JP4055635B2 - 内燃機関の暖機制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の暖機制御装置に係り、特に、内燃機関の始動前に、その始動を容易ならしめるべく内燃機関をプレヒートする装置として好適な内燃機関の暖機制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開2002−59729号公報に開示されるように、内燃機関の暖機を促進させるために、内燃機関の始動に先立って、内燃機関のプレヒートを行う装置が知られている。この装置は、内燃機関の冷却経路中に配置された蓄熱タンクを備えている。蓄熱タンクには、内燃機関の暖機時に、80℃程度に加熱された冷却水が蓄えられる。蓄熱タンクに蓄えられた温暖な冷却水は、内燃機関が停止して、内燃機関が十分に冷却された時点でも暖かい状態に維持される。プレヒートの際には、蓄熱タンクに蓄えられている温暖な冷却水が、主として吸気ポート付近が暖められるように内燃機関に対して供給される。
【0003】
蓄熱タンクに蓄えられている温暖な冷却水は、その量が有限であるため、プレヒートの実施可能回数も自ずと有限となる。一方、プレヒートが実施されれば、内燃機関の温度は一時的には上昇するものの、その後内燃機関が始動されることなく放置されれば、その温度は再び低下して、プレヒートの実施に伴う始動性向上効果が望めない状態となる。このため、上記従来の装置において、冷間時の始動性を効果的に向上させるためには、内燃機関が始動される直前にプレヒートが実施され、その後、内燃機関の温度が十分に上昇した時点で始動動作が開始されることが望ましい。
【0004】
上記従来の装置では、運転席のドアが開けられた時点が、プレヒートの実施開始タイミングとされている。つまり、この装置は、内燃機関の停止中に、ドアスイッチによって運転席側の開扉が検知されると、その時点で蓄熱タンク内の冷却水を用いたプレヒートを実施し始める。車両の運転者は、運転者側のドアを開けて車両に乗り込み、その後、一連の動作の流れとして内燃機関を始動するのが通常である。従って、上述したタイミングでプレヒートが実施されれば、多くの場合は、プレヒートが開始された後、内燃機関の温度が適当に上昇した時点で内燃機関の始動が開始されることになる。このため、上記従来の装置によれば、冷間時における内燃機関の始動性を、プレヒートを実施することで効果的に向上させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−59729号公報
【特許文献2】
特開2002−38947号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置は、プレヒートを実行するか否かを運転席側のドアが開いたか否かのみに基づいて判断しているため、プレヒートの実施が真に求められる場合に無駄なくプレヒートを実施することができない。具体的には、上記従来の装置によれば、内燃機関が停止された後、運転者が降車のために開扉を行った場合に無駄なプレヒートを実施してしまうことがある。反対に、上記従来の装置によれば、運転者が、乗車後長い時間が経過した時点で始動動作を開始したような場合には、その始動に先立つ適切なプレヒートを実施することができない。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の始動に先立って、常に無駄なく適切にプレヒートを実施することのできる内燃機関の暖機制御装置を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は、内燃機関の停止後に無駄なプレヒートを実施することのない内燃機関の暖機制御装置、および内燃機関の始動直前に適切なプレヒートを実施することのできる内燃機関の暖機制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の暖機制御装置であって、
始動前の内燃機関を暖機するためのプレヒート機構と、
車両における開扉に伴う開扉事象を認識する開扉事象認識手段と、
前記開扉事象が認識された場合に、前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施するプレヒート実施手段と、
前記プレヒート処理の実施履歴を作成する実施履歴作成手段と、
内燃機関の始動と共に前記実施履歴をクリアする実施履歴クリア手段と、
前記実施履歴が存在する場合は再プレヒートの実施を許可し、その実施履歴がクリアされている場合は再プレヒートの実施を禁止する再プレヒート実施許否決定手段と、
再プレヒートの要求条件が成立し、かつ、再プレヒートの実施が許可されている場合に再び前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施する再プレヒート実施手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、内燃機関の暖機制御装置であって、
始動前の内燃機関を暖機するためのプレヒート機構と、
車両における開扉に伴う開扉事象を認識する開扉事象認識手段と、
前記開扉事象が認識された場合に、前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施するプレヒート実施手段と、
運転席に運転者が着座しているか否かを判定する着座判定手段と、
運転席に運転者が着座していると判定される場合は、前記開扉事象の認識に伴う前記プレヒート処理の実施を禁止する開扉プレヒート禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記着座判定手段は、内燃機関が停止した後、前記開扉事象が初めて認識されるまでは運転席に運転者が着座していると判定することを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
内燃機関の始動時に、その始動に先立って生ずる始動前事象を認識する始動前事象認識手段と、
