性のインクジェットインクで使用するための共溶媒へのニーズが残っている。換言すれば、優れた保湿剤としても、優れた浸透剤としても機能する共溶媒に対するニーズがある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
インクジェット印刷で使用する、信頼性のある印刷性能を発現し、かつ速乾性の水性インク組成物を提供することが本発明の1つの目的である。
【0015】
本明細書に記載されている発明により、
(a)主溶媒としての水:
(b)顔料分散液又は染料、及び
(c)次式で表されるポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン化合物:
【0016】
【化2】
【0017】
から成ることを特徴とする、インクジェット印刷用水性インクジェットインク組成物が提供される。
【0018】
本発明のインクは、特に間欠印刷に関して、印刷ヘッド内部でのインクの長期保存に関して、そして2つの温度限界における保存に関して優れた信頼性がある。更に、本発明のインクは、各種の媒体上で素早く乾燥する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の水性インク組成物は、印刷ヘッドに含まれている複数のノズルを通ってインクを吐出する、当業界で知られているいずれの方法を使っても、インクジェットプリンターで使用するのに適している。本発明のインク組成物は、インクの使用条件がインクジェットプリンターの使用条件ほど厳しくないペンのような筆記用具でも使用することができる。
【0020】
本発明の水性インク組成物は顔料系インクも染料系インクも包含している。顔料系インクは、水性キャリヤー媒体、ポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン化合物の共溶媒、及び顔料分散液から成り、この分散液は、分散剤によって安定化された顔料粒子の水性分散液である。染料系インクは、水性キャリヤー媒体、ポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン化合物の共溶媒、及び染料から成る。染料系インクは、大抵の用途で満足されるが、一般的に、耐光性と耐水性で劣る。顔料系インクは、耐光性と耐水性に優れたものを調製することができる。かなりの永久性を持つ印刷文書を作成するためには顔料系インクの方が染料系インクよりも好ましい。本発明のインクは、特定のインクジェットプリンター、特に粘度、表面張力、及び、印刷ヘッドを構成している材料との相性に関する要求事項に適合することができる。
【0021】
<ポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン共溶媒>
本発明のポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン化合物の共溶媒は次に示す式で表される。ポリフルオロは、本明細書においては2個以上のフルオロ基として定義される。
【0022】
【化3】
【0023】
本発明の化合物は、当業界で知られているいずれの方法よっても調製できる。これらの化合物の調製の手短な手法は、グリセリンとポリフルオロ化アセトン誘導体とから、グリセリンの1位と2位のヒドロキシル基で起こるケタール化によって、先ず環式ケタールを調製することである。本発明の特許請求の範囲内の環式ケタールとなるポリフルオロ化アセトン誘導体には、次のアセトン類が挙げられる:即ち、1,1−ジフルオロアセトン、1,3−ジフルオロアセトン、1,1,1−トリフルオロアセトン、1,1,3−トリフルオロアセトン、1,1,1,3−テトラフルオロアセトン、1,1,3,3−テトラフルオロアセトン、ペンタフルオロアセトン、及びヘキサフルオロアセトン。第2段階では、グリセリンフラグメントの3の位置に残っている遊離のヒドロキシル基を、1)エチレンオキシド単独、又は2)プロピレンオキシドの1当量に続いてエチレンオキシドを使うことを基本とする条件のもとでポリオキシアルキレン化する。
【0024】
グリセリンとポリフルオロ化アセトン誘導体から環式ケタールを調製することは、グリセリンと非フルオロ化炭化水素系ケトンから対応する環式ケタールを調製するよりも難しい。後者の反応は、過剰のケトン、酸触媒、及び40℃ないし180℃の範囲の温度を使って行なうのが一般的である。対照的に、特異な方法を使わないと、グリセリンとポリフルオロ化アセトンからの安定なヘミケタールの生成を上回るように推進させることができない。米国特許第3,795,682号明細書に記載されているプロセスによると、所望の環式ケタール化合物は、カルボジイミド化合物を使い安定なヘミケタールを脱水することにより調製できる。別のプロセスが米国特許第3,741,986号明細書に記載されていおり、このプロセスでは、グリセリンの代わりに炭酸グリセリンを使い二酸化炭素の脱離反応を使ってケタール化反応を推進させる。3番目のプロセスは、米国特許第3,285,936号、米国特許第3,324,144号、米国特許第3,324,145号各明細書、及びアメリカ化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、112巻、9672頁、1990年に記載されていて、この方法では、エポキシド類のグリシドールをグリセリンの代わりに使い、触媒を使ってケトンによるエポキシドの触媒開環反応を行なう。この第3番目のプロセスは、所望の環式ケタールの製造では工業的規模で最もよく行なわれている。環式ケタールは、オキシアルキレン化反応の前に減圧蒸留により精製できる。
【0025】
前述のように、第2段階では、グリセリンフラグメントの3の位置にある残りの遊離のヒドロキシル基を塩基性条件のもとでオキシアルキレン化する。この反応は、概ね80℃ないし150℃の範囲の温度と適度の加圧下で行なう。実験室規模ではステンレススチール製オートクレーブの中で自己発生圧力のもとでオキシアルキレン化反応を行なことができる。この反応の典型的塩基性触媒には、第三級アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化アルカリ金属及びアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。c=0(即ち、ポリオキシアルキレンフラグメントがエチレンオキシドのみから誘導される)での本発明のポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン化合物の場合、先ず、反応容器に目標の化学量論的量のエチレンオキシド、及び環式ケタールを装入する。次に、エチレンオキシドが完全に消費されるまで反応を行なう。同様に、c=1(即ち、ポリオキシアルキレンフラグメントの第1のオキシアルキレン基がプロピレンオキシドから誘導される)での化合物の場合、先ず、反応容器にプロピレンオキシドと環式ケタールの各1当量を装入する。次に、プロピレンオキシドが完全に消費されるまでこの反応を行なう。その後、反応容器に、目標の化学量論的量のエチレンオキシドを装入してエチレンオキシドが完全に消費されるまで反応を行なう。最終生成物を単離して減圧蒸留により精製できる。
【0026】
理論は定かではないが、本発明の前記共溶媒は、優れた保湿剤として機能することにより、本発明の前記共溶媒を含むインクの印刷信頼性に寄与すると思われる。本発明の共溶媒は全て、沸点は230℃超であり、そして水との水素結合に利用できる4個以上の酸素原子によって、水に対する高度の親和性を持っている。更に、本発明の共溶媒は、それらの構造的類似性によりグリセリンやジエチレングリコールのような慣用の保湿剤と相性が極めてよい。再び書くが、理論は定かではないが、本発明の共溶媒は優れた浸透剤として機能することによって、本発明の前記共溶媒を含むインクの速乾性に寄与する。典型的浸透剤として本発明の共溶媒は全て、独立した疎水性部分と親水性部分を持っている。親水性部分はポリオキシアルキレンフラグメントであり、疎水性部分は環式ケタールのポリフルオロ−イソプロピリデンフラグメントである。ポリフルオロ化も、ポリフルオロ−イソプロピリデンフラグメントの誘発された立体化学的な構造も、本発明の共溶媒を含むインクによって媒体への所望の浸透性を得る際の重要な因子であると思われる。
【0027】
本発明のインク組成物の中のポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン共溶媒の量は、約0.1重量%ないし25重量%、更に好ましくは3重量%ないし15重量%である。
【0028】
<顔料分散剤>
