JP4056705B2 - 回路形成体 - Google Patents

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  • Connection Or Junction Boxes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の端子間に介在されて、各端子間の接続回路を任意に形成することができる回路形成体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回路形成体としては、例えば実開平2−5288号公報に開示されるジョイントコネクタに適用されたものがある。これは、図12(a),(b)に示すように、金属片1a、連結片1b、弾性接触片1cとからなる中継端子1,1′として構成され、この中継端子1を、図13に示すように、ジョイントコネクタ2の端子収容室3のキャビティに挿入して、端子金具4相互間を導通させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の中継端子1は、金属板を折り曲げ形成した単体のバスバーとして構成され、その中継端子1を複数用いて、ジョイントコネクタ2の前面から端子収容室3間に装着される。このため、回路形成体の装着性が悪く、かつ、複数の中継端子1が個々に装着されるものであるため、部品点数の増加に伴って取り扱い性も悪化されてしまう。
【0004】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、一体型で取り扱い易く、しかも任意の回路を容易に構成することができる回路形成体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる回路形成体は、ジョイントコネクタのハウジング内に設けられた対向する積層方向に配置された端子にそれぞれ対を成して接触する端子接触片と、同一側に配置される端子接触片の基端側をそれぞれ一体に連結する1対の連結基部と、これら1対の連結基部を連結するU字状に折り返されるU字状折曲部を有し各端子接触片の間に設けられた連結片とを一体に形成したバスバーを備え、このバスバーを構成する対を成した端子接触片の間、1対の連結基部の間、およびU字状に折り返されたU字状折曲部の間に配置される、絶縁部材からなるバスバー固定部材に一体に結合して回路形成体を構成し、前記バスバーの連結基部と連結片との結合部分近傍にこれら連結基部および連結片を選択的に切断する切断箇所を設け、その切断箇所を適宜箇所で切断した回路形成体を前記ハウジングの隙間に挿入して前記端子と前記端子接触片との接触により任意の回路を構成すると共に、相手コネクタが嵌合されるハウジングの嵌合部分に露出する前記U字状折曲部を、前記バスバーの導通関係を検査する検査部としたことを特徴とする。
【0006】
この場合、バスバーは、対を成す端子接触片それぞれが連結基部に導通し、かつ、それぞれの連結基部は連結片を介して相互に導通される。従って、この状態では特定の端子に接触する端子接触片は、これに連結する一方の連結基部を介して、この連結基部に連結する他の端子接触片に導通するとともに、連結片を介して他の連結基部に導通し、更に、この連結基部を介して対を成す端子接触片に導通し、結果的に全ての端子接触片が相互に導通された状態となる。この状態で1対の連結基部の一方または両方を適宜位置で切断し、また、連結片を適宜切断することにより、飛び接続を含めた任意の回路を構成できるようになる。そして、このように任意の回路を構成できるバスバーは、バスバー固定部材に結合されることにより、バスバー自体の強度を過剰に増大することなく端子との接触状態を保持することができるようになり、全体として回路形成体が1つの部品として構成される。
また、連結片のU字状折曲部が外方に露出するので、この露出部分にテスターの計測端子を簡単に接触させることができるため、バスバーの導通関係を簡単かつ確実に検査することができる
また、連結基部と連結片との結合部分近傍が切断されることにより、それぞれの切断箇所が集中され、導通関係の管理が容易になるとともに、連結基部および連結片の切断刃を集中させることができるようになる
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の回路形成体において、前記1対の連結基部は、それぞれの対向方向の投影面内で両連結基部が重ならないようにずらして配置したことを特徴とする。
【0008】
この場合、1対の連結基部の適宜箇所を切断するにあたって、それぞれの対向方向から切断刃を差し込む場合に、両連結基部がずれていることによりそれぞれの連結基部を個別に切断し易くなる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の回路形成体において、前記端子接触片の基端部がバスバー固定部材に一体に結合されてなることを特徴とする。
