JP4055300B2 - 管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物、管ライニング材及び管ライニング工法 - Google Patents

管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物、管ライニング材及び管ライニング工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管状の管ライニング材を流体圧によって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材を管路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸した熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り管をライニングする管ライニング工法において、管ライニング材に使用される熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物を使用して得られる管ライニング材及びその管ライニング材を使用して行われる管ライニング工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガス管、水道管や下水道管などの主として地中に埋設された管路に対し、既設管の強度補強や防蝕対策、漏水・浸水対策あるいは流量改善などの目的として、既設管内面に液状熱硬化性樹脂組成物を含浸した内張り用管ライニング材を流体圧などにより管路の内周壁に押圧した状態で、管ライニング材の内側が管路壁面側となり、一方、管ライニング材の外側が管路の内面側となるように管ライニング材の内外面が反転するように管路内を進行させ、反転した管ライニング材を流体圧力によって既設管内面に圧着し、熱硬化性樹脂を硬化させて既設管内面に合成樹脂管を形成する反転管ライニング工法が脚光を浴びている。
【0003】
この反転管ライニング工法の工程の概略を順を追って説明すると、まず、既設管の内径全長に合致する外側に柔軟なフィルム層を有し、その内側にフェルトあるいは織布あるいは不織布を有する管状体を作製する。次に、主に液状硬化性樹脂及び硬化剤及び必要に応じて硬化促進剤からなる硬化性樹脂組成物がフェルトあるいは織布あるいは不織布に均一に含浸しやすくなる目的でこの管状体の内部を減圧にして空気を排除し、管状体の一方の端より徐々に管状体の全長にわたり硬化性樹脂組成物を含浸させ管ライニング材を得る。次に、この管ライニング材を冷凍状態または冷蔵状態に維持しながら既設管の挿入口まで運搬し、空気、水圧等の流体圧により既設管に密着させながら反転し、その後、熱風、熱水蒸気、温水等を用いて既設管に密着させながら硬化させる。最後に、施工した最先端の管ライニング材止め部及び挿入部の余分な管ライニング材を切断し、内張りした管を継ぎ込んで完了する。
【0004】
この反転工法では、まず管ライニング材を製造する際、管状に形成された繊維強化材に硬化性樹脂組成物が含浸されるが、容易な含浸作業性が求められることから、使用される硬化性樹脂組成物の粘度はできるだけ低い方が望ましい。次に、硬化性樹脂組成物が含浸されて得られる管ライニング材を既設管に密着させながら流体圧により反転し、そのまま熱風、熱水蒸気、温水等を用いて硬化させるが、その際、既設管の内側に密着した管ライニング材の中の繊維強化材に含浸した硬化性樹脂組成物が上部や側面部から底部にタレてしまうと、硬化後に得られる内張り管が所定の厚みを得られなくなってしまう。このことから、タレを防止するため、硬化性樹脂組成物には高い揺変性が求められる。さらに、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる既設管の内側に形成される内張り管は、既設管の破損や浸蝕、漏水・浸水の状況を考慮し、少なくとも既設管に形成された内張り管自体が自立管として機能することが望ましい。そのため、内張り管には高い機械的特性が求められる。
【0005】
また、この反転工法では、主に下水道管や農業用水管の補修に用いられていることから、これに使用される硬化性樹脂組成物は、安価であることが求められており、前述の要求特性は、安価な硬化性樹脂組成物を使用して達成されることが好ましい。
【0006】
この反転管ライニング工法では、UK Water Industry Engineering and Operations Committeeの監修のもと、WRc plcにより「Specification For Renovation Of Gravity Sewers By Lining With Cured−in place pipes(現地硬化型パイプを用いたライニングによる下水道修理のための指導要領書)」として、仕様書に、反転管ライニング材に使用される材料の要求品質及び管ライニング材の要求性能が記述されている。しかし、この仕様書では、主に使用される材料の品質管理項目と管理幅、管ライニング材の機械的特性・化学的耐久性の試験方法とそれら試験結果により決定される構造厚み設計についての記載に留まり、硬化性樹脂組成物の特性や要求値については具体的に触れられていない。
【0007】
一方、特開平2−188227号公報では、光硬化性樹脂組成物を含浸した繊維層を最内層とし、光不透過性のフィルムが最外層となるようにした管状管ライニング材とその製造方法が提案されている。しかし、この方法は上記の問題点に対する解決策ではなく、工事時間の短縮化を目的としたもので、本発明とは異なる。
【0008】
また、特開平3−281223号公報、特開平3−281224号公報及び特開平4−44830号公報では、管ライニング材の貯蔵可能期間の延長と速硬化性の両立化を目的に、特定の成分を反応させて得られるエポキシ樹脂を主成分とした主剤と、特定の化学構造を有する硬化剤とを配合したエポキシ樹脂組成物が提案されている。しかし、エポキシ樹脂は高価であるとともに、エポキシ樹脂に硬化剤を配合したエポキシ樹脂組成物は、取扱いが難しい。また、エポキシ樹脂組成物からなる管ライニング材の使用は、一般には内圧管や上水管に限られており、反転管ライニング工法が最も行われている下水道管や農業用水管では、不飽和ポリエステル樹脂組成物やビニルエステル樹脂組成物が主流である。
【0009】
また、特開平4−147834号公報では、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、重合性単量体及びイソシアネート化合物からなる樹脂組成物が提案されている。これは、管ライニング材を既設管内で反転する際の含浸した熱硬化性樹脂組成物のしみ出し防止と、繊維層への含浸時の作業時間短縮の双方を解決するために提案されたものであるが、実際には、熱硬化性樹脂組成物の粘度は、重合性単量体と揺変性付与剤の配合量を調整することで制御する方法が採られており、イソシアネート化合物を使用した例はない。
【0010】
さらに、特開平6−297574号公報では、内層と外層が異なる特定の太さの糸からなる不織布で構成された内外二重管構造とし、この内層を構成する不織布に粒径の小さな充填材を混入した粘度及び揺変度の高い硬化性樹脂を含浸させ、外層を構成する不織布には粒径の大きな充填材を混入した硬化性樹脂を含浸させた管ライニング材を使用する補修工法が提案されている。しかし、この提案は、管ライニング材を反転し、硬化させる際、地下水の浸入により、管ライニング材に含浸した硬化性樹脂の硬化不良を防止するとともに、枝管ライニング材との一体化が可能な管ライニング材を提供することが目的であり、本発明の目的とは異なる。
【0011】
