JP2000273323A - 硬化剤組成物、熱硬化性樹脂組成物、これを用いた管ライニング材及び管ライニング工法 - Google Patents

硬化剤組成物、熱硬化性樹脂組成物、これを用いた管ライニング材及び管ライニング工法

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JP2000273323A
JP2000273323A JP11079425A JP7942599A JP2000273323A JP 2000273323 A JP2000273323 A JP 2000273323A JP 11079425 A JP11079425 A JP 11079425A JP 7942599 A JP7942599 A JP 7942599A JP 2000273323 A JP2000273323 A JP 2000273323A
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pipe
resin composition
lining material
curing agent
pipe lining
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Masahiko Watanabe
雅彦 渡邉
Yutaka Namatame
豊 生田目
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた長期貯蔵性と速硬化性を両立できる硬
化剤組成物、及びそれを用いた管ライニング材及び短い
工期で優れた強度特性を有する内張り管を製造すること
ができる管ライニング工法を提供する。 【解決手段】 有機金属化合物又は金属を含有する結晶
性添加剤(a)、10時間の半減期温度が80℃以下で
ある硬化剤(b)及び有機金属化合物又は金属との組み
合わせでレドックス反応を開始できる硬化剤(c)を必
須成分としてなる硬化剤組成物、ビニル基を有する樹脂
(d)、重合性単量体(e)及び前記硬化剤組成物を含
有してなる熱硬化性樹脂組成物、繊維強化材に前記熱硬
化性樹脂組成物を含浸させてなる管ライニング材並びに
繊維強化材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなる
管状の管ライニング材を管路の内側にライニングするこ
とを特徴とする管ライニング工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化剤組成物、熱
硬化性樹脂組成物、これを用いた管ライニング材及び管
ライニング工法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガス管、水道管や下水道管などの
主として地中に埋設された管路に対し、既設管の強度補
強や防蝕対策、漏水・浸水対策あるいは流量改善などの
目的として、既設管内面に液状硬化性樹脂組成物を含浸
した内張り用管ライニング材を流体圧などにより反転・
進行させ、反転した管ライニング材を流体圧力によって
既設管内面に圧着し、硬化性樹脂組成物を硬化させて既
設管内面に合成樹脂管を形成する反転管ライニング工法
が脚光を浴びている。
【0003】この反転管ライニング工法の概略を順を追
って説明すると、まず、既設管の内径全長に合致する外
側に柔軟なフィルム層を有し、その内側に繊維強化材を
有する管状体を作成する。次に、主に液状硬化性樹脂及
び硬化剤及び必要に応じて硬化促進剤などからなる硬化
性樹脂組成物が繊維強化材に均一に含浸しやすくなる目
的でこの管状体の内部を減圧にして空気を排除し、管状
体の一方の端より徐々に管状体の全長にわたり硬化性樹
脂組成物を含浸させ管ライニング材を得る。次に、この
管ライニング材を冷凍状態または冷蔵状態に維持しなが
ら既設管の挿入口まで運搬し、空気、水圧等の流体圧に
より既設管に密着させながら反転し、その後、熱風、熱
水蒸気、温水等を用いて既設管に密着させながら硬化さ
せる。最後に、施工した最先端の管ライニング材止め部
及び挿入部の余分な管ライニング材を切断し、内張りし
た管を継ぎ込んで完了する。
【0004】この反転管ライニング工法では、管ライニ
ング材を含浸処理した後、管ライニング材を定位置に設
置する前に硬化剤及び必要に応じて使用される硬化促進
剤を含む硬化性樹脂組成物が、早期に硬化しないように
するため、できるだけ管ライニング材の貯蔵可能期間を
長くする一方、工期をできる限り短くするため、一旦硬
化が開始されたら速やかに硬化を完了させる速硬化性が
望まれている。
【0005】この対策として、例えば、特開平2−18
8227号公報では、光硬化性樹脂組成物を含浸した繊
維層を最内層とし、光不透過性のフィルムが最外層とな
るようにした管状管ライニング材とその製造方法が提案
されている。しかし、この方法は上記の問題点に対する
十分な解決策ではなく、実際には、熱風、熱水蒸気、温
水等の加熱硬化が主流を占めている。
【0006】また、特開平3−281223号公報、特
開平3−281224号公報及び特開平4−44830
号公報では、管ライニング材の貯蔵可能期間の延長と速
硬化性の両立化を目的に、特定の成分を反応させて得ら
れるエポキシ樹脂を主成分とした主剤と、特定の化学構
造を有する硬化剤とを配合したエポキシ樹脂組成物が提
案されている。しかし、エポキシ樹脂組成部からなる管
ライニング材の使用は、一般には内圧管や上水管に限ら
れており、反転管ライニング工法が最も行われている下
水道管や農業用水管では、不飽和ポリエステル樹脂組成
物やビニルエステル樹脂組成物が主流である。
【0007】特開平11−1623号公報では、不飽和
ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂に硬化
剤を添加した組成物の室温貯蔵中にゲル化を生じさせる
ことなく、かつ、硬化作業時には硬化時間を遅くするこ
となく成形品が得られる硬化剤組成物として、ジフェニ
ルジスルフィドとパーオキサイドとを混合した硬化剤組
成物が検討されている。しかし、この検討は、ハンドレ
イアップやスプレーアップにに代わる成形法として注目
されているレジンインジェクション成形を対象としたも
のであり、本発明の目的とは異なる。
【0008】また、特開平2−235723号公報で
は、常温で活性化する硬化剤または硬化促進剤をマイク
ロカプセル化して熱硬化性樹脂中に混合した熱硬化性樹
脂組成物を含浸した管ライニング材を既設管内に反転・
挿入した後、樹脂組成物中に混合されたマイクロカプセ
ルを熱、圧力または光により破壊して硬化させることを
特徴とする管ライニング工法が検討されている。さら
に、特表平9−500586号公報では、硬化剤として
過酸化ベンゾイル、硬化促進剤としてアミンを用い、こ
れらをマイクロカプセル中に封入し、このマイクロカプ
セルを混合した不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸し
て得られる管ライニング材を使用した管ライニング工法
において、マイクロカプセルを破壊して内容物を放出さ
せるために、管ライニング材の所定位置に超音波式機械
的衝撃装置を取り付け、管ライニング材を既設管内に反
転・挿入する際にこの超音波式装置を作動させて硬化反
応が開始するように調整し、樹脂組成物の硬化時間が管
ライニング材を反転・挿入する時間よりもあまり長くな
らないようにする管ライニング材及び管ライニング工法
が提案されている。
【0009】しかし、これら2つの公報では、常温で容
易に活性化する硬化剤及び/又は硬化促進剤をマイクロ
カプセル化して封入しているため、樹脂組成物を攪拌
し調整する際、攪拌によるせん断力や繊維層へ樹脂組
成物を含浸する際の樹脂組成物と繊維層との摩擦力など
によってマイクロカプセルが破壊して硬化反応を開始し
てしまったり、一方では管ライニング材を反転・挿入
後、樹脂組成物を硬化させる際に、マイクロカプセルの
破壊が十分に起こらず内容物が放出されないために、
管ライニング材を硬化させる際、所定の時間よりも硬化
時間が長くなったり、また管ライニング材硬化後、部
分的に樹脂組成物の未硬化が発生するなどの問題があ
る。