【0010】
この場合、端子接触片は、基端部がバスバー固定部材に固定されるので、この端子接触片のバネ力を効果的に発揮して端子との接触力を確保できるようになる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の回路形成体において、バスバーとバスバー固定部材との結合は、バスバーに形成された開口と、バスバー固定部材に形成されて、この開口内周との間に部分的な隙間を形成しつつ開口に嵌合される鍔部付きの突起とを介して固定されることを特徴とする。
【0012】
この場合、バスバー固定部材の突起がバスバーの開口に嵌合される際に、その突起の鍔部が変形された場合に、その変形部分が前記隙間に逃げるため、鍔部が開口内周によって削り取られる量を少なくできるようになる。
【0015】
請求項の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の回路形成体において、端子を収納する端子収納部に、端子の抜け防止方向に係合するランスを設け、前記回路形成体のバスバー固定部材に、このランスを抜け防止方向に押圧するランス戻り規制部を設けたことを特徴とする。
【0016】
この場合、回路形成体を取り付けることによりランス戻り規制部がランスを抜け防止方向に押圧するので、この押圧によりランスの戻り、つまり端子への係合状態が解除されるのを阻止できるようになる。
【0017】
請求項の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の回路形成体において、前記端子接触片が端子に接触する部分の側部に面取り部を施したことを特徴とする。
【0018】
この場合、端子接触片がこれに備わった所定の付勢力をもって端子に接触する際に、端子接触片の接触部分の側部で端子が傷付くのを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1から図11は本発明の回路形成体の一実施形態を示す。本実施形態の回路形成体は、複数の端子が並設されるハウジングを積層して構成されるジョイントコネクタに適用される場合を例に取って説明する。
【0022】
図1はジョイントコネクタ100の分解斜視図を示し、このジョイントコネクタ100は、ハウジング10、端子20、回路形成体30およびカバー50を備えて構成される。ハウジング10は、複数の端子20を収納する端子収納部11が並列して形成される。これら端子収納部11は、ハウジング10の背面側(図中後方側)に端子20の差込口11aが設けられ、また、前面側(図中手前側)に後述する相手端子220を挿入するための挿入口11bが設けられる。前記端子20は、これの後端部に配線21を接続した状態で、その先端部を前記差込口11aから端子収納部11内に差し込むようになっている。
【0023】
図2の積層前の斜視図に示すように、ハウジング10の上面には、前面側両側に第1係合凹部12が形成されるとともに、背面側両側に第1係合凸部13が形成される。一方、ハウジング10の下面には、前面側両側に第2係合凸部12aが形成されるとともに、背面側両側に第2係合凹部13aが形成される。そして、図中下方に配置される一方のハウジング10の第1係合凹部12および第1係合凸部13と、図中上方に配置される他方のハウジング10の第2係合凸部12aおよび第2係合凹部13aとを相互に嵌合することにより、図3の積層状態の斜視図に示すように、複数のハウジング10を相互に積層することができる。尚、本実施形態では、最下層に配置されるハウジング10には、下面に形成される第2係合凸部12a,12aおよび第2係合凹部13a,13aは設けられない。
【0024】
また、前記端子収納部11の配列ピッチは各ハウジング10で等しく形成され、複数のハウジング10が相互に積層された際、それぞれに形成された端子収納部11の差込口11aおよび挿入口11bは、積層された上下のハウジング10で上下に対応するようになっている。
【0025】
図4は2つのハウジング10を積層した断面図を示し、上方に積層されるハウジング10の下面には係止突起14が設けられ、これら係止突起14は、図2にも示すように、上層のハウジング10を積層する下層のハウジング10の端子収納部11に、これら端子収納部11の上方クレバス11cから挿入される。一方、端子20には、端子収納部11に収納された状態で、前記係止突起14に抜け防止方向に係止される係止凹部20aがそれぞれ形成されている。
【0026】
また、図4に示すように、端子収納部11の下部には、端子20の係止部20bに係合して、この端子20を抜け防止するランス15が設けられ、このランス15と前記係止突起14とによって端子20の2重係止構造が構成される。
【0027】
