JP2001047762A - 印刷ブランケットとその製造方法 - Google Patents

印刷ブランケットとその製造方法

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JP2001047762A
JP2001047762A JP11226645A JP22664599A JP2001047762A JP 2001047762 A JP2001047762 A JP 2001047762A JP 11226645 A JP11226645 A JP 11226645A JP 22664599 A JP22664599 A JP 22664599A JP 2001047762 A JP2001047762 A JP 2001047762A
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rubber
vulcanization
compressible layer
printing blanket
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JP11226645A
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English (en)
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Makoto Sugitani
信 杉谷
Toshio Kamata
敏生 鎌田
Seiji Tomono
誠二 伴野
Yuji Yamazaki
裕司 山崎
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空隙が均一で空隙率が高く、かつ簡易な方法
で製造することのできる圧縮性層を有する、圧縮特性の
優れた印刷ブランケットと、その製造方法とを提供す
る。 【解決手段】 本発明の印刷ブランケット10における
圧縮性層12は、熱可塑性樹脂の殻体内に揮発性溶剤を
含有させた未膨張の熱膨張性微小球を未加硫のマトリッ
クスゴム中に分散させて、前記微小球の含有割合を総量
に対して1.5〜7重量%の割合となるように調整した
ゴム組成物からなるシート状の層を、少なくとも1層の
基布とともに加硫したものであって、当該加硫が、加圧
せずに、式:Td≦Tv≦Td+50℃〔Tdは熱膨張
性微小球を大気圧下で加熱した際の熱破壊温度(℃)を
示す。〕で表される温度Tv(℃)で1〜180分間の
加熱することによって行われたものであることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質構造を有す
る加硫ゴム製の圧縮性層を有する印刷ブランケットと、
その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オフセット印刷等に用いられる印
刷ブランケットは、ゴム等のエラストマーからなる表面
印刷層の下に、同じくゴム等のエラストマーからなる、
多孔質構造を有する圧縮性層を設けた、いわゆるエアー
タイプのものが普及している。
【0003】エアータイプの印刷ブランケットは、圧縮
性層を有しない従来のソリッドタイプのものに比べて、
版胴等との圧接によって生じるニップ変形部での圧縮応
力が低く、歪み量の変化に伴う圧縮応力の変動も小さい
ことから、衝撃吸収性に優れており、例えば印刷機の歯
車の送り時に生じる衝撃等が印刷精度に悪影響を及ぼす
のを防止する効果に優れている。また、エアータイプの
場合、圧縮性層が表面印刷層のニップ変形部への応力集
中を緩和する働きをするため、ソリッドタイプのよう
に、前記ニップ変形部への応力集中によるバルジの発
生、およびそれに伴う周方向の伸びによる見当ずれ、紙
送り不良、ダブリ、網点パターンの変形等の、印刷不良
の発生といった問題を防止することができる。
【0004】上記エアータイプの印刷ブランケットにお
ける、多孔質構造を有する圧縮性層としては、(1) 食塩
等の水溶性粒子をマトリックスゴム中に分散したものを
層状に形成して加硫した後、前記粒子を温水等で抽出す
る、いわゆるリーチング法によって形成された連続気孔
構造を有するものと、(2) 例えば加熱により分解して気
体を発生する発泡剤をマトリックスゴム中に分散したも
のを層状に形成し、加硫時の加熱によって気泡を生成さ
せる、いわゆる発泡剤法等によって形成された独立気孔