前記始動前事象が認識された場合に、前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施する始動時プレヒート実施手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図を示す。本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、シリンダヘッド12およびシリンダブロック14を備えている。シリンダヘッド12およびシリンダブロック14の内部には、冷却水を流通させるための冷却水通路が設けられている(その詳細は図示省略)。
【0015】
シリンダヘッド12内部の冷却水通路は、主配管16介してラジエタ18の一端に連通している。ラジエタ18の他端は、主配管20を介してバイパス差圧弁付きサーモスタット22に連通している。バイパス差圧弁付きサーモスタット22には、主配管20の反対側に、シリンダブロック14の内部を横断する冷却水通路24、シリンダヘッド12へと向かうバイパス通路26、およびウォータポンプ28が連通している。バイパス差圧弁付きサーモスタット22は、冷却水温が低い間は、サーモスタットにより主配管20を閉塞し、冷却水温が十分に高い場合は主配管20を開放する。また、パイパス差圧弁付きサーモスタット22は、バイパス差圧弁により、必要に応じてバイパス通路26を閉塞することができる。
【0016】
ウォータポンプ28は、内燃機関10を動力源とする機械式のポンプであり、その作動中は、バイパス差圧弁付きサーモスタット22の近傍に流入してきた冷却水を吸い込んで、シリンダブロック14内部の冷却水通路(図示せず)に吐出することができる。シリンダブロック14およびシリンダヘッド12の内部には、ウォータポンプ28から吐出された冷却水が、シリンダブロック14およびシリンダヘッド12を順次冷却した後に主配管16へ流出するように冷却水通路が形成されている。
【0017】
既述した主配管16には、スロットルボディ30に通じる配管32が連通している。スロットルボディ30には、配管32と連通する冷却水の通路(図示せず)が設けられている。この通路は、一端において配管32と連通していると共に、その他端において配管34と連通している。そして、その配管34は、シリンダブロック14内の冷却水通路24と連通する配管36に通じている。これらの配管32,34によれば、スロットルボディ30の周囲に冷却水を循環させることができ、スロットルボディの氷着を防ぐことができる。
【0018】
シリンダヘッド12には、主配管16に加えて、キャビンヒータ38に通じる配管40が連通している。キャビンヒータ38は、車室内の暖房に用いられるヒータである。キャビンヒータ38の他端は流路切り替え弁42に通じる配管43に連通している。
【0019】
流路切り替え弁42には、既述した2つの配管36,43に加えて、3本目の配管44が連通している。この配管44は、蓄熱用ウォータポンプ46を介して蓄熱タンク48の流入口に連通している。流路切り替え弁42は、外部から供給される駆動信号により、キャビンヒータ38が配管36に連通する第1状態、蓄熱用ウォータポンプ46が配管36に連通する第2状態、およびキャビンヒータ38と蓄熱用ウォータポンプ46とが導通する第3状態を選択的に実現することのできる3方向弁である。
【0020】
蓄熱用ウォータポンプ46は、電動リレー50のオン・オフに応じて作動・非作動状態を切り換えることのできる電動ポンプであり、その作動時には、流路切り替え弁42側から吸い込んだ冷却水を蓄熱タンク48に向けて吐出することができる。蓄熱タンク48は、その内外での熱伝導を十分に抑制することのできるタンクであり、本実施形態では、温暖な冷却水をその内部に蓄える目的で用いられる。蓄熱タンク48の流出口は、配管52を介して主配管16に連通している。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60には、シリンダヘッド12に配置された第1水温センサ62、および蓄熱タンク48の流出口に配置された第2水温センサ64が接続されている。第1水温センサ62によれば、シリンダヘッド12の温度を、主配管16や配管40と連通する部分の近傍において計測することができる。第2水温センサ64によれば、蓄熱タンク48から流出する冷却水の温度を計測することができる。
【0022】
ECU60には、更に、ドアスイッチ66、回転数センサ68、着座センサ70、ブレーキスイッチ72、シートベルトスイッチ74、パーキングブレーキスイッチ76およびキーシリンダースイッチ78が接続されている。ドアスイッチ66は、運転者側のドアが開くことによりオンとなるスイッチである。回転数センサ68は、機関回転数NEに応じた出力を発するセンサである。着座センサ70は、運転席に運転者の荷重が加わっているか否かに応じた出力を発するセンサである。ブレーキスイッチ72は、ブレーキペダルが踏み込まれることによりオンとなるスイッチである。シートベルトスイッチ74は、運転席のシートベルトが装着されることによりオンとなるスイッチである。パーキングブレーキスイッチ76は、パーキングブレーキがかけられているか否かに応じた出力を発するスイッチである。そして、キーシリンダースイッチ78は、キーシリンダにキーが挿入されているか否か、更には、挿入されたキーがどの位置に操作されているか等に応じた出力を発するスイッチである。
【0023】
[基本動作の説明]
次に、図1に示すシステムの基本動作を説明する。図1に示すシステムは、(1)内燃機関10の始動に先立って行われるプレヒートの実施中、(2)その始動の後、内燃機関10の温度が低い期間中、および(3)暖機が十分に進んだ後において、それぞれ異なる冷却水循環経路を形成する。以下、個々の状況下で形成される循環経路について説明する。
【0024】
(1)プレヒート実行中
本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動時に、その始動に先立ってプレヒート処理を実行することとしている。プレヒート処理の前提として、本実施形態のシステムは、内燃機関10が十分に暖機されている期間中に、温暖な冷却水を予め蓄熱タンク48に蓄える。プレヒート処理では、その温暖な冷却水が蓄熱タンク48から内燃機関10へと供給される。プレヒート処理によれば、内燃機関10の温度、特に吸気ポート近傍の温度を高めることができ、その結果、内燃機関10の始動性を高めることができる。
