JP2002067529A - オフセット印刷用ブランケットおよびその製造方法 - Google Patents

オフセット印刷用ブランケットおよびその製造方法

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JP2002067529A
JP2002067529A JP2000252861A JP2000252861A JP2002067529A JP 2002067529 A JP2002067529 A JP 2002067529A JP 2000252861 A JP2000252861 A JP 2000252861A JP 2000252861 A JP2000252861 A JP 2000252861A JP 2002067529 A JP2002067529 A JP 2002067529A
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rubber
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Toshio Kamata
敏生 鎌田
Seiji Tomono
誠二 伴野
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】印刷性能および耐久性の向上したオフセット印
刷用ブランケットを提供する。 【解決手段】少なくとも1層の基布層を含む支持体層と
その上に積層された表面印刷層とからなり、前記支持体
層は圧縮性層を有していてもよい、オフセット印刷用ブ
ランケットにおいて、少なくとも1層の基布層がせん断
速度10s-1で100℃における粘度が16〜30kP
a・sであり、かつ、せん断速度10s -1で130℃に
おける粘度が8〜23kPa・sであるゴム配合物を含
浸させた基布で構成されているオフセット印刷用ブラン
ケット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷用ブランケット
に関し、さらに詳しくは特定範囲の粘度を有するゴム配
合物を含浸させた基布層を有し、耐久性と印刷性能に優
れたオフセット印刷用ブランケットおよびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】平板オフセット印刷に用いられる印刷用
ブランケット10は、例えば図1に示すように、少なく
とも1層の基布層16を含む支持体層12と、この支持
体層上に設けられた表面印刷層(表面ゴム層)11とで
構成されている。前記支持体層12は、基布13と接着
ゴム層15とからなる基布層16を、通常2〜5層積層
したものである。近年では、図2に示すように、前記基
布層16が多孔質の圧縮性層14を介して積層された印
刷用ブランケット(エアーブランケット)100も使用
されている。
【0003】印刷用ブランケットの製造方法は、(1)
未加硫ゴムを有機溶剤に溶かしたものを、基布上にブレ
ードコーティング法等により塗布し(ゴム引き)、
(2)乾燥後、ゴム上に新たに基布を貼り合せ(必要に
応じて圧力を加える)、(3)基布上に(1)と同様に
してゴムを塗布し、(4)以下、上記の(1)から
(3)工程を繰り返して必要な枚数を積層し、所望によ
り圧縮性層を配置することにより支持体層を形成し、
(5)その支持体層上に表面印刷層を配置し、(6)加
圧・加熱によりゴムを加硫し、(7)表面を研磨して必
要な厚み・粗さに加工する、という工程が一般的であ
る。
【0004】また印刷用ブランケットの性能としては、
(1)インキ受理性と転移性がよいこと、(2)溶剤な
どに対する化学的耐久性があること、(3)弾性、復元
性がよいこと、などと合わせて断面が均一であり、長時
間にわたり使用してもヘタリが生じにくく耐久性のよい
ことが要求される。例えば、前述のようなエアーブラン
ケットは、印刷品質を向上すべく、印刷時の圧力(印
圧)を調整するために開発されたものである。例えば、
特開平3−244595号公報、特許公報第26701
88号等には圧縮性層を有するブランケットが開示され
ている。
【0005】また印刷用ブランケットの耐久性と性能を
向上させるために、さらに検討がなされており、例えば
特開平10−272860号公報には、シート状の印刷
用ブランケットにおいて、圧縮性層と表面弾性層との間
に、短繊維を分散させた弾性物質からなる伸び止め層を
配することにより、表面ゴム層の伸びを防止し、安定な
印刷を可能とする、という提案がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最近では高速印刷がな
されるオフセット輪転機において、カタログ等の高級印
刷の需要が増しており、印刷品質の向上が図られてい
