JPH11500367A - インクジェット印刷用耐水性記録材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 セルロース性繊維に加えて１重量％から４０重量％の繊維を含む含む支持紙と、この支持紙の片方又は両方の主表面の上に配置された記録層とを有する、水性インクを使用するインクジェットプロセスのための耐水性記録材料。前記記録材料が、２３℃の水中に２４時間浸した後に、ＤＩＮ ５３１２８によって測定する場合に乾燥紙の引裂強さの８０％を越える引裂強さを有する。このように水中に浸した後でさえ、インクジェットプロセスにおいて印刷される原色区域の、ＤＩＮ ６１７４によって測定する色差ΔＥは、初期色値を基準として１０未満である。

Description

【発明の詳細な説明】 インクジェット印刷用耐水性記録材料 本発明は、紙の特性を有し、且つ、印刷画像(image)及び記録層用支持材料(su bstrate material)の極めて高い耐水性を有する、インクジェット印刷用の耐水 性記録材料に係わる。 ＤＥ−Ａ−３０ １８ ３４２Ａは、インクジェット印刷用の合成紙を開示し 、この合成紙は、インクジェットプリンタ内で合成紙上に印刷が行われた後に、 高い記録密度と良好な色彩再現と高い耐水性を得るために熱によって透明化され る。最初は色が薄く見える印刷が、単に印刷後の溶融の結果として、高コントラ ストと高耐水性とを得る。従って、このタイプの紙は不透明度が低い（透明度が 高い）という欠点と、熱による後処理という追加プロセスを要するという欠点を 有する。 ＤＥ−Ａ−０１ ６４ １９６ Ａは、合成繊維の紙も含むシート状支持材料 (base material)上のインクジェットプロセス用記録層を開示し、この記録層は 、水性インクを固着させるためのカチオンポリマーと多価金属塩との両方を含む 。これに加えて、該記録層は、水浸透性又は水膨潤性のバインダー（例えば、ポ リビニルアルコール）、顔料（例えば、炭酸カルシウ ム、カオリン）、及び、尿素／ホルムアルデヒド充填剤を含むことが可能である 。使用成分（ＰＶＡ、多価金属塩、カチオンポリマー）の選択のために、インク ジェットプロセスにおける印刷物の耐水性は、上記文献で述べられている耐水性 試験（水中に１分間浸した後で乾燥）で有効であると評価されている場合でさえ 、比較的低い。上記出願の主要目標は、鮮明な印刷を実現する、迅速に乾燥し且 つ積み重ね可能な（裏移りのない）紙を生産することであった。 ＤＥ−Ａ−４３ ３０ ４２８は、良好な耐水性を有する記録画像をその表面 上に生じさせることが可能なインクジェット記録シートを開示する。これは、プ ラスチックフィルム又は合成紙であることが可能な耐水性支持材を使用して実現 される。記録層は、微粉砕多孔性顔料に加えて、主構成要素としてカチオンコロ イド性(cationic colloid quality)の両性イオンラテックスを含まなければなら ない。ＤＥ−Ａ−４３ ３０ ４２８は、この特殊な合成ポリマーラテックスな しで従来のバインダーを使用する場合には印刷後の耐水性が不十分であると明確 に述べている。支持材料に関しては、ポリプロピレン合成紙、含浸紙、又は、プ ラスチックフィルムが適し ていると述べられている。 ＪＰ−Ａ−４−７４６８５は、湿った状態でその表面上に印刷又は筆記を行う ことが可能な、又は、湿潤状態でその表面上に複写を行うことが可能な記録材料 に、一般的に係わる。この記録層は、合成ポリマーラテックス、顔料、架橋剤、 及び、ワックスを含む。使用される支持材料は、セルロース繊維と合成ポリマー 繊維とを含む材料であり、その結果として、この支持材料は、１８０℃以上の高 温度でだけ熱可塑性になる。 屋外用途、又は、連続的に水に接触する用途の場合には、現時点までに知られ ているインクジェット印刷用紙は、その支持紙の耐水性と記録層の耐水性とが不 十分であるので、更に別の加工処理段階（例えば、フィルムによるラミネート化 ）なしでは、こうした用途に適していない。