JP2002019325A - 印刷用ブランケット - Google Patents

印刷用ブランケット

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JP2002019325A
JP2002019325A JP2000211461A JP2000211461A JP2002019325A JP 2002019325 A JP2002019325 A JP 2002019325A JP 2000211461 A JP2000211461 A JP 2000211461A JP 2000211461 A JP2000211461 A JP 2000211461A JP 2002019325 A JP2002019325 A JP 2002019325A
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rubber
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blanket
short fibers
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JP2000211461A
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Hiromasa Okubo
博正 大久保
Toshio Kamata
敏生 鎌田
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ドットゲインやベタ着肉性などの印刷性能を良
好に維持しつつ、亀裂率や磨耗量の少ない耐久性に優れ
た印刷用ブランケットを提供する。 【解決手段】支持体層とその上に積層された表面印刷層
からなり、前記表面印刷層に短繊維を含有させてなる印
刷用ブランケット。前記短繊維の含有量(A)と表面印
刷層を構成するゴム分量(B)の重量割合が(A):
(B)=2:98〜45:55であり、前記短繊維の直
径が10μm以下であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷用ブランケット
に関し、さらに詳しくは短繊維を表面印刷層に含有せし
めて耐久性を向上させた印刷用ブランケットに関する。
【0002】
【従来の技術】平板オフセット印刷やグラビアオフセッ
ト印刷に用いられる印刷用ブランケット10は、例えば
図2に示すように、少なくとも1層の基布層16を含む
支持体層12と、この支持体層上に設けられた表面印刷
層(表面ゴム層)11とで構成されている。前記支持体
層12は、基布13と接着ゴム層15とからなる基布層
16を、通常2〜5層積層したものである。近年では、
図3に示すように、前記基布層16が多孔質の圧縮性層
14を介して積層された印刷用ブランケット(エアーブ
ランケット)100も使用されている。
【0003】印刷用ブランケットの製造方法は、(1)
未加硫ゴムを有機溶剤に溶かしたものを、基布上にブレ
ードコーティング法等により塗布し(ゴム引き)、
(2)乾燥後、ゴム上に新たに基布を貼り合せ(必要に
応じて圧力を加える)、(3)基布上に(1)と同様に
してゴムを塗布し、(4)以下、上記の(1)から
(3)工程を繰り返して必要な枚数を積層し、所望によ
り圧縮性層を配置することにより支持体層を形成し、
(5)その支持体層上に表面印刷層を配置し、(6)加
圧・加熱によりゴムを加硫し、(7)表面を研磨して必
要な厚み・粗さに加工する、という工程が一般的であ
る。
【0004】また印刷用ブランケットの性能としては、
(1)インキ受理性と転移性、(2)溶剤などに対する
化学的耐久性があること、(3)弾性、復元性がよいこ
と、(4)耐久性のよいこと、などが要求される。従
来、印刷用ブランケットの性能を向上すべく種々検討さ
れてきており、例えば前述のように支持体層の構成層と
して圧縮性層を設けることもその代表例であって、これ
によって印刷時の圧力(印圧)を調整することがなされ
ている(特開平3−244595号公報、特許公報第2
670188号など)。
【0005】さらに印刷用ブランケットの性能改善を目
的に支持体層の改良が図られているが、その一つとして
短繊維を配合することが知られており、例えば「圧縮性
層および/または支持層が短繊維で強化した短繊維強化
ゴムよりなる印刷用ブランケット」(特開平4−369
584号公報)、「圧縮性層と表面弾性層との間に、短
繊維を分散させた弾性物質からなる伸び止め層を配する
シート状印刷用ブランケット」(特開平10−2728
60号公報)などが提案されている。このように短繊維
を支持体層のゴム基材に配合することによって、ゴムに
伸び止めや剛性の向上を付与しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、高速印刷用ブラ