る。オフセット輪転機の場合、印刷用紙の表面と裏面を
同時に印刷する機構になっており、エアーブランケット
を使用するとき印圧によって生じるひずみが圧縮性層で
吸収されるため、網点の太りが抑制され印刷品質が向上
する。しかし、部分的な印刷ムラや、ブランケットがヘ
タルことによる低寿命化、また表面印刷層の損傷や版の
磨耗発生によりブランケットの交換回数が多くなる、と
いった改良すべき点もあり、さらなる性能および耐久性
の向上が望まれている。
【0007】そこで、本発明の目的は、これら要望に即
したオフセット印刷用ブランケットと、その製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
者らは、上記課題を解決するために、印刷用ブランケッ
トを構成する要素の中で基布層に注目し、とりわけ基布
にゴム引きするゴム配合物の粘度特性に着目して、印刷
用ブランケットの性能と耐久性に及ぼす影響について種
々検討を重ねた結果、本発明を完成したものである。す
なわち、本発明は、 1)少なくとも1層の基布層を含む支持体層とその上に
積層された表面印刷層からなるオフセット印刷用ブラン
ケットにおいて、少なくとも1層の基布層がせん断速度
10s-1で100℃における粘度が16〜30kPa・
sであり、かつ、せん断速度10s-1で130℃におけ
る粘度が8〜23kPa・sであるゴム配合物を含浸さ
せた基布で構成されていることを特徴とするオフセット
印刷用ブランケット、 2)複数枚の基布が前記ゴム配合物で接着されているこ
とを特徴とする上記1)項記載のオフセット印刷用ブラ
ンケット、 3)前記ゴム配合物が、ブランケット胴に装着するため
のシリンダーあるいはシリンダーに貼付するフィルムに
接して位置する基布に含浸されていることを特徴とする
上記1)項記載のオフセット印刷用ブランケット、 4)前記支持体層が圧縮性層を有することを特徴とする
上記1)項記載のオフセット印刷用ブランケット、およ
び、 5)少なくとも1層の基布層を含む支持体層とその上に
積層された表面印刷層からなるオフセット印刷用ブラン
ケット製造において、(i)せん断速度10s-1で100
℃における粘度が16〜30kPa・sであり、かつ、
せん断速度10s-1で130℃における粘度が8〜23
kPa・sであるゴム配合物を調製する工程、(ii)前記
ゴム配合物を基布に塗布して基布層を作製し支持体層を
形成する工程、(iii)前記支持体層に表面印刷層を積層
させ、加硫することにより一体化する工程、に付するこ
とを特徴とするオフセット印刷用ブランケットの製造方
法、である。
【0009】本発明は、基布層を作製するときに基布に
上記した測定条件下で上記範囲の粘度を有するゴム配合
物を塗布することを特徴とする。ここでいう粘度は、ゴ
ム材料と必要な添加剤を加えた配合物を対象に測定した
粘度をいう。一般に、未加硫ゴム配合物を加熱するとそ
の配合物が加硫温度(130℃を越えて160℃付近ま
で)に達する前に、次第に軟化し流動性(初期流動性)
を生ずるが、本発明でいうゴム配合物の粘度は、その初
期流動性を示す領域の粘度に対応する。本発明者らは、
この初期流動性の程度によって、基布へのゴム配合物の
浸透が左右されることを知見し、その粘度が上記の範囲
にあるとき、極めて均一で安定に基布中に含浸させるこ
とができ、かくして得られる基布層を用いることによ
り、印刷性能および耐久性に優れたオフセット印刷用ブ
ランケットを作製することに成功したものである。
【0010】本発明では、とりわけ上記3)項に記載の
構成をとることによって、基布がシリンダーあるいはフ
ィルムに馴染みよく装着されることから、印刷性能を一
層向上し得る。このフィルムは、通常、オフセット輪転
機の場合、印圧の調整上、ブランケットの下に配置し
て、ブランケットシリンダーに装着するものである。基
布のシリンダーヘの馴染みが悪いと局部的に厚い部分
(特に、シリンダーのエッジ付近)は、網点が太り、他
の印刷部と異なった色を呈し、印刷ムラとなる。また、
版消耗、表面ゴム層の磨耗や切れを起こす場合がある。
本発明によれば、基布とシリンダーあるいはフィルムと
の馴染みが極めて良好である。
【0011】オフセット印刷用ブランケットを比較的長
く使用したときに起こるヘタリ現象は、圧縮性層よりも
基布層において起こり易いが、本発明によると基布層の
ヘタリが抑えられて、耐久性が向上する。オフセット印
刷用ブランケットは、通常、幅2m程度、長さ100m
前後で製造されるが、製造されたロール内での厚みや、
圧縮性の均一性に高精度が要求される。そのために、加
硫工程における加硫温度、圧力の制御が重要になり、こ
れまでの製造方法ではロール全面にわたっての均一性確
保には極めて慎重な工程管理が要求されている。ところ