顔料分散液は、一般的に顔料と顔料分散剤とから成っている。分散剤を含むことなく、その代わりに表面官能型顔料を含む顔料分散液も本発明の範囲内に含まれるものでもあり、このタイプの幾つかの例を“顔料”の節で列挙する。典型的顔料分散液に含まれる顔料分散剤は、高分子分散剤又は界面活性剤化合物が可能である。この界面活性剤化合物はアニオン系でも、カチオン系、両性、又は非イオン系でもよい。本発明のインク組成物の顔料分散剤の量は、約0.1重量%ないし30重量%であり、更に好ましくは約0.1重量ないし20重量%である。
【0029】
<高分子分散剤>
本発明を実施するのに適する高分子分散剤には、ポリウロン酸誘導体が挙げられ、その誘導体では、疎水性ポリマーがポリウロン酸の還元末端に共有結合的に付加している。ポリウロン酸誘導体は親水性セグメントと疎水性セグメントを含む2成分型分散剤である。ポリウロン酸は親水性セグメントであり、ポリウロン酸の還元末端に共有結合的に付加した疎水性ポリマーは疎水性セグメントである。この誘導体の疎水性セグメントは顔料の表面に付着して分散剤を顔料と結び付ける。親水性ポリウロン酸セグメントは、水性媒体の中に延びていて、顔料を水性媒体の中に分散させる役割をする。このような分散機能に加えて、親水性ポリウロン酸セグメントは、多価カチオンに結合するのに最適の構造を持っている。詳しくは、ポリウロン酸は、カルボキシル基とヒドロキシル基とが上下交互で並んでいるポケットから成る座屈した鎖構造をしている。ポリウロン酸に関する構造の研究によると、このポケットは二価の陽性のカルシウムイオンに結合するのにまさに最適の寸法であることが判る。分散剤が、本明細書に記載されているタイプのポリウロン酸誘導体である顔料分散液が普通紙の表面と接触すると、この普通紙の表面に存在する多価カチオンとポリウロン酸セグメントは結合する。このような結合が起こると、顔料分散液の平衡が崩れて、顔料着色剤が普通紙の表面に広がらなくなる。総合的結果として、優れた印刷品質を持つ印刷画像となる。
【0030】
ランダムポリマーを高分子分散剤として使用することができるけれども、このポリマーは顔料を安定するように分散するに当たっては、前記ポリウロン酸誘導体のように有効ではない。ランダムポリマーの例には、マレイン酸の半エステル/スチレンコポリマー、リグニンスルホナート誘導体、アクリル酸/スチレンコポリマー、及びメタクリル酸/スチレンコポリマーが挙げられる。米国特許第5,085,698号明細書に記載されているタイプのブロックコポリマーも高分子分散剤として使用できる。
【0031】
<ポリウロン酸セグメント>
ポリウロン酸は、1,4−結合型ポリガラクツロン酸、ポリグルロン酸、ポリイズロン酸又はそれらの混合物から主として成る。ポリウロン酸は、天然物質から入手出来、非ウロン酸糖類も含むことがある。本発明で使用するポリウロン酸のウロン酸含量は80重量%超である。ウロン酸含量は85重量%超が更に好ましい。ウロン酸含量は90重量%を超えるのが、尚、更に好ましい。
【0032】
ポリガラクツロン酸はペクチンの加水分解及び脱エステル化により、即ち、レモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジ、マンゴー、リンゴ、ヒマワリ、及び砂糖ビートのようなフルーツ類から得れる天然産ヒドロコロイドの加水分解及び脱エステル化によって得られる。ポリグルロン産はアルギン酸の部分加水分解と引き続く沈澱により、即ち、ジャイアントケルプ(Macrocystis pyrifera)、ホースケルプ(Laminaria digitata)、及びシュガーケルプ(Laminaria saccharina)のような海草から得られる天然産多糖類を酸により部分加水分解し、引き続いて選択的に沈澱することによって得られる。ポリイズロン酸は種々の動物性多糖類の加水分解により得られる。
【0033】
本発明で使用するポリウロン酸の数平均分子量は約700以上で10,000以下である。更に好ましくは、ポリウロン酸の数平均分子量は約700以上で約7000以下である。
【0034】
<疎水性ポリマーセグメント>
第一の実施態様では、疎水性ポリマーセグメントは、スチレン又は置換型スチレン、ビニルピリジン又は置換型ビニルピリジン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、及びイソプレンから成る群から選ばれる少なくとも1種のモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである。選択することができる代表的モノマーには次のモノマーが挙げられが、これらに限られるものでない:即ち、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3−ニトロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチル−ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸p−トリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチル−ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸p−トリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、及びイソプレン。
【0035】
前記で列挙した少なくとも1種のモノマーを組み入れた疎水性ポリマーは、従来からのアニオン重合技術を使って調製される。アニオン重合は、“リビング(living)”ポリマーカルボアニオンを使うので、重合反応中は酸素、水分及びその他の不純物に関して厳しい条件を維持しなければならない。従って、溶媒とモノマーは重合前に厳密に精製しなければならない。
【0036】
従来のアニオン重合技術を使って調製される疎水性ポリマーは極めて狭い分子量分布をしている。この典型的ポリマーの分散度(dispersity)は1.5未満であり、概ね1.0ないし1.3の範囲内である。分散度はポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で割算したものである。ポリマーの重量平均分子量も数平均分子量も、既知の分子量のポリマーの標準試料で校正したカラムを使うサイズ排除クロマトグラフィで得ることができる。
【0037】
アニオン重合に関して当業界で公知のように、多数の求電子剤が“リビング”ポリマーカルボアニオンと反応して官能基が末端にあるポリマーとなる。ポリウロン酸の還元末端に対して疎水性ポリマーセグメントを共有結合的に付加する目的に対しては、前記の官能基末端型ポリマーが好ましい。カルボキシル基末端型、ヒドロキシル基末端型、及びアミノ基末端型ポリマーは従来技術により容易に調製できる。
【0038】
第2の実施態様では、疎水性ポリマーセグメントは、ポリ(ビス−アルキル−シロキサン)、好ましくはポリ(ジメチシロキサン)から主として成る疎水性ポリマーである。
【0039】
第3の実施態様では、疎水性ポリマーセグメントはポリアミドである。詳しくは、ポリアミド疎水性ポリマーセグメントはポリアミンのN−アシル化誘導体であり、そのポリアミンでは、アミン官能基の50%超が第一級アミン又は第二級アミンである。
【0040】
ポリアミドが誘導されるポリアミンは、線状ポリエチルイミン、分枝状ポリエチルイミン、ポリアリルアミン、ポリ−N−アルキルアリルアミン、及びポリビニルアミンから成るポリアミンの群から選ばれる。ポリアミドのアシル基、R−(CO)−は、次のアシル基から選ばれる少なくとも1種から成る:即ち、CnH(2n+1)−(CO)−、(式中、nは3以上);フェニル−(CO)−;置換型フェニル−(CO)−;フェニル−CH2−(CO)−;置換型フェニル−CH2−(CO)−;フェニル−C2H4−(CO)−;及び置換型フェニル−C2H4−(CO)−。
【0041】
ポリアミド疎水性ポリマーセグメントを調製するための第一段階は、ポリアミンのうちの1個のアミンの官能性によって、ポリウロン酸の還元末端へポリアミンが共有結合的に付加することである。このような共有結合的付加は、次の節(“ポリウロン酸の還元末端への共有結合的付加”)で詳細に説明するように、還元的アミン化により容易に達成される。第2段階では、有機酸ハロゲン化物又は有機酸無水物のようなアシル化剤を使って、共有結合的に付加したポリアミンセグメントの多数のアミン官能基が、選択的にN−アシル化される。この方法でN−アシル化された第一級アミンは第一級アミドを生成する。同様に、この方法でN−アシル化された第二級アミンは第二級アミドを生成する。第三級アミンはアシル化されない。ヒドロキシル基の存在でアミン官能基を選択的にN−アシル化する有用な方法は、カツトシ イノウエ、等(Katsutoshi Inoue、et al)によって公表された研究(Adv.Chitin Science.第1巻:271頁:1996年)及びグンダ アイ ゲオルグ、等(GundaI.Georg、et al)により公表された研究(Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 第4巻、第2号、335頁、1994年)に見ることができる。