【0010】このように、主に液状硬化性樹脂及び硬化
剤及び必要に応じて硬化促進剤からなる硬化性樹脂組成
物を繊維層に含浸して得られた管状の管ライニング材に
おいて、長期貯蔵性と硬化時の速硬化性の双方の両立化
を実現することは非常に難しく、未だこの両立化はなさ
れていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】請求項1記載の発明
は、これを添加した熱硬化性樹脂組成物の優れた長期貯
蔵性と硬化時の速硬化性を両立できる硬化剤組成物を提
供するものである。請求項2記載の発明は、優れた長期
貯蔵性と硬化時の速硬化性を両立した熱硬化性樹脂組成
物を提供するものである。請求項3記載の発明は、優れ
た長期貯蔵性と硬化時の速硬化を有する管ライニング材
を提供するものである。請求項4記載の発明は、短い工
期で優れた強度特性を有する内張り管を製造することが
できる管ライニング工法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機金属化合
物又は金属を含有する結晶性添加剤(a)、10時間の
半減期温度が80℃以下である硬化剤(b)及び有機金
属化合物又は金属との組み合わせでレドックス反応を開
始できる硬化剤(c)を必須成分としてなる硬化剤組成
物に関する。また、本発明は、ビニル基を有する樹脂
(d)、重合性単量体(e)及び前記硬化剤組成物を含
有してなる熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0013】また、本発明は、繊維強化材に前記熱硬化
性樹脂組成物を含浸させてなる管ライニング材に関す
る。また、本発明は、繊維強化材に前記熱硬化性樹脂組
成物を含浸させてなる管状の管ライニング材を流体圧に
よって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材を管
路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸させた熱硬化
性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り管を
ライニングすることを特徴とする管ライニング工法に関
する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における結晶性添加剤
(a)は、結晶化可能な部分を有する側鎖を有する熱可
塑性エラストマーを含み、このエラストマー内に有機金
属化合物又は金属が包含されている。常温では、有機金
属化合物又は金属が熱可塑性エラストマーのマイクロカ
プセル効果(保護効果)によって、その特性の発現が抑
制されているが、加熱して結晶化可能な部分を有する側
鎖を有する熱可塑性エラストマーが溶融化すると結果と
してマイクロカプセル効果(保護効果)が解除され、有
機金属化合物又は金属がその特性を発揮するようにな
る。
【0015】上記の結晶化可能な部分を有する側鎖を有
する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、結晶化可
能な部分を有する側鎖を有するポリマーブロックAと非
晶性熱可塑性ポリマーからなるポリマーブロックBとか
らなるものがある。
【0016】上記の有する結晶化可能な部分を有する側
鎖を有する熱可塑性エラストマーは、結晶化可能な部分
を有する側鎖を有するポリマーブロックAの前駆体(ブ
ロックA前駆体)と非晶性熱可塑性ポリマーからなるポ
リマーブロックBの前駆体(ブロックB前駆体)とを反
応させて製造することができる。ブロックA前駆体とブ
ロックB前駆体は互いに反応性の官能基を有する。ま
た、上記の有する結晶化可能な部分を有する側鎖を有す
る熱可塑性エラストマーは、ブロックA前駆体とこれが
有する官能基と反応性のブロックB用モノマー及びその
モノマーと反応性のブロックB用モノマーを反応させる
ことによっても製造することができ、ブロックB前駆体
とこれが有する官能基と反応性のブロックA用モノマー
及びそのモノマーと反応性のブロックA用モノマーを反
応させることによっても製造することができる。
【0017】ポリマーブロックAの側鎖の結晶化可能な
部分は、好ましくは熱可塑性エラストマーのDSC走査
が非常に鋭い融点を示すような部分であり、これは、例
えば、DSC曲線における融解開始温度とそのピーク温
度(Tq)との差が10℃以下であり、好ましくは8℃
未満であり、特に好ましくは6℃未満である。また、ポ
リマーブロックAの融点(Tq)は、ポリマーブロック
Aの前駆体又は等価ポリマーの融点(Tm)に対して、
通常、(Tm+5)℃以下で(Tm−10)℃以上であ
る。Tqは、好ましくは0〜120℃、さらに好ましく
は0〜100℃、特に0〜80℃である。またポリマー
ブロックAの数平均分子量は、200,000以下、好
ましくは100,000以下、より好ましくは50,0
00以下、さらに好ましくは2,000〜20,00
0、とりわけ3,000〜20,000である。
【0018】ポリマーブロックAは、1種であっても、
2種以上であってもよい。また、ポリマーブロックAで
は、その繰り返し単位の好ましくは30〜100%、特
に好ましくは50〜100%が結晶化可能な側鎖を含む
ものである。結晶化可能な側鎖は、同一種または異なる
種である。ポリマーブロックAが、2種以上存在する場
合、各ブロックのTqは異なっていてもよい。
【0019】ポリマーブロックAは、置換又は非置換の
アクリレ−ト、フルオロアクリレート、メタクリレー
ト、フルオロメタクリレート、ビニルエステル、クリル
アミド、マレイミド、α−オレフィン、p−アルキルス
チレン、アルキルビニルエーテル、アルキルエチレンオ
キシド、アルキルフォスファゼン、アミノ酸等のモノマ
ーの一種又は2種以上からなるポリマー、ポリイソシア
ネート、ポリウレタン、ポリシラン、ポリシロキサン、
ポリエーテルなどの長鎖の結晶可能な基を含むポリマー
からなる。
【0020】ポリマーブロックAは、下記一般式
【化1】 の繰り返し単位を含むポリマーブロックとして広く定義
することができる。ここで、Yはポリマー骨格の部分を
形成する有機基であり、Cyは結晶可能部分を含む側鎖
である。この結晶可能部分を含む側鎖Cyは、ポリマー
骨格と、直接的に、または2価の有機基または無機ラジ
カル(例えば、エステル、カルボキシル、アミド、炭化
水素(例えば、フェニレン)、アミノまたはエーテル結
合)を介して、又はイオン塩結合(例えば、カルボキシ
アルキルアンモニウム、スルホニウム、ホスホニウムの
イオン対)を介して結合される。Cyは、脂肪族または
芳香族であり、例えば、少なくとも10個の炭素を有す
るアルキル、少なくとも6個の炭素を有するフルオロア
ルキル、またはアルキルが6〜24個の炭素を含むp−
アルキルスチレンである。
【0021】好ましいポリマーブロックAは、全体でブ
ロックの骨格の炭素原子数の少なくとも5倍の炭素原子
を含む側鎖、特に12〜50個の炭素原子、とりわけ1
4〜22個の炭素原子を含む直鎖状の置換又は非置換ア
ルキル基(好ましくは、直鎖状ポリメチレン部分を含む
側鎖、または6〜50個の炭素原子を含む直鎖状過フッ
化ポリメチレン部分を含む側鎖)を含む。このような側
鎖を含むブロックは、1つまたはそれ以上の対応する直
鎖上の脂肪族アクリレート、メタクリレート、アクリル
アミドまたはメタクリルアミドを必要に応じて1つまた
はそれ以上の他の成分、好ましくは以下から選択される
成分と重合することにより調整される。
【0022】この他の成分としては、他のアルキル、ヒ
ドロキシアルキル及びアルコキシアルキルアクリレー
ト、メタクリレート(例えば、グリシジルメタクリレー
ト)、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、無水マレイン酸、アミン基を含むコモノマーが挙げ
られる。アクリル酸、メタリル酸、無水マレン酸、アク
リルアミド、メタクリルアミド、アミン基を含むコモノ
マー等は、下記において説明するように、熱可塑性エラ
ストマーに取り込まれる化合物と反応性の官能基を有す
るので、場合により好ましい。このような他の成分は、
