JP3760854B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録媒体、詳しくは水性インク画像の耐水性及び耐光性に優れたインクジェット記録媒体に関する。更に、本発明は、インクジェット記録媒体に水性インクの液滴を付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法であって、かつ、耐水性および耐光性の良い記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は製版の必要がなく、かつ現像定着をも必要とせず媒体に直接的に画像を形成する印刷方式として、またカラー化が容易であること等から情報記録の分野において近年著しい伸びを見せている。
【0003】
一般にインクジェット記録は直径数十ミクロンの細孔からインクを加圧噴出させ、数mmまたは数十mm離れた記録媒体上にドット記録を行うものであり、インクジェット記録に用いられるインクの染料は噴射の信頼性と画像濃度特性が要求されるため水溶性の直接染料、酸性染料、反応染料等が用いられている。しかしこれら染料は水に対する溶解度が極めて大きいため、当然のことながら形成された後の画像に耐水性がなくインクジェット記録した印刷物を屋外に提示した場合、雨等により記録物ににじみが生じたり、また高湿下で長期保存するだけでもにじみが生じることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらのを改善する方法の1つとして、記録媒体をあらかじめカチオン性高分子化合物で処理する方法が提案されている。このようなカチオン性高分子化合物として、例えばポリエチレンイミン(特開昭56−84992号公報)、ポリエチレンイミンの有機酸塩(特開昭59−198186号公報)、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(特開昭59−20696号公報)、ポリアリルアミン塩酸塩(特開昭62−174184号公報)、ポリビニルアミンホモポリマー(特開昭64−8085号公報)などが提案されている。しかしこれらの高分子化合物は、ある程度耐水性を向上させるものの、耐光性の向上はかならずしも十分でなく、逆に耐光性が低下してしまう例もある。
従って、本発明の目的は、水性インク画像の耐水性および耐光性に秀れたインクジェット記録媒体を提供することにある。更に、本発明の目的は、インクジェット記録媒体に水性インクの液滴を付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法であって、かつ、耐水性および耐光性の良い記録方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは水性インク画像の耐水性および耐光堅牢度を改善したインクジェット記録媒体を得るために鋭意研究した結果、インクジェット記録媒体を特定のポリアリルアミン系重合体で処理することによりこの二つの目的を同時に達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
しかして、本発明は、下記式I
【化2】
(式中、mおよびnは、独立して0より大きい整数を表し、Xはアルキル基、NH2基またはアルコキシ基を表す)で表されるポリアリルアミン系重合体またはその塩を、染料を含む水性インクが付着しようとするインクジェット記録媒体に存在させたことを特徴とするインクジェット記録媒体である。
更に、本発明は、インクジェット記録媒体に染料を含む水性インクの液滴を付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法において、該記録媒体に上記ポリアリルアミン系重合体またはその塩を存在させることを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0006】
本発明のインクジェット記録媒体は、染料を含むインクが付着しようとする記録媒体部分に、上記ポリアリルアミン系重合体またはその塩を存在させることを必須技術要件とするものであり、この必須技術要件により水性インク画像の耐水性および耐光性堅牢度を向上させたものである。従って、本発明において、上記ポリアリルアミン系重合体またはその塩を含むインクジェット記録媒体とは、該媒体内部も含め全体的に上記ポリアリルアミン系重合体またはその塩が分散されていてもよく、また、該媒体表面にのみ該重合体が存在していてもよい。また、表面の一部に該重合体が存在していても構わない。
