JP4056722B2 - 表面被覆金属酸化物微粉末およびそれを含有する化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面被覆金属酸化物微粉末およびそれを含有する化粧料に関し、更に詳しくは、表面処理による粒成長や凝集がなく、分散性、撥水性、耐水性に優れ、かつ表面処理後の化学的安定性に優れた表面被覆金属酸化物微粉末、および該表面被覆金属酸化物微粉末を含有することで、サンスクリーン剤、耐皮脂化粧品等に好適に用いられる化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、メチルハイドロジェンポリシロキサン、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体で表面処理された表面被覆金属酸化物微粉末は、撥水性が高く、主に化粧くずれを防ぐ目的で近年広く用いられている。
従来用いられているメチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体は、
下記の一般式(2)
【化2】
(ただし、m及びnは、m+n≧22となる数)で表される。
【0003】
従来の表面被覆金属酸化物微粉末は、前記化合物で金属酸化物微粉末の表面を覆ったのち、加熱処理することで得られる。
このメチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体としては、例えば、KF−99−P、KF−9901(信越化学工業(株)製)、TSF484(東芝シリコーン(株)製)、SH1107(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の表面被覆金属酸化物微粉末には、次のような問題点があった。
従来のメチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体は、無機粉体の表面処理剤として使用されるとき、分子鎖が長いために複数の金属酸化物粒子にまたがって反応してしまい、表面処理された金属酸化物粒子が凝集や造粒をおこす原因となる。
【0005】
また、先に被覆されたメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体が立体障害となるために、金属酸化物粒子の表面を均一に被覆することができなくなり、さらに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体の一部の水素原子は無機粉体の表面の水酸基には届かず、未反応の水素原子として残留してしまう。そのために、無機粉体間の残留水素同士が反応して、無機粉体の造粒や凝集を生じさせる原因となり、化粧料等に配合した際に白味が強くなってしまう。また、化粧料に含まれるアルカリ成分により還元されることにより発生する水素ガスは、化粧品容器の膨張、破損等を生じさせるとともに、化粧料自体の品質を著しく劣化させる原因ともなり得る。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、分散性、撥水性、耐水性に優れると共に、表面処理を施した場合においても凝集や造粒が生じるおそれがなく、したがって、化粧料や他の溶媒、樹脂等に配合した場合においても、透明性に優れた化粧料や他の溶媒、樹脂等を得ることのできる表面被覆金属酸化物微粉末、および、それを含有した化粧料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次の様な表面被覆金属酸化物微粉末およびそれを含有する化粧料を採用した。
すなわち、本発明の請求項1記載の表面被覆金属酸化物微粉末は、金属酸化物微粉末の表面に、下記の一般式(1)
【化3】
(ただし、m=n=8、かつ、m+n=16)
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体による表面処理が施されて被膜が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の表面被覆金属酸化物微粉末は、請求項1記載の表面被覆金属酸化物微粉末において、前記被膜は、前記メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体を加熱処理してなるシリコーンを主成分としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の表面被覆金属酸化物微粉末は、請求項1または2記載の表面被覆金属酸化物微粉末において、前記金属酸化物微粉末の平均一次粒子径は3nm〜100nmであることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の表面被覆金属酸化物微粉末は、請求項1、2または3記載の表面被覆金属酸化物微粉末において、前記被膜は、前記金属酸化物微粉末に対して1重量%〜40重量%であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の表面被覆金属酸化物微粉末は、請求項1ないし4のいずれか1項記載の表面被覆金属酸化物微粉末において、前記金属酸化物微粉末は、酸化亜鉛微粉末であることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の化粧料は、請求項1ないし5のいずれか1項記載の表面被覆酸化亜鉛微粉末を含有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の表面被覆金属酸化物微粉末およびそれを含有する化粧料の一実施の形態について、表面にシリコーンが被覆されたシリコーン被覆金属酸化物微粉末を例に採り説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0014】