全成分に対して好ましくは50モル%以下、35モル%
以下、25モル%以下、のように含まれ、例えば、0〜
15モル%含まれる。
【0023】Aブロック前駆体のために用いられるかま
たはリビング重合により形成されることができるポリマ
ーブロックAとしてのポリマーとしては、n−アルキル
−α−オレフィンのアタクチック及びイソタクチックポ
リマー(例えば、炭素原子数が15のn−アルキル−α
−オレフィンのアタクチックおよびイソタクチックポリ
マー、それぞれ融点30℃及び60℃)、n−アルキル
グリシジルエーテルのポリマー(例えば、炭素原子数が
19のn−アルキルグリシジルエーテルのポリマー)、
n−アルキルビニルエーテルのポリマー(例えば、融点
55℃の炭素原子数18のアルキルビニルエーテルのポ
リマー)、n−アルキル−α−エポキシドのポリマー
(例えば、融点60℃の炭素原子数19のn−アルキル
−α−エポキシドのポリマー)、n−アルキルオキシカ
ルボニルアミド−エチルメタクリレートのポリマー(例
えば、融点56℃、融点75℃又は融点79℃の炭素原
子数18、炭素原子数22又は炭素原子数30のアルキ
ル化合物のポリマー)、n−フルオロアルキルアクリレ
ートのポリマー(例えば、融点74℃炭素原子数8のヘ
キサデカフルオロアルキルアクリレートのポリマー、融
点88℃の炭素原子数9〜12のフルオロアルキルアク
リレートの混合物のポリマー)、n−アルキルオキサゾ
リンのポリマー(例えば、融点155℃の炭素原子数1
6のアルキルオキサゾリンのポリマー)、ヒドロキシア
ルキルアクリレートまたはメタクリレートとアルキルイ
ソシアネートとを反応させることにより得られるポリマ
ー(例えば、融点78℃のヒドロキシエチルアクリレー
トと炭素原子数19のアルキルイソシアネートとの反応
によって得られるポリマー、融点85℃のヒドロキシエ
チルアクリレートと炭素原子数22のアルキルイソシア
ネートとの反応によって得られるポリマー)、二官能イ
ソシアネート、ヒドロキシアルキルアクリレートまたは
メタクリレート、及び一級脂肪アルコールを反応させる
ことにより得られるポリマー(例えば、融点103℃の
ヘキサメチレンジイソシアネートと、2−ヒドロキシエ
チルアクリレートと、炭素原子数19のアルコールとを
反応させて得られるポリマー、融点103℃のヘキサメ
チレンジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチルアク
リレートと、炭素原子数22のアルコールとを反応させ
て得られるポリマー)などを挙げることができる。
【0024】好ましいAブロック前駆体は、(A1)ア
ルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、N−ア
ルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミ
ド、アルキルオキサゾリン、アルキルビニルエーテル、
アルキルビニルエステル、α−オレフィン、アルキル−
1,2−エポキシド、およびアルキルグリシジルエーテ
ル(これらのアルキル基は、14〜50の炭素原子を含
有するn−アルキル基である)、および相当するフルオ
ロアルキルモノマー(これらのアルキル基は、6〜50
個の炭素原子を含有するn−アルキル基である)からな
る群から選択される少なくとも1つのモノマーから誘導
される単位を60〜100重量%、(A2)アルキルア
クリレート、アルキルメタクリレート、N−アルキルア
クリルアミド、アルキルビニルエーテル、およびアルキ
ルビニルエステル(これらのアルキル基は、4〜12個
の炭素原子を含有するn−アルキル基である)からなる
群から選択される少なくとも1つのモノマーから誘導さ
れる単位を0〜20重量%及び(A3)アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリル
アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニ
ルアセテート、およびN−ビニルピロリドンからなる群
から選択される少なくとも1つの極性モノマーから誘導
される単位を0〜15重量%の範囲で含有するポリマー
である。
【0025】非晶性熱可塑性ポリマーからなるポリマー
ブロックBは、どのような種類のものでもよいが、その
ガラス転移温度(Tgs)は、Tqより低く、好ましく
はTqより10℃以上低い温度であり、より好ましくは
Tqより20℃以上低い温度である。Tgsは、また、
熱可塑性エラストマーがエラストマー特性を示す温度よ
りも低くなければならず、好ましくは0℃以下であり、
より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−40
℃以下である。ポリマーブロックBの数平均分子量は、
好ましくは5,000以上で500,000以下、より
好ましくは200,000以下、さらに好ましくは10
0,000以下であり、特に好ましくは10,000〜
80,000である。
【0026】ポリマーブロックBは、通常1種であるこ
とが好ましいが、2種以上であってもよい。また、ポリ
マーブロックBの一つのブロックは、一種又は二種以上
の繰り返し単位を有する。ポリマーブロックBが、2種
以上存在する場合、各ブロックのTgsは異なっていて
もよい。
【0027】ポリマーブロックBの例としては、ポリエ
ーテル(例えば、テトラヒドロフランから誘導され、エ
ーテル結合間に脂肪族基、芳香族基および混合脂肪族芳
香族基を含むものであり、例えば、テトラヒドロフラン
から誘導される)、ポリアクリレート(これは、アクリ
ル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルエステル
及びスチレンのような他と共重合可能なモノマーを有す
る少なくとも1種のアルキルアクリレート、メタクリレ
ート、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを構成成
分として有するポリマーを包含するものである)、ポリ
エステル(例えば、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸
あるいは酸塩化物またはエステルのようなそれらの誘導
体とから誘導される)、ポリアミド(例えば、ラクトン
から、又はジアミンとジカルボン酸あるいはその酸塩化
物等のジカルボン酸誘導体とから誘導される)ポリウレ
タン(例えば、ジソシアネートとジヒドロキシ化合物ま
たはジアミンとから誘導およびポリシロキサンが挙げら
れる。
【0028】前記の熱可塑性エラストマーにおいて、ポ
リマーブロックBは非晶質であったが、これの代わりに
結晶性であってもよい。結晶性ポリマーブロックBとし
ては、前記したポリマーブロックAと同様のもの、ま
た、ポリマーブロックAとは異なるが従来から結晶性ポ
リマーとして知られているものを使用することができ
る。この場合、ポリマーブロックBの融点Tmsは、
(Tq−10)℃以下であることが必要である。また、
ポリマーブロックBは二つのポリマーブロックAと連結
していることが好ましい。また、Tq及び/又はTms
は、(Tm−10)℃以上で(Tm+5)℃以下の温度
であることが好ましく、(Tm−5)℃以上でTm℃以
下の温度であることが好ましい。Tq又はTmsは、好
ましくは0〜120℃であり、さらに好ましくは100
℃以下であり、特に好ましくは80℃以下である。
【0029】前記の熱可塑性エラストマーにおいて、場
合によっては、結晶化可能な部分を有する側鎖を有しな
い結晶性ブロックを含んでいてもよい。この場合、この
ブロックの融点Tmhまたはガラス転移点Tghは結晶
化可能な部分を有する側鎖を有するブロックの融点Tm
よりも低くなく、より高くなければならない。従って、
Tmは(Tmh−10)℃以下又は(Tgh−10)℃
以下であることが好ましく、(Tmh−20)℃以下又
は(Tgh−20)℃以下であることがより好ましく、
(Tmh−40)℃以下又は(Tgh−40)℃以下で
あることが特に好ましい。
【0030】本発明に用いられる熱可塑性エラストマー
において、ポリマーブロックAは、ポリマーブロックB
