JP3650086B2 - インクジェット記録用被記録材及びインクジェット記録用耐水化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録材及びインクジェット記録用耐水化剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、印字の際及び印字後の耐水性を向上させた被記録材、特にインクジェット記録方式で印字したときにインクに滲みがなく、印字後も水によるインクの流れ出しや滲みの生じない被記録材及びインクジェット記録用耐水化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、企業のみならず、一般家庭においても、パーソナルコンピューターが普及し、それに伴って情報をプリンターで印刷することが増えてきた。特に、最近は、パーソナルコンピューターの性能が向上し、大量の情報からなる画像情報も簡単に取り扱うことが可能になり、画像をフルカラーで印刷することも増えている。
この印刷の記録方式としては、インクジェット記録、溶融熱転写記録、昇華転写記録、直接感熱記録などが挙げられるが、いずれの記録方式においても、被記録材には、印字濃度が高く、発色性に優れていること、印字の際に滲まないこと、印字したものが水で流れ出したり滲んだりしないことなどの特性が要求される。これらの記録方式の中で、インクの微小液滴に電荷を与え、ノズルから吹き付けて被記録材に付着させ、印字や画像の記録を行うインクジェット記録は、騒音も少なく、比較的高速で記録することができるので、用紙類への印刷のみならず、布地への柄のプリントなどにも応用されている。インクジェット記録では、被記録材に印字や画像を記録したときに、インクが滲まないこと、印字などの後に被記録材が水で濡れた場合においても、インクの流れ出しや滲みが生じないことが特に重要である。
このような要求を満足させるために、様々な化合物を被記録材に含有させることが試みられている。例えば、特開昭56−84992号公報には、高解像度で耐水性のある画像を形成することができるインクジェット記録方法として、ポリカチオン高分子電解質を表面に含有する記録媒体に、水溶性直接染料又は水溶性酸性染料を含有する水性インクを印写する方法が提案されている。特開昭60−49990号公報には、画像や文字の濃度が高く、色調が鮮明で、インクの吸収速度が速く、耐候性の改善されたインクジェット記録用紙として、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物を表面に含有する記録用紙が提案されている。特開平6−92012号公報には、白紙黄変性がなく、耐水性及び耐光性に優れたインクジェット記録用紙として、2級アミンとエピハロヒドリンとを反応させて得られるカチオン性樹脂を表面に含有するインクジェット記録用紙が提案されている。
しかし、上記の各種の印刷記録方式において、それぞれの要求をすべて満たしている被記録材はなく、特にインクジェット記録の場合には、上記の化合物では、印字時のインクの滲みの問題や、印字後の被記録材からの水によるインクの流れ出しや滲みの問題を解決するまでには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、印字の際及び印字後の耐水性を向上させた被記録材、特にインクジェット記録方式で印字したときにインクに滲みがなく、印字後も水によるインクの流れ出しや滲みの生じない被記録材及びインクジェット記録用耐水化剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、主鎖にカルボン酸アミド構造と第四級アンモニウム塩構造を有するポリマーが、印字の際に滲まず、印字後もインクが水で流れ出したり滲んだりしない被記録材を与え、特にインクジェット記録用の被記録材として有用であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とするインクジェット記録用被記録材、
【化5】
(ただし、式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はアリル基であり、A-はアニオンであり、pは1〜6、qは1〜4、rは1〜4、xは0〜6であり、mは10〜500である。)
【化6】
(ただし、式中、R2は炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はアリル基であり、B-はアニオンであり、sは1〜6、uは1〜4、vは1〜4、yは0〜6であり、nは10〜500である。)、
(2)被記録材100重量部中に、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマー0.01〜10重量部を含有する第1項記載のインクジェット記録用被記録材、
(3)被記録材の表面に、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマー0.01〜10g/m2を含有する第1項記載のインクジェット記録用被記録材、
(4)被記録材の原材料が、紙材、繊維材、樹脂材又は石材である第1項ないし第3項のいずれかに記載のインクジェット記録用被記録材、及び、
(5)一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーを含有するインクジェット記録用耐水化剤、
【化7】
(ただし、式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はアリル基であり、A-はアニオンであり、pは1〜6、qは1〜4、rは1〜4、xは0〜6であり、mは10〜500である。)
【化8】
(ただし、式中、R2は炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はアリル基であり、B-はアニオンであり、sは1〜6、uは1〜4、vは1〜4、yは0〜6であり、nは10〜500である。)、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の被記録材及びインクジェット記録用耐水化剤は、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーを含有する。
【化9】
