JP3829481B2 - 環状アミジン構造を有する重合体、その製造法及び用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアミジン環構造を有する重合体、その製造法および用途でに関する。詳しくは、5員及び6員のアミジン環構造を高い含有量で有し、種々の機能性物質、特に染料、顔料等を固定化させるのに有効な重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
Nービニルホルムアミド或いはN−ビニルアセトアミドの重合体或いは共重合体の加水分解物等の、繰り返し単位としてビニルアミン単位を有するポリマーは、反応性の1級アミノ基を有するカチオン性の水溶性ポリマーとして、種々の機能性物質を結合させたり、定着させる機能が知られており、種々の用途が提案されている。
例えば特開平1−24784号公報には、透明な支持体にポリビニルホルムアミドの部分加水分解物の皮膜を形成したインクジェットプリンターの記録用シートが提案されている。
【0003】
しかしポリビニルアミン或いはビニルアミン共重合体の利用に関しては欠点がある。それは、ビニルアミンが弱塩基であるために、特に中性域ではその解離が抑えられ、イオンコンプレックスを形成し難くなる点である。そのため、インクジェットプリンターの記録紙の様に、ポリイオンコンプレックスを形成し水不溶化することにより、インクを定着させる場合、その機能が低くなる場合がある。この点を改良する方法として、アミノ基を4級化して解離度を上げることが考えられる。しかし、ポリビニルアミンはそのカチオン密度が高いため、4級化する場合、反応率を上げるのが難しい。
【0004】
他の改良方法としては、例えば特開平5−192513号公報等に示されるアミジン化の方法である。即ちN−ビニルアミドとアクリロニトリルの共重合体加水分解物の、隣接するアミノ基とニトリル基を反応させ、5員のアミジン環構造を導入する方法である。このアミジン環化合物は、染色時の染料定着剤として効果的であること(特開平7−157515号公報)、或いは紙の表面塗布剤として、インクジェットプリンターの記録紙等へ使用されること(特開平8−39927号公報)が報告されている。また、特開平9ー87323号公報には,N−ビニルホルムアミド単位,Nービニルアミン単位を有する重合体に6員のアミジン環構造を導入した重合体が染料定着剤、製紙用添加剤として好適であることが記載されている。
しかし、これらに開示されたポリマーは、性能的にはさらに改善の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、カチオン性の水溶性ポリマーとして、各種用途に有用な新しいポリマーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、係る目的を達成するため鋭意検討した結果、アクリロニトリル・N−ビニルホルムアミド共重合体に5員環アミジン構造及び6員環アミジン構造を導入することにより、ポリカチオンとしてさらに性能向上が計れることを見いだし本発明に到達した。即ち、本発明の第一の要旨は、下式(1)で示される5員環状アミジン構造及び下式(2)で示される6員環状アミジン構造を有し、重合体構成単位中のこれらアミジン環構造の含有量が合計で50モル%以上であり、かつ、1規定の食塩水中0.1g/dlの溶液として、25℃で測定した還元粘度の値が0.01〜10dl/gである重合体を含有する水性液を基体に塗布してなることを特徴とするインクジェットプリンター用記録シートに存する。
【化3】
(式中、Xはプロトン酸を表す)
【0007】
以下、本発明につき詳細に説明する。
【0008】
本発明に係わる5員環および6員環のアミジン構造を有する重合体は、例えばN−ビニルホルムアミドおよびアクリロニトリルの共重合体から得られる。
この場合、5員および6員のアミジン環は下記式(a)及び式(b)の概念図に示される機構により形成されるものと考えられる。
【0009】
【化5】
【0010】
及び
【0011】
【化6】
【0012】
