JP4058353B2 - オフセット印刷用ブランケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷用ブランケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オフセット印刷におけるブランケットとして、複数の基布からなる支持体層とその上に耐油性ゴム(NBRなど)からなる表面印刷層を加硫によって一体成形したものや円筒状のスリーブに支持体層とその上に耐油性ゴムよりなる表面印刷層を加硫によって一体成形したものが広く用いられており、また前記支持体層は圧縮性層を含むものが一般的である(例えば、特許文献1〜3参照)。オフセット印刷に際して、表面印刷層(表面ゴム層ともいう)はインキの着肉性や転移性、耐久性などがよいことが要求される。とりわけ、近年は約1000rpmの高速印刷化に適応するためには、被印刷体に直接接触する表面印刷層は充分な耐久性を有すると共に、インキ転移性および紙離れ性などがより一層優れていることが要望されている。
【0003】
これまで、表面印刷層は、インキ着肉性を重視して表面ゴムの膨潤を大きくする場合と、紙離れ性を重視して表面ゴムのtanδを小さくする場合に分けて設計されている。しかしながら、前者の場合は表面ゴムの膨潤が大きいためにインキ着肉性は良好になるが、反面tanδが大きくなって紙離れ性やインキの洗浄性が悪くなり、後者の場合は紙離れ性が良好になるが、インキ着肉性の維持、tanδを小さく維持するという配合上の理由から、耐久性に難点が出てくる。
【0004】
表面印刷層のゴム組成物には、一般的に柔軟性を付与する目的で、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの可塑剤が添加されている。特に、円筒状のブランケットにおいては外径の安定性が重要であることから、120℃程度の環境で2次加硫することによって外径変化分を促進させたあと、仕上げの研磨を行なっており、この2次加硫時に可塑剤が揮発するという問題がある。さらに、印刷用ブランケットはその製造後の流通過程、例えば海外への移送等において、長期間、比較的温度の高い環境下に保管することがあり、その時のゴム物性変化も無視できないものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−1074号公報(請求項1、段落[0019]〜[0021]、図1)
【特許文献2】
特開平2001−162967号公報(請求項1、段落[0023]、図1)
【特許文献3】
特開平2001−171256号公報(請求項1、段落[0026]、[0034]、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、オフセット印刷用ブランケットは、高速印刷により適した対応や、保存安定性の向上等の面からさらに改良が望まれており、それには表面印刷層の性能向上が非常に重要となる。本発明はかかる課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題解決に鑑みて、本発明者らは表面印刷層を構成するゴム組成物について検討していたところ、表面印刷層をゴム材料に対して酸化亜鉛および可塑剤を特定の重量割合で含有せしめて加硫成形することにより、紙離れ性がよく維持され、しかもインキ着肉性、インキ転移性および耐久性に優れたオフセット印刷用ブランケットを得ることに成功したものである。また、酸化亜鉛と共に用いる可塑剤としてはアジピン酸エステルが特に適しているとの知見も同時に得られたものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下のオフセット印刷用ブランケットに関する。
1) 支持体層と、この支持体層上に積層された表面印刷層とを含む紙印刷用のオフセット印刷用ブランケットにおいて、前記表面印刷層がゴム材料としてアクリロニトリル−ブタジエンゴム100重量部、酸化亜鉛7〜20重量部および可塑剤10〜40重量部を含む加硫ゴム組成物で形成されており、tanδ(損失正接)[ただし、tanδ=G " /G ' であり、ここでG ' は貯蔵弾性係数を、G " は損失弾性係数をそれぞれ表す。弾性係数は、試験片(幅4mm、長さ30mm)、チャック間距離20mm、常温下、10Hz、振幅50μm、初期歪2mmの測定条件による。)が0.1以下であり、JIS K6251の規定による引張強度が4MPa以上であることを特徴とする紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