なお、本発明において、インクジェット記録とは、近年著しく使用されてきているプロッタ記録も含むものとする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるポリアリルアミン系重合体は、式Iで表される通り、ポリアリルアミンの側鎖の第一アミノ基(−NH2)が部分的にアシル基(Xがアルキル基)、カルバモイル基(XがNH2基)またはアルコキシカルボニル基(Xがアルコキシ基)で置換されたポリアリルアミン系重合体である。式Iにおいてm/nが1/9〜9であるのが好ましく、即ち、ポリアリルアミンの側鎖の10〜90%の第一アミノ基がアシル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基で置換されたポリアリルアミン系重合体が好ましい。特に、15〜85%の第一アミノ基が置換されたものが好ましい。基本となるポリアリルアミンの重合度は10以上が好ましく、特に20〜1500が好ましい。本発明において用いるポリアリルアミン系重合体は塩であってもよく、かかる塩としてはポリアリルアミン系重合体の側鎖中のフリーのアミノ基への酸付加塩が挙げられる。具体的には、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等の無機酸;あるいは酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ヘプトン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸等の有機酸との酸付加塩が例示できる。
【0008】
以下に、式Iで表されるポリアリルアミン系重合体について、Xがアルキル基、NH2基およびアルコキシ基である場合に分けて説明する。
1)Xがアルキル基である式Iのポリアリルアミン系重合体について
Xがアルキル基である式Iのポリアリルアミン系重合体およびその製造法については特開平9−286816号公報に詳細に記載されている。
Xのアルキル基としては、炭素数1〜17のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノナニル、デカニル、ドデカニル、ペンタデカニル、ヘプタデカニルなどが挙げられる。
Xがアルキル基である式Iのポリアリルアミン系重合体は、好ましくは重合度10以上のフリータイプのポリアリルアミンと対応する無水カルボン酸とを反応させることにより得られる。対応する無水カルボン酸としては、無水酢酸、無水プロピオン酸,無水n−酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水オクタン酸、無水デカン酸、無水ラウリン酸、無水ステアリン酸、無水パルミチン酸等が例示できる。両者の反応は、水、あるいはエチルアルコール、n−プロピルアルコールなどの有機溶媒、あるいは水とこれらの有機溶媒との混合溶媒にポリアリルアミンを溶解し、これに無水カルボン酸を滴下して撹拌しながら行うことが好ましい。かくして部分アシル化ポリアリルアミンである本発明で用いるポリアリルアミン系重合体を製造することができる。かかるポリアリルアミン系重合体を、上記した無機酸または有機酸で処理することにより、その塩を製造することができる。ポリアリルアミン系重合体のアシル化度は、ポリアリルアミンと反応させる無水カルボン酸の量を調整することによって変動させることができ、またアシル化度はNMR測定またはコロイド滴定により測定できる。
以上に説明した製造法の詳細については、特開平9−286816号公報が参照される。
【0009】
2)XがNH 2 基である式Iのポリアリルアミン系重合体について
XがNH2基である式Iのポリアリルアミン系重合体およびその製造法については特開昭60−106803号公報に詳細に記載されている。
XがNH2基である式Iのポリアリルアミン系重合体は、好ましくは重合度10以上のポリアリルアミンの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩を水または極性溶媒に溶解し、加熱しながらシアン酸カリウムなどのシアン酸塩を加えて反応させることにより製造することができる。また、ポリアリルアミン系重合体の塩は上記したと同様の方法により製造することができる。かくして得られる部分カルバモイル化ポリアリルアミンである本発明で用いるポリアリルアミン系重合体のカルバモイル化度は、ポリアリルアミン無機塩と反応させるシアン酸塩の量を調整することによって変動させることができ、またカルバモイル化度はNMR測定またはコロイド滴定により測定できる。
以上に説明した製造法の詳細については、特開昭60−106803号公報が参照される。
【0010】
3)Xがアルコキシ基である式Iのポリアリルアミン系重合体について
Xがアルコキシ基である式Iのポリアリルアミン系重合体およびその製造法については特開平9−235318号公報に詳細に記載されている。
Xのアルコキシ基としては、炭素数1〜17のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デカニルオキシ、ドデカニルオキシ、ペンタデカニルオキシ、ヘプタデカニルオキシなどが挙げられる。