ンケットにおいては、ドットゲイン(網点の太り)を防
止するために、表面印刷層のゴム硬度を比較的低くし、
圧力を吸収しやすくすることがなされている。すなわ
ち、ゴム硬度を低くするためにゴム配合物中のシリカ等
の無機充填剤を減らし、ゴム成分を増やすことによっ
て、インキに対して比較的膨潤しやすくさせることによ
って、ドットゲイン防止とベタ着肉性の向上を両立させ
ることが可能になる。
【0007】しかしながら、上記のように表面印刷層を
変えることによって、次のような問題点が新たに生じて
くる。 ゴム硬度を低くすることは、補強性充填剤量を減ら
すことであり、強度が弱くなる。また、ベタ着肉性を向
上させるために、インキに対してある程度膨潤しやすく
していることから、印刷使用時、膨潤の影響で強度がよ
り低くなっており、表面ゴムが破壊しやすい。
【0008】 インキに対して膨潤しやすくすると、
一方において表面ゴムにインキがパイリングしやすくな
り、ブランケットの洗浄頻度を増やす必要がでてくる。
この洗浄は、一般にブランケット洗浄機の洗浄布(不織
布)をブラシ表面に押し付けることにより行われるが、
この頻度が多くなると、ブランケットの表面の磨耗、劣
化が使用早期に発生する。 ゴム硬度が低い場合、印刷時、紙エッジの当たる箇
所に亀裂が発生しやすくなる。
【0009】 膨潤により表面ゴムが軟化し、印刷方
向に受けるせん断力で、表面ゴムが容易に変形し、スラ
ー(網点の流れ)が起こりやすく、印刷品質が悪くな
る。そこで、加硫系をタイトにして膨潤を抑えると、こ
んどはベタ着肉性が悪くなり、また硫黄物質のブルーミ
ングも起こってくる。加えて、ゴムの伸びが低下して脆
くなり、耐久性が低下してくる。 低硬度のゴム配合物はゴム成分が多いために表面の
粘着性が大きく、印刷時、紙離れが悪くなり、スラーを
増長させる。
【0010】そこで、本発明の目的は、ドットゲインお
よびベタ着肉性等の印刷性能を良好に保持しつつ、しか
も耐久性のよい印刷用ブランケットを提供しようとする
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
者らは、上記課題を解決するために、表面印刷層の改善
を図るべく種々検討を重ねた結果、これまでに表面印刷
層への利用が試みられていなかった短繊維を配合するこ
とにより、意外にも印刷用ブランケットの性能を低下さ
せることなくしかも耐久性を向上できることを知り、さ
らに検討を重ねて本発明を完成したものである。
【0012】すなわち、本願発明は、以下の発明を包含
する。 1)支持体層とその上に積層された表面印刷層からな
り、前記表面印刷層に短繊維を含有させてなることを特
徴とする印刷用ブランケット。 2)前記短繊維の含有量(A)と表面印刷層を構成する
ゴム分量(B)の重量割合が、(A):(B)=2:9
8〜45:55である上記1)項記載の印刷用ブランケ
ット。 3)前記短繊維の直径が10μm以下である上記1)項
記載の印刷用ブランケット。
【0013】4)前記表面印刷層を構成するゴムがニト
リル・ブタジエン・ゴムであり、前記短繊維が直径1μ
m以下であり、かつ、圧縮性層を有する上記1)項また
は2)項記載の印刷用ブランケット。 従来、印刷用ブランケットにおける表面印刷層は印刷性
能等に直接かつ微妙に影響する部位であることから、ゴ
ム基材を主とするその配合物組成を変えることに躊躇す
る傾向があり、そのために支持体層の改良に重点がおか
れていたと考えられる。短繊維の利用についても、上記
の[従来の技術]で述べたように、圧縮性層に配合する
かあるいは短繊維を含むゴム層を新たに支持体層に配す
ることで印刷用ブランケットを改良することが試みられ
ていたが、表面印刷層に配合するという技術的思想は見
当たっていない。
【0014】ところが、本発明者らは敢えて、短繊維を
表面印刷層に含有せしめたところ、印刷性能を維持しつ
つ耐久性を向上させることができるという、予測外の効
果が得られたものである。すなわち、本発明の印刷用ブ
ランケットは、ドットゲインおよびベタ着肉性を良好に
維持したままで、スラーの発生が防止され、排紙性が向
上したものであり、耐久性に優れている。前記短繊維の
含有量は、他の配合組成等を考慮して適宜に決定される
ものであるが、表面印刷層のゴム分との割合を前記2)
項のようにすることによって、ドットゲインおよび着肉
性に優れ、網点形状も損なわない印刷用ブランケットが
より有利に得られる。なお、短繊維量を増やすときゴム
硬度が大きくなり、ドットゲインが増える傾向にある
が、シリカ等の無機充填剤にくらべればその影響は小さ
い。
【0015】前記短繊維の直径は、10μm以下、好ま
しくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。