の一端または両端で連結されていることが好ましい。熱
可塑性エラストマーは、ポリマーブロックAとポリマー
ブロックBとからなり、重合体鎖としてABA(トリブ
ロック)、(AB)nまたはAnB(ここでnは少なくと
も2である)構造を有するが、このような構造の混合物
も用いられる。AnBは、種々のグラフトポリマーを包
含する。
【0031】熱可塑性エラストマーがTqを境としてそ
れ以上において急激な粘度低下を示すエラストマー特性
を示すためには、ポリマーブロックBは、このポリマー
ブロックBのガラス転移温度よりも高い融点(好ましく
は、Tgsより10℃以上高い温度)を有する少なくと
も2つのポリマーブロックAに連結していなければなら
ない。熱可塑性エラストマーが固体であるとき、ポリマ
ーブロックAはポリマーブロックBに不溶性であり、ポ
リマーブロックAのTq以下の温度でポリマーブロック
Bを固着し、Tq以下の温度で、かつ、Tgs以上の温
度でエラストマー特性を示す。しかし、Tqより高い温
度で熱可塑性エラストマーの粘度は急降下する。Tq以
上の温度ではポリマーブロックAとポリマーブロックB
は相溶するようになるが、この相溶性が高いほど、粘性
の低下が大きい。
【0032】本発明おける熱可塑性エラストマーにおい
て、ポリマーブロックAはポリマーブロックAとポリマ
ーブロックBの総量に対して、2〜90重量%、10〜
90重量%、10〜70重量%、25〜60重量%であ
ることが順次好ましく、結晶化可能部分は、65重量%
以下、60重量%以下とし得る。測鎖に結晶化可能部分
を有しない結晶性ブロックは、熱可塑性エラストマーに
対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下が特
に好ましい。
【0033】本発明おける熱可塑性エラストマーは、ポ
リマーブロックAとポリマーブロックBのそれぞれに対
応する前駆体を調整し、必要であれば、これらの前駆体
を機能化した後、これらの前駆体を反応させることによ
り製造することができる。例えば、少なくとも1つのヒ
ドロキシル基またはアミノ基を含むAブロック前駆体
(例えば、アルキルモノマーおよびキャッピング剤を重
合すること、またはアクリルエポキシドまたはオキサゾ
リンを重合することにより調整された)と、2つまたは
それ以上のイソシアネート基または酸塩化物基を含むB
ブロック前駆体とを反応させ得る。
【0034】熱可塑性エラストマーは、また、Bブロッ
クに対応する前駆体ポリマーを調整し、次いで、必要で
あれば前駆体の両端を機能化したあと、この前駆体上で
Aブロックのモノマー(複数種でもよい)を重合するこ
とにより調整され渇る。例えば、メルカプト基によって
Bブトック前駆体は二官能性であり得、次いでこの二官
能性前駆体にアクリルモノマーおよび開始剤を加えてA
ブロックを調整し得る。
【0035】別の方法では、精製したモノマーを、適切
な開始剤を含む反応媒体に順に加える。ここでこのモノ
マーは、リビング成長ポリマー鎖上で加えられることが
好ましいモノマーである。例えば、リビングカチオン重
合は、Aブロックのモノマーを加え、次いでAブロック
のを加え。そして、Aブロックのを加えてポリマーを加
えて所望組成のブロックコポリマーを調整することによ
り行われる。このような方法は、Macromolecules 18巻2
13頁以下(1985)に開示されている類のH1/l2開始
剤系を用い得る。
【0036】熱可塑性エラストマーは、Aブロック前駆
体、好ましくは結晶化可能な部分を側鎖に有するアクリ
レートまたはメタククリレートポリマーを調整し、Bブ
ロックモノマー、好ましくはアルキルアクリレートまた
はメタクリレート(ここで、このアルキル基は、3〜8
個の炭素原子を含有する)を、少なくとも2つのAブロ
ック前駆体分子がBブロックモノマーにより形成された
各ポリマー鎖の骨格に取り込まれるような条件下で、重
合することにより調整され得る。例えば、結晶化可能な
部分を側鎖に有するアクリレートまたはメタククリレー
トポリマーを調整し、これをメルカプトエタノールでキ
ャップし、イソシアナートエチルメタクリレート、メク
クリロイルイソシアネート、アクリロイルクロリド、ま
たはメタクリロイルクロリドとの反応により機能化し、
次いでブチルアクリレート及び/又は類似の低分子量ア
クリレートと反応させ得る。反応剤の割合および連鎖移
動剤の存在により、BブロックとAブロックとの比を調
節し得る。
【0037】本発明の熱可塑性エラストマーは、一般的
に、5〜500%、例えば、50〜500%の伸びを示
す。これらの弾性率は、一般的に、10〜100,00
0psi(0.7〜7,000kg/cm2)、例えば、10〜
50,000psi(0.7〜3,500kg/cm2)であ
る。Aブロックの割合が高いほど、弾性率は高くなる。
熱可塑性エラストマーは、一股的に、Aを90%以下、
好ましくは70%以下、そして2%より多く含有する。
本発明の熱可塑性エラストマーがTqより高い温度から
実質的にTqより低い温度まで冷却されるとき、Tq温
度に達してもすぐには結晶化しない。結晶化が起こる前
に遅延が存在する。上記のように測定した再結晶化時間
(XL時間)は、その遅延の測定であるが、Tqが測定
温度よりも上昇すると、再結晶化までの時間は一般的に
減少することが示されるべきである。好ましい遅延の長
さは、適用ごとに異なる。熱可塑性エラストマーの数平
均分子量(Mn)は一般的に5,000〜800,00
0、好ましくは10,000〜800,000、例え
ば、5,000〜400,000、特に10,000〜
200,000である。また、Mw/Mn比は一般的に
1〜15、例えば、2〜4である。
【0038】熱可塑性エラストマーは本発明において、
有機金属化合物又は金属(硬化促進剤ともいえる。以下
第2成分という)と組み合わせられる。「組み合わせら
れる」とは、広い意味で使用される。例えば、第2成分
が熱可塑性エラストマーに、好ましくは均一に、分散さ
れている固体組成物であり、熱可塑性エラストマーが第
2成分(小粒の形状であり得る)を取り巻いており、好
ましくはカプセル化している。組成物中の熱可塑性エラ
ストマーの量は、熱可塑性エラストマーと第2成分との
総量に基づき、一般的に少なくとも10重量%、好まし
くは少なくとも15重量%であり、より好ましくは、例
えば、少なくとも20重量%であり得る。また、上記第
2成分は、熱可塑性エラストマーにイオン結合等で結合
されていてもよく、この場合、その成分は上記と同様
に、熱可塑性エラストマーが第2成分を取り巻いてお
り、好ましくはカプセル化している。
【0039】前記有機金属化合物としては、例えば、金
属石鹸(酢酸、オクテン酸、ステアリン酸等の脂肪酸又
はナフテン酸のMg、Ca、Zn、AL、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Pb、Cu、Zr等の金属の金
属塩、特に好ましくは、コバルト塩、マンガン塩)、有
機金属錯体(コバルトアセチルアセトネート、マンガン
アセチルアセトナート等の遷移元素のアセチアセトン錯
体等)等があり、金属としては、Mg、Ca、Zn、A
L、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Pb、Cu、
Zr等の金属又はそのイオンがある。
【0040】本発明における結晶性添加剤(a)は、熱
可塑性エラストマーと前記第2成分を組み合わせたもの
であるが、これは熱可塑性エラストマーの溶融下に第2
成分である有機金属化合物又は金属を混合させた後、又
は混合し反応させた後、冷却することにより作製するこ
とができる。これにより、結晶性添加剤中のポリマーブ
ロックAは、その融点以下では結晶化によりポリマーブ
ロックBを固着するので殻材の役目を果たすようにな
り、取り込まれた有機金属化合物又はイオン結合してい
る金属の活性が抑制されるので、硬化剤(c)の共存下
における硬化反応の促進機能が大きく低下し、事実上促
進剤である第2成分の存在を無視することができる。こ
れに対して、熱可塑性エラストマーがTq以上の温度に
熱せられると、結晶化が崩れ、ポリマーブロックAとポ
リマーブロックBは相溶するようになるので流動性を示