【0025】
図1において、実線で示す矢印は、プレヒート実行中における冷却水の流通経路を示す。プレヒートの実行中は、バイパス差圧弁付きサーモスタット22が、バイパス通路26を閉鎖する状態となると共に、流路切り替え弁42が、配管36を蓄熱用ウォータポンプ46に連通させるように制御される。更に、ECU60は、プレヒート実行中は蓄熱用ウォータポンプ46が作動するように電動リレー50を制御する。この場合、蓄熱用ウォータポンプ46から吐出された冷却水が蓄熱タンク48流入することにより、蓄熱タンク48に蓄えられている温暖な冷却水がシリンダヘッド12に向かって流出する。シリンダヘッド12に流入した温暖な冷却水は、その内部を通過してシリンダブロック14へと流通する。そして、シリンダブロック14から流出する冷却水が、配管24を通り、流路切り替え弁42を通って蓄熱用ウォータポンプ46に到達することにより冷却水の循環が成立する。冷却水が上記の経路で循環する過程で、シリンダヘッド12は、特にその吸気ポート近傍の部分が暖められる。その結果、始動時における燃料の気化性が向上し、内燃機関10の始動性が改善される。
【0026】
(2)内燃機関の低温運転中
内燃機関10の運転中は、蓄熱用ウォータポンプ46が停止状態に維持されると共に、流路切り替え弁42が、キャビンヒータ38と配管36とを連通させる状態に制御される。また、内燃機関10を動力源とする機械式のウォータポンプ28は、内燃機関10が始動されると同時にその作動を開始する。
【0027】
図1中に破線で示す矢印は、内燃機関10の運転中に実現される冷却水の流通経路を示す。内燃機関10の始動後、その暖機が十分に進行していない間、つまり、冷却水温が低い間は、バイパス差圧弁付きサーモスタット22により主配管20が閉塞状態とされる。この場合、主配管16からラジエタ18を経由して主配管20に至る経路は閉じられた系となり、その系内では冷却水の流通が生じない。このため、内燃機関10の暖機が十分に進むまでの間は、ウォータポンプ28により吐出された冷却水は、シリンダブロック14およびシリンダヘッド12を通過した後、配管40、キャビンヒータ38、流路切り替え弁42を通過してシリンダブロック14内の冷却水通路24に還流する。この間、ラジエタ18による冷却水の冷却が行われないため、冷却水温度は早期に上昇し、内燃機関10の暖機が速やかに進められる。
【0028】
(3)暖機進行後
内燃機関10の暖機が十分に進むと、つまり、冷却水温度が十分に上昇すると、サーモスタットが開いて主配管20が開放される。主配管20が開放されると、主配管16からラジエタ18を経由して主配管20に至る経路に冷却水が流通し始める。その結果、図1中に破線で示す全ての矢印に対応する冷却水の流通経路が実現される。この状態が形成されると、以後、ラジエタ18による熱交換が行われることにより、冷却水温度は80℃程度の設定温度に維持される。
尚、内燃機関10の暖機が完了すると、適当なタイミングで一時的に流路切り替え弁42が既述した第3状態、つまり、キャビンヒータ38を蓄熱用ウォータポンプ46に連通させる状態とされ、かつ、蓄熱用ウォータポンプ46が作動状態とされる。この状態が形成されると、キャビンヒータ38を通過して流通してくる温暖な冷却水が流路切り替え弁42から蓄熱用ウォータポンプ46に流入し、更に、蓄熱タンク48に流入する。その結果、蓄熱タンク48には、温暖な冷却水が蓄えられる。
【0029】
[プレヒート制御の詳細な説明]
既述した通り、本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動に先立ってプレヒート処理を行う。蓄熱タンク48に蓄えられている温暖な冷却水の量は有限であるから、プレヒート処理は、内燃機関10が現実に始動される時点で暖められているように、効率的に無駄なく実施することが望ましい。以下、このような要求を満たすべく本実施形態の装置が実行するプレヒート制御、および再プレヒート制御の内容について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態においてECU60が実行するプレヒート制御のフローチャートを示す。
図2に示すルーチンでは、先ず、内燃機関10が停止中であるか否かが判別される(ステップ100)。
内燃機関10が既に始動している場合は、プレヒートを実施する必要がない。このため、本ステップ100で内燃機関10が停止中でないと判別された場合は、以後何ら処理が実行されることなく速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0031】
内燃機関10が停止中であると判別された場合は、次に、運転席のドアが開かれたか否か、より具体的には、運転席側のドアスイッチ66がオフからオンに変化したか否かが判別される(ステップ102)。
運転者は、通常、運転席側のドアを開けて車両に乗り込み、その後一連の流れで内燃機関10を始動させるのが通常である。この場合、運転席側のドアが開いた時点でプレヒート処理を開始すると、内燃機関10が始動されるタイミングと、内燃機関10の温度が最高点付近となる期間とを合わせることができる。このため、本実施形態の装置は、運転席側のドアが開かれた時点で、先ず初回のプレヒート処理を実行することとしている。従って、本ステップ102において、運転席のドアが開かれたとの判別がなされた場合は、以後、プレヒート処理、およびその処理に付随する処理を進めるべく、ステップ104以降の処理が実行される。一方、運転席のドアが開かれていないと判別された場合は、それらの処理(ステップ104〜110の処理)がジャンプされ、速やかにステップ112以降の処理が実行される。
【0032】
すなわち、図2に示すルーチンによれば、車両において運転席側のドアが開かれると、先ず、プレヒート処理が実行される(ステップ104)。
本ステップ104では、具体的には、既述したプレヒート実行中における循環経路(上記(3)参照)を形成するため、配管36と蓄熱用ウォータポンプ46とが連通するように流路切り替え弁42が制御され、かつ、蓄熱用ウォータポンプ46が作動状態とされる。更に、バイパス差圧弁付きサーモスタット22がバイパス通路26を閉塞する状態となる。このような状態が形成されると、蓄熱タンク48内の温暖な冷却水が内燃機関10に供給されることにより、内燃機関10の温度が上昇する。