そして、図3に示すように、上下に積層されたハウジング10,10の上端には、図1に示すように、カバー50が装着される。このカバー50には、下面に前記第2係合凸部12a,12a及び第2係合凹部13a,13aが形成され、これらが積層された最上層のハウジング10の第1係合凹部12,12および第1係合凸部13,13に嵌合される。
【0028】
このようにしてハウジング10,10およびカバー50が積層されることにより前記ジョイントコネクタ100が構成され、このジョイントコネクタ100は、図5の斜視図に示すように、その前面側端部が相手コネクタ200と嵌合する嵌合部分100aとなっている。従って、この嵌合部分100aの先端面には、前記端子収納部11,11…の挿入口11b,11b…が揃って配置されることになる。
【0029】
相互に積層された前記ハウジング10,10は、図1に示すように、下層が一体型ハウジング10Aとして構成されるとともに、上層が分割型ハウジング10Bとして構成される。分割型ハウジング10Bは、これに収納される複数の端子20,20…、つまり、端子収納部11,11…が適宜数の割合で分割されるように左右に2分割され、それぞれ分割されたハウジング部分10Ba,10Bbは、係脱部分16を介して係脱自在に結合されて一体化される。
【0030】
このように、分割型ハウジング10Bでは複数の端子20が適宜数の割合で分割できるので、端子に接続される配線群が異なる方向から配索される場合に、それぞれの配線群を分割したハウジング10Ba,10Bbに予めまとめて接続しておき、それら分割したハウジング10Ba,10Bbを固定型ハウジング10Aに積層する際に1つに結合することにより、配線の接続作業を容易にすることができる。
【0031】
図3に示すように、前記係脱部分16の占有幅Wは、端子収納部11,11…のピッチに対応させて形成され、この係脱部分16によって、上方のハウジング10Aのこの係脱部分16を除く端子収納部11,11…と、下方のハウジング10の端子収納部11,11…とのそれぞれの配列ピッチを一致させるための位置合わせ機能を備える。
【0032】
このように、前記係脱部分16が位置合わせ機能を備えることにより、相互に積層されたハウジング10A,10Bに収納された各端子20は、前記係脱部分16を除いて積層方向にそれぞれ対応して配置されるため、回路形成体30を挿入して構成される回路の積層方向の組み合わせを明確にして、回路構成を的確に行うことができる。
【0033】
前記ハウジング10,10の積層部分間の前面側には、図4に示すように、前記回路形成体30を挿入するための隙間δが形成される。そして、この隙間δから挿入された回路形成体30は、ハウジング10,10にそれぞれ収納された上下の端子20,20…間に接触して導通するようになっている。尚、この回路形成体30の詳細な構造は図7〜図10をもって後述する。
【0034】
一方、前記相手コネクタ200は、図6に示すように、前記ジョイントコネクタ100の嵌合部分100aを覆って嵌合されるハウジング210と、このハウジング210内に収納される複数の相手端子220,220…と、ハウジング210内に配置されて相手端子220,220…を保持するスペーサ230とを備えて概略構成される。
【0035】
そして、相手コネクタ200をジョイントコネクタ100の嵌合部分100aに差し込むことにより、相手端子220,220…がジョイントコネクタ100の挿入口11b,11b…から挿入されて、それぞれ対応する端子20,20…に接続されるようになっている。
【0036】
図7〜図10は前記回路形成体30を示し、図7は全体斜視図、図8は平面図、図9は回路形成体を構成するバスバーの斜視図、図10は回路形成体を構成するバスバー固定部材の斜視図である。
【0037】
回路形成体30は、図4に示すように、積層されたハウジング10間の隙間δに挿入された状態で、積層方向に隣接するハウジング10の対向する端子20同士および同一のハウジング10の並設された端子20同士を任意に選択して導通する機能を有し、この回路形成体30は図7,図8に示すように、良電導性金属などの導体部材からなるバスバー31と、このバスバー31を支持し合成樹脂などの絶縁部材からなるバスバー固定部材としてのホルダー32とを一体に結合することにより構成される。
【0038】
前記バスバー31は、図9に示すように、積層するハウジング10で対向した端子20にそれぞれ対を成して接触する端子接触片33,33aと、同一側に配置される端子接触片33,33…および33a,33a…の基端側をそれぞれ一体に連結する1対の連結基部34,34aと、これら1対の連結基部34,34aを連結する連結片35とによって構成される。
【0039】