構造を有するものとが知られている。このうち、後者の
独立気孔構造を有する圧縮性層は前者に比べて耐久性等
に優れるため、近年になって特に注目されている。
【0005】しかし、上記(2) の発泡剤法は気泡の制御
が困難で、形成される個々の独立気孔の大きさがばらつ
いたり、あるいは発泡過程で複数の気孔同士が連通して
巨大な空隙を形成して、圧縮性層の気孔構造が不均一に
なったりする。このため、圧縮特性にばらつきが生じ
て、印刷特性に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】そこで、発泡剤法に代えて、熱可塑性樹脂
からなる球形の殻体中に気体を封入した中空微小球を使
用して、独立気孔構造を有する圧縮性層を形成する方法
が検討されている。前記中空微小球は、その形状および
粒径がほぼ一定に揃えられた形で供給されるため、これ
をマトリックスゴム中に分散したものを層状に形成して
加硫すれば、気孔構造が均一で圧縮特性にばらつきのな
い圧縮性層が得られると考えられたのである。
【0007】しかしながら、上記中空微小球を用いた構
成において従来どおりの加硫を行ったのでは、すなわち
例えば加硫缶を用いて従来どおりの条件でマトリックス
ゴムを加熱、加圧して加硫したのでは、十分な圧縮特性
を有する圧縮性層が得られないことが明らかとなった。
これは、熱可塑性樹脂にて形成された中空微小球の殻体
が、マトリックスゴムを加硫する際の長時間の加熱によ
って軟化、溶融し、当該加硫時の加圧によって変形、圧
壊するためであると考えられる。その結果、圧縮性層中
に、十分な空隙率を持った均一な独立気孔構造が形成さ
れず、当該圧縮性層の圧縮特性が低下して不十分になる
という問題が生じるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題を解決する
ため、中空微小球を変形あるいは圧壊させずにマトリッ
クスゴムを加硫させることが検討され、種々の提案がな
されている。
【0009】例えば特公平6−59749号公報や特開
平3−244595号公報には、中空微小球を分散して
層状に形成したマトリックスゴムを、中空微小球の変形
温度よりも低い温度で加硫する方法が開示されている。
【0010】しかしながら、上記公報に開示の方法で
は、加硫温度を低く設定せざるを得ないため、マトリッ
クスゴムを加硫するのに長時間を要し、圧縮性層の生産
性、ひいては印刷ブランケットの生産性がこれまでより
もさらに顕著に低下するという問題がある。また、マト
リックスゴムを中空微小球の変形温度よりも低い温度で
加硫させるには、一般に超促進剤と呼ばれる特殊な加硫
促進剤を使用する必要があるため、印刷ブランケットの
製造コストが高くつくという問題もある。
【0011】これに対し、特許第2670188号公
報、特開平6−1091号公報、特開平10−6015
1号公報には、アクリロニトリル、メチルメタクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等を共重合して得られる、
変形温度が高く耐熱性を有する中空微小球を使用すると
ともに、マトリックスゴムの加硫温度を従来の温度より
も高めに設定することが提案されている。
【0012】しかしながら、上記加硫温度は依然として
中空微小球の変形温度よりも低い温度であって、加硫に
長時間を要するという問題は解消されていない。
【0013】また、上記公報に開示の方法では、加硫時
間が長いために加硫中に中空微小球に加わる熱量が大き
くなる上、加硫温度と中空微小球の変形温度とが近接し
ているために、実際の加硫時には、マトリックスゴムの
加硫反応と、殻体の軟化、溶融による中空微小球の変
形、圧壊とがほぼ同時に、いわば競争的に進行すること
が、発明者らの検討によって明らかとなった。
【0014】従って、例えば中空微小球を分散したマト
リックスゴムの層を、当該層を支持する基布とともにロ
ール状に巻回して、加硫缶中で加硫する場合等におい
て、マトリックスゴムの層が受ける熱量に大きなばらつ
きが生じた場合には、同一の圧縮性層中に、周囲のマト
リックスゴムは十分に加硫されているのにもかかわらず
既に中空微小球が変形、圧壊してしまった箇所や、ある
いは中空微小球は変形、圧壊しなかったもののその周囲
のマトリックスゴムの加硫が不十分で、次工程の二次加
硫の際に中空微小球が変形、圧壊する箇所等が生じてし
まう。その結果、印刷ブランケットにおける圧縮性層の