以上のように、熱硬化性樹脂組成物を含浸して成る管状の管ライニング材を流体圧によって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材を管路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸した熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り管をライニングする管ライニング工法においては、管ライニング材に使用される熱硬化性樹脂組成物に要求される性能及び/又は管ライニング材に要求される性能に関する検討はほとんど行われていないのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の問題を解決し、管ライニング材を製造する際の硬化性樹脂組成物の良好な含浸作業性と、既設管内で反転挿入後、硬化して得られる内張り管が所定の厚みを有するため、硬化性樹脂組成物のタレを防止する良好な揺変性の双方を両立できる管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、良好な含浸作業性と揺変性の双方を両立し、かつ安価で優れた機械的特性を有する管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、熱硬化性樹脂組成物のタレを防止する良好な揺変性と、優れた機械的特性を有する管ライニング材を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、自立管として機能することができる優れた機械的特性を有する内張り管となる管ライニング材を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、上記の内張り管を製造することができる管ライニング工法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、不飽和ポリエステル樹脂(a)、重合性単量体(b)および揺変性付与剤(c)を必須成分とし、不飽和ポリエステル樹脂(a)の配合量をa重量部、重合性単量体(b)の配合量をb重量部としたとき、不飽和ポリエステル樹脂(a)と重合性単量体(b)とが下記式(1)を満足するような割合で配合されており、粘度が0.5〜8.0Pa・sの範囲内であり、かつ揺変度が1.2〜4.4の範囲内であり、
0.50 ≦ a/(a+b)≦ 0.70・・・(1)
不飽和ポリエステル樹脂(a)、α,β−エチレン性不飽和二塩基酸(I)及びテレフタル酸(II)を必須成分とする多塩基酸成分と、ネオペンチルグリコール(III)及びエチレングリコール(IV)を必須成分とする多価アルコール成分を反応させて得られる不飽和ポリエステル樹脂であって、α,β−エチレン性不飽和二塩基酸(I)のモル量をI、テレフタル酸(II)のモル量をII、ネオペンチルグリコール(III)のモル量をIII、エチレングリコール(IV)のモル量をIVとしたとき、下記式(2)〜(4)のいずれも満足するような割合で反応させて得られるものであることを特徴とする管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物に関する。
0.30 ≦II/(I+II)≦ 0.60・・・(2)
0.10 ≦ III ≦ 0.80・・・(3)
0.30 ≦ IV ≦ 0.60・・・(4)
また、本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物において、硬化物が3.0〜6.0%の範囲の引張り伸び率を有することが好ましい。
【0018】
さらには、本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物は、充填材として、炭酸カルシウム及び/又は水酸化アルミニウムを含有するすることが好ましい。
【0019】
本発明は、また、繊維質の織布又は不織布あるいは両者の混合体からなる繊維強化材を有する管状体に熱硬化性樹脂組成物を含浸させて成る管ライニング材に関する。
【0020】
さらに、硬化物が0.8%以上の引張り伸び率を有し、かつ2.0〜4.5GPaの曲げ弾性率を有することを特徴とする管ライニング材に関する。
【0021】
そして、管ライニング材を流体圧によって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材を管路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸した熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り管をライニングすることを特徴とする管ライニング工法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂(a)、重合性単量体(b)および揺変性付与剤(c)を必須成分として含有する。
【0023】
この熱硬化性樹脂組成物の必須成分のひとつである不飽和ポリエステル樹脂(a)は、多塩基酸成分として、α,β−エチレン性不飽和二塩基酸(I)及びテレフタル酸(II)を必須成分とする多塩基酸成分と、ネオペンチルグリコール(III)及びエチレングリコール(IV)を必須成分とする多価アルコール成分を反応させて得られる不飽和ポリエステル樹脂であって、α,β−エチレン性不飽和二塩基酸(I)のモル量をI、テレフタル酸(II)のモル量をII、ネオペンチルグリコール(III)のモル量をIII、エチレングリコール(IV)のモル量をIVとしたとき、下記式(2)〜(4)のいずれも満足するような割合で反応させて得られるものである
0.30 ≦II/(I+II)≦ 0.60・・・(2)
0.10 ≦ III ≦ 0.80・・・(3)
0.30 ≦ IV ≦ 0.60・・・(4)
α,β−エチレン性不飽和二塩基酸(I)としては、マレイン酸、フマル酸、クロルマレイン酸等があり、マレイン酸またはフマル酸を用いることが好ましい。これらは、その酸無水物を使用することができる。多塩基酸成分として、テレフタル酸(II)以外の飽和二塩基酸を用いることができる。テレフタル酸(II)以外の飽和二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらは、必要に応じてテレフタル酸と併用して用いられるが、管ライニング工法は、既設管の強度補強や防蝕対策、漏水・浸水対策などを目的としているため、イソフタル酸を併用することが好ましい。
【0024】
多価アルコール成分としてネオペンチルグリコール(III)及びエチレングリコール(IV)を必須成分とし、これ以外の多価アルコールを用いることができる。これ以外の多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、水素化ビスフェノールAなどがある。多価アルコール成分は、多塩基酸成分1モルに対して、1.0〜1.2モルの範囲で使用することが望ましい。
【0025】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の必須成分のひとつである不飽和ポリエステル樹脂(a)は、飽和二塩基酸成分であるテレフタル酸(II)及び多価アルコール成分であるエチレングリコール(IV)は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)ボトルなどから回収された廃PETから得ることもできる。具体的には、PETボトルの回収品を米粒大に破砕、洗浄、乾燥した透明ペレットに各色調のペレットが混合したものが主体であるが、フロッピーディスクの打ち抜き残部、ビデオあるいはオーディオテープの破断端部、菓子や飴、チョコレートなどの飲食品のパッケージ用容器およびこれらの検査過程で発生する不良品等が挙げられる。これらは、廃PETの下記式(I)で表される繰り返し単位(I)を1モルとして、前記の式(2)を満足する割合で配合し、用いられる。
【0026】
【化1】
Figure 0004055300
実際には、公知の技術に基づき、式(I)で表される繰り返し単位(I)を有する廃PETの所定量を200℃〜270℃の熔融状態に保ち、これに前記記載の多価グリコールを逐次添加して廃PETのグルコール分解が行われる。このグリコール分解では、不飽和ポリエステル樹脂(a)の必須成分であるテレフタル酸及びエチレングリコールを同時に得ることができ、そのまま不飽和ポリエステル樹脂(a)を製造する際に用いることができる。
【0027】
不飽和ポリエステル樹脂は、重量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求められるもの、以下同様)が8,000〜50,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜45,000の範囲内であることがより好ましい。また、酸価は5〜35 KOHmg/gの範囲内であることが好ましく、7〜30 KOHmg/gの範囲内であることがより好ましい。
【0028】
この不飽和ポリエステル樹脂は、重合性単量体(b)に溶解して用いられる。重合性単量体(b)としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の多価アルコールのメタクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多価アルコールのメタクリル酸エステル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリロニトリルなどが挙げられるが、安価で入手の容易なスチレンを用いるのが一般的である。