ただし、一般式[1]において、Rlは炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はアリル基であり、A-はアニオンであり、pは1〜6、qは1〜4、rは1〜4、xは0〜6であり、mは10〜500である。
【化10】
ただし、一般式[2]において、R2は炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はアリル基であり、B-はアニオンであり、sは1〜6、uは1〜4、vは1〜4、yは0〜6であり、nは10〜500である。
【0006】
Rl又はR2で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基などを挙げることができる。
(CH2)p又は(CH2)sで表されるポリメチレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を挙げることができる。(CH2)q、(CH2)r、(CH2)u又は(CH2)vで表されるポリメチレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基を挙げることができる。(CH2)x又は(CH2)yで表される基としては、NH−NHの直接結合、CO−COの直接結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を挙げることができる。
A-又はB-で表されるアニオンは、第四級アンモニウム塩を形成するアニオンであれば特に制限はなく、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオンなどの無機アニオン、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸などの酸に由来する有機アニオンなどを挙げることができる。これらの中で、塩素イオンを好適に用いることができる。
一般式[1]におけるm及び一般式[2]におけるnは、カチオンポリマーの重量平均重合度である。カチオンポリマーの重量平均分子量を測定し、繰り返し構造単位の分子量で除することにより、重量平均重合度m又はnを求めることができる。m又はnは、10〜500であり、より好ましくは20〜400である。m又はnが10未満であると、インク滲みの防止性や水に対する流れ出しの防止効果が十分でなくなるおそれがある。m又はnが500を超えると、カチオンポリマーの粘度が大きくなり、取り扱いが困難になるおそれがある。
【0007】
本発明において、一般式[1]で表されるカチオンポリマーの製造方法に特に制限はなく、例えば、N,N,N',N'−テトラアルキルポリメチレンジアミンとポリメチレンビス(クロロアセトアミド)、ポリメチレンビス(クロロプロピオンアミド)、ポリメチレンビス(クロロブチルアミド)、ポリメチレンビス(クロロバレルアミド)などとの重合反応により製造することができる。一般式[2]で表されるカチオンポリマーの製造方法に特に制限はなく、例えば、N,N,N',N'−テトラアルキルポリメチレンジアミンとN,N'−ジクロロエチルオキサミド、N,N'−ジクロロエチルマロンアミド、N,N'−ジクロロエチルスクシンアミド、N,N'−ジクロロエチルグルタルアミド、N,N'−ジクロロエチルアジピンアミド、N,N'−ジクロロエチルピメルアミド、N,N'−ジクロロエチルスベルアミドなどとの重合反応により製造することができる。これらの重合反応は、60〜150℃で行うことが好ましい。
N,N'−ビス(クロロアセト)ヒドラジドはモノクロロ酢酸エステルとヒドラジンとのエステル−アミド交換反応により得ることができる。ポリメチレンビス(クロロアセトアミド)は、モノクロロ酢酸エステルとポリメチレンジアミンとのエステル−アミド交換反応により得ることができる。ポリメチレンビス(クロロプロピオンアミド)は、モノクロロプロピオン酸エステルとポリメチレンジアミンとのエステル−アミド交換反応に得ることができる。ポリメチレンジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを挙げることができる。モノクロロ酢酸エステルとしてはモノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチルなどを挙げることができる。モノクロロプロピオン酸エステルとしては、モノクロロプロピオン酸メチル、モノクロロプロピオン酸エチルなどを挙げることができる。エステル−アミド交換反応は、15〜100℃で行うことが好ましい。
【0008】
N,N'−ジクロロエチルオキサミドは、例えば、シュウ酸ジメチルとモノエタノールアミンからアミドを合成したのち、塩化水素、チオニルクロライド、五塩化リン、三塩化リン、オキシ塩化リンなどによりクロル化することにより得ることができる。N,N'−ジクロロエチルマロンアミドは、例えば、マロン酸ジエチルとモノエタノールアミンからアミドを合成したのち、塩化水素、チオニルクロライド、五塩化リン、三塩化リン、オキシ塩化リンなどによりクロル化することにより得ることができる。同様の反応に用いることのできるジカルボン酸エステル類としては、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸じエチル、ピメリン酸ジメチル、スベリン酸ジメチルなどを挙げることができる。
さらに、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーの他の製造方法として、N,N,N',N'−テトラメチルポリメチレンジアミンをモノハロ酢酸エステル、モノハロプロピオン酸エステルなどにより四級アンモニウム塩とし、これとポリメチレンジアミンとの重縮合反応により製造することができる。四級化反応は、15〜120℃で行うことが好ましい。重縮合反応は、20〜150℃で行うことが好ましい。上記のハロゲン置換カルボン酸エステル、ポリメチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルポリメチレンジアミンは、それぞれ1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0009】
本発明の被記録材及びインクジェット記録用耐水化剤において、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーの重量平均分子量は、3,000〜260,000であることが好ましく、7,000〜210,000であることがより好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、印字の際に滲みが生じ、印字部が水で流れ出したり滲んだりするおそれがある。重量平均分子量が260,000を超えると、カチオンポリマーの水溶液の粘度が高くなり、作業性と質感が悪くなるおそれがある。