すようになる。このため、殻材的機能が消失してしま
い、結晶化可能な部分を有する側鎖を有するにポリマー
ブロックA及び/又は非結晶性熱可塑性ポリマーからな
るポリマーブロックBに取り込まれた第2成分である有
機金属化合物又はイオン結合している金属の活性が大い
に発現するようになる。これによって、有機過酸化物共
存下における硬化反応の促進効果を急激に発するように
なる。
【0041】前記金属及び有機金属化合物の金属として
は、コバルトが特に好ましい。また、前記金属及び有機
金属化合物の含有量は、金属分で結晶性添加剤全体に対
して、0.3重量%以上であることが好ましく、上限と
して20重量%で十分である。熱可塑性エラストマーの
融点は、熱硬化性樹脂組成物の使用条件に応じて、適宜
選択することができる。
【0042】また、本発明における結晶性添加剤(a)
の融点(熱可塑性エラストマーの融点)は、具体的には
ポリマーブロックAの側鎖に結合した結晶化可能な部分
を有する側鎖を構成するポリアルキルアクリレートやポ
リアルキルメタクリレートなどのポリマー中のアルキル
基の炭素数を12から22の範囲内で変えることによ
り、示差走査熱量測定装置などで測定される融点を0℃
から約120℃の範囲内で任意に選択することができる
が、より低温での硬化性のためには100℃以下、ま
た、80℃以下の範囲で選択することができる。また、
貯蔵安定性の点で、貯蔵雰囲気より高い融点が好まし
く、一般には室温以上の融点が好ましく、特に40℃以
上の融点が好ましい。例えば、結晶性添加剤(a)とし
て、ドコシルアクリレート、アクリル酸及びコバルトア
セテートアクリレート(50〜100/50〜0.1/
0.1〜25(重量部)で全量が100重量部となるよ
うな組成)で、ランダム共重合、あるいはブロック共重
合した高分子化合物が好ましい。
【0043】このような結晶性添加剤(a)の市販品と
しては、Intelimer6050(融点約65℃、コバルト
含有量2重量%)、Intelimer6054(融点約65
℃、コバルト含有量4重量%)、Intelimer216−1
7(融点約55℃)、Intelimer205−108(融点
約45℃)など(ランデック コーポレーション製、商
品名)が挙げられる。
【0044】結晶性添加剤(a)の使用量は、ビニル基
を有する樹脂(d)と重合性単量体(e)の総量100
重量部に対して、上限としては10重量部が好ましく、
5重量部がさらに好ましく、3重量部が特に好ましく、
下限としては、0.01重量部がより好ましく、0.1
重量部が特に好ましい。使用量が少なすぎると、本発明
の効果の一つである硬化時の速硬化性が十分に得られ
ず、また上記の範囲内よりも使用量が多いと促進効果が
飽和し、添加した量に見合う程の速硬化性が得られない
とともに、コストも高くなり好ましくない。結晶性添加
剤(a)は、その融点以下において、熱硬化性樹脂組成
物中に分散している。この熱硬化性樹脂組成物を、結晶
性添加剤(a)の融点以上に加熱したときに、熱可塑性
エラストマーが組成物中で溶解するものであることが特
に好ましい。
【0045】次に、本発明の硬化剤組成物結晶性添加剤
(a)の他に、10時間の半減期温度が80℃以下であ
る硬化剤(b)と有機金属化合物又は金属との組み合わ
せでレドックス反応を開始する硬化剤(c)の異なる性
質の2種類の硬化剤が必須成分として使用される。
【0046】10時間の半減期温度が80℃以下である
硬化剤(b)としては、80℃未満でも硬化反応を開始
できる化合物が好ましく、パーカーボネート類では、Bi
s−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカ
ーボネート、ジ−2−メトキシエチルパーオキシジカー
ボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−2−メチルヘキシルパーオキシジカーボネ
ート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ア
ルキルパーエステル類では、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルパーオキシネオデカネート、α−クメンパー
オキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−
ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ
ピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパー
オキシジ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパー
オキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシイ
ソブチレート、2,5−ジメチル−2,5−Bis−
(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−
アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ジアシル
パーオキサイド類では、イソブチロイルパーオキサイ
ド、Bis−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0047】有機金属化合物又は金属との組み合わせで
レドックス反応を開始する硬化剤(c)は、メチルエチ
ルケトンパーキサイド、アセチルアセトンパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチ
ルパーオキシジイソプロピルカーボネート、t−ブチル
パーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物が挙げられ
る。
【0048】本発明においては、硬化剤(b)の中から
2種類以上が選ばれて用いられても構わないが、Bis−
(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボ
ネート及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネ
ートが好ましい。また、硬化剤(c)の中から2種類以
上が選ばれて用いられても構わないが、クメンハイドロ
パーオキサイドが最も好ましい。硬化剤の使用量は、ビ
ニル基を有する樹脂(d)と重合性単量体(e)の総量
100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましい。
【0049】次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物に用い
られるビニル基を有する樹脂(d)としては、例えば、
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂が挙げら
れ、これらは組み合わせて使用しても構わない。
【0050】不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−エチ
レン性不飽和二塩基酸及び必要に応じてα,β−エチレ
ン性不飽和二塩基酸以外の飽和二塩基酸と多価アルコー
ルとを縮合反応させて得られる。α,β−エチレン性不
飽和二塩基酸としては、マレイン酸、フマル酸、クロル
マレイン酸等が有り、マレイン酸またはフマル酸を必須
成分とすることが好ましい。これらは、その酸無水物を
使用することができる。α,β−エチレン性不飽和二塩
基酸は、塩基酸1モル中、0.3〜1.0モルの範囲で
用いられるのが好ましい。α,β−エチレン性不飽和二
塩基酸以外の飽和二塩基酸としては、イソフタル酸、フ
タル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラ
ヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が
あり、これらの酸無水物を使用してもよいが、管ライニ
ング工法は、既設管の強度補強や防蝕対策、漏水・浸水
対策などを目的としているため、イソフタル酸を必須成