【0029】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物では、不飽和ポリエステル樹脂(a)の配合量をa重量部、重合性単量体(b)の配合量をb重量部としたとき、不飽和ポリエステル樹脂(a)と重合性単量体(b)とが下記式(1)を満足するような割合で配合されており、粘度が0.5〜8.0Pa・sの範囲内であり、かつ揺変度が1.2〜4.4の範囲内である。
0.50 ≦ a/(a+b)≦ 0.70・・・(1)
a/(a+b)が0.70を超えると熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて含浸作業性が劣るようになり、一方、0.50未満であると揺変性付与の効果が十分に得られ難くなるとともに機械的特性が著しく低下する。
【0030】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物には揺変性付与剤(c)が必須成分として使用される。揺変性付与剤(c)としては、シリカ粉、アスベスト粉、水素化ヒマシ油、脂肪酸アミド等の公知の揺変性付与剤をそのまま用いることができるが、入手が容易で安価な点からシリカ粉が最も好ましい。具体的には、アエロジル#200(日本アエロジル(株)製、商品名)などが挙げられる。(c)成分の配合割合は、(a)成分及び(b)成分の総量100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲で配合されるのが好ましく、0.05〜3重量部の範囲内で配合されるのがより好ましい。上記の範囲内より少ないと、揺変性付与の効果が十分に得られず、管ライニング材を既設管内で反転挿入後、硬化して得られる内張り管が所定の厚みを有するための熱硬化性樹脂組成物のタレを防止を十分に行えない。一方、範囲内より多くなると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて含浸作業性が劣るようになる。
【0031】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂組成物の粘度及び揺変度が上記の範囲より小さいと含浸作業性は良好であるが、揺変性付与の効果が十分に得られず、管ライニング材を既設管内で反転挿入後、硬化して得られる内張り管が所定の厚みを有するための熱硬化性樹脂組成物のタレを防止を十分に行えない。一方、粘度及び揺変度が上記の範囲内より大きいと含浸作業性が著しく劣るようになる。より好ましい粘度の範囲は、1.0〜6.0Pa・sであり、より好ましい揺変度の範囲は1.2〜4.0である。
【0032】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、3.0〜6.0%の範囲の引張り伸び率を有することが好ましい。硬化物は、例えば次のように得ることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物400gに硬化触媒としてベンゾイルパーオキサイド4.0gを加えて樹脂組成物を調整し、35cm角のポリエステルフィルムで被覆した金属板2枚の間に3mm厚のスペーサーを挟んだ型に注入する。これを、乾燥機に投入し、80℃で2時間、さらに120℃で2時間後硬化して硬化物を作製する。
【0033】
硬化物の引張り伸び率は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を所定の形状及び寸法に切断し、23℃においてJIS K7113「プラスチックの引張り試験方法」またはJIS K7162「引張り特性の試験方法」に準じて測定される。硬化物の引張り伸び率が上記の範囲内より小さいと、管ライニング材に含浸した熱硬化性樹脂組成物を硬化させた後に既設管の内側に形成される内張り管にクラックが発生しやすくなり、一方、引張り伸び率が上記の範囲内より大きいと、機械的特性が低下するようになり、自立管として優れた機能を有する内張り管が得られ難くなる。
【0034】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、さらに、充填材として、炭酸カルシウム及び/又は水酸化アルミニウムを含有させることができる。炭酸カルシウムの市販品としては、スーパーS、スーパーSS、スーパーSSS、スーパー4S、スーパー#1500、スーパー#1700、スーパー#2000(丸尾カルシウム株式会社製、商品名)、NS#100、NS#200、NS#400、NS#600、NS#1000、NS#3000、S−Lite1200、SS#30、SS#50、SS#80(日東粉化工業株式会社製、商品名)、エスカロン#100、エスカロン#200、エスカロン#400、エスカロン#1500、エスカロン#2000、エスカロン#2200(三共精粉株式会社製、商品名)などが挙げられる。また水酸化アルミニウムの市販品としては、A−30、A−30F、A−325、A−315、A−308、A−305、C−31、C−33、C−331、C−333(アルコア化成株式会社、商品名)、B103、B153、B303、B703、BW53、BW153、BW103(日本軽金属株式会社製、商品名)、H−31、H−32、H−42、H−43、H−100、H−210、H−310、H−320(昭和電工社製、商品名)などが挙げられる。これらは単独あるいは併用して用いることができる。これらの配合割合は、本発明の不飽和ポリエステル樹脂(a)、重合性単量体(b)及び揺変性付与剤(c)からなる熱硬化性樹脂組成物の総量100重量部に対して、5〜50重量部の範囲内で配合されるのが好ましく、10〜30重量部の範囲内で配合されるのがより好ましい。配合割合が上記の範囲内より多いと、機械的特性は良好であるが含浸作業性が著しく低下するようになり、一方、上記の範囲内より少ないと、充填材を含有することによる機械的特性の向上効果が得られにくい。
【0035】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化に際しては、硬化触媒または硬化触媒及び硬化促進剤が用いられる。
【0036】
硬化触媒としては、特定の温度で硬化反応を開始する熱硬化剤と、有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤又は第三級アミンとの組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤とが挙げられる。特定の温度で硬化反応を開始する熱硬化剤としては、特に、80℃未満でも硬化反応を開始する熱硬化剤が好ましく、パーカーボネート類では、Bis−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、アルキルパーエステル類では、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、α−クメンパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシジ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,5−ジメチル−2,5−Bis−(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ジアシルパーオキサイド類では、イソブチロイルパーオキサイド、 Bis−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。また、有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤又は第三級アミンとの組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシジイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。本発明においては、80℃未満でも硬化反応を開始する熱硬化剤と有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤又は第三級アミンとの組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤のそれぞれから選ばれて用いられ、必要に応じて80℃未満でも硬化反応を開始する熱硬化剤の中から2種類以上が選ばれて用いられても構わないが、Bis−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートが好ましい。また、必要に応じて有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤との組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤の中から2種類以上が選ばれて用いられても構わないが、クメンハイドロパーオキサイドが最も好ましい。硬化剤の使用量は、不飽和ポリエステル樹脂(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜3重量部の範囲内で用いられるのがより好ましい。