本発明の被記録材の原材料としては、例えば、紙材、繊維材、樹脂材、石材などを挙げることができる。紙材としては、例えば、パルプからなる紙、パルプにポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維が配合された紙、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのベースフィルムの上に多数の微細孔を有するポリマーを積層した構造の合成紙などを挙げることができる。これらの紙材は、インクジェット記録用被記録材の原材料として好適に用いることができる。繊維材としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンなどの合成繊維、羊毛、絹、綿、麻などの天然繊維、アセテート、スフ、レーヨンなどの半合成繊維、これらの繊維を複合した繊維などからなる織物、編物、不織布などや、スパンボンド法、メルトブロー法などによる不織布などを挙げることができる。樹脂材としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリオレフィンフィルムなどの樹脂フィルム、硬質塩化ビニルシート、アクリル樹脂シートなどの樹脂シート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂成形品、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂成形品などを挙げることができる。樹脂フィルムや樹脂シートには、必要に応じて、コロナ放電処理などの表面処理を施すことができる。石材としては、建築材料などに用いられる石板、タイル、陶板などや、石粉を合成樹脂で固めた人工石板などを挙げることができる。
【0010】
本発明の被記録材は、被記録材100重量部中に、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマー0.01〜10重量部を含有することが好ましく、0.1〜5重量部を含有することがより好ましい。一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーの含有量が被記録材100重量部中0.01重量部未満であると、被記録材の記録の耐水性が十分に向上しないおそれがある。一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーの含有量が、被記録材100重量部中10重量部を超えると、被記録材が本来有する強度、風合などの性能が損なわれるおそれがある。
一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーを被記録材に含有させる方法に特に制限はなく、被記録材の原材料が紙材である場合は、例えば、パルプ繊維、パルプ繊維と合成繊維との配合物などの抄紙工程において、パルプスラリー中にカチオンポリマーを添加することができる。被記録材の原材料が繊維材である場合は、例えば、カチオンポリマーの水溶液を用いて繊維材をパディング処理することができる。被記録材の原材料が樹脂材である場合は、例えば、原料樹脂中にカチオンポリマーを混練して成形することができる。被記録材が石材である場合は、例えば、カチオンポリマーを含有する樹脂を用いて石粉を固め、人工石板とすることができる。
【0011】
本発明の被記録材は、その表面に、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマー0.01〜10g/m2含有することが好ましく、0.1〜5g/m2含有することがより好ましい。一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーの表面含有量が0.01g/m2未満であると、被記録材の記録の耐水性が十分に向上しないおそれがある。一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーの表面含有量が10g/m2を超えると、被記録材が本来有する表面性、風合などの性能が損なわれるおそれがある。
一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーを被記録材の表面に含有させる方法に特に制限はなく、例えば、紙材、繊維材、樹脂材、石材などの原材料の表面に、カチオンポリマーの溶液をコーティング又はスプレー処理することができる。一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマーを表面のみに含有する被記録材は、含有されるカチオンポリマーのすべてが記録の耐水性の向上に寄与するので、カチオンポリマーを効果的に活用することができる。
【0012】
本発明の被記録材には、必要に応じて、さらに他の成分を含有させることができる。他の成分としては、例えば、バインダー、無機顔料、有機顔料などを挙げることができる。バインダーとしては、例えば、酸化デンプン、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン(白土)、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナなどを挙げることができる。有機顔料としては、例えば、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、マイクロカプセル化顔料、炭素樹脂顔料などを挙げることができる。
本発明の被記録材は、インクジェット記録用被記録材として特に好適に用いることができる。記録用インクとして水性インクを用いるインクジェット記録においては、被記録材の表面に記録された印字や画像が滲みなすく、また水と接触したときに印字や画像の流れ出しや滲みを生じやすい。本発明の被記録材は、インクジェット記録に際して印字や画像の滲みを生ずることなく、また、記録後に水と接触しても印字や画像の流れや滲みを生ずることがない。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、カチオンポリマーの重量平均分子量の測定及びインクジェット記録の耐水性とインク滲み性の評価は、下記の方法により行った。