空隙率が大きく低下したり、場所によってばらついたり
して、圧縮特性が悪化するおそれのあることが判明し
た。
【0015】さらに、加圧下での加硫の場合、僅かな圧
力のばらつき(例えば、幅または長さ方向でのばらつき
等、同一ブランケット内のばらつき)があると発泡状態
に多大な影響が及び、発泡が不均一になって、圧縮力や
反力に悪影響が生じるといった問題があることも判明し
た。
【0016】一方、加圧しない条件下で加硫を行うこと
により、圧力による発泡状態のばらつきをなくすことが
考慮されたが、この場合には、加硫後の中空微小球の膨
らみ量が大きくなり、その結果、表面状態が悪くなった
り、大きな気泡の発生によって圧縮性層が柔らかくなり
すぎるといった新たな問題が生じる。
【0017】そこで、本発明の目的は、上記の技術的課
題を解決し、空隙が均一で空隙率が高く、かつ簡易な方
法で製造することのできる圧縮性層を有する、圧縮特性
の優れた印刷ブランケットと、その製造方法とを提供す
ることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために研究を重ねていく中で、無加圧下で
は、気泡を形成する微小球の配合量が発泡状態に大きく
影響を及ぼすという知見を得た。そこで、かかる知見を
もとに、さらに検討を重ねた結果、内部に揮発性溶剤を
含有した未膨張の熱膨張性微小球をマトリックスゴム中
に所定量分散させて基布上にて層を形成し、これを加圧
せずに、前記微小球の熱破壊温度以上の温度で加熱し、
加硫したときは、空隙が均一で空隙率が高く、かつ圧縮
特性に優れた圧縮性層を有する印刷ブランケットを簡易
な方法で製造することができるという全く新たな事実を
見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】すなわち、本発明の印刷ブランケットは、
表面印刷層と、多孔質構造を有する圧縮性層と、少なく
とも1層の基布を含む支持体層とを有し、前記圧縮性層
が、熱可塑性樹脂の殻体内に揮発性溶剤を含有させた未
膨張の熱膨張性微小球を未加硫のマトリックスゴム中に
分散させて、前記熱膨張性微小球の含有割合を総量に対
して1.5〜7重量%となるように調整したゴム組成物
からなるシート状の層を、少なくとも1層の基布ととも
に加硫して形成されたものであり、かつ当該加硫が、加
圧せずに、式: Td≦Tv≦Td+50℃ 〔式中、Tdは、前記未膨張の熱膨張性微小球を加圧せ
ずに大気圧下で加熱した際の熱破壊温度(℃)を示
す。〕 で表される温度Tv(℃)で1〜180分間加熱するこ
とによって行われたものであることを特徴とする。
【0020】上記本発明の印刷ブランケットによれば、
その圧縮性層を構成するゴム組成物が未膨張の熱膨張性
微小球を所定の割合で分散させたものであって、圧縮性
層が前記ゴム組成物の層を無加圧の状態で、かつ前記未
膨張の熱膨張性微小球の熱破壊温度を超える高い温度で
加硫して得られるものであることから、圧力のばらつき
に起因して不均一な発泡状態を生じることがなく、さら
には良好な加硫効率でもって加硫を行うことができる。
【0021】さらに、前記未膨張の熱膨張性微小球が、
熱可塑性樹脂の殻体内に揮発性溶剤を含有するもの、す
なわち当該微小球の物理変化である膨張、破壊によって
ガスを生じるものであり、かつ加硫が前記微小球の熱破
壊温度を超える高い温度で行われることから、前記微小
球が常に熱に対して安定した変化を示し、発生するガス
量も一定で、均一な独立気泡を形成することができる。
【0022】また、上記本発明の印刷ブランケットで
は、圧縮性層用ゴム組成物中の微小球を積極的に熱破壊
させることを要件としていることから、従来の中空微小
球を用いて圧縮性層を形成する場合とは異なり、微小球
の殻壁の材質やその溶融温度についての制限が大幅に緩
和される。また、加硫温度を低く設定すべく、特殊な加
硫促進剤を使用する必要がないことから、通常のゴムの
加硫と同様に、簡易な方法でもって圧縮性層を製造する
ことができる。
【0023】一方、本発明の印刷ブランケットの製造方
法は、未加硫のマトリックスゴム中に、熱可塑性樹脂の
殻体内に揮発性溶剤を含有させた未膨張の熱膨張性微小
球を、ゴム組成物の総量に対して1.5〜7重量%の割
合となるように分散させた後、こうして得られたゴム組
成物を、少なくとも1層の基布上にシート状に成形し
て、これを加圧せずに、式: Td≦Tv≦Td+50℃ 〔式中、Tdは、前記未膨張の熱膨張性微小球を無加圧