上記概念図で示す如く、5員環アミジンには(1)、(1’)で示される対象構造のアミジン環が存在すると考えられるが、(1)、(1’)は核磁気共鳴分析(NMR)、赤外分光分析(IR)等において、通常、等価で観測されるものであるので、本明細書においては、5員環アミジンの両方の構造を代表して式(1)で示すものとする。6員環アミジンに関しても、同様に(2)、(2’)の構造が存在すると考えられるが、式(2)で両者を示すものとする。
また、重合体中のアミジン環のモル%は、重合体をNMRで分析し、重合体を構成する各ユニットを1モルとして、アミジン環ユニットの割合を計算したものである。
【0013】
染料等の定着剤としてアミジン環が好ましい理由は、一つにはビニルアミン基より解離度が高いことである。即ち実際にポリマーが使用される中性付近においては、アミジン基のほうがアミノ基より多く解離しており、そのため、実質的に染料と、コンプレックスを形成して定着する能力が高いものと考えられる。このことに関しては、前述の特開平7−157515公報、特開平8−39927号公報において、染料定着剤として、或いはインクジェットプリンター記録紙の表面処理剤として、何れもアミジン環を含有しない重合体より効果が高いことが示されていることからも明らかである。
【0014】
ところで、両公開特許においては、ポリマー中に存在するアミノ基に関してはカチオン基として機能するため好ましい旨示されている。しかしさらに詳細に検討すると、上記のようにアミジン環構造は、アミノ基より解離性が向上するため1級アミノ基よりも好ましい。また、1級アミノ基は反応性が高く、アミド化、還元等種々の反応をする可能性があるため染料の種類によっては残存するアミノ基と反応して染料を退色させることがある。その点でもアミノ基より上記の様な反応性の乏しいアミジン環構造が好ましい。
【0015】
またニトリル基はイオン性がなく定着機能は期待できない上、加熱時の変質により着色等の原因になることも考えられるので、少ないほうが好ましい。
即ち、アミノ基、ニトリル基はなるべく少なく、5乃至6員環アミジン基の多いポリマーが好ましい。さらにアミノ基をより機能性の高い6員環アミジン構造に転換することで性能がさらに向上する。すべて6員環アミジン構造のポリマーであっても性能上は何ら問題はないが、コストを勘案した場合、汎用のモノマーであるアクリロニトリルを用いることが好ましく、結果として5員環アミジン構造が導入される。従って、本発明の重合体は、式(1)の5員環アミジン構造を5〜99モル%、式(2)の6員環アミジン構造を1〜90モル%、好ましくは、式(1)の構造を25〜70モル%、式(2)の構造を3〜40モル%含有し、かつ、アミジン環の合計量が50モル%以上、好ましくは50〜75モル%含有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアミジン構造を有する重合体は、N−ビニルホルムアミド(NVFと略記する)とアクリロニトリル(ANと略記する)の共重合体から得られる。この場合、各単量体の共重合比(モル比)は、NVF:AN=45:55〜95:5、好ましくは45:55〜70:30の範囲から選ばれる。N−ビニルホルムアミドの下限は共重合曲線から決まっており、N−ビニルホルムアミドが45モル%付近には、単量体の仕込み組成と生成する共重合体の構成モノマー組成が等しい点があり、N−ビニルホルムアミドの単量体比がこれより多いことが望ましい。なぜならば、これ以下の単量体比ではアクリロニトリルユニット同士が並ぶ可能性が増えるからである。即ち、前記概念図に示す様に、NVFユニットとNVFユニットに由来するビニルアミンユニットが並んでいる場合は6員環アミジンが形成でき、NVFユニットに由来するビニルアミンユニットと、ANユニットが並んでいる場合は5員環アミジンが形成できる。それに対し、ANユニット同士が並んでいる場合は、アミジン環は形成されない。従って、なるべくアクリロニトリル同士が並ぶ配列を避けるためである。
【0017】
NVFの上限は実質的には100でも良いが、その場合、残存アミノ基が残らないようにするためには、重合体の加水分解率を下げなければならないことと、N−ビニルホルムアミドはアクリロニトリルに比べ高価なため、コストの点から不利になることを勘案して選択される。なお、生成する重合体が、5員及び6員のアミジン構造を、合計で50モル%以上有し、水溶性であるという本発明の趣旨を越えない限り、他の単量体を添加、共重合させても良い。