2) 可塑剤を12〜40重量部含むことを特徴とする上記1)項記載の紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
3) 前記可塑剤がアジピン酸エステルであることを特徴とする上記1)項または2)項記載の紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
【0009】
3)前記可塑剤がアジピン酸エステルであることを特徴とする上記1)項または2)項記載の紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のオフセット印刷用ブランケットは、支持体層とこの支持体層上に積層された表面印刷層とを含む層構成を有する。その層構成例を図1に示す。この例のオフセット印刷用ブランケット10は、3枚の基布13a,13bおよび13cからなる非圧縮性の支持体、圧縮性層14、基布13dよりなる支持体層12の上に、表面印刷層11を配して構成されているものである。また、別の構成例としては、図2(a)に示すように金属性の円筒状スリーブ(S)上に糸をスパイラ状に巻き付けて糸層15を形成し、その上に例えば図2(b)の層構成を積層した、オフセット印刷用ブランケット(図3に一部断面図を示す)が挙げられる。
【0011】
本発明においては、表面印刷層がゴム材料100重量部、酸化亜鉛7〜20重量部および可塑剤10〜40重量部を含む加硫ゴム組成物で形成されていることを特徴とする
前記表面印刷層を構成するゴム材料としては、耐油性ゴムが適当であり、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR、クロロプレンゴム(CR)、ポリウレタンゴムあるいはアクリルゴム等の合成ゴムが挙げられ、とりわけNBRが最も好ましく用いられる。
【0012】
酸化亜鉛(亜鉛華)は、従来、ゴムの加硫に際して促進活性剤として働き、またハロゲン化ゴム、およびカルボキシル化SBRまたはNBRの加硫剤として用いられている。これまでに酸化亜鉛がオフセット印刷用ブランケットの表面印刷層において添加された例があるものの、その添加量はゴム材料100重量部に対して3重量部程度である(例えば、特許文献1〜3参照)。これに対して本発明では、ゴム材料100重量部に対して酸化亜鉛7〜20重量部と従来よりも高い割合で添加される。酸化亜鉛がこの範囲に達しないときは、ブランケットの紙離れ性の改良が充分ではなく、逆にこの範囲を超えると加硫が進み過ぎることとなり適当ではない。
【0013】
一方、可塑剤はゴム材料100重量部に対して10〜40重量部、好ましくは12〜40重量部の割合で添加される。この可塑剤の配合量もまた、酸化亜鉛が上記のとおり従来よりも多く添加されていることを前提に、通常よりも多い目に配合することが本発明の特徴である。このように、酸化亜鉛と可塑剤の配合量をそれぞれ特定の範囲で組み合わせることによって、表面印刷層の紙離れ性、耐久性、さらには外径安定性のいずれもが改良されるのである。酸化亜鉛の配合量が7重量部に達しないときは、可塑剤量を10重量部以上配合してもこれらの改良効果は認められない。しかし、可塑剤量をあまりに多くするとブリードを起こすことから、ゴム材料100重量部に対して40重量部までの範囲に抑えることが必要である。
【0014】
本発明における可塑剤としては合成系可塑剤が好ましく用いられる。その例としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(DOP)あるいはトリクレジルフォスフェートに加えて、特にアジピン酸エステルが好適に用いられる。アジピン酸エステルは、上述の可塑剤の配合量の範囲の中でも比較的に低配合量側でも効果をよく発揮でき、またブランケットの外径安定性を維持する効果がより大きい。当該アジピン酸エステルとしては、例えばアジピン酸ジブチル、アジピン酸n−ヘキシル、アジピン酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジイソデシル、ジブチルジグリコールアジペートあるいはジオクチルアジペートなどが挙げられる。
【0015】