その下限は、繊維状態を有する限りにおいて特に限定さ
れるものではないが、一般に0.05μm以上である。
また短繊維の長さは、一般に0.001mm以上あれば
よく、好ましくは0.01〜2mmの範囲である。前記
4)項の印刷用ブランケットは、本発明における好まし
い実施態様を示すものである。すなわち、表面印刷層を
構成するゴムがニトリル・ブタジエン・ゴムであり、短
繊維が直径1μm以下であり、かつ、圧縮性層を有する
タイプにすることにより、印刷性能を良好に維持しなが
ら耐久性をより一層向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明における印刷用ブランケッ
トは、表面印刷層(表面ゴム層)と支持体層からなり、
この支持体層には通常、圧縮性層を設けていることが好
ましい。支持体層は、少なくとも1層の基布層を含み、
通常は複数のゴム層と基布層を交互に積層して構成され
る。この積層体は、加硫し一体化され、通常、表面を研
磨等で加工して印刷用ブランケットに仕上げられる。こ
の印刷用ブランケットは、転写胴のシリンダの周面上に
直接またはフィルムを介して接着し、印刷機に装着して
使用される。
【0017】本発明において、前記表面印刷層に含有せ
しめる短繊維は、その長さ方向に撚糸することは要しな
い。その材質としては、化学繊維[例;脂肪族ポリアミ
ド繊維(ナイロン繊維)、芳香族ポリアミド繊維、ビニ
ロン繊維、ポリエステル繊維など]、天然繊維(例;綿
繊維など)あるいは無機繊維(例;ガラス繊維、炭素繊
維、ステンレススチール繊維に代表される金属繊維や、
アルミナ繊維など)が挙げられ、これらは1種でもよい
し、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、表面
印刷層のゴム材料として使用されることの多いアクリロ
ニトリル−ブタジェンゴム(NBR)との接着性、経済
性(短繊維材料コスト)および繊維の微細性などを考慮
すると、脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン繊維)が最も
好ましい。
【0018】本発明における表面印刷層は、前記のとお
り短繊維を含有するものであるが、それ以外は従来公知
の配合材料、すなわち未加硫のゴム材料と、加硫剤、加
硫促進剤を含み、さらに必要に応じて充填剤、老化防止
剤、可塑剤、補強剤、増粘剤等を配合する。前記表面印
刷層用の未加硫のゴム材料に用いられるゴムとしては、
例えばアクリロニトリル−ブタジェンゴム(NBR)、
水素添加NBR,クロロプレンゴム(CR)、ウレタン
ゴム,アクリルゴム等の耐溶剤性に優れた合成ゴムがあ
げられ、これらの合成ゴムと多硫化ゴムとの混合物も好
適に用いられる。なかでも、NBRが短繊維との配合性
がよく、好ましく用いられる。
【0019】前記表面印刷層に短繊維を含有せしめる方
法は、層中なるべく均一に混入することができれば特に
限定されない。例えば、未加硫ゴム、加硫剤、加硫促進
剤等を含む配合物を有機溶剤に常法どおり溶解する工程
において、その工程前、工程中あるいは工程後の任意な
時期に短繊維を配合せしめればよい。通常は、他の材料
と共に最初の配合工程において加えておくことで目的は
達せられる。前記短繊維を含有せしめた表面印刷層用配
合物は、後述の支持体層(基布層と任意に設定される圧
縮性層)に接着された基布上にブレードコーティング法
等により所定の厚みまで糊引きし、その上に積層させ
る。ここで使用される接着用ゴム剤としては、アクリロ
ニトリル−ブタジェンゴム(NBR)あるいはアクリル
ゴム等の耐油性あるゴムを、また基布としては前記した
ものを用いることができる。基布上に、ブレードコーテ
ィング法等の適宜な塗布手段により均一にコーティング
する。基布としては、綿、ポリエステル、レーヨンなど
の織布を、また有機溶剤としては、トルエン、メチルエ
チルケトンなどが好ましく用いられる。
【0020】前記表面印刷層の厚みは、所望とする印刷
用ブランケットに応じて設定されるものであるが、通常
は0.05〜0.8mm、好ましくは0.1〜0.6m
m、より好ましくは0.2〜0.4mmの範囲が適当で
ある。表面印刷層の厚みが上記範囲を下回ると、基布の
模様が印刷画像に現れる恐れがある。逆に、厚みが上記
範囲を超えると、印刷時のひずみが大きくなり過ぎて印
刷品質が低下する恐れがある。
【0021】次に、本発明の印刷用ブランケットにおけ
る前記支持体層は、基布と接着ゴム層とからなる基布層
を、通常、2〜5層積層して構成される。ここで、基布
層作製に用いられる基布としては、綿、ポリエステル、
レーヨンなどの織布があげられる。また、ゴム材料とし
ては、耐油性の高いゴムが望ましく、例えばアクリロニ
トリル−ブタジェンゴム(NBR)あるいはアクリルゴ
ムなどがあげられる。ゴム材料を有機溶剤(例、トルエ