【0037】
硬化促進剤としては最も一般的である有機金属化合物、例えば、金属石鹸(酢酸、オクテン酸、ステアリン酸等の脂肪酸又はナフテン酸のMg、Ca、Zn、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Pb、Cu、Zr等の金属の金属塩、特に好ましくは、コバルト塩、マンガン塩)、有機金属錯体(コバルトアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトナート等の遷移元素のアセチアセトン錯体等)、第三級アミン(N,N−ジメチルアニリン等)などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤又は第三級アミンとの組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤と組み合わせて用いられる。またこれらは単独でもしくは併用して用いられる。硬化促進剤の使用量は、不飽和ポリエステル樹脂(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部の範囲内で用いられるのがより好ましい。
【0038】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物には、成形条件や要求特性など必要に応じて、硬化時間の調整のための硬化遅延剤や増粘剤などを添加して用いることができる。
【0039】
硬化遅延剤としては、例えば、ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−メチルフェノール、メチルハイドロキノンなどが挙げられ、不飽和ポリエステル樹脂(a)および重合性単量体(b)の総量100重量部に対して0.1重量部以下であることが好ましく、使用する場合0.001重量部以上使用することが好ましい。
【0040】
増粘剤としては、2価の金属酸化物あるいは水酸化物からなる金属化合物が使用され、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらは単独でもしくは併用して用いられる。増粘剤の使用量は、不飽和ポリエステル樹脂(a)および重合性単量体(b)の総量100重量部に対して、3重量部以下であることが好ましく、使用する場合0.1重量部以上使用することが好ましい。
【0041】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物は、繊維質の織布又は不織布あるいは両者の混合体からなる繊維強化材を有する管状体に含浸させ管ライニング材を製造できる。
【0042】
繊維強化材としては、ポリエステル繊維が最も一般的であるが、アクリル繊維、ビニロン繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維などの繊維のフェルト、布、不織布などが使用できる。これらの種類、使用量などは、要求特性などに応じて選択することができ、その使用量は、熱硬化性樹脂組成物ならびに必要に応じて使用する硬化遅延剤、充填材、増粘剤の総量100重量部に対して、5〜100重量部が好ましい。
【0043】
熱硬化性樹脂組成物を含浸して成る管状の管ライニング材を流体圧によって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材を管路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸した熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り管をライニングする管ライニング工法において、管ライニング材の硬化物が0.8%以上の引張り伸び率を有し、かつ2.0〜4.5GPaの曲げ弾性率を有することが好ましく、管ライニング材の硬化物が1.0%以上の引張り伸び率を有し、かつ2.5〜4.5GPaの曲げ弾性率を有することがより好ましい。管ライニング材の硬化物は、例えば次のように得ることができる。本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物920gに硬化促進剤として6%オクテン酸コバルトを0.92g、熱硬化剤としてBis−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを9.2g及び有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤との組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートを4.6gを添加して、管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を調製する。次に、厚さ100μmのポリエチレン製フィルムの袋の中に、厚さ9mmで単位面積当たりの重量が0.2g/cm2の大きさ22cm×28cmのポリエステル製フェルトを入れ、調製直後の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を注入し、真空ポンプを用いて、ポリエチレン製フィルムの袋内を減圧・脱泡しながら、ポリエステル製フェルトに管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を含浸し、ポリエチレン製フィルムを密閉して、管ライニング材を得る。得られた管ライニング材を35cm角のポリエステルフィルムで被覆した2枚の金属板の間に挟み、クランプで固定する。これを、乾燥機に投入し、室温から60℃まで20℃/時間の速度で加熱し、60℃で60分保持した後、次に60℃から85℃まで75分(昇温速度:20℃/時間)で昇温し、最後に85℃で60分保持して管ライニング材硬化物を作製する。
【0044】
管ライニング材の硬化物の引張り伸び率は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を所定の形状及び寸法に切断し、23℃においてJIS K7113「プラスチックの引張り試験方法」またはJIS K7162「引張り特性の試験方法」などに準じて測定される。引張り伸び率が上記の範囲内より小さいと、管ライニング材に含浸した熱硬化性樹脂組成物を硬化させた後に既設管の内側に形成される内張り管にクラックが発生しやすくなる。また、管ライニング材の硬化物の曲げ弾性率は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を所定の形状及び寸法に切断し、23℃においてJIS K7171「プラスチックの曲げ特性の試験方法」またはJIS K7203「硬質プラスチックの曲げ試験方法」などに準じて測定される。曲げ弾性率が上記の範囲内より小さいと、機械的特性が低下するようになり、自立管として優れた機能を有する内張り管が得られ難くなり、一方、曲げ弾性率が上記の範囲内より大きいと、機械的特性は良好であるが、管ライニング材に含浸した熱硬化性樹脂組成物を硬化させた後に既設管の内側に形成される内張り管にクラックが発生しやすくなる。
【0045】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を含浸して得られる繊維強化材を有する管状の管ライニング材を用いて、管路の内側に内張り管をライニングする管ライニング工法において、管ライニング材を管路内に反転挿入及び管路の内側壁面に押圧する際の流体の種類及び圧力などの条件は、適宜選択することができ、さらに、管路の内側壁面に押圧された管ライニング材を含浸した熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化する際の加熱温度、加熱時間などの成形条件は、前記の熱硬化剤及び/又は有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤又は第三級アミンとの組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤の組み合わせ及び使用量を考慮し、適宜選択することができる。
