JP2000219706A - N−ビニルアミド−酢酸ビニル系共重合体加水分解物の製造方法及びその用途 - Google Patents
N−ビニルアミド−酢酸ビニル系共重合体加水分解物の製造方法及びその用途Info
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Abstract
加水分解物を粉末状で安価に製造する方法を提供する。 【解決手段】 N−ビニルアミド及び酢酸ビニルを重合
体の構成成分として有する共重合体を水中に懸濁させ、
塩基性条件下で加水分解した後、前記共重合体の加水分
解物を20℃以下の水、アルコール、及び塩水から選ば
れる少なくとも1種で洗浄する。
Description
−酢酸ビニル系共重合体加水分解物の製造方法に関す
る。詳しくは、目的物であるN−ビニルアミド−酢酸ビ
ニル系共重合体加水分解物を粉末状で容易に得ることの
できる製造方法に関する。
ル共重合体は各種の機能性があることが報告されてい
る。例えば特開昭62−74902号公報によれば製紙
用薬剤として機能があることが示されており、米国特許
4713236にはシャンプーへの利用が報告されてい
る。さらに原料となるN−ビニルホルムアミドは近年工
業的に利用できるようになった。しかしながらそれにも
関わらず、現状ではこの物質は工業化されていない。そ
の理由は安価な製造方法が確立されていないためであ
る。現在まで報告されている製造方法としては、特開昭
62−74902号公報に示されているような水中乳化
重合及び水中酸加水分解や、特公平6−51741号公
報に示されているようなアルコール中での重合、加水分
解による方法がある。
特開昭62−74902号公報に記載された方法では重
合体は水溶液の形態で取得され、運搬や精製の点で難点
がある。また、特公平6−51741号公報に記載され
た方法では、アルコール中の重合、加水分解は重合体を
アルコール分散系で取得でき、かつ粉末で取り出せすこ
とができ、さらに精製が容易な点においては好ましい方
法であるが、多量のアルコールを要するために製造コス
トが高くなり、製造プロセスが複雑であるという欠点を
有する。
鑑みてなされたものであり、その目的は、N−ビニルア
ミド−酢酸ビニル系共重合体の加水分解物を粉末状で安
価に製造する方法を提供することにある。
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、N−ビニルアミド
及び酢酸ビニルを重合後、加水分解して得られた共重合
体加水分解物を特定の条件で洗浄することにより、重合
物を溶解せずに不純物のみ溶解除去できることを見い出
し本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、N−ビニ
ルアミド及び酢酸ビニルを重合体の構成成分として有す
る共重合体を水中に懸濁させ、塩基性条件下で加水分解
した後、前記共重合体の加水分解物を20℃以下の水、
アルコール、及び塩水から選ばれる少なくとも1種で洗
浄することを特徴とするN−ビニルアミド−酢酸ビニル
系共重合体加水分解物の製造方法、に存する。
説明する本発明に用いる重合体はN−ビニルアミドと酢
酸ビニルとを主な構成単位として含有する共重合体であ
る。ここでN−ビニルアミド単位は重合体の全構成単位
中、通常、1〜50モル%、酢酸ビニル単位は重合体の
全構成単位中、通常、50〜99モル%程度である。
割合はモル比で、通常、1:99〜50:50、好まし
くは5:95〜50:50である。N−ビニルアミドユ
ニットが多過ぎると、加水分解後析出せずに溶解する傾
向がある。本発明における共重合体は、重合物の特性を
失わない限り、その他の任意の単量体を併用しても良
い。N−ビニルアミド単位を構成するために用いられる
単量体としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル
アセトアミド等が例示されるがN−ビニルホルムアミド
が好ましい。
重合方法は公知の水中の乳化重合、沈殿重合、等が例示
されるが、乳化重合が重合物の取り扱いの容易さで推奨
される。重合はラジカル重合によって行われるが、アゾ
系開始剤によるのが好ましい。この重合の際のモノマー
の濃度は、通常1〜50重量%好ましくは10〜45重
量%である。さらに重合時、例えば乳化するための乳化
剤等の助剤を用いても良い。また重合体の分子量を調節
するため連鎖移動剤を用いることもできる。重合終了後