分とすることが好ましい。
【0051】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、水
素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレン
オキサイド付加物などがある。管ライニング工法は、既
設管の強度補強や防蝕対策、漏水・浸水対策などを目的
としているため、ネオペンチルグリコールを必須成分と
することが好ましい。多価アルコールは、塩基酸成分1
モルに対して、1.0〜1.2モルの範囲で使用するこ
とが望ましい。
【0052】不飽和ポリエステル樹脂は、重量平均分子
量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて
標準ポリスチレン換算で求められるもの、以下同様)が
8,000〜50,000の範囲内であることが好まし
く、10,000〜45,000の範囲内であることが
より好ましい。また、酸価は5〜40KOHmg/gの範囲内
であることが好ましく、7〜35KOHmg/gの範囲内であ
ることがより好ましい。
【0053】この不飽和ポリエステル樹脂は、重合性単
量体(e)に溶解して用いることができる。重合性単量
体(e)としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メ
チルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジ
ビニルベンゼン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル
系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル等のアクリル酸アルキルエステル、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメ
タクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリ
レート等の多価アルコールのメタクリル酸エステル、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペ
ンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレートなどの多価アルコールのメタクリル酸エステ
ル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ア
クリロニトリルなどが挙げられるが、安価で入手の容易
なスチレンを用いるのが一般的である。
【0054】ビニルエステル樹脂は、エポキシ化合物と
不飽和一塩基酸とを反応させて得られる。エポキシ化合
物としては、例えば、市販されているエピコート82
8、1001、152、154(以上、いずれも油化シ
ェルエポキシ(株)製、商品名)、アラルダイトAER2
80、6071(以上、いずれも旭チバ社製、商品
名)、エピクロン850、860、1050(以上、い
ずれも大日本インキ化学工業社製、商品名)、エポミッ
クR−140、301(以上、いずれも三井石油化学社
製、商品名)、DEN−431、438、439(以
上、いずれもダウ・ケミカル社製、商品名)等を用いる
ことができる。不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、
メタクリル酸が代表的で、その他にもアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステルがある。エポキシ化合物のエ
ポキシ基1モルに対して、不飽和一塩基酸のカルボキシ
ル基が0.9〜1.2モルの範囲で配合されるのが好ま
しい。
【0055】また、ビニルエステル樹脂は、重量平均分
子量が500〜5,000の範囲内であることが好まし
く、800〜4,000の範囲内であることがより好ま
しい。また、酸価は0.1〜40KOHmg/gの範囲内であ
ることが好ましく、5〜20KOHmg/gの範囲内であるこ
とがより好ましい。このビニルエステル樹脂も、不飽和
ポリエステル樹脂と同様に、重合性単量体(e)に溶解
して用いることができる。重合性単量体(e)として
は、前記したものを用いることができる。
【0056】本発明の熱硬化性樹脂組成物(2)には、
成形条件や要求特性など必要に応じて、硬化時間の調整
のための硬化遅延剤や充填剤、増粘剤などを添加して用
いることができる。硬化遅延剤としては、例えば、ハイ
ドロキノン、pーベンゾキノン、メチルハイドロキノン
などが挙げられ、ビニル基を有する樹脂(d)及び重合
性単量体(e)の総量100重量部に対して0.1重量
部以下であることが好ましく、使用する場合0.001
重量部以上使用することが好ましい。
【0057】充填剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、クレー、アルミ粉、タルク、シリカパウダー、ガラ
ス粉、ガラスビーズ、マイカ、水酸化アルミニウムが挙
げられる。これらは単独あるいは併用して用いることが
でき、その種類、使用量などは成形条件や成形品要求特
性に応じて、適宜選択することができる。管ライニング
工法では、既設管の強度補強や防蝕対策、漏水・浸水対
策などを目的としているため、一般的には、水酸化アル
ミニウムが用いられ、ビニル基を有する樹脂(d)及び
重合性単量体(e)の総量100重量部に対して、5〜
100重量部の範囲内で配合されるのが好ましく、10
〜80重量部の範囲内で配合されるのがより好ましい。
【0058】増粘剤としては、2価の金属酸化物あるい
は水酸化物からなる金属化合物が使用され、例えば、酸
化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらは単独で
もしくは併用して用いられる。増粘剤の使用量は、ビニ
ル基を有する樹脂(d)及び重合性単量体(e)の総量
100重量部に対して、3重量部以下であることが好ま
しく、使用する場合0.1重量部以上使用することが好
ましい。
【0059】本発明の熱硬化性樹脂組成物を繊維強化材
を有する管状体に含浸させ管ライニング材を製造でき
る。繊維強化材としては、ポリエステル繊維が最も一般
的であるが、アクリル繊維、ビニロン繊維、炭素繊維、
ポリアミド繊維、ガラス繊維などの繊維のフェルト、
布、不織布、マットなどが使用できる。これらの種類、
使用量などは、要求特性などに応じて選択することがで
き、その使用量は、熱硬化性樹脂組成物(2)ならびに
必要に応じて使用する硬化遅延剤、充填剤、増粘剤の総
量100重量部に対して、5〜100重量部が好まし
い。
【0060】本発明のおける熱硬化性樹脂組成物を含浸
して得られる繊維強化材を有する管状の管ライニング材
を用いて、管路の内側に内張り管をライニングする管ラ
イニング工法において、管ライニング材を管路内に反転
挿入及び管路の内側壁面に押圧する際の流体の種類及び
圧力などの条件は、適宜選択することができ、さらに、
管路の内側壁面に押圧された管ライニング材を含浸した
熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化する際の加熱温度、加熱
時間などの成形条件は、硬化剤(b)、硬化剤(c)の
組み合わせ及び使用量等を考慮し、適宜選択することが
できる。
【0061】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明がこれに限定されるものではない。
【0062】合成例1(熱硬化性樹脂組成物用不飽和ポ
リエステル樹脂組成物の調製) イソフタル酸1412g(0.40モル)、ネオペンチ
ルグリコール1548g(0.70モル)及びハイドロ
キノン0.25gから成る配合物を、温度計、撹拌羽
根、不活性ガス導入管、コンデンサーを備えた5,00
0mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で235℃
まで昇温し、通常の方法にて脱水縮合反応を行った。酸
価が5KOHmg/gになったところで反応を止めた。
【0063】これに、無水マレイン酸1251g(0.