Xがアルコキシ基である式Iのポリアリルアミン系重合体またはその塩は、好ましくは重合度10以上のフリータイプのポリアリルアミンと対応する炭酸ジエステルとを反応させ、次いで、必要に応じて更に有機酸または無機酸で処理することにより得られる。対応する炭酸ジエステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピオニルなどが例示される。かくして得られる部分アルコキシカルボニル化ポリアリルアミンである本発明で用いるポリアリルアミン系重合体のアルコキシカルボニル化度は、ポリアリルアミンと反応させる炭酸ジエステルの量を調整することによって変動させることができ、またアルコキシカルボニル化度はNMR測定またはコロイド滴定により測定できる。
以上に説明した製造法の詳細については、特開平9−235318号公報が参照される。
【0011】
本発明のインクジェット記録媒体は、染料を含むインクが付着しようとする記録媒体部分に、上記したポリアリルアミン系重合体またはその塩を存在させる。本発明において、記録媒体は、記録媒体の表面に上記のポリアリルアミン系重合体またはその塩を存在できるものなら特に限定されない。特に、ポリアリルアミン系重合体またはその塩の存在させやすさから、主として、紙またはプラスチックフィルムが挙げられ、布帛、皮等の記録媒体も使用できる。プラスチックフィルムの素材は、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル等を例示できる。本発明のポリアリルアミン系重合体またはその塩を紙に使用する場合、原紙は特に制限はなく、酸性抄紙、中性抄紙のコート原紙、新聞用紙、印刷筆記用紙、フォーム用紙、PPC用紙などの各原紙に塗工することができる。
【0012】
本発明において、ポリアリルアミン系重合体またはその塩を、インクジェット記録媒体に存在させる方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)ポリアリルアミン系重合体またはその塩を水溶液とし、必要ならば、通常使用されるバインダー、例えば酸化デンプン、ポリビニルアルコール等と混合し、サイズプレス、ロールコーター等のコーターにより原紙に塗工する。
(2)紙に、インク吸収能力の高い顔料(例えば合成シリカ、合成アルミナ、炭酸カルシウム等)を含むバインダーで塗層し、形成したコート上の表面にエアナフコーター、スプレー等でポリアリルアミン系重合体またはその塩を適用する。
(3)上記顔料、バインダーからなる塗液中に上記のポリアクリルアミン系重合体またはその塩を添加し、その塗液を塗層する。
(4)プラスチック、布帛、皮製品等の表面に、ポリアリルアミン系重合体またはその塩の水溶液を、塗布または浸漬することによってそれらの表面に付着させて塗層を形成する。
(5)インクジェット記録媒体に、染料を含む水性インクの液滴を付着させる直前に、インクジェット記録媒体の少なくとも記録形成領域にポリアリルアミン系重合体またはその塩を付着させるようにする。
【0013】
上記(1)で、ポリアリルアミン系重合体またはその塩を紙に塗工するときは、例えば、0.03〜5W/V%のポリアリルアミン系重合体またはその塩を含む塗工液を製造し、塗工液量を、通常、乾燥塗工量で1〜50g/m2にすることができる。
本発明のインクジェット記録媒体として、内部にもポリアリルアミン系重合体またはその塩を含む紙を製造するときは、原料のパルプと共に、合成パルプや合成繊維を用いてもよく、更に、ポリアリルアミン系重合体またはその塩と共に、白色性顔料、例えば、酸化チタン、炭化カルシウム、ゼオライトを内添して、紙の白色度を向上させることができる
【0014】
本発明で用いるポリアリルアミン系重合体またはその塩は他の塗工用薬剤と併用して使用できる。たとえばカチオン変性デンプン、酸化デンプン、ポリビニルアルコール、表面塗工用ポリアクリルアミドなど、あるいは表面サイズ剤との混合液にして塗工することもできる。また塗工用顔料としては、合成非晶質シリカ、クレー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウムなどを挙げることができる。その他表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、消泡剤、粘度調節剤、染料などの添加剤を併用しても差し支えない。
【0015】
本発明で用いるポリアリルアミン系重合体またはその塩のこれら塗工層中への添加量としては、通常0.05g/m2〜10g/m2、好ましくは0.2g/m2〜5g/m2である。
【0016】
インクジェット記録媒体に本発明で用いるポリアリルアミン重合体またはその塩を存在させて、該記録媒体に、染料を含む水性インクの液滴を付着させることによりインクジェット記録を行うことができる。水性インクとしては、直接染料、酸性染料、反応性染料などの染料を含む通常インクジェット記録に使用されている任意の水性インクを使用することができる。インクジェット記録は通常使用されている装置等により水性インクの微小液滴を発生させ、飛翔させて該記録媒体に付着させて記録を行うことができる。本発明のインクジェット記録方法は、ファクシミリ、プリンター、コンピューター端末等に幅広く適用できる。