水の影響下においてさえも物理的に 安定しており且つ極めて長期的な色彩安定性を有するインクジェット印刷物が必 要とされるのは、例えば、建物案内図、地図、場所案内図、例えば、ダイバー用 の場所案内図、ラベル、標識プレート、標識のような用途においてである。 従って、本発明の目的は、水中での使用を含む屋外使用に適し、且つ、湿気又 は水によるあらゆる種類の影響に対して耐久 性がある、インクジェット印刷用の記録材料を提供することである。この目的の ためには、水の影響を受ける支持紙の物理的強度と、インクジェット画像の耐水 性との両方が必要とされる。これに加えて、高い解像度と非常に鮮明な輪郭とを 有する、鮮やかで高コントラストのカラー又は黒色インクジェット印刷が求めら れている。 本発明では、この目的が、合成繊維を含む支持紙を有し、及び、この支持紙の 片方又は両方の主表面の上に配置された記録層を有し、この記録層が高多孔性の 耐摩耗性顔料とバインダーを含み且つ１０ｇ／ｍ²から５０ｇ／ｍ²の坪量（basi s weight）を有する、水性インクを使用するインクジェットプロセスのための耐 水性記録材料によって実現され、この耐水性記録材料は、上記支持紙がその支持 紙の全重量を基準として１０重量％から９０重量％のセルロース繊維と４０重量 ％から１重量％の合成繊維と５０重量％から５重量％のバインダーとを含むこと 、及び、２３℃の水中に２４時間浸した後に、上記記録材料が、ＤＩＮ ５３１ ２８によって測定する場合に乾燥紙の引裂強さの８０％を越える引裂強さを有し 、インクジェットプロセスにおいて記録層に印刷される原色の区域の、 ＤＩＮ ６１７４によって測定する色差ΔＥが、初期色値(colour values)を基 準として１０未満であることを特徴とする。 バインダーに加えて、支持紙が充填剤及び／又は顔料をも含み、充填剤及び／ 又は顔料を含んだ結果として、それに対応してバインダー含量が減少させられる ことが好ましい。適切な顔料は、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫 酸カルシウム、及び、ＴｉＯ₂である。顔料／充填剤含量は２．０重量％から３ ０重量％であることが可能である。バインダーの為の架橋剤及び／又は湿潤紙力 増強剤(wet strength agent)の同時使用によって、必要に応じて支持紙の湿潤強 度を調節することが可能である。好ましいバインダーは、ポリ酢酸ビニル、ポリ 酢酸ビニルコポリマー、スチレン／ブタジエンコポリマー、スチレン／ブタジエ ン／アクリロニトリルターポリマー、スチレン／（メト）アクリラートコポリマ ー、（メト）アクリルポリマー、エチレン／（メト）アクリル酸コポリマー、ポ リビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー ス、デンプン、デンプン誘導体、カゼイン、又は、これらの混合物である。こう した薄膜形成ポリマーは市販入手可 能である。 例えば、メラミン／ホルムアルデヒド樹脂又は尿素／ホルムアルデヒド樹脂を 架橋剤として使用することが可能である。公知の加工処理によって支持紙を従来 の抄紙機で生産し、バインダーを、好ましくはサイズプレス（ｓｉｚｅ ｐｒｅ ｓｓ）中で添加し、及び／又は、次に従来通りのコーティング機械内でコーティ ングする。例えば、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビスコース繊維、又は 、これらの混合物を、支持紙中の合成繊維として含むことが可能である。支持紙 の坪量は５０ｇ／ｍ²から３００ｇ／ｍ²であり、好ましくは８０ｇ／ｍ²から２ ００ｇ／ｍ²である。 水性インクに対する支持紙の吸収性が低いので、インクジェットプリンタによ る直接印刷は、耐水性が不足した、乾燥不十分で滲んだ画像をもたらす。支持紙 自体は優れた耐水性を有し、この高い耐水性は、完全湿潤状態での高い引裂強さ によって示される。 従って、耐水性記録層を、この支持紙の片面又は両面に付加する。この記録層 は、バインダー、顔料、好ましくは染料固着組成物、及び、更に別の従来通りの 補助剤を含む。 