【0046】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0047】
合成例1(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−1)の製造)
テレフタル酸1322g(0.35モル)、イソフタル酸378g(0.10モル)、無水マレイン酸1227g(0.55モル)、ネオペンチルグリコール473g(0.20モル)、ジエチレングリコール965g(0.40モル)、エチレングリコール635g(0.45モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、温度計、撹拌羽根、不活性ガス導入管、コンデンサーを備えた5,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で225℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が26KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が22KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの分子量をゲル浸透クロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求めたところ重量平均分子量で22,600であった。
【0048】
合成例2(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−2)の製造)
合成例1と同様の装置を用いて、テレフタル酸2125g(0.60モル)、イソフタル酸354g(0.10モル)、無水マレイン酸627g(0.30モル)、ネオペンチルグリコール666g(0.30モル)、ジエチレングリコール566g(0.25モル)、エチレングリコール662g(0.50モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、合成例1と同様の装置に仕込み、窒素気流下で225℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が25KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が21KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの重量平均分子量は21,500であった。
【0049】
合成例3(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−3)の製造)
合成例1と同様の方法で、テレフタル酸778g(0.20モル)、無水マレイン酸1838g(0.80モル)、ネオペンチルグリコール975g(0.40モル)、ジエチレングリコール1118g(0.45モル)、エチレングリコール291g(0.20モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、合成例1と同様の装置に仕込み、窒素気流下で225℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が20KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が16KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの重量平均分子量は38,400であった。
【0050】
合成例4(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−4)の製造)
テレフタル酸1307g(0.35モル)、イソフタル酸374g(0.10モル)、無水マレイン酸1213g(0.55モル)、ネオペンチルグリコール117g(0.05モル)、ジエチレングリコール1431g(0.60モル)、エチレングリコール558g(0.40モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、合成例1と同様の装置に仕込み、窒素気流下で225℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が28KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が20KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの重量平均分子量は22,400であった。
【0051】
合成例5(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−5)の製造)
合成例1と同様の方法で、テレフタル酸1783g(0.50モル)、無水マレイン酸1053g(0.50モル)、ネオペンチルグリコール1898g(0.85モル)、エチレングリコール266g(0.20モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、合成例1と同様の装置に仕込み、窒素気流下で225℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が27KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が20KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの重量平均分子量は18,200であった。
【0052】
合成例6(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−6)の製造)
テレフタル酸1600g(0.40モル)、無水マレイン酸1417g(0.60モル)、ネオペンチルグリコール501g(0.20モル)、ジエチレングリコール511g(0.20モル)、エチレングリコール971g(0.65モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、合成例1と同様の装置に仕込み、窒素気流下で225℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が25KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が20KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの重量平均分子量は14,000であった。
【0053】
合成例7(不飽和ポリエステル樹脂組成物(UP−7)の製造)
イソフタル酸1412g(0.40モル)、ネオペンチルグリコール1548g(0.70モル)及びハイドロキノン0.25gから成る配合物を、合成例1と同様の装置に仕込み、窒素気流下で235℃まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸価が5KOHmg/gになったところで反応を止めた。
【0054】
これに、無水マレイン酸1251g(0.60モル)、ジエチレンレングリコール789g(0.35モル)を加え、再び225℃まで昇温して、脱水縮合反応を行った。酸価が24KOHmg/gになったところで、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続けた。酸価が16KOHmg/gになったところで反応を止めた。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの分子量をゲル浸透クロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求めたところ重量平均分子量で18,400であった。
【0055】
製造例1(熱硬化性樹脂組成物(1)の製造)
合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(1)を調製した。このとき、JIS K6901に準拠して測定した粘度及び揺変度は、3.6Pa・s及び2.2であった。
【0056】
製造例2(熱硬化性樹脂組成物(2)の製造)