ン、メチルエチルケトンなど)に溶解して攪拌しゴム糊
として接着性を付与するように調製される。このゴム糊
の調製にあたっては、上記例示のゴムに加硫剤、加硫促
進剤を加え、さらに必要に応じて充填剤、老化防止剤、
可塑剤、補強剤、増粘剤等を配合する。
【0022】上記の加硫剤としては、例えば硫黄、有機
含硫黄化合物、有機過酸化物等が挙げられ、このうち有
機含硫黄化合物としては、例えばN,N’−ジチオビス
モルホリン等が挙げられる。有機過酸化物としては、例
えばベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等
が挙げられる。加硫促進剤としては、例えばテトラメチ
ルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノス
ルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジブチルジチオカ
ルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ
メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオ
カルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸類;2−メ
ルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−
ベンゾチアゾールスフフェンアミド等のチアゾール類;
トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素等の
チオウレア類等の有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化
マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)等の無
機促進剤が挙げられる。
【0023】加硫促進剤としては、例えば亜鉛華等の金
属酸化物や、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等
の脂肪酸が挙げられる。加硫遅延剤としては、例えばサ
リチル酸、無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸;
N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノン、N−
ニトロソフェニル−β−ナフチルアミン等のニトロソ化
合物などが挙げられる。
【0024】老化防止剤としては、例えば2−メルカプ
トベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−
α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p
−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロ
ピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフ
ェノール類等が挙げられる。補強剤としては、カーボン
ブラック、シリカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカー
ボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、タルク、クレー等の無機補強剤や、クマロ
ンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂
(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合
体)等の有機補強剤も使用できる。
【0025】充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、
クレー、硫酸バリウム、珪藻土、マイカ、アスベスト、
グラファイト等の無機充填剤や、再生ゴム、粉末ゴム、
アスファルト物質、パラフィンワックス等の、植物油
系、鉱物油系および合成系の各種軟化剤が挙げられる。
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチ
ルフタレート、トリクレジルフォスフェート等の各種可
塑剤が挙げられる。
【0026】上記以外にも、本発明の印刷用ブランケッ
トの各層を構成するゴムコンパウンドまたはゴム糊に
は、例えば粘着性付与剤、分散剤、溶剤等を適宜配合す
ることができる。次に、前記ゴム配合物を基布に含浸さ
せるには、前記のようにゴム材料を有機溶剤に溶解し、
ゴム糊としたものを基布にブレードコーティングする、