【0018】
N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの重合法は、特に限定されるものではなく、通常の、ラジカル開始剤によるラジカル重合法が採用される。開始剤としては、過酸化ベンゾイル等の過酸化物やアゾ化合物等の通常用いられる開始剤を用いて良いが、アゾ系の開始剤が重合時の酸発生によるpH変動がないため好ましい。具体的には2,2′−アゾビス−4−アミジノプロパンの塩酸塩および酢酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸のナトリウム塩、アゾビス−N,N′−ジメチレンイソブチルアミジンの塩酸塩および硫酸塩等が挙げられる。これら重合開始剤の使用量は単量体に対して、通常0.01〜10重量%であり、重合の反応率を上げるため、もしくは重合体の分子量を調節するために随時追加してもよい。
【0019】
重合形式は、バルク重合、溶液重合、溶液からの沈殿重合、単量体水溶液の逆相懸濁重合、乳化重合等の種々の方法を採用できる。而して、水溶液中で重合した場合は、加水分解、脱ギ酸処理、アミジン化処理等を引き続き同一系内で実施できるので好ましい。
重合反応終了後、得られた重合体を加水分解してNVFユニットに由来するビニルアミド基の1部をアミノ基に変換する。加水分解は酸性条件で行う。酸は1価の強酸が好ましい。これは強酸でないと加水分解の速度が遅いこと、および多価の酸を使用すると、イオン架橋によるカチオン性重合体の不溶化を引き起こす怖れがあるからである。具体的には、塩酸、硝酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等が例示され、塩酸が特に好ましい。
【0020】
加水分解反応は水性媒体中に重合体を溶解又は懸濁させ、上記の酸を加えることにより実施される。反応温度は高いほうが反応が早く、通常50〜120℃である。使用する酸の量は、NVFユニットに対し、0.1〜3倍当量(1価の酸を使用する場合、NVF1モルに対し酸1モルが1当量)である。NVFユニットの加水分解率とアミジン環形成率はある程度まで比例関係が有るが、加水分解率が高すぎると、ホルミル基が減少し6員環アミジンを形成できない残余のアミノ基が増加するので好ましくない。一方、酸が少なすぎると、加水分解速度が遅くなる難点がある。
【0021】
加水分解により、ビニルアミド基をビニルアミン基にした後、アミジン環を形成する。アミジン化反応は加熱によって促進される。加熱は加水分解後、或いは加水分解と同時に行っても良い。また6員環アミジン化反応は特に酸性域よりも中性域のほうが反応が早いので、液のpHを中性領域に上げてアミジン化反応を促進する。pHを上げる手段は特に限定されるものではないが、加水分解により副生するギ酸の除去による方法が有利である。即ちビニルホルムアミド基は加水分解によりアミノ基となるが、その際ギ酸が副生する。ポリマー中のギ酸分は、特に本発明重合体を染料などの定着剤として用いる際、染料などの化学物質と反応して変退色を起こす原因となるので、除去したほうが好ましい。除去方法は特に限定されるものではないが、酸加水分解時、酸性条件下でアルコールを存在させることにより、ギ酸をギ酸エステルとし、除去することが可能である。特にアルコールとしてメタノールあるいはエタノールのような低沸点のアルコールを選択することにより、未反応アルコールおよび生成するギ酸エステルを容易に留去することができる。ギ酸を除去することにより、結果的に溶液のpHが上がり6員環アミジンの形成を促進する。また、ギ酸を除去することにより、▲1▼溶液の着色が小さくなる、▲2▼溶液粘度が低下し取り扱いがしやすくなる、という副次的効果も得られる。
【0022】
具体的には、加水分解前、或いは反応途中でアルコールを添加し、40〜120℃に加熱した後、生成したギ酸エステルを留去すことによりギ酸の除去とアミジン化反応を行う。アルコールはC1 〜C4 の1価のアルコールが好ましく、メタノール、エタノールが特に好ましい。添加量はNVFユニットあたり0.5〜10倍モルが好ましく、1〜5倍モルが特に好ましい。