本ステップ104では、更に、予め定めた量の冷却水が蓄熱タンク48から流出した時点で、冷却水の循環を停止させるための処理、つまり、流路切り替え弁42を、キャビンヒータ38と配管36とが連通する状態とし、かつ、蓄熱用ウォータポンプ46の作動を停止させる処理が行われる。その結果、プレヒート処理は、蓄熱タンク48内に、温暖な冷却水が未だ残されている状態で終了される。
【0033】
図2に示すルーチンでは、次に、内燃機関10の到達温度、つまり、上述したプレヒート処理が実施されることにより到達した内燃機関10の温度が検出される(ステップ106)。
尚、内燃機関10の到達温度としては、シリンダヘッド12に配置されている第1水温センサ62により検出された検出値、或いは冷却水温などに基づいて推定される内燃機関10の暖機状態を表す推定値を用いることができる。
【0034】
次に、上記の如く検出された到達温度に基づいて、再プレヒート要求温度が設定される(ステップ108)。
内燃機関10の温度は、今回のプレヒート処理が終了した後、時間の経過と共に低下する。このため、運転者が車両に乗り込んだ後、しばらくの間内燃機関10を始動しないような場合は、今回のプレヒート処理に起因する始動性改善効果は小さなものとなる。そこで、本実施形態の装置は、プレヒート処理の終了後、始動がなされる前に内燃機関10の温度が低下したような場合には、再度プレヒート処理を行ってその温度の上昇を図ることとしている。
【0035】
再度のプレヒート処理の実施タイミングについては、例えば、プレヒート処理の終了後所定時間が経過した時点、或いは、内燃機関10の温度が既定の下限温度を下回った時点などとして決定することも可能である。しかしながら、前者の決定手法によれば、内燃機関10の温度が大幅に低下しているにも関わらず、所定時間が経過していないとして再プレヒートが行われず、その結果、所望の始動性が得られない事態や、さほど温度が低下していない段階で無駄に再度のプレヒート処理が実施されてしまう事態が生じ得る。また、後者の決定手法によれば、プレヒート処理の終了後における内燃機関10の到達温度が、上記既定の下限温度を僅かに上回るに過ぎないような場合に、再度のプレヒート処理が実質的に連続的に要求され、その結果、蓄熱タンク48内の冷却水が一度期に無駄に消費されてしまう事態が生ずる。
【0036】
本実施形態のシステムは、これらの不都合を防ぐべく、上記ステップ108において、プレヒート後の到達温度に基づいて、その温度より所定温度(例えば5℃)だけ低い温度を再プレヒート要求温度に設定する。そして、後に詳細に説明する通り、プレヒート処理の終了後、内燃機関10の温度がその再プレヒート要求温度以下に低下したら、その時点で再度プレヒート処理の実施を要求することとしている。このような処理によれば、温暖な冷却水を無駄なく使用しつつ、始動前の内燃機関10の温度を、効率的に高い温度に保つことができる。
【0037】
図2に示すルーチンでは、次に、プレヒート履歴フラグのセット処理、つまり、プレヒート履歴フラグをONとする処理が実行される(ステップ110)。
上記ステップ110の処理の終了後、および上記ステップ102の条件不成立時には、内燃機関10が始動されたか否かが判別される(ステップ112)。
つまり、運転席のドアが開かれてプレヒートが実行された場合にはその後に、また、運転席のドアが開かれていないと判断された場合にはその直後に、内燃機関10が始動されたか否かが判別される。その結果、内燃機関10の始動が判別されなかった場合は、そのまま今回の処理サイクルが終了される。一方、その始動が判別された場合は、プレヒート履歴フラグのリセット処理、つまり、プレヒート履歴フラグをOFFとする処理が実行される(ステップ114)。
【0038】
以上説明したステップ110〜114の処理によれば、運転者が運転席のドアを開けて車両に乗り込んだ後(プレヒートが開始された後)、内燃機関10が始動されるまでの間だけプレヒート履歴フラグをONとし、内燃機関10が始動されると同時に、そのフラグをOFFとすることができる。
【0039】
図3は、本実施形態においてECU60が実行する再プレヒート制御のフローチャートを示す。
図3に示すルーチンでは、先ず、内燃機関10が停止中であるか否かが判別される(ステップ120)。
内燃機関10が既に始動している場合は、再プレヒートを実施する必要がない。このため、本ステップ120で内燃機関10が停止中でないと判別された場合は、以後何ら処理が実行されることなく速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0040】
内燃機関10が停止中であると判別された場合は、次に、プレヒート履歴フラグがONであるか否かが判別される(ステップ122)。
【0041】
プレヒート履歴フラグは、既述した通り、運転席のドアが開かれた後、内燃機関10が始動されるまでの間だけONとされるフラグである。従って、このフラグがONでないと判別された場合は、内燃機関10は、始動を待って停止しているのではなく、作動停止が指令されたことにより停止しているものと認識することができる。内燃機関10が作動を停止することで停止状態にある場合は、再プレヒート処理を実行する必要がない。このため、上記ステップ122においてプレヒート履歴フラグがONでないと判別された場合は、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0042】
一方、上記ステップ122において、プレヒート履歴フラグがONであると判別された場合は、内燃機関10が、始動を待って停止していると認識することができる。この場合、次に、内燃機関10の温度が再プレヒート要求温度を下回っているか否かが判別される(ステップ124)。
内燃機関10の温度が再プレヒート要求温度を下回っていないと判別された場合は、未だ前回のプレヒートの効果が残っており、再プレヒートを行わずとも良好な始動性が得られると判断できる。この場合、以後、何ら処理が進められることなく今回の処理サイクルが終了される。
【0043】