ゴム糊中へ基布をディッピングする、などの方法により
実施できる。1層の基布層の厚みは、所望の印刷用ブラ
ンケットに応じて適宜に設定すればよいが、一般的には
0.15〜0.5mm、好ましくは0.20〜0.45
mmの範囲が適当である。同様に、別の基布にもゴム配
合物を含浸させたものを作製し、合わせた基布をロール
間へ通して貼り合せることにより複数枚の基布を有する
基布層を作製できる。
【0027】前記支持体層に圧縮性層を設置する場合、
多孔質の弾性部材をゴム配合物中に配合するがその作製
は公知の方法に従えばよく、例えばゴム糊中に塩を混入
し、加硫後に温水へ浸して塩を抽出し、気泡を形成する
抽出法や、ガラス、フェノール樹脂、炭素または熱可塑
性樹脂の中空微小球(マイクロバルーン)をゴム中に入
れて気泡を形成するマイクロバルーン法、発泡剤を用い
た発泡法等を採用できる。
【0028】上記のように作製した単位基布層を積層さ
せてなる支持体層は、その全体の厚みが、通常、1.4
5〜1.85mm、好ましくは1.55〜1.75mm
の範囲となるように設定するのが適当である。単位基布
層の積層数は、製品に要求される特性に応じて適宜設定
すればよいが、通常は前記したように1〜5層の範囲で
設定される。かくして得られた積層体は、ドラムに直接
またはフィルムを介して巻き付けて加硫する加硫缶法な
どのより加硫し、その後、厚みや表面状態制御すべく、
研磨工程に付して印刷用ブランケットに仕上げられる。
該ブランケットは直接または下貼材を介して転写胴のシ
リンダの周面上に接着して使用される。
【0029】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。 比較例1と2、および実施例1〜8 図1に示すように、下層基布層4a、4bおよび4c、
圧縮性層3、上層基布層2および表面印刷層1の積層体
からなる印刷用ブランケットを作製した。各層の厚み
は、下層基布層4a、4bおよび4cをそれぞれ0.3
mmに、圧縮性層3を0.4mmに、上層基布層2を
0.3mmに、また表面印刷層1を0.3mmになるよ
うに作製した。また各層間のプライマーは0.01mm
とした。
【0030】比較例および実施例で用いられた表面印刷
層1の各配合組成を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1において、短繊維および短繊維入りゴ
ム(UBESHAP LA5060)は、次の性状を有
する。 ・短繊維:芳香族ポリアミド繊維[直径10μm、長さ
0.6mm;東レ(株)製、商品名:ケブラー]を使用
した。 ・短繊維入りゴム:宇部興産(株)製の商品名NBRS
HPを使用した。このものは、NBR50%、LDPE
25%および6−ナイロン25%からなり、このうち6
−ナイロンが短繊維(直径:0.2μm、長さ:0.3
mm)である。
【0033】また、圧縮性層3の配合組成を表2に、接
着に用いたプライマーゴム糊用の配合組成を表3にそれ
ぞれ示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】印刷用ブランケットは、次の手順により作
製した。 (1)支持体層の形成 [基布層の形成]基布となる綿布3枚を、表3に示すプ
ライマーゴム糊を介して積層した。すなわち、表3に示
す配合物1重量部に対してトルエン1重量部を加えてゴ
ム糊を調製した。得られたゴム糊を、ドクターブレード
を用いて綿布上に糊引きし、ロールプレスで加圧しなが
ら転がし、ゴムを基布に含浸させつつエアーをほぼ完全
に潰して除去した。同様にして、別の綿布2枚にもそれ
ぞれ糊引きし、3枚の綿布を接着させ、乾燥して下層基
布層4a、4bおよび4cを作製した。
【0037】[圧縮性層の形成]前記表2に示す圧縮性
層用配合物1重量部に対してトルエン1重量部を加えて
ゴム糊を調製し、綿布2の下面に塗布した。次いで、圧
力0.01MPa、温度150℃の条件で加硫し、さら
に60℃の温水に10時間浸漬して、食塩を抽出するリ
ーチング処理を行った後、乾燥させて、連続気孔構造を
有する圧縮性層3を作製した。こうして得られた圧縮性
層の空隙率は50%であった。なお、前記圧縮性層用の
ゴム糊に配合した食塩は、粒径が1〜100μmの不定
形粒状のものであった。
【0038】[基布層と圧縮性層の積層]上記下層基布
層4a〜4cの4a上に表3のプライマーを糊引きし、
上記圧縮性層3を積層して、支持体層5を作製した。 (2)表面印刷層の形成 前記表1に示す表面印刷層用配合物1重量部に対して1
重量部のトルエンを加えてゴム糊を調製した。得られた
ゴム糊を、上記支持体層5の上面にドクターブレードを
用いて糊引きし、乾燥させて表面印刷層を形成させ、図
1に示す構成からなる積層体を作製した。 (3)加硫および表面の研磨 上記で得られた積層体を加硫缶に入れて、当該積層体の