前記表面印刷層は、物性上、tanδを0.10以下、JIS K6251の規定に基づく引張強度Tbを4MPa以上となるように調製するのが好ましい。tanδを前記の値とすることにより特に紙離れ性がよくなり、一方耐久性の面から上記のTb範囲とするのが好ましい。酸化亜鉛および可塑剤をそれぞれ上記の配合範囲で配合することにより、tanδおよびTbを前記の値に調整することが可能となる。
【0016】
表面印刷層は、ゴム材料に前記のとおり酸化亜鉛および可塑剤を配合するほかは、従来法に準じて、後に例示するような加硫剤、加硫促進剤、および充填剤等を適宜配合し、これをトルエン等の溶剤に溶解させてゴム糊とし、支持体層にブレードコーティング等によって塗布することにより積層される。
表面印刷層の厚みは、通常、0.05〜0.8mm、好ましくは0.1〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.5mmの範囲で設定するのが適当である。表面印刷層の厚みが上記範囲を下回ると、支持体層の基布の模様が印刷画像に現れるおそれがある。逆に厚みが上記範囲を超えると、印刷時のひずみが大きくなりすぎて印刷品質が低下するおそれがある。表面印刷層の硬度は、JIS A硬度で40〜75°、好ましくは50〜65°の範囲に調整するのが適当である。表面印刷層の硬度が上記範囲を下回ると、印刷時のひずみが大きくなりすぎて排紙性が低下し、逆に硬度が上記範囲を超えると、表面印刷層の柔軟性が不十分になるため、ベタ着肉性が低下するおそれがある。
【0017】
また、表面印刷層の表面粗さは、10点平均粗さRZで10μm以下であるのが好ましい。表面印刷層の表面粗さが上記範囲を超えると、印刷された網点の形状が乱れるなどして、印刷品質が低下するという問題が生じる。
次に、本発明の印刷用ブランケットにおける支持体層は、通常、複数枚の基布よりなる非圧縮性の支持体を基本構成とし、これに適宜、圧縮性層が配される。さらに、図2および図3のように、円筒状スリーブにスパイラル状に形成した糸層を支持体層に含んでいてもよい。
【0018】
支持体層を構成する非圧縮性の支持体(補強層ともいう)は、天然繊維または合成繊維もしくはこれらの混紡糸からなる基布にゴム糊を塗布した基布層から構成される。基布としては、綿、ポリエステル、レーヨン等の織布または不織布からなるものがあげられる。これらのなかでも伸び取り加工を施した織布が好ましい。
基布層用ゴム糊には、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム材料に、前述のような、加硫剤、加硫促進剤および必要に応じて増粘剤等を配合したものが用いられる。基布層の1層の厚みは、通常、0.2〜0.5mmの範囲で設定するのが適当である。また、基布層の数は、製品に要求される特性等に応じて適宜設定すればよく、通常1〜5層であるが、複数層であることが好ましい。
【0019】
次に、圧縮性層を配するときのこの層について説明する。
圧縮性層の材料には、ゴム、樹脂、熱可塑性エラストマー等の中から、インキや洗浄液に耐性を有するものが好ましく選択される。特に、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)にカーボンブラックを含有させたゴム組成物が、強度、加工性、コストの点から好ましく使用できる。
圧縮性層は、前述のように多孔質の弾性部材からなるものであって、該層内部の各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものと、各気孔が互いに連通した連続気孔構造のものとがある。本発明ではこのいずれの構造であってもよく、両方の構造を併用してもよい。上記のうち独立気孔構造の圧縮性層は、例えば加熱分解してガスを発生する発泡剤を未加硫のゴム中に分散して、ゴムの加硫と同時に発泡させる方法や、あるいはゴム中に中空微粒子を分散させる方法(マイクロバルーン法)によって形成される。一方、連続気孔構造の圧縮性層は、未加硫のゴム中に食塩等の抽出可能な粒子を分散し、加硫後に、ゴムの性質に影響を及ぼさない溶媒(食塩の場合は水)により上記粒子を抽出する方法(リーチング法)によって形成される。
【0020】
圧縮性層内の気孔(空隙)の割合(以下、「空隙率」という)は特に限定されないが、通常、25〜75%、好ましくは30〜60%、より好ましくは35〜50%の範囲に調整するのが適当である。圧縮性層の空隙率が上記範囲を下回ると、圧縮性が低下して印圧の調整が不十分になるおそれがある。逆に空隙率が上記範囲を超えると、復元性が低下してヘタリが生じたり、印刷に必要な印圧が得られなくなったりするおそれがある。