これに対して、内燃機関10の温度が再プレヒート要求温度を下回っていると判別された場合は、次に、着座検出が行われる(ステップ126)。
着座検出は、運転席に運転者が着座しているか否かを判断するための処理であり、具体的には、▲1▼着座センサ70により運転者の荷重が検出されているか、▲2▼ブレーキスイッチ72によりブレーキペダルの踏み込みが検出されているか、▲3▼シートベルトスイッチ74により運転席シートベルトの装着が検出されているかなどが判別される。本ステップ126では、それらの何れかが検出されることにより、運転者の着座が判定される。
【0044】
運転席ドアの開扉に伴うプレヒート処理は、そのドアが開かれさえすれば、運転者が車両に乗り込まなくても実施される。従って、プレヒート履歴フラグは、運転席のドアが単に開かれるだけでもONとなる。上記ステップ126において運転者の着座が判定された場合は、単にドアが開かれただけではなく、運転者は車両に乗り込んでいると判断できる。従って、この場合は、再度プレヒート処理を実施して内燃機関10の温度を高める意味があると判断できる。一方、運転者の着座が判定されない場合は、ドアを開けた使用者は車両に乗り込んでいないと判断できる。つまり、この場合は、車両の使用者が単にドアを開けただけである可能性を推認することができる。そして、その使用者に内燃機関10を始動する意図がないのであれば、プレヒート処理を再度行う必要はない。
【0045】
図3に示すルーチンでは、上記ステップ126において、運転者の着座が判定されなかった場合は、次に、始動意思の検出が行われる(ステップ128)。
始動意思の検出は、内燃機関10の始動に先立つ何らかの事象が生じているか否かを判断する処理であり、具体的には、▲1▼パーキングブレーキスイッチ76によりパーキングブレーキの解除が検出されているか、▲2▼キーシリンダースイッチ78によりシリンダへのキーの挿入が検出されているかなどが検出される。本ステップ128では、それらの何れかが検出されると、運転者が始動の意図を有していると判定される。
【0046】
上記ステップ126において運転者の着座が判定されず、かつ、上記ステップ128において運転者の始動の意図が認識されない場合は、車両のドアが単に開かれただけであり、再度のプレヒート処理は実施すべきでないと判断できる。ECU60は、この場合、以後何ら処理を進めることなく今回の処理サイクルを終了させる。
【0047】
一方、上記ステップ126,128において、運転者の着座或いは始動意図が検知された場合は、内燃機関10の始動性を確保しておくべく、必要に応じてプレヒート処理は再度実行すべきと判断することができる。ECU60は、この場合、プレヒート許可条件が成立しているか否かを判別する(ステップ130)。
ここで、プレヒート許可条件とは、上述した種々の条件に加えてプレヒート処理の実施時に成立しているべき条件である。つまり、蓄熱タンク48内に貯留されている温暖な冷却水が内燃機関10に供給されることにより、内燃機関10を十分に暖機できるかどうかを判断するための条件であり、例えば、蓄熱タンク48に貯留されている冷却水の温度が所定値を超えていること、或いは、プレヒート処理を実現するための種々の要素にフェールが生じていないこと、などがその条件に該当する。
【0048】
プレヒート許可条件が成立していない場合は、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、その条件が成立している場合は、プレヒート処理が実行される(ステップ132)。
尚、本ステップ132で実行されるプレヒート処理は、上記ステップ104において実行されるプレヒート処理と異なるところがないため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0049】
プレヒート処理が終了すると、以後、上述したステップ108および110の場合と同様に、内燃機関10の到達温度の検出(ステップ134)、および再プレヒート要求温度の設定処理(ステップ136)が実行された後、今回の処理サイクルが終了される。
【0050】
以上説明した通り、図3に示すルーチンによれば、プレヒート履歴フラグがONでない場合に再度のプレヒート処理を禁止することにより、運転状態であった内燃機関10が停止した後に、プレヒート処理が実行されるのを防ぐことができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10が停止した後に、運転者が長期に渡って運転席に着座し続けた場合に、プレヒート処理が無駄に実行されるのを確実に防ぐことができる。
【0051】
また、図3に示すルーチンによれば、運転者の着座、或いは内燃機関10の始動意図が検知されない場合は、内燃機関10の温度が低下しても、再度のプレヒート処理を禁止することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、車両の使用者が、内燃機関10の始動意図を持たずに単に運転席ドアを開けたような場合に、プレヒート処理が無駄に実行されるのを防ぐことができる。
【0052】
更に、図2および図3に示すルーチンによれば、プレヒート処理が実行される毎に、その処理の直後における内燃機関10の到達温度に比して適度に低い温度を再プレヒート要求温度とすることができる。再プレヒート設定温度がこのように設定されると、プレヒート処理の終了後に内燃機関10の到達温度が再プレヒート要求温度と殆ど変わらないという事態が生ずるのを防ぎ、再度のプレヒート処理が連続的に要求されるのを防ぐことができる。このため、本実施形態のシステムによれば、蓄熱タンク48内の温暖な冷却水を一度期に消費してしまうような無駄なプレヒート処理が実施されるのを確実に防止することができる。
【0053】
このように、本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動が予期されない状況下で無駄なプレヒート処理が実行されるのを防ぎつつ、その始動が予期される状況下では、プレヒート処理を繰り返し実施することで、内燃機関10が良好な始動性を発揮し得る状態を維持することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、運転者が通常の流れに従って内燃機関10を始動する場合に限らず、運転者が通常と異なる流れに従って内燃機関10を始動するような場合にも、内燃機関10に対して良好な始動性を付与することができる。