驚くべきことに、合成繊維を含む上記の特殊な紙と、高多孔性微粉砕顔料を主 成分とするコーティングとの組み合わせが、耐摩耗性と極めて高い耐水性とを有 する紙をもたらし、この紙は、例えば水中に２４時間浸した後でさえ、その強度 を保持し、磨耗がなく且つ実質的にコントラスト損失がない画像情報を示すこと が見い出された。 合成支持紙に塗布した記録層は、迅速なインク吸収と、印刷インクに含まれる 染料の固着とを生じさせる。更に、このコーティングは、湿潤状態と乾燥状態の 両方において、支持紙に対する卓越した接着性を持たなければならない。湿潤状 態と乾燥状態の両方において、曲げ、プリーティング、折りたたみ、又は、擦り に起因する機械的ストレスが、記録層又は印刷画像に損傷を生じさせないように 、上記コーティング自体が高い凝集力を持たなければならない。 水性インクに対する良好な吸収性を確保するために、多孔性顔料、特にシリカ を記録層中に使用することが好ましい。適切な顔料は、（ＢＥＴによって測定す る場合に）２００ｍ²／ｇを越える表面積を有する。適切な顔料は、例えば、１ μｍから２０μｍの間の、好ましくは４μｍから１２μｍの間の平均粒 径を有し、且つ、上記のＢＥＴ表面積を有する、沈降シリカ粒子である。 インク染料を固着させるためには、高含量の第四アンモニウム基を含む水溶性 カチオンポリマーが記録層中に存在することが好ましい。第四ポリアクリラート 、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、カチオン改変ポリスチレン、カ チオン改変デンプン、カチオン改変ポリビニルアルコール、第４ポリエチレンイ ミン、第四ポリビニルピリジン、これらの化合物同士のコポリマー、及び、これ らの化合物と他の非イオン又はアニオンモノマーユニットとのコポリマーが適し ている。多孔性顔料１部に対して、０．１部から１部のカチオンポリマーを添加 することが好ましい。 特に耐水性の高い記録層を得るためには、概ね水性のコーティングが乾燥し終 わった後では水によって表面的に溶解されることがないバインダーを、顔料用に 選択することが有利である。ポリマー分散系(polymer dispersion)（例えば、酢 酸ビニルホモポリマー又はコポリマー、アクリラート（コ）ポリマー、スチレン ／ブタジエンコポリマー、エチレンコポリマー、又は、塩化ビニルコポリマー） が、この目的に適していることが 証明されている。記録層の柔軟性と支持紙への付着とを確保するために、−２０ ℃から＋５０℃の範囲内の、好ましくは−１０℃から＋２０℃の範囲内の最低薄 膜形成温度（minimum film formation temperature）を有する分散系を使用する ことが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デン プン、又は、デンプン誘導体のような水溶性バインダーを使用することも可能で ある。耐水性を更に増大させるために、記録層が乾燥する間に反応する架橋剤を 、コーティング液中に混合することも可能である。適切な材料は、尿素／ホルム アルデヒド樹脂、又は、メラミン／ホルムアルデヒド樹脂、アジリジン、多官能 性イソシアナート、及び、ホウ酸（ＰＶＡ用）である。 蛍光増白剤、湿潤剤、更に別の顔料（例えば、水酸化アルミニウム、又は、酸 化アルミニウム、カオリン、炭酸カルシウム）、染料、定着剤、消泡剤、増粘剤 、分散剤等を、記録層に補助剤として含むことも可能である。 インク吸収層を、従来通りのコーティングプロセスによって、例えば、エアー ブラシ又は回転ドクターブレードによって（好ましくは水性分散液から）計量供 給(metering)しながらローラ ー塗布によって合成紙に塗布し、熱風乾燥する。乾燥コーティングのコーティン グ重量は１０ｇ／ｍ²から５０ｇ／ｍ²の範囲内であり、好ましくは１５ｇ／ｍ² から３０ｇ／ｍ²の範囲内である。印刷時にインク液をコーティング内に迅速に 吸収させることを可能にし、且つ、こうして画像の線の滲みを防止するためには 、このコーティング重量が必要である。コーティング重量は、プリンタとインク 量とに応じて変化させることが可能である。 