【0023】
このようにして得られた重合体は、通常、水溶液の形で供されるが、必要に応じ、慣用手段を用いて粉末その他の形態で取り出すことができる。
本発明の重合体は、1規定の食塩水中、0.1g/dlの溶液として25℃で測定した還元粘度の値が0.01〜10dl/g、好ましくは0.01〜6dl/g、より好ましくは0.01〜5dl/gである。
又本発明の重合体は前記式(1)及び(2)で示されるアミジン環の他、下記のような繰り返し単位を、それぞれ0〜10モル%程度有している。
【0024】
【化7】
【0025】
本発明の重合体は、溶液中の微細粒子を固定化する作用を有し、帯電防止剤、凝集剤、汚泥処理剤、製紙用薬剤等の用途に使用され、特に、合成樹脂成型品の帯電防止剤、紙等の印刷媒体の表面塗布剤や染料の定着剤などとして有用である。例えば、本発明重合体の水溶液を、紙、布、フィルム等の基体表面に塗布し、インクジェットプリンターにて印字すると、インクの定着を良好に行うことができ、耐水性、耐光性の優れた記録媒体が得られる。
また染料定着剤として使用する場合は、染色した繊維を、本発明の重合体水溶液で処理することにより、染料が繊維に定着し、色落ちを防ぐことができ、堅牢な染色物が得られる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
実施例 1〜2
(1)N−ビニルホルムアミド・アクリロニトリル共重合体の合成
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた50mlの4つ口フラスコに、表−1に示すモル分率のN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの混合物6g、脱塩水24g及び0.45gのポリエチレングリコール(分子量2万)を入れた。このフラスコを、窒素ガス気流中で攪拌しつつ、70℃に昇温し、2、2’−アゾビス−2−アミジノプロパン・塩酸塩の10重量%水溶液を0.06g添加し、反応を開始した。更に1時間後に2、2’−アゾビス−2−アミジノプロパン・塩酸塩の10重量%水溶液0.03gを添加した。開始剤添加後攪拌下70℃で5時間保持し、水中に重合体が析出した懸濁物を得た。
【0027】
(2)N−ビニルホルムアミド・アクリルニトリル共重合体の変性
(1)で得られた懸濁物に、対N−ビニルホルムアミドモノマー0.65当量の35%塩酸を加え、70℃で1時間攪拌後、90℃に昇温し3時間攪拌した。メタノールを対N−ビニルホルムアミドモノマー3モル倍添加し、さらに90℃で3時間攪拌した後、メタノールおよびギ酸メチルを留去した。反応混合物の一部を取り、13C−NMRにて構造を分析した結果、および0.1重量%重合体水溶液(1N食塩水中、25℃)の還元粘度を測定した結果を表ー1に示す。
【0028】
比較例1
実施例と同様に重合した後、対N−ビニルホルムアミドモノマー0.65当量の35%塩酸を加え、70℃で1時間攪拌後、昇温し90℃で3時間反応を行った。得られた重合体水溶液の一部を取り、13C−NMRにて分析した結果及び還元粘度の測定結果を表−1に示す。
【0029】
比較例2
実施例と同様に重合した後、対N−ビニルホルムアミドモノマー1.05当量の35%塩酸を加え、70℃で1時間攪拌後、昇温し90℃で3時間反応を行った。得られた重合体水溶液の一部を取り、13C−NMRにて分析した結果及び還元粘度の測定結果を表−1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
略号
NVF :N−ビニルホルムアミド(又はNービニルホルムアミドユニット)
AN :アクリロニトリル(又はアクリロニトリルユニット)
VAM :ビニルアミンユニット
5AMZ:5員環アミジンユニット
6AMZ:6員環アミジンユニット
その他 :下記(7)〜(9)のユニットの混合物
【0032】
【化8】
【0033】
実施例3 (インクジェット記録シートへの使用)