【0054】
ところで、上述した実施の形態1においては、図3に示すルーチンにおいて、内燃機関10の温度が再プレヒート要求温度を下回らない限りは、運転者が始動の意思を示したとしても再度のプレヒート処理を実施しないこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、内燃機関10の始動性を高めるためには、その始動が開始されるに先だって、蓄熱タンク48内の温暖な冷却水はその全てがプレヒートのために消費されることが望ましい。このため、内燃機関10の始動意思が認められた場合には、内燃機関10の温度が再プレヒート要求温度を下回っていなくても、その時点で再度のプレヒート処理を実行することとしてもよい。
【0055】
尚、上述した実施の形態1においては、流路切り替え弁42、蓄熱用ウォータポンプ46、蓄熱タンク48、および配管44,52が前記第1の発明における「プレヒート機構」に、また、上記ステップ124〜130において判断される条件が前記第1の発明における「再プレヒートの要求条件」に、それぞれ相当している。また、実施の形態1においては、ECU60が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「開扉事象認識手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「プレヒート実施手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「実施履歴作成手段」が、上記ステップ114の処理を実行することにより前記第1の発明における「実施履歴クリア手段」が、上記ステップ122の処理を実行することにより前記第1の発明における「再プレヒート実施許否決定手段」が、上記ステップ132の処理を実行することにより前記第1の発明における「再プレヒート実施手段」が、それぞれ実現されている。
【0056】
更に、上述した実施の形態1においては、上記ステップ128において判断される事象が前記第4の発明における「始動前事象」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ128の処理を経て上記ステップ132の処理を実行することにより前記第4の発明おける「始動時プレヒート実施手段」が実現されている。
【0057】
実施の形態2.
次に、図4および図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1の装置は、プレヒート履歴フラグの状態を見て再度のプレヒート処理の実行可否を判断することで、内燃機関10が運転状態から停止した後、運転者が長期に渡って降車しなかった場合に、無駄なプレヒート処理が実行されるのを防止することとしている。
【0058】
しかしながら、実施の形態1の装置が実行するプレヒート制御(図2)では、内燃機関10の停車中に運転席ドアが開かれさえすれば、プレヒート処理が実行される。つまり、図2に示すプレヒート制御によれば、内燃機関10が運転状態から停止した後、運転者が降車のために運転席側のドアを開くことにより、プレヒート処理の実行条件が成立し、プレヒート処理が実行されてしまう。
【0059】
そこで、本実施形態では、運転席側の席が開かれた際に、運転者が運転席に着座しているか否かを確認し、その着座が認められる場合には、開扉に伴うプレヒート制御の実施を禁止する処理をプレヒート制御に組み込むこととした。このような処理が組み込まれると、運転者が車両に乗り込むためにドアを開けた場合にのみプレヒート処理を実施することができ、運転者が車両から降りるためにドアを開けた際に無駄にプレヒート処理が実施されるのを防ぐことができる。
【0060】
図4は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU60が実行するプレヒート制御のフローチャートを示す。
図4に示すルーチンでは、先ず、内燃機関10が停止中であるか否かが判別される(ステップ140)。
内燃機関10が既に始動している場合は、プレヒートを実施する必要がない。このため、本ステップ140で内燃機関10が停止中でないと判別された場合は、以後何ら処理が実行されることなく速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0061】
内燃機関10が停止中であると判別された場合は、次に、運転席のドアが開かれたか否かが判別される(ステップ142)。
その結果、運転席のドアが開かれたと判別された場合、つまり、運転席側のドアスイッチの出力がOFFからONに変化したと判別された場合は、次に、着座検出が行われる(ステップ144)。
一方、運転席のドアは開かれていないと判別された場合は、着座検出の処理がジャンプされ、以後速やかにステップ146の処理が実行される。
【0062】
上記ステップ144において、着座検出は、実施の形態1におけるステップ126の場合と同様の手法で行われる。着座検出により運転者の着座が認められる場合は、運転者が運転席に座った状態で車両のドアを内側から開けたと推定できる。そして、この場合は、直ちにプレヒート処理を行う必要がないと判断することができる。一方、着座検出により運転者の着座が認められない場合は、運転者が車両の外側からドアを開けたと推定でき、従って、その後直ちにプレヒート処理を実施すべきと判断することができる。
【0063】
図4に示すルーチンでは、上記ステップ144において運転者の着座が認められた場合、上記ステップ142において運転席ドアの開扉が認められなかった場合と同様に、始動意思の検出が実行される(ステップ146)。
始動意思の検出は、実施の形態1におけるステップ128の場合と同様の手法で行われる。
【0064】
上記ステップ144において運転者が運転席に着座していると判定され、かつ、上記ステップ146において始動の意思が検知できないと判定された場合は、運転者が、内燃機関10を停止させた後、単に車室内に残っているだけであると判断することができ、更に、プレヒート処理の実施は必要ないと判断することができる。ECU60は、この場合、以後何ら処理を進めることなく今回の処理サイクルを終了させる。