下で加熱した際の熱破壊温度(℃)を示す。〕 で表される温度Tv(℃)で1〜180分間加熱、加硫
することによって圧縮性層を形成し、次いで、こうして
得られた圧縮性層を、印刷ブランケットを構成する他の
層と積層して、印刷ブランケット全体をさらに加硫する
ことを特徴とする。
【0024】上記の製造方法によれば、空隙が均一で、
かつ空隙率が高い圧縮性層を有する、圧縮特性に優れた
印刷ブランケットを得ることができる。
【0025】上記本発明において、「加圧せずに」加硫
するとは、圧縮性層を構成する上記ゴム組成物からなる
層の一方の表面が、加硫に使用するオーブンや連続加硫
機における加熱された床面等に支持されているものの、
一方の表面は他の部材等とも接していない状態で加硫を
行うことをいう。かかる加硫の際に、加硫用オーブンや
連続加硫機内の圧力はほぼ大気圧の状態で維持される。
【0026】また、熱膨張性微小球の「熱破壊温度Td
(℃)」とは、未膨張の熱膨張性微小球を無加圧下で加
熱した際に、その形状が10分間以上保持できない温度
をいう。前記無加圧下とは、上記大気圧の状態と同程度
の気圧を意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の印刷ブランケット
について詳細に説明する。
【0028】本発明の印刷ブランケットは、熱膨張性微
小球を含有するゴム組成物を用いて加硫成形した圧縮性
層を有するほかは特に限定されるものではなく、従来公
知の印刷用ブランケットと同様な構成を有していればよ
い。具体的には、圧縮性層のほかに、少なくとも表面層
と支持体層とを有するほかは、印刷ブランケットの使用
条件等に応じて、層構成を適宜設定することができる。
【0029】本発明の印刷ブランケットの一実施形態と
しては、例えば図1に示すように、支持体層11と、圧
縮性層12と、補強層(基布)13と、表面印刷層14
とをこの順に積層した、平板状の印刷用ブランケット1
0が挙げられる。
【0030】本発明の印刷ブランケットにおいて、圧縮
性層を構成する未加硫マトリックスゴムに用いられるゴ
ムとしては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴ
ム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、水素添加NBR、多硫化ゴム等が挙げられ、これ
らは単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0031】本発明に用いられる未膨張の熱膨張性微小
球は、熱可塑性樹脂からなる殻壁の内部に、揮発性溶剤
を充填、封入したものである。
【0032】かかる微小球の内部に含有される揮発性溶
剤には、例えば沸点が100℃以下である溶剤が用いら
れる。具体的には、イソブタン、n−ペンタン、イソペ
ンタン等の炭化水素や石油エーテル等が好適である。
【0033】前記未膨張の熱膨張性微小球における殻壁
に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えばアクリロニ
トリル、メチルメタクリロニトリル、塩化ビニリデン等
の熱可塑性樹脂からなる重合体、およびそれらの共重合
体等が挙げられる。中でも、塩化ビニリデンとアクリロ
ニトリルとの共重合体、アクリロニトリルとメチルメタ
クリロニトリルとの共重合体は、隔壁変形温度が低く、
加硫時の適用が容易であることから好適に用いられる。
【0034】前記未膨張の熱膨張性微小球の比重は、特
に限定されないが、1前後、具体的には0.9〜1.2
の範囲であるのが、取扱性が容易であったり、ゴム組成
物中での分散性が良好であることから好ましい。
【0035】前記熱膨張性微小球の未膨張の状態での粒
径は、特に限定されるものではないが、3〜40μmで
あるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好まし
い。また、膨張後の粒径も特に限定されるものではない
が、10〜200μmであるのが好ましく、15〜15
0μmであるのがより好ましい。
【0036】前記未膨張の熱膨張性微小球の具体例とし
ては、松本油脂製薬(株)製の松本マイクロスフェアー
F50D、F40D、F30D、F20D等や、ノ−ベ
ル社製の551DU、461DU、051DU等が挙げ
られる。
【0037】前記未膨張の熱膨張性微小球は、圧縮性層