60モル)、ジエチレンレングリコール789g(0.
35モル)を加え、再び225℃まで昇温して、脱水縮
合反応を行った。酸価が24KOHmg/gになったところ
で、反応温度を215℃に下げ、そのまま反応を続け
た。酸価が16KOHmg/gになったところで反応を止め
た。これに、ハイドロキノン0.25gを添加して、不
飽和ポリエステル樹脂を得た。このものの重量平均分子
量は18,400であった。得られた不飽和ポリエステ
ル樹脂65重量部をスチレンモノマ35重量部に溶解
し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ールを0.003g及びエアロジルを1.2g加えて、
熱硬化性樹脂組成物用不飽和ポリエステル樹脂組成物を
調整した。このとき、JIS K6901に準拠して測
定した粘度及び揺変度は、3.4Pa・s及び2.0であっ
た。
【0064】製造例1(管ライニング材樹脂組成物1及
び管ライニング材(A1)の製造) 合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物92
0gに有機金属化合物を含有する結晶性添加剤(a)と
してIntelimer6050(ランデック コーポレーショ
ン製、商品名)2.76g、10時間の半減期温度が8
0℃以下である硬化剤(b)としてカヤエステルO−5
0(化薬アクゾ(株)製、商品名)2.76g及び有機金
属化合物又は金属を含有する硬化促進剤との組み合わせ
でレドックス反応を開始する硬化剤(c)としてトリゴ
ノックス40(化薬アクゾ社製、商品名)0.92g及
びパーブチルZ(日本油脂(株)製、商品名)3.68g
を添加し、管ライニング材用樹脂組成物(1)を調整し
た。
【0065】次に、厚さ100μmのポリエチレン製フ
ィルムの袋の中に、厚さ9mmで単位面積当たりの重量が
0.2g/cm2の大きさ22cm×28cmのポリエステル製
フェルトを入れ、調整直後の管ライニング材用樹脂組成
物(1)を注入した。次に、真空ポンプを用いて、ポリ
エチレン製フィルムの袋内を減圧・脱泡しながら、ポリ
エステル製フェルトに管ライニング材用樹脂組成物
(1)を含浸し、ポリエチレン製フィルムを密閉して、
管ライニング材(A1)を得た。このとき、同様のもの
を2枚作製した。
【0066】製造例2(管ライニング材樹脂組成物2及
び管ライニング材(A2)の製造) 製造例1において、Intelimer6050に代わり、6重
量%オクテン酸コバルトを0.92g用いる以外は製造
例1に準じて管ライニング材用樹脂組成物(2)を調整
した。次に、製造例1に準じて、管ライニング材(A
2)を2枚作製した。
【0067】製造例3(管ライニング材樹脂組成物3及
び管ライニング材(A3)の製造) 合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物92
0gに有機金属化合物を含有する結晶性添加剤(a)と
してIntelimer6050を2.76g、10時間の半減
期温度が80℃以下である硬化剤(b)としてカヤエス
テルO−50(化薬アクゾ(株)製、商品名)1.84g
及び有機金属化合物又は金属を含有する硬化促進剤との
組み合わせでレドックス反応を開始する硬化剤(c)と
してカヤクメンH(化薬アクゾ(株)製、商品名)0.9
2g及びパーブチルZを5.06gを添加し、管ライニ
ング材用樹脂組成物(3)を調整した。次に、製造例1
に準じて、管ライニング材(A3)を2枚作製した。
【0068】製造例4(管ライニング材樹脂組成物4及
び管ライニング材(A4)の製造) 製造例3において、Intelimer6050に代わり、6重
量%オクテン酸コバルトを0.92g用いる以外は製造
例3に準じて管ライニング材用樹脂組成物(4)を調整
した。次に、製造例1に準じて、管ライニング材(A
4)を2枚作製した。
【0069】製造例5(管ライニング材樹脂組成物5及
び管ライニング材(A5)の製造) 合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物92
0gに有機金属化合物を含有する結晶性添加剤(a)と
してIntelimer6050を2.76g、10時間の半減
期温度が80℃以下である硬化剤(b)としてパーロイ
ルTCP(日本油脂(株)製、商品名)3.68g及びカ
ヤエステルO−50を4.60g及び有機金属化合物又
は金属を含有する硬化促進剤との組み合わせでレドック
ス反応を開始する硬化剤(c)としてパーブチルZを
1.38gを添加し、管ライニング材用樹脂組成物
(5)を調整した。次に、製造例1に準じて、管ライニ
ング材(A5)を2枚作製した。
【0070】製造例6(管ライニング材樹脂組成物6及
び管ライニング材(A6)の製造) 製造例5において、Intelimer6050に代わり、Intel
imer6054(ランデック コーポレーション製、商品
名)1.38g用いる以外は製造例5に準じて管ライニ
ング材用樹脂組成物(6)を調整した。次に、製造例1
に準じて、管ライニング材(A6)を2枚作製した。
【0071】製造例7(管ライニング材樹脂組成物7及
び管ライニング材(A7)の製造) 製造例5において、Intelimer6050に代わり、6%
オクテン酸コバルトを0.92g用いる以外は製造例5
に準じて管ライニング材用樹脂組成物(7)を調整し
た。次に、製造例1に準じて、管ライニング材(A7)
を2枚作製した。
【0072】得られた管ライニング材用樹脂組成物
(1)〜(7)について、それぞれ10℃及び30℃の
ポットライフ及び管ライニング材(A1)〜(A7)に
ついてラミネーター試験を行った。その結果を表1に示
す。なお、試験方法は以下に示すとおりとした。
【0073】ポットライフ:JIS K6901に準じ
て10℃または30℃で測定し、樹脂組成物の流動性を
評価した。 ラミネーター試験:加熱可能な水が内部を循環する30
cm×50cmの大きさの上型と、温度15℃に保たれた水
が内部を循環する30cm×50cmの大きさの下型との間
に、2枚の管ライニング材を重ねてセットし、上型内循
環水及び2枚の管ライニング材の間に温度を測定するた
めの熱電対を挿入した。次に、上型内循環水を所定の工
程にしたがって加熱・昇温し、このときの2枚の管ライ
ニング材の間に挿入した熱電対により発熱温度を調べ、
発熱の有無を評価した。
【0074】
【表1】
【0075】実施例1 製造例1で得られた管ライニング材(A1)を用いて、
ラミネーター試験機で15℃から85℃まで210分
(昇温速度:20℃/時間)で昇温し、次に85℃で6
0分保持して、管ライニング材(A1)を硬化させ、管
ライニング材硬化物(B1)を得た。このとき2枚の管