【0042】
第4の実施態様では、疎水性ポリマーセグメントは疎水性ポリアミンである。詳しくは、疎水性ポリアミンポリマーセグメントは水溶性ポリアミンのポリ−N−アルキル化誘導体である。
【0043】
ポリ−N−アルキル化ポリアミンが誘導される水溶性ポリアミンは、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー、及びポリ(アミドアミン)デンドリマーから成る水溶性ポリアミンの群から選ばれる。水溶性ポリアミンのポリ−N−アルキル化誘導体のアルキル基は次の一般式を持つ:即ち、−CHX1X2。X1基は、水素、アルキル、置換型アルキル、アリール、又は置換型アリール基が可能である。X2基は、水素、アルキル、置換型アルキル、アリール、又は置換型アリール基が可能である。共有結合的に付加した水溶性ポリアミンのN−アルキル化の程度は、水溶性ポリアミンを基準として全アミン官能性の10%超である。更に好ましくは、N−アルキル化の程度は20%超である。尚、更に好ましくは、N−アルキル化の程度は30%超である。
【0044】
疎水性ポリアミンセグメントを調製するための第一段階は、ポリアミンのうちの1個のアミンの官能性によって、ポリウロン酸の還元末端へ水溶性ポリアミンが共有結合的に付加することである。このような共有結合的付加は、次の節(“ポリウロン酸の還元末端への共有結合的付加”)で詳細に説明するように、還元的アミン化により容易に達成される。第2段階では、アルキル基の発生源としてアルデヒドおよび/またはケトンを使う還元的アミン化によって、共有結合的に付加したポリアミンセグメントの多数のアミンの官能基は、選択的にN−アルキル化される。還元的アミン化は、水素化ホウ素塩もしくはシアノ水素化ホウ素塩を使うことによって、或いは触媒水素化によって容易にかつ選択的に行なわれる。
【0045】
本発明の疎水性ポリマーの数平均分子量は15,000以下で、更に好ましくは10,000以下である。本発明の疎水性ポリマーの数平均分子量は300以上である。数平均分子量の好ましい範囲は500から5000である。
【0046】
<ポリウロン酸の還元末端への共有結合的付加>
ポリウロン酸分子当たり官能基は1個だけ、即ち末端のアルデヒド基、なので、この末端のアルデヒドへ疎水性ポリマーを共有結合的に付加することは、本明細書で説明する、ポリウロン酸からの顔料分散剤の調製には極めて適した方法である。利用できる合成手法は多数あるが、好ましい方法は、アミンの出発原料として、1)アミノ基末端型疎水性ポリマー、又は2)ポリアミン、のどちらかを使う還元的アミノ化である。前者の1)の場合、所望のポリウロン酸誘導体を直接調製する。後者の2)の場合、ポリアミンの官能基の1つにより共有結合的に付加されたポリアミンは、この共有結合的に付加されたポリアミンが適当な疎水性になるように、選択的な方法を使って更に官能化しなければならない。ポリウロン酸のような多糖類では公知のように、還元末端にあるアルデヒド基は主に環式ヘミアセタールとして溶液中に存在する。第一級アミン又は第二級アミンを使って還元的アミノ化をすると、環式ヘミアセタールが開環する。
【0047】
還元的アミノ化は、水又はアルコール水溶液の中で、水素化ホウ素塩又はシアノ水素化ホウ素塩を使って容易にかつ選択的に行なわれる。一般的に使用される水素化ホウ素塩には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム、及び水素化ホウ素テトラブチルアンモニウムが挙げられる。一般的に使用されるシアノ水素化ホウ素塩には、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素リチウム、及び水素化ホウ素テトラブチルアンモニウムが挙げられる。水素化ホウ素塩は約7を超えるpH値で使用しなければならない。シアノ水素化ホウ素塩は約3程度の低いpH値まで使用してもよい。もう1つの別の便利でかつ選択的方法は、金属触媒を使う触媒水素化である。典型的金属触媒には、周期表第VIII属金属のいずれもが挙げられ、ニッケル、パラジウム、白金、及びルテニウムが好ましい。これらの金属触媒は、担持型でも非担持型でも使用できる。水素圧力は、100psi超で、更に好ましくは700psi超である。反応温度は、10℃ないし100℃の範囲であり、更に好ましくは30℃ないし70℃の範囲である。還元的アミノ化に対して使用できる選択性低下用試薬には、1)亜鉛と塩酸、2)ペンタカルボニル鉄とアルコール性水酸化カリウム、及び3)ギ酸が挙げられる。
【0048】
還元的アミノ化以外でポリウロン酸の還元末端に疎水性ポリマーを共有結合的に付加する合成手法も使用できる。
【0049】
<着色剤>
本発明を実施するのに有用な着色剤は、顔料と染料の両方から成る。
【0050】
<顔料>
本発明の顔料は、有機顔料又は無機顔料から成る群から選ばれる少なくとも1種から成る。本明細書において使用する“顔料”と言う用語は不溶性着色剤を意味する。
【0051】
顔料分散系インクがインクジェット印刷装置、特に一般的に10から50ミクロンの範囲の直径の吐出ノズル、を自由に流動することができるほど充分に、顔料粒子は細かい。顔料の粒径は好ましくは10ミクロン以下、更に好ましくは1.0ミクロン以下、そして最も好ましくは0.3ミクロン以下である。顔料の粒径は0.005ミクロン以上が好ましい。
【0052】
選択された顔料は、乾燥した形態でも湿った形態でも使用できる。普通、顔料は水性媒体の中で作られ、そうして生成した顔料は、水を含んだプレスケーキとして得られる。このようなプレスケーキの形態では、顔料は、乾燥した形態になるまでほど凝集しない。水を含んだプレスケーキの形態での顔料は、インクの調製過程では乾燥顔料が必要とするほどの大きい解凝集を必要としない。
【0053】
本発明の顔料には、次の顔料が挙げられる:Symuler Fast Yellow GF(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー12)、Symuler Fast Yellow GRF(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー13)、Symuler Fast Yellow 5GF(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー14)、Irgalite Yellow CG(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントイエロー16)、Symuler Fast Yellow HGF(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー17)、Symuler Fast Yellow 4117(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー73)、Symuler Fast Yellow 4191N(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー74)、Symuler Fast Yellow 4181(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー83)、Chromophthal Yellow3G(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントイエロー93)、Chromophthal Yellow GR(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントイエロー95)、Symuler Fast Yellow4186(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー97)、Hansa Brilliant Yellow 10GX(Hoechst Celanese社;C.I.ピグメントイエロー98)、Permanent Yellow G3R−01(Hoechst Celanese社;C.I.