【0021】
圧縮性層の発泡方法は、公知手段を採用することができ、例えば塩抽出層、中空微小球を配合する方法、発泡剤を使用する方法等いずれの発泡方法でも適用できる。圧縮性層の厚みは、一般に0.1〜0.6mmであり、前記G*の範囲となるように適宜選択される。前記圧縮性層は、上記の材料を溶剤(例、トルエン、メチルエチルケトンなど)に溶かして基布上に所定の厚みまで塗布するか、カレンダー(圧延機)等により所定の厚みに分出したあと支持体と圧着する等の方法により形成することができる。
【0022】
前記圧縮性層には、前記材料とともに、各種の添加物が適宜、添加される。ゴム材料の場合には、加硫剤と、これに加えて加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤・可塑剤等が適宜添加される。前記のように、添加物の種類や量によっても、支持体層のせん断弾性率G*を6〜12MPaの範囲に調整することができ、例えばゴム材料の補強剤であるカーボンブラックの種類や添加量を適宜選択することにより、G*を前記の範囲となるように調整することが可能である。カーボンブラックは、中でもファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、GPF(General Purpose Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、などが挙げられる。カーボンブラックの添加量は、その種類にもよるが、ゴム材料100重量部に対し、通常、35〜55重量部、好ましくは40〜50重量部である。
【0023】
本発明において使用し得る加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤および充填剤等を以下に例示する。
加硫剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N,N′−ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物や硫黄等があげられる。また、加硫剤として有機過酸化物系の架橋剤を使用することもできる。有機過酸化物系架橋剤の具体例としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート等があげられる。
【0024】
また、加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(OBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)等のチアゾール類が主促進剤として挙げられ、必要に応じて、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジメチルジチオカーバミン酸亜鉛(ZnMDC)、エチルフェニルジチオカーバミン酸亜鉛(ZnEPDC)、および加硫剤のところで挙げたテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)等を2次促進剤として適宜配合することもできる。
【0025】
老化防止剤としては、たとえば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル(BHT)をはじめとするモノフェノール系、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)をはじめとするビスフェノール系あるいは2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンをはじめとするポリフェノール系や、ベンツイミダゾール系、チオウレア系、亜りん酸系、有機チオ酸系等の各種老化防止剤が単独であるいは2種以上を併用して使用できる。
【0026】
充填剤としては、炭酸カルシウム、ハードクレー、ソフトクレー、無水珪酸、硫酸バリウム、珪藻土、タルク、マイカ、アスベスト、グラファイト、軽石等の無機充填剤;再生ゴム、粉末ゴム、アスファルト類、スチレン樹脂、にかわ等の有機充填剤が挙げられる。
本発明の印刷用ブランケットは、前記支持体層上に、プライマー層を介して前述の表面印刷層用ゴム糊をコーティングして、得られた積層体を所定の圧力と温度で加熱加圧して加硫させ、一体成形することによって作製される。こうして得られた印刷用ブランケットは、直接または下貼材を介してブランケット胴のシリンダの周面上に装着して使用される。