が本発明では、ゴム配合物を加硫温度に達しない温度に
加温したときの粘度が上記のとおり設定されていること
により、ブランケット加硫時にロール内に部分的な加硫
温度、圧力に多少の振れがあっても基布中へのゴム浸透
が適性な状態でなされるので、印刷性能および耐久性に
優れた印刷用ブランケットを製造管理するうえにおいて
も有利である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明におけるオフセット印刷用
ブランケットは、表面印刷層と支持体層からなり、この
支持体層には圧縮性層を設けてもよい。支持体層は、少
なくとも1層の基布層を含み、通常は複数のゴム層と基
布層を交互に積層して構成される。この積層体は、加硫
し一体化され、通常、表面を研磨等で加工してオフセッ
ト印刷用ブランケットに仕上げられる。この印刷用ブラ
ンケットは、転写胴のシリンダの周面上に直接またはフ
ィルムを介して印刷機に装着して使用される。
【0013】前記支持体層は、基布と接着ゴム層とから
なる基布層を、通常、2〜5層積層して構成される。本
発明においては、この基布層を作製するときに使用する
ゴム配合物が、せん断速度10s-1で100℃における
粘度が16〜30kPa・sであり、かつ、せん断速度
10s-1で130℃における粘度が8〜23kPa・s
である、ように調製する。上記の粘度は、日本モンサン
ト(株)製のモンサント加工性試験機[キャピラリー直
径;0.0787インチ(2.00mm)、キャピラリ
ー長さ;1.259インチ(31.97mm)]を使用
して測定できる。
【0014】ゴム配合物の粘度が上記の範囲よりも高い
ときは、基布へのゴム浸透が悪く、基布とゴム間にエア
ーが残ってしまい、オフセット印刷用ブランケットがヘ
タリを生じやすくなる。一方、ゴム配合物の粘度が上記
の範囲よりも低いときには、ゴムが基布の織り目から抜
け出てしまいやすく、特にブランケットの最下層に位置
する基布(裏面基布)から抜け出るゴム量が多くなる
と、ブランケットの厚み制御が困難になる。また、裏面
の摩擦抵抗が大きくなり、フィルムを介在したときの滑
りが悪くなって印刷機上で均一な張力がかからず、厚み
ムラの原因となる。その結果、印刷不良を起こす。
【0015】本発明において、基布層作製に用いられる
基布としては、綿、ポリエステル、レーヨンなどの織布
があげられる。また、ゴム配合物中のゴム材料として
は、耐油性の高いゴムが望ましく、例えばアクリロニト
リル−ブタジェンゴム(NBR)あるいはアクリルゴム
などがあげられる。本発明におけるゴム配合物は、ゴム
材料を有機溶剤(例、トルエン、メチルエチルケトンな
ど)に溶解して攪拌しゴム糊として接着性を付与するよ
うに調製される。このゴム配合物の調製にあたっては、
上記例示のゴムに加硫剤、加硫促進剤を加え、さらに必
要に応じて充填剤、老化防止剤、可塑剤、補強剤、増粘
剤等を配合する。本発明でいうゴム配合物の粘度は、前
記のように調製した配合物をせん断速度10s-1で10
0℃において16〜30kPa・sであり、かつ、せん
断速度10s-1で130℃において8〜23kPa・s
である、ように調整する。ここで、粘度の調整は、例え
ばつぎの〜の方法、あるいはこれらを適宜、組合わ
せることによって実施できる。 ゴム材料の種類の選択、例えばNBRゴムに一部液状
NBRを混合し、粘度を調整する。 可塑剤および軟化剤の種類、量を適宜選択し、粘度を
調整する。 充填剤の種類、量を適宜選択し、粘度を調整する。
【0016】この他、加硫剤、加硫促進剤の種類と量
も、加硫開始温度ないし加硫速度に関係して、本発明で
特定するせん断速度および温度下における粘度に影響す
ることがあり、他の要因との関係に配慮しつつ決定する
ことが望ましい。これらのことから、本発明は、オフセ
ット印刷用ブランケットの製造にあたって、基布に塗布
するゴム配合物が、せん断速度10s-1で100℃にお
いて16〜30kPa・sであり、かつ、せん断速度1
0s-1で130℃において8〜23kPa・sである、
ようにゴム材料と前記添加物の種類と量の組合わせるた
めの選択方法をも提供するものである。
【0017】上記の加硫剤としては、例えば硫黄、有機
含硫黄化合物、有機過酸化物等が挙げられ、このうち有
機含硫黄化合物としては、例えばN,N’−ジチオビス
モルホリン等が挙げられる。有機過酸化物としては、例
えばベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等
が挙げられる。加硫促進剤としては、例えばテトラメチ
ルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノス
ルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジブチルジチオカ
ルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ
メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオ
カルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸類;2−メ
ルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−
ベンゾチアゾールスフフェンアミド等のチアゾール類;
トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素等の
チオウレア類等の有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化
マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)等の無
機促進剤が挙げられる。
【0018】加硫促進剤としては、例えば亜鉛華等の金
属酸化物や、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等
の脂肪酸が挙げられる。加硫遅延剤としては、例えばサ
リチル酸、無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸;
N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノン、N−
ニトロソフェニル−β−ナフチルアミン等のニトロソ化
合物などが挙げられる。
【0019】老化防止剤としては、例えば2−メルカプ
トベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−
α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p
−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロ
ピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフ
ェノール類等が挙げられる。補強剤としては、カーボン
ブラック、シリカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカー
ボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、タルク、クレー等の無機補強剤や、クマロ
ンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂
(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合
体)等の有機補強剤も使用できる。
【0020】充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、
クレー、硫酸バリウム、珪藻土、マイカ、アスベスト、
グラファイト等の無機充填剤や、再生ゴム、粉末ゴム、
アスファルト物質、パラフィンワックス等の、植物油
系、鉱物油系および合成系の各種軟化剤が挙げられる。
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチ
ルフタレート、トリクレジルフォスフェート等の各種可
塑剤が挙げられる。
【0021】上記以外にも、本発明のオフセット印刷用
ブランケットの各層を構成するゴムコンパウンドまたは
ゴム糊には、例えば粘着性付与剤、分散剤、溶剤等を適
宜配合することができる。次に、前記ゴム配合物を基布
に塗布するには、前記のようにゴム材料を有機溶剤に溶
解し、ゴム糊としたものを基布にブレードコーティング
する、ゴム糊中へ基布をディッピングする、などの方法
により実施できる。基布層の厚みは、所望の印刷用ブラ
ンケットに応じて適宜に設定すればよいが、一般的には
0.15〜0.5mm、好ましくは0.20〜0.45
mmの範囲が適当である。同様に、別の基布にもゴム配
合物を塗布したものを作製し、合わせた基布をロール間
へ通して貼り合せることにより複数枚の基布を有する支
持体層を作製できる。
【0022】支持体層に圧縮性層を設置する場合、多孔
質の弾性部材をゴム配合物中に配合するがその作製は公
知の方法に従えばよく、例えばゴム糊中に塩を混入し、
加硫後に温水へ浸して塩を抽出し、気泡を形成する抽出
法や、ガラス、フェノール樹脂、炭素または熱可塑性樹
脂の中空微小球(マイクロバルーン)をゴム中に入れて
気泡を形成するマイクロバルーン法、発泡剤を用いた発