本発明のインク吸収層は、合成支持紙に対する優れた付着性を有すると共に、 良好な凝集性と柔軟性を有し、その結果として、乾燥状態と湿潤状態の両方にお いてどのような機械的ストレスにも耐える。従って、上記コーティングは、曲げ 、折りたたみ、及び、擦れに対して耐久性がある。更に、クロスハッチ(crossha tch)試験に類似した粘着テープによる層付着性試験において、上記層に損傷が生 じることはない。 コーティングした紙は機械的ストレスに対する高い耐久性を有し、即ち、この コーティング紙の初期引裂きと完全引裂きは、乾燥状態と湿潤状態の両方におい て、大きな力を加える場合にだけ生じる可能性がある。特に、ＤＩＮ ５３１２ ８によって 測定する場合に、このコーティング紙は、完全に濡れた状態でも、乾燥状態の引 裂き強さの８０％を上回る引裂強さを有する。 市販のインクジェットプリンタを使用して、（カラープリンタの場合には着色 した）鮮明な輪郭と高い解像度を有する高コントラスト画像を、本発明による紙 に印刷することが可能である。この紙は概ね水性のインクをコーティング内に迅 速に吸収し、印刷の直後でも乾燥しており、ぼやけなどの汚れが生じることがな い。適切なプリンタは、Ｃａｎｏｎ、Ｅｐｓｏｎ、Ｈｅｗｌｅｔｔ Ｐａｃｋａ ｒｄ等の企業から種々の型式で市販入手可能なプリンタのような、バブルジェッ ト原理又は圧電原理に基づいて作動するプリンタである。小型フォーマット（Ｄ ＩＮ Ａ３、Ａ４）印刷と大型フォーマット（例えばポスター用ロール紙）印刷 の両方が使用可能である。上記プリンタで使用するインクは、原則的に、水とア ニオン染料とに加えて、例えば高沸点溶剤（ｈｉｇｈ ｂｏｉｌｅｒ）（グリコ ール、ＮＭＰ等）や湿潤剤のような更に別の補助剤を含む。 こうしたインクの水溶性アニオン染料を、カチオン固着剤とのイオン相互作用 によって、印刷画像が極めて高い耐水性を有するように強力にコーティング内に 固着させる。印刷画像は、 乾燥状態と湿潤状態の両方において、曲げ、プリーティング、折りたたみ、及び 、擦りに対しても耐久性が非常に高く、従って、極端な環境条件下でさえ画像情 報は極めて高い安定性を有する。紫外光に対してさえも高い耐光堅牢度を有する インクを画像形成のために選択することが好ましい。染料の固着とコーティング 自体の耐水性とによって、本発明の記録材料は、長期間に亙る水の作用に耐える 。従って、印刷画像の色彩の強さ（コントラスト）は、２３℃の水中に２４時間 浸す間に、低下することがあるとしても僅かしか低下しない。いずれにしても、 こうした条件下での色彩の安定性は極めて良好であり、水中に浸した後でも、原 色、黒、シアン(cyan)、マゼンタ(magenta)、黄、青、赤、緑の着色区域の色差 ΔＥは、初期の色値を基準として１０未満である。試験方法 湿った紙の引裂強さと印刷画像の耐久性 原色全て（シアン、マゼンタ、黄、黒）と２色混合色（青、緑、赤）との各々 の大きな着色区域を特に含む試験画像を、インクジェットプリンタによって耐水 性インクジェット印刷用紙 に印刷する。試験画像形成の１０分後に、記録シートを２３℃の水の中に２４時 間完全に沈める。水中に浸す処理が完了した後に、湿潤状態での上記シートの縦 方向と横断方向とにおける機械的強さをＤＩＮ ５３１２８（引裂強さ）によっ て定量する。２３℃の温度と相対湿度５０％における乾燥した記録シートの引裂 強さも定量する。 更に、水中に２４時間浸した紙を、８０℃の乾燥器内で５分間乾燥させる。試 験印刷の直後に行ったように、各々の着色区域のＣｉｅｌａｂ座標における色位 置をＤＩＮ ６１７４に従って比色計によって決定する。水中に浸す前と浸した 後の個々の着色領域の測定値から計算する色差ΔＥは、印刷区域の退色、又は、 インクジェットインクの染料の固着の度合いである。実施例１ ６１％のセルロース繊維と４％の合成繊維と１２％の合成バインダーと補助剤 とから成る市販の合成１４０ｇ／ｍ²の紙を、コーティング重量（乾燥固体）２ ５ｇ／ｍ²を有する下記コーティング組成物によって回転ドクターブレードを用 いてコーティングし、１００℃の乾燥器内で５分間乾燥させる。 −水 ６００ｇ −沈降シリカ ＦＫ ３２０ ＤＳ （Ｄｅｇｕｓｓａ） ８０ｇ −平均分子量７５，０００を有する ポリ（ジアリルジメチルアンモニウム）クロリド １０ｇ −塩化ビニル／酢酸ビニルコポリマー分散液 （固体含量５０％） ９０ｇ −湿潤剤 ２．５ｇ −ポリビニルアルコール Ｍｏｗｉｏｌ ４／８８ （Ｈｏｅｃｈｓｔ）、１０％濃度溶液 ２２５ｇ −アンモニア（固体含量２５％） ７ｇ このコーティング組成物は固体含量１５．８％とｐＨ８．０を有する。 上記の通りにコーティングした紙に、関連のインクカートリッジを装着したＣ ａｎｏｎ ＢＪＣ ８００インクジェットプリンタで試験印刷を行う。この紙は 極めて高い耐水性を有する。画像が印刷されたこの紙は、乾燥状態における縦方 向の引裂強さ１．６Ｎと横断方向の引裂強さ２．０Ｎに比較して、２３℃ の水中に２４時間浸した後では、縦方向の引裂強さ３．１６Ｎと横断方向の引裂 強さ３．６４Ｎとを有する。 着色区域は、上記のように水中に浸した後で、初期色値に比較して、極めて僅 かしか又は全く色変化を示さない。 ΔＥ 黒 ０．９ シアン ５．０ マゼンタ ６．５ 黄 ８．１ 青 １．３ 緑 ２．１ 赤 ４．７ 上記のように水中に浸した後で、印刷物は、鮮明な輪郭を有する高コントラス トで高解像度の画像を呈し、肉眼で識別可能な変化を示さない。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９６年１１月２２日 【補正内容】 は合成紙であることが可能な耐水性支持材を使用して実現される。記録層は、微 粉砕多孔性顔料に加えて、主構成要素としてカチオンコロイド性（cationic col loid quality）の両性イオンラテックスを含まなければならない。ＤＥ−Ａ−４ ３ ３０ ４２８は、この特殊な合成ポリマーラテックスなしで従来のバインダ ーを使用する場合には印刷後の耐水性が不十分であると明確に述べている。支持 材料に関しては、ポリプロピレン合成紙、含浸紙、又は、プラスチックフィルム が適していると述べられている。 ＪＰ−Ａ−４−７４６８５は、湿った状態でその表面上に印刷又は筆記を行う ことが可能な、又は、湿潤状態でその表面上に複写を行うことが可能な記録材料 に、一般的に係わる。この記録層は、合成ポリマーラテックス、顔料、架橋剤、 及び、ワックスを含む。使用される支持材料は、セルロース繊維と合成ポリマー 繊維とを含む材料であり、その結果として、この支持材料は、１８０℃以上の高 温度でだけ熱可塑性になる。 ＥＰ−Ａ−４２３ ８２９から、支持シートと水性インク画像受け層とを含む 水性インク記録シートが公知である。この支持シートは、少量の合成繊維と沈降 炭酸カルシウム とを含むことが可能な紙であり、この紙は、１秒から１５秒のＳｔｏｅｃｈｉｇ ｔサイジング度を有し、且つ、水性インクで印刷する時に記録シートがねじまが ったり、しわが形成されることを防ぐために、水中に浸した時に１．３：１以下 の「縦方向の伸長」対「横方向の伸長」の比率を有する。該記録層は、微粒子シ リカ、バインダーとしてのポリビニルアルコール樹脂、及び、カチオンポリマー 材料を含む。少量の合成ポリマーラテックス材料が記録層に含まれることも可能 である。 ＧＢ−Ａ−２ ２１３ ０７８は、支持シートの表面上に形成された特定のコ ーティング層を有するインクジェット記録シートを開示し、この記録シートは、 顔料と、特定のカチオンポリマーから構成される樹脂バインダーとを含み、更に 別の樹脂バインダーを含むことも可能である。支持シートは天然パルプ紙、ポリ マーフィルム、合成パルプ紙シート、及び、合成繊維紙シートであることが可能 である。 屋外用途、又は、連続的に水に接触する用途の場合には、現時点までに知られ ているインクジェット印刷用紙は、その支持紙の耐水性と記録層の耐水性とが不 十分であるので、更に別の加工処理段階（例えば、フィルムによるラミネート化 ）なしで は、こうした用途に適していない。