前記端子接触片33,33aは、ハウジング10に収納された端子20の数に対応して複数組み設けられ、各組の端子接触片33,33aは、それぞれの外側間距離Lが、図4に示すように、積層されたハウジング10の対向する端子20間の間隔Sよりも広がるようにそれぞれを外方に突出させて湾曲してある。従って、その湾曲された外側部分が適宜な弾発力をもって端子20に接触する接触部分36となり、その接触部分36の両側に、図4中のA部拡大図に示すように面取り部36aを施してある。
【0040】
前記1対の連結基部34,34aは、図8に示すように、それぞれ所定幅wをもった帯板状に形成され、各連結基部34,34aの対向方向、つまり図中上下方向の投影面内で両連結基部34,34aが重ならないように前後にずらせて(ずらし量w)配置される。
【0041】
前記連結片35は、図8に示すように、各端子接触片33,33a間に位置して複数配置され、一方の連結基部34からホルダー32の表面に沿って延長し、そして、このホルダー32の前縁でU字状折曲部35aを介して折り返された後、裏面に沿って他方の連結基部34aへと連なる。従って、前記U字状折曲部35aはホルダー32の前側に配置され、積層したハウジング10間の隙間δに回路形成体30を挿入した際に、そのU字状折曲部35aがジョイントコネクタ100の嵌合部分100aに露出するようになっている。
【0042】
一方、前記ホルダー32は、図10に示すように、前記端子接触片33,33aの配列方向に延設される基部37と、この基部37から端子接触片33,33aの配置個所に対応して櫛歯状に突出する複数のランス戻り規制部38とによって構成される。このランス戻り規制部38は、図4に示すように、回路形成体30を積層したハウジング10間の隙間δに挿入した際にランス15の下側に潜り込み、このランス15を抜け防止方向、つまり図中上方に押圧するようになっている。このとき、本実施形態では図10に示すように、ランス戻り規制部38の上面に、ランス15の押上げ量を調節するために凹部38aが形成されるが、ランスの押上げ量を適正に設定できる限りにおいて、この凹部38aは必ずしも必要とはせず、ランス戻り規制部38の上面を平坦面とすることもできる。
【0043】
各ランス戻り規制部38の表裏には、前記連結基部34,34aが配置される部分にそれぞれ突起39が突設されるとともに、これら連結基部34,34aに端子接触片33,33aがT字状に交差する部分、つまり、端子接触片33,33aの基端部に開口としての円形孔40がそれぞれ形成される。そして、これら円形孔40を前記突起39に嵌合することにより、バスバー31とホルダー32とが一体に結合される。
【0044】
このとき、前記突起39は、図11の拡大斜視図に示すように半円状断面に形成されて、円形孔40内周との間に部分的な隙間δ1が形成されるようになっており、かつ、突起39の頂部に抜止め用の鍔部39aが設けられている。そして、円形孔40を突起39に嵌合する際には、円形孔40の内周で鍔部39aを変形しつつ、突起39に嵌合されるようになっている。
【0045】
このように構成された前記回路形成体30は、各組の端子接触片33,33aは、それぞれ同一側に配置される一方の端子接触片33,33…は連結基部34を介して相互に導通されるとともに、他方の端子接触片33a,33a…は連結基部34aを介して相互に導通される。そして、それぞれの連結基部34,34aは連結片35を介して相互に導通されるため、結果的に前記端子接触片33,34aは全てが導通された状態にある。
【0046】
この状態で、連結基部34,34aおよび連結片35を適宜箇所で切断することにより、複数設けられた端子接触片33,33a同士の導通関係を自由に設定でき、積層されたハウジング10に収納される端子20間で任意な回路を構成できるようになる。このとき、前記切断箇所は、連結基部34,34aと連結片35とがT字状に集合する結合部分Cの近傍に設けられる。
【0047】
以下、回路形成体30による任意な回路構成の一例を図8で示す。この場合、同図中、連結基部34,34aのうち、一方の連結基部34の切断箇所をP1,P2…、他方の連結基部34aの切断箇所をQ1,Q2…、そして、連結片35の切断箇所をR1,R2…で示し、かつ、特定の端子接触片33をX1,X2…およびこれらX1,X2…にそれぞれ対向する端子接触片33a(図示省略)をX′1,X′2…、そして、特定の連結片35をY1,Y2…で示すものとする。
【0048】
即ち、図8に示すように、端子接触片X1とX2との間で連結基部34,34aをP1,Q1位置で切断した場合は、端子接触片のX1,X′1とX2,X′2とは非導通となる。また、P1とP2で切断するとともに、連結片Y1をR1で切断することにより、X1とX3とは連結片Y2,Y3を介して導通されるため、X2を飛び越えた飛び接続が可能となる。この飛び接続は、1つの端子接触片33を飛び越えるのみならず、各種態様が可能となり、例えば、両端部のP3とP4で切断することにより、両端の端子接触片X4,X5のみが連結片Y4,Y5を介して導通されることになる。勿論、この両端部のX4,X5が飛び接続される場合は、連結片Y4,Y5以外の連結片35は切断されることになる。