ピグメントイエロー114)、Chromophthal Yellow 8G(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントイエロー128)、Irgazin Yellow 5GT(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントイエロー129)、Hostaperm Yellow H4G(Hoechst Celanese社;C.I.ピグメントイエロー151)、Symuler Fast Yellow 4192(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントイエロー154)、Hostaperm Orange GR(Hoechst Celanese社;C.I.ピグメントオレンジ43)、Paliogen Orange(BASF;C.I.ピグメントオレンジ51)、Symuler Brilliant Carmine(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントレッド57:1)、Fastogen Super Magenta(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントレッド122)、Paliogen Red L3870(BASF;C.I.ピグメントレッド123)、Hostaperm Scarlet GO(Hoechst Celanese社;C.I.ピグメントレッド168)、Permanent Rubine F6B(Hoechst Celanese社;C.I.ピグメントレッド184)、Monastral Magenta(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントレッド202)、Monastral Scarlet(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントレッド207)、Fastogen Blue GP−100(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントブルー15:2)、Fastogen Blue GNPR(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントブルー15:3)、Fastogen Blue GNPS(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントブルー15:4)、Micracet Blue R(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントブルー60)、Fastogen Green S(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントグリーン7)、Fastogen Green 2YK(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントグリーン36)、Fastogen Super Red(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントバイオレット19)、Fastogen Super Red(大日本インキ化学社;C.I.ピグメントバイオレット23)、Monastral Maroon RT−229−D(Ciba−Geigy社;C.I.ピグメントバイオレット42)、Raven 1170(Columbian Chemicals;C.I.ピグメントブラック7)、Special Black 4A(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Color Black F.W 200(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Color Black FW2(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Color Black FW1(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Color Black FW18(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Color Black S160(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Color Black S170(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、Special Black6(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)、及びSpecial Black4(Degussa社;C.I.ピグメントブラック7)。顔料分散剤を必要としないように表面に官能基が付与された、本発明の顔料には、次の顔料が挙げられる:即ち、Microjet C−Type CW−1(Orient Chemical Co.)、Microjet C−Type CW−2(Orient Chemical Co.)、Cabo−jet 200(Cabot Corporation)、及びCabo−jet 300(Cabot Corporation)。これら4個の全ての例はカーボンブラック系顔料分散液である。
【0054】
本発明のインク組成物の中の顔料の量は約0.1ないし20重量%であり、更に好ましくは0.1ないし10重量%である。
【0055】
<染料>
本発明の染料は、酸性、直接、食用、及び反応性染料を含む水溶性染料から成る群から選ばれる少なくとも1種から成る。
【0056】
本発明の染料は、カラーインデックスで次の染料が挙げられる:即ち、C.I.アシッドブラック7、C.I.アシッドブラック24、C.I.アシッドブラック26、C.I.アシッドブラック48、C.I.アシッドブラック52、C.I.アシッドブラック58、C.I.アシッドブラック60、C.I.アシッドブラック107、C.I.アシッドブラック109、C.I.アシッドブラック118、C.I.アシッドブラック119、C.I.アシッドブラック131、C.I.アシッドブラック140、C.I.アシッドブラック155、C.I.アシッドブラック156、C.I.アシッドブラック187、C.I.ダイレクトブラック17、C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイレクトブラック32、C.I.ダイレクトブラック38、C.I.ダイレクトブラック51、C.I.ダイレクトブラック71、C.I.ダイレクトブラック74、C.I.ダイレクトブラック75、C.I.ダイレクトブラック112、C.I.ダイレクトブラック117、C.I.ダイレクトブラック154、C.I.ダイレクトブラック163、C.I.ダイレクトブラック168、C.I.フードブラック1、C.I.フードブラック2、C.I.アシッドレッド8、C.I.アシッドレッド17、C.I.アシッドレッド32、C.I.アシッドレッド35、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド42、C.I.アシッドレッド57、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド115、C.I.アシッドレッド119、C.I.アシッドレッド131、C.I.アシッドレッド133、C.I.アシッドレッド134、C.I.アシッドレッド154、C.I.アシッドレッド186、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド254、C.I.アシッドレッド256、C.I.ダイレクトレッド37、C.I.ダイレクトレッド63、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトレッド99、C.I.ダイレクトレッド220、C.I.ダイレクトレッド224、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.リアクティブレッド4、C.I.リアクティブレッド23、C.I.リアクティブレッド24、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド56、C.I.アシッドバイオレット11、C.I.アシッドバイオレット34、C.I.アシッドバイオレット75、C.I.ダイレクトバイオレット47、C.I.ダイレクトバイオレット48、C.I.