(1)カチオンポリマーの重量平均分子量
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ[東ソー(株)、HLC−8120GPC]を用い、酢酸緩衝液(pH4.7)を溶離液として、ポリオキシエチレングリコール換算により求める。
(2)耐水性
インクジェットプリンター[エプソン(株)、MJ−700V2C]を用いて、黒色(BLACK)、シアン(CYAN)、マゼンタ(MAGENTA)、黄色(YELLOW)の各単色をベタ印刷したインクジェット記録材を1時間放置したのち、流水に5分間浸漬し、印字部の変化を目視により観察し、滲みの全く生じていない5級から、滲みと流れ出しの激しい1級までの5段階の限度見本と比較して評価する。
(3)インク滲み性
インクジェットプリンター[エプソン(株)、MJ−700V2C]を用いて、黒色単色をドット印字したインクジェット記録材について、倍率50倍のルーペでドット部分を観察し、滲みの全く生じていない5級から、滲みの激しい1級までの5段階の限度見本と比較して評価する。
【0014】
実施例1
水32.9g、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン11.6g及びエチレンビス(クロロアセトアミド)21.3gを混合し、95℃で6時間反応させたのち、水16.5gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は8,000であり、一般式[1]におけるmの値は24であった。
得られたカチオンポリマー水溶液をさらに水で希釈して、カチオンポリマー濃度2重量%のインクジェット記録用耐水化剤を調製した。この耐水化剤を坪量65g/m2の上質紙にバーコーターを用いて塗工し、乾燥後の塗工量が0.5g/m2である被記録紙を作製した。この被記録紙は、耐水性試験において、黒色と黄色は滲みが全くなく、シアンとマゼンタはごくわずかな滲みを生じた。インク滲み性試験において、ごくわずかな滲みを生じた。
ポリエステルポンジー布を、上記のカチオンポリマーの3重量%水溶液でパディング処理してピックアップ80重量%とし、105℃で3分間乾燥して被記録布を作製した。この被記録布は、耐水性試験において、黒色と黄色は滲みが全くなく、シアンはごくわずかな滲みを生じ、マゼンタはわずかな滲みを生じた。インク滲み性試験において、ごくわずかな滲みを生じた。
上記のカチオンポリマーの2重量%水溶液とフィルム用アンカー剤[日華化学(株)、ネオステッカー700]2重量%水溶液との重量比1:1の混合液を調製して、インクジェット記録用耐水化剤とした。この耐水化剤を、ポリエステルフィルムにバーコーターを用いて塗工し、乾燥後の塗工量がカチオンポリマーで0.5g/m2である被記録フィルムを作製した。この被記録フィルムは、耐水性試験において、黒色と黄色は滲みが全くなく、シアンはごくわずかな滲みを生じ、マゼンタはわずかな滲みを生じた。インク滲み性試験において、ごくわずかな滲みを生じた。
上記のカチオンポリマーの2重量%水溶液とフィルム用アンカー剤[日華化学(株)、ネオステッカー700]2重量%水溶液との重量比1:1の混合液を調製して、インクジェット記録用耐水化剤とした。この耐水化剤を、石板にバーコーターを用いて塗工し、乾燥後の塗工量がカチオンポリマーで0.5g/m2である被記録石板を作製した。この被記録石板は、耐水性試験において、黒色と黄色は滲みが全くなく、シアンはごくわずかな滲みを生じ、マゼンタはわずかな滲みを生じた。インク滲み性試験において、ごくわずかな滲みを生じた。
【0015】
実施例2
水34.3g、N,N,N',N−テトラメチルエチレンジアミン11.6g及びトリメチレンビス(クロロアセトアミド)22.7gを混合し、95℃で10時間反応させたのち、水17.2gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は43,000であり、一般式[1]におけるmの値は125であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例3
水35.7g、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン11.6g及びテトラメチレンビス(クロロアセトアミド)24.1gを混合し、95℃で10時間反応させたのち、水17.9gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は40,000であり、一般式[1]におけるmの値は112であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例4
水38.5g、N,N,N',N−テトラメチルエチレンジアミン11.6g及びヘキサメチレンビス(クロロアセトアミド)26.9gを混合し、95℃で10時間反応させたのち、水19.3gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は35,000であり、一般式[1]におけるmの値は91であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例5
水34.3g、N,N,N',N'−テトラメチルトリメチレンジアミン13.0g及びエチレンビス(クロロアセトアミド)21.3gを混合し、95℃で20時間反応させたのち、水17.2gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は85,000であり、一般式[1]におけるmの値は248であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
【0016】
実施例6
水35.7g、N,N,N',N'−テトラメチルトリメチレンジアミン13.0g及びトリメチレンビス(クロロアセトアミド)22.7gを混合し、95℃で20時間反応させたのち、水17.9gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は68,000であり、一般式[1]におけるmの値は190であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例7