製造例1と同様にして、合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)60重量部をスチレンモノマー40重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを0.6g加えて、熱硬化性樹脂組成物(2)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、1.0Pa・s及び1.2であった。
【0057】
製造例3(熱硬化性樹脂組成物(3)の製造)
製造例2と同様にして、合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)60重量部をスチレンモノマー40重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.8g加えて、熱硬化性樹脂組成物(3)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、5.0Pa・s及び4.0であった。
【0058】
製造例4(熱硬化性樹脂組成物(4)の製造)
製造例1と同様にして、合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g加えて、熱硬化性樹脂組成物(4)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、1.8Pa・s及び1.0であった。
【0059】
製造例5(熱硬化性樹脂組成物(5)の製造)
製造例1と同様にして、合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.8g加えて、熱硬化性樹脂組成物(5)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、10.2Pa・s及び5.1であった。
【0060】
製造例6(熱硬化性樹脂組成物(6)の製造)
製造例1と同様にして、合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)45重量部をスチレンモノマー55重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(6)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、0.4Pa・s及び1.0であった。
【0061】
製造例7(熱硬化性樹脂組成物(7)の製造)
製造例1と同様にして、合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)75重量部をスチレンモノマー25重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(7)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、8.2Pa・s及び1.2であった。
【0062】
製造例8(熱硬化性樹脂組成物(8)の製造)
製造例1と同様にして、合成例2で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−2)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを0.6g加えて、熱硬化性樹脂組成物(8)を調製した。しかし、このものは室温で結晶性を示し固体であった。
【0063】
製造例9(熱硬化性樹脂組成物(9)の製造)
製造例1と同様にして、合成例3で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−3)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(9)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、4.5Pa・s及び1.6であった。
【0064】
製造例10(熱硬化性樹脂組成物(10)の製造)
製造例1と同様にして、合成例4で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−4)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(10)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、3.8Pa・s及び1.3であった。
【0065】
製造例11(熱硬化性樹脂組成物(11)の製造)
製造例1と同様にして、合成例5で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−5)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(11)を調製した。しかし、このものは室温で結晶性を示し、固体であった。
【0066】
製造例12(熱硬化性樹脂組成物(12)の製造)
製造例1と同様にして、合成例6で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−6)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(12)を調製した。このときの粘度及び揺変度は、3.0Pa・s及び1.2であった。
【0067】
製造例13(熱硬化性樹脂組成物(13)の製造)
製造例1と同様にして、合成例7で得られた不飽和ポリエステル樹脂(UP−7)65重量部をスチレンモノマー35重量部に溶解し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、熱硬化性樹脂組成物(13)を調製した。このとき、JIS K6901に準拠して測定した粘度及び揺変度は、3.4Pa・s及び2.0であった。
【0068】
実施例1(樹脂硬化物A1、管ライニング材樹脂組成物B1及び管ライニング材C1の製造)
製造例1で得られた熱硬化性樹脂組成物(1)400gに硬化剤としてベンゾイルパーオキサイド4.0gを加えて樹脂組成物を調製し、35cm角のポリエステルフィルムで被覆した金属板2枚の間に3mm厚のスペーサーを挟んだ型に注入した。これを、乾燥機に投入し、80℃で2時間、さらに120℃で2時間後硬化して樹脂硬化物(A1)を作製した。
【0069】
また、製造例1で得られた熱硬化性樹脂組成物(1)920gに硬化促進剤として6%オクテン酸コバルトを0.92g、硬化剤パーロイルTCP(日本油脂社製、商品名)9.2g及びカヤエステルO−50(化薬アクゾ社製、商品名)4.6gを添加し、管ライニング材用樹脂組成物(B1)を調製した。
【0070】
次に、厚さ100μmのポリエチレン製フィルムの袋の中に、厚さ9mmで単位面積当たりの重量が0.2g/cm2の大きさ22cm×28cmのポリエステル製フェルトを入れ、調製直後の管ライニング材用樹脂組成物(B1)を注入した。次に、真空ポンプを用いて、ポリエチレン製フィルムの袋内を減圧・脱泡しながら、ポリエステル製フェルトに管ライニング材用樹脂組成物(B1)を含浸し、ポリエチレン製フィルムを密閉して、管ライニング材(C1)を得た。
【0071】
この管ライニング材(C1)を、35cm角のポリエステルフィルムで被覆した金属板2枚の間に9mm厚のスペーサーと共に挟みクランプで固定した。固定された管ライニング材(C1)が縦になるように乾燥機に投入し、15℃から60℃まで135分(昇温速度:20℃/時間)で昇温し、60℃で60分保持した後、次に60℃から85℃まで75分(昇温速度:20℃/時間)で昇温し、最後に85℃で60分保持して、管ライニング材(C1)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D1)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D1)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B1)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D1)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0072】
実施例2(樹脂硬化物A2、管ライニング材樹脂組成物B2及び管ライニング材C2の製造)
製造例2で得られた熱硬化性樹脂組成物(2)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A2)を作製した。
【0073】
