JP4058126B2 - インクジェット記録紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、主鎖にアミジン構造単位及び四級アンモニウム塩基を有する新規なカチオン性高分子を塗工原紙表面に塗工する事を特徴とするインクジェット記録紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアミンは従来ポリアクリルアミドのホフマン分解により製造する方法が知られている。 またN−ビニルカルボン酸アミドを重合して得られるポリN−ビニルカルボン酸アミドを加水分解して製造する事ができる(特開昭58−23809号公報)。
またN−ビニルカルボン酸アミドと酢酸ビニルの共重合体の加水分解によりビニルアミノ基を含有する水溶性高分子を製造する事ができる(特開昭62−74902号公報)。
N−ビニルカルボン酸アミドとアクリロニトリルを共重合し、この共重合体を加水分解したもの、さらに高温変性してアミジン化した水溶性高分子も提案されている(特開昭63−165412号公報、特開平6−123096号公報)。
ホフマン分解物に付加反応等で第四級アンモニウム塩を導入する方法も公知であるが、これら公知の薬剤は未だ効果が不十分であった。
【0003】
【発明の課題】
本発明はこれまで知られていなかった新規なカチオン性水溶性高分子から成るカチオン性高分子を塗工原紙表面に塗工する事を特徴とするインクジェット記録紙の製造方法を提供する事を発明の課題とする。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
本発明はジアリル系カチオン単量体とNビニルカルボン酸アミドを含有する単量体の共重合物を加水分解する事により得られるカチオン性水溶性高分子が高分子凝集剤および製紙用薬剤として有用である事を発見し本発明を完成した。
これまでNビニルカルボン酸アミドとの共重合成分としてジアリル系カチオン性単量体が選ばれる事は無かった。
【0005】
本発明の請求項1の発明は、下記式(1)で表されるカチオン性ビニル単量体10〜30モル%、Nビニルカルボン酸アミド35〜55モル%
およびアクリロニトリル35〜55モル%を含有するモノマーを共重合し、ついで塩酸により加水分解して成るアミジン構造単位と四級アンモニウム塩基を有する水溶性高分子を、塗工原紙表面に塗工する事を特徴とするインクジェット記録紙の製造方法である。
【化1】
式(1)
(但し、式中、R 1 、R 2 はHまたはCH3 ;R3 、R4 は炭素数1〜2のアルキル基;X- はアニオン性対イオンを表す。)
【0006】
本発明の請求項2の発明は、前記水溶性高分子の、1規定食塩水中における固有粘度が0.1〜10dl/gである事を特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録紙の製造方法である。
【0007】
本発明の請求項3の発明は、前記水溶性高分子の、PH3.0におけるコロイド当量値が3.0meq/g以上である事を特徴とする請求項1ないし請求項2に記載のインクジェット記録紙の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
ビニルカルボン酸アミドと共重合物させる、前記式(1)で表されるジアリル系カチオン性単量体としてはジアルキルジ(メタ)アリルアンモニウム塩、具体的にはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジメタアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジメタアリルアンモニウムクロリド、エチルメチルジアリルアンモニウムクロリドを好ましく用いることができる。
これらは加水分解に対する安定性もよく、ビニルカルボン酸アミドの加水分解によるカチオン顕在化においても劣化することなく好ましく用いる事ができる。 アクリロニトリル使用時は加水分解によりカルボキシル基を副成する場合もあるが少量であれば効果に影響を与えない。
前記ジアリル系カチオン性単量体の共重合割合は10〜50モル%が適当であり、10モル%以下であると該ジアリル系カチオン性単量体の効果が顕れず、50モル%以上であるとビニルカルボン酸アミド加水分解物の効果が顕れない。
本発明の範囲においてはビニルカルボン酸アミド加水分解物はアミノ基またはアミジン基を生じ、ジアリル系カチオン性単量体単位と共に、吸着性とイオン強度がもっとも適当な範囲の水溶性高分子を与える。
【0009】
本発明の水溶性高分子は共重合体中のビニルカルボン酸アミド単位を加水分解してアミノ基を生じ、ニトリル基が隣接する場合には閉環してアミジン基を生じる。
本加水分解は塩酸酸性下で行われる事が最も望ましく、他の加水分解条件では副反応の生じる恐れがある。 本発明に用いるビニルカルボン酸アミド単量体としてはビニルホルムアミドおよびビニルアセトアミドを挙げる事ができ、収率および加水分解の難易の点からビニルホルムアミドの方がより好ましく選ばれる。
【0010】
本発明の水溶性高分子は1規定食塩水中における固有粘度が0.1〜10dl/gの範囲にある事が望ましい。 特に好ましくは0.2〜7dl/gが表面塗工剤あるいは高分子凝集剤として目的に応じ用いられる。
汚泥脱水剤あるいは製紙用薬剤としての使用方法は従来公知の方法がそのまま適用され、塗工用薬剤には低分子量のものが、高分子凝集剤には高分子量のものが適用される。
【0011】
本発明の水溶性高分子のコロイド当量値はPH3.0において3.0meq/g以上であり、これ以下では本発明の各種用途において満足な効果を発揮しえない。
【0012】
本発明の水溶性高分子の具体的用途としての成紙の表面塗工剤に関するものであり、本発明品を塗工原紙表面に塗工する事を特徴とするインクジェット記録紙の製造方法である。