本発明のシリコーン被覆金属酸化物微粉末は、その表面にメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体による表面処理が施されることにより被膜が形成されている。
この被膜は、上記のメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体を加熱処理して得られるシリコーンが主成分である。
【0015】
ここで用いられる金属酸化物微粉末は、平均一次粒子径が3nm〜100nmであることが好ましく、より好ましくは5nm〜50nm、更に好ましくは10nm〜30nmである。
ここで、金属酸化物微粉末の平均一次粒子径を3nm〜100nmとした理由は、平均一次粒子径が100nmを越えると、化粧料に配合したときに紫外線(UV)遮蔽効果が弱くなるとともに、透明性を損なうからであり、また、さらにざらざら感が増すために、使用感が著しく損なわれてしまうからであり、また、平均一次粒子径が3nm未満であると、十分な紫外線(UV)遮蔽効果が得られず、さらに、微粉すぎてしまうために表面活性が強く、凝集や造粒を引き起こし易くなり、分散性、撥水性が不十分になるからである。
【0016】
この金属酸化物微粉末の表面処理に用いられる
【化4】
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体は、m=n=8、かつ、m+n=16であることが必要である。
【0017】
ここで、m=n=8、かつ、m+n=16を満たす数とした理由は、m+nの値が16を越えると、分子鎖が長くなりすぎるため、複数の金属酸化物微粉末にまたがって反応してしまい、表面処理された金属酸化物微粉末同士が凝集や造粒を引き起こし易くなるからである。
また、分子鎖が長いために、先に被覆されたメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体が立体障害となり、未反応の水素原子として残留してしまうからである。
【0018】
本発明で用いられるメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体の被覆量は、特に限定しないが、表面処理の対象となる金属酸化物微粉末に対し1重量%〜40重量%とするのが好ましく、より好ましくは1重量%〜20重量%、さらに好ましくは2重量%〜15重量%である。
【0019】
使用量を上記のように限定する理由は、この使用量が1重量%未満であると、金属酸化物微粉末の表面被覆量が少ないために、撥水性、耐水性を付与することができないからである。さらには、金属酸化物微粉末が光触媒活性を有する場合、光触媒活性を抑制することができないからである。また、使用量が40重量%を越えると、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体が過剰になるために、重合反応を起こし易くなり、その結果、被膜の厚みが均一にならず、外観が劣るからである。
【0020】
金属酸化物微粉末は、単一種類であっても、複数の種類が混ざったものであってもよい。金属酸化物の種類としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化パラジウム、酸化銅、酸化銀等を挙げることが出来る。特に、紫外線(UV)遮蔽性能や耐皮脂性能に優れていることから、酸化亜鉛が好適に用いられる。
【0021】
金属酸化物微粉末を、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体で表面処理する方法としては、これらを混合した後、加熱処理を行なう方法であれば特に限定されない。
これらを混合する方法および条件としては、両成分を充分に接触させることができ、かつ、均一に攪拌することができる方法を適用することができる。
ここで使用可能な混合手段としては、ボールミル、ヘンシェルミキサー、エアーブレンダー、乳鉢、アトライナー、振動式ミル、振動式ロッドミル、オングミル、ポットミル、回転式ボールミル、ハイブリタイザー等を挙げることができる。
【0022】
この混合工程においては、必要に応じて溶剤を用いてもよい。使用可能な溶剤としては、シリコーンで表面被覆した金属酸化物微粉末を得た後に除去する必要があるために、低沸点の溶剤であることが好ましい。この低沸点溶剤としては、例えば、低級アルコール(C≦4)、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、2−ブタノン、ジメチルシクロポリシロキサン(C=3、4)等を挙げることができる。
なお、使用する溶剤の量は、特に制限はされないが、後で除去することを考慮に入れれば、できるだけ少量であることが望ましい。
【0023】
また、加熱処理の条件としては、金属酸化物微粉末とメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体とが完全に反応する条件であれば、特に限定されないが、好ましくは50〜300℃で0.5〜5時間、さらに好ましくは70〜250℃で0.5〜3.5時間である。