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた重合体を用いた塗工液を紙に塗布し、インクジェット印刷を行って試験片を作成し、耐水性試験、耐光性試験を行った。
塗工液配合:
シリカゲル(ファインシル−X−37:徳山曹達社製)5gとポリビニルアルコール10%水溶液(ポバールPVA117:クラレ社製)20g及び実施例及び比較例のポリマー溶液0.5g(固形分)を混合後、蒸留水を用いて固形分12.5%水溶液とした。
塗工条件:
普通紙にNo.20バーコーターで塗工液を塗布後、100℃で7分乾燥、23℃/湿度65%の恒温室で1夜放置後印字した。
印字:インクジェットプリンター(キャノン社製)によってマゼンダ、シアン、イエロー
、ブラックの各色についてベタ印字した。
耐水性試験
印字された試験片を蒸留水(常温)に1分間浸漬し、乾燥後、印字部分のインクの残存度を目視により下記基準で評価した。結果を表−2に示した。
◎:にじみ色落ち無し
○:ややにじみあり、色落ち無し
△:インクがにじむ、または一部流れる。
×:インクが完全に流れ落ちる。
【0034】
【表2】
【0035】
耐光性試験
印字された試験片の各色の光学濃度(O.D.)を光学濃度計(マクベス:RD920)にて測定し、次いで試験片を、キセノンW.O.M(ブラックパネル温度80℃)を用いて80時間照射後の各色の光学濃度を測定し、下式により耐光性を計算した。
【0036】
【数1】
耐光性(%)=100×照射後のO.D./照射前のO.D.
【0037】
【表3】
【0038】
本発明重合体は、耐光性の特に悪い、マゼンダ系の色素に対する改善効果が大きい。
【0039】
実施例4 (染料定着剤としての使用)
(1)汗堅牢度の評価
実施例1〜3、および比較例で得た各々の重合体4g/l水溶液を調製した。次いでこの水溶液を用いて、下記処方で染浴を調製し(反応染料濃度5%(対繊維重量))、綿布及び絹布を浸漬して連続染色した後、マングル処理を行い、150℃で90秒間熱処理を行った。その時の絞り率は、70%であった。用いた染料は、カヤシオンレッドP−4BNおよびカヤシオンターキスP−NGF(日本化薬(株)社製)であった。なお、染浴処方及び染色処理条件は以下の通りである。
【0040】
<染浴処方> (g/l)
染料 100
アルギン酸ソーダ 0.5
尿素 100
ソーダ灰 15
メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ 5
【0041】
<処理方法>
以下の▲1▼から▲4▼の順に処理を行う。
▲1▼ パッド
▲2▼ ドライ(105℃×3分)
▲3▼ ベーキング(160℃×2分)
▲4▼ ソーピング(90℃×5分)
【0042】
次に、この処理染色布の汗堅牢度をJIS L−0848(アルカリ汗法)によって評価した。結果をまとめて表−4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
(2)塩素堅牢度の評価
上記実施例、および比較例で得た各々の重合体4g/l水溶液を調製した。次いでこの溶液に、下記の反応染料を用い、綿布を浸漬し連続染色した後、マングル処理を行い、150℃で90秒間熱処理を行った。その時の絞り率は、70%であった。用いた染料は、チバクロンブルー3R (チバガイギー社製)およびカヤシオングレーP−NR(日本化薬(株)社製)であった。
なお、染浴の調製及び染色処理条件は、汗堅牢度試験の場合と同様である。
次に、この処理染色布の塩素堅牢度をJIS L−0884(弱試験および強試験)によって評価した。結果を表−5に示した。
【0045】
【表5】
【0046】
【発明の効果】
実施例から明らかなように、インクジェット記録紙に塗工した場合、本発明重合体溶液は、従来のアミジン環含有重合体溶液に比し、塗膜の着色が少なく、かつ、耐光性、特にマゼンダ系色素に対する耐光性を著しく向上させる。又、反応性染料で染色した綿布及び絹布の染料定着剤としてこれら染布の汗や塩素にたいする堅牢度を著しく向上させる。
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