ダイレクトバイオレット51、C.I.ダイレクトバイオレット90、C.I.ダイレクトバイオレット94、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー29、C.I.アシッドブルー62、C.I.アシッドブルー102、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー113、C.I.アシッドブルー117、C.I.アシッドブルー120、C.I.アシッドブルー175、C.I.アシッドブルー183、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー6、C.I.ダイレクトブルー8、C.I.ダイレクトブルー15、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー71、C.I.ダイレクトブルー76、C.I.ダイレクトブルー80、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー90、C.I.ダイレクトブルー106、C.I.ダイレクトブルー108、C.I.ダイレクトブルー123、C.I.ダイレクトブルー163、C.I.ダイレクトブルー165、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー226、C.I.リアクティブブルー7、C.I.リアクティブブルー13、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー19、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー25、C.I.アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー38、C.I.アシッドイエロー49、C.I.アシッドイエロー59、C.I.アシッドイエロー61、C.I.アシッドイエロー72、C.I.ダイレクトイエロー27、C.I.ダイレクトイエロー28、C.I.ダイレクトイエロー33、C.I.ダイレクトイエロー39、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー100、C.I.ダイレクトイエロー142、及びC.I.リアクティブイエロー2。
【0057】
本発明のインク組成物の中の染料の量は約0.1重量%ないし25重量%であり、更に好ましくは0.1ないし15重量%である。
【0058】
<水>
水は、本発明の水性インク組成物の主溶媒である。インク組成物の中に含まれる追加の成分は下記に示している。水と水溶性有機溶媒との好適な混合物を選択することは、特定用途の要求事項、特に粘度、表面張力、及び印刷ヘッドが構成されている材料との相性によって決まる。水溶性なので、ポリオキシアルキレン化ポリフルオロ−イソプロピリデングリセリン共溶媒は、水溶性キャリヤー媒体の成分の1つである。本発明のインク組成物の水溶性キャリヤー媒体の量は70ないし99.8重量%である。
【0059】
<塩基>
水性媒体に顔料分散液のポリウロン酸セグメントを可溶化するには、ポリウロン酸のカルボン酸官能基の或る量又は全てを中性化することが必要である。この目的に好適な塩基には、有機塩基、アルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物及びこれらの混合物が挙げられる。好適な塩基の例には次の塩基が挙げられる:即ち、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、N,N−ジメチル−モノエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、及び水酸化セシウム。
【0060】
<水溶性共溶媒>
前述の成分に加えて、必要に応じて、インクは1種類以上の水溶性有機溶媒を含むことができる。水溶性有機溶媒は公知であり、次の溶媒が挙げられる:即ち、
(1)イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、等のようなアルコール、(2)アセトン、メチルエチルケトン、等のようなケトン、(3)テトラヒドロフラン、ジオキサン、等のようなエーテル、(4)酢酸エチル、炭酸プロピレン、等のようなエステル、(5)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、グリセリン、等のような多価アルコール、(6)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプルピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−アミルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプルピルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−アミルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、等のような多価アルコールの低級アルキルエーテル、(7)尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピリロドン、等のような含窒素化合物、(8)ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、等のような含硫黄化合物。インクの中に使用される共溶媒の合計量に関しては特に制限はない。共溶媒の合計量は0.5ないし40重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0061】
<その他の成分>
前述の成分に加えて、必要に応じて、アニオン界面活性剤、又は非イオン界面活性剤から成る群から選ばれる1種以上の浸透性付与界面活性剤をインクに含ませることが出来る。アニオン界面活性剤の例には、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及び高級アルコールリン酸エステル塩が挙げられる。非イオン界面活性剤の例には、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、高級アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物、脂肪酸アミドのエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミン脂肪酸アミド、及びエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーが挙げられる。使用するのに好ましいのは、米国、ベンシルベニア州、AllentownのAir Products and Chemicals.Inc.から市販されているアセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物である。例には、Surfynol465(エトキシル化テトラメチルデシンジオール(decynediol))、Surfynol CT−136(アセチレン系ジオールとアニオン界面活性剤のブレンド品)、SurfynolGA (アセチレン系ジオールのブレンド品)、及びSurfynol TG(エチレングリコールの中でのアセチレン系ジオールのブレンド品)が挙げられる。インクの中で使用する浸透性付与界面活性剤の量については特に制限する積もりはない。好ましくはその量は0.01ないし5重量%の範囲内である。前述の浸透性付与界面活性剤に加えて、pH調整剤、殺菌剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤及び酸化防止剤のような添加剤を入れてもよい。インクの粘度が20℃で10センチポイズ(cps)未満になるようにインクの全ての成分の量を選ぶ。
【0062】
<インクの調製>
許容される方法を使って、前述の成分を分散して混合することによる1段階で、本発明の顔料系インク組成物を調製できる。この1段階方法とは別に、1)前述の成分の幾つかの種類を分散して混合した後、2)残りの成分を分散物に加えて混合することによる2段階でインク組成物を調製できる。分散段階では、ボールミル、サンドミル、摩砕機、ロールミル、撹はんミル、水平式ミニミル、ヘンシェル(Henschel)ミキサー、コロイドミル、超音波式ホモジナイザー、ジェットミル又はアングミル(angmill)を使って、均一な分散液を得ることができる。染料系インク組成物の場合、分散剤はなく、顔料の解凝集が不要なので、特別の分散用装置の中でよりもむしろ充分に撹はんできる容器の中で各成分を混合するだけで充分である。