【0024】
加熱処理の方法としては、金属酸化物微粉末とメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体とが完全に反応する方法であれば、特に制限されない。この加熱処理用の装置としては、例えば、送風乾燥機、真空乾燥機、スプレードライ機、エバポレーター等が好適に用いられる。
この加熱処理は、金属酸化物微粉末とメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体とが完全に反応する条件を満たすことができれば、昇温条件、冷却条件は特に制限されない。
【0025】
この表面被覆金属酸化物微粉末を化粧料に混合した際の紫外線(UV)遮蔽性、透明性、使用感を向上させるためには、シリコーン被覆後の金属酸化物微粉末の平均一次粒子径は3〜150nmが好ましく、また、直径5μm以上の2次凝集体を含まないことが好ましい。
ここで、前記平均一次粒子径を3〜150nmと限定した理由は、シリコーン被覆後の金属酸化物微粉末の平均一次粒子径が3nm未満であると、十分な紫外線(UV)遮蔽効果が得られず、また、150nmを越えると、紫外線(UV)遮蔽効果が弱くなるからである。
また、シリコーン被覆後の金属酸化物微粉末が直径5μm以上の2次凝集体を含むと、透明性、使用感が劣ったものとなるからである。
【0026】
本発明のメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体を使用すると、金属酸化物微粉末の凝集や造粒を防ぐことができる。したがって、表面を被覆した後の金属酸化物微粉末の平均一次粒子径が3〜150nmであり、また、直径5μm以上の2次凝集体を含まないシリコーン被覆金属酸化物微粉末が容易に得られる。
【0027】
このようにして得られる本発明のシリコーン被覆金属酸化物微粉末は、表面処理に使用されるメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体の分子鎖が短いため、複数の金属酸化物粒子にまたがって反応することがなく、また、先に被覆されたメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体が立体障害となることもない。したがって、表面処理された金属酸化物微粉末が凝集や造粒を引き起こすことなく、分散性に非常に優れたものとなり、化粧料に混合した際も、白色化することなく、しかも高い透明性を有する化粧料を得ることができる。また、得られた化粧料は、撥水性、耐水性にも優れたものとなる。
【0028】
次に、上述したシリコーン被覆金属酸化物微粉末を含有する本発明の化粧料について説明する。
本発明の化粧料は、上記のシリコーン被覆金属酸化物微粉末を含有するものであり、通常化粧料で用いられる粉体類、油剤、界面活性剤、香料、防腐剤、殺菌剤、溶剤等を同時に配合することが出来る。
本発明の化粧料としては、例えば、ファンデーション、ベースファンデーション、頬紅、白粉、プレストパウダー、チークカラー、口紅、アイライナー、アイシャドウ、ネイルカラー、サンスクリーン剤等を挙げることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明のシリコーン被覆金属酸化物微粉末及びそれを含有する化粧料について、実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0030】
まず、本発明のシリコーン被覆金属酸化物微粉末について、実施例1〜3及び比較例1〜3により具体的に説明する。
(実施例1)
平均粒径が25nmの酸化亜鉛微粉末(ZnO−350、住友大阪セメント(株)製)95gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(上述した一般式(1)においてm=8、n=8としたもの)5gを添加し、室温(25℃)にてヘンシェルミキサーで1000rpmの攪拌回転数で30分間混合し、その後、温度を100℃に上昇させると共に回転数を2000rpmに上げて1時間攪拌し、シリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を得た。
【0031】
(実施例2)
平均粒径が25nmの酸化ジルコニウム微粉末(住友大阪セメント(株)製)95gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(上述した一般式(1)においてm=8、n=8としたもの)5gを添加し、室温(25℃)にてヘンシェルミキサーで1000rpmの攪拌回転数で30分間混合し、その後、温度を100℃に上昇させると共に回転数を2000rpmに上げて1時間攪拌し、シリコーン被覆酸化ジルコニウム微粉末を得た。
【0032】
(実施例3)
平均粒径が25nmの酸化チタン微粉末(石原産業(株)製)95gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(上述した一般式(1)においてm=8、n=8としたもの)5gを添加し、室温(25℃)にてヘンシェルミキサーで1000rpmの攪拌回転数で30分間混合し、その後、温度を100℃に上昇させると共に回転数を2000rpmに上げて1時間攪拌し、シリコーン被覆酸化チタン微粉末を得た。