【0017】
以下、本発明を、合成例、実施例、比較例および試験例に基いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
合成例1
30モル%アセチル化ポリアリルアミンの合成
かき混ぜ機、ジムロート還流器、滴下ロート、温度計を備えた4ツ口5l丸底セパラブルフラスコに、分子量約1万の10%ポリアリルアミン水溶液(日東紡績(株)製PAA−10C)を3443g(PAAモノマー単位で6.0モル)を仕込み、フラスコを氷水で冷やし200rpmで撹拌しながら、無水酢酸189.54g(1.80モル)をゆっくり滴下し、4時間かけて全量滴下した。反応時の温度は0〜5℃に保持した。引き続きフラスコを冷やしながら撹拌して同温度を維持しながら、14.83%の水酸化ナトリウム水溶液511.13g(1.90モル)を滴下し副生した酢酸を中和した。
【0018】
得られた中和後の液を、電気透析に付し、44時間かけて脱塩し、フリータイプの30モル%アセチル化ポリアリルアミン、すなわち、原料のポリアリルアミンのアミノ基に対し30モル%アセチル化された重合体を得た。フリータイプの30モル%アセチル化ポリアリルアミン水溶液に、塩酸を加え、アセトン溶媒により再沈することにより、30モル%アセチル化ポリアリルアミン塩酸塩を得た。
【0019】
合成例2
50モル%アセチル化ポリアリルアミンの合成
無水酢酸の量を315.77g(3.00モル)、水酸化ナトリウムを18.41%の水酸化ナトリウム水溶液667.31g(3.07モル)用いた以外は、合成例1と同様に操作し、フリータイプの50モル%アセチル化ポリアリルアミンを得た。NMRから、アセチル化度の計算値は、51モル%であることが判明した。これに塩酸を加え、50モル%アセチル化ポリアリルアミン塩酸塩を得た。
【0020】
合成例3
50モル%カルバモイル化ポリアリルアミンの合成
ポリアリルアミン塩酸塩水溶液(アミンとして20gで0.214モル,かつ、水80gを含む)を50℃に加熱し、これにシアン酸カリウム(8.7g,0.107モル)を水25gに溶解した液を滴下した後、20時間同温度に保った。反応終了の後、透析して塩化カリウムを除き水を留去しアセトンで沈殿させて、19.0gの固体を得た。これを塩酸で処理することにより、50モル%カルバモイル化ポリアリルアミン(アリル尿素―アリルアミン重合体)を得た。
【0021】
合成例4
70モル%カルバモイル化ポリアリルアミン
シアン化カリウムを12.11g(0.15モル)を用いた以外は、合成例3と同様に処理し、70モル%カルバモイル化ポリアリルアミン(アリル尿素−アリルアミン重合体)を得た。
【0022】
合成例5
50モル%メトキシカルボニル化ポリアリルアミン
撹拌機、滴下漏斗、温度計および還流冷却器を備えた300mlのセパラブルフラスコに、分子量約1万の濃度10.1%ポリアリルアミン水溶液(日東紡績(株)製、PAA−10C)200g(ポリアリルアミンのモノマー単位で0.35モル)を入れ、温度を50℃に保ち、その水溶液に炭酸ジメチル(ミテックス(株)製)15.95g(0.175モル)を15分掛けて滴下した。滴下終了後も温度を50℃に保ちながら、12時間反応を続けた。透明な淡黄色の反応溶液が得られた。次に、この反応溶液を留去した後、乾燥剤に無水燐酸を用い、50℃で48時間真空乾燥して、50モル%メトキシカルボニル化ポリアリルアミンを得た。
【0023】
比較例1
無機顔料として合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−37B、(株)トクヤマ社製)22.5部、バインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:PVA−117S、(株)クラレ社製)4.5部を均一に混合して、シリカ濃度15%のインク受容層塗工液を調製した。調製した塗工液を普通紙上に塗工及び乾燥してインクジェット記録媒体を作製した。
【0024】
比較例2
比較例1と同様に合成非晶質シリカ22.5部、バインダー4.5部、定着剤としてポリアリルアミン塩酸塩(商品名:PAA−HCl−3L)3部を均一に混合して、シリカ濃度15%のインク受容層塗工液を調製した。比較例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。塗工層へのポリアリルアミン塩酸塩への添加量は、1.0g/m2であった。
【0025】
比較例3
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、ポリエチレンイミンを用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0026】
比較例4
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、ポリビニルアミンを用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0027】