を構成するゴム組成物の総量に対して1.5〜7重量%
の割合で配合される。
【0038】熱膨張性微小球の配合量が前記範囲を下回
ると、発泡の量が少なくなるため、圧縮性層の空隙率が
低くなって圧縮特性が低下する。
【0039】逆に、配合量が前記範囲を超えると、発泡
が不均一になったり、複数の気泡が連通して巨大な気泡
を生成する、いわゆる異常発泡が生じる。その結果、例
えば圧縮性層の表面の凹凸が極端に大きくなり、印刷ブ
ランケットの印刷精度に悪影響を及ぼす原因となる。
【0040】熱膨張性微小球の配合量は、前記範囲の中
でも特に2〜5重量%であるのが好ましく、2.5〜4
重量%であるのがより好ましい。
【0041】圧縮性層用のゴム組成物は、上記例示のゴ
ムに加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等
のゴムを加硫させるための薬剤の他、必要に応じて充填
剤、可塑剤、軟化剤、補強剤、増粘剤等を配合し、さら
に前記熱膨張性微小球を、組成物全体に対して所定の割
合で配合して用いられる。
【0042】上記のうち加硫剤としては、例えば硫黄、
有機含硫黄化合物、有機過酸化物等が挙げられ、このう
ち有機含硫黄化合物としては、例えばN,N’−ジチオ
ビスモルホリン等が挙げられ、有機過酸化物としては、
例えばベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド
等が挙げられる。
【0043】また加硫促進剤としては、例えばテトラメ
チルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノ
スルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジブチルジチオ
カーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、
ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチ
オカーバミン酸テルル等のジチオカーバミン酸類;2−
メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2
−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾール
類;トリメチルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素
などのチオウレア類等の有機促進剤や、あるいは消石
灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(Pb
O)等の無機促進剤が挙げられる。
【0044】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等の
金属酸化物や、あるいはステアリン酸、オレイン酸、綿
実脂肪酸等の脂肪酸等が挙げられる。
【0045】加硫遅延剤としては、例えばサリチル酸、
無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸;N−ニトロ
ソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリ
メチル−1,2−ジハイドロキノン、N−ニトロソフェ
ニル−β−ナフチルアミンなどのニトロソ化合物等が挙
げられる。
【0046】老化防止剤としては、例えば2−メルカプ
トベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−
α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p
−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロ
ピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類;ジ−t
−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなど
のフェノール類等が挙げられる。
【0047】補強剤としては主にカーボンブラックが使
用される他、シリカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカ
ーボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、タルク、クレー等の無機補強剤や、ある
いはクマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチ
レン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン
共重合体)等の有機補強剤も使用できる。
【0048】充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、
クレー、硫酸バリウム、珪藻土、マイカ、アスベスト、
グラファイト等の無機充填剤や、あるいは再生ゴム、粉
末ゴム、アスファルト類、スチレン樹脂、にかわ等の有
機充填剤等が挙げられる。
【0049】軟化剤としては、例えば脂肪酸(ステアリ
ン酸、ラウリン酸など)、綿実油、トール油、アスファ
ルト物質、パラフィンワックス等の、植物油系、鉱物油
系、および合成系の各種軟化剤が挙げられる。
【0050】可塑剤としては、例えばジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト等の各種可塑剤が挙げられる。
【0051】上記以外にもゴムには、例えば粘着性付与
剤、分散剤、溶剤等を適宜、配合してもよい。
【0052】なお、この発明の印刷用ブランケットの構
成は、以上で説明した図の例のものには限定されず、こ
の発明の要旨を変更しない範囲で、種々の設計変更を施
すことができる。
【0053】本発明の印刷ブランケットにおける圧縮性
層は、次のようにして形成される。
【0054】すなわち、まず、上記マトリックスゴム
に、所定量の熱膨張性微小球と上記種々の添加剤を配合
した圧縮性層用のゴム組成物を得た後、(a) このゴム組
成物をトルエン等の溶媒に溶解させてゴム糊とし、基布
等の支持体層または補強層上に、ブレードコーティング
法等によって所定に厚みまで糊引きしてシート状部材を
形成するか、あるいは(b) 前記ゴム組成物をカレンダー
ロールから基布上に直接コーティングすることによって
シート状部材を形成することによって圧縮性層が形成さ
れる。
【0055】次いで、上記シート状部材を、加硫用オー
ブンや連続加硫機により、前記未膨張の熱膨張性微小球
についての変形温度以上の所定温度で1〜180分間、
好ましくは2〜40分間、より好ましくは3〜30分間
加硫する。
【0056】こうして、本発明の印刷ブランケットにお
ける圧縮性層が形成される。
【0057】上記圧縮性層は、十分な圧縮特性を発揮す
るという観点から、発泡層(熱膨張性微小球を含有する
ゴム組成物からなるシート状の層)部分の厚みが0.1
〜0.8mm、好ましくは0.2〜0.6mm、より好
ましくは0.3〜0.5mmとなるように設定される。
【0058】圧縮性層の厚みが上記範囲を下回ると印刷
ブランケットの圧縮性が低下して、エアータイプのブラ
ンケットに特有の優れた衝撃吸収性や印刷精度を向上さ
せる効果が得られなくなるおそれがある。逆に、圧縮性
層の厚みが上記範囲を超えると、ブランケットが柔らか
くなりすぎて、かえって印刷精度の低下や印刷不良を発
生するといった問題が生じるおそれがある。
【0059】なお、本発明においては、加硫系配合剤の
種類と加硫温度との組み合わせにより、加硫時間が1分
程度の超速加硫であっても、十分に本発明の効果を達成
し得る圧縮性層を形成することができる。本発明におい
ては、圧縮性層用ゴム組成物中の微小球すべてが熱破壊
することが重要なのではなく、熱破壊した微小球が一部
であっても、最終的に得られる圧縮性層の圧縮特性が良
好であればよいからである。
【0060】本発明において、圧縮性層用ゴム組成物の
加硫は、熱風またはスチーム雰囲気中に被加硫物を静置
させるオーブンでの加硫、もしくは熱風またはスチーム
雰囲気中に被加硫物を移動させつつ加硫する連続加硫の
いずれであってもよい。
【0061】上記の加硫条件によって得られた圧縮性層
は、所定の厚みになるまで研摩してもよい。
【0062】以下、上記圧縮性層を用いて本発明の印刷
ブランケットを製造する方法を、図1を参照しつつ説明
する。
【0063】印刷用ブランケットの支持体層11を構成
する基布の表面に接着用ゴムを塗布し、これを、上記圧
縮性層12の一方の表面(あるいは、圧縮性層用ゴム組
成物のゴム糊を補強層(基布)13上に塗布して圧縮性
層12を加硫成形した場合には、当該補強層13とは逆