水の影響下においてさえも物理的に安定して おり且つ極めて長期的な色彩安定性を有するインクジェット印刷物が必要とされ るのは、例えば、建物案内図、地図、場所案内図、例えば、ダイバー用の場所案 内図、ラベル、標識プレート、標識のような用途においてである。 従って、本発明の目的は、水中での使用を含む屋外使用に適し、且つ、湿気又 は水によるあらゆる種類の影響に対して耐久性がある、インクジェット印刷用の 記録材料を提供することである。この目的のためには、水の影響を受ける支持紙 の物理的強度と、インクジェット画像の耐水性との両方が必要とされる。これに 加えて、高い解像度と非常に鮮明な輪郭とを有する、鮮やかで高コントラストの カラー又は黒色インクジェット印刷が求められている。 本発明によって、この目的が、支持紙、及び、該支持紙の片方又は両方の主表 面の上に配置された記録層を有する、水性インクを使用するインクジェットプロ セスの為の耐水性記録材料によって達成され、該耐水性記録材料は、 該支持紙が、（その支持紙の全重量を基準として）１０重量％から９０重量％ のセルロース繊維と、１重量％から４０重量 ％の合成繊維と、５０重量％から５重量％の、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル コポリマー、スチレン／ブタジエンコポリマー、スチレン／ブタジエン／アクリ ロニトリルターポリマー、スチレン／（メト）アクリラートコポリマー、（メト ）アクリルポリマー、及び、エチレン／（メト）アクリル酸コポリマーから選択 されるバインダーとを含み； 該記録層が、１０ｇ／ｍ²から５０ｇ／ｍ²の坪量（basis weight）を有し、且 つ、高多孔性の耐摩耗性顔料と、−２０℃から＋５０℃の範囲内の最低薄膜形成 温度（minimum film formation temperature）を有するポリマー分散系（polyme r dispersion）と、必要に応じて、これらに加えて、ポリビニルアルコール、ポ リビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体から選択される水溶性バインダ ー、及び／又は、バインダーのための架橋剤を含み； 及び、 該耐水性記録材料が、２３℃の水中に２４時間浸した後に、ＤＩＮ ５３１２ ８によって測定する場合に、乾燥したその記録材料の引裂強さの８０％を越える 引裂強さを有し、インクジェットプロセスにおいて上記記録層に印刷された原色 の区域 の、ＤＩＮ ６１７４によって測定する色差ΔＥが、初期色値（colour values ）を基準として１０未満である； ことを特徴とする。 バインダーに加えて、支持紙が充填剤及び／又は顔料をも含み、充填剤及び／ 又は顔料を含んだ結果として、それに対応してバインダー含量が減少させられる ことが好ましい。適切な顔料は、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫 酸カルシウム、及び、ＴｉＯ₂である。顔料／充填剤含量は支持紙の全重量を基 準にして２．０重量％から３０重量％であることが可能である。バインダーの為 の架橋剤及び／又は湿潤紙力増強剤（wet strength agent）の同時使用によって 、必要に応じて支持紙の湿潤強度を調節することが可能である。バインダーは、 ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、スチレン／ブタジエンコポリマー 、スチレン／ブタジエン／アクリロニトリルターポリマー、スチレン／（メト） アクリラートコポリマー、（メト）アクリルポリマー、エチレン／（メト）アク リル酸コポリマーから選択される。こうした薄膜形成ポリマーは市販入手可能で ある。 例えば、メラミン／ホルムアルデヒド樹脂又は尿素／ホルムアルデヒド樹脂を 架橋剤として使用することが可能である。公 水性インクに対する良好な吸収性を確保するために、多孔性顔料、特にシリカ を記録層中に使用することが好ましい。適切な顔料は、（ＢＥＴによって測定す る場合に）２００ｍ²／ｇを越える表面積を有する。