の液は乳化重合であれば白色乳液状、沈殿重合であれば
スラリー状である。
解を行う。加水分解は上述の液体そのままでもよく、ま
た水で希釈あるいは水を留去するなどして濃縮等の方法
により、水中の重合体濃度を調節しても良い。加水分解
時の重合体の濃度は薄すぎると加水分解後の重合体が溶
解し、また高すぎると攪拌に要する動力が大きくなりす
ぎる。具体的には通常、1〜50重量% 好ましくは、
10〜45重量%である。加水分解は塩基性条件下で行
う必要がある。また、さらに反応を行う際は十分攪拌が
強くするのが、加水分解後の重合体が塊状化して沈降す
るのを防ぐ上で好ましい。
が好ましい。特に好ましい強アルカリは苛性ソーダある
いは苛性カリである。添加量は単量体の合計に対し通
常、0.1〜10倍当量、好ましくは0.5〜5倍当量
である。ただし加水分解後の重合体は水溶性であり、こ
の塩濃度が低すぎると容易に溶解、あるいは膨潤して濾
過ができなくなる傾向がある。その場合は他の塩を追加
し、塩析により重合体の析出を促進しても良い。この際
添加する塩としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫
酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、等が例
示されるが、硫酸やリン酸等の多価の酸の塩を存在させ
ると、該重合体の析出効果が高い。その濃度は対液あた
り通常、1〜30重量%程度である。
程度である。また加水分解時間は特に限定されないが、
通常、10分〜10時間程度である。重合体の加水分解
率は、N−ビニルアミド単位、酢酸ビニル単位ともに、
通常、10〜100%である。加水分解が終了すると、
液はスラリー状となる。このスラリーは冷却後濾過、遠
心分離、沈降分離等の手段により固液分離を行う。重合
によって生じる副産物の酢酸、ギ酸の塩は水溶性であ
り、かつ添加した塩や助剤等も水溶性のものを選んでお
けば、固液分離を行うことにより付着母液以外の大部分
の不純物を除去する事ができる。
るので水洗浄を行うと不純物も除去できるが該重合体の
ロスも大きい。本発明においては、この場合ロスを少な
くかつ重合体中不純物を除去する方法として以下の3通
りの方法のいずれかを行うことを特徴とする。つまり、 (1)アルコールもしくはアルコール/水混合液で洗浄
する方法。 (2)20℃以下の冷水で洗浄する方法。 (3)塩水で洗浄する方法。 の3通りの方法である。
合体はアルコールに溶解しないため、アルコールに溶解
する塩類をこの方法で除去する事ができる。この際に用
いられるアルコールとしては、例えばエタノール、メタ
ノール等の低級アルコールを用いればギ酸ナトリウム等
の塩が溶解除去できるため容易に精製できる。このメリ
ットは用いる乳化剤によってはアルコールで洗浄するほ
うが効率よく不純物を除去できる可能性があることであ
る。(2)の方法は該重合体が温度によりその溶解度あ
るいは溶解速度が大きく異なるために冷水中で洗浄する
事により実質的に重合体の損失を抑えながら水溶性不純
物を除去できるものである。水温は20℃以下、好まし
くは10℃以下、更に好ましくは0〜5℃である。
(3)の方法は重合体が塩析する塩水を用いて洗浄する
方法であり、実質的に、ギ酸、酢酸等の洗浄に用いた塩
以外の不純物を除去する事ができる。用いる塩としては
例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、等が例示される。
この際の塩水中の塩濃度は通常、1重量%以上、好まし
くは3重量%以上である。
を用いずに処理できるので、安価に製造できるメリット
がある。洗浄の具体的な方法としては、例えば、沈降分
離とデカンテーション、濾過とけん洗等の任意の方法を
用いることができる。また洗浄回数も必要に応じて任意
に選択することができ、上述したアルコール、20℃以
下の冷水、塩水による洗浄を複数回、またはこれらの洗
浄を2種以上組み合わせて複数回行っても良い。洗浄を
終えた重合体は常法により乾燥される。乾燥は送風乾
燥、減圧乾燥等いずれの方法によってもよいが、温度は
100℃以下が好ましく、さらに好ましくは60℃以下
である。
る。溶解は温水によって行うことが好ましくは40〜1
00℃が推奨される。上述の方法により得られる共重合
体加水分解物は実質的にどの濃度であっても水に自由に
溶解する。本発明の共重合体加水分解物はすでに各種の