側の表面)に複数枚、通常2〜4枚貼り合わせて、支持
体層11を形成する。
【0064】また、圧縮性層用ゴム組成物のゴム糊を支
持体層11上に塗布して圧縮性層12を形成した場合に
は、当該圧縮性層12の支持体層11側とは逆側の表面
に基布を貼り合わせて、補強層13を形成する。
【0065】そして、圧縮性層12上に形成された補強
層13の表面に表面印刷用ゴムを塗布し、こうして得ら
れた積層体全体を、前述と同様な方法にて加硫して表面
印刷層14を形成する。この際の圧力は前述の範囲と同
程度であればよく、加硫温度は表面印刷用ゴムが加硫す
るのに十分な温度であればよい。
【0066】なお、補強層13を形成しない場合には、
圧縮性層12の支持体層11側とは逆側の表面に直接表
面印刷層14を形成すればよい。
【0067】上記積層体を加硫した後、表面印刷層14
の表面を研摩し、所定の厚み、表面粗さに仕上げること
により、本発明の印刷ブランケット10が得られる。
【0068】基布13および支持体層11を構成する基
布の材質としては、綿、ポリエステル、レーヨン等があ
る。
【0069】表面印刷層14および接着用ゴムに用いら
れるゴムとしては、例えばアクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリ
ルゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム(E
PM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、水素添加NBR、多硫化ゴム等が挙げられる。こ
れらのゴムは単独でまたは2種以上を混合して用いられ
る。
【0070】さらに、上記表面印刷層および接着用ゴム
に用いられるゴムには、加硫剤、加硫促進剤等の加硫系
添加剤、および必要に応じて充填剤、可塑剤、補強剤、
増粘剤等が配合される。
【0071】
【実施例】次に、本発明の印刷ブランケットについて、
実施例および比較例を挙げて説明する。
【0072】実施例1 圧縮性層用のゴム組成物は、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)100重量部に対して、カーボンブ
ラック(充填剤)30重量部、亜鉛華(加硫促進剤)3
重量部、ステアリン酸(加硫促進助剤)1重量部、ジオ
クチルアジペート(可塑剤)10重量部、硫黄(加硫
剤)2重量部、チアゾール系加硫促進剤1重量部および
チウラム系加硫促進剤1重量部を配合し、さらに未発泡
の熱膨張性微小球を配合し、当該熱膨張微小球の配合量
をゴム組成物の総量に対して1.5重量%となるように
調整したものを用いた。
【0073】上記熱膨張性微小球には、松本油脂製薬
(株)製の松本マイクロスフェアーF50D(隔壁:ア
クリロニトリルとメチルメタクリロニトリルの共重合
体、揮発性溶媒:イソブタン(沸点−11.7℃)、比
重:1.0、平均粒径:15μm)を用いた。この微小
球の配合量は表2に示すとおりである。
【0074】上記圧縮性層用ゴム組成物をトルエンに溶
解してゴム糊を作製し、これを基布(綿布、厚さ0.3
mm)上に厚さが0.2mmとなるように塗布した。
【0075】次いで、これを加硫チェンバー内にて、加
圧せずに、140℃で10分間、熱空気による加熱を行
って加硫し、圧縮性層12と基布13とからなる中間部
材15を得た。
【0076】さらに、上記中間部材15の基布13とは
逆側の表面に、厚さ0.3mmの綿布にアクリロニトリ
ル−ブタジエンゴム系の加硫接着剤を糊引きし、こうし
て得られた基布を3枚積層して、支持体層11を形成し
た。
【0077】次に、上記中間部材15の基布13側に、
アクリロニトリル−ブタジエンゴム系の表面印刷層用ゴ
ム糊を糊引きして乾燥させた。
【0078】次いで、この積層体の全体を、オーブン中
にて加熱し、加硫した後、表面印刷層の表面を研磨し
て、図1(a)に示す積層構造を有し、かつ表面印刷層の
厚みが0.4mm、総厚みが1.9mmである、シート
状の印刷ブランケットを製造した。
【0079】実施例2、3および比較例1、2 圧縮性層用ゴム組成物に配合する熱膨張性微小球の配合
量を、表1に示す値に設定したほかは、実施例1と同様
にして印刷ブランケットを製造した。
【0080】比較例3 圧縮性層用ゴム組成物に配合する熱膨張性微小球の配合
量を実施例2と同様に設定し、加硫時に圧縮性層側から