また、製造例2で得られた熱硬化性樹脂組成物(2)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B2)を調製し、ついで、管ライニング材(C2)を得た。さらにこの管ライニング材(C2)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D2)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D2)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B2)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D2)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0074】
実施例3(樹脂硬化物A3、管ライニング材樹脂組成物B3及び管ライニング材C3の製造)
製造例3で得られた熱硬化性樹脂組成物(3)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A3)を作製した。
【0075】
また、製造例3で得られた熱硬化性樹脂組成物(3)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B3)を調製し、ついで、管ライニング材(C3)を得た。さらにこの管ライニング材(C3)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D3)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D3)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B3)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D3)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0076】
比較例1(樹脂硬化物A4、管ライニング材樹脂組成物B4及び管ライニング材C4の製造)
製造例4で得られた熱硬化性樹脂組成物(4)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A4)を作製した。
【0077】
また、製造例4で得られた熱硬化性樹脂組成物(4)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B4)を調製し、ついで、管ライニング材(C4)を得た。さらにこの管ライニング材(C4)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D4)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D4)の厚さは、7mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B4)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D4)底部に樹脂溜まりが見られた。
【0078】
比較例2(樹脂硬化物A5、管ライニング材樹脂組成物B5及び管ライニング材C5の製造)
製造例5で得られた熱硬化性樹脂組成物(5)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A5)を作製した。
また、製造例で得られた熱硬化性樹脂組成物(5)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B5)を調製し、ついで、管ライニング材(C5)を得た。さらにこの管ライニング材(C5)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D5)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D5)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B5)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D5)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0079】
比較例3(樹脂硬化物A6、管ライニング材樹脂組成物B6及び管ライニング材C6の製造)
製造例6で得られた熱硬化性樹脂組成物(6)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A6)を作製した。
【0080】
また、製造例6で得られた熱硬化性樹脂組成物(6)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B6)を調製し、ついで、管ライニング材(C6)を得た。さらにこの管ライニング材(C6)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D6)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D6)の厚さは、7mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B6)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D6)底部に樹脂溜まりが見られた。
【0081】
比較例4(樹脂硬化物A7、管ライニング材樹脂組成物B7及び管ライニング材C7の製造)
製造例7で得られた熱硬化性樹脂組成物(7)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A7)を作製した。
また、製造例で得られた熱硬化性樹脂組成物(7)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B7)を調製し、ついで、管ライニング材(C7)を得た。さらにこの管ライニング材(C7)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D7)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D7)の厚さは、7mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B7)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0082】
比較例5(樹脂硬化物A8、管ライニング材樹脂組成物B8及び管ライニング材C8の製造)
製造例8で得られた熱硬化性樹脂組成物(8)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A8)を作製しようとしたが熱硬化性樹脂組成物(8)が室温で固体であるため作製できなかった。
【0083】
また、管ライニング材用樹脂組成物(B8)の調製、管ライニング材(C8)及び管ライニング材硬化物(D8)の作製も行えなかった。
【0084】
比較例6(樹脂硬化物A9、管ライニング材樹脂組成物B9及び管ライニング材C9の製造)
製造例9で得られた熱硬化性樹脂組成物(9)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A9)を作製した。
【0085】
また、製造例で得られた熱硬化性樹脂組成物(9)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B9)を調製し、ついで、管ライニング材(C9)を得た。さらにこの管ライニング材(C9)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D9)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D9)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B9)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D9)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0086】
比較例7(樹脂硬化物A10、管ライニング材樹脂組成物B10及び管ライニング材C10の製造)
製造例10で得られた熱硬化性樹脂組成物(10)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A10)を作製した。