機能、用途があることが知られている。例えば内添紙薬
剤、紙の表面紙力剤、分散剤、紙、フィルムの表面処理
剤、シャンプー等のヘアケア用等である。上記の方法で
製造した重合体はこれらの用途に関し、たとえ最も不純
物の多い塩水で洗浄したものであっても十分機能を発揮
する。フィルム等の表面塗布に関しても十分不純物は少
なく、透明度の低下や変色はない。また上記の機能の
他、該共重合体加水分解物は繊維の染色助剤である染料
定着剤としても有効に用いることができる。染料定着剤
としては例えば木綿繊維への反応性染料染色後の色落ち
防止効果が顕著である。さらにインクジェットプリンタ
ーのインキ定着剤としても著効を示し、表面塗布剤とし
て有効に用いることができる。この場合、紙、フィル
ム、布等の受像体に塗布することにより用いられる。さ
らに繊維染色に関してはいわゆるインクジェット捺染の
際の助剤としても好適である。
更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。 実施例1 <重合体の合成>攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた
1lの4つ口フラスコに脱塩水270g、分散安定剤と
してスチレン/無水マレイン酸共重合体(平均分子量2
600)6.31g、ピロリン酸ソーダ0.68g、N
−ビニルホルムアミド2.6g、酢酸ビニル17.7
g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル(和光純薬工業(株)、商品名:
V−65)0.045gを加え攪拌下65℃に加温し
た。白濁が始まると共にN−ビニルホルムアミド23.
42g、酢酸ビニル159.07g、V−65 0.4
05gの混合物を3時間かけて滴下した。さらに75℃
2時間攪拌後N,N’−アゾビスイソブチロニトリル
0.09g及び脱塩水135gを加えさらに3時間攪拌
後、さらにN,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.
09gを添加し98℃で1時間攪拌し、白色ペースト状
物を得た。液体クロマトグラフィーにより転化率を測定
したところ、N−ビニルホルムアミドが99.6%、酢
酸ビニルが99.4%であった。
体組成物355gに塩酸ヒドロキシルアミン1.45g
を添加し、60℃で1時間攪拌した。続いて急速攪拌下
苛性ソーダ61.1gの水122g溶液を添加し75℃
で6時間攪拌、続いて80℃で2時間攪拌した。反応物
は白色スラリー状となった。反応後、冷却しスラリー状
反応物を得た。グラスフィルターを用いて濾過し、ポリ
ビニルアミン−ポリビニルアルコール重合体238.4
gを得た。重合物を一部取り分析したところ、残存酢酸
量は重合体1gあたり0.11g、残存ギ酸は重合体1
gあたり0.015gであった。さらにNMRにより分
析した結果、酢酸ビニル単位、ビニルホルムアミド単位
とも95%以上加水分解していることが確認された。
3℃の氷冷水100gでグラスフィルター上で洗浄を行
った。その後濾物を乾燥し、粉末のビニルアミン/ビニ
ルアルコール共重合体を得た。収率は96%であった。
該共重合体1gに含まれる酢酸は0.018g、ギ酸は
0.015gであった。
ール共重合体の加水分解物水分散液をグラスフィルター
で濾過し、メタノール100gを用いて洗浄した。収率
は98%であった。該重合体中1gには酢酸は0.01
g、ギ酸0.001gが含まれていた。 比較例1 実施例1と同様にして得たビニルアミン/ビニルアルコ
ール共重合体の加水分解物水分散液をグラスフィルター
で濾過し、40℃の温水100gを用いて洗浄した。濾
物は膨潤し、濾過し難かった。洗浄後ろ物を乾燥し塊状
のビニルアミン−酢酸ビニル共重合体を得た。収率は8
8%であった。
られた重合体の4g/l水溶液を調製した。次いでこの
溶液に、下記の反応性染料を用い、1.0%の濃度で連
続染色した絹布を浸漬し、マングル処理を行ったあと1
50℃で90秒熱処理した。そのときの絞り率は70%
であった。用いた染料はカヤシオンレッドP−4BNお
よびカヤシオンターキスP−NGF(日本化薬(株)製
であった。)である。なお試験に供した連続染色布は以
下の条件において染色した。
L−0844に準じて評価した。試験の方法は浸漬染
色布を白色の綿布または絹布に接触させて縫い合わせ、
石鹸5g/1l浴中で攪拌下70℃で10分間加熱し