全体を圧力0.0098MPa、温度150℃の条件で
缶加硫し、表面印刷層を研磨することによって、各印刷
用ブランケットを得た。このようにして、表面印刷層の
配合組成の異なる10種(比較例1と2、実施例1〜
8)の印刷用ブランケットを作製した。
【0039】〔印刷性能試験〕上記実施例および比較例
で得られた印刷用ブランケットを、オフセット印刷機
〔リョービ製、560型〕の転写胴シリンダに巻きつけ
て、ベタと網点をコート紙に印刷した。このときの印刷
速度は1時間あたり10,000枚とし、インキは東洋
インキ社製の「マークVニュー」を用い、コート紙は大
王製紙社製の「ユトリロコート110kg」を用いた。
【0040】次の方法により、印刷性能および耐久性を
評価した。 (1)ドットゲイン 印刷された網点を、マイクロスコープを用いて拡大し、
版の網点(真円)の面積を1としたときの面積比を算出
した。この値が1に近いほどドットゲインが小さく、好
ましい。 (2)ベタ着肉性 画像解析にてベタ部の濃度分布を調べ、その標準偏差を
求めることによりベタ着肉性を評価した。ここで、標準
偏差が小さいほどベタ着肉性が良好であることを示す。 (3)スラー 印刷方向への網点の流れ具合(楕円度)をスラーゲージ
により縦横の線幅比(横線幅/縦線幅)を求めることに
より評価した。この線幅比が1に近いほど良好であるこ
とを示す。 (4)排紙性 総ベタで印刷したコート紙を10枚重ねたときのカール
高さを測定した。このカール高さが低いほど排紙性は良
好であることを示す。 (5)亀裂率 200万部印刷後に、ブランケット表面の紙エッジがあ
たる部分を中心に観察し、紙エッジ通過による表面ゴム
の亀裂長さ(ブランケット長手方向)を測定し、ブラン
ケットの総長さに対しての比率を求めた。この比率が小
さいほど亀裂発生の少なく、破壊が起こりにくいことを
示す。 (6)磨耗量 直径100mmの駆動ドラムに洗浄布を巻きつけて固定
し、金属板下に表面ゴムを下にしてブランケットを貼り
付け固定して、ドラムを50rpmにて2000回転さ
せた(図4参照)。ここで、ブランケットには8kg/
cm2の荷重がたえず掛かるように金属板の重さを調整
し、表面ゴム層の磨耗量を測定した。 (7)網点形状 印刷した網点の形状係数にて網点形状を評価した。この
形状係数は下記式で表され、この係数が1に近いほど良
好である(真円に近い)。
【0041】形状係数 = (周囲長)2/4π×面積 上記式において、面積および周囲長は画像解析にて求め
た。上記の測定・評価結果は前記表1に示したとおりで
ある。上記の結果から、以下のことが判明した。 (1)表面印刷層に短繊維を配合することにより、ドッ
トゲインを小さく、ベタ着肉性を良好に維持しつつ、ス
ラー、排紙性、耐久性(亀裂率、磨耗量)を向上させる
ことができる。 (2)網点形状からみて、短繊維の配合量は50重量部
を越えないようにすることが好ましい。とりわけ、配合
量は2〜45重量部であることが好ましい。 (3)短繊維はその直径が小さいほど網点形状の劣化を
最小限に抑えることができる点において好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の比較例および実施例で作製した印刷用
ブランケットの構成を示す。
【図2】印刷用ブランケットの一構成例を示す。
【図3】印刷用ブランケットの一構成例であって、支持
体層に圧縮性層を含む例を示す。
【図4】印刷用ブランケットの表面ゴム層の磨耗量を測
定するための装置を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体層とその上に積層された表面印刷層
    からなり、前記表面印刷層に短繊維を含有させてなるこ
    とを特徴とする印刷用ブランケット。
  2. 【請求項2】前記短繊維の含有量(A)と表面印刷層を
    構成するゴム分量(B)の重量割合が、(A):(B)
    =2:98〜45:55である請求項1記載の印刷用ブ
    ランケット。
  3. 【請求項3】前記短繊維の直径が10μm以下である請
    求項1記載の印刷用ブランケット。
  4. 【請求項4】前記表面印刷層を構成するゴムがニトリル
    ・ブタジエン・ゴムであり、前記短繊維が直径1μm以
    下であり、かつ、圧縮性層を有する請求項1または2記
    載の印刷用ブランケット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009274376A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Fujikura Rubber Ltd 印刷用ブランケット及びオフセット印刷機

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