【0063】
先ず、顔料系インクを濃縮した形態で調製し、それに続いて、その濃縮した分散液をインクジェットプリンターで使用するのに適した濃度に希釈するのが好ましい場合がある。また、金属フルイのフィルター又は薄膜フィルターを使って、顔料分散型水性インク組成物を濾過することも概ね好ましい。濾過対象のインク組成物に圧力をかけても、濾過装置の受容末端部を減圧にしても濾過は可能である。インクジェットプリンターの印刷ヘッドに付いたノズルの目詰まりの原因となる大きい粒子を取り除くために遠心分離も使うことができる。
【0064】
<実施態様>
次の特定の例により本発明を更に明らかにする。
【0065】
<2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランの調製> 4Lの丸底フラスコの中に、無水エチレングリコールジメチルエーテル500mLに溶解してよく撹はんされたグリセリン(55.3g:0.6モル)の溶液に0℃でヘキサフルオロアセトン(99.7g:0.6モル)を冷縮させた。ヘキサフルオロアセトンの添加が終了した後、この溶液を周囲温度まで加温した。次に、無水エチレングリコールジメチルエーテル2Lに溶解した1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(136.2g:0.66モル)の溶液を、前記で生成したヘミケタール溶液に約1時間半にわたってゆっくりと加えた。こうして組み合わせた溶液を更に1時間撹はんした後、ロータリーエバポレーターを使って低沸点溶媒を留去させた。残った液体を250mLの丸底フラスコに移し、この液体を100℃で1時間撹はんしながら加熱した。この液体の加熱を続けながら、76℃で18mmのHgでの減圧蒸留により生成物を単離した。生成物の収量は理論値の81%に当たる117gであった。
【0066】
<2−メチル−2−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランの調製> 4Lの丸底フラスコの中に入れられて無水エチレングリコールジメチルエーテルに溶解してよく撹はんされたグリセリン(55.3g:0.6モル)の溶液に、約10℃に冷却された1,1,1−トリフルオロアセトン(67.3g:0.6モル)を素早く加えた。次に、無水エチレングリコールジメチルエーテル2Lに溶解した1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(136.2g:0.66モル)の溶液を、前記で生成したヘミケタール溶液に約1時間半にわたってゆっくりと加えた。こうして組み合わせた溶液を更に1時間撹はんした後、ロータリーエバポレーターを使って低沸点溶媒を留去させた。残った液体を250mLの丸底フラスコに移し、この液体を100℃で1時間撹はんしながら加熱した。この液体の加熱を続けながら、78℃で14mmのHgでの減圧蒸留により生成物を単離した。生成物の収量は理論値の77%に当たる86gであった。
【0067】
【化4】
【0068】
2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン(96.1g:0.4モル)と水酸化カリウム(0.5g)を、撹はん機付きの2Lのオートクレーブに装入した。エチレンオキシド(35.3g:0.8モル)を0℃で撹はんしながら環式ケタールと塩基性触媒の混合物に冷縮させた。この組み合わせた混合物の冷却を続けながら、アルゴンガスを使って酸素をパージした後、オートクレーブをシールした。この混合物を撹はんしながら、オートクレーブの温度を125℃まで昇温し、この温度で3時間保持した。混合物を室温まで冷却した後、オートクレーブから排気した後、粗生成物を250mLの丸底フラスコへ移した。81℃で0.3mmのHgでの減圧蒸留により生成物を単離した。生成物の収量は理論値の90%に当たる119gであった。下記の実施例及び試験評価ではこの化合物を(F3)(F3)−ipg−(EO)2と略称する。
【0069】
【化5】
【0070】
2−メチル−2−ビストリフルオロメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン(74.5g:0.4モル)と水酸化カリウム(0.4g)を、撹はん機付きの2Lのオートクレーブに装入した。エチレンオキシド(35.3g:0.8モル)を0℃で撹はんしながら環式ケタールと塩基性触媒の混合物に冷縮させた。この組み合わせた混合物の冷却を続けながら、アルゴンガスを使って酸素をパージした後、オートクレーブをシールした。この混合物を撹はんしながら、オートクレーブの温度を125℃まで昇温し、この温度で3時間保持した。混合物を室温まで冷却した後、オートクレーブから排気した後、粗生成物を250mLの丸底フラスコへ移した。89℃で0.3mmのHgでの減圧蒸留により生成物を単離した。生成物の収量は理論値の87%に当たる96gであった。下記の実施例及び試験評価ではこの化合物を(F3)(H3)−ipg−(EO)2と略称する。
【0071】
【化6】
【0072】
2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン(96.1g:0.4モル)、プロピレンオキシド(23.3g:0.4モル)及び水酸化カリウム(0.6g)を、撹はん機付きの2Lのオートクレーブに装入した。アルゴンガスを使って酸素をパージした後、オートクレーブをシールした。この混合物を撹はんしながら、オートクレーブの温度を125℃まで昇温し、この温度で3時間保持した。混合物を室温まで冷却した後、オートクレーブから排気した。次に、エチレンオキシド(52.9g:1.2モル)を0℃で撹はんしながらこの混合物に冷縮させた。この組み合わせた混合物の冷却を続けながら、アルゴンガスを使って酸素をパージした後、オートクレーブをシールした。この混合物を撹はんしながら、オートクレーブの温度を130℃まで昇温し、この温度で3時間保持した。混合物を室温まで冷却した後、オートクレーブから排気した後、粗生成物を300mLの丸底フラスコへ移した。186℃で0.3mmのHgでの減圧蒸留により生成物を単離した。生成物の収量は理論値の83%に当たる143gであった。下記の実施例及び試験評価ではこの化合物を(F3)(F3)−ipg−(PO)(EO)3と略称する。
【0073】
<ポリグルロン酸の調製>
1000mLのビーカーの中で、150gのアルギン酸(商品名:超低粘度アルギン酸(Ultra Low Viscosity Alginic Acid):紀文フードケミファ(Kibun Food Kemifa);日本国)を、脱イオン水600mLでスラリー化した。オーバーヘッド式機械的撹はん機を用いて撹はんしながら、このスラリーに水酸化リチウム一水和物27.65gを加えた。アルギン酸が溶解すると溶液は約4.1のpH値となった。脱イオン水を加えて溶液の全量を750mLとした。次いで、この溶液を氷浴で5℃より低い温度まで冷却した。前記の機械的撹はん機を使って冷却した溶液を激しく撹はんしながら、過ヨウ素酸ナトリウム43.75gを素早く加えた。冷却した溶液を1時間激しく撹はんした後、氷浴を取り外し、撹はんした溶液を周囲温度まで加温した。次に、撹はんしながら濃塩酸溶液8gを加えた。このビーカーに蓋をして4日間放置した。この期間にビーカーの底に多量の固形ヨウ素が析出した。少し濁った上澄み液をこの固形ヨウ素からデカンテーションで分離した後、2Lの蓋付き肉厚PFA容器に移した。上澄み液からデカンテーションされたヨウ素は通常の手順により処分した。PFA容器の開口部のネジ部をテフロン(Teflon)テープで巻き付けて蓋をしっかりとシールした。鉛の錘を使って、このシールしたPFA容器を8時間、70℃で水浴中に浸漬した。室温まで冷却した後、このシールした容器を開け、Whatman濾紙の#4シートを使って、この混合物を濾過した。還流コンデンサーが取り付けられている丸底フラスコに、この濾液を移した。n−オクチルアルコール2mLをこの溶液に加えた後、2時間、この混合物をマグネチックスタラーで撹はんしながら加熱、還流した。混合物の撹はんと還流を続けながら、混合物のpHが1.0の値に達するまで還流のコンデンサーを通して濃塩酸を徐々に加えた。0.8ないし0.2の範囲のHydrion MicrofineのpH試験紙を使ってpH値を調べた。塩酸をこのように加ると灰色を帯びた白い固形の沈澱物が生成した。この混合物を更に7時間還流状態で加熱した。混合物を周囲温度まで冷却した後、微細な気孔(孔径:16−40ミクロン)のフリットガラスのフィルターを使う減圧濾過によりこの固形分を集めた。