ライニング材(A1)の間の発熱は見られなかった。ま
た、この時の硬化時間は270分であった。
【0076】実施例2 製造例3で得られた管ライニング材(A3)を用いて、
ラミネーター試験機で15℃から60℃まで90分(昇
温速度:30℃/時間)で昇温し、60℃で60分保持
した後、次に60℃から85℃まで50分(昇温速度:
30℃/時間)で昇温し、最後に85℃で60分保持し
て、管ライニング材(A3)を硬化させ、管ライニング
材硬化物(B3)を得た。このとき2枚の管ライニング
材(A3)の間の発熱は見られなかった。また、この時
の硬化時間は260分であった。
【0077】実施例3 製造例5で得られた管ライニング材(A5)を用いて、
ラミネーター試験機で15℃から55℃まで80分(昇
温速度:30℃/時間)で昇温し、55℃で30分保持
した後、次に55℃から65℃まで20分(昇温速度:
30℃/時間)で昇温し、65℃で30分保持した。続
けて65℃から85℃まで40分(昇温速度:30℃/
時間)で昇温し、最後に85℃で60分保持して、管ラ
イニング材(A5)を硬化させ、管ライニング材硬化物
(B5)を得た。このとき2枚の管ライニング材(A
5)の間の発熱は見られなかった。また、この時の硬化
時間は260分であった。
【0078】実施例4 製造例6で得られた管ライニング材(A6)を用いて、
実施例3に準じてラミネーター試験機で管ライニング材
硬化物(B6)を得た。このとき2枚の管ライニング材
(A6)の間の発熱は見られなかった。また、この時の
硬化時間は260分であった。
【0079】比較例1 製造例2で得られた管ライニング材(A2)を用いて、
実施例1に準じてラミネーター試験機で管ライニング材
硬化物(B2)を得た。このとき2枚の管ライニング材
(A2)の間の最高発熱は199℃であった。
【0080】比較例2 製造例4で得られた管ライニング材(A4)を用いて、
実施例1に準じてラミネーター試験機で管ライニング材
硬化物(B4)を得た。このとき2枚の管ライニング材
(A4)の間の最高発熱は150℃であった。
【0081】比較例3 製造例7で得られた管ライニング材(A7)を用いて、
実施例1に準じてラミネーター試験機で管ライニング材
硬化物(B7)を得た。このとき2枚の管ライニング材
(A7)の間の最高発熱は143℃であった。
【0082】得られた管ライニング材硬化物(B1)〜
(B7)について、それぞれ曲げ特性及び引張り特性を
調べた。その結果を表2に示す。なお、試験方法は以下
に示すとおりとした。
【0083】曲げ特性:JIS K7203に準じて、
加熱硬化後の管ライニング材を用いて、硬化物の強度試
験を行った。 引張り特性:JIS K7113に準じて、加熱硬化後
の管ライニング材を用いて、硬化物の強度試験を行っ
た。
【0084】
【表2】
【0085】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、これを添加した
熱硬化性樹脂組成物の優れた長期貯蔵性と硬化時の速硬
化性の両立ができる硬化剤組成物を提供するものであ
る。請求項2記載の発明は、優れた長期貯蔵性と硬化時
の速硬化性を両立した熱硬化性樹脂組成物を提供するも
のである。請求項3記載の発明は、優れた長期貯蔵性と
硬化時の速硬化を有する管ライニング材を提供するもの
である。請求項4記載の発明は、短い工期で優れた強度
特性を有する内張り管を製造することができる管ライニ
ング方法を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/04 CFE C08J 5/04 CFE 4J038 C08K 3/00 C08K 3/00 5/00 5/00 9/10 9/10 C08L 55/00 C08L 55/00 C09D 7/12 C09D 7/12 Z 167/06 167/06 // B29K 33:00 B29L 23:00 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA04 AB05 AB06 AB09 AB10 AD33 AD38 AE01 AE02 AF15 AF17 AH21 AK05 AL03 4F211 AA24 AB03 AD16 AD20 AG03 AG08 AH43 SA14 SC03 SD04 SD23 SN12 SP12 SP21 4J002 BG002 BP032 CD201 CF002 CF221 CH052 CL002 DA076 DA086 DA096 DA106 DA116 EA049 EE046 EG046 EH079 EH149 EK028 EK047 EK057 EK058 EK087 EZ006 FD147 FD149 FD158 FD206 4J015 BA06 BA07 BA08 CA05 CA07 CA08 CA10 4J027 AB06 AB07 AB08 AB15 AB16 AB17 AE01 AJ01 BA05 BA07 BA20 BA22 BA25 BA27 CA08 CA28 CB04 CB05 CD02 CD08 CD09 4J038 CQ001 FA042 FA102 FA112 FA261 HA066 JA47 JA66 JC38 KA03 KA08 KA19 KA21 NA11 PA19 PB05 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属化合物又は金属を含有する結晶
    性添加剤(a)、10時間の半減期温度が80℃以下で
    ある硬化剤(b)及び有機金属化合物又は金属との組み
    合わせでレドックス反応を開始できる硬化剤(c)を必
    須成分としてなる硬化剤組成物。
  2. 【請求項2】 ビニル基を有する樹脂(d)、重合性単
    量体(e)及び請求項1記載の硬化剤組成物を含有して
    なる熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 繊維強化材に請求項2記載の熱硬化性樹
    脂組成物を含浸させてなる管ライニング材。
  4. 【請求項4】 繊維強化材に請求項2記載の熱硬化性樹
    脂組成物を含浸させてなる管状の管ライニング材を流体
    圧によって、管路内に反転挿入し、この管ライニング材
    を管路の内側壁面に押圧したまま、これに含浸させた熱
    硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて管路の内側に内張り
    管をライニングすることを特徴とする管ライニング工
    法。
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