実施例1
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、50モル%アセチル化ポリアリルアミン塩酸塩を用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0028】
実施例2
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、30モル%アセチル化ポリアリルアミン塩酸塩を用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0029】
実施例3
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、50モル%カルバモイル化ポリアリルアミン塩酸塩を用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0030】
実施例4
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、70モル%カルバモイル化ポリアリルアミン塩酸塩を用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0031】
実施例5
比較例2で用いたPAA−HCl−3Lの代わりに、50モル%メトキシカルボニル化ポリアリルアミン塩酸塩を用いた以外は比較例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
【0032】
試験例1
比較例1〜4および実施例1〜5で得られたインクジェット記録媒体の耐光性および耐水性を以下に示す方法で評価し、表1に示した。
【0033】
1)耐光性の試験
インクジェットプリンター(商品名:PM−770C、セイコーエプソン社製)を用い、比較例および実施例で作製した試験用紙に辺の長さが1cmの正方形の図形をマゼンタでベタ印字を行ない、キセノンフェードメーター(商品名:キセノンフェードメーター X25F、スガ試験機(株)社製)を用いて耐光性試験を行なった。色彩色差計(商品名:色彩色差計 CR321、ミノルタ(株)製)を用いて試験前後における色彩測定を行ない、耐光性を下記の判断基準で評価した。
A:褪色なし
B:ほとんど褪色なし
C:幾分褪色あり
D:褪色あり
【0034】
2)耐水性の試験1
蒸留水に試験対象ポリマーを溶解し、そのポリマー溶液中に普通紙を浸漬させた後に、乾燥させることによって試験用紙を作製した。
次にこの試験用紙に耐光性と同様にインクジェットプリンターを用い、罫線をマゼンタで印字を行ない、蒸留水を1滴たらし、放置乾燥後に滲みを目視で耐水性を下記の判断基準で評価した。
A:滲みなし
B:ほとんど滲みなし
C:幾分滲みあり
D:滲みあり
【0035】
2)耐水性の試験2
耐光性試験と同様にインクジェットプリンターを用い、比較例および実施例で作製した試験用紙に辺の長さが1cmの正方形の図形をマゼンタでベタ印字を行ない、またベタ印字中に白抜き文字をいれて印字を行なった。恒温恒湿器(商品名:恒温恒湿器 LH−113、タバイエスペック(株)社製)を用いて耐水性試験を行なった。試験後に白抜き文字を目視で耐水性を下記の判断基準で評価した。
A:褪色なし
B:ほとんど褪色なし
C:幾分褪色あり
D:褪色あり
【0036】
【表1】
【0037】
表1の結果から明らかなように、本発明で用いるポリアリルアミン系重合体で処理したインクジェット記録媒体に印刷された印字は耐光性および耐水性の両者の点で優れていた。
【0038】
【発明の効果】
以上に詳細に説明した通り、ポリアリルアミンの側鎖の第一アミノ基(−NH2)が部分的にアシル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基で置換されたポリアリルアミン系重合体またはその塩を、染料を含む水性インクが付着しようとするインクジェット記録媒体に存在させることにより、記録される水性インク画像の耐水性および耐光性に優れたインクジェット記録媒体が得られる。またこのようなポリアリルアミン系重合体またはその塩を存在させたインクジェット記録媒体に水性インクの液滴を付着させることにより、耐水性および耐光性に優れたインクジェット記録を行うことができる。
Claims (3)
- ポリアリルアミン系重合体またはその塩が、m/nが1/9〜9である式Iにより表されるものである請求項1のインクジェット記録媒体。
- インクジェット記録媒体に染料を含む水性インクの液滴を付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法において、該記録媒体に、請求項1または2のポリアリルアミン系重合体またはその塩を存在させることを特徴とするインクジェット記録方法。
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