泡法等を採用できる。上記のように作製した単位基布層
を積層させてなる支持体層は、その全体の厚みが、通
常、1.45〜1.85mm、好ましくは1.55〜
1.75mmの範囲となるように設定するのが適当であ
る。単位基布層の積層数は、製品に要求される特性に応
じて適宜設定すればよいが、通常は前記したように1〜
5層の範囲で設定される。
【0023】次に、表面印刷層は、支持体層上にゴム層
(表面ゴム層)を配することによって構成されるが、そ
の作製自体は、公知の手段を適宜選択して実施できる。
例えば、未加硫ゴム、加硫剤、加硫促進剤等を含む配合
物を有機溶剤に溶解後、基布上に、ブレードコーティン
グ法等の適宜な塗布手段により均一にコーティングし、
所定の圧力と温度で加熱加圧し加硫させることにより実
施できる。表面印刷層用の未加硫のゴム材料に用いられ
るゴムとしては、例えばアクリロニトリル−ブタジェン
ゴム(NBR)、水素添加NBR,クロロプレンゴム
(CR)、ウレタンゴム,アクリルゴム等の耐溶剤性に
優れた合成ゴムがあげられ、これらの合成ゴムと多硫化
ゴムとの混合物も好適に用いられる。
【0024】表面印刷層用の未加硫のゴム材料は、上記
例示のゴムに、加硫剤、加硫促進剤および必要に応じて
充填剤、老化防止剤、可塑剤、補強剤、増粘剤等を従来
公知の方法により配合したものが用いられる。また、基
布としては、綿、ポリエステル、レーヨンなどの織布を
使用し、また有機溶剤としては、トルエン、メチルエチ
ルケトンなどを使用する。表面印刷層の厚みは、所望と
する印刷用ブランケットに応じて設定されるものである
が、通常は0.1〜0.6mm、好ましくは0.2〜
0.4mmの範囲が適当である。表面印刷層の厚みが上
記範囲を下回ると、基布の模様が印刷画像に現れる恐れ
がある。逆に、厚みが上記範囲を超えると、印刷時のひ
ずみが大きくなり過ぎて印刷品質が低下する恐れがあ
る。
【0025】かくして得られた積層体は、ドラムに直接
またはフィルムを介して巻き付けて加硫する加硫缶法な
どにより加硫し、その後、厚みや表面状態制御すべく、
研磨工程に付して印刷用ブランケットに仕上げられる。
該ブランケットは直接または下貼材を介して転写胴のシ
リンダの周面上に装着して使用される。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。 比較例1、実施例1〜4、および比較例2 (1)圧縮性層の形成 基布(材質;綿布)の片面に、表1に示す各成分および
食塩をトルエンに溶かした圧縮性層用のゴム糊を塗布
し、これを乾燥させて、圧縮性層となるゴム層を形成し
た。
【0027】
【表1】
【0028】次いで、圧力0.2MPa、温度150℃
の条件で加硫し、さらに60℃の温水に10時間浸漬し
て、食塩を抽出するリーチング処理を行った後、乾燥さ
せて、連続気孔構造を有する圧縮性層を形成した。こう
して得られた圧縮性層の空隙率は50%で、その厚みは
0.30mmであった。なお、前記圧縮性層用のゴム糊
に配合した食塩は、粒径が1〜100μmの不定形粒状
のものであった。 (2)支持体層の形成 [ゴム配合物の調製]表2に示す成分を含む各配合物
(比較例1、実施例1〜4、比較例2)を日本モンサン
ト(株)製のモンサント加工性試験機[キャピラリー直
径;0.0787インチ(2.00mm)]を使用し
て、せん断速度10s-1とし、100℃および130℃
における粘度を測定した。その結果を後述の表4に示
す。
【0029】
【表2】
【0030】[基布層の形成]上記圧縮性層のゴム面
に、前記表2に示す各成分をトルエンに溶かして調製し
たゴム糊を、ドクターブレードを用いて厚さ0.03m
mに糊引きした。一方、別の綿布に、厚さ0.05mm
に糊引きし、ロールプレスにて上記圧縮性層の糊引き面
と合わせた。同様に、別の綿布に糊引きし、ロールプレ
スでの貼り合わせを繰返すことにより、合わせて4枚の
基布からなる支持体層を作製した。 (3)表面印刷層の形成 上記支持体層上に、前記表2に示す各成分をトルエンに
溶かして調製したゴム糊を、ドクターブレードを用いて
厚さ0.02mmに糊引きし、次いで、表3に示す各成
分をトルエンに溶かした表面印刷層用のゴム糊を塗布
し、これを乾燥させた。
【0031】
【表3】
【0032】(4)加硫および表面の研磨 次いで、こうして得られた積層体を加硫缶に入れて、当
該積層体の全体を圧力0.2MPa、温度150℃の条
件で缶加硫した。さらに、表面印刷層の表面を研磨する
ことによって、図2に示す層構成を有する、エアータイ
プの印刷用ブランケットを得た。 〔印刷ブランケットの物性等の測定・評価〕上記実施例
および比較例で得られた印刷ブランケットについて、以
下の項目の測定・評価を行った。 (a)裏面ゴム抜け程度 ブランケット裏面を目視観察して、次の基準で基布織り