本発明は上述の如く塗工原紙に対して印刷適性を向上させるのみならず、インクジェットの記録紙としてアニオン性の水溶性インクと結合して水不溶性とし、紙への浸透を抑制し、インクジェット印刷におけるカラーの発現に鮮やかな色調を保持する。
【0013】
【実施例】
次に実施例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0014】
(合成例ー1〜2)攪拌機、窒素導入管、冷却器および温度計を備えた300mlの四つ口フラスコに表1記載の組成のモノマー40.0g、脱塩水143.0g、ヒドロキシルアミン塩酸塩1%水溶液7.0gを加えた。
氷冷下で窒素ガスを通じた後、50度Cに昇温し2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩2%水溶液10.0gを加え300rpmの攪拌下50度Cにて6時間保持した。
重合物の一部をとりアセトン中に添加してポリマーを析出させ、これを真空乾燥して固体状のポリマーを得た。 NMRによりポリマー組成を分析し仕込み量のモノマーが共重合している事を確認した。
次いで上記重合物(液)100gを攪拌機、冷却器および温度計を備えた200mlの三つ口フラスコにとり、ヒドロキシルアミン塩酸塩10%水溶液5.6gおよび35%塩酸18.5g(共重合体中のホルミル基に対して110モル%)を添加して攪拌しながら70度Cで3時間反応させ、次いで90度Cに昇温し3時間加水分解した。
得られた反応物(加水分解物)溶液をアセトン中に滴下して析出せしめ、これを真空乾燥して固体状加水分解物を得た。 常法によりコロイド当量値と固有粘度を測定した。 結果を表ー1に示す。
【0015】
(比較合成例ー1〜2)合成例と同様な操作をジアリル系カチオン性単量体を使用する事無くおこなった試料を調整した。 結果を表ー1に示す。
【0016】
【表1】
表―1 ポリマー特性表
DDMC:ジメチルジアリルアンモニウムクロリド
NVF:N−ビニルホルムアミド
AN:アクリロニトリル
【0017】
〔効果試験ー1〕坪量70g/m2 、ステキヒトサイズ度25秒の上質紙を支持体とし、塗工液〔微粉末シリカ6.8g,PVA117(クラレ製)2.7g,本実施例のポリマー0.5gおよび水40gを混合した液〕をコーティングロッドにより固形分で5.0g/m2 を片面に塗工して塗工紙を得た。 この塗工紙をカラー印刷後、印字の耐水性および対光性を下記の如く測定した。
なおカラー印刷はキャノン(株)製BJC600型カラーバブルジェットプリンターによって、マゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(BL)の各色についてベタ印字した。
結果を表ー2に示す。
(耐水性)ベタ印字した画像を3リットル/分の流水中に10分間浸漬し、試験前後の画像濃度を5段階に評価した。
<判定>A:変わらずB:微かに色が滲み出る。
C:色落ちを認める。
D:色落ち大。
E:ほとんど脱色。
(耐光性)ベタ印字した画像をフェードメーターで24時間照射し、照射前後の画像濃度を4段階に評価した。
<判定>A:変わらずB:微かに褪色。
C:褪色。
D:極めて褪色。
【0018】
【表2】
表−2カラー印字の耐水性と耐光性の評価
耐水性と耐光性のカラー略号は下記の通りである。
M:マゼンタ、C:シアン、Y:黄色、BL:黒色
【0019】
【発明の効果】
ジアリル系カチオン性単量体を共重合させる事により、インクジェット記録紙として優れた効果を発揮し、これらはジアリル系カチオン性単量体無添加のNビニルカルボン酸(共)重合体の加水分解物からは予期されぬ性能である。
Claims (3)
- 下記式(1)で表されるカチオン性ビニル単量体10〜30モル%、Nビニルカルボン酸アミド35〜55モル%
およびアクリロニトリル35〜55モル%を含有するモノマーを共重合し、ついで塩酸により加水分解して成るアミジン構造単位と四級アンモニウム塩基を有する水溶性高分子を、塗工原紙表面に塗工する事を特徴とするインクジェット記録紙の製造方法。
- 前記水溶性高分子の、1規定食塩水中における固有粘度が0.1〜10dl/gである事を特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録紙の製造方法。
- 前記水溶性高分子の、PH3.0におけるコロイド当量値が3.0meq/g以上である事を特徴とする請求項1ないし請求項2に記載のインクジェット記録紙の製造方法。
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JP01598197A JP4058126B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | インクジェット記録紙の製造方法 |
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JPH10195132A JPH10195132A (ja) | 1998-07-28 |
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JP3401179B2 (ja) * | 1998-02-27 | 2003-04-28 | 三菱マテリアル株式会社 | シリカ含有地熱熱水処理方法 |
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1997
- 1997-01-14 JP JP01598197A patent/JP4058126B2/ja not_active Expired - Fee Related
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