【0033】
(比較例1)
平均粒径が25nmの酸化亜鉛微粉末(ZnO−350、住友大阪セメント(株)製)95gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(上述した一般式(1)においてm=15、n=15としたもの)5gを添加し、室温(25℃)にてヘンシェルミキサーで1000rpmの攪拌回転数で30分間混合し、その後、温度を100℃に上昇させると共に回転数を2000rpmに上げて1時間攪拌し、シリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を得た。
【0034】
(比較例2)
平均粒径が25nmの酸化ジルコニウム微粉末(住友大阪セメント(株)製)95gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(上述した一般式(1)においてm=15、n=15としたもの)5gを添加し、室温(25℃)にてヘンシェルミキサーで1000rpmの攪拌回転数で30分間混合し、その後、温度を100℃に上昇させると共に回転数を2000rpmに上げて1時間攪拌し、シリコーン被覆酸化ジルコニウム微粉末を得た。
【0035】
(比較例3)
平均粒径が25nmの酸化チタン微粉末(石原産業(株)製)95gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(上述した一般式(1)においてm=15、n=15としたもの)5gを添加し、室温(25℃)にてヘンシェルミキサーで1000rpmの攪拌回転数で30分間混合し、その後、温度を100℃に上昇させると共に回転数を2000rpmに上げて1時間攪拌し、シリコーン被覆酸化チタン微粉末を得た。
【0036】
次いで、これら実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたシリコーン被覆金属酸化物微粉末の特性評価を行った。
特性評価の項目及び評価方法は以下の通りとした。
【0037】
(粒度分布の測定)
透明のネジ口式の硝子瓶(50ml)を用いて、シリコーン被覆金属酸化物微粉末1.0gと、エチルアルコール30.0gを秤量し、これらを強く攪拌し、超音波分散装置を用いて5分間超音波分散を行い、粒度分布測定用の分散液とした。この分散液の粒度分布は、マイクロトラックUPA(日機装(社)製)を用いて測定した。
粒度分布は、D50(50重量%以下の粒度分布領域における最大粒径)、D95(95重量%以下の粒度分布領域における最大粒径)の2種類についてそれぞれ測定した。
【0038】
(透過電子顕微鏡観察)
前記粒度分布の測定に使用した分散液をコロジオンメッシュにすくいとり、透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)観察を行い、凝集に関する評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
○:凝集物が認められない
△:わずかに凝集物が認められる
×:凝集物が認められる
【0039】
(残留水素の測定)
表面被覆金属酸化物微粉末30g及びキシレン100gを300mlの枝付三角フラスコに量り採り、この枝付三角フラスコにマグネット式の攪拌子を入れ、マグネチックスターラーを用いて10分間攪拌した。次いで、この系を密封系とした後、1規定の水酸化カリウム(KOH)/2−メチル−1−プロパノール溶液80mlを上記の枝付三角フラスコ内にゆっくりと滴下し、さらに10分間攪拌した。この際に発生する水素ガスの量は、上記の枝付三角フラスコの枝部よりメスシリンダーを用いて上方置換により捕集し、メスシリンダーの目盛りより水素ガスの発生量を求めた。
【0040】
そして、このときの水素ガスの発生量から、残留水素による化学的安定性の評価を行った。
評価基準は以下の通りとした。
A:0.1ml(測定限界)以下
B:0.1〜0.3ml
C:0.3〜0.5ml
D:0.5〜1.0ml
E:1.0ml以上
【0041】
実施例1〜3及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0042】
この表1によれば、粒度分布の測定結果より、実施例1〜3のシリコーン被覆金属酸化物微粉末は、比較例1〜3のシリコーン被覆金属酸化物微粉末に比べ、同じ被覆量にもかかわらず粒径が小さいことがわかった。また、TEM観察の結果より、実施例1〜3のシリコーン被覆金属酸化物微粉末は、凝集や造粒を起こしていないことがわかった。一方、比較例1〜3のシリコーン被覆金属酸化物微粉末は、凝集が多数存在するのが認められ、明らかに凝集を起こしていることがわかった。
さらに、上記の実施例1〜3は、残留水素についても測定限界以下(0.1ml以下)の量であり、比較例1〜3と比べても非常に少ない量となっており、化学的安定性に優れていることがわかった。
【0043】
次に、本発明のシリコーン被覆金属酸化物微粉末を含有する化粧料について、実施例4〜6及び比較例4〜6により具体的に説明する。
(実施例4)
化粧料の成分として2種類の成分(成分A及び成分Bと称す)を作製した。
成分A及び成分Bの成分比は下記の通りとした。
【0044】
〈成分A〉
実施例1で作製したシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末20.0g