【0065】
一方、上記ステップ144において運転者の着座が認められない場合は、内燃機関10の始動が予期できるため、プレヒート処理を実行すべきと判断することができる。また、上記ステップ146において始動意思が検出された場合は、現に始動操作が行われているのであるから、運転者が着座しているか否かを問わずプレヒート処理を実行すべきと判断することができる。ECU60は、この場合、以後プレヒート許可条件が成立していることを条件に(ステップ148)、プレヒート処理を実行する(ステップ150)。
尚、ステップ148および150の処理は、それぞれ、実施の形態1におけるステップ130および104の処理と同様であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0066】
以上説明した通り、図4に示すルーチンによれば、運転者が内燃機関10を停止させた後、降車の目的でドアを開けた際に、その開扉を受けて無駄にプレヒート処理が実施されるのを防ぐことができる。また、このルーチンによれば、始動の意思が認められる場合には、開扉の有無や着座の有無に関わらずプレヒート処理の実施の許可することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、運転者が車両に乗り込むためにドアを開けた場合や、運転者が一時的に停止させた内燃機関10を乗車したまま再始動させようとする場合など、実施の意味がある状況下ではプレヒート処理の実施を許可しつつ、無駄なプレヒート処理の実施を有効に防ぐことができる。
【0067】
ところで、上述した実施の形態1または2においては、着座センサ70や、ブレーキスイッチ72、或いはシートベルトスイッチ74等の出力に基づいて着座検出を行うこととしているが(上記ステップ126,144参照)、その検出の手法はこれに限定されるものではない。以下、図5を参照して、それらのセンサやスイッチ類を用いずに簡易的に着座の有無を検出する手法を説明する。
【0068】
図5は、図1に示す構成において、ECU60に、着座センサ70、ブレーキスイッチ72、およびシートベルトスイッチ74を用いずに着座判定を実行させるためのルーチンのフローチャートである。
図5に示すルーチンでは、先ず、内燃機関10が停止中であるか否かが判別される(ステップ160)。
【0069】
その結果、内燃機関10が停止中でないと判別された場合は、以後何ら処理が進められることなく今回の処理サイクルが終了される。一方、内燃機関10が停止中であると判別された場合は、次に、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルにかけてイグニッションスイッチがONからOFFに変化したかが判別される(ステップ162)。
【0070】
上記ステップ162の条件が成立する場合は、今回の処理サイクルが、内燃機関10が停止した直後に実行されているサイクルであると認識することができる。この場合、ECU60は、次に着座フラグのセット処理、つまり、着座フラグをONとする処理を実行する(ステップ164)。
【0071】
一方、上記ステップ162において、イグニッションスイッチのONからOFFへの変化が認められないと判別された場合は、内燃機関10が今回の処理サイクル以前から停止していたと判断することができる。この場合、ステップ164の処理がジャンプされ、着座フラグは、前回の処理サイクル時の状態に維持される。
【0072】
図5に示すルーチンでは、次に、ドアスイッチ66の出力に基づいて運転席のドアが開かれたか否かが判別される(ステップ166)。
その結果、運転席のドアの開扉が認められると判別された場合は、着座フラグのリセット処理、つまり、着座フラグをOFFとする処理が実行される(ステップ168)。
一方、上記の開扉が認められないと判別された場合は、着座フラグの状態を維持すべく、ステップ168の処理がジャンプされ、その後速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0073】
以上説明した処理によれば、着座フラグは、内燃機関10が停止すると同時にON状態とされ、その後、運転席のドアが初めて開かれるまで、ON状態に維持される。そして、着座フラグは、内燃機関10の停止後初めて運転席のドアの開かれると同時にOFFとされ、以後内燃機関10の停止中はOFF状態のまま維持される。
【0074】
車両の運転者は、通常、内燃機関10を停止させた後、運転席側のドアを開けて降車する。このような通常の流れを前提とすると、上述した着座フラグのON・OFFは、運転者が運転席に着座しているか否かと合致する。このため、着座判定は、簡易的には、既述した着座フラグの状態に基づいて実行することができる。従って、実施の形態1または2の装置において、ECU60に図5に示すルーチンを実行させる場合には、図3に示すステップ126、或いは図4に示すステップ144において、着座判定を着座フラグの状態に基づいて実行させることが可能である。この場合、着座センサ70、ブレーキスイッチ72、およびシートベルトスイッチ74をシステムの構成から除外することができるため、その構成をより簡易にすることが可能である。
【0075】
また、上述した実施の形態1または2においては、運転席側のドアが開いたか否かを、ドアスイッチ66の出力に基づいて判断することとしているが、その判断の手法もこれに限定されるものではない。すなわち、ドアが開いたか否かは、ドアロックが解除されたか否かに基づいて判断することとしてもよい。
【0076】
更に、上述した実施の形態1または2においては、キーシリンダにキーが挿入されているか否かに基づいて始動意思の有無を判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、始動意思の有無は、キーシリンダに挿入されているキーがイグニッションスイッチONの位置に操作されているか否かに基づいて判断することとしてもよい。
【0077】