【0027】
本発明の印刷用ブランケットにおける支持体層は、前記圧縮性層と前記の非圧縮性の支持体とを積層して作製される。支持体層全体の厚みは、通常1.20〜1.85mm、好ましくは1.50〜1.75mmの範囲となるように設定される。
【0028】
【実施例】
以下に、比較例とともに実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜7および比較例1〜4
図1の層構成を有するオフセット印刷用ブランケット10を作製した。本印刷用ブランケットは、3枚の基布13a,13bおよび13cからなる非圧縮性の支持体、圧縮性層14、基布13dよりなる支持体層12の上に、表面印刷層11を配して構成されているものである。ここで、表面印刷層11の配合組成を後述の表3のとおり変えて実施例1〜7および比較例1〜4のオフセット印刷用ブランケットを作製した。
【0029】
(1)支持体層12の作製
基布層の作製
基布として、綿布、ポリエステルおよびレーヨンの繊維を組み合わせてなる混紡織物を用いた。上記基布上に、表1に示した基布層用ゴム糊を0.05mmの厚みになるまで糊引きした。こうして得られた3枚の基布13a,13bおよび13cをロールで圧着させて基布層(非圧縮性の支持体)を得た。
【0030】
【表1】
Figure 0004058353
【0031】
圧縮性層の作製
下記の表2に示すように、NBRに加硫剤、加硫促進剤、充填剤等の成分を同表に示す各割合で混合し、トルエンに溶解させ、さらにアクリロニトリル系樹脂中空微粒子を混合して圧縮性層用ゴム糊を得た。空隙率は、所定量(40%)になるようように計算した中空微小球を混合した。表2のゴム糊を基布上に塗布し、乾燥させた後、圧縮性層用ゴム糊を所定の厚みになるように糊引きして圧縮性層を得た。
【0032】
【表2】
Figure 0004058353
【0033】
次いで、乾燥後、基布層と圧縮性層のゴム糊側を圧着させて支持体層を得た。
(2)表面印刷層11の作製
表面印刷層用ゴム糊として、下記の表3に示すゴム配合物をトルエンに溶解させたものを上記の各支持体層12上に塗り、厚さ0.4mmの表面印刷層11を作製した。一方において、外径測定用試験片を作製するために、円筒状スリーブに、表面印刷層用ゴム糊として下記の表3に示すゴム配合をトルエンに溶解したものを塗布し、圧力1kg/cm2、150℃で加硫した。次いで、外径変化を測定できるように、表面印刷層ゴムを研磨した。
【0034】
実施例および比較例において、顔料としては住化カラー製の「イプシロンブルーLB−510」を、老化防止剤としては大内新興製の「ノクラックNS−6、200」を、加硫促進剤としては大内新興製の「ノクセラーDM、TET」を、シランカップリング剤としてはデグサジャパンの「Si−69」を用いた。
【0035】
【表3】
Figure 0004058353
【0036】
(3)加硫・成形
上記の方法によって得られた未加硫の積層体を圧力1kg/cm2、温度150℃でそれぞれ加硫し、一体成形した。次いで、表面印刷層11の10点平均粗さが3〜6μmになるように研磨して、オフセット印刷用ブランケット10を作製した。
<評価試験>
tanδ(損失正接);貯蔵弾性係数G'と損失弾性係数G''の比で表され、次の式で求められる。
【0037】
tanδ=G''/G'
弾性係数は、レオロジー社のDVE−V4 FTレオスペクトラーに、試験片(幅4mm、長さ30mm)をチャック間20mmで取り付け、常温下、10Hz、振幅50μm、初期歪2mmの条件下で測定した。
引張強度Tb;株式会社島津製作所製のオートグラフを用いて、JIS K6251に記載された方法に従って測定した。
【0038】
紙離れ性;株式会社リョービ印刷機520に装着して運転し、紙離れ性を目視観察した。
○:紙離れ性良好
△:紙離れ性やや不良
×:紙離れ性不良
耐久性;株式会社リョービ印刷機520に装着して10万回空運転し、表面印刷層の傷発生状況を目視で確認した。
【0039】
○:傷発生がほとんど認められない。
△:傷発生がかなり認められる。
×:傷発生が多く認められる。
インキ転移性;プルーバウ印刷評価機を用い、印圧1000N、印刷速度8m/Sで測定した。
○:インキ転移性良好
△:インキ転移性やや不良
×:インキ転移性不良