デカメチルシクロペンタシロキサン30.0g
ジメチルポリシロキサン3.0g
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル7.0g
ポリオキシエチレン・ポリシロキサン共重合体3.0g
パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル7.0g
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン2.0g
〈成分B〉
エチルアルコール3.0g
蒸留水25.0g
【0045】
ここでは、上記の成分Aを混合し、90℃にて加熱分散させ、ホモジナイザーで8000rpmにて10分間攪拌した。その後、80℃に加温した成分Bを徐々に加え、90℃で乳化させた後、25℃まで徐々に冷却し、評価用の化粧料(試作品)とした。
【0046】
(実施例5)
実施例4の成分A中のシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を、実施例2で作製したシリコーン被覆酸化ジルコニウム微粉末に変更する以外は、実施例4と全く同様とした。
【0047】
(実施例6)
実施例4の成分A中のシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を、実施例3で作製したシリコーン被覆酸化チタン微粉末に変更する以外は、実施例4と全く同様とした。
【0048】
(比較例4)
実施例4の成分A中のシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を、比較例1で作製したシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末に変更する以外は、実施例4と全く同様とした。
【0049】
(比較例5)
実施例4の成分A中のシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を、比較例2で作製したシリコーン被覆酸化ジルコニウム微粉末に変更する以外は、実施例4と全く同様とした。
【0050】
(比較例6)
実施例4の成分A中のシリコーン被覆酸化亜鉛微粉末を、比較例3で作製したシリコーン被覆酸化チタン微粉末に変更する以外は、実施例4と全く同様とした。
【0051】
次いで、これら実施例4〜6及び比較例4〜6で得られたシリコーン被覆金属酸化物微粉末含有化粧料の特性評価を行った。
特性評価の項目及び評価方法は以下の通りとした。
【0052】
(白色度の評価)
得られた試作品を、1mm厚の石英板に2μmの厚さで塗布し、ヘーズメーターにてヘーズ値(H)の測定を行い、白色度を評価した。
評価基準は以下の通りとした。
A:H=0〜5%
B:H=5〜10%
C:H=10〜30%
D:H=30〜50%
E:H=50%以上
【0053】
実施例4〜6及び比較例4〜6の評価結果を表2に示す。
【表2】
【0054】
この表2によれば、実施例4〜6の化粧品は、比較例4〜6に比べてヘーズ値(H)が低く、透明性が高く、白色度に関しては比較例4〜6と比べて非常に優れていることがわかった。これにより、白色になり難く、透明性が高い化粧品であることが明らかとなった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の表面被覆金属酸化物微粉末によれば、金属酸化物微粉末の表面に、上述した一般式(1)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(ただし、m=n=8、かつ、m+n=16)による表面処理を施して被膜としたので、分散性、撥水性、耐水性に優れたものとすることができるのみでなく、表面被覆金属酸化物微粉末同士が凝集し難くなっていることによって、白色度を低下させることができ、その結果、透明性を高めることができ、特に化粧料として有用である。
【0056】
本発明の化粧料によれば、本発明の表面被覆金属酸化物微粉末を含有することとしたので、シリコーン被覆金属酸化物微粉末同士の凝集や造粒をし難くすることができ、白色度を低下させることができ、その結果、透明性を高めることができる。したがって、透明性の高い化粧品を得ることができる。
Claims (6)
- 前記被膜は、前記メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体を加熱処理してなるシリコーンを主成分としたことを特徴とする請求項1記載の表面被覆金属酸化物微粉末。
- 前記金属酸化物微粉末の平均一次粒子径は3nm〜100nmであることを特徴とする請求項1または2記載の表面被覆金属酸化物微粉末。
- 前記被膜は、前記金属酸化物微粉末に対して1重量%〜40重量%であることを特徴とする請求項1、2または3記載の表面被覆金属酸化物微粉末。
- 前記金属酸化物微粉末は、酸化亜鉛微粉末であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の表面被覆金属酸化物微粉末。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の表面被覆金属酸化物微粉末を含有することを特徴とする化粧料。
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