【0049】
更に、これ以外にも連結基部34,34aと連結片35との切断箇所の組み合わせを各種設定することにより、相互に対向する端子接触片33,33a間と、同一側に配置される端子接触片33,33…および33a,33a…を任意に選択して導通することができる。
【0050】
以上の構成により、本実施形態の回路形成体30を用いたジョイントコネクタ100にあっては、複数の端子20を並設した各端子収納部11に収納したハウジング10を積層し、積層したハウジング10の隙間δに回路形成体30を挿入して取り付ける構成となっている。
【0051】
この回路形成体30は、バスバー31とホルダー32とを一体に結合して構成され、バスバー31は、対を成す端子接触片33,33aと、1対の連結基部34,34aと、連結片35とによって構成されたもので、この回路形成体30によって積層方向に隣接するハウジング10の端子20同士および同一のハウジング10の端子20同士を接続することができ、かつ、この回路形成体30の回路構造によってそれぞれ接続する端子20を任意に選択して接続することができる。
【0052】
従って、前記ジョイントコネクタ100は、端子20とは別体となった回路形成体30を隙間δに挿入するという簡単な構造をもって、バスバー31によって積層された端子20間の接続が容易になるとともに、このバスバー31の回路構造によって所望の回路を簡単に得ることができ、回路形成の幅広い多様化が可能となる。
【0053】
また、このように任意の回路を構成できるバスバー31は、ホルダー32に結合されることにより、バスバー31自体の強度を過剰に増大することなく端子20との接触状態を保持することができるようになり、全体として回路形成体30をコンパクトな1つの部品として構成して取り扱い易くなる。
【0054】
前記ジョイントコネクタ100は前面側に嵌合部分100aを設けて、この嵌合部分100aに相手コネクタ200を挿入するようになっており、相手コネクタ200の挿入により、相手端子220がハウジング10の挿入口11bから差し込まれて端子20に接続される。従って、積層されたハウジング10にそれぞれ収納された複数の端子20間で任意の回路を構成した上で、ジョイントコネクタ100の嵌合部分100aに相手コネクタ200を嵌合することにより、それぞれの端子20に他の配線回路となる相手コネクタ200の相手端子220を容易に接続することができる。
【0055】
ところで、本実施形態では、図4に示すように、ハウジング10を積層した際に、上層となるハウジング10に設けられた係止突起14が、下層のハウジング10の端子収納部11に収納された端子20の係止凹部20aに係合されることにより、端子20を抜け防止することができる。
【0056】
そして、前記端子収納部11には、前記係止突起14の他にランス15を設けて、2重係止構造をもって端子20の係止部20bに係合するようになっており、このランス15の係合状態は、回路形成体30のホルダー32に形成したランス戻り規制部38によって押圧保持されるので、ランス15の戻り、つまり端子20への係合状態が解除されるのを阻止して、この端子20の抜けをより確実に防止することができる。
【0057】
また、前記回路形成体30は、良電導性金属などの導体部材で形成されるバスバー31がホルダー32に支持されるため、バスバー31自体の強度を過剰に増大することなく端子20との接触状態を保持することができるため、回路の接触不良を防止することができる。
【0058】
そして、前記バスバー31は、上下に対を成して対向配置される端子接触片33,33aが、積層されたハウジング10の上下の端子20にそれぞれ接触するようになっており、これら端子接触片33,33aは同一側に配置されるもの同士が1対の連結基部34,34aに連結され、かつ、これら連結基部34,34aは連結片35を介して連結されるので、これら連結基部34,34aおよび連結片35を適宜箇所で切断することにより、積層されたハウジング10の上下に対向される端子20間、および同一のハウジング10に並設される端子20間で、飛び接続を含めた回路形成を多様化することができる。
【0059】
このとき、連結基部34,34aおよび連結片35の切断箇所を、それらのT字状となる結合部分C近傍に設けたので、それぞれの切断箇所を集中させて導通関係の管理が容易になるとともに、連結基部34,34aおよび連結片35の図示省略した切断刃を集中させてコンパクト化を図ることができる。
【0060】
また、前記1対の連結基部34,34aは、切断方向となるそれぞれの対向方向の投影面内で両連結基部34,34aが重ならないようにずらせて配置したので、連結基部34,34aの適宜箇所を切断するにあたって、それぞれの連結基部34,34aを個別に切断し易くなり、その切断作業が容易になる。