て、染色綿布からの色移りを調べるものである。結果を
まとめて表−1に示す。表−1における評価値は試験の
前後の白色布(綿、絹)の汚染を等級で示したものであ
り、変退色用グレースケールテスト(Grey Scale for A
ssessing Change in Color Fastness Test) により評価
を行った。この評価値は、5、4〜5、4、3〜4、
3、2〜3、2、1〜2、1に分類され、数値が高い程
変退色が少ないことを意味する。従って、表−1によれ
ば、本発明の重合体を用いた場合は、未処理と比較し洗
濯堅牢度が著しく向上していることがわかる。
シリカゲル(トクヤマ製、平均凝集粒子径=2.5〜
2.9μ)および実施例1にて得られた本重合体を当量
の35%塩酸で中和したものを10:4に混合し、固形
分濃度=10wt%に調製後、バーコーター(バー・#
24)を用いて乾燥後膜厚−約1ミクロンに塗布した。
この用紙をを23℃湿度50%の恒温室で1夜放置後イ
ンクジェットプリンターEPSON PM−750Cを
用いて印字し、耐水性(水道水一分間浸せき後水切り
(1分)、乾燥(100℃×5分)し、印字部分のイン
クの残存度を目視で比較)および耐光性(スガ試験機キ
セノンフェードメータで、ブラック、シアン、マゼン
ダ、イエローの各色を2cm×2cmにベタ印字した用
紙をブラックパネル温度63℃で120時間照射し、耐
光性を目視にて比較した。)を調べた。結果を表−2に
示す。
問題ないレベル。 △:インクがにじむまたは一部が流れる。 ×:インクが完全に流れ落ちる。(普通紙と同レベル) (耐光性) ○:変色が認められない ×:目視で変色が認められる 本方法にて製造した重合体を紙に表面塗布しても変色や
インクの退色等を引き起こさないことが判明した。
にし、当量の塩酸を添加し塩酸塩としたあとバーコータ
ーを用いて乾燥後膜厚が約1ミクロンになるようにPE
Tフィルムに塗布し、乾燥した。乾燥後フィルムは透明
で塩などの析出物は認められなかった。さらに恒温室
(23℃、湿度50%)に1昼夜放置後、1cm2 当た
りの表面抵抗を測定したところ、2×107 Ω/□で塗
布前(5×1013Ω/□に比べ帯電防止性能の向上が認
められた。さらにインクジェットプリンターで印字した
ところ、塗布前は印字したものが全く定着せず擦ると判
別できなくなったが、塗布後は印字が可能となった。
ド−酢酸ビニル系共重合体の加水分解物を粉末状で安価
に製造することができるので、工業的に非常に有利であ
る。また該方法で得られた共重合体加水分解物は、繊維
等への染料定着剤、また紙及びフィルムへの表面塗布剤
として有効に利用できる。
Claims (6)
- 【請求項1】 N−ビニルアミド及び酢酸ビニルを重合
体の構成成分として有する共重合体を水中に懸濁させ、
塩基性条件下で加水分解した後、前記共重合体の加水分
解物を20℃以下の水、アルコール、及び塩水から選ば
れる少なくとも1種で洗浄することを特徴とするN−ビ
ニルアミド−酢酸ビニル系共重合体加水分解物の製造方
法。 - 【請求項2】 洗浄後、さらに該共重合体の加水分解物
を濾別し、粉末として取り出す請求項1に記載のN−ビ
ニルアミド−酢酸ビニル系共重合体加水分解物の製造方
法。 - 【請求項3】 N−ビニルアミドがN−ビニルホルムア
ミドである請求項1または2に記載のN−ビニルアミド
−酢酸ビニル系共重合体加水分解物の製造方法。 - 【請求項4】 N−ビニルアミドと酢酸ビニルとの割合
がモル比で1:99〜50:50である請求項1〜3の
いずれかに記載のN−ビニルアミド−酢酸ビニル系共重
合体加水分解物の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
法により得られたN−ビニルアミド−酢酸ビニル系共重
合体加水分解物よりなる紙及びフィルムの表面塗布剤。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
法により得られたN−ビニルアミド−酢酸ビニル系共重
合体加水分解物よりなる繊維の染料定着剤。
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WO1995016815A1 (fr) | Agent de fixation de colorant |
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