上記で得られた各オフセット印刷用ブランケットについて、評価試験を行った結果は表3に示すとおりである。この結果、本発明に基づいて酸化亜鉛および可塑剤(ジオクチルフタレート、DOP)を配合して作製した表面印刷層を有するオフセット印刷用ブランケット(実施例1〜7)は、いずれの評価項目においても満足すべき結果が得られた。また、tanδが0.10以下であるときに良い評価結果が得られている。
【0040】
これに対して、酸化亜鉛の配合量が7重量部に達しないときはDOP量を15重量部としても、耐久性とTb値、およびインキ転移性において劣るか(比較例1)、あるいは紙離れ性において劣っている(比較例2)。比較例1は、従来法のように、多硫化ゴムを混合することにより紙離れ性を良くしたものであるが、耐久性およびインキ転移性において満足する性能が得られていない。また、酸化亜鉛を25重量部も配合すると、加硫が早くて層形成ができなくなる(比較例3)。さらに酸化亜鉛を本発明に基づく配合量としても、可塑剤量が40重量部を超えるときは可塑剤(DOP)がブリードを起こす(比較例4)。
【0041】
実施例8〜14および比較例8〜9
前記の実施例および比較例において、表面印刷層における可塑剤としてDOPの代わりにアジピン酸ポリエステル(旭電化製の「PN−170」)を用いて、表4に示す各配合組成としたこと以外は同様の手順によりオフセット印刷用ブランケットを作製した。それらのブランケットについて、前記した方法によりtanδ(1)、Tb、紙離れ性、耐久性、およびインキ転移性と、さらに外径安定性を評価した結果を表4に示した。ここで、外径安定性は前記の外径測定用試験片を120℃で48時間熱老化させたあとの外径変化が0.03mm以内のものを良好(○)と判定した。さらに、表中のtanδ(2)は120℃で48時間、熱老化させたあとの測定値を示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004058353
【0043】
この表に示すように、実施例8〜14のオフセット印刷用ブランケットは、いずれの評価項目も満足すべき結果を示した。アジピン酸ポリエステルは、外径安定性を維持することにおいてとりわけ効果的な可塑剤である。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明に基づいて酸化亜鉛および可塑剤を配合して形成した表面印刷層を有するオフセット印刷用ブランケットは、紙離れ性、耐久性、インキ転移性、および外径安定性に優れており、特に高速印刷用ブランケットとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオフセット印刷用ブランケットの層構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)は円筒状スリーブS上にスパイラル状に糸層を形成した例を、図2(b)はその糸層上に積層するための積層体例(一部断面図)を示す。
【図3】図2(a)の糸層上に図2(b)層構成を積層したオフセット印刷用ブランケットの一部断面図を示す。
【符号の説明】
10 印刷用ブランケット
11 表面印刷層
12 支持体層
13a〜13d 基布層
14 圧縮性層
15 糸層

Claims (3)

  1. 支持体層と、この支持体層上に積層された表面印刷層とを含む紙印刷用のオフセット印刷用ブランケットにおいて、前記表面印刷層がゴム材料としてアクリロニトリル−ブタジエンゴム100重量部、酸化亜鉛7〜20重量部および可塑剤10〜40重量部を含む加硫ゴム組成物で形成されており、tanδ(損失正接)[ただし、tanδ=G " /G ' であり、ここでG ' は貯蔵弾性係数を、G " は損失弾性係数をそれぞれ表す。弾性係数は、試験片(幅4mm、長さ30mm)、チャック間距離20mm、常温下、10Hz、振幅50μm、初期歪2mmの測定条件による。)が0.1以下であり、JIS K6251の規定による引張強度が4MPa以上であることを特徴とする紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
  2. 可塑剤を12〜40重量部含むことを特徴とする請求項1記載の紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
  3. 前記可塑剤がアジピン酸エステルであることを特徴とする請求項1または2記載の紙印刷用のオフセット印刷用ブランケット。
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