湿った固形分は約600mLの脱イオン水と一緒に1Lのビーカーに移した。このスラリーを撹はんしながら、固形分が全て溶解するまでトリエチルアミンを徐々に加えた。こうして生成した溶液のpHは、5.5ないし8.0の範囲のMicrofineのpH試験紙を使って測定すると、約7であった。こうして生成した溶液をWhatman濾紙の#2シートで濾過した。次いで、1.3ないし4.4の範囲のMicrofineのpH濾紙を使って測定して、混合物のpHが3.1の値に達するまで、低分子量ポリグルロン酸も低分子量ポリマンヌロン酸も含む溶液に6Nの塩酸を徐々に加えた。沈澱した固形分は、微細な気孔(孔径:16−40ミクロン)のフリットガラスのフィルターを使って減圧濾過により集めた。湿った固形分は約250mLの脱イオン水と一緒に1Lのビーカーに移した。このスラリーを撹はんしながら、95%のエタノール500mLを撹はんしながら徐々に加えた。1時間撹はんした後、微細な気孔(孔径:16−40)のフリットガラスのフィルターを使って減圧濾過により集めた。数回に分けた95%のエタノールで固形分を洗浄した後、放置して風乾させた。最後に、この固形分が一定重量になるまで減圧で乾燥させた。生成物のこの収量は17gであった。この操作を11回繰り返すと、ポリグルロン酸の全収量は200gを少し上回った。
【0074】
<ポリエチレンイミン(MW=800)で還元的アミノ化したポリグルロン酸の調製[PGA−PEI800]> 5Lのビーカーに入れた脱イオン水600mLに、撹はんしながら、ポリグルロン酸200g及びポリエチレンイミン(商品名:Lupasol FG:BASF社:MW=800)70gを溶解した。同じポリエチレンイミン340gを撹はんしながらこの溶液に追加した。次に、激しく撹はんしながら、12Nの塩酸溶液を滴下状態で、この組み合わさった溶液のpHを8.95に調整した。脱イオン水を加えて、この溶液の全量を1500mLにした後、この溶液を室温で10日間放置した。この溶液を激しく撹はんしながら、10.0gの水素化ホウ素ナトリウムを2.0gずつ5回に分けて6時間にわたってこの溶液に加えた。こうして生成した溶液を一晩放置した。溶液を再び激しく撹はんして、2.0gの水素化ホウ素リチウムを0.2gずつ10回に分けて10時間にわたってこの溶液に加えた。こうして生成した溶液を再び一晩放置した。この溶液を激しく撹はんしながら、12Nの塩酸溶液を滴下状態で、この組み合わさった溶液のpHを2.0に調整した。次に、激しく撹はんしながら、エタノール3Lを加えた。生成物は油分として上澄み液とは分離し、この上澄み液は処分した。この油分を多量のエタノールと一緒に混ぜて摺り潰すと、この油分は固化した。黄色っぽい固形分を風乾した後、減圧乾燥した。乾燥した固形分の重量は176gであった。
【0075】
<顔料分散剤[PGA−PEI800−(i−プロピル)x(n−プロピル)y]の調製(アセトン及びプロピオンアルデヒドを使い還元的アミノ化したPGA−PEI800)>
5Lのビーカーに入れた脱イオン水900mLに、撹はんしながら、PGA−PEI800 60g、アセトン200g、及びN,N−ジメチルエタノールアミン26gを加えた。無水エタノール中のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを塩化テトラメチルアンモニウムで複分解により調製し、シアノ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム35.0gを5.0gずつ7回に分けて21時間にわたって加えた。シアノ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムの最初の5.0gを加えた後、3Nの塩酸溶液を滴下状態で加えて、この混合物のpHを8.2に調整した。同様に、2回目に加えた後の混合物のpHを7.8に調整し;3回目に加えた後のpHを7.4に調整し;4回目に加えた後のpHを7.0に調整し;5回目に加えた後のpHを6.6に調整し; 6回目に加えた後のpHを6.2に調整し;そして最後に加えた後のpHを5.8に調整した。シアノ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムの全てを加え終えると、この混合物を12時間放置した。次に、プロピオンアルデヒド200gをこの反応混合物に加えた。激しく撹はんしながら、シアノ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム 35.0gを5.0gずつ7回に分けて21時間にわたって加えた。シアノ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムを5.0gずつ加える毎に3Nの塩酸溶液を滴下状態で加えて混合物のpHを5.8に調整した。シアノ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムの全てを加え終えると、この混合物を12時間放置した。次に、2−プロパノール3Lを撹はんしながら加えた。よく換気の効く換気フードの中で、氷浴を使い、この混合物を冷却しながら12Nの塩酸溶液をこの混合物に滴下状態で加えた。この混合物のpHが2.0の一定値に達するまでこの滴下状態での添加を続けた。塩酸を加えると灰色を帯びた白色の固形物が沈澱した。酸性化した混合物を12時間放置した後、この固形物を濾過して集め、多量の2−プロパノールで数回洗浄した。この固形物を風乾した後、減圧下で一定重量になるまで乾燥した。この乾燥した固形物30.0gと脱イオン水90.0gを一緒に250mLのフラスコに入れた。この混合物を激しく撹はんしながら、N,N−ジメチルエタノールアミンを少量に分けて加えた。大半の固形物が溶解した後、この溶液のpHを並行的に監視しながらN,N−ジメチルエタノールアミンを滴下状態で加えた。溶液のpHが5.0の一定値に達した時、N,N−ジメチルエタノールアミンの添加を止めた。溶液の全重量が136gになるように水を追加した。最後の段階として、こうして生成した溶液を3ミクロンのテフロン薄膜フィルターで濾過した。
【0076】
<顔料分散液の調製>
下記の成分を混合し、その混合物をアイガー(Eiger)のMotormill M250 VSE−EXJ(アイガージャパン(Eiger Japan)、日本国、東京)の中で分散させた。合計体積が175mLのガラスビーズ(直径:1.0mm)を粉砕用媒体として使用した。粉砕は4000rpmで4時間行なった。
【0077】
顔料分散液の収量は196gであった。この手順を4回繰り返し、5個のバッチ分をポリエチレンボトルの中で撹はんしながら、組合わせた。次に、顔料分散液のpHを並行的に監視しながら、N,N−ジメチルエタノールアミンを滴下状態で加えた。顔料分散液のpHが8.5の一定値に達した時、N,N−ジメチルエタノールアミンの添加を止めた。
【0078】
【実施例】
<実施例1>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0079】
顔料分散液(前記;固形分15重量%) 100.0g
脱イオン水 220.0g
グリセリン 20.0g
(F3)(F3)−ipg−(EO)2 60.0g
<実施例2>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0080】
顔料分散液(前記;固形分15重量%) 100.0g
脱イオン水 220.0g
グリセリン 20.0g
(F3)(H3)−ipg−(EO)2 60.0g
<実施例3>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0081】
顔料分散液(前記;固形分15重量%) 100.0g
脱イオン水 230.0g
グリセリン 20.0g
(F3)(F3)−ipg−(PO)(EO)3 50.0g
<比較例1>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0082】
顔料分散液(前記;固形分15重量%) 100.0g
脱イオン水 220.0g
グリセリン 20.0g
イソプロピリデングリセリン(略語:Solketal)60.0g
<比較例2>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0083】
顔料分散液(前記;固形分15重量%) 100.0g
脱イオン水 220.0g
グリセリン 20.0g
トリエチレングリコール(略語:TEG) 60.0g
<比較例3>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0084】
顔料分散液(前記;固形分15重量%) 100.0g