【0087】
また、製造例で得られた熱硬化性樹脂組成物(10)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B10)を調製し、ついで、管ライニング材(C10)を得た。さらにこの管ライニング材(C10)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D10)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D10)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B10)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D10)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0088】
比較例8(樹脂硬化物A11、管ライニング材樹脂組成物B11及び管ライニング材C11の製造)
製造例11で得られた熱硬化性樹脂組成物(11)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A11)を作製しようとしたが熱硬化性樹脂組成物(11)が室温で固体であるため作製できなかった。
【0089】
また、管ライニング材用樹脂組成物(B11)の調製、管ライニング材(C11)及び管ライニング材硬化物(D11)の作製も行えなかった。
【0090】
比較例9(樹脂硬化物A12、管ライニング材樹脂組成物B12及び管ライニング材C12の製造)
製造例12で得られた熱硬化性樹脂組成物(12)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A12)を作製した。
【0091】
また、製造例12で得られた熱硬化性樹脂組成物(12)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B12)を調製し、ついで、管ライニング材(C12)を得た。さらにこの管ライニング材(C12)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D12)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D12)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B12)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D12)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0092】
比較例10(樹脂硬化物A10、管ライニング材樹脂組成物B10及び管ライニング材C10の製造)
製造例13で得られた熱硬化性樹脂組成物(13)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、樹脂硬化物(A13)を作製した。
【0093】
また、製造例13で得られた熱硬化性樹脂組成物(13)を用いる以外はすべて、実施例1と同様にして、管ライニング材用樹脂組成物(B13)を調製し、ついで、管ライニング材(C13)を得た。さらにこの管ライニング材(C13)を硬化させ、管ライニング材硬化物(D13)を得た。このとき得られた管ライニング硬化物(D13)の厚さは、9mmで、管ライニング材用樹脂組成物(B13)のタレによる厚みの減少及び管ライニング材硬化物(D13)底部に樹脂溜まりは見られなかった。
【0094】
表1に不飽和ポリエステル樹脂の原料化合物の配合割合を示した。
【0095】
樹脂硬化物A8及びA11を除く得られた樹脂硬化物A1〜A13について、引張り特性を調べた。また、D8及びD11を除く得られた管ライニング材硬化物D1〜D13について、それぞれ曲げ特性及び引張り特性を調べた。その結果をa/b比とともに表2に示す。なお、試験方法は以下に示すとおりとした。
【0096】
曲げ特性:JIS K7203に準じて、加熱硬化後の管ライニング材を用いて、硬化物の強度試験を行った。
【0097】
引張り特性:JIS K7113に準じて、加熱硬化後の樹脂硬化物及び管ライニング材を用いて、硬化物の強度試験を行った。
【0098】
【表1】
Figure 0004055300
【0099】
【表2】
Figure 0004055300
【0100】
【発明の効果】
本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物は、管ライニング材を製造する際の硬化性樹脂組成物の良好な含浸作業性と、既設管内で反転挿入後、硬化して得られる内張り管が所定の厚みを有するため、硬化性樹脂組成物のタレを防止する良好な揺変性との双方を両立できる。
【0101】
また、本発明の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物は、良好な含浸作業性と揺変性の双方を両立し、かつ安価で優れた機械的特性を有する。
【0102】
また、本発明の管ライニング材、熱硬化性樹脂組成物のタレを防止する良好な揺変性と、優れた機械的特性を有する。
【0103】
さらに、また、本発明の管ライニング材は、自立管として機能することができる優れた機械的特性を有する内張り管を提供することができる。
【0104】
さらにまた、本発明の管ライニング工法は、自立管として機能することができる優れた機械的特性を有する内張り管を製造することができる。

Claims (6)

  1. 不飽和ポリエステル樹脂(a)、スチレンモノマー(b)およびシリカ粉(c)を必須成分とし、不飽和ポリエステル樹脂(a)の配合量をa重量部、スチレンモノマー(b)の配合量をb重量部としたとき、不飽和ポリエステル樹脂(a)とスチレンモノマー(b)とが下記式(1)を満足するような割合で配合されており、粘度が0.5〜8.0Pa・sの範囲内であり、かつ揺変度が1.2〜4.4の範囲内であり、
    0.50 ≦ a/(a+b)≦ 0.70・・・(1)
    不飽和ポリエステル樹脂(a)が、無水マレイン酸(I)及びテレフタル酸(II)を必須成分とする多塩基酸成分と、ネオペンチルグリコール(III)及びエチレングリコール(IV)を必須成分とする多価アルコール成分を反応させて得られる不飽和ポリエステル樹脂であって、無水マレイン酸(I)のモル量をI、テレフタル酸(II)のモル量をII、ネオペンチルグリコール(III)のモル量をIII、エチレングリコール(IV)のモル量をIVとしたとき、下記式(2)〜(4)のいずれも満足するような割合で反応させて得られるものであることを特徴とする管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物。
    0.30 ≦II/(I+II)≦ 0.60・・・(2)
    0.10 ≦ III ≦ 0.80・・・(3)
    0.30 ≦ IV ≦ 0.60・・・(4)
  2. 硬化物が3.0〜6.0%の範囲の引張り伸び率を有する請求項1記載の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物。
  3. さらに、充填材として、炭酸カルシウム及び/又は水酸化アルミニウムを含有する請求項1又は2記載の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物。
  4. 繊維質の織布又は不織布あるいは両者の混合体からなる繊維強化材を有する管状体に請求項1〜のいずれかに記載の管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を含浸させて成る管ライニング材。
  5. 硬化物が0.8%以上の引張り伸び率を有し、かつ2.0〜4.5GPaの曲げ弾性率を有することを特徴とする請求項記載の管ライニング材。
  6. 請求項記載の管ライニング材を流体圧によって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材を管路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸した管ライニング材用熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り管をライニングすることを特徴とする管ライニング工法。
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