尚、上述した実施の形態2においては、流路切り替え弁42、蓄熱用ウォータポンプ46、蓄熱タンク48、および配管44,52が前記第2の発明における「プレヒート機構」に相当している。また、実施の形態2においては、ECU60が、上記ステップ142の処理を実行することにより前記第2の発明における「開扉事象認識手段」が、上記ステップ150の処理を実行することにより前記第2の発明における「プレヒート実施手段」が、上記ステップ144の処理を実行することにより前記第2の発明における「着座判定手段」および「開扉プレヒート禁止手段」が、それぞれ実現されている。
【0078】
また、上述した実施の形態2においては、ECU60に、上記図5に示すルーチンを実行させることにより、前記第3の発明における「着座判定手段」を実現することができる。
更に、上述した実施の形態2においては、上記ステップ146において判断される事象が前記第5の発明における「始動前事象」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ146の処理を経て上記ステップ150の処理を実行することにより前記第4の発明おける「始動時プレヒート実施手段」が実現されている。
【0079】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1の発明によれば、運転者が乗車した後、内燃機関が始動されるまでの間はプレヒートの実施履歴が形成されているため、再プレヒートの実施が許可される。一方、内燃機関が停止した後、運転者が降車するまでの間は、プレヒートの実施履歴がクリアされているため、再プレヒートの実施が禁止される。このため、本発明によれば、内燃機関の停止後に無駄なプレヒートが実施されるのを防ぐことができる。
【0081】
第2の発明によれば、運転席に運転者が着座していると判定される場合は、開扉に伴うプレヒートを禁止することができる。このため、本発明によれば、内燃機関の停止後に無駄なプレヒートが実施されるのを防ぐことができる。
【0082】
第3の発明によれば、内燃機関が停止した後、開扉事象が認識されたか否かに基づき運転席に運転者が着座しているか否かを判断することができる。このため、本発明によれば、開扉事象を認識するための機構の他、特別なセンサ等を設けることなく運転者の着座判定を行うことができる。
【0083】
第4の発明によれば、内燃機関の始動に先立って生ずる始動前事象が認識された場合には、プレヒートを実施することができる。このため、本発明によれば、運転者が乗車した直後であるか、或いは、内燃機関が停止された直後であるか、更には、ドアが開閉された直後であるか等とは無関係に、内燃機関が始動される直前において、内燃機関の温度上昇を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施の形態1において実行されるプレヒート制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態1において実行される再プレヒート制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2において実行されるプレヒート制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態2において実行される着座判定ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
12 シリンダヘッド
14 シリンダブロック
18 ラジエタ
22 バイパス差圧弁付きサーモスタット
28 ウォータポンプ(機械式)
42 流路切り替え弁
46 蓄熱用ウォータポンプ
48 蓄熱タンク
60 ECU(Electronic Control Unit)
62 第1水温センサ
64 第2水温センサ
Claims (4)
- 始動前の内燃機関を暖機するためのプレヒート機構と、
車両における開扉に伴う開扉事象を認識する開扉事象認識手段と、
前記開扉事象が認識された場合に、前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施するプレヒート実施手段と、
前記プレヒート処理の実施履歴を作成する実施履歴作成手段と、
内燃機関の始動と共に前記実施履歴をクリアする実施履歴クリア手段と、
前記実施履歴が存在する場合は再プレヒートの実施を許可し、その実施履歴がクリアされている場合は再プレヒートの実施を禁止する再プレヒート実施許否決定手段と、
再プレヒートの要求条件が成立し、かつ、再プレヒートの実施が許可されている場合に再び前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施する再プレヒート実施手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の暖機制御装置。 - 始動前の内燃機関を暖機するためのプレヒート機構と、
車両における開扉に伴う開扉事象を認識する開扉事象認識手段と、
前記開扉事象が認識された場合に、前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施するプレヒート実施手段と、
運転席に運転者が着座しているか否かを判定する着座判定手段と、
運転席に運転者が着座していると判定される場合は、前記開扉事象の認識に伴う前記プレヒート処理の実施を禁止する開扉プレヒート禁止手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の暖機制御装置。 - 前記着座判定手段は、内燃機関が停止した後、前記開扉事象が初めて認識されるまでは運転席に運転者が着座していると判定することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の暖機制御装置。
- 内燃機関の始動時に、その始動に先立って生ずる始動前事象を認識する始動前事象認識手段と、
前記始動前事象が認識された場合に、前記プレヒート機構を用いたプレヒート処理を実施する始動時プレヒート実施手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の暖機制御装置。
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