0.02kgf/cm2 の圧力をかけた(すなわち、大
気圧下でさらに0.02kgf/cm2 の加圧を行っ
た)ほかは、実施例1と同様にして印刷ブランケットを
製造した。
【0081】〔発泡状態の評価〕実施例1〜3および比
較例1〜3で得られた中間部材における圧縮性層につい
て、その発泡状態を目視で評価した。その結果を表1に
示す。
【0082】
【表1】
【0083】表1より明らかなように、無加圧下、熱膨
張性微小球の熱破壊温度よりも高い温度で加硫し、かつ
当該微小球の配合量を所定の範囲に設定した実施例1〜
3においては、圧縮性層の発泡状態が良好であった。
【0084】これに対し、前記微小球の配合量が少なす
ぎる比較例1では十分な発泡が得られず、配合量が多す
ぎる比較例2では発泡状態を制御することができず、連
通して巨大になった気泡が生じるなど、均一な発泡が得
られなかった。
【0085】一方、加硫時に圧縮性層側から加圧を行っ
た比較例3では、十分な発泡が得られなかった。
【0086】〔印刷試験〕実施例1〜3および比較例1
〜3で得られた印刷ブランケットをオフセット輪転機に
取り付け、約200万枚の印刷テストを行った後、ブラ
ンケットの厚み変化をキャディゲージで測定し、さらに
印刷画像の画質変化を目視で確認した。
【0087】その結果、実施例1〜3の印刷ブランケッ
トでは厚みの変化は観察されず、200万枚の印刷テス
ト後も良好な印刷画質が得られた。
【0088】これに対し、比較例1〜3の印刷ブランケ
ットは、いずれもブランケットの厚みの減少が顕著に見
られ、印刷画質の劣化も顕著であった。
【0089】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
空隙が均一で空隙率が高く、かつ簡易な方法で製造する
ことのできる圧縮性層を有する、圧縮特性の優れた印刷
ブランケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷ブランケットの一実施形態を
示す断面図である。
【符号の説明】
10 印刷ブランケット 12 圧縮性層 13 基布 14 表面印刷層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 裕司 兵庫県加古川市尾上町口里514−3−810 Fターム(参考) 2H114 CA02 CA03 CA05 CA10 DA03 DA46 DA48 DA73 DA78 EA01 EA02 GA12 GA34

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面印刷層と、多孔質構造を有する圧縮性
    層と、少なくとも1層の基布を含む支持体層とを有し、 前記圧縮性層が、熱可塑性樹脂の殻体内に揮発性溶剤を
    含有させた未膨張の熱膨張性微小球を未加硫のマトリッ
    クスゴム中に分散させて、前記熱膨張性微小球の含有割
    合を総量に対して1.5〜7重量%となるように調整し
    たゴム組成物からなるシート状の層を、少なくとも1層
    の基布とともに加硫して形成されたものであり、かつ当
    該加硫が、加圧せずに、式: Td≦Tv≦Td+50℃ 〔式中、Tdは、前記未膨張の熱膨張性微小球を加圧せ
    ずに大気圧下で加熱した際の熱破壊温度(℃)を示
    す。〕 で表される温度Tv(℃)で1〜180分間加熱するこ
    とによって行われたものであることを特徴とする印刷ブ
    ランケット。
  2. 【請求項2】未加硫のマトリックスゴム中に、熱可塑性
    樹脂の殻体内に揮発性溶剤を含有させた未膨張の熱膨張
    性微小球を、ゴム組成物の総量に対して1.5〜7重量
    %の割合となるように分散させた後、 こうして得られたゴム組成物を、少なくとも1層の基布
    上にシート状に成形して、これを加圧せずに、式: Td≦Tv≦Td+50℃ 〔式中、Tdは、前記未膨張の熱膨張性微小球を無加圧
    下で加熱した際の熱破壊温度(℃)を示す。〕 で表される温度Tv(℃)で1〜180分間加熱、加硫
    することによって圧縮性層を形成し、 次いで、こうして得られた圧縮性層を、印刷ブランケッ
    トを構成する他の層と積層して、印刷ブランケット全体
    をさらに加硫することを特徴とする印刷ブランケットの
    製造方法。
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