【0061】
ところで、前記端子接触片33,33aは、弾発力をもって端子20に接触して相互に導通されるが、端子接触片33,33aは、その基端部が突起39および円形孔40を介してホルダー32に一体に結合されたので、端子接触片33,33aのバネ力を効果的に発揮して端子20との接触力を確保し、その接触不良を防止することができる。
【0062】
このとき、前記端子接触片33,33aが端子20に接触する部分の側部に面取り部36aが施されているので、端子接触片33,33aの接触部分36の側部で端子20が傷付くのを防止することができる。
【0063】
また、前記突起39および円形孔40は、円形孔40内周との間に部分的な隙間δを形成しつつ突起39が嵌合されるので、突起39の鍔部39aが円形孔40に嵌合される際に、その鍔部39aが変形した場合に、その変形部分が隙間δ内に逃げるため、鍔部39aが円形孔40内周によって削り取られる量を少なくし、最終的にこの鍔部39aによって固定される円形孔40と突起39との結合力を高めることができる。
【0064】
更に、前記バスバー31の連結片35は、U字状折曲部35aがホルダー32の前側に配置されて、このU字状折曲部35aがジョイントコネクタ100の嵌合部分100aに露出されるようになっているので、この露出部分に図示省略したテスターの計測端子を簡単に接触させることができるため、バスバー31の導通関係を簡単かつ確実に検査することができる。また、U字状折曲部35aの露出は相手コネクタ200の嵌合部分100aであるため、相手コネクタ200を嵌合することによりその露出部分を隠蔽することができる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明にかかる回路形成体によれば、バスバーは、対を成す端子接触片それぞれが連結基部に導通し、かつ、それぞれの連結基部は連結片を介して相互に導通されるようになっているので、全ての端子接触片が相互に導通された状態にあり、この状態で1対の連結基部の一方または両方を適宜位置で切断し、また、連結片を適宜切断することにより、飛び接続を含めた任意の回路を構成できる。そして、このように任意の回路を構成できるバスバーは、バスバー固定部材に結合されているので、バスバー自体の強度を過剰に増大することなく端子との接触状態を保持することができるようになり、全体として回路形成体をコンパクトな1つの部品として構成して取り扱い易くなる。
また、本発明にかかる回路構成体によれば、前記連結片に設けたU字状折曲部を外方に露出したので、この露出部分にテスターの計測端子を簡単に接触させることができるため、バスバーの導通関係を簡単かつ確実に検査することができる。
また、本発明にかかる回路構成体によれば、前記連結基部と前記連結片との結合部分近傍に、これら連結基部および連結片を選択的に切断する切断箇所を設けたので、それぞれの切断箇所を集中して導通関係の管理を容易にできるとともに、切断刃を集中させてコンパクト化を図ることができる
【0066】
請求項2に記載の発明にかかる回路形成体によれば、請求項1の発明の効果に加えて、前記1対の連結基部を、それぞれの対向方向の投影面内で両連結基部が重ならないようにずらして配置したので、それぞれの対向方向から切断刃を差し込む場合に、それぞれの連結基部を個別に切断し易くなり、その切断作業が容易になる。
【0067】
請求項3に記載の発明にかかる回路形成体によれば、請求項1,2の発明の効果に加えて、前記端子接触片の基端部をバスバー固定部材に一体に結合したので、端子接触片のバネ力を効果的に発揮して端子との接触力を確保でき、その接触不良を防止することができる。
【0068】
請求項4に記載の発明にかかる回路形成体によれば、請求項1〜3の発明の効果に加えて、バスバー固定部材の鍔部付きの突起を、バスバーの開口内周との間に部分的な隙間を形成しつつ嵌合することにより、バスバーとバスバー固定部材とを結合したので、突起が開口に嵌合される際に鍔部が変形された場合に、その変形部分が前記隙間に逃げるため、鍔部が開口内周によって削り取られる量を少なくして、最終的に固定される開口と突起との結合力を高めることができる。
【0070】
請求項に記載の発明にかかる回路構成体によれば、請求項1〜の発明の効果に加えて、前記バスバー固定部材にランス戻り規制部を設けて、端子の抜け防止方向に係合するランスを抜け防止方向に押圧するようにしたので、回路形成体を取り付けることによりランスの戻り、つまり端子への係合状態が解除されるのを阻止して、この端子の抜けを防止することができる。
【0071】