目からのゴム抜けの程度を評価した。
【0033】○:基布の織り目からゴムが出ていない
か、または極めてわずかに観察し得る程度である。 △:基布の織り目からゴムが出ており、ゴムが潰れ気味
である。 ×:基布の織り目からゴムが出ており、ゴムが潰れて周
りのゴムとつながっている。 (b)基布断面のエアー状態 ブランケット断面を顕微鏡で観察し、次の基準で評価し
た。
【0034】 ○:基布にゴムが浸透し、エアーが見られない。 △:エアーはみられないが、基布へのゴムの浸透が少な
い。 ×:基布とゴム間にエアーが見られる。 (c)オーバーベアラー量差 ブランケットをオフセット印刷機(小森コーポレーショ
ン製、システム18型)へ装着し、シリンダーエッジ付
近両端と印刷面内中央のブランケット凸量(オーバーベ
アラー量)を測定し、最大値と最小値の差を求めた。こ
の差が大きいほど、印刷機上でのブランケットの厚みム
ラが大きいことを示す。 (d) 印刷性能試験 印刷ブランケットをオフセット印刷機〔小森コーポレー
ション製、システム18型〕のブランケット胴に装着し
て、毎分500枚の印刷速度で連続的に印刷を行った。
【0035】(印刷ムラ)総網点の印刷ムラを目視観察
し、次の基準で評価した。 ○:ムラがなく良好である。 △:ややムラが見えるものの良好である。 ×:ムラが顕著に見える。 (ヘタリ量)ブランケットを装着直後と10万枚の印刷
を行った後のオーバーベアラー量の変化量で表した。
【0036】上記の測定・評価結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4に示す結果から、比較例1のように本
発明で特定する範囲に達しない粘度を有するゴム配合物
を用いて基布層を形成するとき、裏面基布からのゴム抜
け程度が大きく、またオーバーベアラー量差も大きいこ
とからブランケットの厚みが不均一であり、印刷ムラが
顕著である。また、比較例2のようにゴム配合物の粘度
が本発明で特定する範囲を越えると、基布層にエアーの
存在が見られ、ヘタリ量が大きくなる。
【0039】これらに比べて、実施例1〜4の場合、ゴ
ム配合物の粘度が本発明で特定する範囲にあり、いずれ
の測定値および評価もよい結果を得ており、とりわけ実
施例2および3で得られた印刷用ブランケットは印刷性
能および耐久性において優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】オフセット印刷用ブランケットの一構成例を示
す。
【図2】オフセット印刷用ブランケットの一構成例であ
って、支持体層に圧縮性層を含む例を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1層の基布層を含む支持体層と
    その上に積層された表面印刷層とからなるオフセット印
    刷用ブランケットにおいて、少なくとも1層の基布層が
    せん断速度10s-1で100℃における粘度が16〜3
    0kPa・sであり、かつ、せん断速度10s-1で13
    0℃における粘度が8〜23kPa・sであるゴム配合
    物を含浸させた基布で構成されていることを特徴とする
    オフセット印刷用ブランケット。
  2. 【請求項2】複数枚の基布が前記ゴム配合物で接着され
    ていることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷
    用ブランケット。
  3. 【請求項3】前記ゴム配合物が、ブランケット胴に装着
    するためのシリンダーあるいはシリンダーに貼付するフ
    ィルムに接して位置する基布に含浸されていることを特
    徴とする請求項1記載のオフセット印刷用ブランケッ
    ト。
  4. 【請求項4】前記支持体層が圧縮性層を有することを特
    徴とする請求項1記載のオフセット印刷用ブランケッ
    ト。
  5. 【請求項5】少なくとも1層の基布層を含む支持体層と
    その上に積層された表面印刷層からなるオフセット印刷
    用ブランケット製造において、(1)せん断速度10s
    -1で100℃における粘度が16〜30kPa・sであ
    り、かつ、せん断速度10s-1で130℃における粘度
    が8〜23kPa・sであるゴム配合物を調製する工
    程、(2)前記ゴム配合物を基布に塗布して基布層を作
    製し支持体層を形成する工程、(3)前記支持体層に表
    面印刷層を積層させ、加硫することにより一体化する工
    程、に付することを特徴とするオフセット印刷用ブラン
    ケットの製造方法。
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