脱イオン水 220.0g
グリセリン 20.0g
ジエチレングリコール(略語:DEG) 60.0g
<比較例4>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0085】
<比較例5>
下記の成分を撹はんしながら、順次、ビーカーに加えた。組み合わせた混合物を2時間撹はんした。次に、インクジェット印刷に適するインクが得られるように、この混合物を3ミクロンの薄膜フィルターで濾過した。
【0086】
<間欠印刷試験>
間欠印刷条件のもとでの前記インクの信頼性を次のように評価した。先ず、インクを脱泡した後、熱シール性のアルミニウムパックの中に封入した。次に、このインクをMJ−930Cプリンター(商品名、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation))の印刷ヘッドに充填した。ノズルの全てを使用するラインパターンを印刷して、初期には、インクは優れた方向性を持って全てのノズルから吐出していることを確認した。印刷しているパターンを、インクの一滴が各ノズルから逐次的に吐出され次に印刷ヘッドに蓋がされずにしかもインク小滴は吐出されない休止期間が続くという印刷パターンに変えた。全てのノズルについて1個のドットの吐出の次に休止期間が続くことから成るこのパターンについて、休止期間の長さを5秒単位で長くすることを逐次的に繰り返す。例えば、最初の休止期間は5秒、第2番目の休止期間は10秒、第3番目の休止期間は15秒、等である。ノズルが最初に目詰まりする休止期間の長さを記録した。次の基準を使って間欠印刷試験に関する信頼性を評価した:即ち、ノズルの最初の目詰まりまでの最短時間が90秒超であった(A)、ノズルの最初の目詰まりまでの最短時間が60秒超で90秒以下であった(B)、そしてノズルの最初の目詰まりまでの最短時間が60秒以下であった(C)。この試験の結果を下記の表1に示している。
【0087】
<長期保存試験>
印刷ヘッドの中での長期保存に対する前記インクの信頼性を次のように評価した。先ず、インクを脱泡した後、熱シール性アルミニウムパックの中に封入した。次に、このインクをMJ−510Cプリンター(商品名、セイコーエプソン社)の印刷ヘッドに充填した。ノズルの全てを使用するラインパターンを印刷して、初期には、優れた方向性を持ってインクは全てのノズルから吐出していることを確認した。次に、インク供給部を印刷ヘッドから取り外した後、その印刷ヘッドをプリンターから取り外した。蓋をしない印刷ヘッドを、一定温度の炉の中で40℃で7日間保存した。この印刷ヘッドをプリンターに再び取り付け、そしてインク供給部を印刷ヘッドに再び取り付けた。プリンターのクリーニング作業を行ない、引き続きノズルの全てを使ってラインパターンを印刷した。ノズルの全てが優れた方向性で印刷するまでクリーニング作業とそれに続くラインパターン印刷を繰り返した。次の基準を使って長期保存試験に関する信頼性を評価した:完全に元に戻るのに必要なクリーニング作業回数が3回以下であった(A)、完全に元に戻るのに必要なクリーニング作業回数が4回又は5回のどちらかであった(B)、完全に元に戻るのに必要なクリーニング作業回数が6回以上で10回以下であった(C)、及び10回のクリーニング作業の後でも完全に元に戻ることができない(F)。この試験結果を下記の表1に示している。
【0088】
<熱サイクル試験>
2つの温度限界(−30℃と60℃)に対する前記インクの信頼性を次のように評価した。先ず、インクを脱泡した後、30mLのガラス試料瓶に封入した。この試料瓶を60℃の定温炉に入れて、その温度条件で24時間保存した。この試料瓶を炉から取り出して−30℃の定温冷蔵庫に移してその温度で24時間保存した。合計10サイクルが終わるまでこの2つの温度の間でのサイクルを繰り返した。最終サイクルが終わるとインクを解凍して室温に戻し、揺り動かすことなく、ガラス試料瓶を逆さまにして試料瓶の底に沈澱物が無いかを調べた。次の基準を使って熱サイクル試験に関する信頼性を評価した:沈澱物がない(A)、沈澱物が少量ある(B)、及び沈澱物がかなりの量ある(C)。試験したインクは全てについて沈澱物は観察されなかった。この試験結果を下記の表1に示している。
【0089】
<乾燥時間試験>
一連の、べた組みのパターン印刷をした後、そのパターンを5秒毎に拭き取ることによって、前記インクの乾燥時間を評価した。印刷は、MJ−930Cプリンター(商品名、セイコーエプソン社)を使って行なった。印刷されたインクを拭いても汚れない時間を記録した。この試験結果を下記の表1に示している。
【0090】
【表1】
Claims (21)
- 前記顔料分散液が、顔料及び顔料分散剤から成ることを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
- 前記顔料分散剤が、疎水性ポリマーがポリウロン酸の還元末端に共有結合的に付加された、ポリウロン酸誘導体であることを特徴とする請求項2記載のインク組成物。
- 前記ポリウロン酸が、1,4結合型ポリガラクツロン酸、ポリグルロン酸、ポリイズロン酸、又はそれらの混合物から主として成ることを特徴とする請求項3記載のインク組成物。
- 前記疎水性ポリマーが、スチレン又は置換型スチレン、ビニルピリジン又は置換型ビニルピリジン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、及びイソプレンから成る群から選ばれる少なくとも1種のモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーであることを特徴とする請求項3記載のインク組成物。
- 前記疎水性ポリマーが、ポリ(ジメチルシロキサン)から主として成ることを特徴とする請求項3記載のインク組成物。
- 前記疎水性ポリマーが、ポリアミドであることを特徴とする請求項3記載のインク組成物。
- 前記ポリアミドが、アミン官能基の50%超が第一級アミン又は第二級アミンのどちらかである、ポリアミンのN-アシル化誘導体であることを特徴とする請求項7記載のインク組成物。
- 前記ポリアミンが、線状ポリエチレンイミン、分枝状ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(N-アルキル)アリルアミン、及びポリビニルアミンから成るポリアミンの群から選ばれることを特徴とする請求項8記載のインク組成物。
- 前記ポリアミドのアシル基、R−(CO)−、が、次のアシル基から選ばれる少なくとも1種から成ることを特徴とする請求項8記載のインク組成物:nが3以上であるCnH(2n+1)−(CO)−;フェニル−(CO)−;置換型フェニル−(CO)−;フェニル−CH2−(CO)−;置換型フェニル−CH2−(CO)−;フェニル−C2H4−(CO)−;及び置換型フェニル−C2H4−(CO)−。
- 前記疎水性ポリマーが、疎水性ポリアミンであることを特徴とする請求項3記載のインク組成物。
- 前記疎水性ポリアミンが、水溶性ポリアミンのポリ−N−アルキル化誘導体であることを特徴とする請求項11記載のインク組成物。
- 前記水溶性ポリアミンが、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー、及びポリ(アミドアミン)デンドリマーから成る水溶性ポリアミンの群から選ばれることを特徴とする請求項12記載のインク組成物。
- 前記インクが、顔料0.1ないし10%、顔料分散剤0.1ないし20%、及び水性キャリヤー媒体70ないし99.8%を含むことを特徴とする請求項2記載のインク組成物。
- 前記ポリウロン酸セグメントの数平均分子量が、700以上であることを特徴とする請求項3記載のインク。
- 前記疎水性ポリマーセグメントの数平均分子量が、300以上であることを特徴とする請求項3記載のインク。
- 前記顔料分散剤のポリウロン酸セグメントが、有機塩基、アルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物、及びそれら混合物から成る群から選ばれる中和剤で中和されることを特徴とする請求項3記載のインク組成物。
- インクジェット印刷で使用することを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
- 請求項1記載のインク組成物を記録媒体上に定着することを特徴とする印刷方法。
- 請求項1記載のインク組成物の小滴を記録媒体上に吐出して定着することを特徴とするインクジェット印刷方法。
- 請求項19又は請求項20記載の方法により記録された記録媒体。
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