請求項に記載の発明にかかる回路構成体によれば、請求項1〜の発明の効果に加えて、前記端子接触片が端子に接触する部分の側部に面取り部を施したので、端子接触片の接触部分の側部で端子が傷付くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる回路形成体が用いられるジョイントコネクタの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかる回路形成体が用いられるジョイントコネクタの一実施形態を示すハウジングの積層前の斜視図である。
【図3】本発明にかかる回路形成体が用いられるジョイントコネクタの一実施形態を示すハウジングの積層状態の斜視図である。
【図4】本発明にかかる回路形成体が用いられるジョイントコネクタの一実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明にかかる回路形成体が用いられるジョイントコネクタとこれに接続される相手コネクタを示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる回路形成体が用いられるジョイントコネクタに接続される相手コネクタの分解斜視図である。
【図7】本発明にかかる回路形成体の一実施形態を示す拡大斜視図である。
【図8】本発明にかかる回路形成体の一実施形態を示す拡大平面図である。
【図9】本発明にかかる回路形成体の一実施形態を示すバスバーの拡大斜視図である。
【図10】本発明にかかる回路形成体の一実施形態を示すバスバー固定部材の斜視図である。
【図11】本発明にかかる回路形成体の一実施形態を示すバスバーとバスバー固定部材との結合部分の拡大斜視図である。
【図12】従来の回路形成体をそれぞれ示す斜視図である。
【図13】従来の回路形成体の装着状態を示すジョイントコネクタの正面図である。
【符号の説明】
10 ハウジング
11 端子収納部
15 ランス
20 端子
30 回路形成体
31 バスバー
32 ホルダー(バスバー固定部材)
33,33a 端子接触片
34,34a 連結基部
35 連結片
35a U字状折曲部
36a 面取り部
38 ランス戻り規制部
39 突起
39a 鍔部
40 円形孔(開口)
100 ジョイントコネクタ
δ1 隙間

Claims (6)

  1. ジョイントコネクタのハウジング内に設けられた対向する積層方向に配置された端子にそれぞれ対を成して接触する端子接触片と、同一側に配置される端子接触片の基端側をそれぞれ一体に連結する1対の連結基部と、これら1対の連結基部を連結するU字状に折り返されるU字状折曲部を有し各端子接触片の間に設けられた連結片とを一体に形成したバスバーを備え、このバスバーを構成する対を成した端子接触片の間、1対の連結基部の間、およびU字状に折り返されたU字状折曲部の間に配置される、絶縁部材からなるバスバー固定部材に一体に結合して回路形成体を構成し、
    前記バスバーの連結基部と連結片との結合部分近傍にこれら連結基部および連結片を選択的に切断する切断箇所を設け、その切断箇所を適宜箇所で切断した回路形成体を前記ハウジングの隙間に挿入して前記端子と前記端子接触片との接触により任意の回路を構成すると共に、相手コネクタが嵌合されるハウジングの嵌合部分に露出する前記U字状折曲部を、前記バスバーの導通関係を検査する検査部とした
    ことを特徴とする回路形成体。
  2. 請求項1に記載の回路形成体において、
    前記1対の連結基部は、それぞれの対向方向の投影面内で両連結基部が重ならないようにずらして配置した
    ことを特徴とする回路形成体。
  3. 請求項1または2に記載の回路形成体において、
    前記端子接触片の基端部がバスバー固定部材に一体に結合されてなる
    ことを特徴とする回路形成体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の回路形成体において、
    バスバーとバスバー固定部材との結合は、バスバーに形成された開口と、バスバー固定部材に形成されて、この開口内周との間に部分的な隙間を形成しつつ開口に嵌合される鍔部付きの突起とを介して固定される
    ことを特徴とする回路形成体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の回路形成体において、
    端子を収納する端子収納部に、端子の抜け防止方向に係合するランスを設け、前記回路形成体のバスバー固定部材に、このランスを抜け防止方向に押圧するランス戻り規制部を設けた
    ことを特徴とする回路形成体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の回路形成体において、
    前記端子接触片が端子に接触する部分の側部に面取り部を施した
    ことを特徴とする回路形成体。
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