適切な顔料は、例えば、１ μｍから２０μｍの間の、好ましくは４μｍから１２μｍの間の平均粒径を有し 、且つ、上記のＢＥＴ表面積を有する、沈降シリカ粒子である。 インク染料を固着させるためには、高含量の第四アンモニウム基を含み且つ記 録層乾燥時に非水溶性になる水溶性カチオンポリマーが、記録層中に存在するこ とが好ましい。第四ポリアクリラート、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロ リド、カチオン改変ポリスチレン、カチオン改変デンプン、カチオン改変ポリビ ニルアルコール、第４ポリエチレンイミン、第四ポリビニルピリジン、これらの 化合物同士のコポリマー、及び、これらの化合物と他の非イオン又はアニオンモ ノマーユニットとのコポリマーが適している。多孔性顔料１部に対して、０．１ 部から１部のカチオンポリマーを添加することが好ましい。 特に耐水性の高い記録層を得るためには、概ね水性のコーティングが乾燥し終 わった後では水によって表面的に溶解される ことがないバインダーを、顔料用に選択することが有利である。ポリマー分散系 （例えば、酢酸ビニルホモポリマー又はコポリマー、アクリラート（コ）ポリマ ー、スチレン／ブタジエンコポリマー、エチレンコポリマー、又は、塩化ビニル コポリマー）が、この目的に適していることが証明されている。記録層の柔軟性 と支持紙への付着とを確保するために、−２０℃から＋５０℃の範囲内の、好ま しくは−１０℃から＋２０℃の範囲内の最低薄膜形成温度を有する分散系を使用 する。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、又は 、デンプン誘導体のような水溶性バインダーを追加して使用することも可能であ る。耐水性を更に増大させるために、記録層が乾燥する間に反応する架橋剤を、 コーティング液中に混合することも可能である。適切な材料は、尿素／ホルムア ルデヒド樹脂、又は、メラミン／ホルムアルデヒド樹脂、アジリジン、多官能性 イソシアナート、及び、ホウ酸（ＰＶＡ用）である。 螢光増白剤、湿潤剤、更に別の顔料（例えば、水酸化アルミ 請求の範囲 １． 支持紙、及び、該支持紙の片方又は両方の主表面の上に配置された記録層 を有する、水性インクを使用するインクジェットプロセスの為の耐水性記録材料 であって、 該支持紙は、（その支持紙の全重量を基準として）１０重量％から９０重量％ のセルロース繊維と、１重量％から４０重量％の合成繊維と、５０重量％から５ 重量％の、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、スチレン／ブタジエン コポリマー、スチレン／ブタジエン／アクリロニトリルターポリマー、スチレン ／（メト）アクリラートコポリマー、（メト）アクリルポリマー、及び、エチレ ン／（メト）アクリル酸コポリマーから選択されるバインダーとを含み； 該記録層は、１０ｇ／ｍ²から５０ｇ／ｍ²の坪量を有し、且つ、高多孔性の耐 摩耗性顔料と、−２０℃から＋５０℃の範囲内の最低薄膜形成温度を有するポリ マー分散系と、必要に応じて、これらに加えて、ポリビニルアルコール、ポリビ ニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体から選択される水溶性バインダー、 及び／又は、前記バインダーのための架橋剤を含み； 及び、 該耐水性記録材料は、２３℃の水中に２４時間浸した後に、ＤＩＮ ５３１２ ８によって測定する場合に、乾燥したその記録材料の引裂強さの８０％を越える 引裂強さを有し、インクジェットプロセスにおいて前記記録層に印刷された原色 の区域の、ＤＩＮ ６１７４によって測定する色差ΔＥが、初期色値を基準とし て１０未満である； ことを特徴とする前記耐水性記録材料。 ２． 前記支持紙がポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビスコース繊維、又は 、これらの混合物を、合成繊維として含むことを特徴とする請求項１に記載の耐 水性記録材料。 ３． 前記記録層が、ポリマーバインダーと、その記録層の全重量を基準として １０重量％から７０重量％のシリカを含むことを特徴とする請求項１又は２に記 載の耐水性記録材料。 ４． 前記−２０℃から＋５０℃の範囲内の最低薄膜形成温度を有するポリマー 分散系が、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、スチレン／ブタジエン コポリマー、スチレン／ブタジエン／アクリロニトリルターポリマー、スチレン ／（メト）アクリラートコポリマー、（メト）アクリルポリマー、エチレ ン／（メト）アクリル酸コポリマー、エチレンコポリマー、塩化ビニルコポリマ ー、又は、これらの混合物から選択されることを特徴とする請求項１から３のい ずれか一項に記載の耐水性記録材料。 ５． 前記記録層が水性インクのためのポリマーカチオン固着剤を含むことを特 徴とする請求項１に記載の耐水性記録材料。 ６． 前記ポリマーカチオン固着剤が、改変ポリスチレン、カチオン（メト）ア クリラートコポリマー、第四ポリイミン、ポリ（ジアリルジメチルアンモニウム ）クロリド、又は、これらの混合物であることを特徴とする請求項５に記載の耐 水性記録材料。 ７． 水溶性染料を含むインクを使用するインクジェットプロセスによる記録の ための請求項１から６のいずれか一項に記載の耐水性記録材料の使用。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゴルト，マヌエル ドイツ連邦共和国、デー−56075・コーブ レンツ、アーンベーク・３

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 合成繊維を含む支持紙を有し、及び、前記支持紙の片方又は両方の主表面 の上に配置された記録層とを有し、前記記録層が高多孔性の耐摩耗性顔料とバイ ンダーを含み且つ１０ｇ／ｍ²から５０ｇ／ｍ²の坪量を有する、水性インクを使 用するインクジェットプロセスのための耐水性記録材料であって、前記支持紙が その支持紙の全重量を基準として１０重量％から９０重量％のセルロース繊維と ４０重量％から１重量％の合成繊維と５０重量％から５重量％のバインダーとを 含むこと、及び、２３℃の水中に２４時間浸した後に、前記記録材料が、ＤＩＮ ５３１２８によって測定する場合に乾燥紙の引裂強さの８０％を越える引裂強 さを有し、且つ、インクジェットプロセスにおいて前記記録層に印刷される原色 の区域の、ＤＩＮ ６１７４によって測定する色差ΔＥが、初期色値を基準とし て１０未満であることとを特徴とする前記耐水性記録材料。 ２． 前記支持紙がポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビスコース繊維、又は 、これらの混合物を、合成繊維として含むことを特徴とする請求項１に記載の耐 水性記録材料。 ３． 前記記録層が、ポリマーバインダーと、その記録層の全重量を基準として １０重量％から７０重量％のシリカを含むことを特徴とする請求項１又は２に記 載の耐水性記録材料。 ４． 前記記録層が、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、スチレン／ ブタジエンコポリマー、スチレン／ブタジエン／アクリロニトリルターポリマー 、スチレン／（メト）アクリラートコポリマー、（メト）アクリルポリマー、エ チレン／（メト）アクリル酸コポリマー、エチレンコポリマー、塩化ビニルコポ リマー、又は、これらの混合物を、バインダーとして含むことを特徴とする請求 項１から３のいずれか一項に記載の耐水性記録材料。 ５． 前記記録層が水性インクのためのポリマーカチオン固着剤を含むことを特 徴とする請求項１に記載の耐水性記録材料。 ６． 前記ポリマーカチオン固着剤が、改変ポリスチレン、カチオン（メト）ア クリラートコポリマー、第四ポリイミン、ポリ（ジアリルジメチルアンモニウム ）クロリド、又は、これらの混合物であることを特徴とする請求項５に記載の耐 水性記録材料。 ７． 水溶性染料を含むインクを使用するインクジェットプロ セスによる記録のための請求項１から６のいずれか一項に記載の耐水性記録材料 の使用。