水37.1g、N,N,N',N'−テトラメチルトリメチレンジアミン13.0g及びテトラメチレンビス(クロロアセトアミド)24.1gを混合し、490kPaの加圧下に70℃で20時間反応させたのち、水8.6gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は105,000であり、一般式[1]におけるmの値は283であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例8
水39.9g、N,N,N',N'−テトラメチルトリメチレンジアミン13.0g及びヘキサメチレンビス(クロロアセトアミド)26.9gを混合し、100℃で10時間反応させたのち、水20.0gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は20,000であり、一般式[1]におけるmの値は50であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
【0017】
実施例9
水38.5g、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン17.2g及びエチレンビス(クロロアセトアミド)21.3gを混合し、95℃で20時間反応させて得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は90,000であり、一般式[1]におけるmの値は234であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例10
水39.9g、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン17.2g及びトリメチレンビス(クロロアセトアミド)22.7gを混合し、95℃で10時間反応させたのち、水20.0gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は45,000であり、一般式[1]におけるmの値は113であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例11
水41.3g、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン17.2g及びテトラメチレンビス(クロロアセトアミド)24.1gを混合し、95℃で10時間反応させたのち、水20.7gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は40,000であり、一般式[1]におけるmの値は97であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
【0018】
実施例12
水44.1g、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン17.2g及びヘキサメチレンビス(クロロアセトアミド)26.9gを混合し、95℃で20時間反応させたのち、水22.1gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は80,000であり、一般式[1]におけるmの値は181であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例13
水34.3g、N,N,N',N'−テトラメチルトリメチレンジアミン13.0g及びN,N'−ジクロロエチルオキサミド21.3gを混合し、95℃で10時間反応させたのち、水17.2gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は30,000であり、一般式[2]におけるnの値は87であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
実施例14
水37.1g、N,N,N',N'−テトラメチルトリメチレンジアミン13.0g及びN,N'−ジクロロエチルスクシンアミド24.1gを混合し、95℃で20時間反応させたのち、水18.6gを加えて、得られたカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。このカチオンポリマーの重量平均分子量は100,000であり、一般式[2]におけるnの値は270であった。得られたカチオンポリマーについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
比較例1
ポリエチレンイミン(重量平均分子量1,200)の40重量%水溶液を調製した。このポリエチレンイミンについて、実施例1と同様にして、インクジェット記録用耐水化剤としての評価を行った。
被記録紙、被記録布、被記録フィルム及び被記録石板についての評価結果を、第1表、第2表、第3表及び第4表に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
第1表から第4表に見られるように、本発明のインクジェット記録用耐水化剤で処理した実施例1〜14の本発明の被記録材は、耐水性に優れ、黒色、シアン、マゼンタ、黄色のいずれのインクに対しても、水に浸漬して印字部の流れや滲みを生ずることがなく、また、インク滲み防止性にも優れ、ドット印字された部分に滲みを生じない。
【0024】
【発明の効果】
本発明の被記録材は、優れた耐水性を有し、特にインクジェット記録方式で印字したときにインクに滲みがなく、印字後も水によるインクの流れ出しや滲みを生ずることがない。本発明のインクジェット記録用耐水化剤によれば、紙材、繊維材、樹脂材、石材などの被記録材に、優れた耐水性を付与することができる。
Claims (5)
- 被記録材100重量部中に、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマー0.01〜10重量部を含有する請求項1記載のインクジェット記録用被記録材。
- 被記録材の表面に、一般式[1]又は一般式[2]で表されるカチオンポリマー0.01〜10g/m2を含有する請求項1記載のインクジェット記録用被記録材。
- 被記録材の原材料が、紙材、繊維材、樹脂材又は石材である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録用被記録材。
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